第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは「美と健康、清潔で快適な生活を創造する」を経営ビジョンとし、みなさまの暮らしを快適にする身近な商品を、全国の小売業様の店頭にお届けする、日用品・化粧品等の卸商社として、社会的インフラの一翼を担っております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2023年3月期を最終年度とする中期経営計画において、売上高・経常利益・ROEを目標として掲げております。

 

(3) 経営戦略及び定量目標

「中期経営計画2023」の目標数値

 当社は幅広い商品を多くの小売業様に販売しているという強みを活かし、消費者の生活様式の変化や購買意識の変化を捉えて販売につなげてまいりました。その結果、2023年3月期を最終年度とする中期経営計画については、2022年3月期において、売上高および経常利益の目標を達成していることから、目標数値を下記のとおり上方修正することといたしました。

 

 2023年3月期計画                              (単位:億円)

 

2023年3月期(修正前)

2023年3月期(修正後)

売上高

8,500

8,700

営業利益

129

133

経常利益

135

140

ROE

9%台

9%台

 

(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 日本経済は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、緊急事態宣言の再発出やまん延防止等重点措置の適用に伴って、経済活動が繰り返し制約を受ける状況が続きました。一時的に感染者が減少し、行動制限が徐々に緩和された時期もあり、景気の持ち直しの動きがあったものの、足元では、オミクロン株による感染急拡大に加え、ウクライナ情勢等に起因する世界的な経済活動の停滞が懸念されるなど、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 個人消費につきましては、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない不安、また、原材料や原油価格の上昇により、消費者の節約意識は高まる傾向が続いております。一方で外出自粛や在宅勤務へのシフトにより、多くの時間を自宅で過ごす新しい生活様式への変化から、衣料用や住居用の洗剤等の大容量品や高機能の高額商材が好調に推移しております。また、家庭でペットと過ごす時間が増加したことにより、ペット商材も好調に推移しており、新しい生活様式への対応から消費者の生活意識・購買意識は大きく変化してきております。

 このような環境の中、経済環境の変化に伴う日用品・化粧品市場の構造的変化への適応を対処すべき課題と認識し、この課題に対応すべく長期経営ビジョン2030を策定いたしました。

 

(長期経営ビジョン2030策定の背景)

 当社グループは生活必需品を取扱う社会インフラとしての使命を担い、暮らしを支え、快適な生活を創造する企業として、消費者の皆様および地域社会とともに成長を続けてまいりました。

 現在、自然環境や経済環境は大きく変化しており、当社が属する流通業界も例外ではなく大きな転換期にあると言えます。

 

 当社グループも、自然環境・経済環境等の変化に対応し「世の中のお役に立ち続ける」という経営理念のもと、どのような状況においても消費者の皆様および地域社会のために企業活動を持続させ、「強く」「正しく」そしてその先には「楽しく」というあらたESG基本方針に沿い、経済や社会に対して価値を提供し続けております。

 

 今後、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たたない状況、また、ウクライナ情勢等に起因する世界的な経済活動の停滞が懸念され、国民の生活および企業活動に大きな影響を与えている状況の中、ますます当社の社会的役割の重要性が増し、企業としての真価が問われています。

 このような環境の中で、当社グループは将来を見据え、長期的視点に立って当社が進むべき目標として、長期経営ビジョン2030を策定し、目標達成に向け、各戦略を推進しております。

 

(長期経営ビジョン2030)

 基本方針「夢をかなえる。暮らしを変える。」

 当社の機能発揮によって暮らしを豊かにすることで、「この先もずっと豊かで快適な毎日を送りたい。」という人々の当たり前のようでかけがえのない夢をかなえていくことを将来ビジョンとして、社会課題の解決や人々のより良い暮らしのために、様々な流通機能を備え、生活者の豊かな生活の実現に向けて中心的な役割を果たしてまいります。

 

 当社グループは、2030年3月期までに売上高1兆円を突破し、そこにとどまらずに常に「夢」のある目標を追い続け、経済価値を生みだします。

 

 当社が社会へ提供する価値は、社員を核に置き、当社が属する流通業界全体のサプライチェーンへの貢献、消費者への貢献、地球環境への貢献とその価値を扇状に広げながら提供してまいります。

 

①環   境:サプライチェーンの好循環による環境貢献

②人   材:社員にとって働き甲斐のある会社となる

③地域社会:すべての人に豊かで快適な生活を届ける

④ガバナンス:持続的成長を支える強固なガバナンス体制

 

(5つの重要項目)

 長期経営ビジョン2030達成に向けた、社内における具体的な戦略や数値目標等を5つの重点項目として設定し、

あらたグループ全体で共有、全社一丸となり推進してまいります。

 

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(気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応)

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(ダイバーシティへの取り組み)

 当社グループの取り扱う日用品・化粧品の購買決定権は女性が大きな割合を占めていることもあり、女性の活躍が求められています。

 ダイバーシティへの取り組みとして、「女性活躍推進」を重点項目として掲げ、次期中計の最終年度である2026年3月期に女性の管理職(課長級以上)比率を4.5%とする目標数値を設定いたしました。全社員が意欲を持ち、長く働き続けられる制度や環境の構築に向け、2022年からは、各エリアの女性社員へZoomによるヒアリングなどを開始しており、今後具体的な施策実施につなげてまいります。

 

(継続的なガバナンス体制の強化)

 企業としての健全で持続的な成長のために、社会的信頼に応える良質な企業統治体制の確立を目指し、継続的な

ガバナンス体制の見直し・強化を図ってまいりました。今後も、プライム市場に求められるガバナンス水準について取締役会を中心に議論を進め、持続的な成長を支える強固な体制を構築してまいります。

 

 ガバナンス体制強化の変遷

 2017年 独立社外取締役を3名に増員

 2018年 ESG専門部署を設置

 2019年 任意の指名・報酬委員会設置

     取締役会の実効性評価実施

 2020年 独立社外取締役が3分の1以上に

     女性の社外監査役が就任

 2021年 監査等委員会設置会社に移行

 2022年 東京証券取引所プライム市場に移行

 

2【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 競争激化による投資コストの増加について

 当社グループが属する日用品・化粧品の卸売業界におきましては、取扱い商品における業界の垣根を越えた再編の可能性があり、主要顧客である小売業界においても同様の動きが起こる可能性があります。また、外資系小売業の進出などにより、物流機能の取り込みが起こり、卸売業の物流機能の評価が低下する可能性もあります。

 このような業界再編やそれにともなう物流形態の変化等の環境変化に対応するために、新しい事業分野への進出や、物流機能の充実のための大型物流センター等の設備投資が必要となってくると考えられます。その場合には、減価償却費や物流に関連する各種経費の一時的増加により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、今後も積極的な売上拡大に対応する為、全国に亘る物流ネットワークの整備を継続してまいりますので、初期投資に関わる費用、減価償却費の増加は見込まれますが、従来通りに既存センターの統合、廃止などにより、在庫の削減、センター内の業務費用、配送費用の圧縮により投資コストの早期回収を進めます。

 

② 業績変動について

 当社グループの業績は、第4四半期において他の四半期に比べて売上高及び利益は低下する傾向にあります。

 これは主に、12月に日用品をまとめて購入する消費需要の反動や、2月は営業日数が少ない等の影響によるものであります。このため、第3四半期までの業績の傾向が、年間の業績の傾向を示さない可能性があります。

 また、上記傾向が継続していることに加え、自然災害の発生や消費税増税など大きな環境変化が起こった際には四半期毎の傾向が大きく変わることが想定され、過去の傾向どおりには推移しない可能性もあります。

 この様な各種環境変化への対応としては過去において売上高、利益に対して影響を及ぼした要因を分析し、消費の需要変化を予測し、執行役員等が出席する経営会議や取締役会において商品政策、販売政策を検討し実施しております。

 なお、2021年3月期並びに2022年3月期の四半期毎の業績は、以下のとおりであります。

 

(単位:百万円)

 

 

2021年3月期

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

年度計

売上高

211,915

212,862

217,017

192,237

834,033

(構成比 %)

(25.4)

(25.5)

(26.0)

(23.0)

(100.0)

営業利益

3,490

2,906

3,689

1,434

11,521

(構成比 %)

(30.3)

(25.2)

(32.0)

(12.5)

(100.0)

経常利益

3,669

2,990

3,832

1,607

12,099

(構成比 %)

(30.3)

(24.7)

(31.7)

(13.3)

(100.0)

 

(単位:百万円)

 

 

2022年3月期

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

年度計

売上高

213,840

215,653

223,387

204,206

857,087

(構成比 %)

(24.9)

(25.2)

(26.1)

(23.8)

(100.0)

営業利益

3,556

3,545

3,553

2,088

12,743

(構成比 %)

(27.9)

(27.8)

(27.9)

(16.4)

(100.0)

経常利益

3,808

3,756

3,774

2,406

13,745

(構成比 %)

(27.7)

(27.3)

(27.5)

(17.5)

(100.0)

 

 

③ ペット生体の需給動向について

 犬猫生体については、繁殖者の減少から生体が供給不足になる可能性があります。また、犬猫の平均寿命は延びているものの、高齢生体の比率が上昇しており、高齢生体の死亡により飼育頭数が減少する可能性があります。生体全般としては人獣共通感染症が発生した場合に生体が減少する可能性があります。ペットフード・用品の売上高については、ペット生体の数の増減によって業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、近年において犬の飼育頭数の減少が見られるなどの状況が発生しておりますが、高齢生体の上昇や飼い主とペットとの関係性の変化等によるペットフード・用品の高機能化などの変化に迅速に対応する等、生体数減少による売上高の減少をカバーする対応を行っております。

 

④ 商慣習によるリスクについて

 当社グループが所属する日用品・化粧品・ペット卸売業界は、商品の販売数量や支払条件等に応じて、メーカーから販売奨励金等が支払われます。これは、メーカーと当社グループの間で取り決められた条件を達成することによって支払われますが、メーカーの営業戦略の変更により制度変更された場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの商品在庫におきましては、ほぼメーカーへの返品が可能となっております。しかしながら、メーカーの民事再生等により債務不履行が発生した場合は、在庫評価損の計上や返品が不能となる場合があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、近年ではメーカーの債務不履行により業績に大きな影響を与える事例は発生しておりませんが、買掛金、在庫管理を中心として仕入先与信管理を強化し、リスク軽減の対応を行っております。

 

⑤ ペットフードの安全性について

 「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」の施行により、安全基準値を超えた商品が発見された場合にはペットフードの生産、流通に支障が生じる可能性があります。また、ペットフードの主原料になることが多いトウモロコシ等の穀物について、世界的な異常気象等による不作から、ペットフードの調達不足が発生した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、現時点では当該リスクが顕在化する可能性については認識しておりません。しかし今後発生する可能性を考慮し、仕入先との連携によるペットフードに関する情報収集の強化や仕入先を複数もつことでのリスク軽減などの対応を行っております。

 

⑥ カントリーリスクについて

 当社グループは、海外事業の拡大を図っており、海外現地における政情不安、貿易制裁、文化や法制度の相違、特殊な労使関係等によるカントリーリスクにより、円滑な業務運営が妨げられ、当社グループの業績と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社仕入先の製造工場が海外にある場合にも、同様のリスクが考えられ、商品供給が滞る可能性があります。

 なお、近年では新型コロナウイルス感染症による世界的な事業活動停滞が要因となり、一時的に需給バランスが崩れる現状が発生いたしましたが、国内仕入先の国内工場の増産に合わせた商品調達や在庫管理、また新規取引を行うことでリスク軽減の対応を行っております。

 

⑦ 信用リスクについて

 当社グループでは取引先の信用悪化や経営破綻による損失が発生する信用リスクを管理するため、信用調査会社による資料に基づき要注意先を設定し与信限度額を定め、与信先の信用状態に応じて必要な担保・保証などを取り付けるとともに、会計上充分な貸倒引当金を計上しております。

 しかしながら、得意先の業績悪化により、債権等が回収不能となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、これまでにも債権回収不能の事態は発生しておりますが、多くが軽微であり経営に大きく影響を与える状況にはありません。しかし社会、経済環境の変化により景気が減退し、発生する可能性を考慮し、不安のある得意先に対しては取引限度額の再設定や保証の取り付け、与信保険の設定などによりリスク軽減を図っております。

 

 

⑧ 減損会計について

 当社グループは、事業用資産として多くの土地及び建物等を所有しております。事業用資産の簿価に対して時価が著しく下落した場合や各支社の収益性が悪化した場合等には、固定資産の減損処理が必要となる場合があります。その場合、特別損失が計上され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当該リスクへの対応といたしましては、各支社の収益悪化に対して本社と連携して得意先への対応を協議・実践するなど収益改善に向けた取り組みを強化することでリスク軽減を図っております。

 

⑨ 投資有価証券保有にかかる株価変動リスクについて

 当社グループは主として営業上の取引関係の維持、強化のため取引先を中心に政策保有株式を保有しております。

 このため、株式相場の動向もしくは株式を保有している企業の業績次第では、それぞれの株価に大きな変動が発生し、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 なお、当該リスクへの対応といたしましては、政策保有株式全銘柄につき個別に保有の妥当性を判断し、取締役会等で継続して保有する経済合理性が乏しいと判断した場合には、その時の経済情勢や譲渡損益等を考慮したうえで、当該保有先との対話を経て、適切な時期に保有株式の売却を行うなどの対応を行っております。

 

⑩ 大規模災害について

 当社グループは全国に多くの拠点があり、大規模災害が発生した場合にはその地域における物流機能の麻痺及びシステム障害が発生し、商品の供給が滞る可能性があります。

 なお、東日本大震災や近年の大型台風、集中豪雨などにより当該リスクは発生しておりますが、BCP対策強化の一環として、一部の物流センターが被災した場合でも、他のエリアの物流センターから商品供給できる体制を持ち、また全国に分散したバックアップセンターによりシステム障害を防ぐ体制を構築しております。

 

⑪ システムトラブルについて

 当社グループは、営業活動、商品管理等の多くをコンピューターネットシステムに依拠しております。自然災害や事故の発生、コンピューターウイルスの侵入等により機能が停止した場合、リカバリーシステムによる復旧までに時間を要し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、有事においても安定的に商品供給するために日次の業務データを複数のバックアップセンターにより分散管理し、一つのセンターが被災した場合においても迅速にシステムを復旧させ、事業継続できる体制を構築しております。

 

⑫ 感染症等の流行発生にかかるリスク

 新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、緊急事態宣言の再発出やまん延防止等重点措置の適用に伴って、経済活動が繰り返し制約を受ける状況が続くなど、先行きは不透明な状況が続いております。

 個人消費につきましても新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない不安、在宅勤務等の影響により、生活費の負担は増加し、節約意識が高まる可能性があります。

 また、近年では新型コロナウイルスの感染拡大により、メーカーの活動自粛による商品供給の不足や小売業店舗の休業や時短営業などによる売上減少が発生しており、このような状況が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当該リスクへの対応といたしましては、BCPの観点からあらゆる事態を想定し、事業への影響及びその対策について、取締役会、経営会議において議論し、本社、支社においてそれぞれの環境に応じた具体的な施策を立案し、このような事象が発生した場合においても最小限の影響にとどめる対策を実施することでリスク軽減を図っております。

 

⑬ 気候変動によるリスク

 当社グループは、生活必需品を取り扱う卸商社として皆様の生活を支える社会インフラの一部であることから、気候変動に関するリスクを重要な課題と捉え、長期経営ビジョン2030においても対応策や目標を定めております。

気候変動に伴う異常気象による当社物流網やサプライチェーン全体への損害や、脱炭素社会への移行に伴うコスト

の上昇などにより当社業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、前連結会計年度と比較しての増減額及び対前年同期比増減率は記載しておりません。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、緊急事態宣言の再発出やまん延防止等重点措置の適用に伴って、経済活動が繰り返し制約を受ける状況が続きました。一時的に感染者が減少し、行動制限が徐々に緩和された時期もあり、景気の持ち直しの動きがあったものの、足元では、オミクロン株による感染急拡大に加え、ウクライナ情勢等に起因する世界的な経済活動の停滞が懸念されるなど、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

このような中、当社は生活必需品を安定的に皆様へお届けするという使命を果たすために、営業部門や仕入部門において、消費者の生活様式の変化や購買意識の変化を捉えて販売へつなげてまいりました。物流センターでは従業員の安全と健康を最優先とし、感染拡大防止策を講じて業務を継続、また各拠点においても時差出勤や在宅勤務などを取り入れ、コロナ禍における感染防止と事業継続を図り、物流経費を抑制するなど生産性向上に努め、新型コロナウイルス感染症拡大による予測不能な事態においても、着実に業績を伸ばし、社会に欠かせない事業会社として成長しております。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は271,315百万円となり、前連結会計年度末と比較して15,860百万円の増加となりました。

負債合計は175,143百万円となり、前連結会計年度末と比較して10,705百万円の増加となりました。

純資産の部は96,172百万円となり、前連結会計年度末と比較して5,154百万円の増加となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度における売上高は857,087百万円、営業利益は12,743百万円、経常利益は13,745百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は9,009百万円となりました。

 

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。

 

なお、セグメントの業績につきましては、当社グループは日用品・化粧品等の卸売業を主たる事業とする単一セグメントであるため記載を省略しておりますので、カテゴリー別及び業態別の売上実績につきまして記載しております。

 

 カテゴリー別売上実績

当連結会計年度におけるカテゴリー別売上実績は、次のとおりであります。

              (単位:百万円)

 

カテゴリー

主要商品

当連結会計年度

 

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比

 

 

 

ヘルス&ビューティー

(Health & Beauty)

化粧品、装粧品、入浴剤、身体洗浄剤、ヘアカラー、オーラルケア、医薬品、健康食品

263,715

ハウスホールド

衣料用洗剤類、台所・食器用洗剤類、住居用洗剤類

125,899

ホームケア

芳香・消臭剤、防虫剤、殺虫剤、薫香ローソク、乾電池/乾電池応用品、記録メディア、照明用品、電気応用品、OA用品、写真関連品

71,285

紙製品

ベビー用品、ベビー用おむつ、介護用品、大人用おむつ、生理用品、ティッシュペーパー、トイレットペーパー

170,646

家庭用品

台所消耗品、洗面用品、清掃用品、収納用品、季節品、保存用品、調理用品、卓上用品、行楽用品

59,929

ペット・その他

ペット用品、文具、玩具、カー用品

165,610

合計

857,087

(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、前年同期比は記載しておりません。

 

ヘルス&ビューティー(Health & Beauty)は、マスクやハンドソープなどの衛生関連品が前年特需の反動減となる一方、ヘアケアや化粧品は好調に推移しております。

洗剤等のハウスホールドは、外出自粛や在宅勤務へのシフトにより、多くの時間を自宅で過ごす新しい生活様式への変化から、衣料用や住居用の洗剤等の大容量品や高機能の高額商材が好調に推移しております。

 ホームケアについては、天候要因により、殺虫剤などの季節品が伸び悩み、不調となっております。

 ペットについては、グループ会社であるジャペル㈱の専門性の高い提案や、犬・猫の新規飼育頭数が増加していること、在宅時間が増えたことによるペット用おやつなどの伸長により、拡大しております。

 

 

業態別売上実績

 当連結会計年度における業態別売上実績は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

業態

当連結会計年度

 

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

前年同期比

 

 

ドラッグストア

429,991

ホームセンター

124,707

スーパーマーケット

(SM)

104,733

ディスカウントストア

63,116

GMS

42,741

その他

91,797

合計

857,087

(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、前年同期比は記載しておりません。

 

ドラッグストアやスーパーマーケット(SM)、ディスカウントストア、GMS、Eコマースやバラエティ業態が含まれるその他につきましては、社会全体の経済状況が厳しい中でも、着実な営業活動の積み上げにより、全業態においてインストアシェアを拡大しております。

ホームセンターにつきましては、前期のコロナ特需の反動の影響により不調となっております。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,533百万円減少し、19,354百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は6,545百万円(前年は14,071百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が13,260百万円、仕入債務の増加額4,822百万円等の収入に対し、売上債権の増加額5,889百万円等の支出があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、支出した資金は7,205百万円(前年は5,157百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入908百万円、有形固定資産の売却による収入905百万円等の収入に対して、有形固定資産の取得による支出4,880百万円、無形固定資産の取得による支出1,596百万円、投資有価証券の取得による支出1,301百万円等の支出があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、支出した資金は911百万円(前年は5,828百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増による収入3,892百万円、長期借入れによる収入4,700百万円等の収入に対して、長期借入金の返済による支出6,834百万円、配当金の支払による支出1,881百万円等の支出があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産の実績及び受注実績

 当社グループの事業内容は、日用品・化粧品等の卸売業であり、生産の実績は記載ができないため、当該記載を省略しております。

 また、受注実績は販売実績と近似しているため、下記の販売実績を参照ください。

 

b.販売実績

 当社グループの事業内容は、日用品・化粧品等の卸売業を主たる事業とする単一セグメントであります。

 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社ツルハホールディングス

110,843

13.3

110,929

12.9

(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは過去の実績値や分析値、状況等を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果とは見積り特有の不確実性があるため、異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

なお、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積もりの判断等に影響を及ぼすと考えております。

 

a.固定資産の減損

固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しています。資産計上した建物や構築物等について、事業環境の悪化により、減損会計におけるグルーピング単位で当初想定した投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、固定資産の減損処理を実施する可能性があります。

b.繰延税金資産

繰延税金資産は、毎期、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込み等を勘案し、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収の実現性が低いと判断した場合には適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。

c.貸倒引当金

当社は売掛金等債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。なお、取引先の財政状態が予測を大幅に超えて悪化し、さらにその支払能力が著しく低下した場合には追加引当処理が必要となる可能性があります。

d.投資有価証券

当社が保有する市場価格のない投資有価証券については、原価法を採用しその評価は1株当たり純資産と取得価額とを比較して、1株当たり純資産が著しく低下した場合に減損処理の要否を検討することとしております。このため将来において投資先の業績動向が著しく低下した場合、投資有価証券の減損処理が必要となる可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

2023年3月期を最終年度とする中期経営計画については、2022年3月期において、売上高および経常利益の目標を達成していることから、目標数値を売上高8,700億円、営業利益133億円、経常利益140億円、ROE9%台に上方修正することといたしました。

私たちは、「長期経営ビジョン2030」に基づき売上高1兆円を通過点とし稼ぐ力を持ち、物流、IT、人材への積極的な投資により収益性、生産性向上を図り、早期にリターンを得る好循環の仕組みを構築し、ESGへ積極的に取組み持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

a.財政状態の分析

当連結会計年度末の資産合計は271,315百万円となり、前連結会計年度末と比較して15,860百万円の増加となりました。

資産の部では、流動資産が198,793百万円となり、前連結会計年度末と比較して14,092百万円の増加となりました。

これは主に受取手形及び売掛金が5,486百万円、商品が4,395百万円増加したことによるものであります。

固定資産は72,522百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,767百万円の増加となりました。

これは主に建物及び構築物が656百万円、建設仮勘定が1,573百万円、繰延税金資産が758百万円増加し、投資有価証券が808百万円減少したことによるものであります。

負債の部では、流動負債が144,281百万円となり、前連結会計年度末と比較して10,526百万円増加となりました。

これは主に、支払手形及び買掛金が4,581百万円、未払金が3,422百万円、短期借入金が1,016百万円増加したことによるものであります。

固定負債は30,861百万円となり、前連結会計年度末と比較して179百万円の増加となりました。

これは主に長期借入金が741百万円増加し、繰延税金負債が348百万円、固定負債のリース債務が278百万円減少したことによるものであります。

純資産の部は96,172百万円となり、前連結会計年度末と比較して5,154百万円の増加となりました。

これは主に利益剰余金が6,925百万円増加し、その他有価証券評価差額金が1,563百万円減少したことによるものであります。

このような結果、自己資本比率は35.4%となりました。

 

b.経営成績の分析

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、緊急事態宣言の再発出やまん延防止等重点措置の適用に伴って、経済活動が繰り返し制約を受ける状況が続きました。一時的に感染者が減少し、行動制限が徐々に緩和された時期もあり、景気の持ち直しの動きがあったものの、足元では、オミクロン株による感染急拡大に加え、ウクライナ情勢等に起因する世界的な経済活動の停滞が懸念されるなど、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

個人消費につきましては、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない不安、また、原材料や原油価格の上昇により、消費者の節約意識は高まる傾向が続いております。一方で外出自粛や在宅勤務へのシフトにより、多くの時間を自宅で過ごす新しい生活様式への変化から、衣料用や住居用の洗剤等の大容量品や高機能の高額商材やペット商材も好調に推移しており、消費者の生活意識・購買意識は大きく変化してきております。

このような経営環境が大きく変化する中で、当社は生活必需品を安定的に皆様へお届けするという使命を果たすために、営業部門や仕入部門において、消費者の生活様式の変化や購買意識の変化を捉えて販売へつなげてまいりました。物流センターでは従業員の安全と健康を最優先とし、感染拡大防止策を講じて業務を継続、また各拠点においても時差出勤や在宅勤務などを取り入れ、コロナ禍における感染防止と事業継続を図り、物流経費を抑制するなど生産性向上に努めてまいりました。

業態別については、ドラッグストアやスーパーマーケット(SM)、ディスカウントストア、GMS、Eコマースやバラエティ業態が含まれるその他につきましては、社会全体の経済状況が厳しい中でも、着実な営業活動の積み上げにより、全業態においてインストアシェアを拡大しております。ホームセンターにつきましては、前期のコロナ特需の反動の影響により不調となっております。

カテゴリー別においては、ヘルス&ビューティー(Health & Beauty)は、マスクやハンドソープなどの衛生関連品が前年特需の反動減となる一方、ヘアケアや化粧品は好調に推移しております。洗剤等のハウスホールドは、外出自粛や在宅勤務へのシフトにより、多くの時間を自宅で過ごす新しい生活様式への変化から、衣料用や住居用の洗剤等の大容量品や高機能の高額商材が好調に推移しております。また、ペットについては、グループ会社であるジャペル㈱の専門性の高い提案や、犬・猫の新規飼育頭数が増加していること、在宅時間が増えたことによるペット用おやつなどの伸長により、拡大しております。ホームケアについては、天候要因により、殺虫剤などの季節品が伸び悩み、不調となっております。

販管費及び一般管理費については、業務改善および物流センターの人員配置見直し等による人員減少、物流効率化等により生産性向上を図り、経費を抑制することができました。

以上のような結果、当連結会計年度における売上高は857,087百万円、営業利益は12,743百万円、経常利益は13,745百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は9,009百万円となり、新型コロナウイルス感染症拡大による予測不能な事態においても、着実に業績を伸ばし、社会に欠かせない事業会社として成長しております。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入であります。投資を目的とした主な資金需要は、物流センターに関する設備投資によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金、金融機関からの短期借入及び債権流動化を基本としており、設備投資や長期運転資金は、金融機関からの長期借入及び社債の発行を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は33,155百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は19,354百万円となっております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。