第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

    当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1)会社の経営の基本方針

    当社グループは、「調和と誠実の精神をもって、社会のニーズに沿った新たな付加価値とより高い品質を日々創造、提供し、お客様をはじめとする社会の信頼に応え、社業の発展を期するとともに、バンドーグループの従業員たることに誇りを持ち、社会に貢献することを期する」ことを経営理念としております。
 この理念のもとに、当社グループは、ゴム・プラスチック製品メーカーのパイオニアとして、お客様のニーズに応えるべく、新技術や新製品を開発し、これらを社会に提供することにより、当社グループの企業価値を高め、お客様をはじめとして、株主、取引先、従業員および社会の期待に応えるとともに、企業倫理を遵守し、環境保全に配慮した事業経営をすすめることにより、企業としての社会的責任を全うしてまいりたいと考えております。

 

 (2)目標とする経営指標

    当社グループは、2023年度から2026年度までを中長期経営計画“Creating New Value for the Future“の第1ステージ(CV-1)と位置づけ、次のとおり経営目標を設定し、全社一丸となって、この目標の達成を目指してまいります。

 

  売上収益(連結)……………120,000百万円

  コア営業利益(連結)………12,000百万円

  ROE(連結) …………………12.0%

  ※コア営業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

 (3)経営環境および会社の優先的に対処すべき課題(CV-1の基本戦略)

    今後の見通しにつきましては、根強いインフレによる需要低迷や地政学的緊張の高まりなど、世界経済にとって不確実性の高い状況が継続することが予想されます。当社グループの主要な市場である自動車分野におきましては、電動化のさらなる進展が見込まれており、持続的成長を図るためには事業構造改革が不可欠となっています。このような認識のもと、当社グループは、中長期経営計画“Creating New Value for the Future”の3つの指針に沿って、経営目標の達成を目指してまいります。


   指針1.価値創造

    既存事業と新規事業の拡大をグローバルで推進し、グループ内外との連携にスピード感をもって取り組み、持続的成長につながる事業ポートフォリオを目指してまいります。

    具体的には、新規事業においては、電子資材事業、医療機器・ヘルスケア機器事業を新たな事業の柱とすべく取り組んでまいります。このうち、電子資材事業においては、精密研磨材「TOPX®(トップエックス)」、光学用透明粘着剤シート「Free Crystal®(フリークリスタル)」、高熱伝導シート「HEATEX®(ヒートエクス)」、低温焼成型金属ナノ粒子製品「FlowMetal®(フローメタル)」などで具体的な引き合いが増加しており、さらなる事業拡大に向けて活動を継続してまいります。医療機器・ヘルスケア機器事業においては、呼吸器領域初の医療機器「ResMo®(レスモ)」や嚥下運動モニタ「B4S™(ビーフォーエス)」、抜去動作検知システム「抜去アラート®」など、伸縮性ひずみセンサ「C-STRETCH®(シーストレッチ)」を活用した製品の拡販活動をさらに推進してまいります。また、前連結会計年度に販売開始した当社グループの有する基盤技術と産学連携の成果である吸収性骨再生用材料「e=Bone®(イーボーン)」についても、拡販活動を継続し、事業化を推進してまいります。また、これらの領域以外にも当社独自の撥水技術を活用したコンクリート型枠用撥水・透水シート「ウィルティア® シート」の開発のような新規領域の探索も併せて実施してまいります。
 また、既存事業においては、成長領域での深化、キャッシュ創出力の最大化を図ってまいります。自動車部品事業においては、電動化対応製品、環境規制対応製品の拡充やグローバルアフターマーケットへの拡販、パーソナルモビリティ市場への事業拡大を図ってまいります。産業資材事業においては、顧客ニーズに沿った新製品の投入により、農機用ベルト、軽搬送用ベルトおよびシンクロベルトの重点市場での拡販や成長市場への参入とシェア拡大を図ってまいります。高機能エラストマー製品事業においては、ウレタンベルトの成長市場への拡販とともに、環境対応や意匠性などに優れるフイルム製品の拡販により、事業の拡大を図ってまいります。

 

 

   指針2.スマートものづくり創造

    今後は少子高齢化による労働力人口の減少をはじめとする様々な環境変化が見込まれます。それらを踏まえ、これまで築き上げてきた現場力と最新のデジタル技術を組み合わせることにより、ものづくりの技術と体制を進化させ、収益力の向上を進めてまいります。
 具体的には、連結売上原価率70%未満の定着を図るため、主要製品の製造ラインについて、生産性・採算を重視した改善活動とそれを支える現場人材の強化を通じて、高い品質と併せて稼ぐ力のさらなる向上を図ってまいります。また、最新デジタル技術を活用したスマート製法の開発とそれを支える人的資本への投資を推進するとともに、従業員が安心して働ける環境づくりと地球に優しいものづくりに取り組んでまいります。
 

   指針3.未来に向けた組織能力の進化

    当社グループを取り巻く環境がグローバルで劇的に変化していくなか、事業ポートフォリオの継続的な転換を含め、環境変化にしなやかに対応していく必要があることから、組織能力を進化させてまいります。
 具体的には、戦略課題について事業や国・地域の垣根を越えて解決する体制の確立や風土の醸成を図ってまいります。また、従業員にとって働きがいのある魅力的な組織を目指すため、エンゲージメントの状況や内在する問題を把握したうえ、多様な一人ひとりが個性、能力を発揮し、自律していきいきと働くことにより、個人と組織が互いの進化に寄与し合える環境を目指してまいります。さらに、脱炭素社会に貢献する製品や省エネを実現する製品の開発などを推進してまいります。
 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

  (1)気候変動

    気候変動は、自然環境や生態系のみならず、経済・社会にも甚大な影響を与える世界的な課題です。当社グループは、気候変動への対応を重要課題の1つとして認識し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の情報開示の枠組みを活用し、リスクと機会の抽出、評価を行い、サステナブルでレジリエントな事業展開をめざしています。

 

   ①ガバナンス

    当社グループでは、気候変動に係る重要事項について、執行役員で構成される「経営課題審議会」で審議しております。また、1年に1度開催される「サステナビリティ委員会」において、「経営課題審議会」で審議された気候変動課題への対応方針等を共有し、気候変動課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行っています。

    取締役会は、「サステナビリティ委員会」で討議・決議された内容の報告を受け、当社グループの気候変動課題への対応方針および実行計画について討議・監督を行っています。

 

    取締役社長は、「経営課題審議会」の議長であると同時に「リスク管理委員会」、「サステナビリティ委員会」の委員長を務め、当社グループの気候変動課題に係る経営判断の責任を負っています。

 

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   ②戦略

    気候変動関連の1.5℃シナリオおよび4℃シナリオにおける事業リスクと機会のシナリオ分析を実施しました。当社グループの事業においては、気候変動対策として進む自動車のEV化にともなう新車向け補機駆動用伝動ベルトの売上減少を最大のリスクと位置付けています。当該リスクに対応するため、当社グループの強みを深掘りし、その強みを軸とした新たな価値を創造し提供することによって、新事業・現事業の進化に取り組みます。

    新事業においては、「医療機器・ヘルスケア機器」と「電子資材」に注力し、新たな事業基盤を確立する取り組みを進めています。そのなかで、「医療機器・ヘルスケア機器」では、2019年に株式会社Aimedic MMTの株式を取得することで、当社が独自開発した製品を活用した医療機器を同社から販売するとともに、当社においてもヘルスケア機器の販売を開始しています。「電子資材」では、当社のコア技術を活用した製品を開発し、販売しています。現事業においては、2030年頃まで需要が続く見込みの内燃機関を使用した自動車補修市場向け補機駆動用伝動ベルトのシェアを拡大するとともに、EV向け製品を開発・提供することで、事業成長を図ります。

    また、気候変動対応に貢献する製品開発にも積極的に取り組み、当社グループのネットワークを通じて、幅広い業界に提供します。

    当社グループでは、事業活動にともなうCO2排出量を削減するため、2022年5月、2050年カーボンニュートラル実現を目指す目標を設定し、2023年度からスタートした中長期経営計画は、シナリオ分析の結果を経営戦略に組み込んで策定しました。

 

    シナリオの選定

    TCFDが推奨する分類に沿って、当社グループが直面する気候変動リスクをリストアップし、発生可能性の高い項目を評価対象として選定した上、国際エネルギー機関(IEA)と気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が提示する気温上昇1.5℃と4℃に相当するシナリオおよび社内外の情報に基づき、「リスクの最小化が求められる課題」と「リスクを機会に変えられる課題」に区分して、財務影響度を「大」「中」「小」の3段階で評価し、それぞれの項目で重点施策を洗い出しました。

 

    使用シナリオ

 1.5℃:IEA World Energy Outlook(NZE、SDS)、Global EV Outlook(NZE)、IPCC(SSP2.6、SSP1.9)等

 4℃:IPCC(SSP8.5)等

 

    ■評価の範囲と期間

     シナリオ分析にあたって、次のとおり範囲と期間を設定して評価を行いました。低炭素社会への移行リスクと機会については規制の影響などを受ける1.5℃シナリオ(2030年)、また気候変動による物理リスクについては、気温上昇の影響が大きくなる4℃シナリオ(2050年)で分析を行いました。2022年は全事業、バンドー化学と国内グループの生産拠点を対象に、2023年は海外グループの生産拠点を対象に分析を行いました。

 

リスク・機会

対象期間

シナリオ

範囲

リスク(移行)

~2030年

1.5℃

全事業

リスク(物理)

~2050年

4℃

バンドー化学、国内グループ、海外グループ(いずれも生産拠点)

機会

~2030年

1.5℃

全事業

 

    ■シナリオ分析に基づく評価結果

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影響度:大 売上3%以上、中 売上0.5%以上~3%未満、小 売上0.5%未満

影響時期:短期 ~2026年 中期 ~2030年 長期 ~2050年

 

 

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   ③リスク管理

    当社グループは、リスクを「企業存続と事業目標の達成を阻害する事象が発生する可能性」と定義しています。事業経営に重大な影響を与える重要リスクについては、「リスク管理委員会」でその発生可能性や影響度を分析・評価して特定し、対応について討議・決定しています。特に気候変動に係る課題は重要リスクと位置づけ、実行計画を策定し、「サステナビリティ委員会」と連携して進捗のモニタリングを行い、取締役会に報告しています。

    気候変動に係る個別のリスクと機会については、網羅的に抽出した上で、当社グループにとっての影響度と発生可能性から、その重要性を評価しています。特に重要と評価されたリスクと機会については、当社グループの戦略に反映し、対応しています。

 

   ④指標と目標

    2022年5月当社グループは、2050年までに当社グループのCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル実現に向けて、2030年までに燃料使用および電力に由来するCO2排出量を2013年度比38%削減する目標(当社単体)を設定しました。目標達成に向け、新製法への転換や太陽光発電の積極的な導入をはじめとする活動実行計画を策定し、取り組みを推進しています。

    また、CO2排出量削減や省エネルギーに貢献する製品を環境対応製品として位置づけ、2026年度上市新製品の50%以上とすることを目標に掲げ、進捗を確認しています。

  実績

指標

範囲

2022年度実績

目標

SCOPE1+2

総排出量削減率

バンドー化学

22.2%削減

2030年38%削減(2013年度比)

2050年カーボンニュートラル

上市新製品のうち

環境対応製品の比率

バンドー化学

15%

2026年度 50%以上

 

 

  (2)人的資本・多様性

   ①人材育成の方針

    「専門性と創造性と主体性を持った人材の育成」を目指す姿として、(1)自己啓発の促進と働きがいの向上 (2)業務を通しての育成と多様性の確保(3)資質を活かした育成と一体感の醸成 の3つを人材育成の基本方針としています。

 

   ②社内環境整備方針

    上司と部下の対話と支援をベースとした働きがい改革を行い、人材を惹きつけられる魅力的な組織を目指して、諸施策の整備を進めます。

 

   ③人材育成・社内環境整備の考え方及び主な取り組み

    新中長期経営計画における事業ポートフォリオの転換に向けて、新規事業の進化とコア事業の深化を加速させるために継続的なイノベーションの実現が不可欠と認識しています。そのためには特に多様性の確保が重要であり、また多様な個が活躍し、組織として力を発揮するためには、一人ひとりが働きがいを持っていきいきと働くことができる環境づくりが大切であるとの認識から、2023年度からはエンゲージメントの向上を目標に掲げて人材関連施策を立案・推進しております。

 

   (ⅰ)研修と教育

      当社は、従業員一人ひとりが能力を高め、仕事に意欲的に取り組み、チームワークに徹することを期待しています。また社会の一員として心の豊かな人・心にゆとりのある人・社会に役立つ人を育成するために、教育制度の充実に力を入れています。教育体系は階層別教育と機能別教育の2つに分け、階層別教育では部門を横断し階層ごとの役割認識や対人力の向上を目指し、機能別教育は職務遂行上必要な専門知識の習得を目的として実施しています。

従業員(正社員)一人たりの年間平均研修時間および受講人数(2023年度)

研修時間:30.6時間  受講人数:625名

 

   (ⅱ)従業員エンゲージメントの向上

      企業の持続的成長には、多様な人材が個々の強みや能力をいかんなく発揮し、活力ある組織であることが大前提であるという認識のもと、雇用形態のあり方、賃金制度や評価制度、個別待遇など様々な切り口から総合的な処遇改善に努めるとともに、多様な一人ひとりが働きがいを持っていきいきと働くことができる組織風土の構築に尽力しています。

      従業員エンゲージメントを測定するために、2023年度から全従業員を対象としたエンゲージメントサーベイを実施しており、このエンゲージメントサーベイスコアをKPIとし、2026年度までに70.0点以上を達成することを目標として、既に職場ごとに組織改善の取り組みを進めています。また、マネジャーやリーダーの行動変容と対話を促すための新しい取り組みとして、今期360度フィードバックの導入を計画しております。

項目

定量目標(単体)

実績(2023年度)(単体)

エンゲージメントサーベイ

スコア

70.0以上

2026年度

65.0

 

 

   (ⅲ)ワークライフバランスの支援・向上

      一人ひとりがやりがいを感じながら働きやすい環境を整えるため、フレックスタイム制、年次有給休暇の時間単位取得等の制度を導入しております。2019年10月には、従業員の子育て支援を積極的に推進している子育てサポート企業として「くるみん認定」を取得しました。さらに、これまで育児・介護等に携わる一部の従業員を対象としていた在宅勤務制度の対象範囲を2021年4月から全従業員に拡大しました。

 

   (ⅳ)多様な人材の活躍推進

      多様な人材の能力を結集し、新たな価値を創造し続けるために、多様性を活かす組織・風土づくり、公正な雇用機会と評価、ワークライフバランスの推進、自律的な人材・管理者の育成等に取り組んでいます。数値目標意識した採用活動・雇用のほか、教育訓練の対象者の選定や、昇格・任用の場面では、性別や年齢、国籍等にかかわらず、能力や専門性、識見・人格等を軸として評価・運用しています。

 

項目

定量目標(単体)

実績(2023年度)(単体)

大卒(高専・短大・院卒含む)の

新規採用者に占める女性比率

20以上

32.3

外国籍社員の採用

1以上

4

障がい者雇用率

2.30以上

2.37

 

   (ⅴ)健康経営への取り組み

      2017年に健康担当役員を任命し、「バンドーグループ健康宣言」を制定して以降、同宣言の実現に向け、各事業所における「健康いきいき職場づくりチーム」を結成し、従業員が自ら策定する「健康ビジョン」の実現をサポートするなど、いきいきと働きやすい職場づくりを推進しています。「健康いきいき職場づくりチーム」では従業員の声を具現化し、食堂のリニューアルや服装の自由化など、各事業所の特色を活かした活動を行ってきました。

    〈バンドーグループ健康宣言〉

 

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    〈健康経営推進体制〉

 

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    このように会社と従業員が“がっちり”一体となった取り組みが評価され、2018年以降、健康経営銘柄に4度、健康経営優良法人(ホワイト500)に2度選定されました。また、2023年度からは、健康投資から施策の効果までのつながりを明らかにした「健康経営戦略マップ」を策定し、運用しています。今後も従業員一人ひとりの心身の健康を基盤とした組織づくりを推進していきます。

 

    〈健康経営戦略マップ〉

 

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(*)基本的に「健康投資」と「健康投資施策の取組状況に関する指標」は1対1で対応する。しかし、中には複数の「健康投資施策の取組状況に関する指標」に対応する「健康投資」も存在するため、そのような「健康投資」を「様々な効果に関連する健康投資」とする。

 

    〈健康経営戦略マップに掲げる主要指標の実績〉

 

項目

定量目標

(単体)

実績(単体)

2022年度

2023年度

エンゲージメントサーベイ

スコア(再掲)

70.0点以上

※2026年度

65.0点

プレゼンティーズム

35.0以下

2026年度

36.3%

35.7

アブセンティーズム

0.40以下

0.81%

0.64

 

    ※指標についての注釈

     プレゼンティーズム:WHO-HPQを軸に、ストレスチェック結果と掛け合わせて算出。(外部業者指標)

     アブセンティーズム:何らかの疾病により、7日以上休業となった従業員の休業日数から算出(休業日数率)

 

3【事業等のリスク】

    有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、次のようなものがあります。

    なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1)海外取引拡大に伴うリスク

    現在、相当程度の外貨建金銭債権について為替予約等のリスクヘッジを行っており、今後とも適切なリスクヘッジ対策を実施してまいりますが、為替変動が業績に影響を与える可能性があります。
 また、当社グループは、海外の生産、販売体制の強化を進めておりますが、各地に係る経済状況等の変化は、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 (2)リコール発生に伴うリスク

    当社は、部品メーカーであり、自動車メーカー、OA機器メーカーおよび消費生活用製品メーカー等に当社の製品を納入しております。
 また、当社の子会社および持分法適用会社は、主としてこれら製品の製造、加工、販売を行っております。当社グループにおきましては、製品の品質を、現在の事業を維持、発展させるためのもっとも重要なものの1つであると考え、各種の施策、対策を実施し、製品の品質確保に最大限の注力を行っております。しかしながら、これらの製品(部品)を組み込んだ自動車等の不具合の原因が当社グループの供給した製品にある場合、リコール等の処置がなされる場合が考えられます。
 このような事態が発生した場合、契約上も、法律上もリコール等の処置にかかわる費用を負担しなければならない場合が考えられます。この場合、業績に影響を与える可能性があります。

 

 (3)原材料の市況変動および調達に伴うリスク

    当社グループでは、随時市況価格および需給状況を注視しながら取引業者との納期交渉や価格交渉にあたっておりますが、原油価格の上昇により原材料価格が上昇する可能性があります。需給の安定化のために代替材料の検討を進め、原材料の上昇に対しては製品価格の是正や値上げおよび総原価の低減の取り組みを強化しておりますが、需給の滞りや想定以上に材料、燃料等の値上げが続く場合、業績に影響を与える可能性があります。

 

 (4)自然災害や感染症等の発生に伴うリスク

    東海地震、東南海・南海地震や台風等の自然災害の発生または感染症等の拡大により、事業活動が大きく影響を受ける可能性があります。当社グループは、生産拠点間の相互補完による製品供給体制の確立をはじめとして、事業の継続や早期復旧を図るために必要な対策・手順について計画を立て、影響を最小限に止めるための体制の整備に取り組んでおります。しかしながら、自然災害や感染症等のすべてのリスクを回避することは困難で、当社グループの想定を超える規模での発生も考えられます。このような場合、事業活動が縮小されるなど、業績に影響を与える可能性があります。

 

 (5)保有資産の価値変動に伴うリスク

    当社グループは、様々な有形固定資産や無形資産を保有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待通りのキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合があり、減損処理した場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1)経営成績等の状況の概要

    当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

  ①経営成績の状況

 

 

2023年3月期

(百万円)

2024年3月期

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上収益

103,608

108,278

4,670

4.5

 

自動車部品事業

49,198

53,282

4,083

8.3

 

産業資材事業

35,352

36,672

1,320

3.7

 

高機能エラストマー製品事業

14,787

13,769

△1,018

△6.9

 

その他

5,266

5,352

85

1.6

 

調整額

△997

△798

199

コア営業利益(セグメント利益)(△は損失)

6,734

7,584

850

12.6

 

自動車部品事業

3,289

4,111

822

25.0

 

産業資材事業

3,218

3,492

274

8.5

 

高機能エラストマー製品事業

359

△151

△511

 

その他

59

73

13

23.3

 

調整額

△192

57

250

営業利益

8,259

7,772

△486

△5.9

親会社の所有者に帰属する当期利益

5,722

6,180

457

8.0

 (注)コア営業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

    当連結会計年度における世界経済は、設備投資の増加や個人消費の回復がみられた国や地域はあるものの、中国においては景気減速が継続したほか、長期化するウクライナ情勢や中東における地政学的緊張の高まり、世界的な金融引き締めによる景気減速懸念などが景気の下押し要因となるなかで推移いたしました。

    当社グループの主要な市場である自動車分野におきましては、半導体不足に伴う供給制約の緩和が継続したことなどもあり、各国の自動車生産台数が総じて前年度を上回る状況で推移いたしました。

    このような状況のなか、当社グループは、中長期経営計画“Creating New Value for the Future”の第1ステージの1年目として、「価値創造」、「スマートものづくり創造」、「未来に向けた組織能力の進化」の3つの指針を掲げ、「人と社会を支え、今と未来をつなぐBEST PARTNER」であり続けるために活動してまいりました。

    「価値創造」では、「共創」を軸に新規事業の進化とコア事業の深化を加速しました。新規事業の進化では、独自開発した伸縮性ひずみセンサを用いたヘルスケア機器である抜去動作検知システムの販売を開始しました。コア事業の深化では、軽搬送用ベルト「サンライン®ベルト」において、低騒音性に優れた物流搬送用ベルトを開発したほか、変速ベルトにおいても、セルロースナノファイバー(CNF)複合化ゴムを適用した高負荷条件で使用可能なダブルコグベルトを開発しました。また、「スマートものづくり創造」では現場力とデジタル化の組み合わせによる自律化ラインの確立や省人化などを推進し、「未来に向けた組織能力の進化」では従業員のエンゲージメント向上のための取り組みやCO2削減目標に向けた施策の実行など、社会・競争環境の変化への対応を図ってまいりました。

 

    これらの結果、当連結会計年度は、売上収益は108,278百万円(前年同期比4.5%増)、コア営業利益は7,584百万円(前年同期比12.6%増)、高機能エラストマー製品事業に係る減損損失を計上したことにより、営業利益は7,772百万円(前年同期比5.9%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は6,180百万円(前年同期比8.0%増)となりました。

 

  <<セグメント別の状況>>

   事業(セグメント)別の状況は、次のとおりであります。

 

  [自動車部品事業]

    国内においては、自動車生産台数が回復基調で推移しましたが、当社製品採用車種の減少により補機駆動用伝動ベルトおよび補機駆動用伝動システム製品(オートテンショナなど)の販売が減少いたしました。

    海外においては、中国で景気減速の影響は受けつつも、自動車生産台数は前年度を上回る状況で推移したことで、補機駆動用伝動ベルトなどの販売が増加し、欧米においても補修市場向け製品の販売が増加いたしました。また、アジア地域においても、四輪・二輪車メーカーの生産は総じて回復傾向にあり、補機駆動用伝動ベルト、補機駆動用伝動システム製品およびスクーター用変速ベルトなどの販売が増加いたしました。

 

    これらの結果、当セグメントの売上収益は53,282百万円(前年同期比8.3%増)、セグメント利益は4,111百万円(前年同期比25.0%増)となりました。

 

  [産業資材事業]

    一般産業用伝動ベルトにつきましては、国内においては、民間設備投資の減少により産業機械用伝動ベルトの販売が減少いたしました。海外においては、欧米において産業機械用伝動ベルトの販売が減少し、中国においては農業機械用伝動ベルトの販売が減少いたしました。

    運搬ベルトにつきましては、国内においてコンベヤベルトおよび樹脂コンベヤベルト(サンライン®ベルト)の販売が増加いたしました。

 

    これらの結果、当セグメントの売上収益は36,672百万円(前年同期比3.7%増)、セグメント利益は3,492百万円(前年同期比8.5%増)となりました。

 

  [高機能エラストマー製品事業]

    機能フイルム製品につきましては、工業用フイルムの販売が減少いたしました。

    精密機能部品につきましては、当社製品採用機種の減少により高機能ローラおよびブレードなどの販売が減少いたしました。

 

    これらの結果、当セグメントの売上収益は13,769百万円(前年同期比6.9%減)、原材料調達価格の高騰の影響もあり、セグメント損失は151百万円(前年同期はセグメント利益359百万円)となりました。

 

  [その他事業]

    その他の事業といたしましては、ロボット関連デバイス事業、電子資材事業および医療機器事業などを行っており、売上収益は5,352百万円(前年同期比1.6%増)、セグメント利益は73百万円(前年同期比23.3%増)となりました。

 

    上記の各セグメント別売上収益およびセグメント利益または損失は、セグメント間取引消去前の金額で記載しております。

 

 

  ②当期の財政状態の概況

    当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ6,650百万円増加し、125,622百万円となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権およびその他の金融資産が増加したことなどによるものです。

 負債は、前連結会計年度末に比べ847百万円減少し、40,111百万円となりました。これは主に、営業債務及びその他の債務が増加した一方、社債及び借入金が減少したことなどによるものです。

 資本は、前連結会計年度末に比べ7,497百万円増加し、85,511百万円となりました。これは主に、その他の資本

の構成要素が増加したことなどによるものです。

 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の65.3%から67.8%となりました。

 

  ③当期のキャッシュ・フローの概況

    当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,164百万円増加し、17,935百万円となりました。各連結キャッシュ・フローの状況とその主な増減要因は以下のとおりです。

   (営業活動によるキャッシュ・フロー)

     営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ6,348百万円収入が増加し、14,060百万円の収入超過となりました。これは主に、棚卸資産などの運転資本の増加額および法人所得税の支払額が減少したことに加え、法人所得税の還付額が増加したことによるものです。

   (投資活動によるキャッシュ・フロー)

     投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ755百万円支出が増加し、4,736百万円の支出超過となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出の増加および資本性金融商品の売却による収入の減少によるものです。

   (財務活動によるキャッシュ・フロー)

     財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ2,530百万円支出が増加し、8,960百万円の支出超過となりました。これは主に、有利子負債の削減額および株主総還元額が増加したことによるものです。

 

  ④生産、受注および販売の実績

   a.生産実績

     当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

自動車部品事業

48,267

113.3

産業資材事業

28,027

122.0

高機能エラストマー製品事業

11,434

95.2

報告セグメント計

87,729

113.1

その他

1,967

72.2

合計

89,696

111.7

 (注)金額は、販売価格によっております。

 

   b.受注実績

     当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

自動車部品事業

54,480

112.8

3,342

156.1

産業資材事業

35,634

103.7

6,645

86.5

高機能エラストマー製品事業

13,648

97.1

1,496

92.6

報告セグメント計

103,763

107.3

11,485

100.4

その他

4,562

104.5

102

100.3

合計

108,325

107.2

11,587

100.4

 

   c.販売実績

     当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

自動車部品事業

53,279

108.3

産業資材事業

36,668

103.7

高機能エラストマー製品事業

13,768

94.0

報告セグメント計

103,716

104.6

その他

4,562

103.4

合計

108,278

104.5

 (注)主な相手先別の販売実績で、総販売実績に対する割合が10%を超えるものはありません。

 

  なお、「生産実績」「受注実績」および「販売実績」は、セグメント間取引消去後の金額を記載しております。

 

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

    経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

  ①重要な会計方針および見積り

   当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、過去の実績および決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。

   なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等
(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 および 4.重要な会計上の見積りおよび見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

 

  ②当連結会計年度の経営成績等の状況

   当社グループの当連結会計年度の経営成績は、次のとおりであります。

   なお、セグメントごとの経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

   a.売上収益

     売上収益は108,278百万円となり、前連結会計年度に比べて4.5%増となりました。これは主に、自動車部品事業および産業資材事業が増収となったことによるものです。

   b.コア営業利益

     コア営業利益は7,584百万円となり、前連結会計年度に比べて12.6%増となりました。これは売上収益が増収となったことなどによるものです。

   c.営業利益

     営業利益は7,772百万円となり、前連結会計年度に比べて5.9%減となりました。これは当連結会計年度に高機能エラストマー事業に係る減損損失を計上したことなどによるものであります。

   d.親会社の所有者に帰属する当期利益

     親会社の所有者に帰属する当期利益は6,180百万円となり、前連結会計年度に比べて8.0%増となりました。これは、営業利益が減益となった一方で、為替相場が円安方向で推移したことに伴う為替差益の増加によるものです。

 

  ③経営成績に重要な影響を与える要因

   当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

  ④キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

   当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③当期のキャッシュ・フローの概況」に記載のとおりであります。

 

  ⑤資本の財源および資金の流動性

   当連結会計年度末においては、現金及び現金同等物は17,935百万円(前連結会計年度末比6.9%増)、有利子負債(社債及び借入金)は7,587百万円(前連結会計年度末比34.4%減)となりました。

   これは主に、営業活動によるキャッシュ・フローが前連結会計年度と比べ増加し、社債及び借入金の返済を行ったことによるものです。

 

  ⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等

   当連結会計年度は、中長期経営計画“Creating New Value for the Future”の第1ステージの1年目であり、その達成・進捗状況は、次のとおりであります。

指標

当連結会計年度(実績)

2026年度(目標)

目標との乖離

売上収益

108,278百万円

120,000百万円

11,721百万円減

(9.8%減)

コア営業利益

7,584百万円

12,000百万円

4,415百万円減

(36.8%減)

ROE

7.6%

12.0%

4.4ポイント減

 

5【経営上の重要な契約等】

 (1)当社の技術導入契約

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

Litens Automotive

Partnership

カナダ

オートテンショナ

特許およびノウハウの実施許諾

1990年4月1日から2025年3月31日まで

 (注)上記については、ロイヤルティとして純売上収益の一定率を支払っております。

 

 (2)当社の技術供与契約

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

Sanwu Bando Inc.

台湾

伝動ベルト製品など

特許およびノウハウの実施許諾

2017年4月1日から3年間 その後3か年毎に更新

Philippine Belt

Manufacturing Corp.

フィリピン

伝動ベルト製品など

特許およびノウハウの実施許諾

1978年10月1日から5年間 その後5か年毎に更新

Kee Fatt Industries

Sdn. Bhd.

マレーシア

伝動ベルト製品など

特許およびノウハウの実施許諾

1978年12月11日から5年間 その後5か年毎に更新

PT. Bando Indonesia

インドネシア

伝動ベルト製品・運搬ベルトなど

特許およびノウハウの実施許諾

1988年1月1日から5年間 その後4か年毎に更新

 (注)上記については、ロイヤルティとして売上収益の一定率を受け取っております。

 

    なお、上記の他、当社は次の連結子会社との間でベルト、工業用品等に関わる特許、またはノウハウの実施許諾に関わる契約を締結しており、ロイヤルティとして売上収益に対する一定率の支払を受けております。

・Bando USA, Inc.

・Bando Korea Co., Ltd.

・Bando Belt (Tianjin) Co., Ltd.

・Bando Manufacturing (Dongguan) Co., Ltd.

・Bando Siix Limited

・Bando Manufacturing (Vietnam) Company Limited

・Bando Manufacturing (Thailand) Ltd.

・Bando (India) Private Limited

・Bando Belt Manufacturing (Turkey), Inc.

 

 

6【研究開発活動】

   2023年度の当社グループは、中長期経営計画“Creating New Value for the Future”の第1ステージの1年目として、「価値創造」、「スマートものづくり創造」、「未来に向けた組織能力の進化」の3つの指針を掲げ、「人と社会を支え、今と未来をつなぐBEST PARTNER」であり続けるために活動してまいりました。

 

   指針1の「価値創造」では、「共創」を軸に前中長期経営計画で推進した新規事業の進化とコア事業の深化を加速させた両輪の取り組みによって、人の暮らしや地球環境にやさしい、社会課題を解決する製品やサービスを提供することで、新たな価値創造に当社グループ一丸となって取り組んでいます。

   この指針に基づき、研究開発は、新事業推進センター、ものづくりセンター、基盤技術研究所および伝動技術研究所(当連結会計年度末人員252名)を中心に取り組んでおり、当連結会計年度における全体の改良開発を含む開発・研究に4,196百万円(無形資産に計上された開発費は該当はありません)を投入いたしました。

   セグメント別の研究開発活動とその成果は次のとおりであります。なお、自動車部品事業および産業資材事業での研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、両事業部を合わせて記載しております。

 

  [自動車部品事業・産業資材事業]

    当事業では、基盤技術研究所・伝動技術研究所を中心として、伝動ベルトおよび伝動ベルトシステム製品、搬送ベルトおよび搬送周辺製品や農業・工業用ゴム製品、補修市場におけるサービタイゼーションの創出に関する研究開発に取り組んでおります。自動車部品事業においては、主力の補機駆動用ベルトにおいて革新製法を用いた新製品開発を推進しております。また、電動パワーステアリング(EPS)向けベルトなど、電動化市場への参入・拡販を狙った製品開発を進めております。産業資材事業においては、軽搬送用ベルト「サンライン®ベルト」の新たなラインナップとして、低収縮性に優れた食品搬送用ベルト「ミスターLキーパーTM」を2023年4月に、低騒音性に優れた物流搬送用ベルト「ミスターポーターズTM」を2023年5月に販売開始いたしました。

 

  [高機能エラストマー製品事業]

    当事業では、電子写真プロセス用のクリーニングブレード、現像ローラなどの高機能樹脂製品や装飾表示用フイルムなどの改良開発を行っております。新製品としては、タッチパネルディスプレイ製品の各部材の貼り合わせに用いられる超厚膜光学用透明粘着剤「Free Crystal®(フリークリスタル)」の開発を進めました。

 

  [その他事業]

    医療機器・ヘルスケア機器事業では、当社グループが有する基盤技術を活かし、産学連携で骨形成活性をコンセプトとした人工骨に関する共同研究を行い、吸収性骨再生用材料「e=Bone®(イーボーン)」を開発し、2023年4月に販売開始しました。また、当社が独自開発した伸縮性ひずみセンサ「C-STRETCH®(シーストレッチ)」を用いたヘルスケア機器である抜去動作検知システム「抜去アラート®」を2023年12月に販売開始しました。

    電子資材事業では、精密研磨材「TOPX®(トップエックス)」は、量産中のディスプレイ(ガラス基板)分野のシェア拡大を進めるとともに、ストレージ分野など新たな需要の開拓に積極的に取り組みました。既存熱伝導性フィラーを垂直配向した高い熱伝導率を有する放熱シート「HEATEX®(ヒートエクス)」は、発熱部品(CPU、LEDバックライト、パワーチップ)から発生する熱を効率的に冷却部材(ヒートシンク等)へ伝達するためのインターフェイスとして多くのお客様と評価を進めてまいりました。

 

    なお、改良開発を中心とした開発・研究として、自動車部品事業・産業資材事業に2,055百万円、高機能エラストマー製品事業に748百万円、その他事業に365百万円を投資した他、新規新製品の研究開発として1,027百万円(無形資産に計上された開発費は該当はありません)を投入しております。