文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、テクノロジーを駆使し、ペットの健康寿命を最大化していくことがペットのQOL向上につながるものと考えております。
当社グループは、外部環境の影響を受けやすい「ナショナルブランド主体の構造」から飼い主に商品を安定的に供給できる「D2Cブランド主体の構造」へ転換していくことで高利益体質を実現し、持続的な成長によってペットのQQL向上に貢献して参ります。
ナショナルブランドが主体であったものの、2020年4月にD2Cブランド「ベッツワン」シリーズを発売するなど、D2Cブランドの立ち上げに注力してまいりました。その結果、2024年3月期において、売上高に占めるD2Cブランドの構成比率は約14%まで伸長しました。
2025年3月期からの3年間は、D2Cブランドをより成長させていくためにD2Cブランドに経営資源を集中した「D2Cシフト」を中期成長戦略として掲げており、売上高に占めるD2Cブランドの構成比率を拡大することにより、利益率の改善を目指して参ります。
「D2Cシフト」の主な内容は以下の通りとなります。
①プロダクト戦略
D2Cブランドの利用者数を増やすために、お試しで利用できる少量パッケージの開発、未対応疾患に対する新規製品の開発、ドライフード製品以外の開発を進めることによって、D2Cブランドの品揃えをさらに拡充して参ります。
②チャネル戦略
オンラインでのD2Cブランドストアの新規出店、D2Cブランドのオフライン展開の拡張を行い、D2Cブランドのチャネル展開を強化して参ります。
③プロモーション戦略
ナショナルブランドからD2Cブランドへのスイッチを強化し、さらなる認知度向上を図るために広告販促投資を強化して参ります。
当社グループは、スローガンの実現を目指しながら、中長期の持続的な成長による企業価値の増大を目指しております。そのための重要な経営指標は、売上高、営業利益、営業利益率、D2Cブランド売上高としております。
当社グループを取り巻く経済環境は、資源価格上昇等による物価への影響はあるものの、個人消費は緩やかなペースで着実に増加しております。
ペット業界においては、一般社団法人ペットフード協会が2023年12月に発表した「2023年全国犬・猫飼育実態調査」によると、犬の飼育頭数は6,844千頭、猫は9,069千頭となっております。世帯別の飼育率は犬が昨年から0.5%減少の9.1%、猫が昨年と横ばいの8.6%となりました。また、平均寿命は犬が14.62歳、猫が15.79歳と引き続き高齢化傾向にあります。また、総務省が2024年2月に発表した「家計調査」によると、総世帯平均のペット関連年間支出額は22,274円(2015年は16,967円)に拡大しており、ペット関連支出が継続して増加しております。
ペット市場の規模については、株式会社矢野経済研究所が発刊した「2022年版ペットビジネスマーケティング総覧」によると、2022年度ペット関連総市場規模は小売金額ベースで前年度比2.1%増の1兆7,542億円で推移し、2023年度は前年度比2.5%増の1兆7,977億円と予想されております。この背景には、新型コロナウイルス感染症により、生活様式に変化が生じたことでペットと過ごす時間が増えたことによりペットは大事な家族の一員であるという飼い主の意識がより一層深まっていること、犬猫の食事療法食や動物用医薬品、サプリメントなどの犬猫のペットヘルスケア商品及びペットライフをサポートする医療サービスやペット保険等が普及拡大していること等があげられます。
以上から、犬の飼育頭数が減少傾向、猫の飼育頭数は増加傾向でありますが、「ペット関連支出の増加」及び「犬猫の平均寿命の伸長」により、ペット市場は今後も堅調に推移していくことが予想されます。
当社グループは、継続成長が期待される国内ペット市場において、ペットのQOL向上に貢献するペットヘルスケア商品の充実を図り、「ハッピーペットライフ・ハッピーワールド~ペットライフを幸せに・世の中を幸せに」の実現に向けて邁進して参ります。
当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① D2Cブランド製品の開発強化
当社グループが販売する犬猫の食事療法食や動物用医薬品等のペットヘルスケア商品の多くは、海外企業によるナショナルブランドが大きな市場シェアを有しており、当社グループの商品売上においても高い依存度となっております。これらの海外企業の経営方針の変更や原材料高騰等により、商品調達価格の値上げ、商品の廃盤欠品、当該ナショナルブランドのブランド力の毀損等の事態の発生により、飼い主の購入価格上昇の可能性や継続的な商品の供給が困難になる可能性があり、ペットライフのQOL向上に大きな支障を与える可能性があります。
そのため、これらの海外ナショナルブランド商品の依存度を下げ、D2Cブランド製品の売上構成比を向上していくことが犬猫の飼い主に対する安定的な商品供給と当社グループの収益性を高めていく上で重要な課題であると認識しております。
当社グループは今後、これら海外企業のナショナルブランドに対する競争力向上を図るため、高品質で付加価値の高い商品の開発、競争力ある価格の実現及び品揃えの拡充による商品ポートフォリオの確立によって、犬猫の飼い主に支持されるD2Cブランドの構築を行って参ります。
② 自社オンラインサイトの認知度向上
当社グループがペットヘルスケア商品を販売する自社オンラインサイトは、ペットが日常的に使用する物品を販売するチャネルであるため、飼い主における認知度が当社グループの業績に与える影響は大きく、今後の継続的な成長のためには、多くの飼い主から支持されるブランド価値を構築していくことが重要な課題であると認識しております。ペット市場は今後も拡大し、競争も激化することが予想されます。今後の継続的な事業拡大及び競合企業との差別化を図るためには、犬猫の飼い主に対する自社オンラインサイトのブランド確立及び認知度の向上が必要不可欠であると考えております。
当社グループは今後も引き続き、ネット広告等を利用した自社オンラインサイトの広告宣伝活動を通じ、犬猫の飼い主の認知度が高いサイトを目指して参ります。
③ DXプラットフォームの強化
当社グループの事業は、Eコマースでの展開を中心としており、事業運営に係るDXプラットフォームの重要性が極めて高いことから、当該プラットフォームを安定して稼働させることが重要な課題であると認識しております。このため、安定した事業運営を行うにあたっては、新たな機能やサービスの導入等の継続的なシステム開発、アクセス数の増加等を考慮したサーバー管理や負荷分散等の対応及びセキュリティの一層の強化等の安定的なシステム運用が求められております。当社グループでは今後、システムプラットフォーム開発及び安定運用のための人員確保、突発的なアクセス増加にも耐えられるようなサーバー設備の強化や社内エンジニアの教育・研修の実施等に努めて参ります。
④ 物流機能の強化
当社グループの事業であるペットヘルスケア商品販売のEコマースにおいては、今後も継続的な成長が見込めることから、その成長の実現にあたっては、注文件数の増大に対応した物流機能の強化が重要な課題であると認識しております。受注件数の増加に対応するため、当社グループが運営する自社物流センターでは、システムによる入出荷、在庫管理を行っております。しかしながら、突発的な受注増や複雑化する物流業務に対して今後も安定的な運用を維持していくためには、さらなる出荷能力の向上及び業務の効率化が不可欠となっております。そのため、当社グループでは、自社で開発したクラウド型の倉庫管理システムにより入出荷プロセスの最適化に努めること及び外部の物流業者に業務委託を行うことで、出荷能力の拡大及び業務の効率化に取り組んで参ります。
⑤ 人材の育成及び確保
今後の事業拡大及び収益基盤の確立のためには、当社グループ従業員の継続的な能力育成及び成長機会の提供と優秀な人材の確保が重要な課題であると認識しております。そのため、採用面においては、中途採用を中心に優秀な人材の確保に努めて参ります。また、人的基盤を強化するために、研修受講等による採用担当者のスキル向上など採用体制の強化、教育・育成・指導の実施、社員の職位・職務に応じた適切な研修制度の確立及び人事評価制度の高度化等を積極的に推進し、当社グループ従業員の教育・育成を進め、働き甲斐のある職場環境の整備を行って参ります。
⑥ コーポレート・ガバナンス機能の強化
当社グループは、成長段階にあり、業務運用の効率化やリスク管理のための内部管理体制のさらなる強化が重要な課題であると認識しております。このため、バックオフィス業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んで参ります。具体的には、コンプライアンスマニュアルの制定等コンプライアンスを徹底する体制の強化に加え、基幹業務システムの有効活用による業務の効率化、事業部門サイドと管理部門サイドのコミュニケーションの徹底、継続的な内部監査の実施による内部管理体制の強化、監査等委員監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実、定期的なコーポレート・ガバナンスに関する社内教育の実施などを引き続き行って参ります。
文中の将来に関する事項は、当社グループが本書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1) サステナビリティに関する当社の考え方
当社グループは、ペットヘルスケア事業を行っており、ペットを幸せにすることで世の中を幸せにしていきたいという願いを込めた「ハッピーペットライフ・ハッピーワールド~ペットライフを幸せに・世の中を幸せに」をスローガンとして掲げております。
当社グループにとってのサステナビリティとは、事業を通してペットが飼い主と少しでも長く元気に幸せな時間を過ごせることに寄与することであり、当社グループの持続的な成長は、ペット及び飼い主の幸せとともにあるものと考えております。
(2) 具体的な取り組み
コーポレート・ガバナンスに関する具体的な内容については、
ディスクロージャーに関しましては、株主、投資家の皆様に対し、透明性、公平性、継続性を基本に迅速な情報提供を行っております。金融商品取引法及び東京証券取引所の定める適時開示規則に準拠した情報の開示に努めるほか、当社の判断により当社を理解していただくために有用と思われる情報につきましても、タイムリーかつ積極的な情報開示に努めております。
当社は、当社に関する様々なリスクを特定・識別、分析、評価、対応するために、リスク・コンプライアンス管理委員会を設置しており、以下のプロセスに沿って、リスクマネジメントを行っております。
① リスクの特定・識別
事業環境、業務プロセス、法規制、システム、不正、自然災害等に関連するリスクを特定し識別します。識別したリスクについては、リスク・コンプライアンス管理委員会で協議するとともに、関連するリスクに変更がないか事業年度毎に見直しを行っております。
② リスク分析
識別したリスクを事業に与える重大性と発生確率の観点から整理しております。
③ リスク評価
リスク分析の結果に基づき、リスク項目ごとに重要度の評価を行い対応の要否を決定しております。
④ リスクへの対応
リスク評価の結果、対応が求められるリスクについては、対応計画を策定します。計画に沿った対応が行われているかについて、各部門でセルフチェックを行うとともに、内部監査の対象としており、結果がリスク・コンプライアンス管理委員会へ報告される仕組みとなっております。
・人材育成方針
当社グループではスローガン、ビジョン、ミッションを1人ひとりが体現できる組織を目指しています。
そのため、当社グループで働く従業員が大切にする行動理念、価値観を「10のコミットメント」として策定しており、人事評価、採用活動、日々の業務判断等においても、このコミットメントを大切にしています。
・社内環境の整備
多様性を尊重し、従業員一人ひとりが働きやすい環境を作って参ります。
性別や年齢などに関係なく様々な人材が活躍できるよう、在宅勤務、時短勤務、育児休業取得等を促進し、多様な人材がやりがいをもって働ける組織の構築を推進しております。
また、ペットヘルスケア企業として、ペットの飼育に関する補助も行っております。
当社グループでは、<人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略>において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社グループにおいては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みを行っております。
なお、本書提出日現在においては、当該指標についての目標は設定しておりません。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見し難いリスクも存在します。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、インターネット上におけるペットヘルスケア商品販売を行うEコマースを主体に事業を展開しております。当社グループの今後の成長を図る上でEコマースのさらなる発展が前提にあると考えております。
国内Eコマース市場は着実に成長を続けており、2022年の消費者向け国内Eコマース市場は22.7兆円(前年比9.9%増)(注)と報告されております。当社グループが属する物販系分野は、13.9兆円(前年比5.3%増)(注)と着実に市場規模が拡大しております。
当社としては、最新の情報を入手し、当該環境に対応した事業方針や戦略策定等の対策検討に努めますが、今後新たな法的規制の導入、技術革新の遅れなど、当社の予期せぬ要因によって、Eコマースの発展が阻害された場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 経済産業省「電子商取引に関する市場調査」(2023年8月公表)
当社グループが取扱うペットヘルスケア商品は、犬猫を対象とした商品となります。近年、犬の飼育頭数が減少傾向、猫の飼育頭数は増加傾向で推移しております。当社としては最新の情報を入手し、当該環境に対応した事業方針や戦略策定等の対策検討に努めますが、今後、動物愛護管理法による規制強化や社会環境の変化等により犬猫の飼育頭数に著しい減少が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業領域であるペットヘルスケア用品市場においては、競合他社が複数存在します。当社としては、UI/UXの最適化によるサブスクコマースの強化、自社オンラインサイトのブランド価値の向上及びD2Cブランド製品の強化に努め、特徴のあるサービスを提供することで競争優位性を有していると考えておりますが、競合他社との競争の激化による顧客の流出やコストの増加等が発生した場合には、新規顧客件数や既存顧客件数の減少のほか、販売価格の低下、広告宣伝費の増加等の理由により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「製造物責任法」、「特定商取引に関する法律(特商法)」、「不正競争防止法」、「消費者契約法」、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」、「商標法」等による法的規制を受けております。
当社グループでは、これらの法令等を遵守するための管理体制及び従業員教育を徹底し、コンプライアンス管理体制の整備に努めておりますが、これらの法令に違反する行為が行われた場合、法令等の改正又は新たな法令等の制定により法的規制が強化された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、薬機法の規定により、動物用医薬品を陳列、販売するには、「動物用医薬品販売業」の許可が必要となり、当社は神奈川県にて「動物用医薬品店舗販売業」の許可を得ております。もし何らかの理由によって許可が取消しを受けた場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおけるペットヘルスケア事業では、楽天グループ株式会社が運営する「楽天市場」、ヤフー株式会社が運営する「Yahoo!ショッピング」、アマゾンジャパン合同会社が運営する「Amazon.co.jp」及びKDDI株式会社が運営する「au PAY マーケット」といった大手オンラインモールに出店しており、各社の規約に従いサービスを提供しております。当社グループの売上全体に占める他社オンラインモールに出店した店舗の売上は約57%となっております(2024年3月期)。
当社グループにおいては、複数のオンラインモールへの出店や自社オンラインサイトの運営などにより、一つのオンラインモールに依存しない運営体制を構築しておりますが、今後、各オンラインモールを取り巻く環境の変化等により、オンラインモールの集客力が変動し、利用する顧客が減少することにより、当社グループの出店店舗の運営に支障が生じた場合、また、今後のオンラインモール運営者の経営方針の変更等により、手数料率の引き上げに伴うオンラインモールへの出店に関する費用が増加した場合、オンラインモール運営者との関係悪化や規約違反による出店契約解消、オンラインモールにおけるシステムトラブル、モール閉鎖等により、当社グループが出店する店舗の運営が継続不能となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの全仕入金額に占める割合が10%以上となる主要仕入先の数及び仕入金額の割合の合計は、2社にて約75%となっております(2024年3月期)。当社グループでは、新たな仕入先の開拓に努めながらも、これら主要仕入先との取引も引き続き拡大していく方針であります。
しかしながら、何らかの事情により、新たな仕入先の開拓がうまく行かず、主要仕入先との取引条件が大きく悪化した場合又は取引額が大幅に減少した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの商品売上は、特定の製造業者のナショナルブランド商品が売上の大部分を占めております。当社グループは、D2Cブランド製品の開発に努めながらも、当該ナショナルブランド商品の適切な在庫量の確保を行い、顧客に安定供給できるように取り組んでいく方針であります。
しかしながら、当該製造業者の事情や方針変更等により、当該商品の長期欠品や大幅な値上げ等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、神奈川県厚木市に自社運営による物流センターを構え、取扱商品の検品・保管・仕分・梱包といった物流関連業務を行っております。当社グループは、商品出荷件数の増加に応じて、業務フローを最適化し安定した出荷ができる環境の整備に努めるとともに、他社の物流拠点も活用を行っていく方針であります。しかしながら、これらを適時に行えず物流関連業務に滞りが発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、お客様への商品配送の大部分を特定の配送業者に委託しております。当社グループとしては同社との良好な取引関係の維持に努めるとともに、適正サイズでの商品発送を行って参ります。しかしながら、近年の配送ドライバー不足などの影響を背景に配送料の大幅な値上げや取引関係の縮小などがあった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの商品のうち一部は、当社グループの商品開発部門と製造委託企業が共同で商品開発を行い、当社グループの保有するブランド名称の下、製造委託企業にて製造されるD2Cブランド製品であります。これらの製品開発においては、商品開発部門が調査を行い、さらに必要に応じ顧問弁護士に再調査依頼又は相談をするなど、第三者の知的財産権を侵害しないことを確認する体制を構築しております。しかしながら、当社グループによる製品開発に際して、意図せず第三者の知的財産権の侵害が生じた場合には、当社グループへの損害賠償責任の追及や商品販売を制限されることで、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが販売したD2Cブランド製品の表示内容については、ペットフード安全法及びペットフード公正競争規約で定められている表示項目の確認を行っておりますが、製品の内容について不具合等が発生した場合には、大規模な返品、製造物責任法に基づく損害賠償や対応費用の発生により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのペットヘルスケア事業において販売する商品の大部分は、需要予測に基づいた仕入れを行っております。しかしながら、実際の受注が需要予測を上回った場合には販売機会を失うこととなり、実際の受注が需要予測を下回った場合には、過剰在庫が発生しキャッシュ・フローの悪化や商品評価損が発生する可能性があります。当社グループでは販売時及び仕入時の社内フローを整備することで、キャッシュ・フローの悪化や商品評価損の発生を防止するとともに、販売機会を失うことがないように対応する方針であります。
また、当社グループのD2Cブランド製品の原材料等の価格変動や海外情勢等の外的な要因により仕入価格が高騰した場合には、代替する原材料への変更等の対応を行いますが、代替する原材料が適時に調達できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、Eコマースの管理を始め、受注、発注、仕入、在庫管理、発送、売上までの多くの業務を当社が開発、運用する業務管理システムに依存しております。これらのシステムでは、それぞれ予備系統や予備データの保有機能等の二重化措置やファイアウォール、ウィルスチェック等、外部からの攻撃を回避するための対策を講じております。しかしながら、地震、台風等の自然災害、事故、停電など予期せぬ事象の発生や想定を超えたアクセスの急激な増加、コンピュータウィルスの侵入、人為的な破壊行為又は構築したアプリケーション内の不具合等、様々な要因によって当社グループのシステムの障害又は通信ネットワークに障害が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、Eコマース等による商品の販売に際してお客様の氏名、住所等の申し出を受け、多くの個人情報を保有しており、個人情報保護法の適用を受けております。このため、当社グループは、個人情報にかかる取り組みとして、データの暗号化、厳格なアクセスコントロール等に努めているほか、個人情報保護方針、個人情報保護規程及び情報セキュリティ管理規程を制定し、契約社員や派遣社員を含む全社員を対象とした社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。また、2018年3月には、プライバシーマークの付与を受けるなど、情報管理体制の整備強化に努めております。
しかしながら、外部からの不正なアクセスや想定していない事態によって個人情報の外部流出が発生した場合には、当社グループの業績及び企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、Eコマースによる販売を主体としており、当社グループが取扱う商品や当社グループのサービス内容について、インターネット上での書き込みが発生しやすい状況にあります。当社グループに対する否定的な風評が発生し流布した場合に、それが事実に基づくものであるか否かに関わらず、当社グループの社会的信用に影響を与える場合があります。当社グループでは「カスタマーレビューガイドライン」を公開し、お客様がレビューを投稿する時の参考にしていただくとともに、趣旨にそぐわない内容や当社を陥れるような内容の場合、当該レビューを削除する対応を行っており風評被害リスクの早期発見及び影響の極小化に努めておりますが、悪質な風評が流布した場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、運営するサイト名称やD2Cブランド製品について商標登録を行い、商標権など知的財産権を所有しており、法令の定めに則って権利の保全に努めておりますが、第三者による当社グループの権利の侵害により、企業・ブランドイメージの低下、商品開発の阻害を招いた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが運営するEコマース上で販売する商品及び掲載する画像については第三者の知的財産権を侵害しないように監視・管理を行っておりますが、今後も知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起されないという保証はなく、そのような事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の設立者で事業推進の中心人物でもある代表取締役社長黒澤弘は、経営方針や経営戦略等、当社グループの事業活動全般において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社グループの依存度は高くなっております。
当社グループにおいては、同氏に過度に依存しない経営体制を構築すべく、他の取締役や従業員への権限委譲や情報共有を進めておりますが、何らかの理由により同氏の職務遂行が困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの組織体制は小規模であり、業務執行体制もこれに応じたものになっております。当社グループは今後の事業拡大に向けた優秀な人材の採用やその後の人材の育成や管理職への登用を行い業務執行体制の充実を図っていく方針であります。また、当社グループは女性の活躍を推進するための就業環境の整備を推進しております。しかしながら、人材の確保が適時適切に行えない場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識しており、今後とも業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のために内部管理体制の構築及び適切な運用を徹底して参ります。しかしながら、事業が急速に拡大することにより、内部管理体制が追いつかず、コーポレート・ガバナンスが有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営を行うことができず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、設備投資や運転資金に必要な資金を主に金融機関からの借入で調達しており、有利子負債が763,391千円(2024年3月末現在)、総資産に対する有利子負債依存度が23.1%(2024年3月末現在)と高い状況にあります。現状は借り換えも含めて順調に資金調達ができておりますが、今後、金利水準が上昇した場合や計画どおりに資金調達ができなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
当社では、当社役員、当社従業員及び外部の協力者に対するインセンティブを目的として、新株予約権(以下「ストック・オプション」)を付与しております。
提出日の前月末現在にて、これらのストック・オプションによる潜在株式数は298,800株であり、発行済株式総数1,873,200株の16.0%に相当しております。これらのストック・オプションが権利行使された場合、新株式が発行され、1株当たりの株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
新株予約権の詳細については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照下さい。
当社は、創業以来、経営基盤の強化及び積極的な事業展開に備えるため、内部留保の充実を図り、配当を実施しておりません。株主に対する利益還元については経営の最重要課題の一つとして位置付けておりますが、当面は内部留保の充実に注力する方針であり、事業規模や収益が安定成長段階に入ったと判断された時点で、経営成績・財政状態を勘案しながら、配当による株主への利益還元に努める所存であります。
台風、地震、津波等の自然災害、火災、大規模な停電、感染症の拡大が発生した場合、当社グループのサービス運営に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの主要な拠点においてこれらの災害等が発生した場合には、在庫の損失や配送遅延、サービスの一時停止等といった事態の発生により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、テレワーク勤務体制や他社拠点の活用による物流業務の分散化を行うことで、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じております。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済環境は、資源価格上昇等による物価への影響はあるものの、個人消費は緩やかなペースで着実に増加しております。一方で、当社グループの主たる商品であるペットフードやペット用品は犬猫の日常生活に必要な消費財であるため、景気による影響を受けにくい商品であります。
当社グループが属するペット業界におきましては、犬の飼育頭数が減少傾向、猫の飼育頭数は増加傾向であります。また、医療技術の進歩や飼い主のペットに対する意識が変化しており、ペットの平均寿命が長くなると同時に、1頭当たりのペット関連年間支出額も増加傾向となっており、「ペット関連支出の増加」及び「犬猫の平均寿命の伸長」により、ペット市場は今後も堅調に推移していくことが予想されます。
以上のような環境の中で、当社グループは「ハッピーペットライフ・ハッピーワールド~ペットライフを幸せに・世の中を幸せに」という当社のスローガンを実現すべく事業に取り組んで参りました。
ペット用品においても、原材料価格の高騰や円安等を起因とし、数多くのナショナルブランド商品の値上げが行われている状況の中で、新たなD2Cブランド製品を上市するとともに、D2Cブランドの成長に向けた広告販促投資を実施しました。その結果、D2Cブランド製品の売上高は1,371,788千円(前連結会計年度比34.4%増)、2024年3月末のアクティブ購入者数は51万人、累計ユニーク購入者数は242万人となりました。
これらの結果、売上高は9,905,686千円(前連結会計年度比1.2%減)、営業利益は247,055千円(前連結会計年度比4.6%増)、経常利益は241,053千円(前連結会計年度比4.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は172,326千円(前連結会計年度比12.4%増)となりました。
なお、当社グループは、ペットヘルスケア事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
・自社オンラインサイトと他社オンラインモール等別の売上高
(単位:千円)
・自社オンラインサイト内の都度購入及び定期購入の売上高
(単位:千円)
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して、223,795千円増加し、3,299,529千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比較して、243,926千円増加し、3,237,253千円となりました。これは主に在庫積み増しの影響によって商品が287,500千円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末と比較して20,130千円減少し、62,275千円となりました。これは主に、減価償却費の計上によって有形固定資産が9,063千円減少したことに加えて、将来減算一時差異の減少により繰延税金資産が8,650千円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して、35,631千円増加し、2,175,970千円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末と比較して、98,250千円増加し、2,147,949千円となりました。これは主に、当座貸越を利用して運転資金の効率的な調達を行っているため、短期借入金が43,176千円増加し、1年内返済予定の長期借入金が90,014千円減少したのに対して、在庫積み増しの影響によって買掛金が277,932千円増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末と比較して、62,619千円減少し、28,021千円となりました。これは主に、当座貸越を利用して運転資金の効率的な調達を行っているため、長期借入金が63,310千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して188,164千円増加し、1,123,558千円となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益172,326千円を計上したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末と比べ57,371千円増加し、901,433千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、163,470千円の収入(前連結会計年度は244,264千円の支出)となりました。これは主に、増加要因として、税金等調整前当期純利益の計上241,053千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益の計上230,470千円)、仕入債務の増加額277,932千円(前連結会計年度は仕入債務の減少額25,883千円)があった一方で、減少要因として、棚卸資産の増加額285,127千円(前連結会計年度は棚卸資産の増加額385,715千円)及び法人税等の支払額111,560千円(前連結会計年度は法人税等の支払額37,711千円)があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、3,237千円の支出(前連結会計年度は11,883千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出3,237千円(前連結会計年度は有形固定資産の取得による支出11,233千円)があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、102,860千円の支出(前連結会計年度は317,322千円の収入)となりました。これは主に、減少要因として、長期借入金の返済による支出153,324千円(前連結会計年度は長期借入金の返済による支出191,950千円)があった一方で、増加要因として、短期借入金の増加額43,176千円(前連結会計年度は182,665千円の増加)があったことによるものであります。
a. 生産実績
当社グループは、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b. 受注実績
当社グループは、受注に該当する事項がありませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
c. 仕入実績
当社グループは、ペットヘルスケア事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注)金額は、仕入価格によっております。
d. 販売実績
当社グループは、ペットヘルスケア事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。
(売上高、売上原価、売上総利益)
新たなD2Cブランド製品の上市や広告販促投資を継続して実施した結果、D2Cブランド製品の売上高は1,371,788千円(前連結会計年度比34.4%増)となりました。一方で、ナショナルブランド商品の売上高が原材料価格の高騰や円安等を起因とした値上げによって減少した影響で、売上高は9,905,686千円(前連結会計年度比1.2%減)となりました。
また、売上高の減少により仕入高が減少したため、売上原価は7,140,078千円(前連結会計年度比0.5%減)となりました。その結果、売上総利益は2,765,607千円(前連結会計年度比2.9%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
売上高減少及び他社オンラインモール等の売上高減少により、運賃及び荷造費が786,649千円(前連結会計年度比8.1%減)、販売手数料が385,043千円(前連結会計年度比6.5%減)となりました。一方、自社オンラインサイトの売上高が増加した影響により決済手数料が288,432千円(前連結会計年度比4.3%増)となりました。結果として販売費及び一般管理費は2,518,552千円(前連結会計年度比3.5%減)となりました。その結果、営業利益は247,055千円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
一部敷地の転貸による受取賃貸料23,696千円(前連結会計年度比0.4%増)を計上した結果、営業外収益は25,689千円(前連結会計年度比1.5%増)となりました。
金融機関に対する支払利息7,437千円(前連結会計年度比2.8%増)及び一部敷地の転貸のための支払賃料22,868千円(前連結会計年度比0.4%増)を計上した結果、営業外費用31,692千円(前連結会計年度比2.2%増)となりました。
その結果、経常利益は241,053千円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。
(法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)
課税所得の減少により法人税等合計は68,726千円(前連結会計年度比10.9%減)となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は172,326千円(前連結会計年度比12.4%増)となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は自己資金及び金融機関からの借入金を基本としております。また、持続的な成長を図るための投資を行っており、これらに必要な資金については金融機関からの借入を中心として調達しております。
運転資金の主要な使途としては、仕入代金、人件費、運賃及び荷造費、販売手数料、支払家賃等があります。持続的な成長を図るための投資としては、広告宣伝費及び研究開発費があります。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は901,433千円であり、借入金残高は763,150千円のため、流動性を確保しております。
当社グループは、経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高、営業利益、営業利益率、D2Cブランド売上高としております。
当社グループは中期成長戦略として、「D2Cシフト」を掲げており、D2Cブランド主体の成長へと構造を転換していくことで、持続可能な成長を目指して参ります。そのため、D2Cブランド売上高を新たに重要な経営指標として設定しております。また、業績の進捗を図るため売上高、営業利益、営業利益率を重要な経営指標としております。
当該指標に対する今後の方針としては、「プロダクト」、「チャネル」、「プロモーション」の3つの観点からそれぞれD2Cブランドを強化していくことで、売上高に占めるD2Cブランド売上高の構成比率を拡大し、その結果として売上高、営業利益の成長に繋げていきたいと考えております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当連結会計年度は、ペットヘルスケアに関するD2Cブランド製品の研究開発活動を行っております。D2Cブランド製品の品揃えを充実させることによるブランド価値の向上を目指し、引き続き製品開発に取り組んで参ります。当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は、