文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、『高松機械は「社会に貢献」する。お客様には安全でメリットのある商品を、従業員には生活の安定と希望を、株主には適切な配当を提供するとともに、協力企業とも共存共栄の精神をもって、社会の発展に積極的に貢献する。』という経営理念を掲げ、工作機械メーカーとして、「お客様に稼ぐ機械を提供する」をモットーとしております。高機能・高品質な製品を提供することによる価値の創造と、ステークホルダーへの適切な配分を考慮し、経営活動を行っております。
日本経済の先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されますが、能登半島地震による経済への影響に留意する必要があるほか、物価上昇、金融資本市場の変動、中東情勢、海外景気の減速等による下押しリスクも抱えています。
当社グループの主力分野である工作機械業界の先行きについては、需要の底堅い推移が見込まれており、日本工作機械工業会では、2024年暦年業界受注見通しを1兆5,000億円(前年同期比0.9%増)としています。内需では、半導体関連にて本格回復に向けた先行投資の受注がみえ始めているほか、自動車関連についても、2024年後半の本格回復が期待されており、また外需では、欧米において引き続き底堅い受注水準で推移すると見込まれております。
先行きは期待と不安が混在しておりますが、工作機械ユーザには、昨今の人手不足や人件費高騰を背景とした自動化ニーズ、カーボンニュートラル対応などの様々なニーズに対する潜在的需要があります。また、自動車関連においては、EV関連投資だけではなく、足元ではHVやガソリン車への回帰の動きもみられるなど、今後の動向は不透明ながらも、長期的には設備投資が進むものと見込まれます。
当社グループが、フラッグシップ・ファクトリー(旗艦工場)であるあさひ工場の操業開始を起点として、更なる成長を遂げることを志向して策定した「中期計画2024」につきましては、その達成に向けて戦略を推進してきましたが、当社の主力受注先である自動車関連では、国内外の経済環境の伸び悩みから、工作機械需要は調整局面が続き、本格的な回復の時期は不透明な状況にあります。
このような外部環境の状況等を勘案した結果、中期計画2024で掲げる定量目標の達成が困難であると見込まれたことから、これを取り下げております。
なお、中期計画2024において掲げていた定量目標は、連結売上高営業利益率(収益性に関する指標)、連結ROE(企業価値に関する指標)、連結売上高(経営規模に関する指標)の3つであり、その具体的目標数値は以下のとおりであります。
(参考)2024年度の経営目標
① 連結売上高営業利益率 8%以上
② 連結ROE 8%以上
③ 連結売上高 240億円以上
当社グループでは、利益重視の経営を推進し、業績改善をはかります。生販一体化した工作機械事業本部にて全社最適の視点から収益改善や効率化に取り組むことにより収益力を向上させるとともに、やりがいや働きがいのある職場・制度づくりの実現に向けた取り組みを進めていきます。
工作機械事業では、昨今の人手不足や人件費高騰を背景とした自動化ニーズ、カーボンニュートラル対応などの様々なニーズに対する潜在的需要があり、また自動車関連においては、EV関連投資だけではなく、足元ではHVやガソリン車への回帰の動きもみられるなど、不透明ながらも長期的には設備投資が進むものと見込まれますので、受注アップに向けた需要の取り込みに注力していきます。
当社の強みである自動化・カスタマイズを活かした付加価値の高い生産ラインの提案を積極的に進めるほか、カーボンニュートラルに対応する製品のPRを進めるなど、お客様に価値ある製品を提供することで業界の潜在的需要を掘り起こしていきます。また、主要顧客である自動車関連の本格的な設備投資に備え、人材育成、設備投資など、今なすべき計画を着実に進めていきます。
また2024年4月、新しく「利益向上プロジェクト」を立ち上げました。これまでも、原価低減や生産性向上に努めてきましたが、生産部門だけではなく営業部門もプロジェクトメンバーとなることで、受注から納品までの一連のプロセスにおいて、全社最適の視点で利益の向上に取り組んでいきます。
IT関連製造装置事業では、新規案件の開拓に注力していくほか、既存取引先からの安定受注確保に努めていくことで、売上高と利益の拡大をはかっていきます。
自動車部品加工事業では、不良発生の抑制と、機械可動率の向上をはかっていくことで、安定生産と収益改善に努めていきます。
先行きは期待と不安が混在しておりますが、当社グループにおきましては、中期計画2024の基本方針に掲げる「チェンジ!チャレンジ!」を合言葉に、社員と会社が一体となって変化と挑戦を続け、企業価値の向上をはかっていきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社が経営理念として掲げる『高松機械は「社会に貢献」する』を達成するためには、SDGs、カーボンニュートラルなどのサステナビリティを巡る様々な社会課題に対し、企業活動を通じてその解決に貢献することが重要であると認識しております。
そこで当社では、業務を執行する経営陣がメンバーである経営会議にてサステナビリティ全般に関する協議を行うこととしております。経営会議では、サステナビリティを実現するために当社が取り組むべき重要課題(マテリアリティ)や取り組みの方針などを協議・決定するとともに、サステナビリティの取り組み状況を定期的にモニタリングし、取り組みの的確かつ迅速な実行をはかっております。
なお、重要課題(マテリアリティ)は取締役会においても協議され、社外役員の意見も踏まえたうえで決定しております。
また、当社グループでは、サステナビリティを含めた全社的なリスク管理をリスク管理委員会が主管となって推進し、リスクの分析及び評価並びに対策の立案を行っております。リスク管理委員会の活動は定期的に取締役会に報告されることで、取締役会においても適切に監督されるとともに、リスク低減をはかっております。
(2) 戦略
当社は、サステナビリティの実現に向け、サステナビリティ基本方針「TAKAMAZは、常に挑戦し続けるモノづくりを通じて、企業価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献します。」を制定しており、また、サステナビリティを巡る課題に対しては、ESGが示す3つの観点(環境・社会・ガバナンス)から4つの重要課題(マテリアリティ)を定め、解決に取り組んでおります。
環境面では、省エネ・省スペースな新製品開発に注力し、環境負荷の低い製品をお客様に提供するとともに、認証取得しているISO14001に基づき、環境方針と環境目標の達成をはかっております。社会面では、高い技術を誇る製品を安定供給するとともに、地域社会の一員として社会の期待に応えております。ガバナンス面では、すべてのステークホルダーから信頼され、魅力ある企業となるべく、最適な体制の構築と強化をはかっております。
これら取り組みが、当社経営理念「社会に貢献する」と同じゴールに向かい、サステナビリティの実現に貢献するものと考えております。なお、4つの重要課題(マテリアリティ)につきましては、当社ホームページ(https://www.takamaz.co.jp/sustainability/policy/)に掲載しているサステナビリティ体系図をご参照ください。
また、当社は、人材の育成・能力の開発が企業経営の根幹であることを認識しております。当社経営理念・方針に基づき、社員の知識・技術・技能を向上させ、もって企業目的を達成するに足りうる企業人を育成することを目的として、年度初めに階層別・専門教育を計画し、社員のスキルアップに努めております。
職場環境につきましても、社員と会社がともに成長できる環境を目指し、仕事や育児・介護の両立に向けた支援制度、有給休暇取得率の向上をはじめとした働き方改革の実現など、社員が働きやすさと働きがいを感じられるように整備を進めております。
(3) 指標及び目標
当社では、性別、国籍、年齢等の属性によらず、能力や適性など総合的に判断する公正・公平な評価基準のもとで優秀な人材の採用及び管理職登用を行っております。能力と意欲のある人材を適材適所に配置しておりますので、具体的な指標及び目標は定めておりません。
なお、管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因については以下のものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの主たる事業である工作機械事業は、民間設備投資動向に大きく影響を受けますので、国内外の景気動向や経済情勢の変動により、工作機械の需要は拡大縮小の波を繰り返します。当社グループの主要製品であるCNC旋盤(コンピュータにより制御されたNC旋盤)は、一般的に金属加工の機械を作る機械(マザーマシン)として広く製造業で使用されておりますが、特に当社製品の販売先は自動車関連業界が半分以上を占めております。そのため、自動車関連業界における設備投資動向等が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
IT関連製造装置事業は、シリコンサイクルやクリスタルサイクルと呼ばれる周期的な好不況の波の影響で需要の変動が激しいことにより、また自動車部品加工事業は、世界における自動車需要の縮小や部品メーカー間の競争激化等の影響によりまして、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループが属する工作機械業界は、数多くのメーカーが存在し、競合の激しい業界であります。当社グループは単なる標準品でなく、ユーザニーズに合わせて、それぞれに最適な加工を実現できる自動化システムを提案することで他社との差別化をはかっておりますが、特に需要の縮小期においては過当競争となり、同業他社との価格競争が激化することで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 原材料等の調達及び価格に関する影響
当社グループは、2社購買の推進や長納期品の先行発注など、サプライヤーとの連携強化のもと、適正な調達活動の実施と適正な在庫の維持管理に努めております。しかし、一部においては取引先の変更や代替品への切り替えが困難なものもあり、当該原材料等において取引先からの供給が中断した場合や製品需要の急増などによる供給不足が発生した場合には、生産に著しい影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、原油価格の高騰や新興国の経済成長等を要因として原材料等の価格が予想以上に急騰した場合もしくは長期にわたって高騰が続いた場合には製造コストの増大により、当社グループの利益が減少する可能性があります。
(4) 海外展開に関する影響
当社グループは主にアジア、ヨーロッパ及び北米で海外の事業活動を展開しており、当連結会計年度における海外売上高比率は28.5%であります。当社グループの主力製品である工作機械の需要は、中長期的視野では特に海外の成長が見込まれていることから、海外シェア拡大のための施策を推進しております。そのため、それらの地域における予期できない法律・規制、税制の変更、ストライキ等の労働争議、テロ、戦争、感染症や自然災害の発生による社会的混乱、急激な経済情勢の悪化、その他事業活動に対する不利な政治的又は経済的要因が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社の輸出取引は主に円建で行われており、為替相場の変動による損益への影響は軽微でありますが、円高が進行した場合には現地販売価格が他国製品と比較して相対的に高くなる結果、価格競争力低下や販売価格の値下げにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループの製品は、ディーラを通じてユーザに販売しておりますので、経営状態や環境の変化によってディーラからの代金回収が滞ったり、回収不能となったりした場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、ディーラは、当社グループの競合製品も取り扱っております。当社では主要ディーラを集めて、新製品の発表や市場ニーズの情報収集、その他販売に関する諸問題を討議する全国ディーラ会議を毎年開催し、主要ディーラとの良好な関係の継続に努めておりますが、主要ディーラの経営方針や環境の変化によって競合製品の取り扱いが優先された場合や、当社製品の取り扱いを行わなくなった場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社はISO9001を認証取得しており、その品質マネジメントシステムを活用して生産及び仕入における品質管理の徹底をはかっております。しかし、生産したすべての製品について欠陥が生じないという保証はなく、また、今後発売する新製品に予期せぬ不具合が発生する等の影響により、製造物責任法に基づく損害賠償責任が生じる可能性があります。当社グループは製造物責任による損害賠償については保険に加入しておりますが、賠償額全額を保険でカバーできる保証はありません。現時点までに製造物責任に関する訴訟は生じておりませんが、当該賠償の発生によって社会的評価及び企業イメージが低下することで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、特許権等の知的財産権の重要性を強く認識しており、積極的な特許等の申請を推進し、多くの特許等を取得しております。しかし、第三者による当社所有権利の侵害により、ブランドイメージの低下や営業活動が阻害される恐れがあります。
また、過失により第三者が所有する権利を侵害した場合には提訴される可能性があります。このため、損害賠償責任や当該特許等の使用に対する対価の支払義務の発生、又は当該特許等の使用ができないことによる事業展開の制約等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループの主力事業である工作機械の生産は石川県白山市の本社工場及びあさひ工場にて行っており、自動車部品の加工及びIT関連製造装置の製造についても、それぞれ同市内の第3工場及び開発センターにて行っております。当社では、緊急時対応手順の策定、十分なデータバックアップ体制の構築、従業員安否確認システムの導入など、事業継続計画の整備に努めておりますが、白山市周辺地域において地震・津波等の大規模な自然災害等が発生した場合、本社機能の停止又は建物や設備の損壊もしくは停電となることで生産に著しい影響を及ぼし、正常な事業活動が行えなくなる可能性があります。
また、当社が直接被害を被らない場合でもインフラ復旧の遅れや電力の使用制限、サプライヤーから必要な原材料、部品等の供給が滞るなどの影響を受け、本社機能及び生産に著しい影響を受ける場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループが企業成長を進め、安定的な経営体制を確立するためには、人的資本の充実が必須であります。そのため、新卒の定期採用並びに中途採用による人員の確保、OJT及び社外研修等による社員教育を行って人的資本の充実をはかっております。しかし、業績拡大や事業発展のために当社グループが求める人材を十分に確保できなかった場合や退職者が著しく増加した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、第47回定時株主総会(2008年6月26日開催)において「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」の承認を得られ、発効しております。有効期間は3年であり、継続に当たっては定時株主総会の承認を得ることと定めておりますが、第62回定時株主総会(2023年6月29日開催)において、所要の変更を行ったうえで、同総会にて当該買収防衛策の継続に関する議案を付議し、株主の皆様のご承認を得られたことで継続しております。
議決権割合を20%以上とすることを目的とした当社株式等の買付行為もしくは結果として20%以上となる当社株式等の買付行為を行う者が現れた場合において、買収防衛策のルールに基づき、第三者委員会の勧告を最大限尊重の上、当社取締役会で対抗措置の発動・不発動を決定いたしますが、対抗措置を発動した場合に発生する費用等によりまして、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(11) 棚卸資産の評価に関するリスク
当社グループでは、棚卸資産は取得原価と正味売却価額のいずれか低い方の金額で評価しており、営業循環過程から外れた滞留在庫については、収益性の低下の事実を反映するために、滞留期間に応じて規則的に帳簿価額を切下げることとしております。規則的な帳簿価額の切下げは過去の販売・使用実績や処分実績に基づき実施しておりますが、棚卸資産の滞留状況と過去の実績に大きな変化が生じた場合には、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づいており、その予測・仮定が変更された場合や、税率変更を含む税制改正、会計基準等の改正が行われた場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要になり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは工作機械事業において、積極的な海外展開、ユーザニーズを捉えた新製品の開発、原価低減等によるコストの削減等を推進するとともに、長年培ってきたノウハウを活かせる分野に資本を投下し、新たな収益の柱作りを推進することで、安定的な収益を確保できる体質の確立を進めてきております。しかし、当社グループが事業を遂行していく限り、前述した影響以外にも、法律や規制等の新設・改正、金融・株式市場、戦争・テロ、仕入先・外注先の供給体制等によりまして、場合によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、社会・経済活動の正常化が徐々に進み、景気は緩やかな回復傾向にあるものの、海外景気の下振れや、継続的な物価上昇及び資源価格、原材料価格の高騰、円安傾向の継続など、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。
当社グループの主力分野である工作機械業界においては、2023年度業界受注総額が前年同期比14.8%減の1兆4,531億円と、3年ぶりの減少となりました。内需では、特に自動車関連にて長らく設備投資の先送りが続き、全体としても依然力強さに欠ける展開が続いたこと、外需では、中国景気の低迷が継続したことなどが影響しました。
当社グループの経営成績を示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ24億90百万円減少し、141億84百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ15億33百万円減少し、109億98百万円となりました。これは売上高の減少に伴うものであり、これにより売上高に対する比率は77.5%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ53百万円減少し、35億73百万円となりました。これは主に運賃及び荷造費の減少等によるものであり、売上高に対する比率は25.2%となりました。
また、研究開発費は前連結会計年度に比べ10百万円減少の1億49百万円となり、売上高に対する比率は1.1%となりました。開発部門は研究開発費の効率化をはかりながら、各部門と緊密な連携を取り、当社グループの戦略製品開発や技術開発を行っております。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ9億3百万円減少し、3億86百万円の営業損失となりました。なお、営業利益率は△2.7%となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比べ6百万円減少し、1億8百万円となりました。これは主に為替差益が増加したものの、保険解約返戻金が減少したことによるものです。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ3億18百万円増加し、3億29百万円となりました。これは主に持分法による投資損失が増加したことによるものです。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ12億28百万円減少し、6億8百万円の経常損失となりました。
特別利益は、45百万円と前連結会計年度に比べ47百万円の減少となりました。これは主に収用補償金が減少したことによるものです。
特別損失は、78百万円と前連結会計年度に比べ13百万円の増加となりました。これは主に固定資産除却損が減少したものの、減損損失が増加したことによるものです。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ10億55百万円減少し、5億65百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。また、1株当たり当期純損失は52.26円、ROEは△3.4%となりました。
経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 及び (4) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題」に記載のとおりであります。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の経営成績は、受注高が132億13百万円(前年同期比9.5%減)、受注残高が61億87百万円(同10.6%増)、売上高が126億18百万円(同16.3%減)、営業損失が4億14百万円(前年同期は4億69百万円の営業利益)となりました。
受注高の地域別内訳は、北米向けが増加した一方で、国内向け、アジア向け及びヨーロッパ向けが減少した結果、内需が86億24百万円(前年同期比13.4%減)、外需が45億88百万円(同1.3%減)となりました。
なお、受注高につきましては、従来、「旋盤・改造機」の受注高に限定して開示しておりましたが、売上高との関連性を明確化するため、当連結会計年度より、「旋盤・改造機」及び「部品・サービス等」の受注高を含めた開示に変更しております。
売上高の地域別内訳は、すべての地域向けで減少した結果、内需が85億91百万円(同7.9%減)、外需が40億26百万円(同30.0%減)、外需比率が31.9%(前年同期は38.1%)となりました。
当連結会計年度における主な取り組みとして、コロナ禍からの脱却が進み経済社会活動が正常化する中で、国内では、MEX金沢2023及びMECT2023に出展し、海外では、ドイツEMO2023やタイMETALEX2023などへの出展のほか、アメリカ、タイ、ベトナム及びインドネシアの海外子会社でプライベートショーを実施するなど、主要展示会等でのPR活動を推進してきました。また、訪問活動の強化など、需要掘り起こしのための積極的な営業活動を進め、ユーザの生産性を向上するための自動化・省人化提案を行うことで、他社にない付加価値を提供することに努めてきました。特に、当社製品に対する認知度が低い自動車関連以外の市場開拓におきましては、実機による製品の特長や強みをPRする営業キャラバンを実施し、油圧・空圧機器メーカーの新規開拓に繋げました。当社の主力受注先である自動車関連の設備投資需要の回復が遅れている中、このような自動車関連以外への積極的な営業活動を推進することにより、建設機械や医療機器等、多岐にわたる市場からの受注を獲得しました。
また、原材料価格の高騰に対応して、2023年7月に機械本体や各種オプションの販売価格の改定を行いました。
更に新規事業への挑戦として、工作機械事業で培った当社の自動化技術と、株式会社PFUの持つ複合照明技術・特徴融合認識技術を融合させた「資源ごみAI自動選別機」の開発を進めてきました。試作機を各種展示会に出展して地方自治体や一般廃棄物処理業者などに積極的なPRを行い、引合確保に努めてきました。なお当製品は、「AI・B-sort」として2024年4月に正式販売を開始しました。
製品面では、今後需要が見込まれるEV対応のため、ターゲットワークとしてEV部品の加工にも狙いを定めた新製品開発を進めるとともに、カーボンニュートラルに貢献できる機能の実装をはかってきました。当連結会計年度では、高い生産性をベースに、DXとサステナビリティを追求した2スピンドル2タレット精密旋盤「XWT-8」を新規開発し、市場投入したほか、ベストセラー機である「XT-8」よりも、長いシャフトワークに対応しながらもストロークと剛性を保持した後継機の開発に取り組んできました。
生産面では、工作機械事業本部による一体的な取り組みを推進してきました。先行発注による安定生産、生産計画の情報共有の強化による早期出荷や追加生産枠の確保に取り組んだほか、複雑化傾向にあるお客様の仕様に対応するため、技術者同行の強化、機動的な設計人員の配置、外注設計の活用、技術部員や製造部員の育成・採用強化にも努めました。
設備投資面では、生産能力強化のために拡大移設した精密組立室の更なる活用をはかり、自動洗浄機を導入し、自動ランニング装置を増設しました。この一連の取り組みによって作業工数を短縮した結果、年間24百万円のコスト削減に繋がり、目標を10%以上上回ることができました。
当連結会計年度の経営成績は、受注高が12億39百万円(前年同期比15.5%減)、受注残高が5億33百万円(同7.8%減)、売上高が12億83百万円(同1.5%減)、営業利益が60百万円(同24.6%減)となりました。
既存取引先や商社を中心に計画的な営業活動に取り組んだほか、新規開拓にも注力してきましたが、半導体需要の調整が継続したことで受注高及び売上高が減少しました。
また、受注価格改定やコスト削減の取り組みに成果が上がっているものの、売上高の減少及び製品構成比の影響等により、営業利益も減少しました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高が2億82百万円(前年同期比4.7%減)、営業損失が19百万円(前年同期は32百万円の営業損失)となりました。
取引先である自動車メーカーの生産調整等が継続した影響を受けて売上高は減少しましたが、エネルギー価格高騰分を価格転嫁できたことにより、営業損失は縮小しました。
なお、不採算事業の見直しにより、タイで自動車部品加工事業を行う当社連結子会社TP MACHINE PARTS CO., LTD.は、2023年12月14日開催の同社臨時株主総会において解散を決議し、清算手続き中です。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 工作機械事業におきましては、旋盤に限定して表示しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 ( )内の数字は海外販売台数及び海外販売高であり、内数であります。
3 最近2連結会計年度における主要な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合
4 当連結会計年度の山下機械株式会社については、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
当連結会計年度末の総資産は223億13百万円で前連結会計年度末に比べ16億84百万円の減少となりました。
区分別にみますと、流動資産は139億37百万円となり、前連結会計年度末に比べて12億29百万円減少しました。その主な要因としては、売掛金が2億98百万円、棚卸資産が2億49百万円増加したものの、電子記録債権が8億43百万円、現金及び預金が7億73百万円減少したことによるものです。
固定資産は83億76百万円となり、前連結会計年度末に比べて4億55百万円減少しました。その主な要因としては、機械装置及び運搬具(純額)が2億63百万円、建物及び構築物(純額)が1億73百万円、投資有価証券が1億22百万円減少したことによるものです。
次に当連結会計年度末の負債は56億95百万円で前連結会計年度末に比べて14億5百万円の減少となりました。
区分別にみますと、流動負債は51億5百万円となり、前連結会計年度末に比べて10億83百万円減少しました。その主な要因としては、流動負債のその他(未払消費税等)が4億18百万円、電子記録債務が3億59百万円、支払手形及び買掛金が2億13百万円減少したことによるものです。
固定負債は5億89百万円となり、前連結会計年度末に比べて3億21百万円減少しました。その主な要因としては、退職給付に係る負債が2億90百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末の純資産は166億18百万円で前連結会計年度末に比べて2億79百万円減少しました。その主な要因としては、為替換算調整勘定が1億93百万円、退職給付に係る調整累計額が1億81百万円増加したものの、利益剰余金が7億17百万円減少したことによるものです。なお、自己資本比率は74.4%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
工作機械事業の総資産は178億15百万円で前連結会計年度末に比べて12億64百万円の減少となりました。その主な要因としては、電子記録債権の減少によるものです。
IT関連製造装置事業の総資産は14億80百万円で前連結会計年度末に比べて1億82百万円の増加となりました。その主な要因としては、売掛金の増加によるものです。
自動車部品加工事業の総資産は3億64百万円で前連結会計年度末に比べて1億45百万円の減少となりました。その主な要因としては、有形固定資産の減少によるものです。
① 営業活動によるキャッシュ・フローは、2億33百万円の資金流出(前連結会計年度は96百万円の資金流入)となりました。その主な要因としては、売上債権の減少や減価償却費の計上等があったものの、税金等調整前当期純損失の計上や仕入債務の減少等があったことによるものです。
② 投資活動によるキャッシュ・フローは、4億29百万円の資金流出(前連結会計年度は8億90百万円の資金流出)となりました。その主な要因としては、有形固定資産の取得による支出等があったことによるものです。
③ 財務活動によるキャッシュ・フローは、2億83百万円の資金流出(前連結会計年度は2億23百万円の資金流出)となりました。その主な要因としては、配当金の支払等があったことによるものです。
これらの結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は8億46百万円の減少(前連結会計年度は9億7百万円の減少)となり、当連結会計年度末残高は19億91百万円(前連結会計年度末残高は28億38百万円)となりました。
当社グループの事業活動に必要な資金については、営業活動から得たキャッシュ・フローによることを基本とし、必要に応じて金融機関からの借入等により資金調達を行っております。また、資金調達に際しては、低コストかつ中長期にわたる安定的な資金の確保を重視して取り組んでおります。当連結会計年度末の現金及び預金の総額は33億35百万円、また借入金は短期、長期あわせて8億75百万円であります。当社グループは、取引先金融機関との現在の健全かつ緊密な関係を維持していくことで、当社グループが将来必要とする運転資金及び設備資金を調達することが可能であると考えております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
工作機械事業においては、あらゆるユーザニーズに対応可能な製品の提供を目指して、研究開発活動を実施しております。この点、当社の主力製品であるCNC精密旋盤のみならず、コレットチャックやローダ等の周辺装置群の開
発を含めて、省力化や自動化といったユーザニーズを充足することに努めております。また近年では、カーボンニュートラル、SDGs及びサステナビリティといった時代のニーズを捉えながら、製品の発展、進化をはかっております。
当連結会計年度においては、「XW-130」の後継機となる「XWT-8」を新たに発表いたしました。
「XWT-8」は、EVへとシフトする時代の潮流に合わせ、駆動系部品やステアリング関連部品を対象としてモデルチェンジしました。加えて、自動車関連以外の多岐にわたる市場でも競争力を発揮するために、環境への配慮やDX技術による作業性の向上をはかっています。大型タッチパネルの搭載によって操作性を向上させるとともに、機械の加工物の移動にかかる速度を従来機から10%高速化したことで、お客様の生産性向上に寄与します。
また、当社独自の冷却システムを開発し、搭載しています。従来の水冷から空冷に変更した新しいシステムでは、比較的温度変化が小さい、地表に近い空気層の空気を利用することで、工場環境の温度変化に影響されにくく、高い加工精度を実現できます。精度の向上だけではなく、従来と比較し、消費電力も削減することができ、お客様のカーボンニュートラル実現にも貢献します。なお、当該技術は、現在、特許出願中です。
その他、新製品の開発、将来的視野に立った産学官連携による基礎研究、IoTやAI等のデジタル技術の活用のみならず、当社が得意とする自動化システムの研究開発などに取り組んできました。
なお、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は、
該当事項はありません。
該当事項はありません。