文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
「人が求めること」は限りなく続くことであり、企業は更なる「研究開発」を続けることで、「高付加価値製品」を生み出していきます。
当社グループは、創ることから届けることまで、顧客のニーズに対してトータルに提案できる企業でありたいと考え、現在、情報産業の一翼を担うディスプレイ関連事業を主たる柱として、環境ビジネスのクリーン・エコエネルギー関連事業あるいはメカトロニクス技術を活用したファクトリーオートメーション事業等、幅広い領域での「ものづくり」に専念し、更なる発展を続けていくことを経営の基本方針としております。
(2)経営戦略等
当社グループでは、安定した成長率の維持を最大の目標に、より一層の企業価値の向上を目指しております。
そのため、成長を牽引するためのドライバーとして「精密貼合技術を中心とした複合化技術」、「独自技術を開発し、高度化できるメカトロニクス技術」を活用し、今後の成長が見込まれる事業領域に経営資源を投下してまいります。世の中の技術革新に追随し、新たな製品領域への対応を積極的に行い、既存製品群につきましては、適切な設備投資や生産合理化を図り、競争力を向上させてまいります。
更に、研究開発を企業成長の推進力と位置づけ、複合的な技術を社内で集約することにより、常に新たな技術への挑戦を続け、新たな主力事業の確立に向けて取組んでおります。
新たにグループ化した株式会社東陽社製作所を活用し、自動車部品業界への関与を深め、新たなビジネスの展開を図ります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性の向上を重視しており、生産性の向上、新製品開発及び営業力の強化を徹底し、経常利益率7%以上を確保することを経営指標としております。
また、当社グループは自己資本比率を財務の健全性の指標と認識しており、今後も適正な株主配当を行いながら、利益の内部留保に努め、自己資本の充実を目指してまいります。
(4)経営環境
当社グループを取り巻くビジネス環境は、アフターコロナ期の中で年度前半は、サービス消費の回復等に支えられた緩やかな景気回復基調、一方、年度後半は海外経済の減速傾向の影響、更に能登半島地震等の影響が下押し要因となり景気の減速感が強まりました。
このような環境下で、当社技術を必要とする最先端高付加価値商品市場は自動車業界を中心に広がりを見せており、当社の保有する高い独自性の複合化技術を活用できる場面が増加しております。一方で、最先端の商品群はクロスボーダーでの製造が行われることから、競合関係もグローバル化しており厳しい環境となっております。
なお、当社に与えるインフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症問題、世界的な半導体不足問題等の影響は、現時点では軽微と考えますが、引き続き経営環境に与える影響等を注視してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、研究開発型の企業として絶えず最新の技術動向を確認する必要があり、市場動向についても確実に捉える必要があります。クロスボーダーでの商品開発あるいは製造等の商流の変化に、機敏に対応することが課題と捉えております。そのために、組織の体制検討あるいは人材の確保等を行ってまいります。また、事業の多様化を進める目的で、株式会社東陽社製作所をグループ化したことから、自動車部品業界への事業展開を図ります。
財務上では大きな課題はないものの、経済環境の急変等に備えて、不測の事態に対応できるよう財務面において注意を払い運営を行っております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループではサステナビリティの取組みを重要な経営課題の1つと認識しており、この活動をより一層推進するため、令和4年5月に代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置いたしました。当該委員会ではマテリアリティ(重要課題)の特定、特定されたマテリアリティに対する取組み等を活動内容としております。進捗状況につきましては6ヶ月に1回、取締役会に対し報告を実施しており、取締役会はサステナビリティ推進委員会の報告をもとにリスク管理方針の検討、経営計画や戦略、施策の決定を行うというガバナンス体制を構築しております。また、社外監査役も委員会にオブザーバーとして参加しており、監督の観点から意見を述べております。
(2)戦略
① サステナビリティに関する戦略
当社は持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、サステナビリティ基本方針を策定し、取組むべきマテリアリティを特定いたしました。
(a)サステナビリティ基本方針
a.基本的な考え方
当社は、「創業の精神」や「グループ経営理念・環境理念」に込められた理念と、SDGsの理念は一致しているものと考え、当社グループにとって関連性の高いSDGsが示す国際的な社会課題や地域が抱える社会課題の解決に取組み、社会の持続的発展への貢献を目指します。
b.推進体制
サステナビリティ課題のうち、当社グループとして優先的に取組むべきものをマテリアリティとして特定し、企業運営に反映させます。なお、マテリアリティは必要に応じて、サステナビリティ推進委員会が見直し、取締役会への報告を行います。
個別のサステナビリティ課題についての目標と取組み進捗状況については、取締役会がモニタリングを行います。
(b)特定したマテリアリティ
当社のサステナビリティ基本方針に基づき、近年の社会環境の変化、社会的要請を踏まえ、更なる企業価値の向上を推進するため、事業活動と社会課題の関連性を明確にし「事業活動を通じた取組み」及び「持続可能な社会」の実現に資する重要課題として、下記4項目を特定いたしました。
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マテリアリティ |
当社の目指す方向性 |
主な取組み事例 |
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地球環境への貢献
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・廃棄物排出量低減 ・再生可能エネルギーの活用 ・廃棄物のリサイクル促進 ・グリーン購入の推進 ・CO2排出量の削減 |
・3Rの向上 ・太陽電池モジュールの活用 ・環境配慮型材料の提案とグリーン商品の購入促進 ・エシカル消費の推奨 ・ISO14001の認証取得継続 |
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責任ある供給体制の構築
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・ICTによる事業活動の最適化と改善 |
・社内におけるDX推進 (生産管理システム、在庫管理システム等の拡充) |
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ステークホルダーとのパートナーシップ
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・企業間パートナーシップの構築 ・地域社会との共生と社会貢献の推進 |
・お取引先企業様とSDGsに関わるテーマについて活動 ・近隣地域の雇用創出やボランティア活動推進 |
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魅力ある職場の実現
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・社員の健康増進と安心安全な労働環境の確保 ・ワークライフバランスの推進 |
・健康維持と健康増進の促進、検診率向上 ・働き方改革の推進 |
② 人的資本に関する戦略
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、当社の創業の精神である、「人」は「財」なり、「財」は「人」作りなり、との思いのもとで人材育成に注力しております。当社グループは現在グループ業容の拡大を目指し歩み始めており、まずは当社を支える人材の確保が最重要課題と認識しております。その中で多様性の確保も同時に実現するため、女性・外国人・中途採用者を積極的に採用し、中長期的な企業価値向上につなげてまいります。
(3)リスク管理
当社グループは、サステナビリティを推進しないことが企業存亡のリスクとなると捉え、その推進については優先的に取組むべき課題としてマテリアリティを特定し、当該事項に基づいております。
マテリアリティの特定・評価プロセスについては、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会において、リスク及び機会を分析、課題を抽出し、優先順位を議論のうえ、取締役会で決議をするという体制を構築しております。
また、サステナビリティ関連のリスク及び機会の管理についてはマテリアリティに基づき、サステナビリティ推進委員会において議論し、必要に応じ見直しを実施したうえで具体的な取組みを策定しております。また、個別のマテリアリティについては取締役会がモニタリングを行い、その進捗状況について確認を行うとともに、マテリアリティの見直し等についても助言を行います。
(4)指標及び目標
① サステナビリティに関する指標及び目標
当社グループは、上記「(2)戦略」において記載したマテリアリティに基づき、施策や取組みを実施しておりますが、具体的な数値の算定、モニタリングに時間を要しており、対外的に開示可能な指標及び目標の設定については今後の検討課題であります。
② 人的資本に関する指標及び目標
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。
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指標 |
対応施策 |
目標 |
実績(当事業年度) |
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マネジメント総合職制度を前期より採用 |
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リファラル採用制度の活用、採用チャネルの強化 |
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なお、当該指標及び目標につきましては、提出会社のものを記載しております。当社グループ会社につきましてはグループ化して日が浅いこと、また立地の地域特性等があるため、今後連結グループとして開示するための体制構築と指標作成を検討してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、ここに記載されたものが当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1)当社グループの事業環境について
① 商品市場の動向変化に伴うリスク
当社グループの主力製品である液晶ディスプレイ用部材及びタッチパネルセンサー基板は、ディスプレイ市場の動向により需要が変動いたします。当社グループでは、急激な需要の増減に耐え得る生産ラインの構築に取組んでおりますが、想定を上回る変動が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。そのため、当社では市場動向に十分注意を払っております。
② 特定の製品依存リスク
当社グループの売上高は、ディスプレイ関連商品の比重が高くなっており、当該商品の売上高が大きく減少した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。その中でも車載関連向け商品の比率が上昇しており、世界的な半導体不足の影響による車両製造台数減少の影響を受ける可能性があります。今後、売上高の多様化に向けて研究開発等に注力を行ってまいります。
③ 原材料の調達リスク
当社グループの使用する原材料についても、クロスボーダーでの調達が増加しております。このため、世界的な景気動向あるいは原油価格等のエネルギー価格等の影響を受けるおそれがあるため、調達ルートの多様化を推し進めておりますが、想定を上回る困難が生じた場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
④ 製品の品質に関するリスク
当社グループは、グループを挙げて製品の品質維持・管理に取組んでおりますが、万一、製造物責任に関わる製品事故が発生した場合、賠償費用の発生により、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、品質マネジメント委員会の設置、契約内容の精査、保険での対応等不測の事態に備えております。
⑤ 災害によるリスク
当社グループの主力製品生産拠点は、姫路市、たつの市等兵庫県西播地域に集中しており、地震や停電その他の災害が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。そのため、災害情報あるいはハザードマップ等について最新の情報を入手し、災害への備えを怠らないよう準備対応を行っております。
⑥ 感染症リスク
インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症が拡大した場合、当社グループ、取引先における事業活動の制限等の影響により、当社グループの業績等に影響が生じる可能性があります。当社グループとしましては、十分な予防措置を講じ、従業員の安全と企業の生産性の両立に努めてまいります。
(2)特許権等の取得方針について
当社グループの内製生産技術は、設立以来、永年の経験に基づき構築してきた技術でありますが、特許権等の取得には馴染まない技術が多く含まれております。特許を取得した場合、生産方法が推定され、生産工程を模倣される危険性があります。
当社グループでは、現在のところ、精密貼合技術等を中心とした内製生産技術に関する特許権等の取得は不要であると考えており、これらの生産技術の外部流出防止策として、従業員との機密保持契約の締結、生産工程の外部遮断等、技術全体のブラックボックス化を行っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症法上の分類が5類に変更され、感染状況に景気が左右されることのないアフターコロナ期に突入しました。こうした中で年度前半は、サービス消費の回復等に支えられ、緩やかな景気回復基調が続きました。しかし、年度後半は、高インフレや海外経済の減速が悪影響となる中、一部自動車メーカーの品質不正問題や能登半島地震等の下押し要因も重なり、景気の減速感が強まりました。
このような環境の中、精密貼合及び高機能複合材部門におきましては、自動車業界及びエレクトロニクス業界でのディスプレイ化、タッチパネル化ニーズを取込み、当社の精密貼合技術を活用した加工ビジネスに注力してまいりました。しかし車載関連、エレクトロニクス関連の受注状況は、新興国勢力の台頭及び不安定な外国為替の影響により商流が変化しており、受注環境は厳しい状況となっております。環境住空間及びエンジニアリング部門におきましては、太陽光発電事業は引き続きOEM供給を中心とした生産を実施、エンジニアリング部門では、機械製造販売子会社のプレマテック株式会社との協業を推し進めており、半導体液晶関連設備・各種自動化設備の受注に向けて取組みを強化しております。
また、当連結会計年度より、株式会社東陽社製作所を株式取得のため連結の範囲に含めており、当連結会計年度においては貸借対照表のみ連結しております。
この結果、当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,602百万円増加し、18,436百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,148百万円増加し、8,443百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ453百万円増加し、9,993百万円となりました。
また、当連結会計年度における経営成績は、売上高13,248百万円(前年同期比19.3%減)、営業利益686百万円(同19.7%減)、経常利益742百万円(同15.1%減)を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は574百万円(同18.8%減)となりました。
セグメントの経営成績は以下のとおりであります。
精密貼合及び高機能複合材部門
国内外におけるディスプレイ・タッチパネル市場は、引き続き各分野でデジタル化が進むことにより、市場規模は拡大基調となっております。一方で、新規参入企業の増加あるいは海外企業の躍進等もあり、市場での競争はより激しくなっております。また、外国為替の影響によりグローバルに製造を実施していた完成品メーカーが商流を見直す等、当社の受注に影響を及ぼす事象も発生しております。今後もセンターインフォメーションディスプレイ、メータークラスターパネル、各種スイッチ類等自動車の電子化・ディスプレイ化は確実に進むことから市場の拡大傾向は続き、スマートフォンの高度化、ディスプレイサイズの大型化等の市場も拡大する中で、当社は精密貼合技術により一層磨きを掛け、最先端生産設備の開発・導入による生産の高度化を実施することにより、難易度の高い技術を求められる用途製品の受注・開発に取組んでおります。また、自動車関連ビジネスでは、電動化・自動化が進む中で新たな部品ニーズも発生することから、新たに連結対象となった株式会社東陽社製作所の活用も行い、ビジネスを拡大してまいります。
この結果、売上高8,295百万円(前年同期比27.2%減)、セグメント利益(営業利益)135百万円(同47.5%減)となりました。
環境住空間及びエンジニアリング部門
太陽電池の国内市場は、国内制度の変更あるいは海外メーカーの台頭により、国内メーカーにとっては厳しい状況が続いております。そのため当社グループも、コスト削減を進めながら、OEM供給を主軸とし、その中でも製品開発・用途開拓等の開発要素が大きいものに注力してまいりました。エンジニアリング部門においては、子会社プレマテック株式会社での半導体液晶関連向け装置の受注が順調に推移しております。また、メカトロニクス技術を活用した省人化あるいは省エネルギー化設備の受注にも引き続き注力しております。
この結果、売上高4,952百万円(前年同期比1.3%減)、セグメント利益(営業利益)545百万円(同7.7%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、5,168百万円(前期末比1,471百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、1,598百万円(前連結会計年度は1,166百万円の獲得)となりました。
これは主として、法人税等の支払額212百万円があったものの、減価償却費525百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、372百万円(前連結会計年度は69百万円の使用)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出341百万円があったものの、有形固定資産の売却による収入16百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、234百万円(前連結会計年度は703百万円の使用)となりました。
これは主として、長期借入金の返済による支出654百万円があったものの、長期借入れによる収入800百万円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
精密貼合及び高機能複合材部門(千円) |
7,605,832 |
△28.0 |
|
環境住空間及びエンジニアリング部門(千円) |
3,818,024 |
△0.6 |
|
合計(千円) |
11,423,857 |
△20.7 |
(注)金額は製造原価によっております。なお、セグメント間の取引については相殺消去しております。
ロ.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
精密貼合及び高機能複合材部門 |
8,295,641 |
△27.2 |
- |
- |
|
環境住空間及びエンジニアリング部門 |
4,191,079 |
△21.2 |
742,775 |
△50.6 |
|
合計 |
12,486,720 |
△25.3 |
742,775 |
△50.6 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
精密貼合及び高機能複合材部門(千円) |
8,295,641 |
△27.2 |
|
環境住空間及びエンジニアリング部門(千円) |
4,952,621 |
△1.3 |
|
合計(千円) |
13,248,262 |
△19.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 令和4年4月1日 至 令和5年3月31日) |
当連結会計年度 (自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
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AGC株式会社 |
4,376,173 |
26.7 |
3,400,328 |
25.7 |
|
株式会社リョーサン |
2,752,741 |
16.8 |
- |
- |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態の分析
当連結会計年度より、株式会社東陽社製作所を株式取得のため連結の範囲に含めており、当連結会計年度においては貸借対照表のみ連結しております。それに伴う資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。
(資産)
流動資産は9,385百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,340百万円の増加となりました。これは主に受取手形、売掛金及び契約資産の減少189百万円があったものの、現金及び預金の増加1,501百万円があったことによるものであります。
固定資産は9,051百万円となり、前連結会計年度末に比べ262百万円の増加となりました。これは主に建物及び構築物の減少180百万円があったものの、土地の増加446百万円があったことによるものであります。
この結果、総資産は18,436百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,602百万円の増加となりました。
(負債)
負債は8,443百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,148百万円の増加となりました。これは主に長期借入金の減少607百万円があったものの、1年内返済予定の長期借入金の増加752百万円、支払手形及び買掛金の増加305百万円があったことによるものであります。
(純資産)
純資産は9,993百万円となり、前連結会計年度末に比べ453百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加402百万円があったことによるものであります。
ロ.経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの経営成績等は、売上高13,248百万円(前年同期比19.3%減)となりました。販売費及び一般管理費は1,134百万円(同2.1%減)となり、営業利益は686百万円(同19.7%減)となりました。また、売上高営業利益率は5.2%(前連結会計年度5.2%)となりました。営業外収益は74百万円(前年同期比81.2%増)、営業外費用は17百万円(同15.4%減)となり、経常利益は742百万円(同15.1%減)となりました。また、売上高経常利益率は前連結会計年度に比べ0.3ポイント増加の5.6%となりました。
固定資産売却益13百万円、負ののれん発生益11百万円を計上した結果、税金等調整前当期純利益は766百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は574百万円(前年同期比18.8%減)となりました。なお、1株当たり当期純利益は20.09円となりました。
当社グループの主力事業である精密貼合及び高機能複合材部門におきましては、自動車業界あるいは医療機器業界等の高付加価値マーケットでのディスプレイ化の進展に伴い、ビジネスを拡大してまいりました。一方で、自動車業界等の高付加価値マーケットは商流がグローバルであるため、昨今の地政学的リスクあるいは外国為替の影響による商流の変更が見受けられます。更に、車載用途市場では、受注競争が激しいことから価格競争が激化しており、当社グループも苦戦を強いられております。今後も、精密貼合技術やメカトロニクス技術を複合的に活用し、新規生産設備の導入による生産の高度化を実施することにより、難易度の高い技術を求められる用途製品の開発に取組みます。
この結果、売上高8,295百万円(前年同期比27.2%減)、営業利益135百万円(同47.5%減)となりました。
また、環境住空間及びエンジニアリング部門におきましては、半導体液晶関連向け装置の受注が順調に推移しており、今後の業務展開を更に拡大してまいります。環境住空間ビジネスについては堅実な受注が継続しており、製品開発・用途開拓等の開発要素が大きいものに注力してきたことが奏功し、引き続き安定的な推移を見込みます。
この結果、売上高4,952百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益545百万円(同7.7%減)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症については、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性を慎重に判断しておりましたが、幸い、当社販売先又は仕入先等での重大な事象も発生しなかったため、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローは特段の影響を受けることはなかったと判断しております。また、今後影響を及ぼす事象があれば、その内容につき財政状況等を見直すべきと勘案しますが、現時点で当社に具体的な影響を及ぼす事象はございません。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は5,168百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,471百万円増加いたしました。これは投資活動の結果使用した資金が372百万円あったものの、営業活動の結果得られた資金及び財務活動の結果得られた資金がそれぞれ1,598百万円及び234百万円あったことによるものであります。
上記の他、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
ロ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、人件費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、研究開発投資等であります。当社グループは、営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に、将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。
なお、当連結会計年度末における長短借入金及び社債の残高は、それぞれ5,187百万円及び360百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,168百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④ 経営上の目標の達成・進捗状況
当社グループは、収益性の向上を重視しており、生産性の向上、新製品開発及び営業力の強化を徹底し、経常利益率7%以上を確保することを経営指標としております。当連結会計年度における経常利益率は5.6%(前年同期比0.3ポイント増)となりました。また、当社グループは自己資本比率を財務の健全性の指標と認識しております。当連結会計年度における自己資本比率は53.5%となりました。引き続き、これらの指標について改善されるよう取組んでまいります。
当社は、令和6年3月13日開催の取締役会において、株式会社東陽社製作所の株式を取得し、子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結し、令和6年3月25日付で株式を取得いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
今日のような、急速な市場の変化や企業間競争が激化している環境下におきましては、研究開発部門と営業部門とが緊密な連携をとり、迅速な経営判断を行っていくことが不可欠であります。当社グループでは、各部門が連携した研究開発体制を構築しており、グループ全体で23名(従業員の9.5%)のスタッフが研究開発に携わっております。
事業創出本部内には先端技術開発室と事業化推進部を設置し、先端技術開発室では新たな材料やプロセスに対する原理検証等を、事業化推進部では顧客依頼の試作から量産立上げ、社内の加工設備の新設・改造等をそれぞれ担当しております。
現在、将来の成長を担う新規事業を創出することを目的として、市場のニーズに的確に対応した新たな高付加価値製品を作り出すための研究開発に日々取組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
セグメント別の主な研究内容及び研究開発費は以下のとおりであります。
(1)精密貼合及び高機能複合材部門
「精密貼合技術」に関する研究開発
新規の機能性材料、異種材料の接合、曲面への対応等、市場の新たなニーズに対応すべく、精密貼合技術の高度化に取組んでまいりました。高精細ディスプレイに求められる高精度な位置合わせや、自動車や航空機、船舶、医療等に求められる高い信頼性、宇宙空間利用等の厳しい環境下での機能性発揮等を満足すべく、新規の設備、条件、材料の検討を日々行っております。
今後も、量産稼働に伴い得られた情報をもとに調整や改造を行い、次の技術へ繋げてまいります。
当部門に係る研究開発費は
(2)環境住空間及びエンジニアリング部門
「クリーンエネルギー」に関する研究開発
太陽光発電システムの応用性拡大や発電効率向上を目的として、太陽光発電モジュールの材料の組合せや形状の変更、新しい素材の開発等、太陽光発電に関する様々な研究に取組んでおります。
当連結会計年度におきましては、ペロブスカイト太陽電池の封止技術開発、車載用軽量モジュールの試作、フィルムモジュールの設計、試作を行いました。
「機械装置の製造」に関する研究開発
製造装置の分野において、優位性の高い製造装置の製作に取組んでおります。産学連携等を通じて新しい技術等を機械装置に応用すべく研究開発を重ねています。
今後も、量産稼働に伴い得られた情報をもとに調整や改造を行い、次の技術へ繋げてまいります。
当部門に係る研究開発費は