当連結会計年度における世界経済は、欧州では足踏みが続くものの、国内や米国では緩やかな回復基調が継続しました。
国内では、当社インダストリアル機器部門に関連する新設住宅着工戸数は持家や分譲を中心に前連結会計年度に対して減少し、非居住建築物の着工床面積も低調に推移しました。米国では、非住宅に対する建設投資が堅調に推移し、足元では住宅着工にも持ち直しの動きがみられました。欧州は、先行きに対する懸念が払拭できない状況が継続し、特にドイツや北欧では住宅市況の低迷が顕著となりました。
また、為替の変動や原材料価格の高止まりが、引き続き企業収益に影響を与えました。
当社は、お客様への価値を追求し続けることで、事業のさらなる成長と企業価値の向上を目指しております。当社の経営理念として、社是を次のように定めております。
一、良い製品を責任をもって供給する
一、全従業員の生活の向上と人材の養成に努める
一、社会に奉仕し、文化に貢献する堅実な前進を期する
また、当社は、人が尊重され、人が成長することにより、会社も成長すると考えており、社是の実現に向けた経営基本姿勢を次のように定めております。
いきいきと楽しく力を合わせ、皆揃って成長していく集団を目指す
1.ガラス張りの経営に徹する
2.全員参画の経営に徹する
3.成果配分の経営に徹する
当社の使命は、当社の持てる能力や技術を最大限発揮し、お客様や社会が求める良い製品を創り出し継続的に供給することです。この使命を果たすことを通じ社会の持続性への貢献と堅実に存在し続ける企業の実現を目指しております。
為替や原材料価格などの変動による企業収益への影響は大きくなり、スピードある対応が求められる中、全社一丸となった取り組みにより、当期は過去最高の売上高、営業利益、経常利益及び当期純利益を達成することができました。
当社グループでは、持続的な成長による企業価値の更なる向上のため、2030年度に目指す姿を掲げました。2030年度は、売上高110,000百万円超、営業利益20,000百万円超、ROEは12%超、PBR2倍超、海外売上高比率55%超を目指します。
2024年4月28日に発表した2025~2027年3月期中期経営計画は、2030年度に目指す姿に向かうための計画です。この中期経営計画は、「未来を創る」をテーマとして、事業戦略、経営基盤強化戦略、成長投資戦略の3つの基本戦略を軸に立案しております。立案した戦略を実行することで、事業収益力と資本収益性を向上させ、企業価値の高いマックスを創ってまいります。
中期経営計画の3つの基本戦略の内容は、以下に掲げるとおりであります。
(1)事業戦略
最重要事業である鉄筋結束機事業では、製品の競争優位をさらに強化しながら、主力市場である欧米での販路拡大、ディーラー育成、新規ユーザーの獲得、オセアニア・韓国での普及拡大、ASEAN・中東での新規市場探索を進め、海外事業の拡大を牽引していきます。また、需要に応じた生産体制の検討、製品ラインナップの拡充を随時進めてまいります。
オフィス事業ではペーパーレス化の影響を受ける文具関連製品から表示作成機「ビーポップ」をはじめとする文字表示機器へ活動をシフト、住環境機器事業では既設の浴室暖房・換気・乾燥機の置き換えを提案するリフォーム・リプレイスのストックビジネス拡大など、ビジネスモデルの変革を継続し、さらに推進していきます。また、DX投資によりお客様とのコミュニケーション強化と営業活動の効率化を両立させて、国内事業を基盤事業として強化していきます。
将来の収益の基盤となる事業の創出に向け、開発本部及び営業本部内の新技術・新規事業を企画する部門を中心に外部企業とも協業しながら、新規事業の創出・探索を推進していきます。当連結会計年度までに行った社内ビジネスコンテストなどから得た新規事業アイデアの事業化シナリオを検証し、事業化に向けた活動を加速してまいります。
(2)経営基盤強化戦略
サステナビリティに関する基本方針「マックスは事業の成長を通じて、持続可能な社会の実現に貢献します」の実現に向け、人を活かす企業の実現などのマテリアリティを軸とした取り組みを実践してまいります。具体的には、CO₂排出量削減取り組みの強化、環境配慮型製品の開発推進、人権デューデリジェンスの実施、女性の活躍推進環境の整備、取締役会実効性評価の継続などに取り組んでいきます。
4つのDXテーマ「製品・サービスDX」、「生産・品質保証DX」、「データ・業務基盤DX」、「人・組織DX」を基に戦略を推進し、DXビジョン「つながるDXで新たな感動を生み出す」を実現していきます。
事業戦略を実現するための生産規模拡大や自動化による生産性向上により製造基盤を強化してまいります。
(3)成長投資戦略
事業成長の柱となる海外事業の拡大を中心にM&Aを含めた必要な投資を検討・実行してまいります。
持続的な成長の基盤となる研究開発投資を積極的に進め、各事業別に必要となるコア技術を獲得し、お客様への新しい価値を提供してまいります。
目標とする経営指標は、以下のとおりです。
また、セグメントごとの計画は以下のとおりです。
当社グループを取り巻く事業環境は、景気が緩やかに回復していくことが想定される一方で、原材料価格の高止まりやウクライナ情勢の長期化、欧州の景気低迷、中国経済の先行き懸念など、依然として不透明な状況が続いています。
2025年3月期の売上高は89,800百万円(前期比+3.6%)、営業利益は13,000百万円(同+3.2%)、経常利益は13,000百万円(同△5.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,000百万円(同△4.2%)を計画しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)マックスのサステナビリティに関する考え方及び取組
当社が考えるサステナビリティへの取組とは、「社是」の実現に向けた我々の活動プロセスそのものと考えております。
当社の使命は、当社の持てる能力や技術を最大限発揮し、お客様や社会が求める良い製品を創り出し継続的に供給することです。この使命を果たすことを通じて社会の持続性への貢献と堅実に存在し続ける企業の実現を目指し、サステナビリティに関する基本方針を以下のとおり定めております。
マックスは事業の成長を通じて、持続可能な社会の実現に貢献します。
1.人を尊重し、多様な人の能力を引き出し、人を活かします。
2.継続的に人と技術に投資し、新しいモノ・コトを創造します。
3.人にやさしく環境に配慮した製品・サービスを世界中の人々に届けます。
4.成果は公正・適正に分配します。
5.ステークホルダーと適切に対話を行うとともに、ガバナンスを高め続けます。
当社は、サステナビリティに関する活動を推進するため、取締役会の監督の下、サステナビリティ戦略決定機関として、サステナビリティ委員会(委員長:代表取締役社長)を設置し、サステナビリティ委員会の下部組織として、サステナビリティに関する諸活動を推進するサステナビリティ推進委員会(委員長:サステナビリティ担当取締役)を設置しております。
サステナビリティ委員会は、認識した課題、審議状況等を取締役会に報告します。また、認識した課題は、中期経営計画及び事業計画に反映させ、サステナビリティに関わる活動と事業戦略を統合して持続的な企業価値向上を実現していきます。

https://www.max-ltd.co.jp/about/sustainability/esg/about_sustainability.html
②戦略
当社は、サステナビリティ経営を推進する上で、ステークホルダーにとって重要であると同時に、当社にとって経営インパクトの大きい課題として、5つのマテリアリティ「人を活かす企業の実現」、「持続可能な地球環境への貢献」、「『暮らしや仕事を楽に、楽しく』の実現に向けたイノベーションの推進」、「責任ある供給の確保」、「ガバナンスの維持・強化」を設定しました。
これらのマテリアリティを当社が事業を通して取り組むべき重要課題として認識し、解決に向けた活動や事業活動を推進することで、新たな事業成長の機会を見出し、企業価値の向上を図ってまいります。
マテリアリティの特定にあたっては、SDGsや国連グローバル・コンパクト、ISO26000、GRIスタンダード等の国際的な枠組みや、幅広いステークホルダーの視点と、企業へのインパクトの視点の双方を考慮しました。その上で、役職員向けアンケートの実施、社外役員や外部有識者との意見交換等、社内外で積極的に議論を重ね、取締役会での承認を経て、マテリアリティを特定しました。
■STEP1 社会課題の抽出
サステナビリティ推進委員会の前身である、執行役員を中心とする「サステナビリティ小委員会」を設置し、国際的なガイドライン、SDGsなどを参照・分析し、社会課題を抽出しました。
■STEP2 社会課題の重要度評価
STEP1で抽出した社会課題について、「ステークホルダー(社会)にとっての重要度」と「当社グループにとっての重要度」の視点から重要性が高い課題を特定しました。
■STEP3 施策の検討と妥当性評価
STEP2で特定した課題に対して、中期経営計画との関連性も踏まえながら施策を検討するとともに、評価の妥当性を確認するため、外部有識者にも意見を伺い、課題の見直しを実施しました。
■STEP4 マテリアリティ(重要課題)の特定
取締役会での審議・検討のもと、当社が事業を通して取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を以下のとおり定めました。
マテリアリティ(重要課題)
※ CO2排出量及び再資源化率の数値に関しては、2023年3月期の実績となります。
当社のサステナビリティに関するリスクの識別、評価及び管理は、サステナビリティ委員会の下部組織であるサステナビリティ推進委員会が中心となって推進し、サステナビリティ委員会で審議・決定します。サステナビリティに関する取り組みの進捗・結果は、取締役会に報告するとともに、中期経営計画及び事業計画の検討に反映させつつ、会社の企業倫理、法令遵守、リスク管理等を推進する機関であるコーポレートガバナンス委員会(社外取締役を含む全取締役が出席、年4回開催)と連携を図り、全社のリスク管理と統合します。
当社のサステナビリティに関する指標と目標は、「(1)マックスのサステナビリティに関する考え方及び取組 ②戦略」に記載しておりますので、ご参照ください。
(2)気候変動(TCFD)への対応
当社は、2022年9月に取締役会の決議を経て、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同することを表明しました。気候変動問題への対応が重要な経営課題の一つという認識のもと、気候変動に関わるリスクや機会などの特定とその対応等、温室効果ガス(当社から排出される温室効果ガスの殆どがCO2である事を鑑み、以下文中ではCO2と記載しますが温室効果ガスと同義です。)の削減に向けた取り組みと情報開示を推進しております。
①ガバナンス
当社は、気候変動問題を含むサステナビリティに関する活動を推進するため、取締役会の監督のもと、サステナビリティ戦略決定機関としてサステナビリティ委員会(委員長:代表取締役社長)を設置し、また、サステナビリティ委員会の下部組織としてサステナビリティに関する諸活動を推進するサステナビリティ推進委員会(委員長:サステナビリティ担当取締役)を設置しています。
サステナビリティ委員会は、その審議状況や認識した気候変動に関わるリスク及び機会について、取締役会に報告を行うとともに、中期経営計画及び事業計画に反映させ、サステナビリティに関わる活動と事業戦略を統合して持続的な企業価値向上を図っていきます。
気候変動に関わる諸活動は、取締役会の監督のもと、サステナビリティ委員会を中心に推進する体制としています。
② 戦略
気候変動のリスク及び機会が当社にもたらす影響について、シナリオ分析を行いました。
シナリオ分析においては、外部専門家を活用しながら、気候変動に関するリスクと機会の識別及び重要度評価、シナリオ群の定義、事業/財務インパクトの定量評価、ならびにリスクと機会を踏まえた対応策について検討を行いました。
また、複数の温度帯のシナリオを選択・設定するため、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、IEA(国際エネルギー機関)等の科学的な情報に基づく以下2つのシナリオにおける世界観を描き、当社グループへの影響を考察しました。
シナリオ分析の結果、いずれのシナリオのもとでも、当社はレジリエントな経営を行うことが可能と確認しました。
1.5℃シナリオでは、脱炭素化に向けた規制の強化が想定され、炭素税の導入や原材料価格の高騰、より脱炭素を意識した製品・サービスの創出が求められます。一方、4℃シナリオでは物理的リスクの影響が高まり、工場の操業停止やサプライチェーンの寸断といったリスクへの対応とともにインフラの強靭化ニーズへの対応が必要となります。
分析詳細
※ 当社では、気候変動に伴うリスク及び機会の評価にあたり、以下のように時間軸を設定しています。
短期:~2年程度
中期:3~10年程度
長期:10年程度~
③リスク管理
サステナビリティに関する諸活動の一つとして、マテリアリティの特定を実施した結果、気候変動への対応は、ステークホルダーの観点及び自社の観点から重要度が極めて高い課題と位置付けています。
気候変動に関わる活動は、サステナビリティ委員会の下部組織であるサステナビリティ推進委員会が中心となり、リスクの識別、評価及び管理を推進し、サステナビリティ委員会で審議・決定します。
シナリオ分析においては、定期的に新たな規制上の評価等、各リスクの事業/財務インパクトを定量的に評価し、リスクの管理を行います。
気候変動リスク評価の結果は、取締役会へ報告するとともに、中期経営計画及び事業計画の検討に反映させつつ、会社の企業倫理、法令遵守、リスク管理等を推進する機関であるコーポレートガバナンス委員会(社外取締役を含む全取締役が出席、年4回開催)と連携を図り、全社のリスク管理と統合します。
④ 目標と実績
2023年3月期のCO2排出量は、SCOPE1(事業による直接排出)は1,770t、SCOPE2(電力消費による間接排出)は13,658t、SCOPE3(SCOPE1,2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出))は2,848,031tでした。なお、SCOPE3のうち、カテゴリー11(販売した製品の使用による排出)は2,515,136tでした。
当社は、SCOPE3カテゴリー11でのCO2排出量が多いことを踏まえ、気候変動に関わるリスクの最小化のため、CO2排出量を指標として、以下の中長期目標を掲げております。

(3)人的資本
①戦略
当社グループは、「人」が尊重され、「人」が成長することにより、会社も成長すると考えます。この考えのもと、「人を活かす企業の実現」をマテリアリティのひとつに設定し、すべての人材が個々の能力を最大限発揮し、意欲とやりがいを持って働くことができるよう、人材育成制度の充実などの環境整備を図っています。
また、「人に関する基本方針」として、「人を信じ、活かす経営」を基本ポリシーに掲げ、目指す人材像及び人事施策運営方針を以下のとおり定めております。
目指す人材像
『失敗を恐れず挑戦し続け、共に学び、成長を目指す人』
1. 人を信頼し、人から信頼され、そして信頼に応える人
2. 考え抜き、前に踏み出す人
3. 主体性を発揮し、チームで協働する人
4. 事実を共通価値とし、衆知を集め、未知を既知とする人
5. 先進半歩の精神を持ち、仕事を通じ自己を無限に進化させる人
6. グローバル人材として幅広い知見と専門性を持ち、工夫を怠らない人
人事施策運営方針
(人権・人格・個性の尊重)
人間尊重の精神に基づき、働くすべての人の人権・人格・個性を尊重します。
(基本は人の成長)
働く人が共に育つ「共育」の実現を目指します。成長に向け努力する人に対し投資するとともに、人材の発掘に努めます。
(育成のための評価)
評価の目的は、人材育成と公正な処遇の実現です。評価は、結果のみではなく、意欲、挑戦、行動など、プロセスも加味します。
(処遇)
100%マキシマムを発揮し挑戦し続けられるとともに、頑張りがいのある制度を目指します。
(強い組織作り)
会社の持続的な発展のため、環境変化に強く、効率的な組織を追求します。
(職場環境の開発)
仕事に打ち込みつつ、生活との調和を実現するため、より働きやすい環境をつくります。
(健康の充実)
社員の健康は会社経営の基盤です。長期にわたり活躍できる、心・身体の健康づくりを支援します。
当社グループでは、「人に関する基本方針」に基づき、以下の取り組みを行っています。
1)多様な人材の活躍(ダイバーシティ推進の取り組み)
当社グループでは、多様な人材や価値観を取り入れ、新たな価値創造に活かすことが重要であるとの考えのもと、様々なダイバーシティの推進に取り組んでおります。
当社グループでは、性別及び国籍を問わず採用を行っております。また、海外現地法人では現地の方の登用を積極的に行っており、グループで国籍の多様性を確保しています。中途採用は、その時々の組織ニーズに合わせて行っています。女性の活躍推進については、当社における新卒採用の女性採用比率を高める取り組みを行っています。理系女性の増加を背景に、技術系女性の採用を継続しています。また、女性管理職については、当社グループの女性管理職比率の向上が課題と捉えており、女性管理職比率の向上を目指しております。
2)人権の尊重
当社グループは「グループ社員行動規範」において、「個人の尊厳と権利を尊重し、国籍、人種、民族、性別、宗教、年齢、学歴、思想、信条、社会的身分、疾病、障がい、身体的特徴、社会的弱者などのいかなる事由によっても不当な差別を行いません」と定めております。
また、人権尊重はすべての企業に求められるグローバルな行動基準と捉え、「マックスグループ人権方針」を定めています。創業以来の基本精神である「人間尊重」と人権方針に基づき、人権尊重への取り組みを進め、社会から信頼される企業を目指します。
具体的には、人権尊重の責任を果たすため、人権への負の影響の特定、予防及び軽減を図る人権デューデリジェンスの取り組みをスタートしました。今後事業領域やサプライチェーンを俯瞰した人権リスクの洗い出しを実施し、リスクの重要度を評価したのち、優先課題の抽出、具体的な対策の検討を行ってまいります。また、ハラスメントなどをテーマにしたコンプライアンス勉強会も開催しております。
3)ワークライフバランスの推進
当社グループでは、多様な人材が働きやすく、能力を最大限発揮できる職場環境づくりを目指し、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みを強化しています。その推進にあたっては、フレックスタイム制や時間単位の年次有給休暇制度を導入しているほか、育児休業後の時短勤務期間を子どもが中学校に入学するまでとしています。
②指標及び目標
当社グループでは、2「サステナビリティに関する考え方及び取組」(1)マックスのサステナビリティに関する考え方及び取組 ②戦略の「マテリアリティ(重要課題)」において記載した、「人を活かす企業の実現」について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
※ 2024年4月1日入社の新卒採用者における女性比率の実績です。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業のうち、インダストリアル機器事業の主要製品には、建築市場向けの釘打機、エアコンプレッサ等の空圧機械、充電工具、ステープル・ネイル・ねじ等の消耗品、浴室暖房換気乾燥機、24 時間換気システム等の住環境機器が含まれております。そのため、国内の新設住宅着工戸数の減少は、これらの製品の需要及びインダストリアル機器事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があり、増加は好影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおける海外への売上、海外からの調達等には、外貨建取引が含まれています。外貨建の売上と調達を相殺することにより影響を軽減しておりますが、急激な為替レート変動は業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品のうち、ステープル・ネイル・ねじ及び鉄筋結束機用ワイヤ等の消耗品の原材料として普通線材を使用しております。その普通線材の価格が、鉄鉱石や石炭、石油などの原料不足や他国の需要動向により変動する可能性があります。当社グループでは、収益力の強化に継続して取組んでおりますが、急激な原材料価格の上昇は業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、製品の品質を重視しており、開発・生産におけるISO9001の認証取得など、品質管理、品質保証の体制を整備しておりますが、全ての製品について欠陥が発生しないという保証はありません。製品の事故等が発生した場合は、顧客への告知及び製品の点検又は回収などの費用が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、顧客情報の機密性や受注情報の可用性については、「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」の認証取得(ISO/IEC27001を2004年4月27日に取得)などを通じ、情報セキュリティ維持向上を目指しております。また、情報セキュリティ基本方針を定めるなど、ISMSリスク対応計画を立案し、人的、組織的、物理的、技術的に顧客情報漏洩対策を実施しております。システムの破壊・破損に対しても、事業継続計画を策定し訓練を実施しておりますが、情報漏洩やシステム破壊・破損が発生した場合、事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、他社と差別化した技術・ノウハウの蓄積やお客様のニーズに適合した製品開発等により、マックスブランドを通し、お客様の信頼を高めてきました。また、当社グループにおいて培った知的財産については、その重要性を認識し、保護手続をとっております。しかし、第三者による類似製品の製造を防止できない場合もあり、当社グループの市場競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループのビジネスを知的財産権で守る活動の中で、模倣品対策として、営業各部門によるマーケットや市場の監視を行い、当社知的財産権を侵害していると思われる製品が発見された場合には、その製品を入手し、販売業者及び製造業者を特定した後に、現地国の弁理士・弁護士に、当社知的財産権への侵害の鑑定を行っていただき、適切な処置を実施しております。また、第三者所有の知的財産を侵害することのないよう細心の注意を払っておりますが、知的財産を侵害しているとされる可能性もあり、そのことにより事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおける退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。また、割引率は日本の国債の市場利回りを考慮して設定しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件を変更した場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。割引率の低下や運用利回りの悪化は業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
事業展開地域の一部においては、予期しない法律や規制の変更など、経済的に不利な要因の存在または発生、テロ・戦争・その他の要因による社会的または政治的混乱などのリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化することによって、海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び将来計画に影響を与える可能性があります。
⑨自然災害や感染症等
地震や台風、洪水等の自然災害や感染症等が想定を超える規模で発生した場合、販売拠点や生産拠点の資産に対する被害や従業員による業務体制維持が困難になるなど、事業に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループではワークスタイル等の変革により生産・販売での影響を最小限に抑える取組みを進めてきました。しかし、新型コロナウイルスのような新たな感染症の流行によっては、今後の業績に更なる悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応については、各種事前対策を定めるとともに、状況に応じて臨機応変な対応に努めるなどリスク管理を行ってまいります。
また、「事業継続マネジメントシステム(BCMS)」の認証(ISO22301)を2016年3月25日に取得しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、欧州では足踏みが続くものの、国内や米国では緩やかな回復基調が継続しました。
国内では、当社インダストリアル機器部門に関連する新設住宅着工戸数は持家や分譲を中心に前年に対して減少し、非居住建築物の着工床面積も低調に推移しました。米国では、非住宅に対する建設投資が堅調に推移し、足元では住宅着工にも持ち直しの動きがみられました。欧州は、先行きに対する懸念が払拭できない状況が継続し、特にドイツや北欧では住宅市況の低迷が顕著となりました。
また、為替の変動や原材料価格の高止まりが、引き続き企業収益に影響を与えました。
このような状況の下で、当連結会計年度の売上高は86,638百万円(前期比2.8%の増収)、営業利益は12,601百万円(同26.9%の増益)となりました。経常利益は、13,717百万円(同30.5%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,435百万円(同37.0%の増益)となりました。
(単位:百万円、%)
1)売上高及び営業利益
当社グループの当連結会計年度の売上高は、86,638百万円で前連結会計年度に比べ2,322百万円(2.8%)の増収、営業利益は、12,601百万円で前連結会計年度に比べ2,675百万円(26.9%)の増益となりました。
営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。
2)営業外損益及び経常利益
営業外損益は、前連結会計年度に比べ531百万円増加しました。これは円安の進展を受け、前期より為替差益が増加したことによります。この影響により、経常利益は13,717百万円で、前連結会計年度に比べ3,206百万円(30.5%)の増益となりました。
特別利益は、前連結会計年度に比べ27百万円増加しました。これは、主に投資有価証券売却益が60百万円増加したことによるものです。
特別損失は、前連結会計年度に比べ165百万円減少しました。これは、主に減損損失が169百万円減少したことによるものです。
これらの影響により、親会社株主に帰属する当期純利益は10,435百万円で前連結会計年度に比べ2,816百万円(37.0%)の増益となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
「国内オフィス事業」は、前年上期に発生していた電子部品不足の解消により、チューブマーカー「レタツイン」の販売が堅調であったほか、表示作成機「ビーポップ」の消耗品の販売が増加しました。(売上高:7,626百万円、前年比+2.4%)
「海外オフィス事業」は、東南アジアの取引先における在庫調整の長期化の影響で、文具関連製品の販売が減少しました。(売上高:5,796百万円、前年比△5.7%)
「オートステープラ事業」は、上期は取引先の在庫調整により受注が停滞しましたが、下期は回復基調となりました。(売上高:7,583百万円、前年比△3.8%)
この結果、売上高は、21,006百万円で前連結会計年度に比べ476百万円(2.2%)の減収、セグメント利益は3,965百万円で前連結会計年度に比べ322百万円(7.5%)の減益となりました。
オフィス機器事業の資産は、2,496百万円増加し、25,225百万円となりました。
(単位:百万円、%)
(b)インダストリアル機器部門
「国内機工品事業」は、コンクリート建築物の着工床面積の減少など外部環境は厳しかったものの、鉄筋結束機の新製品「ツインタイアRB-442T」の拡販が進み、機械の販売が堅調に推移しました。(売上高:21,536百万円、前年比+1.1%)
「海外機工品事業」は、欧州では、建築市場の景況感の悪化により、主に機械の販売が減少しました。一方で、北米では、非住宅市場に対する建設支出の増加とプロモーションの実施などにより、鉄筋結束機「ツインタイア」及びその消耗品の販売が増加しました。(売上高:29,304百万円、前年比+7.6%)
「住環境機器事業」は、主力の浴室暖房換気乾燥機「ドライファン」の販売が、注力しているリフォーム・リプレイスのストック市場で伸長したほか、新築住宅市場でも堅調に推移しました。(売上高:11,551百万円、前年比+3.5%)
この結果、売上高は62,392百万円で前連結会計年度に比べ2,672百万円(4.5%)の増収、セグメント利益は12,691百万円で前連結会計年度に比べ3,258百万円(34.5%)の増益となりました。
インダストリアル機器事業の資産は、2,413百万円増加し、47,883百万円となりました。
(単位:百万円、%)
HCR機器部門は、病院・施設向けの車いすの販売が堅調に推移したことや、中国を中心とする海外向け販売の伸長により、増収となりました。
この結果、売上高は3,239百万円で前連結会計年度に比べ125百万円(4.0%)の増収、セグメント利益は△7百万円で前連結会計年度に比べ193百万円の増益となりました。
HCR機器事業の資産は、61百万円増加し、2,794百万円となりました。
(単位:百万円、%)
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
②財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ4,974百万円増加し、121,717百万円となりました。当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ5,966百万円減少し、21,870百万円となりました。当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ10,940百万円増加し、99,847百万円となりました。
(単位:百万円、%)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ、4,974百万円増加し、121,717百万円となりました。流動資産については、現金及び預金が4,008百万円、売掛金が825百万円増加したことなどにより、5,704百万円増加しました。固定資産については、建設仮勘定が633百万円、投資有価証券が706百万円増加しましたが、繰延税金資産が1,949百万円減少したことなどにより、729百万円減少しました。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ、5,966百万円減少し、21,870百万円となりました。流動負債については、未払法人税等が1,389百万円減少したことなどにより、1,363百万円減少しました。固定負債については、退職給付に係る負債が4,534百万円減少したことなどにより、4,603百万円減少しました。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ、10,940百万円増加し、99,847百万円となりました。株主資本は、剰余金の配当が3,689百万円、自己株式の取得2,433百万円などがありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が10,435百万円あったため、4,507百万円増加となりました。
その他の包括利益累計額については、為替換算調整勘定が2,533百万円、退職給付に係る調整累計額が2,720百万円増加したことなどにより、6,427百万円増加しました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、現金及び現金同等物に係る換算差額による増加1,383百万円を含めて、前連結会計年度末に比べ2,591百万円増加し、29,579百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、12,120百万円増加(前連結会計年度は8,248百万円の増加)となりました。主な増加は税金等調整前当期純利益が13,699百万円、減価償却費が3,054百万円、一方で主な減少は、法人税等の支払額が4,298百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、3,715百万円減少(前連結会計年度は1,085百万円の減少)となりました。主な減少は、有価証券及び投資有価証券の取得による支出が5,907百万円、有形固定資産の取得による支出が2,708百万円、一方で主な増加は、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入が6,484百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、7,196百万円減少(前連結会計年度は3,332百万円の減少)となりました。主な減少は、自己株式の取得による支出が2,433百万円、配当金の支払額が3,687百万円です。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析は次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告・販売促進費等のマーケティング費用です。当社グループの研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されておりますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めております。
当社グループは、今後も営業活動によって得る自己資金を基本的な資金源としながら、資金繰りの見通しや市場金利の状況を考慮し、必要に応じて銀行借入を活用することで資金調達コストを抑制し、資本効率の最適化を図ります。
運転資金及び設備投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローから得られる資金、金融機関からの借入れにより資金を調達しております。
当期の主な設備投資の内容は、本社販売関連で315百万円、国内の生産設備で1,129百万円、タイ工場の生産能力増強で935百万円となりました。研究開発では、全セグメント共通の研究設備新設に投資を行いました。
4)配当政策
当社は、株主の皆さまに対する利益還元を経営の最重要政策の一つとして位置付け、利益配分に関する基本方針を「事業活動による利益を持続的な成長により拡大し、長期安定的に利益配分を行うこと」としており、これに基づく配当政策を「連結決算を基準に、純資産配当率3.5%を下限として配当性向50%を目指す」と定めています。
配当政策及び当期の状況を踏まえて、当期の配当は、前期から23円増配の「1株当たり年間配当金101円」を予定しています。
また、足元の財務状況、事業収益力の向上、純資産配当率の水準等を鑑み、配当政策を以下のとおり見直しました。
[変更前]
「連結決算を基準に、純資産配当率3.5%を下限として配当性向50%を目指す」
[変更後]
「連結決算を基準に、純資産配当率5.0%、配当性向50%を目安とする」
次期の配当は、変更後の配当政策を適用し、「1株当たり年間配当金108円」を計画しています。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
1)貸倒引当金
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
2)製品保証引当金
製品の自主回収及び無償保証期間に基づく修理の支払いに備えるため、合理的に見込まれる損失見込額を計上しております。しかしながら、実際の保証費用が見積りと異なる場合は、引当金の追加計上が必要になる可能性があります。
3)退職給付関係
当社では、退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しておりますが、これらの前提条件が変動した場合、あるいは、運用環境の悪化等により年金資産が減少した場合には、将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性があります。
4)繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積り(過去における事業計画の達成状況など)に依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
5)固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、メカニカル技術とエレクトロニクス技術を融合させた技術の展開と深耕を基本に推進しております。新製品開発の原点として「お客様の声」を的確に捉え、製品が使われる現場でのニーズやウォンツを、お客様の作業の現場をつぶさに観察し、分析することから始める現場主義実践を活動の基本としております。また、これに加えて世の中の先進的技術を複合化させる事で、変化する顧客ニーズに適合させ、創意工夫とオリジナリティに富んだ製品開発、技術研究に取組んでおります。
特に当連結会計年度は、オフィス機器事業の複写機内蔵用オートステープラ・文字表示機器、インダストリアル機器事業の空圧工具・電動工具・結束工具/機器・住宅設備機器と、それらに伴う消耗品(ステープル・ネイル・結束ワイヤ・テープなど)の研究開発を推進すると共に、環境と安全対応としての製品アセスメントに積極的に取組み、環境に優しく安全な環境保全の製品化に努めました。徹底した現場主義、顧客主義に基づく顧客ニーズと先端技術動向を的確に捉えるなかで、研究、開発実用化を加速し、これらを基盤にオフィス機器事業・インダストリアル機器事業の新製品展開と、次世代を担う新事業の探索、研究に努めております。
また、開発生産性の面におきましては、3次元CAD/解析ソフトをはじめ無響室、大型環境試験室と各種計測実験装置、及び試作加工設備の拡充により、研究設計作業合理化を進め、3D設計/3Dモデル解析/3Dモデル造形・CAM加工・ハードウエア解析・技術ナレッジシステム活用での研究開発効率の向上を図っております。これらシステムの活用により、技術力の向上、製品設計品質の向上、開発期間の短縮に取組むと共に、今後も継続して固有技術の創出を加速させることによって競争優位の製品開発に取組み、事業の拡大と業績の向上につなげてまいります。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、