第2【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当行グループは、銀行業を中核事業としており、銀行の持つ社会的・公共的責任を自覚し、より調和のとれた健全かつ透明性の高い経営を目指してまいります。

 また、お客さまの多様なニーズに的確かつ迅速にお応えできる体制整備と自由闊達で創造力と活力に溢れた企業風土を醸成し、行員一人ひとりが十分に個性を発揮でき、働きがい・生きがいをもてる銀行を確立していくことを経営の基本方針としております。

(2)経営環境及び経営戦略等

 当行グループを取り巻く経営環境は、インバウンド復活や賃上げ等に加え、日経平均株価の最高値更新、日本銀行のマイナス金利政策解除といった大きな転換点を迎えた一方、円安等に伴う物価高騰や人手不足が深刻化しております。

 また、米国のインフレの帰趨や中国の景気減速に加え、ロシア・ウクライナ戦争の長期化や緊迫した中東情勢といった地政学的リスクの高まりにより、世界経済の先行きにも不透明感が漂っております。

 これらに加え、全国一のスピードで高齢化が進むなど、埼玉県においてもこうした状況は例外でなく、地域経済及び社会に寄り添いながら、様々な課題の解決を自ら先導し、持続的成長を実現していくことも不可欠となっております。

 地域金融機関においては、金融仲介機能の一層の発揮とお客さま本位の業務運営の実践を通じ、地域経済及び社会の活性化に貢献する持続可能なビジネスモデルの確立、その前提となる経営の健全性・透明性の更なる向上に向けた不断の努力が求められております。

 このような環境下、当行グループでは、2023年4月より長期ビジョン「MCP(Musashino mirai-Creation Plan)~多彩な価値を結集し、地域No.1のソリューションで埼玉の未来を切り拓く~」をスタートさせました。複雑性を増す経営環境のなか、地域になくてはならない銀行として、経済・社会の持続的成長に貢献するという存在意義を発揮し続けるための在りたい姿を定めたものです。

 「地域・お客さまの期待を超える存在へ」「組織・従業員の力を最大化」という2つの基本方針のもと、お客さまの課題解決や地域活性化に注力していくとともに、レジリエンスの高い組織づくりや従業員一人ひとりの能力発揮に向けた高い専門性や多様な働き方の提供に努めてまいります。

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 この長期ビジョンは、3つのフェーズに分けて進めており、第1ステップとして中期経営計画「MCP1/3(ワンサード)」をスタートさせました。長期ビジョンの実現に向け、地域とお客さまに徹底的に寄り添いながら、組織の多様性や従業員の自律性を高めることで、将来に向けた強固な基盤を作る期間と位置付けております。

 「リアルとデジタルを融合し、地域・お客さまと共に歩む」「あらゆる価値を認め合い、多彩な人材が躍動する」という2つのテーマに基づき、デジタル及び人的資本への重点的な投資により、お客さま接点の一層の強化と新サービス創出に努めるとともに、高度な提案力・課題解決力を有する人材の育成に努めてまいりました。具体的な内容は以下のとおりであります。

①営業推進態勢

・営業態勢を強化し、お客さまとの接点の更なる拡大

・様々な課題を解決する高い専門性を持つ人材の育成

②法人戦略

・スタートアップから事業承継までステージに応じた伴走支援の強化

・デジタルを活用したソリューション提案機会の増加

 

③個人戦略

・ライフプランに基づいた最適なサービスの提供

・様々なニーズに対応できる商品ラインナップの拡充

④地域活性化戦略

・営業店と本部が連携し、地域課題解決に向けた具体的支援

・成長分野の取組みを強化し、様々なプロジェクトを実行

⑤グループ戦略

・グループ機能を最大限発揮し、あらゆる課題を解決

・新規事業アイデアを社内公募し、事業領域の拡大

⑥チャネル戦略

・質の高いサービスの提供に向けてタッチポイントを強化

・ダイレクトチャネルの利便性向上により顧客体験を最大化

⑦デジタル戦略

・より便利なサービス提供に向け、非対面チャネルの更なる強化

・事務手続きのデジタル化と相談機能充実

⑧人材戦略

・ソリューション提供に向けた担い手の創出

・多彩な人材が活躍する機会の提供

・環境変化に応じた人事制度等の見直し

⑨有価証券戦略

・運用資産拡大による収益増強とバランスの取れたポートフォリオの構築

⑩アライアンス戦略

・スピーディーな協業と大規模な広域連携のメリットを追求し、新たな価値を提供

⑪サステナビリティ戦略

・持続可能な地域社会の実現に向け、SDGs宣言に基づく具体的施策を実行

⑫経営管理態勢

・企業価値の向上に向けてコーポレートガバナンスを強化

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(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等(2025年3月期)

 

預金等残高

(単体)

貸出金残高

(単体)

当期純利益

(単体)

  5.1兆円

  4.0兆円

  118億円

 

 

(4)対処すべき課題等

①行政処分への対応、再発防止に向けた取組

 お客さまに安心してお取引いただけるよう、引続き、業務改善報告書に基づく業務改善・再発防止に向け取組むとともに、2023年9月に改定した「お客さま本位の業務運営の基本方針」及び「取組方針」の浸透・定着を図るべく、行内の営業態勢・研修態勢・内部管理態勢・業績評価を刷新し、「お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)」を徹底することにより、皆さまの信頼回復に努めてまいります。

 

②中期経営計画「MCP 1/3」

 「MCP 1/3」の2年目となる今年度からお客さまに寄り添った活動の実効性を高め、お客さま満足と付加価値の一層の向上を図るため、本部営業部門を「法人」「個人」という「お客さま起点」の組織に再編いたしました。営業店・本部の一体感を緊密にしていくことで、ポストコロナ時代における法人のお客さまの経営課題解決に資する伴走支援や、個人のお客さまに対するライフプランをサポートする総合的な提案を強化してまいります。

 併せて、お客さまのデジタル化支援や、行内業務のデジタル化に関する取組みを一層加速させていくとともに、行員一人ひとりの専門性向上に向けた育成の充実やエンゲージメント促進、健康経営の取組みなど、人的資本経営の実践に努め、全てのお客さまの最善の利益の実現に貢献してまいります。

 

③サステナビリティ経営の確立を目指して

 経営の健全性や透明性を確保するため、コーポレート・ガバナンスの高度化に取組むとともに、コンプライアンス体制の強化及び社会規範の遵守にも継続して取組んでまいります。併せて、SDGsや環境・社会・企業統治(ESG)の観点を積極的に経営に取入れ、「武蔵野銀行SDGs宣言」及び「サステナビリティ基本方針」等のもと、持続可能な地域社会の創造に貢献すべく業務に邁進してまいります。

 特に経済・社会の基盤となる環境への対応につきましては、TCFD提言への賛同を行ない、ステークホルダーの皆さまへの情報開示の充実を進めるとともに、「本店」及び「事務センター」で使用する電力を再生可能エネルギーに切り替えするなど、温室効果ガス排出量削減に取組んでまいります。また、本業である融資やコンサルティングを通じて、事業者の皆さまの脱炭素化の促進など持続可能な企業行動への働きかけに注力し、より実効性あるサステナビリティ経営の実践に努めてまいります。

 

④地域活性化

 地域商社「むさしの未来パートナーズ株式会社」においては、設立後2年を迎え、高齢化に伴い増加していく個人の皆さまの暮らしに関わる様々な課題解決と、地元事業者が提供する商品・サービスの一層の魅力向上や、より広範な発信を通じ、地元埼玉の皆さまを有機的に結びつけ、「地域が抱える課題を地域の中で解決する仕組み(地域エコシステム)」を構築し、その好循環を加速させていくことで、埼玉県の持続的成長に貢献してまいります。

 このほか、人生100年時代を迎え、地域の皆さまが幸せでより豊かなくらしを送るため、ライフステージ毎に役立つ金融知識・金融リテラシー向上のため金融経済教育を進めてまいります。

 

 「地域共存」「顧客尊重」の経営理念のもと、お客さま、株主さま、地域社会など、全てのステークホルダーの皆さまの期待にお応えできるよう、グループ役職員一同、一層の精進に努め、これからも地域の皆さまと手を携えながら、永続的な発展を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

 当行グループは、2019年3月に「武蔵野銀行SDGs宣言」を制定・公表し、2021年9月にTCFD提言への賛同を行うなど、サステナビリティ経営推進に向けた態勢整備を行い、本業を通じた持続可能な地域づくりや役職員の理解向上などに取組んでまいりました。

 2021年12月に制定した4つの方針のもと、気候変動や人権といったグローバルな課題や国内外の金融経済における脱炭素の動きに対応するとともに、より実効性のあるサステナビリティ経営の実践を目指してまいります。

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(1)気候変動への対応(TCFD提言への取組)

①ガバナンス

当行グループは、頭取を委員長とする「サステナビリティ推進委員会(以下「委員会」という。)」、その下部組織の「サステナビリティ検討部会」において企画立案、進捗管理等を行っております。

また、定期的に取締役会へ取組みを報告することとしております。これにより、取締役会が気候変動への取組みを監督する態勢を構築しております。

委員会は、頭取をはじめとする取締役及び本部部長をメンバーとして、気候変動を含む環境や社会に係る機会及びリスクへの対応方針や取組計画等を年2回定期的に協議しております。

気候変動を含む環境への取組みをグループ全体で推進するため、2021年12月には「サステナビリティ基本方針」「環境方針」を制定し、気候変動に関するリスクへの対応が地球環境に係る重要な課題であることを認識したうえで、脱炭素社会の実現を目指した取組みを実施することを定めております。

2022年3月にはサステナビリティに関わる全行的取組みを統括・推進する専門組織として、総合企画部内に「サステナビリティ推進室」を設置いたしました。地元企業のサステナビリティ経営支援、より主体的・先導的な地方創生・地域活性化に取組むとともに、先鋭化する気候変動・生物多様性などの環境問題やダイバーシティ&インクルージョンといった課題についても、同室が中心となり組織横断的に分科会(地域経済活性化分科会、地域社会活性化分科会、環境・ダイバーシティ分科会)を組成して取組んでおります。

2023年度よりスタートした中期経営計画において、武蔵野銀行SDGs宣言への取組みを主要戦略に組み込み、多様な取組項目毎に具現化を進めてまいります。

 

②戦略

当行グループは、短期(概ね5年)、中期(概ね10年)、長期(概ね30年)の時間軸を考慮して気候変動に伴うリスク(物理的リスク、移行リスク)と機会の分析を検討して行っております。

(物理的リスク)

(イ)リスクの特定

  物理的リスクとしては、IPCCのSSP5-8.5シナリオ(4℃上昇シナリオ)を前提として気候変動に起因する自然災害によって以下の信用リスクが増加する可能性があると認識しております。

・風水災等の洪水発生に起因する不動産担保の損壊等による信用リスクの発生(短期~長期)

・お客さまの営業拠点被災に伴う事業停滞による信用リスクの発生(短期~長期)

  あわせて埼玉県の気候、地形等に応じた気候変動の要因についても今後調査研究してまいります。

 

(ロ)シナリオ分析

  台風・豪雨等風水災による埼玉県内全域における洪水を想定した当行不動産(建物)担保の損壊等による担保物件への影響を分析しております。

  当行が主たる営業基盤とする埼玉県は国内でも河川面積の割合が大きく平地割合も大きいことから、洪水による担保物件への影響については、事業性貸出金及び住宅ローンについて分析しております。分析にあたっては、担保物件所在地の浸水度合をハザードマップから調査し、かつ建物については階数による浸水割合を考慮しております。

  また、当行取引先の本社が浸水した場合の売上減少想定額についても上記調査と同様に分析しております。分析にあたっては、本社所在地の浸水度合をハザードマップから調査し、国土交通省水管理・国土保全局「治水経済マニュアル」による浸水度合毎の営業不稼動日数を勘案しております。以上の分析の結果、与信関係費用への影響は最大26億円となりました。

  今後は、洪水だけでなく気温上昇による熱中症リスクや取引先の本社以外の重要拠点浸水による影響等も調査研究してまいります。

(移行リスク)

(イ)リスクの特定

  移行リスクとしては、IEA国際エネルギー機関のNZEシナリオを前提に脱炭素社会への移行過程において以下の信用リスクが増加する可能性があると認識しております。

・気候変動に関する規制や税制等の変更に伴うお客さまの事業への影響による信用リスクの発生(中期~長期)

・脱炭素関連技術の失敗や市場の変化に伴う事業撤退による信用リスクの発生(中期~長期)

(ロ)シナリオ分析

  貸出取引量(件数、金額)や移行リスクの高さ等、当行及び埼玉県における脱炭素社会への移行による影響を勘案して、「不動産」「自動車部品」「陸上運輸」「電力」の4つの業種について分析を実施いたしました。

その結果、与信関係費用の増加額は最大7億円となりました。

(機会)

  お客さまのSDGsの取組みや気候変動に伴う脱炭素社会への移行にあたって、地域金融機関としてのビジネス機会の増加を想定しており、ESG及び脱炭素経営等を支援する以下の取組みを強化しております。(短期~長期)

・融資商品として、2021年9月に「サステナビリティ・リンク・ローン」、2022年4月に「SDGsフレンズローン」・「サステナビリティ・フレームワーク・ローン」、2022年8月に「優良企業サステナブルファンド」、2023年6月に住宅ローン「サステナブル住宅応援プラン」の取扱いを開始

・コンサルティング商品として、2021年10月に「SDGsコンサルティング」、2022年4月に他社と連携した「SDGs診断サポート」・「脱炭素コンサルティング」の取扱いを開始

・お客さまのESG及び脱炭素への取組み支援を目的とした対話ツールとして、2023年10月に「ESG評価シート」の取扱いを開始

(その他)

  当行貸出金等に占める炭素関連資産(※)の割合:24.90%程度

  ※炭素関連資産:2021年10月改訂のTCFD提言が推奨する定義を踏まえた4セクター(①エネルギー、②運輸、③素材・建築物、④農業・食糧・林業製品)向け2024年3月末の貸出金、支払承諾、外国為替、私募債等の合計であります。ただし、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除いております。

 

③リスク管理

(気候変動リスクの特定と管理体制)

 当行は、気候変動に起因する物理的リスクや移行リスクが、当行の事業運営、戦略、財務計画に大きな影響を与えることを認識しております。

 今後、気候変動に関連する物理的リスクや移行リスクに関する定性的及び定量的な分析結果を踏まえ、お客さまの事業活動に及ぼす信用リスクとして、統合的リスク管理の枠組みの中で管理する体制の構築に努めてまいります。

(気候変動リスクを踏まえた融資ポリシーの公表等)

 投融資方針では、地球温暖化に直接的な影響を及ぼす石炭火力発電所向け与信の厳格化等を含む当行の与信上の取組姿勢を明文化しております。

 

④指標及び目標

(サステナブルファイナンス目標)

 地域社会の「脱炭素化」実現に資するサステナブルファイナンスの実行金額の目標として、2021年度から2030年度までの10年間で、累計1兆円の実行と設定しております。

 なお、2023年度までのサステナブルファイナンスの実行金額は3,950億円となりました。

 また、2024年2月には脱炭素投資につなげる「GX経済移行債」へ投資し日本の産業競争力強化や持続的成長に向けて貢献しております。

 「サステナブルファイナンス」とは環境課題や社会課題の解決を資金使途とするファイナンスであり、お客さまのESGやSDGsへの取組みを支援するファイナンスが含まれます。

(CO2排出量の推移)

 当行グループのCO2排出量の推移はグラフのとおりであります。

過去のScope別排出

(単位:t-CO

 

2013年度

2021年度

2022年度

2023年度

Scope1

1,049

773

806

684

Scope2

7,131

5,777

5,790

4,924

総排出量

8,180

6,550

6,596

5,608

 ※Scope3は後述

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 当行グループ全体の2023年度のCO2排出量(Scope1+Scope2)は、2013年度比△31.4%となりました。

 2023年度は夏季の猛暑の影響を受けたものの、営業店のLED化、省エネ空調への切替、EV車3台の導入や節電の取組みを実施し、CO2排出量は減少いたしました。

 今後も継続して節電及び省エネ設備への切替に取組んでいき、2030年度CO2排出量目標、2013年度比70%削減に向けて取組んでまいります。

 なお、2024年5月より本社及び事務センターでの使用電力を再生可能エネルギー指定の非化石証書が付与された実質再生可能エネルギー電気に切替えております。これにより年間で2,311t-CO排出量の削減を見込んでおります。

(Scope3カテゴリ6、7の試算 出張・通勤)

 当行では温室効果ガス排出量の算定範囲の拡大に向けて取組んでおり今年度は、当行行員の出張・通勤に伴う排出量の試算を行いました。

Scope3排出量(2023年度)

(単位:t-CO

Scope3

カテゴリ6

出張

247

カテゴリ7

雇用者の通勤

559

[算出方法]カテゴリ6:排出量=行員数×従業員当たりの排出原単位

カテゴリ7:排出量=勤務日数×勤務形態別都市区分別勤務日数当たり排出原単位

 なお、環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関するガイドライン(ver.2.6)」及び環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(ver.3.4)」を使用しております。

 

(Scope3カテゴリ15の試算 事業性融資の排出量)

 投融資先を通じた間接的な温室効果ガス排出量は、金融機関におけるScope3(サプライチェーンにおけるCO2排出量)の中でも大きな割合を占めるため、2021年度PCAFスタンダード(※)の計測手法を参考に当行の国内事業法人向け融資について試算いたしました。

※金融機関における投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量を計測・開示する方法を開発する国際的なイニシアティブ。

 試算概算は以下のとおりであります。

・当行融資先をTCFDの14業種に分類して試算した業種別排出量

業種

排出量

(単位:t-CO

 

業種

排出量

(単位:t-CO

建築資材・資本財

350,355

 

自動車

100,341

金属・鉱業

448,618

 

電力

166,460

化学

323,541

 

石油・ガス

75,974

不動産管理・開発

248,701

 

飲料・食品

235,490

陸運

246,134

 

製紙・林業

180,888

海運

19,106

 

農業

23,952

空運

6,447

 

その他

3,687,682

 

 

 

合計

6,113,689

 ・排出量の算定方法

   融資先売上高×売上百万円当たりの排出量(業種別)×当行融資の寄与度

 ・時点

   融資残高:2024年3月末時点

   融資先売上高等財務指標:試算を行った2024年3月末時点で当行の保有する各融資先の最新決算情報

   今後は算定可能な範囲を順次広げてまいります。

 

(2)人的資本

①戦略

当行では「お客さまの課題解決に向け、自律的かつ挑戦心を持って取組むことができる人材」を育て、「様々な価値観を理解し、認め合うことで多彩な人材が活躍できる組織」を作ることが重要であるという認識のもと、長期ビジョンで標榜する「多彩な価値を結集し、地域No.1のソリューションで埼玉の未来を切り拓く」を実現すべく、人的資本経営の実践に努めてまいります。

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当行の人的資本経営においては、「地域共存・顧客尊重」という経営理念に基づき、2023年3月に策定した長期ビジョン「MCP(Musashino mirai-Creation Plan)」と同期間(10年間)で「人材活躍推進に係る長期ビジョン~奏 SOU~」を策定しました。

長期ビジョン「MCP」の達成のためには、「お客さまの課題解決に向け、自律的かつ挑戦心を持って取組むことができる人材」を育て、「様々な価値観を理解し、認め合うことで多彩な人材が活躍できる組織」を作ることが重要であるという認識のもと、これらの人材、組織の構築に向けて取組む必要のある事項を「指標及び目標」として掲げております。

指標及び目標の策定に当たっては、人材育成方針を実現するために「活躍に向けた支援」「自律的なキャリア形成支援」「各人の専門性の向上」を重点取り組み事項とし、社内環境整備方針では「DE&Iの推進」「Well-beingの向上」「健康経営の推進」を重点取り組み事項に設定しております。

 

②指標及び目標

当行では、各重点取り組み事項ごとに指標を設定しており、各指標の目標及び実績は次のとおりであります。

(活躍に向けた支援)

  人材育成方針に掲げる「従業員1人ひとりが、目の前にある様々な機会に対し、自ら意思表示し、チャンスを掴もうとする挑戦心を持った人材を育成してまいります。」を実現するために積極的に人材への投資を促進するとともに、様々なバックボーンを踏まえた人材の活躍による企業価値向上に向けた取組を強化してまいります。

 

2024年3月期実績

2026年3月期目標

一人あたり人材投資額(注)

273,716

300,000

一人あたりの研修受講時間

35時間24分

45時間

キャリア採用人数

21

60名(中計期間3年間累計)

(注) 一人あたり人材投資額については、「研修費」「研修等にかかる教材費・交通費」「自己啓発奨励金」「必須受験資格の受験費用」「OFF-JT機会費用」「OJT機会費用」等を計上しております。

(自律的なキャリア形成支援)

  「人材育成方針」に基づき、「従業員一人ひとりが自らの考え方や思いに基づき行動・判断できる」人材の育成に向け、当行で働く全従業員が、自分自身の望むキャリアの実現に向けて自律的に行動し、その行動を銀行が支援・促進できるよう機会を提供してまいります。

  パートナー(非正規雇用労働者)の正規行員登用(行員転換)を継続的に実施しており、正規社員同様に各自のキャリア実現への支援に努めております。

 

2024年3月期実績

2026年3月期目標

職務エントリーによる配置人数

28

100名(中計期間3年間累計)

行員転換実績

8

30名(中計期間3年間累計)

(各人の専門性の向上)

  長期ビジョンで目指す「多彩な価値を結集し、地域No.1のソリューションで埼玉の未来を切り拓く」の実現のため、各人の課題解決力の向上へ注力してまいります。

 

2024年3月期実績

2026年3月期目標

ITパスポート保有率

64

80

プロフェッショナル資格保有者(注)

211

300

(注) プロフェッショナル資格保有者の対象となる主な資格は、FP技能士1級・CFP、中小企業診断士、証券アナリスト等、公的な資格を中心とした専門性の高い資格としております。

 

(DE&Iの推進)

  一人ひとりが個性を発揮し、お互いにその違いを認め、協力し合える組織を実現することが、組織の持続的発展へ寄与するとの認識のもと、性別や置かれている状況に関係なく、価値観が尊重され、多様性が発揮できる環境整備を進めてまいります。

 

2024年3月期実績

2026年3月期目標

女性管理職比率(注1)

15.3

20

男性労働者の育児休業取得率

(注2)

114.6

100%以上

男女賃金格差

全 体 52.1%

正 規 64.3%

非正規 62.4%

障がい者雇用率

2.58

2.8

(注)1 女性管理職比率については、課長職以上に占める女性の比率を2026年3月までに20%とすることを目標として掲げ、女性の活躍推進、登用拡大に向けた支援と登用を行ってまいります。

2 男性労働者の育児休業については、取得率は100%以上に達しておりますが、取得日数の延伸が課題であり、取得期間の延伸に向けて、下記取組みを実施しております。

①3ヶ月毎の「配偶者出産前説明会」の定期開催(2023年11月より開始し、13名受講)

②配偶者妊娠判明時の速やかな「育児休業取得意向確認書」提出、提出後の申請手続きの徹底

③「ワークライフバランス実践ハンドブック」への夫婦による家事育児タスク分担ツールの掲載等

(Well-beingの向上)

  重要なステークホルダーである従業員が、武蔵野銀行で働くことへの充実感を感じることが「組織・従業員の力を最大化」につながる重要な要素であるとの考えに基づき、多様な働き方の実現や福利厚生の拡充に取り組んでまいります。

 

2024年3月期実績

2026年3月期目標

一人あたり有給休暇取得平均日数

13.4

15

一人あたり残業時間

12時間11分

11時間

従業員満足度

72.4

100%を目指し持続的に向上

(健康経営の推進)

  健康経営の実践は、従業員のエンゲージメントの向上につながる重要な取組みとの認識のもと、企業の永続的な成長に向け、従業員の生産性向上に向けた取組みを強化してまいります。

 

2024年3月期実績

2026年3月期目標

ストレスチェック受検率(注)

96.2

100

疾病等による長期休業者数

27名

段階的に削減

(注) 全従業員に対する心身の健康状態の把握・支援や、組織改善へつなげられる重要な取組みと位置付け、受検推奨により実施率100%を目指してまいります。

 

3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 当行グループは、銀行業を中核事業として主に貸出金業務、有価証券投資業務等を行っており、財政状態及び経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクは、(1)信用リスク及び(2)市場リスクであると認識しております。これらのリスクが顕在化する時期について正確な予測をすることは困難ではありますが、発生の可能性を認識した上で当該リスクに対し、主に以下の対応策を講じております。

 当行は、当該リスクについて、統計的手法であるVaRを用いて、ある確率(信頼区間99%)のもと一定期間(例えば1年間)に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を見積り、把握しております。これらのリスクが顕在化した場合、当行の自己資本や収益計画に影響を及ぼす可能性があるため、当行では業務の継続性を確保する観点から、リスク量が自己資本の範囲内に収まるよう資本配賦制度(リスク量に対する資本の割当て)を用いた業務運営を行い、経営戦略と一体となったリスク管理に努めております。

 また、当行では、通常のVaR管理では捉えきれない損失見込額を捕捉する目的として、経済状況や市場環境の悪化等の事象が発生した場合の自己資本充実度や収益計画に与える影響度を確認するために、定期的ないしは臨時的にストレス・テストを実施しております。

 なお、当行のリスク管理体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

(1)信用リスク

① 不良債権の状況

 国内・埼玉県内における今後の景気動向、不動産価格、株価の変動、取引先の経営状況等により、当行の不良債権及び与信関係費用が増加し、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

② 貸倒引当金の状況

 当行は、貸出先の状況、債権の保全状況及び貸倒実績を基礎とした貸倒実績率の過去の一定期間における平均値に基づき算出した予想損失額等に対して貸倒引当金を計上しております。また、破綻懸念先のうち非保全額が一定額以上の大口債務者に対する債権については、債務者の状況を総合的に判断してキャッシュ・フローによる回収可能額を見積もり、非保全額から当該キャッシュ・フローを控除した残額を貸倒引当金とする方法(キャッシュ・フロー控除法)により計上しております。

 なお、新型コロナウイルスの脅威からほぼ脱したとの判断から、従来実施してきたコロナウイルスの影響が大きい業種に対する追加引当は廃止しております。

 しかしながら、その他経済状態全般の悪化、担保不動産価格の下落、その他予期せぬ事象により貸倒引当金の積み増しをせざるを得なくなり、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

③ 権利行使の困難性

 担保不動産価格の下落又は不動産の流動性欠如等の事情により、担保権を設定した不動産等を換金し、又は貸出先の保有する資産に対して強制執行することが事実上できない可能性があります。この場合、与信関係費用が増加するとともに不良債権処理が進まない可能性があります。

④ 地域経済の動向

 当行は埼玉県を主要な営業基盤としており、地域経済の振興・活性化支援に力を注いでおります。従って、埼玉県経済が想定以上に悪化した場合は、当行の収益基盤の維持・拡大が困難となるほか、信用リスクの増加等により、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

(2)市場リスク

① 価格変動リスク

 当行は市場性のある有価証券等を保有しております。有価証券等の運用については、市場動向等を注視しつつ適切に実施しておりますが、市況の大幅な下落等により減損または評価損が発生し、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

② 金利リスク

 資産と負債の金利改定時期が異なる中で金利変動(マイナス金利政策によるものを含む。)することにより、収益の低下ないし損失が発生し、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

③ 為替リスク

 外貨建資産・負債について、資産と負債の額が通貨毎に同額で相殺されない場合、または適切にヘッジされていない場合には、為替相場の変動により、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

(3)流動性リスク

 内外の経済情勢や市場環境の変化、当行の財務内容の悪化等の理由により、必要な資金が確保できなくなる場合や、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされる可能性があります。

 

(4)オペレーショナル・リスク

① 事務リスク

 当行は事務リスク管理規程等を定め、事務の厳正化に努めておりますが、故意または過失等の事務ミスにより事故が発生し、損失が発生する可能性があります。

② システムリスク

 コンピュータシステムのダウンまたは誤作動、コンピュータの不正使用、サイバー攻撃による情報漏えい、不正利用、改ざん等が発生した場合、当行の社会的信用の失墜等により、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

③ 風評リスク

 評判の悪化や風説の流布等により、それが事実であるか否かにかかわらず、当行の信用が著しく低下し、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

④ 法務リスク

 当行では法令等遵守態勢の充実・強化に取組んでおりますが、法令等違反や不適切な契約等に起因した損失や信用力の低下等が発生した場合には、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 人的リスク

 人事運営上の不公平・不公正(報酬・手当・解雇等の人事処遇や勤務管理上の問題)・差別的行為(セクシャルハラスメント等)等、及び職場の安全衛生環境の問題に起因し損失を被ること、並びに役職員(臨時従業員、派遣社員等を含む)の不法行為により当行が使用者責任を問われ、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 有形資産リスク

 当行が保有する店舗、事務所、電算センター等の施設が、地震等の自然災害の発生、停電等の社会インフラ障害、犯罪、テロ等の被害を受けた場合には、当行の業務運営全部又は一部に支障を来し、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

(5)感染症の流行に伴うリスク

 新型コロナウイルス等の各種感染症の世界的大流行による国内外及び地域経済の活動停滞、当行役職員の感染者発生等により業務運営の全部又は一部に支障を来す場合、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

(6)情報管理リスク

 当行が管理している顧客情報や経営情報等の漏えい、紛失、改ざん、不正使用等が発生した場合、当行の社会的信用の失墜等により、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

(7)外部委託等に伴うリスク

 当行の委託先において、委託業務に関する事務事故、システム障害、情報漏えい等が発生した場合、当行の社会的信用の失墜等により、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

(8)自己資本比率が低下するリスク

 当行は海外営業拠点を有しておりませんので、国内基準に係る連結自己資本比率及び単体自己資本比率について、それぞれ4%以上の水準を確保することが求められています。当行の自己資本比率が4%を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部または一部の停止等を含む様々な命令を受けることになります。

 当行の自己資本比率に影響を与える主な要因は以下のとおりであります。

① 経済環境の悪化、債務者の信用力の悪化

② 有価証券の時価の下落に伴う減損の発生

③ 自己資本比率の基準及び算定方法の変更

(9)繰延税金資産

 現時点における会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来における税負担額の減少を繰延税金資産として計上することが認められております。

 繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づいており、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。また、法令の改正がなされ、法人税率の引き下げ等が行われた場合、あるいは繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合、当行の繰延税金資産は減額され、当行の業績及び財政内容に影響を及ぼし、自己資本比率の低下につながる可能性があります。

(10)年金債務

 当行の年金資産の時価が下落した場合、あるいは年金資産の運用利回りが低下した場合には、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。また、年金制度の変更により未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。金利環境の変動その他の要因も年金の未積立債務及び年間積立額に影響を与える可能性があります。

(11)固定資産の減損会計

 当行が保有する固定資産については、「固定資産の減損に関する会計基準」を適用しておりますが、当該会計基準等に何らかの変更がある場合や所有する固定資産に損失が発生した場合には、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)規制及び制度等の変更に伴うリスク

 当行は現時点での規制・制度に従って業務を遂行しておりますが、将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈、会計制度等の変更により、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

(13)ビジネス戦略が奏効しないリスク

 当行は2023年より、新たな中期経営計画「MCP 1/3(ワンサード)」(2023年4月~2026年3月)をスタートさせ、様々な経営課題に対処していくこととしておりますが、今後経済・企業業績の悪化など経営環境の変化や競争の激化などにより、戦略が想定した成果を生まない可能性があります。

(14)競争

 近年、日本の金融制度は大幅に規制が緩和されてきており、これに伴い競争が激化しております。当行がこうした競争的事業環境において競争優位を得られない場合、事業、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

(15)格付低下のリスク

 当行は格付機関より格付けを取得しておりますが、格付機関が当行の格付けを引き下げた場合、資金調達等に影響を及ぼす可能性があります。

(16)金融犯罪に係るリスク

 キャッシュカードの偽造・盗難や振り込め詐欺など、金融犯罪は多様化・高度化しており、被害発生を未然に防止するためセキュリティ強化への取組みを進めております。しかしながら、被害者への多額の補償や、セキュリティ対策に対する多額の費用が必要となる場合には、業績や財政内容に影響を及ぼす可能性があります。

(17)マネー・ローンダリング及びテロ資金供与等対策に係るリスク

 当行はマネー・ローンダリング、テロ資金供与、拡散金融及びその他経済制裁違反防止を経営戦略等における重要な課題の一つとして位置付け、リスクに見合った低減措置を講ずる等の実効的な管理態勢の構築に努めております。しかしながら、不公正・不適切な取引を未然に防止することができなかった場合には、不測の損失発生や信用失墜により業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

(18)気候変動に関するリスク

 当行は2021年9月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明しており、事業活動に与える影響を踏まえ「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」4つのカテゴリごとに情報開示を段階的に進めております。しかしながら、地球温暖化による気候変動に起因する物理的リスク(洪水等自然災害の発生により取引先の担保物件が毀損した場合や事業停滞に伴う業績悪化)や移行リスク(脱炭素社会への移行過程での気候変動対策強化)により取引先の与信関係費用が増加し、当行の業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当行グループ(当行、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(金融経済環境)

・国内経済

 2023年度の国内経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行やインバウンド需要により、景気は持ち直しの動きが続きました。その後、エネルギー・食料品価格の高止まり、中国における個人消費低迷や不動産不況を反映した景気減速、欧米における金融引締め政策の継続などがあったものの総じて底堅い推移となり、長らく続いたデフレから脱し「賃金と物価の好循環」がうかがえる転換点となった1年でした。

・県内経済

 県内経済の業況感を見ますと、製造業は海外景気減速の影響等を受けて弱含みで推移しました。一方、非製造業は飲食、宿泊などサービス業の回復などもあり、緩やかに改善に向かいました。また、住宅投資は、生活利便性が高く都心へのアクセスが良いことから引続き堅調な動きとなったほか、個人消費についても物価上昇の影響を受けつつも緩やかに回復しました。

・金融情勢

 日経平均株価は、年度初めに28,188円で始まった後、国内における景気拡大期待や、円安を背景とした堅調な企業業績なども加わり、年度末は40,369円となりました。

 外国為替相場は、米国の金融引締め政策の継続により日米間の金利差が意識されるなか、円安が進行しました。年度初めは130円台で推移しましたが、年度末は151円台まで進行しました。

 また、日本銀行は、2024年3月に実施した政策決定会合において、大規模な金融緩和策の転換を決定しました。

(業務運営)

・業務改善命令を踏まえた業務改善・再発防止について

 当行は2023年6月23日、関東財務局より仕組債の勧誘販売に係る金融商品仲介業務に関し、投資者保護上の問題が認められるとの指摘により金融商品取引法第51条の2に基づき行政処分(業務改善命令)を受けました。

 このような事態に至ったことを重く受け止め、「お客さま本位の業務運営」と「健全な組織文化」を醸成していくため、真因分析を行ったうえで2023年7月24日、業務改善報告書を関東財務局に提出し、各施策を着実に遂行しております。

 具体的な業務改善の取組みとして、2023年8月、業務改善計画の進捗状況やアフターフォローの状況等を経営に正確かつ適切に報告し、速やかに対応策を講じるために「品質向上委員会」を設置しガバナンスの強化を図りました。

 また、組織態勢、検証態勢の見直し、評価方法の変更、リスク性金融商品販売に関するコンプライアンス研修実施等の業務改善計画に基づく改善・再発防止に取組むことで、株主さまをはじめ関係する皆さまの信頼回復に努めております。

 こうした業務改善・再発防止に向けた取組みの進捗状況につきましては、関東財務局への四半期毎の報告にあわせ、当行ホームページで概要を開示させていただいております。

・中期経営計画 MCP 1/3への取組

 当期は、2023年に策定した長期ビジョン「MCP(Musashino mirai-Creation Plan)~多彩な価値を結集し、地域No.1のソリューションで埼玉の未来を切り拓く~」の実現に向け、2023年4月よりスタートした中期経営計画「MCP 1/3」初年度の活動として将来に向けた強固な基盤を構築していくため様々な施策を展開しました。

 「MCP 1/3」では、「リアルとデジタルを融合し、地域・お客さまと共に歩む」「あらゆる価値を認め合い、多彩な人材が躍動する」という2つのテーマを掲げ、デジタル及び人的資本への重点的な投資により、法人のお客さまへの高度な専門性を持ったコンサルティングを展開するとともに、個人のお客さまへの多様なライフプランの企画・提案を強化するなど、お客さまに寄り添った活動に注力しております。

 

・施策推進

 当期の主な施策のうち、店舗関連につきましては、お客さまの利便性向上や、より高度なサービス提供に向けたネットワークの構築を図るため、4月に久喜支店を新築移転したほか、9月には商業施設内店舗として熊谷・熊谷東支店を移転し休日営業を開始、12月には千葉銀行との共同拠点である浜松町オフィスをJR浜松町駅前に移転しました。

 法人のお客さまに対しましては、1社1社丁寧に向き合い、資金繰り支援のほか、事業承継やM&A、人材紹介やビジネスマッチング等、金融・非金融の両面から多様なコンサルティングを実施し、お客さまの課題解決支援を行っております。併せて、お客さまのサステナブル経営を幅広くサポートするため「ESG対話ツール」を新たに導入し、SDGs・脱炭素などのニーズにお応えしているほか、「ICTツール」によりデジタル化ニーズにお応えしています。

 個人のお客さまに対しましては、「貯蓄から資産形成」の一助となるよう新NISA対象ファンドの拡充やお客さま向けセミナーを開催したほか、高齢化の進展に伴い相続に関する相談を強化し課題解決に努めております。住宅ローンにつきましては、環境に配慮した「サステナブル住宅応援プラン」の導入、がん団信の無料化など、お客さまニーズ

に応える取組みを実施しております。

 また、空き家問題解決のため「空き家活用ローン」の取扱いを開始し、多様化するお客さまのニーズにお応えしております。

・デジタルトランスフォーメーション(DX)への取組

 DXの取組みを重要な経営課題と捉え、4月に「デジタル推進部」を新設しお客さま向けサービスや各種業務のデジタル化に取組んでいます。個人のお客さま向けには、武蔵野銀行アプリの新機能として税金支払や公共料金納付が可能となるサービスの提供を開始するなど一層の利便性向上に努めました。また、法人のお客さま向けには、資金管理

や社内業務のデジタル化等を支援する「武蔵野銀行Mikatanoシリーズ」の取扱いを開始するなど、デジタルを活用したサービス向上に取組みました。

 その他、お客さまの生産性向上や業務効率化などのIT課題に応えられる行員を育成していくための研修制度を導入したほか、IT関連の資格取得等を奨励し、国家資格であるITパスポートについては、約1,100名の役職員が取得をしております。

・サステナビリティの推進

 持続可能な地域経済、社会の実現に向けたサステナビリティ経営の実践として様々な取組みを行っています。

 2023年11月に電気自動車を営業用車両として導入し温室効果ガス排出量削減に取組んでおります。また、お取引先企業のサステナビリティ経営をサポートするため融資商品やコンサルティングサービスの拡充に努めております。

 併せて、こうした取組みの担い手となる従業員教育にも注力しており、公的資格取得を推進するとともに、SDGsを学ぶ各種講座を開講しています。

 これらに加え、地域の小・中・高等学校を中心に、お金の使い方や起業について学ぶことのできる金融経済教育を展開しております。

・地域活性化

 地域資源の一層の魅力向上や関連産業の創出等を支援するため、2024年2月、嵐山町と「シティプロモーションに関する連携協定」を締結し、観光資源を活用した地域活性化をサポートしています。このほか、本店ビル内の地域創生スペースM's SQUAREでは、小鹿野町、春日部市、行田市などのPR展を開催し、観光スポットや特産品等、地域の魅

力を発信いたしました。

 また、新たに2自治体(さいたま市、飯能市)及び空き家の発生予防や適正管理のプラットホームの構築に取組む株式会社クラッソーネと「空き家対策の推進に係る連携協定」を締結するなど、埼玉県内における空き家問題の解決にも注力しております。

 これらに加え、埼玉県と連携し超少子高齢社会を見据え、持続可能なまちづくりを県が支援する「スーパー・シティプロジェクト」や、少子化対策、女性活躍推進など、様々な分野での取組みを行っています。

 

・人的資本経営

 当行では、人的資本こそが企業価値の源泉であるとの認識のもと、長期ビジョンで標榜する「多彩な価値を結集し、地域No.1のソリューションで埼玉の未来を切り拓く」を実現すべく、2023年3月に「人材活躍推進に係る長期ビジョン~奏(そう) SOU~」を策定いたしました。

 「奏」では、求められる人材及び組織についてそれぞれ「自律・挑戦」「多様性・つながり」というキーワードを設定し、人的資本経営の実践に向け、人材育成の高度化と全ての従業員が活躍できる職場環境の整備に注力しております。

 ファイナンシャルプランニングや企業支援だけでなくデジタル分野等のプロフェッショナル養成に取組んでおりますほか、若手行員を対象とした「ソリューション育成制度」のもと、意欲的にお客さまの課題解決に取組む人材を育成しております。

 また、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進、Well-beingの向上、健康経営の推進などを通して多彩な人材が活躍できる組織づくりを目指しています。

 従業員の出産や子育てを支援するため、育休者同士のSNSを活用した情報交換や座談会を実施しているほか、男性の育休取得促進についても「出産休暇前説明会」を実施するなど、職員が安心して働ける職場作りに注力しております。

・アライアンス戦略

 千葉銀行との包括提携「千葉・武蔵野アライアンス」、全国各地の金融機関による広域連携「TSUBASAアライアンス」を通じ成長戦略の構築に努めております。

 千葉・武蔵野アライアンスでは、スマートフォンアプリの共同開発、キャッシュレス事業や相続関連業務への取組み、池袋支店などの共同拠点による協業など、様々な分野において スピーディーな連携を実現しました。また、TSUBASAアライアンスにおいても、マネーロンダリングへの取組みや新事業の検討、海外分野やサステナビリティ分

野など、幅広い領域で連携し施策を実施しました。

 引続き、アライアンスを最大限に活用し、地域のお客さまに新たな価値を提供できるよう努めてまいります。

 

このような活動により、当連結会計年度につきましては、次のような成果を収めることができました。

 

(経営成績等)

・財政状態

 当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度末比769億円増加し5兆4,040億円、純資産は、前連結会計年度末比212億円増加し2,741億円となりました。

 主要な勘定残高は、預金が地域に密着した営業基盤の拡充や総合取引の推進等に努めました結果、前連結会計年度末比982億円増加し4兆9,734億円、貸出金は県内企業及び個人のお客さまの資金繰り支援に積極的かつ迅速にお応えした結果、前連結会計年度末比851億円増加し3兆9,950億円、有価証券は前連結会計年度末比2,354億円増加し1兆457億円となりました。

(単位:億円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

総資産

53,270

54,040

769

純資産

2,529

2,741

212

預金

48,752

49,734

982

貸出金

39,098

39,950

851

有価証券

8,102

10,457

2,354

 

 

・経営成績

 当連結会計年度の連結粗利益は、資金利益が貸出金利息や有価証券利息配当金を主因に増加したものの、その他業務利益が有価証券ポートフォリオの改善に努めた結果、減少したこと等により、前連結会計年度比微減となりました。

 経常利益は、株式関係損益の増加や与信関係費用の減少などもあり、前連結会計年度比6億26百万円増加し162億61百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比3億99百万円増加し112億64百万円となりました。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

連結粗利益

50,410

50,382

△28

 

資金利益

39,455

42,310

2,854

役務取引等利益

10,961

10,585

△376

その他業務利益

△6

△2,512

△2,506

営業経費(△)

35,886

36,278

392

株式関係損益

592

1,090

497

与信関係費用(△)

829

382

△446

その他

1,347

1,450

103

経常利益

15,634

16,261

626

特別損益

△86

△29

57

税金等調整前当期純利益

15,548

16,231

683

法人税等合計(△)

4,679

4,962

282

当期純利益

10,868

11,269

401

非支配株主に帰属する当期純利益(△)

3

5

2

親会社株主に帰属する当期純利益

10,865

11,264

399

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等は、以下のとおりです。

 (単体ベースの計数を記載しております。)

指標等

当事業年度実績

(前事業年度比)

認識及び分析・検討内容

預金等残高

5兆277億円

(+1,207億円)

地域に密着した営業基盤の拡充や総合取引の推進等に努めました結果、順調に増加いたしました。

貸出金残高

4兆67億円

(+851億円)

地元企業を中心とした継続的な本業支援及び個人のお客さまのお借入ニーズに積極的にお応えしましたことから順調に増加いたしました。

当期純利益

107億円

(+3億円)

資金利益が増加したことに加え、与信関係費用が減少したことなどから前事業年度比増加となりました。

 

・セグメントごとの認識及び分析・検討内容

 「銀行業」において、経常収益が前連結会計年度比10億49百万円減少し685億35百万円、セグメント利益が前連結会計年度比7億80百万円増加し151億91百万円、「リース業」において、経常収益が前連結会計年度比1億27百万円増加し112億98百万円、セグメント利益が前連結会計年度比2億63百万円減少し2億97百万円、「信用保証業」において、経常収益が前連結会計年度比81百万円増加し15億41百万円、セグメント利益が前連結会計年度比80百万円増加し14億10百万円となりました。

 また、「その他」において、経常収益が前連結会計年度比1億89百万円増加し24億24百万円、セグメント利益が前連結会計年度比26百万円増加し4億51百万円となりました。

 大宗を占める「銀行業」では、預金・貸出金業務や有価証券業務の本業が順調に推移した一方で、国債等債券売却益を主因にその他業務収益が減少した結果、経常収益は前連結会計年度比減少となりました。セグメント利益は株式関係損益の増加や与信関係費用の減少などもあり、前連結会計年度比増加となりました。

 「リース業」では、お客さまの多様化する課題に対する解決策の1つとしてリースを活用していただくべく、銀行業における営業部門との連携強化を図り、お客さまへの多角的な提案活動を進めてまいりました結果、経常収益は前連結会計年度比増加となったものの、セグメント利益は前連結会計年度比減少となりました。

 「信用保証業」では、住宅取得ニーズが旺盛な県南地域を中心とした住宅ローンの保証業務のほか、お客さまのライフスタイルに合わせた様々なローンの保証、あるいは地元資産家のアパート・マンションローンご利用の際の保証業務に注力いたしました結果、経常収益及びセグメント利益とも前連結会計年度比増加となりました。

 「その他」は、上記以外の銀行付随業務であり、お客さまの課題解決のために当行グループが総力を挙げて支援するための機能を有しており、それぞれが連携を図りながら業務を進めた結果、経常収益及びセグメント利益とも前連結会計年度比増加となりました。

 

・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

営業活動によるキャッシュ・フロー

 預金等の増加(1,216億88百万円)、貸出金の増加(851億53百万円)、借用金の減少(558億96百万円)等により、全体で296億76百万円の資金減少(前連結会計年度比1,959億39百万円増加)となりました。

 資金調達の要である個人・法人預金が一段と増加した一方、運用の大部分を占める貸出金が県内企業及び個人のお客さまの資金ニーズに積極的にお応えし増加したこと、及び借用金が減少したこと等から全体で資金減少となりました。

投資活動によるキャッシュ・フロー

 有価証券の運用増加(純額2,159億62百万円)を主因に、全体で2,194億82百万円の資金減少(前連結会計年度比1,418億61百万円減少)となりました。

 有価証券償還資金の再投資等について市場動向を勘案し効率的な運用に努めた結果、運用残高が増加したこと等から資金減少となりました。

財務活動によるキャッシュ・フロー

 配当金の支払(33億33百万円)等により、全体で41億91百万円の資金減少(前連結会計年度比9億46百万円減少)となりました。

 株主さまへの安定的な配当金の支払を主因に資金減少となりました。

 これらの結果、当連結会計年度末の「現金及び現金同等物」残高は、前連結会計年度末比2,533億50百万円減少し全体で2,302億99百万円となりました。

 

・資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当行グループは、銀行業を中核事業として主に貸出金業務、有価証券投資業務等を営んでおりますが、その資金は埼玉県を中心とした地域のお客さまからお預りした預金を基に運用しております。資金の流動性については、毎月1回開催する「ALMにかかる経営会議」において適切に管理しております。

 当行グループの設備投資の資金源は自己資金であります。主な設備投資の内容については、「第3 設備の状況」に記載しております。

 

・重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。

 この連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは貸倒引当金でありますが、その内容については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

 (参考)

 ①国内・国際業務部門別収支

 資金運用収支は、国内業務部門が401億95百万円、国際業務部門が32億円、合計で423億10百万円となりました。

 信託報酬は25百万円となりました。

 役務取引等収支は、国内業務部門が105億21百万円、国際業務部門が36百万円、合計で105億60百万円となりました。

 その他業務収支は、国内業務部門が5億31百万円、国際業務部門が△30億43百万円、合計で△25億12百万円となりました。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

38,367

2,174

1,086

39,455

当連結会計年度

40,195

3,200

1,085

42,310

うち資金運用収益

前連結会計年度

39,306

4,413

1,137

13

42,569

当連結会計年度

40,792

7,283

1,132

11

46,932

うち資金調達費用

前連結会計年度

939

2,238

50

13

3,113

当連結会計年度

597

4,082

46

11

4,621

信託報酬

前連結会計年度

63

63

当連結会計年度

25

25

役務取引等収支

前連結会計年度

10,859

37

△1

10,898

当連結会計年度

10,521

36

△1

10,560

うち役務取引等収益

前連結会計年度

15,321

70

451

14,939

当連結会計年度

14,763

71

432

14,401

うち役務取引等費用

前連結会計年度

4,461

33

453

4,041

当連結会計年度

4,241

34

434

3,841

その他業務収支

前連結会計年度

2,201

△2,208

0

△6

当連結会計年度

531

△3,043

0

△2,512

うちその他業務収益

前連結会計年度

11,103

6

0

11,109

当連結会計年度

5,471

0

5,470

うちその他業務費用

前連結会計年度

8,901

2,214

11,116

当連結会計年度

4,939

3,043

7,983

(注)1 国内業務部門は国内店の円建取引、国際業務部門は国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。

2 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用、前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円を控除して表示しております。

3 資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。

4 国内・国際業務部門別収支の相殺消去額は、当行と連結子会社間及び連結子会社間の内部取引により相殺消去した金額であります。

 

 (参考)

 ②国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況

 資金運用勘定の平均残高は、国内業務部門が4兆9,218億円、国際業務部門が2,027億円、合計で4兆9,659億円となりました。資金運用利息は、国内業務部門が407億円、国際業務部門が72億円、合計で469億円となりました。また、資金運用利回りは、合計で0.94%となりました。

 資金調達勘定の平均残高は、国内業務部門が5兆520億円、国際業務部門が2,023億円、合計で5兆1,014億円となりました。資金調達利息は、国内業務部門が5億円、国際業務部門が40億円、合計で46億円となりました。また、資金調達利回りは、合計で0.09%となりました。

 

 国内業務部門

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

(113,177)

(13)

0.83

4,709,117

39,306

当連結会計年度

(127,255)

(11)

0.82

4,921,869

40,792

うち貸出金

前連結会計年度

3,789,571

32,536

0.85

当連結会計年度

3,864,565

33,188

0.85

うち商品有価証券

前連結会計年度

34

0

0.13

当連結会計年度

65

0

0.35

うち有価証券

前連結会計年度

686,266

6,101

0.88

当連結会計年度

804,475

7,219

0.89

うちコールローン

及び買入手形

前連結会計年度

103,863

△5

△0.00

当連結会計年度

110,286

△5

△0.00

うち預け金

前連結会計年度

14,662

0

0.00

当連結会計年度

13,615

0

0.00

資金調達勘定

前連結会計年度

5,057,713

939

0.01

当連結会計年度

5,052,026

597

0.01

うち預金

前連結会計年度

4,794,351

201

0.00

当連結会計年度

4,898,735

157

0.00

うち譲渡性預金

前連結会計年度

31,006

3

0.01

当連結会計年度

25,721

2

0.01

うちコールマネー

及び売渡手形

前連結会計年度

35,013

△10

△0.03

当連結会計年度

15,000

△2

△0.01

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

23,318

2

0.00

当連結会計年度

67,085

6

0.01

うち借用金

前連結会計年度

165,382

89

0.05

当連結会計年度

37,023

84

0.22

(注)1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、月末毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高、前連結会計年度482,492百万円、当連結会計年度273,481百万円を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高、前連結会計年度1,499百万円、当連結会計年度1,499百万円及び利息、前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円を、それぞれ控除して表示しております。

3 ( )内は、国内業務部門と国際業務部門との間の資金貸借の平均残高及び利息(内書)であります。

 

 国際業務部門

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

189,417

4,413

2.33

当連結会計年度

202,727

7,283

3.59

うち貸出金

前連結会計年度

58,743

2,345

3.99

当連結会計年度

55,077

3,687

6.69

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

125,002

2,051

1.64

当連結会計年度

139,817

3,575

2.55

うちコールローン

及び買入手形

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

当連結会計年度

資金調達勘定

前連結会計年度

(113,177)

(13)

1.18

189,184

2,238

当連結会計年度

(127,255)

(11)

2.01

202,319

4,082

うち預金

前連結会計年度

13,056

219

1.67

当連結会計年度

12,581

455

3.61

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー

及び売渡手形

前連結会計年度

51,296

1,682

3.27

当連結会計年度

47,728

2,773

5.81

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

11,415

322

2.82

当連結会計年度

14,532

841

5.79

うち借用金

前連結会計年度

当連結会計年度

(注)1 平均残高は、日々の残高の平均に基づいて算出しております。

2 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高、前連結会計年度154百万円、当連結会計年度155百万円を控除して表示しております。

3 ( )内は、国内業務部門と国際業務部門との間の資金貸借の平均残高及び利息(内書)であります。

4 国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。

 

 合計

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り(%)

小計

相殺消去額

(△)

合計

小計

相殺消去額

(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

4,785,357

33,131

4,752,225

43,707

1,137

42,569

0.89

当連結会計年度

4,997,341

31,415

4,965,926

48,064

1,132

46,932

0.94

うち貸出金

前連結会計年度

3,848,315

12,213

3,836,101

34,882

50

34,832

0.90

当連結会計年度

3,919,643

11,542

3,908,100

36,876

46

36,830

0.94

うち商品有価証券

前連結会計年度

34

34

0

0

0.13

当連結会計年度

65

65

0

0

0.35

うち有価証券

前連結会計年度

811,269

6,317

804,951

8,153

1,086

7,066

0.87

当連結会計年度

944,293

6,317

937,976

10,794

1,085

9,708

1.03

うちコールローン

及び買入手形

前連結会計年度

103,863

103,863

△5

△5

△0.00

当連結会計年度

110,286

110,286

△5

△5

△0.00

うち預け金

前連結会計年度

14,662

14,600

61

0

0

0

0.00

当連結会計年度

13,615

13,555

59

0

0

0

0.00

資金調達勘定

前連結会計年度

5,133,719

27,379

5,106,340

3,164

50

3,113

0.06

当連結会計年度

5,127,089

25,651

5,101,438

4,667

46

4,621

0.09

うち預金

前連結会計年度

4,807,408

5,165

4,802,243

420

0

420

0.00

当連結会計年度

4,911,317

4,109

4,907,207

612

0

612

0.01

うち譲渡性預金

前連結会計年度

31,006

10,000

21,006

3

0

2

0.01

当連結会計年度

25,721

10,000

15,721

2

0

2

0.01

うちコールマネー

及び売渡手形

前連結会計年度

86,310

86,310

1,671

1,671

1.93

当連結会計年度

62,728

62,728

2,771

2,771

4.41

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

34,733

34,733

325

325

0.93

当連結会計年度

81,618

81,618

848

848

1.03

うち借用金

前連結会計年度

165,382

12,213

153,169

89

50

39

0.02

当連結会計年度

37,023

11,542

25,480

84

46

38

0.15

(注)1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、月末毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2 資金運用勘定・調達勘定の平均残高及び利息の相殺消去額は、当行と連結子会社間の内部取引により相殺消去した金額であります。

3 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高、前連結会計年度482,647百万円、当連結会計年度273,636百万円を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高、前連結会計年度1,499百万円、当連結会計年度1,499百万円及び利息、前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円を、それぞれ控除して表示しております。

4 国内業務部門と国際業務部門との間の資金貸借の平均残高及び利息は、相殺して記載しております。

 

 (参考)

 ③国内・国際業務部門別役務取引の状況

 役務取引等収益は、国内業務部門が147億63百万円、国際業務部門が71百万円、合計で144億1百万円となりました。

 役務取引等費用は、国内業務部門が42億41百万円、国際業務部門が34百万円、合計で38億41百万円となりました。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

15,321

70

451

14,939

当連結会計年度

14,763

71

432

14,401

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

6,564

6,564

当連結会計年度

6,914

0

6,914

うち為替業務

前連結会計年度

1,729

66

1,795

当連結会計年度

1,691

66

1,757

うち信託関連業務

前連結会計年度

223

223

当連結会計年度

267

267

うち証券関連業務

前連結会計年度

2,012

2,012

当連結会計年度

1,928

1,928

うち代理業務

前連結会計年度

3,248

3,248

当連結会計年度

2,474

2,474

うち保護預り・

貸金庫業務

前連結会計年度

245

245

当連結会計年度

242

242

うち保証業務

前連結会計年度

1,297

4

451

849

当連結会計年度

1,244

4

432

816

役務取引等費用

前連結会計年度

4,461

33

453

4,041

当連結会計年度

4,241

34

434

3,841

うち為替業務

前連結会計年度

214

33

248

当連結会計年度

223

34

257

(注) 役務取引等収益・費用における相殺消去額は、当行と連結子会社間及び連結子会社間の内部取引により、相殺消去した金額であります。

 

 (参考)

 ④国内・国際業務部門別預金残高の状況

 預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

4,866,798

14,065

5,639

4,875,224

当連結会計年度

4,966,179

12,040

4,737

4,973,482

うち流動性預金

前連結会計年度

3,480,902

5,494

3,475,408

当連結会計年度

3,662,222

4,592

3,657,630

うち定期性預金

前連結会計年度

1,361,558

145

1,361,413

当連結会計年度

1,293,239

145

1,293,094

うちその他

前連結会計年度

24,337

14,065

38,402

当連結会計年度

10,717

12,040

22,758

譲渡性預金

前連結会計年度

26,070

10,000

16,070

当連結会計年度

49,500

10,000

39,500

総合計

前連結会計年度

4,892,868

14,065

15,639

4,891,294

当連結会計年度

5,015,679

12,040

14,737

5,012,982

(注)1 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

2 定期性預金=定期預金+定期積金

3 預金及び譲渡性預金の相殺消去額は、当行と連結子会社間の内部取引により相殺消去した金額であります。

 

 (参考)

 ⑤国内貸出金残高の状況

 業種別貸出状況(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

3,909,853

100.00

3,995,006

100.00

製造業

351,921

9.00

362,023

9.06

農業,林業

4,002

0.10

3,985

0.10

漁業

14

0.00

13

0.00

鉱業,採石業,砂利採取業

1,157

0.03

1,059

0.03

建設業

205,062

5.24

206,564

5.17

電気・ガス・熱供給・水道業

45,363

1.16

46,818

1.17

情報通信業

14,156

0.36

13,796

0.35

運輸業,郵便業

159,906

4.09

164,593

4.12

卸売業,小売業

306,045

7.83

294,389

7.37

金融業,保険業

164,666

4.21

169,880

4.25

不動産業,物品賃貸業

1,007,896

25.78

1,048,580

26.25

各種サービス業

329,487

8.43

352,595

8.83

地方公共団体

216,969

5.55

200,576

5.02

その他

1,103,208

28.22

1,130,133

28.28

特別国際金融取引勘定分

政府等

金融機関

その他

 合計

3,909,853

3,995,006

(注) 「国内」とは、当行及び連結子会社であります。

 

 外国政府等向け債権残高(国別)

 該当事項はありません。

 

 (参考)

 ⑥国内・国際業務部門別有価証券の状況

 有価証券残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

163,918

163,918

当連結会計年度

307,544

307,544

地方債

前連結会計年度

215,680

215,680

当連結会計年度

252,140

252,140

社債

前連結会計年度

180,925

180,925

当連結会計年度

191,670

191,670

株式

前連結会計年度

50,358

6,317

44,040

当連結会計年度

66,603

6,317

60,286

その他の証券

前連結会計年度

78,831

126,898

205,729

当連結会計年度

86,501

147,599

234,101

合計

前連結会計年度

689,714

126,898

6,317

810,296

当連結会計年度

904,460

147,599

6,317

1,045,742

(注)1 「その他の証券」には、外国債券を含んでおります。

2 国内・国際業務部門別有価証券の状況の相殺消去額は、当行と連結子会社間及び連結子会社間の内部取引により相殺消去した金額であります。

 

(参考)

「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況

 連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、当行1行であります。

① 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表/連結)

資産

科目

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

銀行勘定貸

7,756

100.00

8,063

100.00

合計

7,756

100.00

8,063

100.00

 

負債

科目

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金銭信託

7,756

100.00

8,063

100.00

合計

7,756

100.00

8,063

100.00

(注) 共同信託他社管理財産については、前連結会計年度(2023年3月31日)及び当連結会計年度(2024年3月31日)のいずれも取扱残高はありません。

 

② 元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)

科目

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

金銭信託

(百万円)

貸付信託

(百万円)

合計

(百万円)

金銭信託

(百万円)

貸付信託

(百万円)

合計

(百万円)

銀行勘定貸

7,756

7,756

8,063

8,063

資産計

7,756

7,756

8,063

8,063

元本

7,756

7,756

8,063

8,063

負債計

7,756

7,756

8,063

8,063

 

 

(自己資本比率等の状況)

(参考)

 自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

 なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を採用しております。また、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出においては、バーゼルⅢ最終化の適用により、2023年3月31日については粗利益配分手法を、2024年3月31日からは標準的計測手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:億円、%)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

9.44

10.27

2.連結における自己資本の額

2,194

2,270

3.リスク・アセットの額

23,240

22,097

4.連結総所要自己資本額

929

883

 

単体自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:億円、%)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

1.単体自己資本比率(2/3)

9.01

9.83

2.単体における自己資本の額

2,043

2,117

3.リスク・アセットの額

22,674

21,520

4.単体総所要自己資本額

906

860

 

(資産の査定)

(参考)

 資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権

 破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2 危険債権

 危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3 要管理債権

 要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4 正常債権

 正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

債権の区分

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

178

115

危険債権

285

302

要管理債権

260

286

正常債権

38,862

39,730

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

 該当事項はありません。