第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」を企業理念としております。

 この企業理念は、エニタイムフィットネスの世界共通の理念であった「Get to a healthier place!」を日本語で表現したものですが、そこには、「ヘルシアプレイスを一人でも多くの方へ届けたい」という強い想いが込められております。

 当社グループは、エニタイムフィットネスが24時間年中無休・マシンジム特化型等の特徴的なフィットネスクラブを運営することで利用者の健康増進に寄与していることに深く共感し、日本でのエニタイムフィットネスのビジネスを開始しました。

 当社グループは、「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」を実現するために、ヘルシアプレイスを一人でも多くの方へ届けることを経営方針としております。

 

(2)経営環境、中期的な経営戦略及び対処すべき課題等

 当社グループは、企業理念『ヘルシアプレイスをすべての人々へ!』を掲げ、ヘルシアプレイスを一人でも多くの方へ届ける使命のもと、当社グループの存在意義として「フィットネス習慣を拡大させることで健康寿命を延ばし、豊かな社会を創る」パーパスを起点とし、これらの実現を通じて持続的な成長と中長期的な企業価値を向上させることを経営の基本方針としております。

 

 当社グループが属するフィットネス業界では、今後におきましても健康志向の高まりなどトレーニングの機会へのニーズは増加していくものと期待しております。特に、24時間マシン特化型のフィットネスジムは、当社が運営するエニタイムフィットネスを含む「価値訴求型」と低価格帯を中心とした「価格訴求型」への店舗モデルに二極化が進んでいくことが見込まれております。

 当連結会計年度におきましては、中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)の初年度でありましたが、計画を上回り過去最高の売上高、営業利益を更新いたしました。

 このような経営環境の変化に対応するため、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を策定いたしました。本中期経営計画に掲げる基本方針、成長戦略のもと中核事業である国内エニタイムフィットネス事業のさらなる充実に加え、新たな成長戦略の開拓として海外のエニタイムフィットネス事業並びに新ブランド「the bar method」の運営を着実に遂行することで経営基盤の強化を図ることが、当社グループの中期的な対処すべき課題と考えております。

 

中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の概要は以下のとおりです。

≪基本方針≫

 中期経営計画期間3カ年(2025年3月期~2027年3月期)は、更なる成長のための地固めの期間と位置づけ、定性目標として『新たな成長ステージへの変革』に取り組み、中核事業の強みの最大化及び新たな成長領域への事業成長投資を積極的に行うことで、業容の拡大と収益力の増強を目指します。

 

≪基本戦略≫

① 国内エニタイムフィットネス事業の更なる規模拡大

安定的な新規出店

② エニタイムフィットネスの店舗・会員基盤を活かした国内事業の収益基盤拡充(新たな付加価値創出)

AFアプリの展開 ※AFアプリ・・・エニタイムフィットネスアプリ

EC/物販の育成・展開

③ 新たな成長領域の開拓及び収益基盤確立

海外事業の拡大

新ブランドの育成・展開

④ ESG経営の推進

ガバナンスの高度化

人的資本経営の実践

⑤ M&A、アライアンスの活用

M&Aの継続

自治体・法人等とのコラボ

 これらの基本方針、基本戦略に取り組みつつ、健全な財務基盤を活用した企業価値向上のための成長投資の推進と安定的な株主還元を継続して実施してまいります。

 当社グループは、日本のフィットネス参加率向上に貢献し、フィットネスが日常的でスタンダードなカルチャーとなるよう推進してまいります。加えて、エニタイムフィットネスがさらに社会に開かれたフィットネスクラブとなるため、社会的価値と経済的価値の創出及び持続可能な社会の実現と企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、継続的に事業を拡大していくために成長性と収益力を重視しており、FCから1店舗毎に所定の金額を店舗数に応じて得ているロイヤリティ収入と、直営店における会費収入という主に2つの大きな収益源を有していることから、成長性を示す指標として売上高対前年比を、収益力を示す指標として売上高営業利益率を重視しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 将来に関する事項は、当社グループが、有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは事業環境の変化など様々な要因により異なる可能性があります。

 

(1)ESG戦略

① ガバナンス

 当社グループは、企業理念「ヘルシアプレイスをすべての人々へ」のもと、サステナビリティを実現するための行動規範に基づき、事業を通じた社会課題の解決に全社員が取り組み、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。

 具体的には、ESGの視点を通じて、SDGsの各目標の達成に貢献するため、フィットネスがより社会につながる存在になり、様々な社会課題を一緒に解決できる存在となれるよう、2018年に「オープンフィットネス宣言」を発信しています。また、サステナビリティへの取り組みを更に加速するため、2021年9月より代表取締役社長を委員長とするESG委員会を新設し、ESGに関する重要課題の報告や協議、各取組の進捗管理などを適切に進める仕組みを構築しております。

 

② 戦略

 2021年5月にESG推進室を設置し、SDGsに即した活動を企業経営の根幹に据え、全社を挙げて取り組むための体制作りに着手し、当社グループのESG経営の重要課題として2つの柱を設定しています。

 

<日本の健康を創る先進企業へ>

 24時間フィットネスジムの運営という当社の事業そのものが人々を幸せにする健康産業であり、「フィットネス習慣の拡大によって、人々がより健康に生活し続けられる社会を目指す」ことがわたしたちの最も重要な使命であることから、「日本の健康を創る先進企業へ」を大きな柱の一つとしております。

 

<地域の健康・安全を担うインフラへ>

 エニタイムフィットネスは日本全国に店舗展開し、地域の人々に日常的に利用していただく事業であるという特性から、「それぞれの地域社会の持続的な発展の役に立ち、地域の人々に必要とされること」が当社の大きな使命であり、それがひいては当社自身の持続的な成長にも不可欠であると考え、「地域の健康・安全を担うインフラへ」をもう一つの大きな柱としました。

 

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③ リスク管理

 当社グループでは、リスク管理に関して「グループリスク管理規程」を定め、代表取締役社長をリスク管理統括責任者とするリスク管理体制を構築しており、リスクの低減及びその適切な対応を図っております。総務部長は、毎年1回、リスクの洗い出しと評価及びリスク対策課題の策定と防止に関する事項を検討し、リスク管理統括責任者へ報告しております。

 また、リスクが顕在化し、事故が発生した場合には、代表取締役社長であるリスク管理統括責任者を中心に、事故の解決にあたることとしております。また、取締役及び使用人は、職務権限規程に従って権限の範囲内で職務を執行し、各職務に内包する各リスクについて管理しております。人事総務本部は、内部牽制機能を担う部門として、各部室のリスクを監視し、リスクが高まったと判断した場合は、速やかに取締役及び監査等委員にその内容を報告し対策を講じております。

 

④ 指標と目標

 ESG経営推進のため、マテリアリティとアクションプランを設定しております。

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(2)気候変動への取り組みとTCFD提言に基づく情報開示

 当社グループでは、気候変動問題を経営の重要課題のひとつと捉え、積極的に対策に取り組んでおります。パリ協定の長期目標や2030年に向けた政府の脱炭素目標を踏まえ、ガバナンス体制の強化や、事業への影響分析、CO2削減目標の設定など、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づく気候変動に関する分析と適切な情報開示を進めております。

 

<ガバナンス>

 気候変動に関する重要事項に関しては、ESG委員会で審議の上、定期的に取締役会に報告する体制をとることで、取締役会の監督が適切に図られる仕組みを構築しています。ESG委員会は代表取締役社長を委員長として、ESG活動に関する当社グループの重要課題に対する報告並びに審議が行われます。2024年3月期は、開催された2回のESG委員会のうち、気候変動に関する審議は2回行われ、部署横断的な課題の共有と実行計画の策定が行われました。

 

<戦略>

 当社グループは、ESG経営を推進する為のマテリアリティの1つに「地域の健康・安全を担うインフラへ」を設定しています。気候変動対応はこのマテリアリティ実現の重要課題の一つであり、気候変動シナリオ分析を行い、気候変動のリスクと機会による影響を把握するとともに、省エネルギーやCO2排出量削減などの目標設定と進捗の管理を実施しています。

 

気候変動シナリオ分析の概要

① 2℃シナリオと4℃シナリオ

 分析にあたって定義するシナリオ群は2℃シナリオ、4℃シナリオの二つを採用しました。パリ協定目標として提唱された1.5℃シナリオについては、現状予測される世界観を特定するデータの収集が不十分と判断し、今後の分析課題としております。

 

② 分析の範囲

 算定範囲は、当社グループの燃料消費、並びに電気の使用によるCO2排出量(Scope1及びScope2)としています。Scope3については、今後の開示に向けた検討を進めています。

 

③ シナリオ分析

 特定された気候変動リスクを基に、シナリオ分析を行い2030年の世界観を考察しました。シナリオ分析では、フィットネスジムの事業運営を「出店計画・事業計画」「出店開発」「保守・管理・運用」の3つのフェーズに分け、2℃シナリオ、4℃シナリオのそれぞれにおいて、「規制」「技術」「市場」「評判」「物理的リスク」など起こり得るシナリオの分析を2022年3月に行いました。

 

特定された2030年の世界観

フェーズ

2℃シナリオ

4℃シナリオ

出店計画

事業計画

気候変動対策への関心の高まりや投資家からのESG情報開示要求の高まり、消費マインドの変化

異常気象の激甚化による建設コストの上昇、工期の遅れ

出店開発

規制が強化され、低炭素/脱炭素社会に向けた持続可能な社会の推進

異常気象の激甚化に伴い、市場の基幹機能が麻痺することによる物流経済の影響

保守・管理・運用

気候変動対策への関心の高まりや投資家からのESG情報開示要求の高まり、消費マインドの変化

店舗における風水害被害の発生頻度の上昇による修繕費の増加

被害の発生頻度の上昇に伴う一時的な会費収入の減少

分析結果

2℃シナリオにおいては、社会の脱炭素化の動きが加速し、規制の強化等による移行リスクが高まると考えられる

4℃シナリオにおいては、異常気象の激甚化による複合的な災害の発生頻度が高まると予想される

 

 

<気候関連に関わるリスク及び機会の分析>

気候変動のリスク・機会の分析

 当社の主要事業である、フィットネスクラブ運営事業に関して、将来予想される気候変動に関するリスク・機会を把握する作業を行いました。

 

気候変動関連リスクと機会の抽出から、重要性が高いと判断された項目

 

項目(大分類)

項目(中分類)

事業インパクト

想定するシナリオ

新たな規制

炭素税の導入

操業コストの増加

〈2℃シナリオ想定〉

政府による温室効果ガス排出の規制が強化され、炭素税が導入されることを想定

再生可能エネルギー調達

再生可能エネルギー調達による電力価格、エネルギー調達コストの増加

〈2℃シナリオ想定〉

政府による温室効果ガス排出の規制が強化され、再生可能エネルギー調達が推進されることを想定

フロン規制や省エネの推進

フロン規制や省エネ政策の推進による設備の新設、入れ替え(ZEB基準に基づく空調+換気、照明、給湯)コストの増加

〈2℃シナリオ想定〉

政府によるフロン規制や省エネ規制が強化され、直営店舗の設備導入において、ZEB仕様が必要になることを想定

市場

ZEB仕様への対応

賃貸料の上昇

〈2℃シナリオ想定〉

2030年以降新築物件はZEB Readyとなり、建築費用は10%以上増と仮定。賃料へもおよそ同額反映されることを想定

急性

風水害リスク

異常気象、温度変化に伴う洪水の激甚化により直営店舗が浸水することによる復旧費用の発生

〈2℃、4℃シナリオ想定〉

2030年時点において、2℃、4℃シナリオで起こりうる風水害のリスクを想定

直営店舗が被災した店舗の会費収入減少

※ ZEB:Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略。高効率設備や再生可能エネルギー導入により、快適な室内環境を実現しながら、消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建築物。

 

 

財務インパクトの算定

 シナリオ分析に基づき、2030年に予想される財務インパクトの算定を行いました。

 2℃シナリオにおいては、炭素税の導入や、再エネ導入コストの増大、フロン規制の強化に対応する費用が主要な財務インパクトとなり、その額は約164百万円と想定されます。4℃シナリオにおいては、規制の導入は進まない代わりに災害の発生頻度がより上昇すると考えられ、財務インパクトは、約5百万円と想定されます。

 上記算定から、よりインパクトの大きい2℃シナリオを重視して今後の対策を立てることが重要であると考えております。

 

2030年時点での2℃シナリオ、4℃シナリオの財務インパクト評価

(百万円)

 

区分

2℃シナリオ

4℃シナリオ

炭素税の導入

90

再エネ調達によるコスト増

21

フロン規制・省エネの推進によるコスト増

37

賃貸コスト上昇

9

被災店舗設備の復旧費用

1

2

被災店舗の会費収入の減少

2

3

合計

164

5

 

<指標と目標>

① Scope1及びScope2のCO2排出量実績

 エニタイムフィットネスにおいては、1店舗あたり平均で46.4t/年のCO2が排出されていると算定されました。当社の展開するジムは、プールや温浴施設を持たないため、フィットネスジムの中では現時点でもCO2排出量は比較的低く抑えられております。(1㎡あたりで比較)

2021年3月期 1店舗あたりの平均CO2排出量

(単位:tCO2)

 

1店舗平均CO2排出量

46.4

 

② 指標と目標

 算定したCO2排出実績をベースとして、排出量削減の具体的対策を様々な角度から検討した結果、2030年に2021年3月期比で1店舗あたりのCO2排出削減量を50%とする目標を設定しました。

 

③ 2024年3月期のScope1及びScope2のCO2排出量実績

 2024年3月期の1店舗あたりのCO2排出量は以下のとおりとなっております。

2024年3月期 1店舗あたりの平均CO2排出量

(単位:tCO2)

 

1店舗平均CO2排出量

37.8

 

 

(3)人的資本

 当社グループは企業理念「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」のもと、安全・安心・健全な職場づくりを推進しております。

 社員の働きがいと能力開発を進めるため、就業時間のフレックス化、子育て・介護の支援強化とともに、対面とオンラインを組み合わせた研修制度の充実や社員の意識調査の活用を進めています。また、アルバイト社員、契約社員から正社員への登用を定期的に実施しています。

 社員の健康サポートの面では、自社フィットネスジムの活用促進のほか、人間ドッグなど社員の健康診断メニューの充実化を進めています。

 さらに「月平均残業時間」を12時間以下にするなど労務管理上の目標を設定しているほか、社員の健康管理を強化する観点から「健康宣言」を宣言し、2023年に続き、2024年にも経済産業省が提唱する健康経営優良法人に認定されました。また、障がい者雇用については、今後も法定雇用率を上回る水準を維持していくとともに、健常者との適切な仕事の役割分担を行うことで「お互いを尊重し、共に成長できる職場づくり」を目標としています。

 

① 人材戦略(ダイバーシティ&インクルージョン)

 当社グループでは、多様なバックグラウンドを持つ人材が各部門で活躍しています。採用方法や性別によらず、社員一人ひとりがお互いを認め合い、刺激を受けながら能力を最大限に発揮し、ビジネスに新たな価値をもたらすことを目指しており、以下の観点を重視し、ダイバーシティ経営を推進しています。

 

<女性活躍推進>

 当社は女性がキャリアを止めることなく活躍できる環境を整えることが重要であると考え、早期復職支援や柔軟な働き方の推進による仕事と育児の両立支援にも取り組んでいます。直近3年間の女性の育児休業取得率は100%であり、全員が育児短時間勤務制度を利用し復職しています。

 2022年4月に、男性社員の育児参加の促進を念頭に新設した「育児休暇」については、当連結会計年度中に2名の男性社員が取得しました。男性が積極的に育児に参加する実例を通じて、職場全体が育児への理解を深めるとともに、育児を応援する職場環境の醸成にもつながると考えています。

 

<採用の多様化>

 多様な価値観を持つ人材がお互いを尊重しつつ、十分に議論を重ねることでイノベーションが生まれるという考え方のもと、女性活躍はもちろん、中途採用においても広く門戸を開き、人材基盤の強化を図っています。2024年3月末の正社員における中途採用者の比率は87%であり、正社員採用23名のうち16名(70%)が中途採用でした。今後も中途採用を強化し、多様性の拡大を図るとともに、中核人材に育成していきます。

 

<健康経営の推進>

 当社は、企業が健全であるためには、社員一人ひとりが心身共に健康であることが重要だと考え、2022年9月に健康経営宣言をしました。当社グループは企業理念「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」のもと、誰もが健康的に暮らせる、心豊かな社会の実現を目指しています。そのためには、まず社員が心身共に健康であることが重要であると考えます。「日本の健康を創る先進企業」として、個々の能力が十分に発揮され、皆がいきいきと働くことが出来る職場を創り、健康経営に取り組んでおります。

 健康経営宣言に則り、以下を実践してまいりました。

 

健康経営推進体制

・毎月1回、衛生委員会にて健康に関する情報の共有及び施策の推進健康診断受診の徹底、40歳以上の社員全員に人間ドック受診を実施

・健康診断予約システムを導入し、健康診断受診率100%および再検査の受診勧奨

 

教育・啓発活動の実施

・社員の健康増進を推進するための教育・啓発を実施

 

労働時間の適正化

・フレックスタイム制、変形労働時間制を導入し業務実態に沿った柔軟な働き方を実践

・平均残業時間:8.6時間/月

 

有給休暇取得の推進

・年5日取得率100%、年次有給休暇取得率86%

 

健康経営を社会に広める事業活動

・山口県の徳山病院店において、同病院と連携し「地域ヘルスケアプログラム」を提供

 

 2023年に続き、2024年も経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されました。

 

② 指標と目標

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3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

1.経営上の重要な契約に関する事項

(1)マスター・フランチャイズ契約に係るリスクについて

ア.マスター・フランチャイズ契約について

 当社は、Anytime Fitness Franchisor,LLCとマスター・フランチャイズ契約を締結し、エニタイムフィットネスの日本におけるマスター・フランチャイジーとして、フランチャイズシステム全体の運営と、連結子会社による直営店の運営を行っております。

 Anytime Fitness Franchisor,LLCと当社は、契約締結以降、長年にわたり良好な関係を維持しておりますが、当該「マスター・フランチャイズ契約」には、主に以下の条件が定められております。

① 当社は15年を1期間としてマスター・フランチャイズ契約を無制限に更新する権利を有しているが、当該契約の当初の契約期間は2025年6月9日までとなっていること。

② 現時点で、開発計画において当該契約終了時までに要求される店舗運営件数は既に達成しているものの、各年次において達成すべき最低店舗運営件数が開発計画に定められていること。

③ 当該契約期間中、当社がエニタイムフィットネス以外のフィットネス関連事業、又はエニタイムフィットネスの会員等に対する物品販売又は役務提供を行うためには、Anytime Fitness Franchisor,LLCの事前の許諾を要すること。

④ 当社に対し、当該契約終了後2年間は一定範囲の競業避止義務が課される旨、及び契約終了後の秘密保持義務が課される旨が規定されていること。

⑤ Anytime Fitness Franchisor,LLCの単独の判断により、当社のエニタイムフィットネス事業に重大な影響を与えない範囲内で、当社が「エニタイムフィットネス」の商標の使用を中止又は変更しなければならない可能性があること。

⑥ Anytime Fitness Franchisor,LLCは、当社の同意なく、マスター・フランチャイザーの権利を第三者に譲渡できること。

⑦ ③で定める取引上の制約が、裁判所の判断、適用法令等により無効等とされた場合において、当社がエニタイムフィットネス以外のフィットネス関連事業、又はエニタイムフィットネス会員等に対する物品販売又は役務提供を行う場合は、当社が当該事業により得た収益の一定割合をAnytime Fitness Franchisor,LLCに支払う義務が発生すること。

⑧ 当該契約を遵守しない場合、重大な表明保証違反の場合又は支払不能となった場合等が契約解除事由であること。

 

イ.マスター・フランチャイズ契約に係るリスク

 当社は、Anytime Fitness Franchisor,LLCとは引き続き良好な関係を維持するよう努めており、現時点において、同社との契約の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、Anytime Fitness Franchisor,LLCの経営方針の変更、Anytime Fitness Franchisor,LLCと当社との関係の悪化若しくはマスター・フランチャイズ契約の契約上の地位の譲渡を受けた第三者の経営方針変更や当該第三者との関係悪化等によって契約更新の合意が成立しなかった場合、又は上記に代表される当社が果たすべき各種契約上の義務を当社が履行できずに契約が解除された場合は、当社が競業避止義務に抵触しない新たな事業を行うことは可能なものの、契約終了後2年間の競業避止義務があることから、事業の継続が困難になる可能性があります。

 また、マスター・フランチャイズ契約に基づき、Anytime Fitness Franchisor,LLCの事前の許諾を得られない場合は③の条件により特定の事業を行えないことから、将来、当社グループの事業戦略において制約を受ける可能性があります。

 加えて、Anytime Fitness Franchisor,LLCの経営方針に変更等があった場合、Anytime Fitness Franchisor,LLCからロイヤリティ等の引き上げや追加的なサービスの販売等の要請がありこれに応じざるを得なかった場合、又はAnytime Fitness Franchisor,LLCと当社との関係が悪化した場合、当社グループにおいて営業戦略の見直しや商標の使用中止又は変更に伴う諸費用が増加する等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.事業に関する事項

(1)感染症等による影響について

 当社グループでは、「安全」「安心」「清潔」「快適」な店舗クオリティの維持・改善・向上に努めながら、店舗においては、様々な感染防止対策を行った上で、全店舗において、24時間営業(※)を継続しております。しかしながら、新型コロナウイルス等の感染症の再拡大により、各都道府県からの休業要請を受け店舗を臨時休業する場合や再度外出の自粛要請が出された場合など、感染症等の影響により、入会者が想定通り増加せず、休退会する会員が増加し、またそれによりフィットネスジム利用に係る需要が当社の想定通り増加せず、FCオーナーの出店意欲への影響が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 (※) 改装、停電、検査等のための休業を除きます。

 

(2)新規出店に係るリスクについて

 当社グループは、今後も様々な情報ルートを活用し出店候補地の情報を収集するとともに、集客予測に基づき投資採算性の検証を行いながら、積極的にフィットネスクラブ運営事業の開発を進めておりますが、当社が出店を決定した後に、景気の変動があった場合、計画時の市場調査から環境に変化があった場合、FCオーナーの出店意欲が減退した場合、出店候補地が確保できない場合、出店に必要な人材が確保できない等の理由により出店計画数に満たない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)競合の出店等に係るリスクについて

 当社グループが新規出店をする際には、商圏誘引人口、交通量、競合店調査、賃借条件等の立地調査を綿密に行った上で新規出店の意思決定をしております。また、消費者の行動様式の変化等に対応すべく、SNSを活用した広告宣伝等を行うとともに、店舗の混雑状況をホームページ等に記載する店舗を増やしていくことを検討しております。しかしながら、当社グループの出店後に交通アクセスが変化した場合や、同業他社等から新規参入があった場合には、そこに新たな競合関係が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、24時間年中無休・マシンジム特化型という、当社グループが運営するフィットネスクラブと同じ特徴を打ち出した低価格・低品質のフィットネスクラブが増加した場合、価格競争の激化や、低品質の同業他社の不祥事等による業界イメージの悪化等により、顧客流出やそれに対処するための様々なコストの増加等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、最近では、オンラインでフィットネスレッスン等のサービス提供を行う事業者の参入も増加しており、消費者の行動様式の変化等により、これらを含む他のサービス形態のフィットネスジムに顧客が流出した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)FC店への店舗運営指導に係るリスクについて

 当社グループは、直営店の運営に加え、FCが運営するFC店を含めたフランチャイズシステム全体の運営を行っております。

 FCは独立した経営主体であるため、当社グループの指導に従ったサービスの提供が行われないことにより生じる潜在的なリスクや、個人情報保護法等の法令を遵守することを定めたサブ・フランチャイズ契約に違反することにより生じる潜在的なリスクを抱えております。

 FC店の運営に関しては、FCに対して店舗運営のために必要なサポートを提供するとともに、法令遵守のための指導並びにコンプライアンス研修を実施しており、直営店と同水準のサービスを提供し、法令遵守をはじめとするコンプライアンスを徹底するための体制を整えております。

 当社グループのこれらの取り組みにも関わらず、上記のような潜在的リスクが顕在化した場合には、エニタイムフィットネスのブランドの価値が棄損し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)集客に苦戦した場合の労務費や賃借料等の固定費負担が大きいことに伴う収益悪化に係るリスクについて

 当社グループが新規出店をする際には、商圏誘引人口、交通量、競合店調査、賃借条件等の立地調査を綿密に行った上で集客予測を立て、所定の期間内に投資回収が出来ると判断した場合のみ新規出店の意思決定をしております。また、直営店のスタッフは基本的に店舗マネージャー以外をアルバイトスタッフのみで運営しており、労務費を変動費化するよう努めております。

 しかしながら、フィットネスクラブ運営における収益構造は労務費や賃借料等の固定費の負担が大きいため、新規出店の意思決定を行った後に競合環境の変化が生じ集客に苦戦する等、会員数が出店時の計画に達しない場合には、収益の確保や、初期投資の資金回収に時間がかかり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)有利子負債への依存と金利変動の影響について

 当社グループが直営店を新規に出店する際には、建物入居のための敷金及び保証金、店舗内装設備及び器具備品等のための資金を必要とします。当社グループは、これらの資金に自己資金を充当するとともに、金融機関からの借入金も充当しているため、当社グループの当連結会計年度末現在の借入金残高は、長期・短期を合計して3,239百万円となり、有利子負債依存度は14.9%となりました。

 当社グループは、公募増資による手取金を新規出店時の資金に充当し、有利子負債への依存度を低減させていく方針であり、また、複数の金融機関と良好な関係を維持するとともに、今後の金利動向を注視してまいります。

 しかしながら、近年の低金利の状態が続いている環境が急変し、今後、金利が上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)賃貸借による店舗展開について

 当社グループは、直営店の運営に当たり当連結会計年度末現在の土地建物賃貸借契約により賃貸人に差し入れている敷金及び保証金の残高が1,531百万円あります。当社グループでは、賃貸借契約において、当社グループが差し入れている敷金及び保証金を担保として提供することを禁じており、敷金及び保証金が回収不能となるリスクを減じております。しかしながら、賃貸人の財政状態が悪化し、返還不能になったときは、賃料及び解体費用との相殺ができない範囲において貸倒損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)固定資産の減損について

 当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用し、直営店については、各店舗を資産グループとしてグルーピングしております。当社グループは、各店舗の運営状況及び収益状況については毎月確認し、店舗の会員数が当初の計画を著しく下回っているような場合には、会費の見直しや集客のための広告宣伝の媒体の変更等、会員数を増加させるための施策を実行しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症再拡大や新店が黒字化するまでの期間が従来よりも長期化する傾向にあることや、近隣への競合店の出店による影響を受けること等により、店舗の収益及び評価額が著しく低下し、有形固定資産の減損処理が必要となった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)情報システムセキュリティについて

 当社グループは、会員情報を管理し、会費等の徴収を行うための会員・会員管理システムと海外のエニタイムフィットネス店舗も含む相互利用を可能とするための全世界共通の入館管理システムを直営店及びFC店全店で利用しております。社内の業務システムを含むこれら情報システムには、ウイルス感染やサイバー攻撃等によるシステム障害及び社外への情報漏洩等のリスクに対する対策を図り、また、FC店を含む店舗スタッフ等のシステム使用者に対する教育を行っております。しかしながら、当社グループの想定を超えるサイバー攻撃や、システム使用者による不正行為等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性や、会員様が入館出来ない等の事象が発生する可能性があります。このような情報システムセキュリティの問題が発生した場合、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用の低下により、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)単一事業であることのリスクについて

 当社グループは、「フィットネスクラブ運営事業」の単一事業であるため、当社はエニタイムフィットネスのフランチャイズシステム全体の運営を行うとともに、子会社の株式会社AFJ Projectがサブ・フランチャイジーの1社として、エニタイムフィットネスの店舗を運営することで、FCからのロイヤリティ収入と直営店における会費収入という、主に2つの大きな収益源を有しております。また、収益源を多角化するための新しい事業領域の開拓を課題と認識し、新規事業について検討を進めておりますが、社会情勢の変化等により、フィットネス産業の成長が想定通り進まない場合、又は、当社グループが事業環境の変化に適切に対応できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)個人情報の保護について

 当社グループは、フィットネスクラブ運営事業において、顧客の入会手続等によって個人情報を取得し、利用しております。当社グループでは、個人情報の保護に関する法律を遵守し、必要な社内規程を定め、社員教育を徹底することで個人情報の取り扱いについて適正な管理に努めておりますが、万一、個人情報の漏洩や不正利用が発生した場合、損害賠償請求やブランドイメージの低下により、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)従業員による不適切な行為等について

 当社グループにおいて、過去に店舗従業員による不適切な行為が発生したことがありますが、当社グループでは問題を真摯に受けとめ、再発を防止するためのルールの策定や社員教育を徹底する等の対応策をとり、発生防止に努めております。しかしながら、こうした当社グループの取り組みにもかかわらず、将来同様の事案が発生した場合又は過去に発生した事案や対応中の事案についての情報が拡散した場合には、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用の低下につながる可能性があります。

 また、昨今、パートタイム・アルバイト従業員が、勤務に関連する不適切な画像をインターネット等において公表するなど、不適切な行為をした結果、店舗の閉鎖・休業に至るなど、業務運営やブランドイメージ等に影響が及ぶ事例が出てきております。

 当社グループでは、インターネット・ソーシャルメディア等への不適切な書き込み等については、専門の会社に委託し、毎日確認しておりますが、そのような事象が発生したことにより情報が拡散した場合には、その内容の正確性にかかわらず、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用が低下することにより、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)店舗内の事故について

 当社グループが運営する店舗内は24時間録画されており、万が一のトラブル・事故等を知らせる通報が入った際には、いつでも警備員が駆け付けるセキュリティシステムを構築しております。

 しかしながら、当社グループが運営する店舗内で事故が発生した場合、当社は損害賠償請求を受ける可能性があります。当社は店舗内で発生する事故に関し、損害賠償責任保険に加入しておりますが、損害賠償請求額が保険金額を超えた場合、当該超過額については、当社が負担する可能性があります。また、このような事故、訴訟により、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用の低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)訴訟等について

 現時点において、当社グループの事業に重要な影響を及ぼすおそれのある訴訟は提起されておりません。しかしながら、今後フィットネスクラブ運営に関し、訴訟その他の法的手続等の対象となる可能性があります。かかる法的手続等は多くの不確定要素により左右されるため、その結果を予測することができません。将来において訴訟等の法的手続等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.事業環境に関する事項について

(1)経済情勢について

 当社グループが事業展開しているフィットネス業界は、主として個人消費者を対象顧客としております。エニタイムフィットネスの会員様からは月次で会費を収受しており、日々の売上が発生する業界に比して会費収入は安定しておりますが、個人消費が低迷するような経済局面においては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)気候変動並びに自然災害等の発生について

 気候変動により近年発生が増加傾向にある異常気象や自然災害は、中期的にも継続するとともに規模の拡大が見込まれます。

 当社グループは、フィットネスクラブ運営にあたり施設や器具を有しておりますが、大規模な震災や水害等の自然災害や火災等により施設や器具等が大規模に毀損し事業運営が困難になった場合、あるいはこれらの災害や感染症等の影響により予定通りに施設や器具を調達できずに新規出店が困難になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの気候関連に関わるリスク分析の詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への取り組みとTCFD提言に基づく情報開示」に記載しております。

 

(3)法的規制について

 当社グループは、これまで法的規制によって事業展開に制約を受けたことはなく、現時点において何らかの法的規制への抵触は認識しておらず、また、コンプライアンス体制も整備しております。しかしながら、今後新たな法的規制等の導入や既存の法的規制の改廃や解釈の変更等が生じた場合並びに重大な法令違反が起こった場合には、当社グループの業績や事業の存続に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 また、当社グループは、「フィットネスクラブ運営事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ602百万円増加し、21,798百万円となりました。これは主に、現金及び預金が増加したこと等により流動資産が494百万円増加したこと、並びに、敷金及び保証金が増加したこと等により固定資産が107百万円増加したことによるものです。

 

(負債)

 負債は、前連結会計年度末に比べ1,076百万円減少し、8,897百万円となりました。これは主に、借入金の返済により1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金が1,569百万円減少したことによるものです。

 

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ1,679百万円増加し、12,900百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益2,123百万円を計上したことによるものです。この結果、自己資本比率は59.2%となりました。

 

b.経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、直営店6店舗出店に伴う会費収入の増加及びFC店66店舗出店に伴うロイヤリティ収入の増加により15,825百万円(前年同期比7.0%増)となりました。

 

(売上総利益)

 連結子会社が運営する店舗の収益構造は労務費や賃借料等の固定費の負担が大きいため、直営店6店舗の出店に伴い売上原価が前年同期比155百万円増加した一方で、会費収入及びロイヤリティ収入等の売上高が増加し、当連結会計年度の売上総利益は、7,259百万円(同13.8%増)となりました。

 

(営業利益)

 当連結会計年度の営業利益は、広告宣伝費等の経費増加により販売費及び一般管理費が前年同期比742百万円増加したものの、売上総利益の増加により、3,504百万円(同4.2%増)となりました。営業利益率は22.1%となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度の経常利益は、前年同期比での営業利益の増加に加え、違約金収入等の営業外収益が前年同期比66百万円増加したこと及び出店資金の借入に伴う支払利息等の営業外費用が前年同期比26百万円減少したことにより、3,635百万円(同6.9%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、2,123百万円(同10.9%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ515百万円増加し、10,199百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の収入は3,343百万円(前連結会計年度は2,982百万円の資金の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が3,211百万円、減価償却費が839百万円あったのに対し、法人税等の支払額1,095百万円及び長期未払金の減少84百万円の減少があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の支出は790百万円(前連結会計年度は743百万円の資金の支出)となりました。これは主に、直営店の出店等に伴う有形固定資産の取得による支出が635百万円、敷金及び保証金の差入による支出が207百万円あったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の支出は2,038百万円(前連結会計年度は2,012百万円の資金の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が1,569百万円、配当金の支払額が467百万円あったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産、受注の状況

 当社グループは、生産、受注活動は行っていないため、該当事項はありません。

 

b.販売実績

 当社グループは、「フィットネスクラブ運営事業」の単一セグメントでありますが、以下では、より詳細な区分に分類し開示を行っております。

 当連結会計年度の売上高を各区分別に示すと、次のとおりであります。

区分

金額(百万円)

前年同期比(%)

FC売上

5,788

2.4

店舗売上

9,395

9.5

その他営業の収入

641

16.1

合計

15,825

7.0

(注) 主な相手先別の記載については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍からの行動制限が解除されたことにより人流の回復と雇用や所得環境の改善による個人消費の持ち直しやインバウンド需要等、持ち直しの動きが見られました。一方で、世界的なエネルギー価格の高騰や円安進行による物価上昇等により、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 当社グループが属するフィットネスジム業界におきましては、厚生労働省による週2~3日の筋肉トレーニングの推奨や、コロナ禍を経て人々の価値観やライフスタイルの変化による健康需要の高まりと参入障壁の低さから、トレーニング施設の需要は増加傾向が続いております。一方、24時間マシン特化型のフィットネスジムは店舗数の増加とともに「価値訴求型」と「価格訴求型」の店舗モデルに二極化が進んでおり、業績不振や小規模事業者による倒産件数の増加等の報道から窺われるように、今後、価格競争を要因とする淘汰や業界再編の機運が高まっているものと予想されます。

 

 そのような中、2024年3月末現在の当社グループが運営する日本におけるエニタイムフィットネスの店舗数は1,134店舗(前年同月末比66店舗増)、会員数は84.0万人(前年同月末比10.0万人増)となりました。特に会員数においては、2023年12月~2024年1月にかけて実施したブランド認知と新規入会獲得を目的とした全国規模のプロモーションが奏功し、2023年12月、2024年1月の各月の新規入会者がそれぞれ前年同月比約7,000人増と伸長し、店舗当たり会員数も741名(前年同月末比は693名)となりました。全国47都道府県に拡がる1,100店舗超の店舗網と84万人超の会員基盤を活用し、「価値訴求」の強化に繋がる会員様の志向や嗜好によって選択いただける商品・サービスのサブスク型でのご提供の強化や、物販やEコマース等の早期事業化を目指した取り組みを推進してまいりました。

 また、当社が成長戦略の一環として推進する新たな成長領域の開拓として、ドイツ国内におけるエニタイムフィットネスのマスターフランチャイズ権の取得(承継)とともに、シンガポール国内のエニタイムフィットネス2店舗を運営する会社の株式取得により、それぞれ連結子会社化するに至り(契約締結及び子会社化は2024年4月)、日本で培ったエニタイムフィットネスの店舗運営及び展開ノウハウを生かしたグローバル展開の足掛かりを築いたほか、主に女性をターゲットとした新ブランド「the bar method」のマスターフランチャイズ契約を2024年4月に締結し、2024年10月に第1号店の出店を目指し(予定)、日本における同ブランドの育成と展開の足掛かりを築くとともに、事業ポートフォリオの拡充にも着手しております。

 

1.エニタイムフィットネス店舗数

 

前連結会計年度末

(2023年3月31日)

当連結会計年度

当連結会計年度末

(2024年3月31日)

 

出店数

退店数

店舗数合計

※1  1,068

72

6

1,134

内、直営店舗数

※1,2   171

6

2

※3  177

FC店舗数

※2   897

66

4

957

※1.2023年3月31日付で退店した店舗1店舗を含んでおります。

※2.FC店舗から直営店舗に承継した1店舗を反映しております。

※3.FC店舗から直営店舗に承継した3店舗を反映しております。

 

2.エニタイムフィットネス会員数

 

前連結会計年度末

(2023年3月31日)

当連結会計年度

第2四半期末

(2023年9月30日)

当連結会計年度末

(2024年3月31日)

増減率

(前年同期比)

会員数合計

74.0万人

81.1万人

84.0万人

13.6%

内、直営店会員数

11.1万人

11.8万人

12.1万人

9.1%

FC店会員数

62.8万人

69.2万人

71.9万人

14.4%

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は15,825百万円(前年同期比7.0%増)、営業利益は3,504百万円(同4.2%増)、経常利益は3,635百万円(同6.9%増)となりました。

 また、業績改善までの期間の長期化が見込まれる16店舗に関する減損損失346百万円を計上したこと等により、特別損失436百万円を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は2,123百万円(同10.9%増)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要は、主に直営店の新規出店に伴う設備投資資金となります。財政状態等を勘案しながら、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等による資金調達を考えております。流動資産と流動負債のバランスを注視し、財政状態の健全性を評価しており、当連結会計年度末時点で健全な財務体制であると判断しております。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社グループは、継続的に事業を拡大していくために成長性と収益力を重視しており、成長性を示す指標として売上高対前年比を、収益力を示す指標として売上高営業利益率を重視しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)マスター・フランチャイズ契約

 当社は、Anytime Fitness Franchisor,LLCとの間に、当社をマスター・フランチャイジー、Anytime Fitness Franchisor,LLCをマスター・フランチャイザーとする以下のマスター・フランチャイズ契約を締結しております。

 

① 契約日 :2019年7月24日

 当社は、2010年6月14日付でAnytime Fitness,LLCとマスター・フランチャイズ契約を締結し、2019年7月24日付で更改契約を締結しております。

 なお、本契約における契約上の地位及び権利義務は、2021年11月よりAnytime Fitness,LLCから同社の関連会社であるAnytime Fitness Franchisor,LLCに譲渡されたため、契約先をAnytime Fitness Franchisor,LLCに置き換えて記載しております。

 

② 契約先 :Anytime Fitness Franchisor,LLC

 

③ 契約内容

 日本国内において当社の関連会社及びその他の者に対して、「Anytime Fitness」の名称等に関する商標等及びエニタイムフィットネスシステムを使用してエニタイムフィットネスを運営するサブ・フランチャイズを許諾する権利を付与する。

 

④ 対価

イ.イニシャル・フィー(加盟金)

サブ・フランチャイジーから当社が受け取る加盟金の一定額を支払う。

ロ.コンティニューイング・フィー(ロイヤリティ)

サブ・フランチャイジーから当社が受け取るロイヤリティの一定額を支払う。

ハ.グローバル・アクセス・フィー

情報システム利用料として、1店舗あたり所定の金額を支払う。

ニ.マーケティング・フィー

上記の他、支払手数料として、一部支払う。

 

⑤ 契約に基づき発生する主な権利、義務及び契約解除条項等

イ.契約終了後2年間は、当社に対し、一定範囲の競業避止義務が課される旨、及び契約終了後の秘密保持義務が課される旨が規定されていること。

ロ.エニタイムフィットネス以外のフィットネス関連事業、又はエニタイムフィットネス会員等に対する物品販売又は役務提供を行うためには、Anytime Fitness Franchisor,LLCの事前の許諾を要すること。

ハ.契約先の判断により、当社のエニタイムフィットネス事業に重大な影響を与えない範囲内で、当社が「エニタイムフィットネス」の商標の使用を中止又は変更しなければならない可能性があること。

ニ.契約先は、当社の同意なく、マスター・フランチャイザーの権利を第三者に譲渡できること。

ホ.ロで定める取引上の制約が、裁判所の判断、適用法令等により無効等とされた場合において、当社がエニタイムフィットネス以外のフィットネス関連事業、又はエニタイムフィットネス会員等に対する物品販売又は役務提供を行う場合は、当社が当該事業により得た収益の一定の割合をAnytime Fitness Franchisor,LLCに支払う義務が発生すること。

へ.当該契約を遵守しない場合、重大な表明保証違反の場合又は支払不能となった場合等が契約解除事由であること。

ト.予算案、会員システムのデータ、店舗の開発や運営に関する情報及び帳簿等に関する情報等について、契約先の秘密保持義務を前提として、契約先の要望に基づき情報を提供する義務があること。

 

⑥ 契約期間

 当初の契約期間は2019年7月24日から2025年6月9日まで。ただし、15年を1期間としてマスター・フランチャイズ契約を無制限に更新する権利を有する。

 

(2)サブ・フランチャイズ契約

 当社は、上記(1)のマスター・フランチャイズ契約におけるマスター・フランチャイジーとして、日本においてサブ・フランチャイズを許諾する権利を保有し、同権利に基づき、サブ・フランチャイザーとして日本のサブ・フランチャイジーとサブ・フランチャイズ契約を締結しております。

 

① 契約内容

 サブ・フランチャイジーに対して「Anytime Fitness」の名称に関する商標等及びエニタイムフィットネスシステムを使用してエニタイムフィットネスを運営することを許諾する。

 

② 対価

イ.加盟金(サブ・フランチャイズ契約の際、1店舗毎に所定の金額を支払う)

ロ.ロイヤリティ(出店後、1店舗毎に毎月所定の金額を支払う)

ハ.会員管理システム運用費用(同上)

ニ.販売促進協力金(同上)

ホ.入館管理システム運用費用(同上)

 

③ 契約締結の日から10年間。ただし、契約期間満了に先立ち再契約についての協議を行うことができる。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。