第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、創業以来「顧客第一」を原点に、ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じ、広く社会の発展に寄与することを経営方針としております。「お世話する心」を持った「現代版下宿屋」を事業の中核に人々の生活におけるあらゆる問題解決を企業指針とし、お役に立てるサービスの質の向上と発展を目指してまいりました。そして、今後さらに具体的な事業戦略として「中核事業である寮事業のさらなる拡大展開と収益力再強化」「次世代の収益の柱となるホテル事業の基盤強化と拡大」「第3の柱となる新規事業の早期確立」を実践し、企業体質を強化してサービスの向上に努め、顧客・取引先・地域社会の皆様により一層貢献すべく努力をいたします。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題、中期経営計画

 昨今の当社を取り巻く経営環境は、国内におきまして出張やレジャー需要の増加に加え、2025年3月期は2019年以来、1年を通じて渡航制限の無い状況となることもあり、訪日需要が拡大していくものと想定される一方で、欧米の金融政策や長期化したロシアウクライナ問題と中東地域に拡散するガザ紛争のように世界情勢の不確実性が高まっております。

 このような中、「100年企業」を標榜する当社が持続的な成長を実現するためには、これまで培った強みを承 継しつつ、マーケットの拡大を図り、将来の環境変化にも打ち勝つ強固な事業基盤を構築する必要があるとの認 識のもと、当期を初年度とする5か年の新たな中期経営計画「KYORITSU Growth Vision / Rise Up Plan 2028」を策定いたしました。本計画は、長期ビジョンとして「3&3&3(トリプルスリー、2030年、売上高3,000億円、営業利益300億円)」を見据え、「コロナからの回復、そして再成長へ」と「顧客満足度のさらなる追求とエリアの拡大」を骨子としており、今後さらなる成長に努め、社会価値の向上と株主価値の向上に取り組んでまいります。

骨  子

1.

コロナからの回復、そして再成長へ

 

2.

顧客満足度のさらなる追求とエリアの拡大

期  間

 

2023年4月~2028年3月

定量目標

1.

2028年3月期 売上高 2,800億円、営業利益 280億円 営業利益率 10%

 

 

       EPS 200円 (注)1

 

 

       ROE 10%

 

 

       ネットD/Eレシオ 1倍以下

 

 

       配当性向 20%以上

 

2.

投資計画(2023年4月~2028年3月計)(注)2

 

 

 

開発投資

1,950億円

 

 

 

 

大規模修繕

350億円

 

 

 

 

DX投資

100億円

 

 

 

 

2,400億円

 

 

3.

開発計画(2028年3月期)

 

 

 

寮事業

50,000室

(+6,700室)

 

 

 

ドーミーイン事業

20,000室

(+3,600室)

 

 

 

リゾート事業

5,500室

(+1,300室)

(注)1.当社は、2024年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。この影響をEPSに反映し、前期の公表数値400円から200円に変更しております。

2.投資計画については、当初計画より一部見直しを行っております。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは、持続的成長と収益性及び資本効率向上の尺度として、連結ROE(自己資本利益率)を経営における重要な指標と位置づけており、その向上に努めることを目標としております。

 

 

2【サスティナビリティに関する考え方及び取組み】

1.サスティナビリティに関する考え方及び取組み

 当社グループは、サスティナビリティを経営の中核に据え、地球環境の未来と持続可能な社会のため、さらなる革新と挑戦を続けていくことを目標としております。その観点で、サスティナビリティの考え方をサスティナビリティ方針としてまとめ、公表しています。

 

サスティナビリティ方針

 私たち共立メンテナンスグループは、「食と住のサービス」を通じて、心からのくつろぎや安らぎをご提供し、すべての方がいきいきとした“豊かな人生”と希望と活力にあふれた新しい1日を迎えていただけるよう、「よい朝」をつくる事業活動を行っています。

 また、お客さまと共に、社会と共に、そして応援してくださるすべての人々と共に立ち、世の中にしっかり存在するという意味を、社名の「共立」に込め、創業以来、事業活動に伴う社会的責任を重要課題と位置づけてきました。

 これは、近年のSDGs達成へ向けた貢献や、環境・社会・ガバナンス( ESG )課題への取組みにも繋がっており、これからも事業活動を通じた中長期的な企業価値の向上と共に、持続可能な社会の実現を目指してまいります。

 

(1)ガバナンス

 サスティナビリティを巡る課題への取組みを推進するため、2022年4月に当社代表取締役社長を委員長とする「サスティナビリティ推進委員会」を設置いたしました。本委員会は、取締役会からの方針を受けて、サスティナビリティを巡る各種議論を行い、サスティナビリティに関する各種方針や目標、施策などを議論し、その進捗状況を取締役会へ定期的に報告を行っています。

サスティナビリティ関連のリスク及び機会に対するガバナンス体制は以下のとおりです。

 

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サスティナビリティ推進委員の主なカバー領域

 

代表取締役社長      : 全体統括

企画開発グループ担当常務 : 全域を担当

人事総務本部長      : 人的資本を中心に全域を担当

業務改革推進本部長    : エネルギーを中心に担当

 

 

 また、サスティナビリティ推進委員会は、2024年3月期に上期2回、下期2回(有価証券報告書サスティナビリティ項目の充実、CG報告書へのTCFD枠組み開示、温室効果ガス排出量の集計報告、各種方針作成等)開催いたしました。

(2)戦略

 当社グループのマテリアリティは、サスティナビリティ課題をSDGsやグローバルなESG指標、国内同業他社のベンチマーク調査からリストアップし、抽出した課題に対し、当社グループにおける重要度と、ステークホルダーにおける重要度を鑑みて、優先順位付けを行いました。

 

マテリアリティに対する取組みは以下のとおりとなります。

区分

マテリアリティ

取組み

環境

温室効果ガスの削減

・産業廃棄物の実績管理

・省エネ機器への切り替え

・EV(電気自動車)等のエコカー推進支援

・温泉排出熱の二次利用

使い捨てプラスチックの削減

・アメニティ提供の見直し

水資源の有効な活用

・リネン不交換実施(連泊WECO清掃)

・節水設備の導入

社会(人材)

新たな雇用の創出

・積極的な雇用創出

・障がい者雇用

多様な人材の活躍

・管理職の女性比率向上促進

・ジェンダーレス制服導入

人材への投資

・研修制度の拡充

学びの機会の提供

・寮RAプログラムの実施

・就学支援プログラムの提供

・共立国際交流奨学財団を通じた海外学生支援

・ホテル事業所の職業体験プログラムの実施

社会(食)

食の安全・安心

・HACCPに準拠した衛生管理による食の安全・安心

食品廃棄物の削減

・寮事業所における食品廃棄削減の取組み

・食品廃棄物の削減と再資源化

健康志向

・健康に配慮した食事の提供

・子ども食堂

ガバナンス

ガバナンスの強化

・ガバナンス体制の整備

・コンプライアンスの推進

・ハラスメント教育の実施

 

(3)リスク管理

 リスク管理は、取締役会とその委任を受けた「サスティナビリティ推進委員会」が主体となって行います。サスティナビリティ推進委員会は、リスク対応方針や重要リスクの対応課題のみならず、長期的な企業価値向上を目的とし、機会の観点からマテリアリティや関連して取組むポリシーの議論を行い、「環境・社会(人権)リスクへの対応」「ガバナンス施策の立案」「長期成長戦略」「社会貢献」「ESG開示」などの具体的な施策について議論を行う組織です。この会議の中で、経営に及ぼすインパクトの大きさを総合的に判断し、優先度を議論いたします。

 事業におけるリスク及び機会は、当社グループの課題やステークホルダーからの要求・期待、事業における環境側面の影響評価の結果等を総合して特定し、今後の計画の中で管理し、当社グループ全体で取組んでまいります。

 

(4)指標及び目標

①リスク・機会の実績評価・管理

 マテリアリティに関連付けして管理、公表している主な指標は、下記の当社のウェブサイトをご覧ください。https://www.kyoritsugroup.co.jp/sustainability/esg/

 

 

②人事関連指標

 

女性管理職

比率

男性の育児

休暇取得率

男女の賃金の差異

 

うち正社員

うち有期雇用

㈱共立メンテナンス

15.8%

51.4%

55.9%

79.7%

77.9%

㈱ビルネット

10.3%

75.0%

49.8%

81.5%

51.8%

㈱共立フーズサービス

5.6%

0.0%

43.7%

92.0%

46.9%

㈱共立ソリューションズ

16.2%

100.0%

56.2%

104.1%

77.5%

※上記以外のグループ会社につきましては、順次、開示範囲を広げていくことを検討しています。

当社では、女性の登用を積極的に推進し、2028年3月末までに管理職に占める女性の割合を20%にする目標を有しており、2024年3月末時点の女性管理職比率は、15.8%(前年と比べ2.3ポイント増)となっております。男性の育児休暇取得率につきましては51.4%(前年と比べ16.8ポイント増)となっております。また㈱共立ソリューションズにつきましては、2023年4月に当社PKP事業(自治体向け業務受託事業)の事業承継に伴う組織構成の変更によって、女性管理職比率、男性育児休暇取得率ともに増加しております。

 

2.TCFDへの取組み

 当社グループは、「食と住のサービスを通じ、広く社会の発展に寄与する」を経営方針としており、気候変動への取組みは、自社の事業展開にとっても持続可能な社会のためにも必要不可欠と位置付けています。そのため、2022年度に、気候変動に関連するリスクと機会が経営に与える財務影響の評価・開示を推奨するTCFDの提言に賛同し、気候変動対策に積極的な役割を担い、情報開示に努めてまいります。

 

(1)ガバナンス

①気候変動に対応する組織

 当社グループでは、気候変動をガバナンスプロセスに組入れ、リスク管理の統括機関として取締役会が気候変動関連のリスクと機会の管理プロセスに関与しており、取締役会の下部にあるサスティナビリティ推進委員会が、サスティナビリティ方針のもと、気候変動に関する情報の収集・分類、ポリシーの策定・実行しています。

 サスティナビリティ推進委員会は当社代表取締役社長を委員長とし、長期的な企業価値向上のための具体的施策について議論を行っており、定期的に取締役会へ報告を行い、取締役会の要請を受け、気候関連問題への対応を推進しています。

 ガバナンス体制図は「第2 事業の状況 2 サスティナビリティに関する考え方及び取組み 1.サスティナビリティに関する考え方及び取組み (1)ガバナンス」をご参照ください。

 

②サスティナビリティ推進委員会

 サスティナビリティ推進委員会は、2024年3月期に上期2回、下期2回(有価証券報告書サスティナビリティ項目の充実、CG報告書へのTCFD枠組み開示、温室効果ガス排出量の集計報告、各種方針作成等)開催いたしました。2025年3月期は四半期に1回程度の開催を見込んでおり、気候変動対策に対するポリシー、具体的施策、開示内容等を立案、協議、議論の上、管理統括し、成果を取締役会に報告してまいります。

 

(2)戦略

①リスク及び機会

 当社グループにおきましては、気候変動による世界的な平均気温の4℃上昇が社会に及ぼす影響は甚大であると認識し、気温上昇を2℃未満に抑制することを目指す動きに貢献していくことが重要であると考えています。

 当社グループに影響を与える気候変動によるリスクにつきましては、まず2100年までの平均気温が4℃まで上昇した場合(以下、『4℃シナリオ』と表記)、災害等により顕在化する「物理的リスク」では、事業所や観光地が被災するリスクが重点リスクと考えられます。また、2℃未満に気温の上昇が抑えられた場合(以下、『2℃未満シナリオ』と表記)、その過程で生じる政策、法律、技術、市場等の「移行リスク」として、政策変更による炭素税導入などの間接コスト上昇が重点リスクと考えられます。

 一方、影響には機会の側面もあり、新しいビジネスモデルや市場の開発、省エネ機器の性能向上、グリーンエネルギーのコストダウンなどのリスク低減策が考えられます。

 

②気候関連の影響

(a)シナリオ

 気候変動が当社グループに与える影響度を測るうえで、背景にあるシナリオは、4℃シナリオではSTEPS(IEA)やRCP6.0、8.5(IPCC)、2℃未満シナリオではSDS(IEA)やRCP2.6(IPCC)をベースに検討中です。

 

(b)財務的影響

 将来想定される炭素税導入や再生可能エネルギーへの切り替えの前提となる価格変動が、財務に影響を与えると考えられます。財務影響試算につきましては、今後リスク、機会の抽出を行ったうえで、特に重点と想定される炭素税による課税コスト及び再生可能エネルギーのコスト上昇などについて、多角的に影響を検討してまいります。

 

③対応策

 当社グループの温室効果ガス排出量の大半は、電気、ガスの使用に由来しており、温室効果ガス排出量削減の取組みは、効率的なエネルギー使用と再生可能エネルギー由来燃料への切り替えが重要であると考えています。

 効率的なエネルギーの使用につきましては、省エネ効果の高いエアコンなど、エネルギー効率の高い機器への入替えが有効な手段と考えられます。再生可能エネルギーへの切り替えは、情報収集を進め費用対効果をみながら導入を進めてまいります。いずれも長期的な視点から計画的な取組みが必要となります。

 また、当社グループにおいては、4℃シナリオ、2℃未満シナリオのいずれのシナリオ下においても、中長期的視点から広い視野で今後生じることを想定し対策を講じてまいります。そのため、今後の事業戦略においてもマイナスであるリスクに対しては、適切な回避策を策定する一方、プラスである機会に対しては、柔軟に対応し当社の成長機会としてとらえていく考えです。

 

(3)リスク管理

①抽出・評価

 当社グループでは、気候変動を企業存続の重要な課題と認識し、リスクのみならず機会の面からも適切に対応することが持続的な成長につながると考えています。当社グループでは、取締役会から委任を受けた「サスティナビリティ推進委員会」の中で、経営に及ぼすインパクトの大きさを財務に与える影響度と発生可能性の両面から総合的に評価し、優先度を議論してまいります。事業におけるリスク及び機会は、当社グループの課題やステークホルダーからの要求・期待、事業における環境側面の影響評価の結果等を総合して特定し、今後の計画の中で管理し、当社グループ全体で取組んでまいります。

 

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②管理

 サスティナビリティ推進委員会は、取締役会からの要請を受けて、サスティナビリティに関する各種ポリシーや目標、施策などを議論し、その進捗状況を取締役会へ定期的に報告を行っています。

 同事務局はサスティナビリティ推進委員会を補佐いたします。

 ESG推進室は、サスティナビリティ推進委員会から指示を受け、ESG施策の推進の他、当社グループから情報収集、情報発信、啓蒙活動を行います。

 

③プロセス

 当社グループは、気候変動に対してリスクと機会の両面から検討することが重要であると考えています。そのため、気候変動リスクのモニタリングに留まらず、関連部署、グループ会社の横の連携を強化し、機会の面からも評価しています。検討は、ESG推進室、サスティナビリティ推進委員会で行われた後、取締役会へ報告され、企業価値向上の観点から判断し、関連部署に指示を出す仕組みになっています。

 

(4)指標と目標

 当社グループは、TCFD提言に賛同表明しており、温室効果ガス排出量(Scope1+2)を2050年度までにネットゼロとする目標を掲げ、「脱炭素」をキーワードに、温室効果ガス排出量を削減してまいります。なお、温室効果ガス排出削減目標については、サスティナビリティ推進委員会において温室効果ガス排出量及び削減目標、中間目標の検討を行い、取締役会へ報告し、取組んでまいります。目標につきましては、今後準備が整い次第、公表させていただきます。当社の温室効果ガス排出量については以下のとおりです。

 

㈱共立メンテナンスの温室効果ガス排出量(t-CO2)

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

 2024年3月期/

2023年3月期

Scope1(t-CO2)

47,380

49,222

50,449

102.5%

Scope2(t-CO2)

73,707

76,363

86,010

112.6%

計(t-CO2)

121,088

125,585

136,459

108.7%

※グループ全体とScope3の排出量につきましては集計中です。

 

 2024年3月期の温室効果ガス排出量(Scope1+2)は、136,459 t-CO2(前年同期比108.7%増)となっています。増加した主な要因は、ホテル事業における排出量によるものとなっています。

 

ホテル事業の温室効果ガス排出量(t-CO2)

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

 2024年3月期/

2023年3月期

Scope1(t-CO2)

37,725

39,672

43,314

109.2%

Scope2(t-CO2)

55,829

57,461

68,879

119.9%

計(t-CO2)

93,554

97,133

112,193

115.5%

(うち新棟)

6,218

3,712

11,887

320.2%

 

 2024年3月期のホテル事業における温室効果ガス排出量は、112,193t-CO2(前年同期比115.5%増)となっています。これは新規開業に伴う客室数の増加によるものであり、2024年3月期の客室数は、1,931室増加し、20,628室となっております。一方、既存事業所につきましては、省エネ効果の高い高効率機器への切り替えなどにより、一定程度の温室効果ガス削減を行ったものの、新型コロナウイルス感染症からの稼働回復等もあり、増加となっています。

 

3.人的資本への取組み

 共立メンテナンスという社名にある「共立」という言葉には、「お客さまと共に、社会と共に、そして応援してくださるすべての人々と共に立ち、世の中にしっかり存在する」という意味が込められています。また、「メンテナンス」には、「人々の人生に寄り添い、『ヒューマンメンテナンス』を通して社会と共に生計を維持する」という意味が込められています。当社グループの人的資本への取組みは、そうしたお客様と寄り添える人材を如何に育成するかを長期的かつ戦略的に考えてまいります。

 

(1)人材育成及び社内環境整備方針

 当社グループは、実際に仕事を進めていく中で得る知識やスキルを成長の軸としながら、研修でコア能力を強化し、個人単位の成長から、より大きな組織単位の成長へとレベルアップさせていくことが重要であると考えており、顧客満足向上のための重点施策の一つとして、お客様の気持ちにお応えできる、能力の高い人材の安定確保に取組んでおります。具体的には、採用力のさらなる強化に加え、定着(離職防止)の促進、サービスレベルの維持・向上にかかる教育制度及び階層別研修制度の充実、グローバル化へ対応すべく、多様な人材の確保と活用等の取組みを強化し、顧客満足度の向上を図ってまいります。

 近時、これまでの能力向上の観点に加え、働き甲斐のような意欲向上の観点から、特定業務に対して自らの能力を高めていく専門職コースを増設し、自らの成長を実感できる資格取得支援制度や従業員進学支援制度の活用、キャリアアンケートの実施、日々の悩みを解消するフォロー面談の実施等にも取組んでおります。

 

(2)多様性

 当社では、ジェンダー平等実現を目指しています。新入社員のうち女性社員は68.2%(2024年4月1日現在)を占め、性別にかかわらず活躍できる職場環境を整えています。また、管理職に占める女性の比率を2028年までに20%とする目標を有しており、2024年3月末時点で15.8%となりました。育児短時間勤務制度の適用範囲も、3歳未満から18才未満に拡大することを決定しております。

 さらに、当社は、年齢・性別・国籍等を問わず必要な人材を新卒・中途にかかわらず採用しています。特に新卒新入社員のうち外国籍社員は8.8%(2024年4月1日現在)を占め、人種や文化の違いによらず高いモチベーションをもって働けるように各種サポート体制を整備しております。当社、主要グループ会社の社員(パート含む)に占める外国籍社員比率は以下のとおりです。

 

社員に占める外国籍社員比率

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

㈱共立メンテナンス

3.5%

2.7%

4.1%

㈱ビルネット

2.6%

2.6%

4.7%

㈱共立フーズサービス

7.5%

9.6%

10.4%

㈱共立ソリューションズ

0.3%

0.2%

0.2%

 

 新型コロナウイルス感染症の影響で外国籍社員比率が低下傾向にありましたが、2024年3月末現在で当社グループの外国籍社員数は558名と回復しています。

 そして、LGBTQの方々なども含め、多様な経験と価値観を持った人材が集まった組織を目指すため、可能な限り配慮を行う考えであり、特定の人たちが働きにくいといったことが無い様に職場環境の整備に取組んでおります。具体的な例としては、ホテル事業で採用している制服は、パンツスタイルなどジェンダーレスな服装も用意し、選べるように配慮をしております。

 

(3)健康・安全

 当社グループでは、計画的な採用・育成計画を実行し、事業・職種特性に合わせた時差勤務の導入や変形労働時間制による労務管理により、健康面に配慮した職場環境づくりを行っています。そして、毎年の健康診断に合わせて、質問票によるストレスチェックも実施しております。実施結果を元に医師の面接指導が必要と判定された社員がいた場合は適宜対応しております。

 また、人権、多様性の尊重、差別・ハラスメント等の禁止を定めたコンプライアンス・ポリシーを定めています。パワハラ防止を義務化し、ハラスメントにつきまして懲戒処分にあたる事項を就業規則に定めており、新入社員研修、中途社員入社ガイダンス、新任管理職向け研修などを実施して周知しております。そして、外部の第三者を窓口とするコンプライアンス・ホットラインを設置し、「人権問題」や「ハラスメント」などの未然防止や早期把握・解決に努めています。

 同時に、当社グループは食事と住まいを提供する事業者であることから、お客様の生活や健康に責任を負っていることを十分に理解し、お客様の安全と安心を最優先に、関係する法令を遵守するとともに、安全管理を適切に行うことも定めています。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)売上高状況

 当社グループの主力事業である寮事業につきましては、下宿屋としての心を持って管理運営を行い、入居される方々には自宅と同じようなくつろぎの中で生活をしていただくことをモットーに事業を展開してまいりました。そして、学校様とは提携を結び自校の学生寮としてご利用していただき、企業様とは社員様の数の増減に合わせて必要な時、必要な部屋数だけを社員寮として契約いただくシステムを採用しております。これら、ほとんどの事業用土地・建物は地主様との賃借契約により開発しているため、上記のようなきめ細かな対応にかかわらず、学生寮では大口の学校様における指定寮扱いの解消、社員寮におきましては、リストラ等の進展に伴う大口契約企業様の一括解約等が生じ、大きな空室が発生した場合そのリスクは当社に帰属いたします。

 ホテル事業におきましては、ドーミーイン(ビジネスホテル)事業は長期滞在者を受け入れることやソフト・ハード面での他社との差別化により稼働が大きく左右されない仕組となっておりますが、景気動向による法人需要の低迷等により影響を受ける可能性があります。また、リゾート(リゾートホテル)事業におきましては、景気動向や天候不順、台風などの気象状況や地震の発生により、本来大きな売上を見込んでいる時期の業績が伸び悩んだ場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 フーズ事業におきましては、外食店舗は個人需要の低迷等により、またゴルフ場レストラン・受託食堂につきましては、受託先となっているゴルフ場及び企業様との受託契約が解約された場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(2)財務状態

 当社グループは、持続的な成長のため、寮事業やホテル事業の開発が不可欠な要素の一つと考えております。開発に際しては会社全体の財務バランスを勘案しながら様々な財務手法を活用し、安全かつ最大限の効果を生むべく進めておりますが、不動産市場の停滞、資産価値の下落、既存開発資産の極度なキャッシュ・フローの低下、金融情勢の悪化等により開発が計画どおりに進まなかった場合、業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制・品質管理

 当社グループの取扱う商品、サービスの提供にあたっては、食品衛生法の規定による衛生管理、個人情報保護法、旅館業法や消防法による安全管理等様々な法的規制・指導のもと、安全性が強く要請されております。当社グループにおいてはコンプライアンス体制、リスク委員会、社内統制システムにより法令厳守や実施状況の確認チェックを定期的に行っておりますが、万一不測の事態により食中毒・個人情報漏洩等が発生した場合、当社グループの社会的信用を傷つけ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)「減損会計」の適用について

 2002年8月9日付で企業会計審議会から「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」が公表され、それを踏まえて2003年10月31日付で(財)財務会計基準機構・企業会計基準委員会から「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(適用指針第6号)が公表されております。これに対応して、当社グループが所有する有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産並びにリース資産において、急激な経済情勢の変化や金融情勢の悪化等により事業の恒常的なキャッシュ・フローの将来にわたる収益性の著しい低下が認識された場合、「減損会計」処理を適用し業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)重要な契約

 当社グループの重要な事業施設である、寮事業所及びホテル事業所につきましては、主として建物所有者から契約期間10年~20年の長期賃借契約により一括賃借しており、一部の長期賃借契約には相互に中途解約が不可能なものがあり、当該事業所における稼働・収益が著しく悪化した場合には、当社の業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、2024年3月末現在の中途解約が不可能な事業所は74棟あり、解約不能未経過賃借料残高合計は134,107百万円であります。

 

 

(6)有利子負債への依存及び金利動向の影響

 当社グループは、事業資金について自己資金のほか、金融機関からの借入等により調達しており、総資産のうち有利子負債の占める比率は2024年3月期末において51.2%となっております。一方で、自社所有物件の一部について当社の管理運営・賃借契約付運用物件として投資家に売却する等の手法を活用して有利子負債依存度の低下を図っております。また、2024年3月期末における固定金利調達割合は89.4%であり、金利上昇局面における短期的な影響を限定的なものにしております。しかしながら、将来長期的に金利が上昇し、資金調達コストが増加した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響はほぼ解消したものの、為替変動や物価上昇、地政学リスクの高まりなど、依然として先行き不透明な状況が継続いたしました。

 このような中、当社グループにおきましては食材費や人件費などコスト上昇の影響を受けましたが、寮事業では学生の入寮契約数がコロナ前を上回ったことなどにより堅調に業績貢献し、ホテル事業では旺盛な内需に加え、2024年3月の訪日外国人客数が初めて300万人を超過する(出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」)など、インバウンドが力強く増加したことなどにより、2019年3月期の過去最高益を更新しました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、270,921百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,386百万円の減少となりました。主な要因は、現金及び預金の減少などによるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、184,317百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,411百万円の減少となりました。主な要因は、社債、長期借入金の減少などによるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、86,604百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,025百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金の増加などによるものであります。

 この結果、自己資本比率は32.0%となり、前連結会計年度末に比べ4.6ポイントの増加となりました。

 

b.経営成績

 売上高は204,126百万円(前年同期比16.2%増)、営業利益は16,708百万円(前年同期比128.0%増)、経常利益は21,116百万円(前年同期比196.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,414百万円(前年同期比192.7%増)となり、コロナ危機を乗り越え業績が回復いたしました。

 

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 寮事業

 寮事業では、4月に全国で合計12事業所、1,037室を新たに開業いたしました。当社寮事業所の安心・安全性を改めてご評価いただき日本人学生の契約数が増加したことに加え、留学生の契約数が大幅に増加したことなどにより期初稼働率は98.2%(前年と比べ4.7ポイント増)での好スタートとなりました。

 以上の結果、寮事業全体の売上高は52,303百万円(前期比3.9%増)となり、商品別では、学生寮売上高29,999百万円(前期比6.9%増)、社員寮売上高13,406百万円(前期比0.9%増)、ドミール(ワンルームマンションタイプ寮)売上高5,027百万円(前期比1.6%増)、受託寮(企業・学校様が保有する寮の管理運営受託)売上高3,869百万円(前期比4.3%減)となりました。営業利益は新規開業費用や食材費の高騰などがありましたが、期初稼働率の上昇に加え新規開業に伴う事業所数の増加などによる増収でカバーし5,881百万円(前期比29.0%増)となりました。

 なお、2024年3月末現在の事業所数は519ヶ所(前期比8ヶ所増・受託除く)、定員数は44,057名(前期比766名増)、契約者数は42,732名(前期比310名増)となっております。

 

 ホテル事業

 ホテル事業では、当期にドーミーイン事業で『天然温泉 淡雪の湯 ドーミーイン青森』、『天然温泉 別府八湯 御宿 野乃別府』、『天然温泉 つつじの湯 ドーミーインEXPRESS豊橋』、『天然温泉 凌天の湯 御宿 野乃浅草別邸』、リゾート事業で『ラビスタ観音崎テラス』の5事業所をオープンいたしました。

 入国制限の解除に伴う国際線の運航再開や増便、円安などによりインバウンドが想定より大幅に増加したほか、国内におきましても出張やレジャー需要の増加に加え、全国旅行支援の延長などを背景とした中、海外で開催された旅行博でのPR活動や国内向け旅行キャンペーンの実施などの積極的な販売促進も功を奏し、高稼働・高単価にて推移いたしました。

 この結果、売上高は125,570百万円(前期比24.3%増)となり、営業利益は14,843百万円(前期比169.2%増)となり、コロナ前を上回りホテル事業での過去最高益を更新いたしました。

 なお、2024年3月末現在のホテル事業全体の事業所数は137ヶ所(前期比5ヶ所増)、客室数は21,367室(前期比739室増)となっております。

 

 総合ビルマネジメント事業

 総合ビルマネジメント事業では、改修工事案件が増加したことなどにより、売上高は22,604百万円(前期比21.6%増)となり、営業利益は824百万円(前期比22.9%増)となりました。

 

 フーズ事業

 フーズ事業では、ホテルレストランの受託案件が増加したことなどにより、売上高は11,103百万円(前期比16.5%増)となり、営業利益は208百万円(前期比13.8%増)となりました。

 

 デベロップメント事業

 デベロップメント事業では、新築工事案件が増加したことなどにより、売上高は3,623百万円(前期比100.5%増)となり、営業利益は340百万円(前期比155.0%増)となりました。

 

 その他事業

 その他事業は、シニアライフ事業(高齢者向け住宅の管理運営事業)、PKP事業(自治体向け業務受託事業)、単身生活者支援事業、保険代理店事業、総合人材サービス事業、融資事業及び事務代行業であります。これらの事業の合計の売上高は16,190百万円(前期比3.2%増)となり、営業損失は主にシニアライフ事業で新規開業費用が発生したことなどにより310百万円(前期は55百万円の損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ24,219百万円減少し、31,431百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、税金等調整前当期純利益の影響により、前連結会計年度に比べ16,329百万円収入が増加し、24,083百万円の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、有形固定資産の取得による支出の影響により、前連結会計年度に比べ24,881百万円支出が増加し、31,533百万円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、長期借入金の返済による支出の影響により、前連結会計年度に比べ33,774百万円支出が増加し、16,792百万円の支出となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

52,303

3.9

学生寮

29,999

6.9

社員寮

13,406

0.9

ドミール

5,027

1.6

受託寮

3,869

△4.3

ホテル

125,570

24.3

ドーミーイン事業

72,800

26.2

リゾート事業

52,769

21.6

総合ビルマネジメント

22,604

21.6

オフィスビルマネジメント事業

4,920

3.9

レジデンスビルマネジメント事業

17,683

27.6

フーズ

11,103

16.5

デベロップメント

3,623

100.5

報告セグメント計

215,205

18.7

その他

16,190

3.2

調整額

△27,269

合計

204,126

16.2

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますので、ご参照下さい。会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
 また、連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためにこれらの見積りと異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,386百万円減少し270,921百万円(前連結会計年度末は272,308百万円)となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ18,417百万円減少し80,385百万円(前連結会計年度末は98,802百万円)となりました。これは現金及び預金が24,219百万円減少したことなどによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ17,124百万円増加し190,224百万円(前連結会計年度末は173,100百万円)となりました。これは投資有価証券が11,492百万円、建設仮勘定が4,038百万円増加したことなどによるものであります。

 繰延資産は、前連結会計年度末に比べ93百万円減少し311百万円(前連結会計年度末は405百万円)となりました。

 

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ13,411百万円減少し184,317百万円(前連結会計年度末は197,728百万円)となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ3,744百万円増加し71,127百万円(前連結会計年度末は67,383百万円)となりました。これは短期借入金が2,912百万円増加したことなどによるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ17,156百万円減少し113,189百万円(前連結会計年度末は130,345百万円)となりました。これは長期借入金が13,289百万円、社債が4,880百万円減少したことなどによるものであります。

 

(純資産合計)

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ12,025百万円増加し86,604百万円(前連結会計年度末は74,579百万円)となりました。これは利益剰余金が11,322百万円増加したことなどによるものです。

 

2)経営成績

(売上高)

 売上高は、前期に比べ16.2%増の204,126百万円となりました。そのうち、寮事業売上高は、前期に比べ3.9%増の52,303百万円、ホテル事業売上高は、前期に比べ24.3%増の125,570百万円となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、売上高に連動し前期に比べ8.6%増の155,132百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、売上高に連動し支払手数料が増加したことなどにより、前期に比べ27.0%増の32,285百万円となりました。

 

 

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

 親会社株主に帰属する当期純損益は、寮事業が堅調に業績貢献し、ホテル事業が大幅増益となったほか、持分法による投資利益などもあり、前期に比べ192.7%増の12,414百万円の利益となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、事業所・リース物件の賃借料のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規事業所の取得及び開業費用、既存事業所の改修費用等によるものであります。

 当社グループは、事業資金について自己資金のほか、金融機関からの借入等により調達しております。一方で、自社所有物件の一部について当社の管理運営・賃借契約付運用物件として投資家に売却する等の手法を活用して有利子負債依存度の低下を図っております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は138,603百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は31,431百万円となっております。

 

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 中期経営計画「KYORITSU Growth Vision / Rise Up Plan 2028(2023年4月~2028年3月)」の初年度である当期は、寮事業の学生契約数がコロナ前を上回ったことや、ホテル事業が旺盛な内需やインバウンドの力強い回復などにより高稼働・高単価にて推移したことにより、過去最高益を更新する好スタートとなりました。

 中期経営計画の主な定量目標と初年度進捗状況は以下に記載のとおりであります。

主な定量目標

2028年3月期

当期実績(初年度)

売上高

2,800億円

2,041億円

営業利益

280億円

167億円

営業利益率

10%

8.2%

EPS ※1

200円

159.1円

ROE

10%

15.4%

ネットD/Eレシオ

1倍以下

1.23倍

配当性向

20%以上

15.4%(※2 20.3%)

※1.当社は2024年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。初年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定してEPSを算定しております。

 2.特殊要因である持分法による投資利益、減損損失の影響を除いた数値となっております。

 

開発計画

中期経営計画期間中

新規開業目標室数

当期開業済室数(初年度)

6,700室

1,037室

ドーミーイン

3,600室

750室

リゾート

1,300室

75室

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

5【経営上の重要な契約等】

 2024年1月11日開催の取締役会において、大和ハウス工業株式会社及び株式会社コスモスイニシアとの間で、事業提携によるシナジーを促進し、企業価値を向上させることを目的として、3社間での資本業務提携契約を締結することを決議し、同日付で本資本業務提携契約を締結いたしました。

 その他の事項につきましては「3 事業等のリスク (5)重要な契約」をご参照下さい。

 

 

6【研究開発活動】

 当社は、メニュー開発、新商品・新サービスの開発及びお客様のニーズを的確に把握するために、研究開発活動を行っております。

 現在、研究開発は当社のメニュー開発部により、推進されております。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、391百万円であります。

 当連結会計年度における主要課題及び研究開発は、寮事業所及びホテル事業所での食事の新規メニュー開発と季節メニュー開発を行っております。なお、研究開発費については、専用厨房において製品の試作研究開発を一元的に行っているため、各セグメントに分配できません。