第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、「開発型企業グループ」として、すべての顧客の満足を勝ち取るために、顧客本位のシステム作り、行き届いたサービスを提供することを基本としております。また、企業の安全を図り、経営の安定を図り、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指していくことで、社会に貢献してまいります。

(2) 経営戦略等

① グループ経営体制の強化

  今後の発展を期するため、グループ会社間の人的融合と事業の協調体制を図りながら強い企業集団を目指してまいります。さらに経営の効率化を進め経営基盤の強化を図るとともに、安定した収益確保のため、商品開発力の強化に取り組んでまいる所存であります。

② サービス体制の充実

  全国にサービス拠点となるサービスステーションを配置し、身近な窓口として一層の顧客満足を勝ち得る体制を確保してまいります。

③ 開発体制の強化

  当社グループは開発型企業グループとして当社を中心にグループ会社各社で開発を進めております。顧客ニーズを取り込んだ製品の開発を円滑に進めるため、タイムリーな情報の共有化を図ってまいります。また、グループ各社の開発部門が横断的に開発できる柔軟な組織体制を敷き、経営資源の集約及びタイムリーな製品の提供に努めてまいります。

④ 組織の強化及び人員配置の最適化

  事業環境の変化に応じて柔軟に対応できる強力な組織へ再構築するとともに、企業の成長を支える人材の育成並びに効率的な配置転換を推進してまいります。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、営業利益拡大により強固な財務体質を維持しつつ、資本の有効活用を踏まえ、成長事業への投資を機動的に実行していく等、積極的な事業展開を図り、更なる企業価値の増大を目指しております。また、株主還元を重要な資本政策と位置づけ、安定した配当を維持しつつ、配当性向30%を目標としております。

(4) 経営環境

 アミューズメント関連事業におきまして、主要販売先であるパチンコ業界は、レジャーの多様化や少子高齢化・若年層のパチンコ離れにより遊技人口の減少が続いており、パチンコホールの経営環境は依然として厳しい状況が続いておりますが、スマート遊技機が市場に導入されて以降、特にスマートパチスロの需要は高く、周辺設備の更新需要も活発化してきました。加えて、2024年7月には新紙幣の発行が予定されており、パチンコホールにおける設備更新が今後も継続していくものと思われます。

 自動認識システム関連事業におきましては、小売業や製造業など幅広い分野で活用されており、今後も新技術の導入や用途の拡大等、市場の更なる成長が期待されております。

 ホテル・レストラン関連事業におきましては、国内観光や外食需要が回復に転じたほか、インバウンド需要も急速に回復してきておりますが、その一方で、深刻な人手不足や原材料価格の高騰が懸念されます。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは開発・製造・販売・アフターサービスの一貫体制で、直接販売を通じて、顧客ニーズの情報収集を迅速かつ的確に行い、競合他社との差別化を図るべく、新製品の開発や付加価値の提供に努めてまいります。長年築き上げてきたアミューズメント関連事業を基盤事業として強化を図りつつ、M&Aや業務提携を通じて新しい分野への事業拡大を図ってまいります。

 また、グループ会社間の人材交流や育成を図り、柔軟で機動的な組織体制の構築に努めてまいります。

① アミューズメント関連事業

  アミューズメント関連事業において、当連結会計年度におけるプリペイドカードシステム(パーソナルPCシステムやスマートユニットを含む)導入(実稼働)店舗数は累計1,445店舗(市場シェア23.6%)となりました。競合他社の参入もありますが、顧客ニーズに適した新製品の開発で同業他社との差別化を図り、製品力の優位性を持って更なる市場シェアの拡大に努めてまいります。当社グループ独自のAir紙幣搬送システムは、安全性が高く省力化できるシステムであり、着実に導入実績を伸ばしております。今後は市場シェアの拡大に向けて、より一層販売に注力してまいります。

  多様化する顧客ニーズに対してきめ細かいサービスを提供していくため、㈱マースシステムズ東日本・㈱マースシステムズ東海・㈱マースシステムズ西日本の3社販売体制による営業活動を行っております。また、当社グループは、顧客に対するサービスを重要視し、全国にサービスステーションを配置しております。

② 自動認識システム関連事業

  自動認識システム関連事業は、小売業や製造業など幅広い分野で活用されており、今後も新技術の導入や用途の拡大等、市場の更なる成長が期待されております。当社グループでは、需要が拡大している分野において新製品の開発を進めております。特に、需要の拡大が見込まれる画像処理分野や健診分野において、新製品の販売や販売体制を強化してまいります。

③ ホテル・レストラン関連事業

  ホテル・レストラン関連事業は、国内観光や外食需要が回復に転じたほか、インバウンド需要も急速に回復してきておりますが、その一方で、深刻な人手不足や原材料価格の高騰が懸念されます。当社グループはダイナミックプライシングによる価格戦略やアップセルやクロスセルによる客単価の向上を図り、収益の最大化を目指してまいります。また、インバウンド需要の取り込みを図るための施策を推し進めてまいります。

④ グループシナジーの創出

  持株会社体制への移行に伴い、各事業会社の業務効率化を追求し、生産性の向上を進めてまいります。また、グループ会社間の人材交流や育成を図り、柔軟で機動的な組織体制の再構築に努めてまいります。

⑤ 経営人材の育成及び生産性の向上

  持株会社体制への移行により各事業会社の役割や責任を明確にし、経営人材の育成を推し進めてまいります。また、当社グループは、社員一人ひとりが才能を十分に発揮し躍動するには、心身の健康保持を増進し、働きやすい職場環境を整えることが企業経営の重要課題の1つであるという考えの下に「健康経営」を行っております。これらの活動が評価され、経済産業省が主催する「健康経営優良法人」に7年連続で認定されました。また、福利厚生の充実にも力を入れており、福利厚生表彰・認証制度実行委員会が主催する「ハタラクエール2024」に福利厚生推進法人として2年連続で表彰・認証されました。長時間労働の是正、有給休暇取得の促進、在宅勤務や時差出勤の推進等を通して、社員のワークライフバランスを実現し、働きがいを持って仕事ができる環境や制度の整備を進めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、経営理念「企業の安全を図り、経営の安定を図り、共に生活の向上を図る。そして、事業を通じて社会に貢献する」ことを使命とし、「お客様お役立ち精神」のもと、すべてはお客様の「満足」のために活動しております。

 モノづくりを通して社会問題の解決に向けた製品を提供していくことが、持続可能で豊かな社会を実現することにつながるものと考えております。常にチャレンジ精神を持って、新たな付加価値を追求した製品を生み出し、環境・社会・ガバナンスのESGを意識した活動で社会が抱える重要課題の解決を図りつつ、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

(1)ガバナンス

 近年世界的な問題となっている環境破壊や地球温暖化、頻発する異常気象、資源の枯渇等が深刻化していく中、当社グループは、社会や企業活動に深刻な影響を与えると想定される気候変動や環境問題への負荷低減を経営上の重要課題と認識しております。

 サステナビリティに関する全社的な活動を推進するため、取締役会の指導・監督の下、エコプロジェクト委員会を毎月開催しております。エコプロジェクト委員会は、総務部を主体に各部門から推薦されたメンバーで構成されております。エコプロジェクト委員会にて検討・協議された方針や課題等は担当役員に報告され情報の共有を図っております。また、重要な取組みにつきましては担当役員から取締役会へ付議又は報告され、取締役会はこのプロセスを定期的に監督・対応の指示を行っています。

 

(2)戦略

(環境問題・気候変動に関する戦略)

 当社グループの事業活動に影響を与えると想定される環境リスク・機会項目を考察いたしました。評価結果を踏まえ、影響度の大きいリスクの低減や機会の獲得に向けた対応策を検討してまいります。

リスク・機会の種類

事業への影響

影響度

顕在時期

移行リスク

政策・規制

物流施設・事業所等の電気・燃料使用等に関わるコストが増加

中期~長期

移行リスク

製品・サービス

プラスチック製梱包材への規制が導入され、対応コストが発生

中期~長期

移行リスク

市場

化石燃料の価格高騰に伴い、物流会社へ支払う運送費が上昇

中期~長期

移行リスク

評判

環境への取組みに取り組みの遅れによる企業ブランド価値の毀損

中期~長期

物理リスク

急性

自然災害増加による生産拠点の被害・サプライチェーン寸断による生産停止の発生・復旧費用の増加

中期~長期

物理リスク

慢性

温度や湿度の変化により、商品保存環境の整備コストが増加

長期

機会

製品・サービス

脱炭素化や環境への配慮を活用した新製品の開発・新規事業の参入

中期~長期

 

顕在時期:

長期

5年以上

中期

3年~5年未満

短期

1年~3年未満

影響度:

「大」

10億円以上

「中」

1~10億円未満

「小」

1億円未満

 

(人材の育成に関する方針)

 人材の育成は、企業経営の重要課題の一つであり、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上には必要不可欠であると考えております。その考えの下、社内外の研修やOJT等による教育を実施しており、更には次世代の経営人材の育成も推し進めていくとともに、経営課題の早期解決を実現するために、計画的な研修を通して人材を育成・確保し、業務プロセス改革やDXを推進してまいります。

 

(女性の活躍推進)

 当社グループは、事業・業種別の内容から男女比率に大きな偏りがあることを認識しております。目まぐるしく変化する社会に対して柔軟に対応し持続的な成長を進めるために、様々な価値観を持つ社員の採用及び十分な能力を発揮できる働きやすい職場環境の整備が急務であると考えております。女性活躍推進会議を定期的に開催し、女性活躍の場を広げ、女性管理職比率を高めてまいります。

 

(健康経営)

 当社グループは、社員1人ひとりが才能を十分に発揮し躍動するには、心身の健康保持を増進し、働きやすい職場環境を整えることが企業経営の重要課題の一つであると考え、健康経営に取り組んでおります。

これらの活動が評価され、経済産業省と日本健康会議が主催する健康経営優良法人認定制度におきまして「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に7年連続で認定されました。また、社員の健康促進のため、各種スポーツの機会の提供や推奨を行い、スポーツ庁から4年連続で「スポーツエールカンパニー」に、東京都からは4年連続で「東京都スポーツ推進企業」に認定されました。また、福利厚生の充実にも力を入れており、福利厚生表彰・認証制度実行委員会が主催する「ハタラクエール2024」に福利厚生推進法人として2年連続で表彰・認証されました。

 今後も健康経営の実践を通じて企業価値の向上と持続的な成長による社会全体への貢献を追求してまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、リスク管理を全社的に推進し、リスク管理に必要な情報を共有するため、代表取締役社長を委員長、総務部を事務局としたリスク管理委員会を設置しております。

 リスクと機会を評価するプロセスについては、各社各部で事業への影響度、発生頻度を一次評価します。事業戦略との整合性、ステークホルダーの関心度などを総合的に考慮し、影響度を決定しています。

 気候関連リスクの管理プロセスに関しては、エコプロジェクト委員会が高い重要度と評価したリスクを「リスク管理規程」に従って環境や気候変動リスクの特定や重要性を評価し、影響度が高く発生頻度の多いリスクに関しては、リスク管理委員会へ報告することとしております。

 経営に重大な影響を及ぼすと認識されたこれらのリスクについては、対策委員会を設置する等の対応を行います。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、環境に与える影響が大きいとされる「CO2」や「廃プラスチック」等の削減に取り組んでおります。循環型社会・脱炭素社会の実現に向けて、当社グループが直接排出する温室効果ガス排出量(Scope1)及び他社から供給された電気等を使用することにより間接的に発生する温室効果ガス排出量(Scope2)を算出し、当社グループの事業活動において発生する排出量の可視化を図っております。また、2030年に向け、以下の削減目標を設定いたしました。また、社員一人ひとりが環境保全活動への意識を高めるよう、「eco検定」取得を推奨してまいります。

 GHG排出量(Scope1&2)46%削減(2013年度比)

温室効果ガス排出量の実績(単位:t-CO2

項目

2013年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

Scope1・2排出量
(t-CO2)

3,726.0

2,470.3

2,373.8

2,154.8

2,117.1

2013年度削減対比

0.0%

33.7%

36.3%

42.2%

43.2%

(注)1.当社及び連結子会社が保有する施設を対象に算定。

   2.Scope2の温室効果ガス排出量は、GHGプロトコルにおけるマーケット基準に基づき算出。

 

(人材の育成に関する指標及び目標)

 当社グループでは更なる事業成長や新規事業の創出に向けてDX人材育成を推進しており、役員を含め当社グループの全社員がDX基礎研修を受講しております。更なる取り組みとして、DX応用研修を計画し、DXの具体的な施策や計画策定、部門内の課題解決に向けてDXを推進する人材の育成を進めております。これまでに、当社グループ全社員のうち約4分の1にあたる175名がDX応用研修を受講しました。

 DX応用研修受講者総数300名を目標に、2024年度は125名を対象にDX応用研修を実施し、DXを推進する人材を育成してまいります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 法的規制等について

当社グループの事業は、製品そのものは直接的には法的規制の対象ではありませんが、当社グループの主要販売先となるパチンコホールは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(いわゆる「風営法」)、「国家公安委員会規則」、「都道府県条例」等による法的規制を受けており、プリペイドカードシステムを使用する際には、届出が必要になっております。以上の法的規制の改正が行われた場合、パチンコホールへの導入・設置に際して、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、お客様ニーズに合った製品の開発を進めるとともに、持株会社体制へと移行し、変化するニーズに対し、柔軟に対応できる体制を構築しております。

② 競合について

当社グループは開発型企業グループとして、お客様ニーズに合った製品の開発やプロダクトアウト型製品の開発に注力し、製品の優位性や手厚いサービス体制で競合他社との差別化を図っております。また、販売体制の見直しを行い、迅速できめ細かい対応に努めておりますが、販売競争の激化による利益率や市場シェアの低下が、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

③ 債権の貸し倒れについて

債権残の大きい顧客が倒産した場合、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、「与信管理規程」に基づき、販売先の信用限度の調査を慎重に行っております。また、貸し倒れの影響を最小限にとどめるためにグループ会社間で情報の共有化を図っております。

④ 情報の管理について

万が一、企業機密や顧客データ等の情報が流出した場合には、社会的信用の失墜等により、営業活動に支障をきたし、その結果、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、その対策として企業機密や顧客データ等の情報を諸法令や社内で定める「情報管理規程」に則り、厳重に管理を行うとともに、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)に準拠した体制の構築を行っております。

⑤ 訴訟について

当社グループは、他社が保有する知的財産権を侵害しないように、慎重に調査しておりますが、訴訟が提起され、多額の損害賠償を負った場合や、業務の停止を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 投資について

当社グループは、M&Aやキャピタルゲインを目的とした投資を行っております。成長戦略の一つの手段として位置づけるM&Aは、厳密にデューデリジェンスを行い、リスクの回避に努めておりますが、偶発債務等が顕在した場合や投資先企業の業績の悪化により、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。キャピタルゲインを目的とした投資につきましても、株価・為替の変動により、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 固定資産の減損会計適用について

当社グループは、固定資産を保有しておりますが、固定資産の減損に係る会計基準の対象となる資産について減損損失を認識すべきであると判定した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 自然災害について

想定を超える大規模な自然災害が発生し、当社グループが保有する生産工場や企業機密・顧客データ等の情報を集約・管理する管理センターの倒壊、システム障害等が生じた場合には事業を中断せざるを得ず、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、自然災害に備えた設備を構築するとともにバックアップ体制を整えております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

(1)財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、経済・社会活動の正常化が進み、個人消費やインバウンド需要の回復、設備投資の増加等、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、長期化するウクライナ情勢や中東地域をめぐる情勢、資源価格の高騰、円安の進行による国内物価の上昇等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。

このような状況の中、当社グループはアミューズメント関連事業、自動認識システム関連事業、ホテル・レストラン関連事業の各事業を通じてお客様の「満足」を勝ち取るために新たな付加価値の追求をしてまいりました。また、変化する市場環境に柔軟に対応するため、各事業会社の役割や責任の明確化、意思決定の迅速化を推し進めるとともに、人づくりや組織づくりの再構築を図ってまいりました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高365億75百万円(前期比79.8%増)、営業利益116億94百万円(同183.4%増)、経常利益125億円(同164.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益85億85百万円(同173.0%増)となりました。

なお、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、過去最高だった2005年3月期の業績を上回り、創業来最高の業績となりました。

セグメントの実績は次のとおりであります。

 

[アミューズメント関連事業]

アミューズメント関連事業の主要販売先であるパチンコ業界は、レジャーの多様化や少子高齢化・若年層のパチンコ離れにより遊技人口の減少が続いており、遊技機や周辺設備への投資が困難なパチンコホールの閉店・廃業が相次ぎました。その一方で資金力のある大手企業は、新規出店やM&Aを積極的に行い、パチンコホールの二極化はより鮮明になりました。

こうした中、2022年11月にスマートパチスロ、2023年4月にスマートパチンコが販売され、スマート遊技機(スマートパチンコ、スマートパチスロ)の需要は高まっております。特にスマートパチスロの需要は高く、パチスロ市場において普及率は30%を超えており、周辺設備の更新需要も活発化してきました。加えて、2024年7月には新紙幣の発行が予定されており、パチンコホールにおける周辺設備の更新需要は今後も継続していくものと思われます。

このような状況の中、当社グループではスマート遊技機専用ユニット「スマートユニット」を中心に、少人数でホール運営が可能なパーソナルPCシステム(以下「パーソナル」)及び遊技データ等の収集・AI分析が可能な「マースユニコン」等、豊富なラインナップを武器にトータルシステムでの提案・販売を行い、特にスマートユニットの販売は好調に推移いたしました。また、新紙幣の発行に合わせてソフトウェアのバージョンアップや機器の入れ替え等、早期対応を促してまいりました。

当連結会計年度におけるプリペイドカードシステム(パーソナルやスマートユニットを含む)の売上実績は48店舗、導入(実稼働)店舗数は累計1,445店舗(市場シェア23.6%)となりました。

空気の力で紙幣を搬送する業界随一のAir紙幣搬送システム及びハイスペックモデルの立体Air紙幣搬送システムにおいては、セキュリティの強化やホール業務の省力化等の導入効果が高く評価され、新規出店案件や居抜き案件の獲得に繋がりました。また、パチスロ人気に牽引されてパチンコ島からスロット島への切り替えやスロット島の増設工事が増えており、Air紙幣搬送システムの部分導入も進みました。そのほか、セルフPOSやマーススマートウォッチⅣ等、業務効率化や接客をサポートする製品の販売に努めてまいりました。

この結果、アミューズメント関連事業の売上高は、293億80百万円(前期比119.3%増)、セグメント利益は115億75百万円(同192.1%増)となりました。

 

[自動認識システム関連事業]

自動認識システムは、バーコードやRFIDを活用して製品の追跡や在庫管理の効率化を図ることができるため、小売業や製造業など幅広い分野で活用されており、今後も新技術の導入や用途の拡大等、市場の更なる成長が期待されております。その一方で中国経済の減速を受けて需要の低迷が懸念されております。

このような状況の中、当社グループでは特にFA市場、物流市場、アミューズメント市場を中心に提案販売活動を行ってまいりました。目視による検査判別を低コストで自動化した画像処理システム「MoMaVi(モマビ)」やバーコード読取・OCR・パターンマッチング機能を搭載した固定式コード&ビジョンシステム「MCV-F1000」等の新製品のほか、健診業務のDXを実現するクラウド健診システム「macmo(マクモ)」の新バージョンをリリースし、各業務プロセスのDXを支援する製品・ソリューションの拡販に努めてまいりました。

この結果、自動認識システム関連事業の売上高は、49億43百万円(前期比3.6%減)、セグメント利益は4億50百万円(同28.2%減)となりました。

 

[ホテル・レストラン関連事業]

ホテル業界ならびに外食業界は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、国内観光や外食需要が回復に転じたほか、インバウンド需要も急速に回復しました。その一方で、深刻な人手不足や原材料価格の高騰、訪日外国人への対応、オーバーツーリズム等の問題が懸念されています。

このような状況の中、「マースガーデンホテル博多」及び「マースガーデンウッド御殿場」では、マースガーデンクラブ会員獲得の強化やSNSを活用したマーケティング戦略を行ってまいりました。また、ダイナミックプライシングによる価格戦略を展開し、収益の向上に取り組むとともに、アップセルやクロスセルを活用し、客単価の向上を図ってまいりました。

レストラン事業では、東京銀座エリアの「銀明翠GINZA」「銀座松月」を中心に質の良いおもてなしと料理で付加価値を高め、ブランド力の向上に努めてまいりました。更にマースガーデンウッド御殿場では、2023年7月にイタリアンレストラン『フェニーチェ』が3年半ぶりにリニューアルオープンしたほか、博多エリアでも2024年3月に『和匠 博多松月』がリブランドオープンしました。

この結果、ホテル・レストラン関連事業の売上高は、22億51百万円(前期比23.4%増)、セグメント損失は1億2百万円(前期は2億40百万円のセグメント損失)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、293億53百万円となり、前連結会計年度末より66億53百万円増加(前期比29.3%増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、64億47百万円(前連結会計年度末は9億43百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益125億80百万円等によるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、16億36百万円(前連結会計年度末は21億6百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出13億40百万円、投資有価証券の取得による支出9億79百万円等によるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、18億13百万円(前連結会計年度末は21億63百万円の支出)となりました。これは主に自己株式の売却による収入34億16百万円等によるものであります。

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前期比(%)

アミューズメント関連事業(千円)

21,141,329

326.1

自動認識システム関連事業(千円)

1,767,481

122.5

ホテル・レストラン関連事業(千円)

合計(千円)

22,908,810

289.0

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは主にアミューズメント関連事業において、スマート遊技機を中心に専用ユニット等の周辺設備に対する需要が拡大しているためであります。

 

(2)商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前期比(%)

アミューズメント関連事業(千円)

107,015

68.2

自動認識システム関連事業(千円)

1,503,352

82.2

ホテル・レストラン関連事業(千円)

46,979

88.7

合計(千円)

1,657,347

81.3

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(3)受注実績

当社グループは、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(4)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前期比(%)

アミューズメント関連事業(千円)

29,380,562

219.3

自動認識システム関連事業(千円)

4,943,242

96.4

ホテル・レストラン関連事業(千円)

2,251,335

123.4

合計(千円)

36,575,140

179.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主にアミューズメント関連事業において、スマート遊技機を中心に専用ユニット等の周辺設備に対する需要が拡大しているためであります。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ダイナム

2,716,879

13.4

5,683,802

15.5

 

経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当事業年度における当社グループの連結財務諸表の作成に係る重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。

 

① 貸倒引当金の計上基準

債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を繰入計上しております。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

 

② 有価証券の減損

当社グループが保有する有価証券について市場価格のあるものについては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に時価まで減損処理を行い、30%以上50%未満下落した株式等の減損については、個別銘柄ごとに回復の可能性を総合的に検討し実施することとしております。また、市場価格のないものについては、実質価額が著しく低下し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合には減損処理を行っております。

 

③ 固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度における売上高は365億75百万円(前期比79.8%増)、販売費及び一般管理費は81億33百万円(同14.4%増)、営業利益は116億94百万円(同183.4%増)、経常利益は125億円(同164.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は85億85百万円(同173.0%増)となりました。なお、セグメント別の分析は、第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] 「経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」の項目を参照ください。

 

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

流動資産

当連結会計年度末の流動資産の残高は492億48百万円(前連結会計年度末351億22百万円)となり、141億26百万円増加しました。増加の主な内訳は、現金及び預金(227億円から293億53百万円へ66億53百万円増加)、原材料及び貯蔵品(32億47百万円から62億30百万円へ29億82百万円増加)、商品及び製品(21億83百万円から50億51百万円へ28億68百万円増加)であります。

固定資産

当連結会計年度末の固定資産の残高は347億8百万円(前連結会計年度末288億円)となり、59億7百万円増加しました。増加の主な内訳は、投資有価証券(114億71百万円から166億円へ51億29百万円増加)、建設仮勘定(19百万円から6億68百万円へ6億49百万円増加)であります。

流動負債

当連結会計年度末の流動負債の残高は103億27百万円(前連結会計年度末54億67百万円)となり、48億60百万円増加しました。増加の主な内訳は、未払法人税等(10億52百万円から36億67百万円へ26億15百万円増加)、支払手形及び買掛金(28億58百万円から43億38百万円へ14億80百万円増加)であります。

 

固定負債

当連結会計年度末の固定負債の残高は23億75百万円(前連結会計年度末21億48百万円)となり、2億27百万円増加しました。増加の主な内訳は、繰延税金負債(当期8億58百万円発生による増加)であります。

純資産

当連結会計年度末の純資産の残高は712億54百万円(前連結会計年度末563億7百万円)となり、149億46百万円増加しました。その増加の主な内訳は、利益剰余金(511億44百万円から581億2百万円へ69億57百万円増加)、その他有価証券評価差額金(16億41百万円から49億26百万円へ32億84百万円増加)、自己株式(△126億55百万円から△95億84百万円へ30億70百万円減少)であります。

 

(4) キャッシュ・フローの分析

第2 [事業の状況] 4 [経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]に記載のとおりであります。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

第2 [事業の状況] 3 [事業等のリスク]に記載のとおりであります。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループでは、運転資金及び投資資金は基本的に自己資金で賄うこととしており、フリーキャッシュ・フローの状況や流動比率から見ても、事業運営に必要な資金を調達することは可能と考えております。

 

(7) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上収益及び営業利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として用いています。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは開発型企業グループとして、直販体制で収集した顧客ニーズを的確且つスピーディーに取り込み、国際品質保証規格ISO9001の手順に則って研究開発に取り組んでおります。

研究開発活動は、主要事業であるアミューズメント施設向けの周辺機器の開発、並びにRFID関連製品の開発に注力しており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は、1,038百万円となっております。

当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題及び研究成果は次のとおりであります。

(1) 研究開発体制

研究開発は技術開発部で進めており、ハードウェア、ソフトウェア及び機構設計の開発業務を行っております。

(2) 主な研究開発

当連結会計年度の主な成果としては、次のような項目をあげることができます。

① アミューズメント関連事業

当連結会計年度における主な成果はありませんが、主にプリペイドカードシステムや景品管理システム等に関する新製品の商品化を目指して開発を進めております。

アミューズメント関連事業に係る研究開発費は、692百万円であります。

② 自動認識システム関連事業

バーコード読取・OCR・パターンマッチング機能を搭載した固定式コード&ビジョンシステム「MCV-F1000」の商品化。

分解能1um以下高出力型X線源を搭載したナノ-マイクロマルチフォーカスX線傾斜CT「MUX-6410」の商品化。

自動認識システム関連事業に係る研究開発費は、346百万円であります。

③ ホテル・レストラン関連事業

この事業は、研究開発活動を行っておりません。