第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものである。

 

(1) 基本方針

当社グループは、「エネルギーを中心として、人々の生活に関わる様々なサービスを高い品質で提供し続けることにより、快適・安全・安心な暮らしと地域の発展に貢献する」というグループミッションを掲げており、お客さまから最も信頼されるパートナーとして、エネルギーから情報通信、ビジネス・生活サポートまで、多様なサービスをワンストップで提供できる「マルチユーティリティー企業グループ」への変革・成長をはかっていく。

 

(2) 経営環境および対処すべき課題

ロシアのウクライナ侵攻後、エネルギー安全保障が極めて重要な課題になるとともに、わが国においては、エネルギーの安定供給を大前提に、脱炭素化社会を実現していく「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されるなど、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた社会・経済の大きな変革が進んでいる。

また、昨今のエネルギー価格の上昇に伴い、再生可能エネルギーの地産地消モデルや太陽光発電設備を用いた自家消費型サービス、需要家側のデマンド・レスポンスを組み入れた分散型エネルギーリソースなどが広がりを見せており、新たな価値を提供する事業モデルの普及が進みつつある。

当社グループとしては、こうした事業環境の変化を事業構造や企業体質の変革に向けた好機と捉え、コア事業である電気事業においては、エネルギー供給を支える責任ある事業者としての安定供給はもとより、収益性の維持・向上に取り組んでいく。また、情報通信事業や国際事業などに加えて、グループ大での新たなサービス・商品・事業の創出にも努めていく。さらに、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の観点も踏まえ、気候変動対策、地域共生活動の推進、人権の尊重、コンプライアンスの徹底など、持続的な企業価値創出の基盤強化に資する取り組みを積極的に進めていく。

 

① 電気事業における収益性の維持・向上と強靭化

    発電・販売事業においては、伊方発電所3号機をはじめとした自社電源の安全・安定運転はもとより、電源の低炭素化・脱炭素化に向けた取り組みを着実に推進していく。また、他事業者との競争環境や電源調達コストを踏まえた小売料金水準の設定、電源調達の最適化、電力市場の活用、卸販売の促進等に取り組み、収益力の維持・向上をはかっていく。

    送配電事業においては、設備効率の向上等によるコスト抑制をはかりつつ、供給信頼度の維持・向上に努め、レベニューキャップ制度下において策定した事業計画を着実に遂行していく。

    また、災害対策については、能登半島地震に係る国の検証結果や当社独自の分析などにより、災害時の対策に新たな知見を反映することで、災害時の対応力をさらに強化していく。

 

② グループ大での新たな事業価値の創出

    情報通信事業におけるデータ分析技術等を活用した新たなサービスの開発や、国際事業における再生可能エネルギーを中心とした新規優良案件への参画拡大など、今後成長が期待できる事業を中心に、リスク管理を徹底しながら、事業領域・市場エリアの一層の拡大と収益性向上に努めていく。また、建設・エンジニアリング事業などを着実に推進するとともに、スマートメーターを活用したガス・水道の遠隔検針事業や見守り事業など送配電ネットワークの新たな価値を創造していく。

    さらに、分散型エネルギーリソースの普及など電気事業の構造変化を捉えた新たな事業の創出、低炭素化・脱炭素化ニーズに対応したソリューションの提供等にも、グループを挙げて取り組んでいく。

 

③ 企業体質の変革と価値創出の基盤強化

  全社を挙げてDXを強力に推進し、ビジネスモデルや業務プロセス、組織風土、従業員のマインドなどを含むビジネス全般を変革することにより、既存事業の競争力強化や新たな価値創造を実現し、持続的な企業価値の向上をはかっていく。

  気候変動対策の推進については、GXリーグへの参加などにより電源の低炭素化・脱炭素化に取り組むとともに、COフリー電気の調達や電化等による電気エネルギーのさらなる活用をはかることにより、小売販売電力におけるCO排出量を削減し、2050年にカーボンニュートラルを実現することに挑戦していく。

 

  当社グループとしては、こうした取り組みを通じて、収益性の向上とリスク耐性の強化を両立するとともに財務健全性の向上をはかり、1株当たり配当額50円をはじめ、2025年度を最終年度とする中期経営計画で掲げた目標の達成を目指していく。

 

(3) 経営目標

上記のような取り組みを通じて、2021年3月に策定した「よんでんグループ中期経営計画2025」で掲げた、以下の経営目標の達成を目指していく。(一部経営目標について2024年4月に見直し)

 

 

2025年度経営目標(連結)

ROA

3%程度(ROE:8%程度)

経常利益

400億円以上

自己資本比率

25%以上(有利子負債倍率:2倍以下)

営業キャッシュ・フロー

1,100億円程度

 

※ ROAは「事業利益(経常利益+支払利息)÷総資産(期首・期末平均)」にて算定

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方および取組】

(ガバナンス)

当社グループでは、ESGの観点から事業活動と連動性の高い重点課題(マテリアリティ)を特定し、社会的責任を果たしつつ、持続的な価値創造に向けた取り組みを進めている。こうした取り組みの実効性を高めるため、「サステナビリティ推進会議」(委員長:当社社長)を設置し、経営層による統括のもと、下部委員会(委員長:社内取締役)の活動状況について確認するとともに、サステナビリティ全般に係る重点課題に対する取り組みについて、当社グループが一体となって推進する体制を構築している。「サステナビリティ推進会議」には、当社および四国電力送配電(株)の社内取締役のほか、オブザーバーとして当社および四国電力送配電(株)の各内部監査部門の長、監査等委員会の長および四国電力送配電(株)の監査役ならびに社外の弁護士も出席している。また、「サステナビリティ推進会議」において審議された一連の取り組みについては、社外取締役5名を含む6名が委員を務める「監査等委員会」に報告することで、監視・監督を行っている(「監査等委員会」については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」を参照)。

上記取り組みのうち、気候変動問題については、上記の「サステナビリティ推進会議」に加え、「カーボンニュートラル推進委員会」(委員長:当社社長)が中心となり、当社全体の取り組みを統括・推進している。

なお、各会議体の審議の過程において、特に重要と位置づけられたものは、「取締役会」を含む上位会議体に付議し、各年度の経営計画等に反映することで、取り組みの改善・充実をはかっている(「取締役会」については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」を参照)。

 

◆ESGの推進体制


 

サステナビリティの推進体制の詳細については、「よんでんグループ統合報告書2023」を参照

「よんでんグループ統合報告書2023 - サステナビリティを高める事業経営 -(P46~70)」  

 https://www.yonden.co.jp/corporate/ir/library/annualreport/index.html

 

(リスク管理)

 当社では、リスク管理の重要性を強く認識して事業運営を進めており、リスク管理の基本的方針や行動原則などを定めた「リスク管理規程」を制定している。この規程に基づき、経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、毎年、経営陣がチェック・アンド・レビューを実施し、次年度の経営計画に反映することで、リスク管理のPDCAサイクルを繰り返し、リスクの発生防止と低減に努めている。このうち、サステナビリティに係るリスクについては、「サステナビリティ推進会議」の審議に反映しているほか、全社横断的なリスクについては、必要に応じて専門委員会を設置し、総合的な判断のもとで適切に対処している。また、自然災害などの非常事態においても、被害の最小化と早期復旧がはかれるよう、個別の規程等を整備し、管理体制を明確化している。さらに、危機情報を速やかに集約する窓口として「危機ホットライン」を設置し、適切な情報共有や被害の最小化・早期復旧をはかるとともに、全従業員対象のe-ラーニング研修などを活用することにより、危機管理意識の徹底に努めている。

 

リスク管理体制の詳細については、「よんでんグループ統合報告書2023」を参照

「よんでんグループ統合報告書2023 - リスクと機会への対応 -(P65~66)」  

https://www.yonden.co.jp/corporate/ir/library/annualreport/index.html

 

<気候変動問題への対応>

(戦略)

 当社グループでは、気候変動問題への対応を重要な経営課題と認識しており、気候変動関連のリスクや機会が、当社の事業運営にどのような影響を及ぼすのか、一定の将来シナリオのもと、継続的に評価・確認するとともに、その結果を踏まえ、必要な対策を立案し、実行に移している。

 具体的には、国際エネルギー機関等が示すシナリオをもとに、1.5℃シナリオ、4℃シナリオを選定し、気候変動関連のリスクと機会を抽出している。そして、それらが、今後、当社事業にどのような影響を及ぼすのか、主要なものについて確認・評価したところ、主に「非化石電源の比率拡大/火力電源の規制強化」や「カーボンプライシングの導入」によるコスト増加の可能性がある一方で、「非化石電源の価値向上」や「電化の進展/低・脱炭素電力ニーズの拡大」による収支好転も期待できることを確認している。

 加えて、リスクの最小化と機会の最大化をはかるために検討した対応策は、よんでんグループ中期経営計画2025に反映しており、2030年度、さらにその先の2050年を視野に入れ、「電源の低炭素化・脱炭素化」と「電気エネルギーのさらなる活用」の両面でのロードマップを策定し、具体的な取り組みを推進している。

 

◆各シナリオから抽出した主要なリスク・機会と対応策


 

(指標および目標)

2030年度に、自社の温室効果ガスの排出量(自社発電の燃料使用等に伴う直接排出量)について2013年度比で30%削減(1,221万t→850万t)、小売部門からのCO2排出量について2013年度比で半減(1,962万t→980万t程度)という目標を掲げており、引き続き、原子力の最大活用や再生可能エネルギーの主力電源化、火力発電の高効率化などによる「電源の低炭素化・脱炭素化」と、産業・運輸部門も含めた電化の推進等の取り組みなどによる「電気エネルギーのさらなる活用」を推進することで、目標の達成を目指していく。

 

◆当社小売部門からのCO排出量          ◆サプライチェーン温室効果ガス排出量の2022年度実績※3


当社グループでは、TCFD提言に基づく情報開示を行っており、気候変動問題への対応の詳細については、「よんでんグループ統合報告書2023」を参照。

「よんでんグループ統合報告書2023 - 気候変動問題への取り組み -(P48~52)」  

 https://www.yonden.co.jp/corporate/ir/library/annualreport/index.html

なお、2023年度の削減状況については、2024年9月目途で公表予定の「よんでんグループ統合報告書2024」を参照。

 

<人的資本>

(戦略)

当社グループでは、「人」こそがサステナビリティ(持続的な価値創造)を推進するための最大の原動力(最大の財産)であるという考えのもと、従業員が「やりがい」や「充実感」を持って積極的かつ創造的に仕事に取り組み、持てる能力を最大限発揮できるよう、一人ひとりの人格や多様性を尊重し、価値観や経験、技術・技能を活かせる職務の付与・育成をはかるとともに、風通しの良い活力ある職場環境の整備に取り組んでいく方針としている。

この方針のもと、「よんでんグループ中期経営計画2025」に掲げる、電気事業と電気事業以外の事業を両輪に持続的な企業価値の創出を目指すとの経営戦略に連動した人材戦略として、

・電力の安定供給を支えるDNAを継承する人材

・電気事業以外の重点領域の拡大やDXを推進する人材

の自律的な成長・活躍に向けた人材マネジメント施策を推進している。

「よんでんグループ中期経営計画2025」については、当社ウェブサイトを参照

https://www.yonden.co.jp/corporate/ir/policy/medium-term_management_plan.html

具体的には、「未来を切り拓く人材の獲得・育成」、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進」、「従業員が能力を発揮できる環境づくり」を、人的資本におけるサステナビリティを高めるための重点課題として特定したうえで、以下のとおり推進している。

 

[重点課題1]未来を切り拓く人材の獲得・育成

・電気事業においては、電力の安定供給を支える人材を安定的に確保し、日常業務を通じた職場内教育(OJT)を中心に、階層別研修や自己啓発支援等により、若手・中堅層の早期戦力化を図るとともに、各技術系部門が策定した実践的な教育プログラムに基づく計画的な育成を行い、技術・技能の継承に努めている。

・電気事業以外の重点領域と位置づける国際事業・新規事業等の拡大に向けては、2024年度の定時採用より、国際事業など事業開発分野の中核を担う人材として育成する「事業開発コース」を設置するとともに、キャリア採用を継続し、即戦力としての活躍が期待できる人材や高度な専門能力を有する人材の獲得を進めている。

また、社内インターン、海外派遣研修、ベンチャー企業での就業体験などを通じ、挑戦意欲のある人材の育成に取り組んでいる。さらに、DX社内ポータルサイトやe-ラーニングを活用した社員のDXリテラシーの向上を通じ、DXを推進する人材の育成に努めている。

[重点課題2]ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進

・多様な視点、経験、個性を掛け合わせることで、魅力的なアイデアやイノベーションを生み出し、新たな価値創出や社会的課題の解決を推進していくために、従業員一人ひとりが、お互いを尊重して認め合う職場風土の醸成と、個々人の状況に応じた活躍機会と最適なサポートの提供を行っている。

・具体的には、性別等の属性によらない個人の能力・適性を重視した柔軟配置、女性従業員の採用拡大やキャリア形成支援および管理職への積極的な登用、育児休業の取得促進を含めた仕事と育児・介護の両立支援制度の整備・利用促進、障がい者や高年齢層など多様な人材の積極的な活用を進めるとともに、人権尊重やハラスメント防止に取り組んでいる。

[重点課題3]従業員が能力を発揮できる環境づくり

・経営層による情報発信や現場との意見交換を通じて、従業員の声を踏まえた多様な活躍・成長機会の提供や働きやすい職場風土の醸成を目指している。

・活力ある組織風土のさらなる醸成に向けてエンゲージメント調査を実施し、各職場における改善アクションのサイクルを回すとともに、従業員の多様な価値観や生活スタイルを尊重した柔軟な働き方を可能とする制度を整備し、利用を促進するなど、 従業員が能力を発揮できる環境づくりにつなげている。

・また、災害のない安全で健康な職場づくりは、安定した企業活動を行ううえでの原点との考えのもと、労働災害の撲滅に取り組むとともに、従業員が心身ともに健やかでいきいきとした生活を送り、能力を遺憾なく発揮できるよう健康経営を推進している。

 

(指標および目標) 

  上記の重点課題に対応していくうえで特に重点的に実施している施策について、当社グループにおける主要な事業を営む当社および四国電力送配電㈱の指標および目標を以下のとおり設定している。

 [目標および実績は四国電力㈱と四国電力送配電㈱の2社合計]

重点課題ごとの重点施策

指 標

目 標

実 績 (2023年度)

[重点課題1]未来を切り拓く人材の獲得・育成

・即戦力としての活躍が期待できる人材や高度な専門能力を有する人材の獲得

 中途採用の採用人数

2020~2022年度の

3ヵ年平均の2以上

1.7

・DXを推進する人材の育成 

DXを推進する人材(中級以上のDX人材)の人数(注)1

200以上

2025年度末

[重点課題2]ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進

・女性従業員の採用拡大

新卒女性採用者比率

20以上

 [2030年度末]

15

・女性従業員のキャリア形成支援、管理職への積極的な登用

女性管理職比率(注)2

5以上

2025年度末

4.2

・仕事と育児・介護の両立支援制度の整備・利用促進

育児休業取得率

(育児目的休暇含み)

男性

50以上

[2025年度末]

35.5

(99.2%)

女性

100

[2025年度末]

100%

・障がい者の雇用促進

障がい者雇用率(注)3

2.7以上

2.7

[重点課題3]従業員が能力を発揮できる環境づくり

・活力ある組織風土のさらなる醸成に向けたエンゲージメント調査の実施

エンゲージメント総合スコア(注)4

Bランク
 14段階中3番目[2030年度末]

C+ランク
 14段階中5番目

・従業員の多様な価値観や生活スタイルを尊重した柔軟な働き方を可能とする制度の整備・利用促進

年次有給休暇取得日数(注)5

16.0以上

18.6

離職率(注)6

(新卒社員の3年以内の離職率)

0.3%以下

0.5%

(5.4%)

・労働安全衛生の徹底に向けた、健康経営の推進、労働災害の撲滅

健康経営の推進

健康経営優良法人認定

健康経営優良法人認定(5年連続)

ストレスチェックにおける
総合健康リスク
(注)7

80以下

78

業務上死亡災害[請負・委託含み]

0

0

 

(注)1 社内のDX人材認定制度により、中級レベル以上(※)の認定を受けたDX人材の人数

      ※中級:組織のDXを推進していくために必要な知識・スキルを有する人材

        上級:組織の中心となってDXをリード・マネジメントしていくための専門知識・スキルを有する人材

(注)2 係長級以上

(注)3 「特例子会社」制度の活用による、四国電力㈱・四国電力送配電㈱他、計4社の雇用率

目標値は2026年7月時点の法定雇用率

(注)4 ㈱アトラエが提供するエンゲージメントサーベイ(Wevox)を導入

(注)5 管理監督者は除く

(注)6 自己都合退職のみ

(注)7 全国平均は100であり、数値が低いほど良好

 

その他の施策の詳細については、「よんでんグループ統合報告書2023」を参照

「よんでんグループ統合報告書2023 - 従業員活力の維持・向上 -(P57~60)」

「よんでんグループ統合報告書2024」について、2024年9月目途で当社ウェブサイトにおいて公表予定

https://www.yonden.co.jp/corporate/ir/library/annualreport/index.html

 

3 【事業等のリスク】

 

当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると経営者が認識している主なリスクには、次のようなものがある。

なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものである。

 

電気事業に係るリスク

(1) エネルギー政策や電気事業制度

① エネルギー政策や電気事業制度の変更

当社グループでは、わが国のエネルギー需給に関する基本方針等を定めた「エネルギー基本計画」を踏まえ、特定の電源・燃料に過度に依存しないバランスの良いエネルギー供給体制を構築している。また、電気事業制度の見直しに適切に対応しつつ、安定的な電力供給の維持や収益機会の拡大に取り組んでいる。

今後、エネルギー政策や電気事業制度が大幅に見直された場合、その内容次第では、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性がある。

 

② 環境規制の強化

当社グループでは、原子力や再生可能エネルギーなどのゼロエミッション電源の最大活用に加え、LNGコンバインドサイクルの導入・石炭火力のUSC(超々臨界圧機)化による火力発電設備の高効率化などを通じて温室効果ガスの削減をはかっている。

今後、脱炭素社会の実現に向けて環境規制が強化された場合、火力発電所の運転が制約され、供給コストが増大するなど、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性がある。

 
(2) 原子力事業を取り巻く環境

① 原子力発電所に係る訴訟への対応

当社は、伊方発電所3号機に係る訴訟については、勝訴を目指し、同発電所の安全性を丁寧に主張している。

今後、現在係属中の訴訟の結果により、長期に亘り同発電所の運転停止を余儀なくされる場合、代替の火力燃料費の増加などにより、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性がある。

 

② 原子力発電所に係る基準・法令等への対応

当社グループでは、原子力規制委員会が定めた新規制基準への適合をはじめとして、原子力発電事業に係る各種法令に則り、伊方発電所を安全・安定的に運転するための取り組みを進めている。

今後、新規制基準等への適合性の確保や各種基準・法令等の変更への対応において、伊方発電所の稼働が制約を受ける場合や追加の安全対策が必要となる場合、代替の火力燃料費の増加や設備投資の増加などにより、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性がある。

 

③ 原子燃料サイクルや原子力発電所廃止への対応

原子力発電における使用済燃料の再処理や放射性廃棄物の処分など原子燃料サイクルに係る費用や、原子力発電施設の解体費用については、国が定める制度措置等により不確実性が低減されている。

今後、制度措置の見直しなどが行われる場合、将来費用の見積額の増加や、再処理施設の稼働時期の遅延等により、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性がある。

 

 
(3) 市場動向

① 市場競争の進展

当社グループでは、小売市場での厳しい競争に勝ち抜くため、料金・サービス両面における施策の拡充を推進するとともに、新市場を最大限に活用することにより、収益機会の拡大と供給コストの低減をはかっている。

今後、更に競争が進展した場合、販売電力量の大幅な減少や小売・卸販売単価の下落等により、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性がある。

 

② 電力需要の変動

当社グループでは、法人分野での電化厨房等のメリット訴求による電化促進や家庭分野でのサブユーザーへの営業による新築電化率の向上などを通じて電力需要の拡大に取り組んでいる。

今後、人口減少や省エネ機器・蓄電池等の普及拡大、冷夏・暖冬など、経済・社会情勢や天候影響等により、電力需要が想定以上に低下すれば、設備の稼働率低下に伴う固定費の回収不足などにより、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性がある。

 

③ 燃料価格や為替相場の変動

当社の火力発電用燃料調達費用については、原油、石炭などの市場価格や為替相場により変動するが、長期契約や調達の多様化などを通じて、変動リスクの抑制・分散をはかっている。

今後、調達先における設備トラブルや自然災害、国際関係の緊張の高まりなどにより、燃料価格および為替相場が著しく変動した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ただし、燃料価格および為替相場の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」の適用により、業績への影響は緩和される。

 
(4) 設備・操業のトラブル等

当社グループでは、高品質のサービスを提供するため、設備の保守・点検を着実に実施している。また、様々な自然災害リスクを想定し、最新の知見を反映した設備の安全性確保対策を適宜、適切に実施するとともに、自治体、他事業者との連携強化や復旧訓練の共同実施、災害情報発信ツールの普及拡大等にも取り組んでいる。

今後、大規模な地震・津波・台風等の自然災害や設備の故障、事故等により設備の損傷や操業トラブルが発生した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。


その他事業活動に係るリスク
(1) 電気事業以外の事業

当社グループでは、持続的な企業価値の創出に向けて、情報通信事業や国際事業を中心とした電気事業以外の事業について、その将来性や収益性を吟味しながら取り組むことにより、市場エリア・事業領域の拡大をはかっている。

今後、物価変動を含む内外市場環境の急速な変化や、国際関係の緊張の高まり、進出国におけるカントリーリスクの顕在化等により、個々の事業・案件の収益が当初の見込みより大幅に下回る場合などには、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 
(2) コンプライアンス

当社グループでは、事業活動に関する全ての法令の遵守と、社会からの信頼と評価を得るための企業倫理の徹底をはかるため、グループ各社に「コンプライアンス推進委員会」を設置するとともに、「よんでんグループコンプライアンス推進協議会」を設置し、グループ全体でコンプライアンスを推進している。

また、電気事業法上の行為規制や独占禁止法の遵守は、自由化された現行電気事業制度の根幹をなすものと認識し、教育・研修を通じた法令に対する正しい理解の浸透と、意識改革の徹底に取り組んでいる。

こうした取り組みにも関わらず、法令違反や企業倫理に反した行為が発生した場合、当社グループへの社会的信用が低下し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

 
(3) 人材確保に係るリスク

当社グループでは、電力の安定供給やカーボンニュートラルをはじめとした電気事業における各種課題への対応、成長領域での事業創出・拡大に向けて、将来の人員見通しをもとに事業運営に必要な人材の確保・育成に取り組んでいる。また、人材の定着をはかる観点から、従業員一人ひとりの人格や多様性を尊重し、能力を最大限発揮できる活力ある職場環境の整備に努めている。

今後、必要な人材の確保・育成が円滑に進まない場合や多数の人材が流出した場合、持続的な事業運営に支障をきたし、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。


(4) 退職給付費用および債務に係るリスク

当社グループの退職給付費用および債務は、割引率など数理計算上の前提条件に基づいて算出している。

今後、金利変動に伴う割引率の変更など、数理計算上の前提条件について、大幅な見直しがある場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 

①経営成績

2023年度のわが国経済は、物価高等の影響により、個人消費の持ち直しの動きに足踏みがみられたものの、公共投資が堅調に推移するなど、全体としては緩やかに回復した。四国の経済も、全国とほぼ同様の状況で推移した。

こうしたなか、当社グループは、伊方発電所3号機をはじめとする自社電源の安全・安定運転を継続し、電力の安定供給を確保するとともに、燃料価格高騰に起因する収支不均衡を解消するための規制料金の見直しなどにより、収支の改善をはかることで、経営正常化の道筋をつけることができた。

こうした状況のもと、当連結会計年度の売上高は、小売販売収入が自由料金の燃料費調整制度の上限廃止や規制料金の見直し等に伴い増加したものの、卸販売収入が市場価格の低下等により減少したことなどから、前連結会計年度に比べ457億99百万円(△5.5%)減収7,874億3百万円となった。また、営業費用は、修繕費や減価償却費等が増加したものの、燃料価格の低下や総販売電力量の減少等により需給関連費が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ1,366億12百万円(△16.2%)減少7,088億76百万円となった。

この結果、前連結会計年度に比べ、営業損益は、908億12百万円改善の785億26百万円の利益(前連結会計年度は、122億85百万円の損失)、支払利息など営業外損益を差引き後の経常損益は、1,026億11百万円改善の800億96百万円の利益(前連結会計年度は、225億15百万円の損失)、法人税等差引き後の親会社株主に帰属する当期純損益は、833億87百万円改善の605億15百万円の利益(前連結会計年度は、228億71百万円の損失)となった。

セグメントごとの経営成績(セグメント間取引消去前)は、次のとおりである。

 

[発電・販売事業]

売上高は、小売販売収入が自由料金の燃料費調整制度の上限廃止や規制料金の見直し等に伴い増加したものの、卸販売収入が市場価格の低下等により減少したことなどから、前連結会計年度に比べ390億8百万円(△5.5%)減収6,700億26百万円となった。

経常損益は、売上高が減少したものの、燃料価格の低下や総販売電力量の減少等により需給関連費が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ647億23百万円改善の357億82百万円の利益(前連結会計年度は、289億41百万円の損失)となった。

 

[送配電事業]

売上高は、レベニューキャップ制度への移行に伴う料金単価の見直しにより託送収益が増加したものの、需給調整収益が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ261億82百万円(△9.8%)減収2,400億88百万円となった。

経常利益は、売上高が減少したものの、需給調整費が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ128億9百万円(+176.3%)増益の200億74百万円となった。

 

[情報通信事業]

売上高は、光通信サービスの収入増やシステム開発案件の受注増などから、前連結会計年度に比べ35億72百万円(+7.8%)増収491億54百万円となった。

経常利益は、前連結会計年度に比べ10億3百万円(+10.7%)増益103億73百万円となった。

 

[エネルギー事業]

売上高は、前連結会計年度に比べ76百万円(+0.3%)増収258億43百万円となった。

経常損益は、前年度に海外事業投資損失を営業外費用に計上した反動から、67億33百万円の利益(前連結会計年度は、151億18百万円の損失)となった。

 

[建設・エンジニアリング事業]

売上高は、火力発電所関連工事の受注増などから、前連結会計年度に比べ122億3百万円(+23.0%)増収652億68百万円となり、経常利益は、前連結会計年度に比べ23億52百万円(+67.0%)増益58億62百万円となった。

 

[その他]

売上高は、前連結会計年度に比べ21百万円(△0.1%)減収355億95百万円となり、経常利益は、前連結会計年度に比べ3億10百万円(+14.4%)増益24億60百万円となった。

 

②財政状態

(資産)

資産は、事業用資産は減少したものの、手元資金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ170億28百万円(+1.1%)増加1兆6,290億54百万円となった。

 

(負債)

負債は、社債・借入金が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ478億27百万円(△3.6%)減少の 1兆2,658億86百万円となった。

 

(純資産)

純資産は、利益の確保などから、前連結会計年度末に比べ648億55百万円(+21.7%)増加3,631億68百万円となった。

 

③キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

利益の確保や減価償却による回収などから、収入が前連結会計年度に比べ1,075億89百万円(+298.1%)増加1,436億76百万円となった。
 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

前連結会計年度に比べ57億17百万円(+6.2%)増加973億17百万円の支出となった。
 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

社債・借入金について、約定返済する一方、調達額を抑制したことから、前連結会計年度に比べ1,190億11百万円減少の341億82百万円の支出となった。

 

以上の結果、当連結会計年度末における現金および現金同等物は、前連結会計年度末に比べ123億92百万円増加し、1,182億96百万円となった。

 

④生産、受注および販売の実績

[発電・販売事業および送配電事業]

a.需給実績

種別

2023年度

前年度比
(%)

販売電力量
(百万kWh)

30,593

93.4

電力供給
(百万kWh)


原子力

6,510

94.3

水力

2,140

119.7

新エネルギー等

4

123.2

火力

10,810

97.1

他社受電

12,814

87.4

(水力・新エネ再掲)

(6,827)

(111.2)

損失電力量等

△1,684

97.1

 

(注) 四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。

 

 

b.販売実績

種別

2023年度

前年度比
(%)

販売電力量
(百万kWh)




電灯

7,491

97.5

電力

14,679

93.3

22,170

94.7

卸販売

8,423

90.2

合計

30,593

93.4

料金収入
(百万円)




電灯

206,298

104.2

電力

334,645

106.5

540,944

105.6

卸販売

109,758

59.3

合計

650,702

93.3

 

(注) 1 販売電力量は、四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。

2 料金収入の電灯および電力には、国の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により受領する補助金を含んでいる。

 

 

c.資材の実績

石炭、重油およびLNGの受払実績

<石炭>

区分

期首残高(t)

受入量(t)

払出量(t)

期末残高(t)

2022年度

104,457

2,705,563

2,290,733

519,287

2023年度

519,287

2,416,420

2,606,748

328,959

 

 

<重油>

区分

期首残高(kl)

受入量(kl)

払出量(kl)

期末残高(kl)

2022年度

66,514

478,880

458,399

86,995

2023年度

86,995

188,197

183,498

91,693

 

 

<LNG>

区分

期首残高(t)

受入量(t)

払出量(t)

期末残高(t)

2022年度

45,234

480,008

467,372

57,871

2023年度

57,871

395,979

416,896

36,954

 

 

[情報通信事業、エネルギー事業、建設・エンジニアリング事業、その他]

生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとらない品目も多いことから、生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示していない。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりである。

なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものである。

 

①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

(ⅰ)経営成績の分析

◇経営成績の推移                (  )内は対前年度増減率                  (単位:億円)

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

事業利益

(   6.1%)

( △68.1%)

( -%)

( -%)

( -%)

340

108

△65

△163

862

親会社株主に帰属する
当期純利益又は

親会社株主に帰属する

当期純損失(△)

(   6.5%)

( △83.4%)

( -%)

( -%)

( -%)

180

29

△62

△228

605

総資産

(   1.5%)

(    4.1%)

(    4.9%)

(    7.4%)

(    1.1%)

13,736

14,304

15,007

16,120

16,290

自己資本

(   1.7%)

(    0.4%)

(   △3.9%)

(   △5.5%)

(   21.9%)

3,245

3,256

3,128

2,957

3,604

備考

伊方3号
(稼働9ヵ月)

伊方3号
(全停止)

伊方3号
(稼働4ヵ月)

伊方3号
(稼働11ヵ月)

伊方3号

(稼働10ヵ月)

 

 

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

 

2025年度

経営目標

[ROE]

[5.6%]

[0.9%]

[△2.0%]

[△7.5%]

[18.4%]

 

[8%程度]

ROA※

2.5%

0.8%

△0.4%

△1.0%

5.3%

 

 3%程度

 

※ ROA=事業利益(経常利益+支払利息)÷総資産(期首・期末平均)

 

  <ROAとROE>

指標算定の分子となる損益(事業損益、親会社株主に帰属する当期純損益)については、2020年度から2022年度にかけては伊方発電所3号機の停止や燃料価格の高騰影響により悪化したが、2023年度は電気料金の見直しや燃料価格の低下などから大幅に改善した。

以上の結果、ROAは、2019年度の2.5%が、2022年度には△1.0%まで低下したが、2023年度は5.3%となった。

また、ROEは、2019年度の5.6%が、2022年度には△7.5%まで低下したが、2023年度は18.4%となった。

 

 

(ⅱ)財政状態の分析

◇財政状態の推移                (  )内は対前年度増減額                  (単位:億円)

 

2019年度末

2020年度末

2021年度末

2022年度末

2023年度末

総資産

(    197)

(    568)

(  703)

( 1,113)

(   170)

13,736

14,304

15,007

16,120

16,290

社債・借入金

(    128)

(    546)

(  886)

(  880)

( △310)

7,170

7,716

8,602

9,482

9,172

自己資本

(     53)

(     11)

( △128)

(  △171)

(   647)

3,245

3,256

3,128

2,957

3,604

 

 

 

2019年度末

2020年度末

2021年度末

2022年度末

2023年度末

 

2025年度末

経営目標

[有利子負債倍率※]

[2.2倍]

[ 2.4倍]

[ 2.7倍]

[ 3.2倍]

[ 2.5倍]

 

[ 2倍以下]

自己資本比率

23.6%

22.8%

20.8%

18.3%

22.1%

 

25%以上

 

※ 有利子負債倍率=社債・借入金÷自己資本

 

<総資産>

伊方発電所の安全対策工事や西条発電所1号機リプレース工事などによる事業用資産の増に加え、海外事業投資の増などから増加傾向にあり、2019年度末から2023年度末にかけて約2,500億円増加した。

 

<社債・借入金>

設備投資等の増に伴い増加傾向にあり、2019年度末から2023年度末にかけて約2,000億円増加した。

 

<自己資本>

2021・2022年度の赤字影響により、2022年度末には2,900億円台まで減少したが、2023年度の黒字により、 約3,600億円まで増加した。

 

<自己資本比率>

以上の結果、自己資本比率は、2019年度末の23.6%が、2022年度末には18.3%に低下したが、2023年度末は22.1%まで回復した。

また、有利子負債倍率は、2019年度末の2.2倍が、2022年度末には3.2倍まで上昇したが、2023年度末は2.5倍まで低下した。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報

(ⅰ)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

◇キャッシュ・フローの推移                                              (単位:億円)

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

 

2025年度

経営目標

営業活動による

キャッシュ・フロー

1,073

522

498

360

1,436

 

1,100億円程度

投資活動による

キャッシュ・フロー

△999

△893

△1,251

△916

△973

 

 

フリー・キャッシュ・
フロー

73

△371

△752

△555

463

 

 

財務活動による

キャッシュ・フロー

63

483

822

848

△341

 

 

現金および現金同等物の

期末残高

542

654

729

1,059

1,182

 

 

 

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

利益の確保や減価償却による回収などにより、2019年度から2023年度の5ヵ年平均で770億円程度の収入となった。
 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

伊方発電所の安全対策工事や西条発電所1号機リプレース工事などに加え、海外発電事業への出資などにより、支出額は増加傾向となっている。
 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

フリー・キャッシュ・フローに応じて変動しており、2023年度は341億円の支出となった。

 

(ⅱ)資本の財源および資金の流動性について

当社の主な資金需要は設備資金であり、自己資金および社債・長期借入金により調達している。なお、季節要因などによる短期的な資金需給の調整には、コマーシャル・ペーパーを活用している。

 

③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。

当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、繰延税金資産の回収可能性、固定資産の減損、貸倒引当金、退職給付に係る負債、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積りおよび判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項なし。

 

6 【研究開発活動】

 

当社グループは、技術力・競争力の向上を目的として、㈱四国総合研究所を中心に、電力の供給・利用などの研究開発に取り組んでいる。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、4,364百万円であり、これは主に発電・販売事業(2,441百万円)および送配電事業(1,024百万円)に係るものである。

主要な研究課題は次のとおりである。

(1) 電力供給コストの低減などにつながる研究開発

設備の長寿命化技術、運用保守の高度化・効率化技術、デジタル技術などに関する研究開発を行っている。

 

(2) カーボンニュートラル推進に向けた研究開発

再生可能エネルギーの導入拡大へ向けた対応や、分散型エネルギーリソースの活用、水素等関連技術の活用など、カーボンニュートラル推進に向けた研究開発を行っている。