(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、
① 社会のニーズに応える快適環境の創造
② 未来をみつめ独自性を誇りうる技術の展開
③ 考え挑戦するいきいき人間企業の実現
を経営理念の柱に掲げ、総合設備企業として事業を展開している。
(2)経営環境及び対処すべき課題
今後の景気見通しについては、緩やかな回復が続くことが期待されるものの、不安定な国際情勢や中国経済の先行き懸念など、景気の下振れリスクは依然として残されている。
建設業界においては、公共投資に加え、民間設備投資も堅調な推移を見込む一方で、原材料価格の高騰や供給面での制約等が事業環境に与える影響について、引き続き注視が必要な状況である。
このような状況のもと、当社グループは中期経営計画2027の達成に向け、2年目である2024年度は、さらなる成長を目指すために、基本方針に基づいて次の取り組みを推進していく。
成長が見込まれる分野(カーボンニュートラル、DX関連)やエリア(首都圏、近畿圏、アジアなど)において、戦略的に営業活動を展開して受注拡大を図る。さらには、柔軟な施工体制を構築するとともに、グループ一体でのバリューチェーンを強化し、収益拡大に取り組んでいく。
また、時間外上限規制の遵守に向け、現場改革チームによる現場サポートをはじめ、かいぜん活動やDXによる生産性向上に引き続き取り組んでいく。
今後、労働力人口の減少が見込まれるなか、要員の確保と人材の育成は喫緊の課題と考えており、協力会社を含めた施工体制の維持・強化に取り組んでいく。「人材投資の更なる拡充」として、成長の源泉である人材の質・量を高めるため、積極的な採用活動の展開や人材育成の強化、エンゲージメントの向上、ダイバーシティの推進に努めていく。
設備工事を中核事業とする当社グループにとって、安全の追求は創業以来変わることのない、重要なテーマである。絶対に災害を発生させない企業風土を確立していく。
さらに、お客さまのニーズに応え、品質の向上、技術研究開発の強化に取り組むことにより、お客さまから選ばれる企業にしていく。
加えて、グループを挙げたコンプライアンス意識の醸成、ガバナンス体制の強化、ステークホルダーとの信頼関係強化に取り組み、健全で透明性の高い企業運営に努めていく。
なお、昨年8月に公表された中小企業庁の「価格交渉促進月間フォローアップ調査」での取引先からの厳しい評価を真摯に受け止め、グループ調達基本方針の策定やコミュニケーション推進月間の設定などに取り組んできた。今後も取引先とのコミュニケーションを一層強化し、引き続き共存共栄の関係構築に努めていく。
当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化するなか、暮らしの基盤を支える担い手として、2024年4月1日、「いかなる時も、人や社会に“活力と豊かさ”を生み出す快適環境を創り、守る」を、トーエネックの使命(パーパス)として公表した。新たに策定した使命(パーパス)に基づき、挑戦や変革によってこれから先もお客さまや社会へ確かな価値を提供し続けることで、持続的な成長を実現していく。
<中期経営計画2027(2023年度~2027年度)>
(3)目標とする経営指標
中期経営計画2027で目標とする経営指標は以下のとおりである。
<2027年度数値目標(連結)>
売上高 2,700億円、経常利益 180億円、ROE 8.0%
(注) 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
当社グループは、「お客さまと、社会と、人と、共に成長し続ける総合設備企業へ」をビジョンに掲げ、人材の力を最大限に引き出し、確かな技術でお客さまや社会に対して共通価値を創出し続けることで皆さまと共に持続的な成長を達成することを表明している。
○お客さまと共に
お客さまへのお役立ちを追求し期待され、必要とされる価値提供を通じてお客さまと共に成長
○社会と共に
当社の技術を活かした事業展開により社会的課題の解決に貢献し社会と共に持続的に発展
○人(仲間)と共に
安全・安心にいきいきと働ける職場環境を醸成し皆が仕事に『誇り・喜び』を感じ仲間と共に成長を実感
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)ガバナンス
当社グループは、ESGの取り組みを推進するため、ESGに関する会社規程等に基づき、基本的な方針及び施策を審議する委員会等を設置している。重要事項は経営執行会議へ付議し決定するとともに、取締役会へ報告し、取締役会が監督するガバナンス体制を構築している。
気候変動に関しては、「トーエネックグループ環境基本方針」の下、基本的な方針及び施策を審議する「環境対策推進会議(議長:社長)」を設置している。
人的資本に関しては、「トーエネックグループ人材戦略方針」及び「人材育成方針」の下、基本的な方針及び施策を審議及びモニタリングする「人材戦略委員会(議長:人事部統括)」を設置している。
(2)戦略
当社グループは、事業や企業運営においてESG経営(三方よし)を実践することで、ビジョンの実現を目指している。
気候変動に関しては、当社グループの売上高の大半を占める「設備工事業」と「エネルギー事業」を対象範囲に、「2℃シナリオ」と「4℃シナリオ」について、将来の世界観を踏まえ、重要なリスク及び機会を抽出し項目を特定した。
<重要なリスク>
|
|
時間軸 |
2℃シナリオ※1 |
4℃シナリオ※2 |
||
|
想定される社会の変化 |
当社への影響 |
想定される社会の変化 |
当社への影響 |
||
|
政策と法 [炭素価格導入によるコスト増] |
中 |
欧州で既に普及しているカーボンプライシングが日本でも導入 |
CO2排出量に応じた炭素価格の支払が求められ、コスト増 |
排出削減の取り組みが遅れ、導入無、あるいは高額な価格設定がされない |
炭素価格が導入されないため、影響なし |
|
エネルギー価格高騰 [車両燃料費増] |
中 |
再エネ普及により化石燃料需要の増加が抑えられ、価格上昇幅が抑制される |
化石燃料由来の燃料価格上昇により燃料コスト増 |
再エネ普及が進まず化石燃料需要が高まり、2℃シナリオと比較してさらに価格上昇が進む |
化石燃料由来の燃料価格上昇により燃料コスト増 |
|
省エネ基準規制 [建材調達コスト増] |
中 |
炭素価格が調達する建材の価格に上乗せされる |
炭素価格導入により建材調達コスト増 |
炭素価格が導入されないため、CO2排出抑制に起因する建材の価格上昇無 |
炭素価格が導入されないため、建材調達コストは変動せず |
|
洪水・高潮被害 [再エネ売電収入減] |
短 |
2030年まで気温上昇が継続し、現在よりも災害頻度が上昇 |
災害発生により太陽光発電設備が損壊、稼働停止により売電収入減 |
2030年時点では顕著な気温差ではないものの、2℃シナリオと比較してさらに災害の頻度、程度が上昇 |
災害発生により太陽光発電設備が損壊、稼働停止により売電収入減 |
|
風水害 [再エネ売電収入減] |
短 |
降水量、降雨日数が増加し、太陽光発電による発電量が減少、売電収入減 |
降水量、降雨日数が増加し、太陽光発電による発電量が減少、売電収入減 |
||
<重要な機会>
|
|
時間軸 |
2℃シナリオ※1 |
4℃シナリオ※2 |
||
|
想定される社会の変化 |
当社への影響 |
想定される社会の変化 |
当社への影響 |
||
|
資源効率性 [車両燃料費減] |
中 |
CO2排出抑制に向け、乗用車、貨物車等において次世代自動車の普及が進展 |
小型乗用車、貨物車などの次世代自動車への切り替えにより、車両燃料費減 |
次世代自動車の普及が遅れ、現状の小型乗用車への普及程度に留まる |
小型乗用車の次世代自動車への切り替えにとどまり燃料費削減効果は軽微に留まる |
|
エネルギー源 [再エネ関係工事売上増] |
中 |
気候変動対策として再エネ利用の機運が高まり、電源構成における太陽光発電、風力発電等の再エネの割合が上昇する |
太陽光関連工事、風力発電関連工事の売上増 |
電源構成に大きな変化なく、化石燃料への依存が継続する |
太陽光関連発電、風力発電関連工事は現状程度に留まる |
|
エネルギー源 [再エネ売電収入増] |
中 |
再エネ導入需要の高まりに応需すべく太陽光発電施設設置を進めることによる売電収入増 |
再エネ導入需要が変化せず、太陽光発電施設は現状から大きく増加しない |
||
|
エネルギー源/製品・サービス/市場 [ZEB・ZEH・省エネサポート売上増] |
中 |
企業のCO2排出削減に向けた意識が高まり、新築物件の殆どがZEB・ZEH等の基準を満たすものとなる |
省エネサポート業務強化による、ZEB・ZEH関連工事や省エネ改修工事の受注増 |
企業のCO2排出削減に向けた意識が現状から大きく変化せず、ZEB・ZEH化ニーズは現状程度に留まる |
省エネサポート、ZEB・ZEH関連の工事は現状程度に留まる |
|
製品・サービス/レジリエンス [災害対応機会増] |
短 |
気温上昇が継続し、現在よりも災害頻度が上昇する(4℃よりは低) |
BCP強化による災害発生時の迅速な復旧工事の対応、機会増 |
気温上昇が継続し、現在よりも災害の頻度、程度が上昇する |
BCP強化による災害発生時の迅速な復旧工事の対応、機会大幅増 |
※1 国際エネルギー機関(IEA):SDS(Sustainable Development Scenario)などを参照
※2 気候変動に関する政府間パネル(IPCC):RCP8.5などを参照
<営業利益への影響評価>
気候関連のリスクと機会が与える財務的影響の評価から、2℃シナリオでは、特に再エネ関係工事及び再エネ売電の利益増加額が大きいため、2030年度の当社の営業利益が増加する結果となった。一方、4℃シナリオでは、当社の営業利益が減少する結果となった。
このシナリオ分析の結果を当社の経営戦略に統合し、特定した機会の拡大及びリスクの低減に向けた取り組みを推進することにより、営業利益の最大化を目指す。
<対応策>
気候関連のリスクと機会への主な対応策としては、以下の取り組みを進める。
① 車両更新時に対象車両は全て電動化する。(電動化に適さない工事用特殊車両等は除く。)
② 事業場の建替等をする際は、太陽光発電設備の設置(創エネ)を前提に検討し、さらに条件が整う場合は、ZEB認証を取得することを目指す。
人的資本に関しては、下記方針を基本的な考え方として社会から必要とされる技術者集団の形成を目指している。
[トーエネックグループ人材戦略方針]
|
当社の原動力であり、成長の源泉は人材です。社会に安心とやさしい環境をお届けするために、人材の投資を更に拡充し、人材の質と量の充実を図っていきます。 また、多様な人材が、健康で安全にいきいきと働けるよう従業員エンゲージメントを高める施策を積極的に推進していきます。 こうした取り組みを通して、当社で働く一人ひとりが仕事に誇りと喜びを感じ、社会から必要とされる技術者集団でありたいと考えます。 |
<トーエネックグループ人材戦略方針における基本姿勢>
①採用
当社が力強く成長し続けていくためには、既存事業の強化及び将来の成長基盤を築くことが必要であり、その実現に向けては、優秀な人材を採用することが不可欠である。そのため、新卒者だけではなく、即戦力となる経験者、そして国籍、性別、障がい、価値観などに関係なく多様な人材の採用を推進していく。
②育成
当社の人材育成は、従業員の働きがいの向上と会社の持続的な成長を目的に進めている。人材育成を進めることで、個人の成長が会社の成長となり、それが好循環を生み出していく。人材育成方針の下、従業員一人ひとりが自ら成長する意欲を持ち、知識や技術力そして人間力を高めていくよう人材育成に取り組んでいく。
③働きがい・働きやすさ
当社の最も大切なものは従業員である。当社が持続的な成長を果たすためには、従業員一人ひとりが、いきいきと働きがいを感じながら仕事に従事することが必要である。従業員と会社がお互いを理解・信頼できる良い関係性であるよう、これからも従業員のエンゲージメント向上に取り組んでいく。
なお、基本姿勢に基づく主な取り組みについては、当社ホームページにて開示している。(https://www.toenec.co.jp/)
<社内環境整備>
①安全及び健康に関する方針
当社は、安全健康方針を以下のとおり策定している。
|
[安全健康方針] 共に働く仲間がいきいきと、充実した生活を送ることができるように、安全と健康の確保を経営の最重要事項に位置付け、「労働災害の根絶・心とからだの健康保持増進・働きやすい職場環境づくり」に取り組みます。 この安全健康方針に沿って、持続的な安全健康活動を展開していきます。また、そのために必要な経営資源を投入します。
[安全健康行動基準] 全ての役員・従業員は、「自分のため、家族のため、共に働く仲間のため」に次のとおり行動します。また、その行動を互いに尊重し、対話と協調により安全と健康への意識を高めます。 1.安全と健康を最優先します。 ▶ 業務を進めるにあたり様々な条件や制約等がある中でも、常に、働く人の安全と健康の確保を最優先に考え判断・行動します。 2.ルールを理解し、必ず守ります。 ▶ 法令、規程、マニュアル等、安全や健康に関わる様々なルールと、それを実践する技術・技能の習得に努めます。その上で、必ずルールに基づいて行動します。 3.安全と健康の確保に向け、自ら考え、行動します。 ▶ 安全と健康は「自らの行動でつくり上げるもの」であることを意識し、継続的な活動を自ら進んで実践します。 4.仲間の不安全行動や不調のサインを見逃しません。 ▶ 仲間の行動や様子に関心を持ち、不安全行動は即座に正し、協力会社の方々を含め地位や立場を超えて発言・行動します。また、心身の不調のサインを見逃さず、早期に対応します。 5.リスクの洗い出しを行い、災害の未然防止を図ります。 ▶ 災害に繋がるあらゆるリスクを洗い出し、回避もしくは低減する方法を検討して、確実に実践します。 6.問題の原因を追究し、対策を充実させます。 ▶ 災害や失敗を繰り返さないために、真の原因を明らかにして、人・モノ・仕組み等あらゆる側面から効果的な対策を講じます。 |
②多様な人材活躍推進に関する方針
ア 目的
『多様な人材』がいきいきと活躍できる魅力ある企業を創造する。
イ 目標
(ア)いきいきと働ける企業風土の醸成
それぞれの能力と価値観を認め合い、支え合う企業風土を醸成
(イ)ワーク・ライフ・バランスの推進
育児、介護、地域活動など仕事以外の責任と要望を果たし得る労働条件を再整備
(ウ)「多様さ」の活用による競争力の向上
性別、年齢などに関わらず、誰もが能力を最大限発揮できる職場環境を整備し、競争力を向上
ウ 目指すべき姿
多様性は人的資本の確保や価値向上において重要な要素であることから、2027年度に向けた目指すべき姿や目標をまとめた『ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン2027(DE&I 2027)』を策定している。
多様な人材活躍推進のための実施方針に基づき、多様性の確保・浸透のみならず、 それらを更に発展させ『多様性を受け入れ、認め合い、共に活躍・成長できる職場環境づくり(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)』に向け、着実に取り組んでいく。
エ 考え方・具体的な取り組み及び指標
(ア)女性活躍
多様さの活用による競争力向上を掲げ、性別、年齢等に関わらず、誰もが能力を最大限発揮できるよう環境整備を進めている。意思決定に関わる女性社員を増やすための、キャリア意欲醸成に向けた活動や、働き続けるための環境整備を整えて、女性管理職数の目標値を設定し、性別問わず個々の個性と能力を十分に発揮できる活力ある組織を目指す。
(2022年度)あいち女性輝きカンパニー表彰企業優秀賞
(イ)ワーク・ライフ・バランス
従業員が仕事と自分の時間のバランスを取り、充実した日々を過ごせる会社を目指し、「自分の時間を大切にできる会社」として全社一体となって働き方改革に取り組んでいる。また、男性育休取得率や介護離職者数の目標を設定し、育児・治療・介護と仕事の両立支援の制度導入や支援ツールの充実と意識啓発による職場風土づくりを行っている。
(2022年度)名古屋市子育て表彰企業優秀賞
(ウ)障がい者雇用
誰もが多様な個性や、特性を理解し合い、共に助け合い、工夫して、人に優しい職場風土を目指し、定着と能力発揮に向けた本人・サポート者支援の継続や研修の実施、就労農園の活用により雇用拡大と障がい者理解への意識醸成に取り組んでいる。
また、障害者技能競技大会出場機会の提供支援により、毎年県大会への出場者があり、全国大会を目指している。
(3)リスク管理
当社グループは、重大な影響を与えるESGに関するリスクについて、経営企画部署及び各部門が、経営計画の策定及び重要な意思決定にあたり、毎年定期的かつ必要に応じて把握・評価し、経営執行会議において審議を受けるとともにこれを管理することとしている。また、毎年定期的かつ必要に応じて、取締役会において審議・報告することとしている。
気候変動に関しては、TCFD提言に基づく気候関連のリスクと機会の特定と評価の結果を環境対策推進会議で審議するとともに、特定したリスクと機会に関する対応策の進捗状況の確認を行う。また、「ゼロエミッションへの達成目標」を設定し、排出量をモニタリングしている。
なお、環境対策推進会議にて、影響が大きいと評価された気候関連リスクは、経営企画部が事務局を務めるグループ全体のリスク管理とも連携している。グループ全体のリスク管理において決定された気候関連のリスク対策は、必要に応じ、環境対策推進会議へ共有される。
人的資本に関しては、要員数や技術力が不足することにより事業計画や各部署の業務執行に支障を来たす恐れがあることから、中長期の要員計画及び教育計画を立案し、経営執行会議において審議を受けるとともに、取締役会において審議・報告することとしている。
(4)指標及び目標
当社は、ESGに関する指標及び目標を定め、ESGの取り組みを推進している。
気候変動に関しては、「ゼロエミッションの達成目標」を定め、目標達成に向けた取り組みを進めるとともに、総合設備企業としての強みを活かし、脱炭素社会の実現に貢献していく。
<当社のゼロエミッションの達成目標>
|
[2030年] ■ 売上高あたりのCO2排出量を2013年度比で46%以上削減します *上記目標達成に向けた具体的な取り組み内容* ・車両更新時に対象車両は全て電動化します(電動化に適さない工事用特殊車両等は除く) ・事業場の建替等をする際は、太陽光発電設備の設置(創エネ)を前提に検討し、さらに条件が整う場合は、ZEB認証を取得することを目指します [2050年] ■ CO2排出量ネットゼロを実現します |
<CO2削減目標と実績>
[単位:t-CO2]
|
対象 |
基準年排出量 |
排出量実績 |
目標年排出量 |
|
2013年度 |
2022年度 |
2030年度 |
|
|
原単位※1 |
874 |
596(△32%) |
471(△46%) |
|
Scope1+2 |
|
|
- |
|
(Scope1※2) |
|
|
- |
|
(Scope2※3) |
|
|
- |
|
Scope3※4 |
|
|
- |
※1 (Scope1+2[t-CO2])/(売上高[百万円])×10,000
※2 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(車両燃料等)
2022年度はトーエネック・トーエネックサービス・旭シンクロテック3社の合計(Scope2、3も同様)
※3 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
※4 Scope1、2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出等)
人的資本に関しては、人材戦略に関する指標及び目標を定め取り組みを推進している。
<定期採用者数(2024年度入社)>
|
職種 |
業務職 |
技術職 |
技能職 |
合計 |
||||||
|
学歴 |
大卒 |
高卒 |
計 |
大卒 |
高卒 |
計 |
大卒 |
高卒 |
計 |
|
|
男性 |
13人 |
0人 |
13人 |
62人 |
39人 |
101人 |
― |
87人 |
87人 |
201人 |
|
女性 |
16人 |
2人 |
18人 |
5人 |
0人 |
5人 |
― |
― |
― |
23人 |
|
計 |
29人 |
2人 |
31人 |
67人 |
39人 |
106人 |
― |
87人 |
87人 |
224人 |
※大卒には短大、高専、専門学校を含む
<
|
実績及び目標値 |
実績 |
目標値 |
|||
|
入社年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
|
割合 (人数) |
13.4% (15人) |
10.7% (15人) |
(17人) |
|
|
|
|
業務職 |
50.0% (9人) |
83.3% (10人) |
66.7% (8人) |
|
|
|
技術職 |
6.4% (6人) |
3.9% (5人) |
7.3% (9人) |
|
<経験者採用者>
|
入社年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
|
14.1%(25人) |
10.1%(22人) |
|
|
|
|
6.3%(272人) |
6.2%(268名) |
|
|
|
非正規から 正規雇用への転換者数 |
男性 |
14人 |
13人 |
12人 |
|
女性 |
2人 |
1人 |
5人 |
|
<
|
入社年度 |
2021年度 (3年目) |
2022年度 (2年目) |
2023年度 (1年目) |
|
採用者数 |
160人 |
192人 |
195人 |
|
離職者数 |
33人 |
15人 |
8人 |
|
離職率 |
20.6% |
7.8% |
|
<障がい者雇用率>
|
実績及び目標値 |
実績 |
目標値 |
||
|
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
|
2.7% |
2.8% |
|
|
<知識・技術力の向上に向けた集合教育>
|
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
コース数 |
127コース |
124コース |
131コース |
|
研修日数合計 |
1,182日 |
1,273日 |
1,149日 |
|
延べ受講人数 |
3,957人 |
3,943人 |
4,051人 |
<管理職への登用(女性社員、経験者採用者)>
|
実績及び目標値 |
実績 |
目標値 |
||
|
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
|
2.2% (16人) |
2.3% (18人) |
(21人) |
(31人以上) |
|
|
9.1% (70人) |
9.1% (67人) |
(75人) |
|
<育児休業及び育児目的休暇の取得率>
|
実績及び目標値 |
実績 |
目標値 |
||
|
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2027年度 |
|
男性 |
71.8% |
88.6% |
88.9% |
100% |
|
女性 |
100% |
88.9% |
125% |
|
<
|
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
全体 |
12.6日 |
13.9日 |
|
|
|
|
業務職 |
12.7日 |
14.9日 |
15.3日 |
|
|
技術職 |
11.0日 |
11.9日 |
13.0日 |
|
|
技能職 |
15.6日 |
16.7日 |
17.9日 |
<
|
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
全体 |
28.5h |
31.2h |
|
|
|
|
業務職 |
15.4h |
15.4h |
15.6h |
|
|
技術職 |
35.4h |
39.7h |
33.3h |
|
|
技能職 |
21.4h |
23.5h |
20.8h |
<
|
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
全体 |
18.0年 |
18.1年 |
|
|
|
|
男性 |
17.9年 |
17.8年 |
18.1年 |
|
|
女性 |
22.1年 |
22.2年 |
22.1年 |
<肥満率及び喫煙率>
|
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
30.6% |
30.9% |
|
|
|
29.0% |
28.1% |
|
<ストレスチェック実施状況>
|
年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
受検率 |
99.7% |
99.8% |
99.8% |
|
総合健康リスク※ |
85 |
84 |
85 |
|
高ストレス者率 |
8.9% |
10.5% |
9.9% |
※職場環境が従業員の健康にどの程度影響があるのかを数値化したもの。
全国平均を100とし、数値が高いほどリスクが高い状態と考えられる。
(注)「指標及び目標」については、連結グループに属するすべての会社において同等の取り組みが行われているものではないため、当社単体での記載としている。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがある。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の的確な対応に努める所存である。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)電力会社向け売上高に関するリスク
当社は、中部電力㈱の子会社である。親会社並びにその分割子会社である中部電力パワーグリッド㈱及び中部電力ミライズ㈱より配電設備の新増設工事や、その他修繕工事等を受注・施工しており、当社の売上高の3分の1程度を占めている。今後、上記3社の事業環境変化に伴う電力設備投資抑制等による工事量変動が見込まれるため、生産性向上などコスト競争力の強化に努めている。
しかしながら、想定を上回る電力設備投資の抑制及び市場価格等の下落による上記3社との取引価格の低下があった場合には、売上高や利益が低下する恐れがあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(2)一般得意先向け売上高に関するリスク
一般得意先向けの売上高は、全体の約6割を占めており、建設市場や一般得意先の設備投資などの景気動向に左右される。設備投資抑制による受注高減少や低価格競争に対応するため、新規市場・新規顧客の開拓など受注拡大のための施策を展開している。
しかしながら、想定を上回る景気の悪化により設備投資の大幅な抑制があった場合には、売上高や利益が低下する恐れがあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(3)完成工事原価の変動に関するリスク
当社グループの工事原価は、主に材料費、労務費、外注費、経費からなり、受注前原価検討による原価低減や資材の廉価購買などに努めている。
しかしながら、想定を上回る工事原価の変動があった場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(4)重大な不良工事に関するリスク
当社グループは、安全かつ高品質な施工をお客さまへ提供するために、施工に関するマニュアルや手引の整備、技術教育、現場パトロールの実施など、品質管理の徹底に努めている。
しかしながら、工事施工に関し、品質上重大な不具合や事故が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(5)保有資産に関するリスク
当社グループは、事業活動上の必要性から事業用不動産、有価証券等の資産を保有している。事業用不動産に関しては、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるか検証している。また、有価証券等の資産は、その必要性や保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか検証し、適切でない、又は見合っていない場合は売却を行うこととしている。
しかしながら、事業用不動産の収益性が著しく低下した場合や有価証券等の時価が著しく下落した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(6)取引先の信用に関するリスク
当社グループは、取引先と契約を締結したうえで契約条項に基づき工事を施工し、工事代金を受領している。契約の際には、取引先の与信管理を行い不良債権の発生防止に努めている。
しかしながら、取引先が倒産し、大型不良債権が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(7)取引先との価格交渉・価格転嫁に関するリスク
当社グループでは、「トーエネックグループ調達基本方針」を策定し、コミュニケーション推進月間を設定するなど、取引先との信頼関係強化に努めている。
しかしながら、取引先との価格交渉・価格転嫁が適切でないことにより当社の社会的信用が低下した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(8)太陽光発電事業に関するリスク
当該事業は、通常その事業期間が長期にわたることから、十分な調査及び想定されるリスクの回避・低減の検討を行ったうえでプロジェクトを選定している。
しかしながら、事業環境に著しい変化が生じた場合や業務遂行上重大な災害・事故等が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。また、事業について自治体や地域住民への説明が十分でない場合は、レピュテーションが低下する可能性がある。
(9)海外事業に関するリスク
当社では、「海外関係会社運営の指針」を策定するとともに、運営・営業及び施工等に関して担当部署による定期的なチェックを実施することにより運営管理の強化に努めている。
しかしながら、当該国の経済情勢の変化があった場合や不適切な運営管理がなされた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(10)退職給付債務に関するリスク
当社の退職年金資産の運用にあたっては、中長期的な投資環境を見通し、適正な資産運用ができるよう年金資産運用検討委員会において検討している。
退職年金資産の運用結果が前提条件と異なる場合、その数理計算上の差異は、発生年度以降の一定の期間で費用処理することとしている。
しかしながら、退職年金資産の運用利回りの悪化や割引率の低下により、掛金や退職給付費用が大幅に増加した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(11)コンプライアンス(法令遵守)等に関するリスク
当社グループは、関係法令(建設業法・独占禁止法・労働安全衛生法等)、社内規程類及び社会規範を遵守するため、「コンプライアンス宣言」に基本方針と行動基準を定めるとともに、従業員教育などに取り組んでいる。
しかしながら、関係法令の違反や制定・改廃等への対応遅れによる処分等を受けた場合、また、社会規範に反する事象が発生したこと等により社会的信用が低下した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(12)情報流出に関するリスク
当社グループでは、個人情報などの重要情報を適切に管理するため、関係法令に則り、社内体制及び情報の取り扱いに関するルールを策定するとともに、情報システムのセキュリティ強化や従業員教育などに取り組んでいる。
しかしながら、情報が外部に流出し、当社グループの社会的信用が低下した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(13)人的資本に関するリスク
当社グループでは、「トーエネックグループ人材戦略方針」を策定し、成長の源泉である人材の質・量を高めるため、積極的な採用活動の展開や人材育成の強化、エンゲージメント向上、ダイバーシティの推進に努めるとともに、協力会社を含めた施工体制の維持・強化に取り組んでいる。
しかしながら、採用数の減少・離職者の増加により施工体制の構築が困難になった場合やベテラン技術者の退職により技術継承が困難になった場合には、売上高や利益が低下する恐れがあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(14)自然災害等の発生に関するリスク
当社グループは、大規模自然災害や戦争・クーデター・テロ等有事の発生、感染症の世界的流行等による業務中断リスクを抑えるため、事業継続計画などを定めている。
しかしながら、大規模自然災害や戦争・クーデター・テロ等有事の発生、感染症の世界的流行等により、人的・物的被害の発生や物流網の寸断による資材調達の停滞、人員不足による工事の中断・遅延や世界的景気の悪化などによる受注高・利益の低下の事態が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
(15)気候変動に関するリスク
当社グループでは、「トーエネックグループ環境基本方針」を策定し、環境保全に積極的に取り組むとともに、脱炭素社会の実現に向けて地球温暖化防止を推進し、事業活動を通じて脱炭素化を目指し取り組みを進めている。また、当社グループは2022年4月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動による事業への影響を想定し、リスクマネジメントを強化するとともに、対策と事業戦略を一体化していくための取り組みを開始している。
しかしながら、当社グループにおいて脱炭素社会に向けた取り組みの遅延により、環境経営を推進する得意先からの受注が大幅に減少した場合や、各種規制、炭素価格の導入等がなされ、資材調達コストが大幅に上昇した場合、また、異常気象に伴い生産性が低下した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりである。
また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)経営成績
当期におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、回復の動きが続いた。建設業界においても、公共投資は底堅い動きで推移し、民間設備投資も堅調な企業収益等を背景に高い水準で推移した。一方で原材料価格の高騰や供給面での制約などの影響が懸念される状況にあった。
当社グループは、中期経営計画2027(2023年度~2027年度)をスタートさせた。新たな中期経営計画では、カーボンニュートラル社会への移行、デジタル技術の発展、少子高齢化の進行といった事業環境の変化を踏まえたうえで、お客さまや社会と共に成長し続けていくために取り組むべき施策を4つの基本方針(①成長分野への挑戦、②既存事業の深化、③人材投資の更なる拡充、④経営基盤の強化)にまとめている。
そして、基本方針を力強く推進するための3つの重要なテーマ(カーボンニュートラルへの取り組み、デジタル化・DXの推進、人材の確保・活躍推進)を成長ドライバーに位置付けている。
これらにより、当期は将来を見据えたエリア戦略の展開、グループ一体でのバリューチェーンの強化、柔軟な施工体制の構築、積極的な技術者の採用、人材育成の強化、働き方改革及びかいぜん活動の推進等の諸施策を進めてきた。
また、企業の存続にはお客さまや社会との信頼関係が不可欠であることから、安全・品質の確保やコンプライアンスの推進、ガバナンスの強化等にも継続的に取り組んできた。
この結果、当期の業績は、屋内線工事や空調管工事において期首からの手持工事が順調に進捗したことなどにより、大幅な増収増益となった。
|
〔連結業績〕 |
売上高 |
252,863 |
百万円 |
(対前期比 9.0%増) |
|
|
営業利益 |
15,910 |
百万円 |
(対前期比 54.7%増) |
|
|
経常利益 |
12,679 |
百万円 |
(対前期比 41.1%増) |
|
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
9,345 |
百万円 |
(前期は親会社株主に帰属する |
|
|
|
|
|
当期純損失5,548百万円) |
|
|
|
|
|
|
|
〔個別業績〕 |
売上高 |
224,658 |
百万円 |
(対前期比 8.2%増) |
|
|
営業利益 |
13,477 |
百万円 |
(対前期比 61.0%増) |
|
|
経常利益 |
13,360 |
百万円 |
(対前期比 80.2%増) |
|
|
当期純利益 |
8,681 |
百万円 |
(前期は当期純損失6,502百万円) |
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
〔設備工事業〕
設備工事業は、屋内線工事や空調管工事において期首からの手持工事が順調に進捗したことなどにより、売上高235,462百万円(前期比9.5%増)、セグメント利益(営業利益)17,994百万円(前期比44.0%増)となった。
〔エネルギー事業〕
エネルギー事業は、太陽光発電の出力制御の影響があったものの、一部の事業で採算性が向上したことなどにより、売上高12,901百万円(前期比3.0%増)、セグメント利益(営業利益)3,879百万円(前期比16.3%増)となった。
〔その他〕
その他の事業は、売上高8,879百万円(前期比5.4%増)、セグメント利益(営業利益)496百万円(前期比26.8%増)となった。
(2)財政状態
当社グループの財政状態については、総資産は304,931百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,758百万円の増加となった。これは、流動資産においては現金預金の増加(8,180百万円)、受取手形・完成工事未収入金等の増加(3,993百万円)など、固定資産においては有形固定資産の減少(3,819百万円)、繰延税金資産の減少(2,520百万円)などによるものである。
負債は173,790百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,187百万円の減少となった。これは、流動負債においては短期借入金の増加(3,000百万円)、未払法人税等の増加(3,287百万円)など、固定負債においてはリース債務の減少(6,125百万円)、退職給付に係る負債の減少(7,817百万円)などによるものである。
純資産は131,140百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,946百万円の増加となった。これは、利益剰余金の増加(7,288百万円)、その他有価証券評価差額金の増加(1,564百万円)、退職給付に係る調整累計額の増加(4,719百万円)などによるものである。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度と比較して7,417百万円増加し、38,018百万円となった。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(14,985百万円)、減価償却費(10,148百万円)、売上債権の増加(3,803百万円)などにより、19,118百万円の資金増加(前連結会計年度は12,640百万円の資金増加)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入(3,029百万円)、有形固定資産の取得による支出(3,310百万円)などにより、2,060百万円の資金減少(前連結会計年度は2,119百万円の資金減少)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加(3,000百万円)、リース債務の返済による支出(7,814百万円)などにより、9,903百万円の資金減少(前連結会計年度は8,358百万円の資金減少)となった。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりである。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、設備工事業における材料費、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用である。また、投資を目的とした資金需要のうち主なものは、当社新本店ビルの建替え、設備工事業における当社事業場の新築によるものである。
運転資金は、主として営業活動によって得られた自己資金を充当し、必要に応じて金融機関からの借入れにより資金調達を実施している。長期資金は、営業活動によって得られた自己資金を充当するほか、金融機関からの借入れ、社債発行及びファイナンス・リース等による資金調達を実施しており、多様な調達手段の確保及び返済期日の分散化に努めている。なお、当連結会計年度末における有利子負債は、93,017百万円となっている。
営業活動によって得られた資金は、上記のとおり、運転資金や長期資金に充当するほか、「第4[提出会社の状況]3[配当政策]」に記載のとおり、連結配当性向30%以上の業績に応じた利益還元を行うこととしている。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針については、「第5[経理の状況] (1)[連結財務諸表] [注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであるが、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える重要な見積りは次のとおりである。
① 完成工事高及び完成工事原価の計上
当社グループは、設備工事業における工事契約において、一定の期間にわたり充足される履行義務については、期間がごく短い工事契約を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積もり、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識している。なお、進捗度の見積りは、実施した工事に関して発生した工事原価が、完成までに予想される工事原価総額に占める割合(インプット法)を使用している。決算日における履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、施工部署が作成した実行予算を基礎としており、発注者又は外注業者等との間で行われた協議の結果に関する情報を主要な仮定として織り込んでいるが、経済状況による材料費・外注費の変動や設計変更などに伴いその見積りが変更された場合には、当該連結会計年度においてその影響額を損益として処理することとなる。
② 工事損失引当金
当社グループは、将来の工事損失の発生に備えるため、工事損失が確実視される場合に、当連結会計年度末において合理的に見積もることができる工事損失見込額を工事損失引当金として計上している。工事損失引当金の計上にあたっては、期末時点で入手可能な情報に基づき最善の見積りを行っているが、工事の進捗遅延による経費の増加、想定外の労務費や資材価格の高騰などにより、追加損失が発生する可能性がある。
③ 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の収益性の低下により、固定資産の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上している。
固定資産の回収可能価額について、期末時点で入手可能な情報に基づき最善の見積りを行っているが、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や将来キャッシュ・フローなどの前提条件に変化があった場合、固定資産の減損を実施する可能性がある。
④ 退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定されており、これらの前提条件には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率等が含まれている。当社グループは、この数理計算上で設定された前提条件は適切であると考えているが、実績との差異又は前提条件自体の変更により、退職給付債務及び退職給付費用に影響を与える可能性がある。
⑤ 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を貸倒引当金として計上している。貸倒引当金の計上にあたっては、期末時点で入手可能な情報に基づき最善の見積りを行っているが、債権に影響を与える予測不能な状況の変化などにより、追加引当が必要となる可能性がある。
⑥ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の計上に際して、将来の課税所得の見積りに基づいて回収可能性を検討しており、回収が不確実と考えられる部分については、評価性引当額として繰延税金資産を計上していない。繰延税金資産の回収可能性の検討にあたっては、期末時点で入手可能な情報に基づき最善の見積りを行っているが、経済環境の変化や収益性の低下などにより将来の課税所得が見込みを下回る場合、繰延税金資産を減額する可能性がある。
(5)受注及び売上の状況
受注及び売上の状況は、次のとおりである。
① 受注実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2022年 4月 1日 至 2023年 3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 2023年 4月 1日 至 2024年 3月31日) (百万円) |
|
|
設備工事業 |
258,971 |
226,894 |
(12.4%減) |
|
エネルギー事業 |
- |
- |
|
|
その他 |
- |
- |
|
|
合計 |
258,971 |
226,894 |
(12.4%減) |
② 売上実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2022年 4月 1日 至 2023年 3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 2023年 4月 1日 至 2024年 3月31日) (百万円) |
|
|
設備工事業 |
214,981 |
235,447 |
(9.5%増) |
|
エネルギー事業 |
12,522 |
12,901 |
(3.0%増) |
|
その他 |
4,549 |
4,514 |
(0.8%減) |
|
合計 |
232,053 |
252,863 |
(9.0%増) |
(注)1 当社グループ(当社及び連結子会社)では設備工事業以外は受注生産を行っていない。
2 当社グループ(当社及び連結子会社)では生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先の売上高及びその割合
|
期別 |
相手先 |
売上高(百万円) |
割合(%) |
|
前連結会計年度 |
中部電力グループ(※) |
75,076 |
32.4 |
|
当連結会計年度 |
中部電力グループ(※) |
77,790 |
30.8 |
※ 中部電力グループ:中部電力㈱、中部電力パワーグリッド㈱、中部電力ミライズ㈱
4 上記の金額は、セグメント間の取引について相殺消去後の数値である。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
|
期別 |
区分 |
前期繰越 工事高 (百万円) |
当期受注 工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成 工事高 (百万円) |
次期繰越 工事高 (百万円) |
|
前事業年度 (自 2022年 4月 1日 至 2023年 3月31日) |
配電線工事 |
5,758 |
73,042 |
78,801 |
73,500 |
5,300 |
|
地中線工事 |
5,841 |
10,984 |
16,825 |
8,934 |
7,890 |
|
|
屋内線工事 |
51,469 |
100,512 |
151,982 |
70,067 |
81,915 |
|
|
空調管工事 |
16,663 |
27,917 |
44,580 |
18,609 |
25,970 |
|
|
通信工事 |
13,229 |
19,377 |
32,606 |
19,781 |
12,825 |
|
|
計 |
92,961 |
231,835 |
324,796 |
190,894 |
133,902 |
|
|
当事業年度 (自 2023年 4月 1日 至 2024年 3月31日) |
配電線工事 |
5,300 |
73,705 |
79,006 |
73,449 |
5,556 |
|
地中線工事 |
7,890 |
11,565 |
19,456 |
9,025 |
10,431 |
|
|
屋内線工事 |
81,915 |
85,541 |
167,456 |
82,696 |
84,760 |
|
|
空調管工事 |
25,970 |
17,732 |
43,703 |
22,720 |
20,982 |
|
|
通信工事 |
12,825 |
16,378 |
29,203 |
19,681 |
9,521 |
|
|
計 |
133,902 |
204,923 |
338,826 |
207,573 |
131,252 |
(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
② 受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命、競争及び中部電力パワーグリッド㈱との配電関係工事請負契約に大別される。
|
期別 |
区分 |
特命 (%) |
競争 (%) |
請負契約 (%) |
計 (%) |
|
前事業年度 (自 2022年 4月 1日 至 2023年 3月31日) |
配電線工事 |
9.8 |
0.1 |
90.1 |
100 |
|
地中線工事 |
52.2 |
47.8 |
- |
100 |
|
|
屋内線工事 |
25.0 |
75.0 |
- |
100 |
|
|
空調管工事 |
43.6 |
56.4 |
- |
100 |
|
|
通信工事 |
90.7 |
9.3 |
- |
100 |
|
|
当事業年度 (自 2023年 4月 1日 至 2024年 3月31日) |
配電線工事 |
7.4 |
0.0 |
92.6 |
100 |
|
地中線工事 |
59.9 |
40.1 |
- |
100 |
|
|
屋内線工事 |
28.1 |
71.9 |
- |
100 |
|
|
空調管工事 |
32.9 |
67.1 |
- |
100 |
|
|
通信工事 |
77.4 |
22.6 |
- |
100 |
(注) 百分比は請負金額比である。
③ 完成工事高
|
期別 |
区分 |
中部電力 グループ (※) (百万円) |
官公庁 (百万円) |
一般民間会社 (百万円) |
合計 (百万円) |
|
前事業年度 (自 2022年 4月 1日 至 2023年 3月31日) |
配電線工事 |
66,153 |
52 |
7,294 |
73,500 |
|
地中線工事 |
4,072 |
42 |
4,819 |
8,934 |
|
|
屋内線工事 |
596 |
2,437 |
67,032 |
70,067 |
|
|
空調管工事 |
2,109 |
843 |
15,656 |
18,609 |
|
|
通信工事 |
87 |
127 |
19,566 |
19,781 |
|
|
計 |
73,020 |
3,503 |
114,370 |
190,894 |
|
|
当事業年度 (自 2023年 4月 1日 至 2024年 3月31日) |
配電線工事 |
68,371 |
29 |
5,048 |
73,449 |
|
地中線工事 |
4,458 |
14 |
4,552 |
9,025 |
|
|
屋内線工事 |
662 |
1,585 |
80,448 |
82,696 |
|
|
空調管工事 |
2,143 |
69 |
20,507 |
22,720 |
|
|
通信工事 |
22 |
366 |
19,293 |
19,681 |
|
|
計 |
75,658 |
2,064 |
129,850 |
207,573 |
※ 中部電力グループ:中部電力㈱、中部電力パワーグリッド㈱、中部電力ミライズ㈱
(注)1 前事業年度の完成工事のうち主なもの
|
カンボジア電力公社 |
プノンペン首都圏送配電網拡張整備事業 |
|
㈱竹中工務店 |
三井不動産ららぽーと門真 |
|
㈱熊谷組 |
日本電産㈱向日町プロジェクトC棟建築工事 |
|
法務省 |
小倉拘置支所庁舎等新営(電気設備)工事 |
|
㈱竹中工務店 |
名古屋市国際展示場新第1展示館 |
当事業年度の完成工事のうち主なもの
|
大和ハウス工業㈱ |
IAI庵原新工場新築工事 |
|
大成建設㈱ |
春日・後楽園駅前地区再開発(南街区)SA棟・SC棟 |
|
清水建設㈱ |
(仮称)TTMプロジェクト |
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新生テクノス㈱ |
新幹線地中送電線(綱島・大崎線)取替 |
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中部電力パワーグリッド㈱ |
岐阜ビル空調設備改良工事 |
2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先の完成工事高、兼業事業売上高及びその割合
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期別 |
相手先 |
完成工事高 |
兼業事業売上高 |
合計 |
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(百万円) |
(%) |
(百万円) |
(%) |
(百万円) |
(%) |
||
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前事業年度 |
中部電力グループ(※) |
73,020 |
35.2 |
2,018 |
0.9 |
75,039 |
36.1 |
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当事業年度 |
中部電力グループ(※) |
75,658 |
33.7 |
2,078 |
0.9 |
77,737 |
34.6 |
※ 中部電力グループ:中部電力㈱、中部電力パワーグリッド㈱、中部電力ミライズ㈱
④ 次期繰越工事高(2024年 3月31日現在)
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区分 |
中部電力 グループ(※) (百万円) |
官公庁 (百万円) |
一般民間会社 (百万円) |
合計 (百万円) |
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配電線工事 |
77 |
2 |
5,476 |
5,556 |
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地中線工事 |
2,035 |
6 |
8,388 |
10,431 |
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屋内線工事 |
586 |
1,481 |
82,692 |
84,760 |
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空調管工事 |
1,398 |
2 |
19,581 |
20,982 |
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通信工事 |
- |
1,486 |
8,035 |
9,521 |
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計 |
4,098 |
2,980 |
124,173 |
131,252 |
※ 中部電力グループ:中部電力㈱、中部電力パワーグリッド㈱、中部電力ミライズ㈱
(注) 次期繰越工事のうち主なもの
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合同会社FSPS八風 |
FSPS佐久市八風太陽光発電所建設工事 |
2025年 9月完成予定 |
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㈱大林組 |
崇教眞光本山電気設備工事(総本山・別棟) |
2024年10月完成予定 |
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NECファシリティーズ㈱ |
セル6・UTY棟 受変電設備設置工事 |
2024年 5月完成 |
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新光電気工業㈱ |
千曲工場新築に伴う電気設備工事 |
2024年 4月完成 |
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鉄建建設㈱ |
ミャンマー鉄道整備事業 フェーズⅠ CP102 |
2024年 7月完成予定 |
兼業事業における売上高の状況
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区分 |
前事業年度 (自 2022年 4月 1日 至 2023年 3月31日) (百万円) |
当事業年度 (自 2023年 4月 1日 至 2024年 3月31日) (百万円) |
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エネルギー事業 |
12,522 |
12,901 |
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商品販売 |
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|
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電線類 |
1,160 |
1,049 |
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その他工事用材料 |
3,013 |
3,105 |
|
その他 |
27 |
27 |
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商品販売計 |
4,202 |
4,183 |
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計 |
16,724 |
17,084 |
(注) 当事業年度における商品販売先は同業者78.9%、その他21.1%となっている。
該当事項なし。
当社グループにおける研究開発活動は、提出会社においてのみ行っており、連結子会社においては行っていない。
当社は、「独自技術の展開」という経営理念に基づき、付加価値の創出に資する技術研究開発、及び効率化に資する技術研究開発を基本方針とし、カーボンニュートラル社会の実現、新規事業の創出、技術力の向上を目的とした研究開発に取り組んでいるほか、設計・施工・保守等の業務効率化、安全性の向上、施工品質の向上を目的とした研究開発を推進している。
当連結会計年度における研究開発費は、
〔設備工事業〕
技術研究開発部における主な研究開発
(1)パッケージ版ToEMSの開発
当社とお客さまとのつながりを継続的に強固なものとするため、当社が独自開発したエネルギーマネジメントシステムであるToEMS(Toenec Energy Management System;トエムス)を活用し、お客さま設備の運用におけるCO2排出抑制、省エネルギー、運転コスト低減、管理省力化などへの貢献を目指す。そこで、今後のお客さまからのToEMSへの多様な要望に対し、システムの設計、積算、構築、試験・調整を効率化するため、ToEMSの複数の機能をそれぞれ標準化し、これらを組み合わせてシステムを構築できるパッケージ版ToEMSを開発した。
(2)設計・施工部門の省力化ツールの開発
働き方改革の推進の一環として、設計・施工業務の省力化が可能な各種ツール開発に取り組んでいる。設計業務では、これまでにBIM(Building Information Modeling)情報を活用した電灯設備の負荷容量集計表、幹線計算書などの自動作成ソフトウェアを開発しており、2023年度には新たに動力設備用のソフトウェアを開発した。施工業務では、現場で扱う資機材の保管場所の管理を容易に行う資機材管理システムを開発した。また、これまでに開発した竣工検査等に用いる帳票作成や耐震強度計算書作成などを支援するソフトウェアの高機能化を実施した。
工事施工部門における主な研究開発
(1)仮送電作業の効率化に関する研究
2020年度に導入した電線被覆を貫通する高圧バイパス用針電極について、導通性能の更なる安定化を目指した仕様検討を行った。電極部が可動するロータリー式針電極を採用することで接続角度の影響を受けることがなくなり、「導通性能の安定性向上」「電線導体部の損傷防止」「取付作業の容易化」を図ることができたため、2024年度から導入する。
(2)架空配電線作業のDXに関する研究
AI解析による圧縮箇所の良否判定を行うアプリ、判定結果の共有化・クラウド保存するための現場ネットワーク(ローカルWi-Fi)及び圧縮作業箇所の実施状況を管理するアプリによる圧縮作業全体管理を検証した結果、圧縮作業結果の共有化及びクラウド保存に問題はなく、実用化できることを確認した。
今後、実現場でのフィールドテストを行い、実現場における運用面の課題の洗い出しを進める。
〔エネルギー事業〕
研究開発活動は特段行っていない。
〔その他〕
研究開発活動は特段行っていない。