第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、2025年(第100期事業年度)を見据え、グループビジョン「yamada toward 2025」を掲げ、企業価値の向上に取り組んでまいりました。

世界経済がパンデミックに巻き込まれたなか、中期経営計画を1年前倒し「Jump2024」とし、コロナ禍から脱出し収益を回復することを優先課題と位置付け目標達成に努めました。

第100期事業年度のスタートにあたり、新たなグループビジョン「For the Next Century with YAMADA PRIDE」を掲げ、中期経営計画を3年ごとの3フェーズに区切り、次の100年を見据えて事業の持続的成長に取り組んでまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは「堅実で公正な企業活動を通じて、お客様のニーズ、社員の喜び、株主の期待、産業と社会の発展に誠実に取り組む」ことを企業理念として掲げております。

新たなグループビジョンのもと、100年の間に培ったYamada Quality をさらに磨き上げ、オートモティブ産業の基盤を支えるとともに、さまざまな産業で活用されるポンプ事業を成長エンジンと位置付け、次の100年も社会に貢献し続けるグローバルカンパニーを目指します。

 

(2) 目標とする経営指標

・企業の持続的な成長や価値向上のためには、持続的な投資が不可欠であるという認識から、投資の原資となる収益を重視し、営業利益率の適切なマネジメントに努めます。

・経営効率を高め、安定した株主還元を継続することを経営上の重要事項と位置付け、株主資本利益率(ROE)の維持・向上に努めます。併せて、株価収益率や配当性向および純資産配当率の維持・向上に努めます。

・施策を実行し目標を達成するためには「人」が重要な経営課題と認識しており、2023年3月に制定した「人財ビジョン」に基づき、人財の育成を促進します。また、製造業の命題である原価低減や生産性向上にも継続的に取り組んでまいります。

 

(3) 経営環境

国内の主要事業であるオートモティブ部門は、自動車のEV化などにより市場や需要が大きく変質していくことが想定されますが、当面は底堅いニーズがあると見ております。将来のニーズを予想、捕捉し変化に対応していくことが重要であると考えております。

海外市場においては、地政学的リスク等の高まりもあり世界経済の動向は不透明感が増しておりますが、当社の主力製品であるダイアフラムポンプに対する多様なニーズや潜在需要を鑑みますと、更なるグローバル展開により持続的な成長を目指すことが可能と考えております。そのためには、地域毎の情勢に応じたきめ細かい事業戦略やグローバルカンパニーとしての組織力や人財力の向上が引き続き重要であると認識しております。

 

(4) 中長期的な経営戦略

・さまざまな産業を支えるポンプ事業を成長領域と位置付け、世界のさまざまな国や地域へ製品を供給できる体制を築き、各地域で求められるQualityを提供していくことで、ダイアフラムポンプでトップブランドを目指します。

・基盤を支えるオートモティブ事業を継続領域と位置付け、モビリティの進化やニーズの変化に適応し、進化に対応した商品やサービスで自動車整備産業に貢献してまいります。

・当社の求める人財像を「変化」「お客様志向」「共創」の3つの価値観に明確化した「人財ビジョン」を制定しておりますが、これを実現し、社員と会社の成長を支えてまいります。

・人にやさしいデジタル活用でビジョンの実現を促進してまいります。

 

(5) 中期経営計画PhaseⅠの基本方針

グループビジョンの実現に向け、中長期的な経営戦略を踏まえて、第100期から三ヶ年の中長期経営計画をPhaseⅠとし、下記の基本方針を定めております。

 

i)  ・ポンプ事業の拡大 ~更なるグローバル展開へ向けて~

   ・オートモティブ事業戦略の再構築

ii)  相模原工場 Next Stageへの進化 ~更なるグローバル展開を支える生産体制へ~

iii) 人財ビジョンの定着 ~次世代組織に引き継ぐ土壌づくり~

iv)  DXへの第一歩 ~アナログからデジタルヘ~

v)  その他の取り組むべき課題

・新型ポンプの市場投入 ~より高性能のポンプを提供~

・構内物流・製商品物流の再構築 ~2024年問題への対応と生産性向上~

・子会社戦略の再構築 ~商品・サービス提供と生産体制の最適化~

・ESG経営の推進

・BCPの推進

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループでは、「行動憲章」、「行動規範」及び「環境方針」において地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引などについて定めております。

なお、「行動憲章」、「行動規範」及び「環境方針」は、当社HPの「CSR情報」(https://yamadacorp.co.jp/csr/)に掲載がございますので、ご参照ください。

また、帰属する地域や社会の持続可能性への視点を常に持ち、国際社会の潮流や対応の動向を捉え、事業環境の変化やリスク及び機会を適切に評価できる体制を構築し、当社グループの事業の継続、持続的な成長を図ってまいります。

 

(1)ガバナンス

 環境、社会、経済におけるリスクが世界規模・地球規模で相互に関連し多様化や複雑化するなかで、適時・適切なリスクマネジメントを行っていくため、従前の事業等のリスクへの対応に限定された統治体制からより広範囲のリスクを統治する体制に拡充し、サステナビリティ管理規程を定め、サステナビリティ委員会を設置しております。

0102010_001.png

サステナビリティ委員会の構成メンバー

委員長:取締役管理本部長

委 員:取締役、社外取締役、執行役員、常勤社外監査役

 

(2)リスク管理

サステナビリティに関するリスクについて、連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)に記載のとおり、当社グループは、海外市場も含めた製商品の販売を行っており、また材料・部品等も海外調達が増加していることから、国際情勢の動向の影響を強く受けやすい経営環境に置かれております。また、当社の主要な事業セグメントの一つであるオートモティブ部門は、環境・気候変動対策の影響を大きく受ける自動車産業を対象としており、これらの事由より、サステナビリティに関する主なリスクを下記のとおり分類しております。

 

① 国際情勢や地政学的な動向に起因するリスク

・当社が事業を展開するマーケットへの影響

当社販売の地域セグメントは「日本」「米国」「オランダ」「中国」「タイ」となっており、連結売上高に占める海外売上は全体の過半数を超える事から、政治・経済等の国際情勢の急激な変化や輸出管理規制等の法務リスクおよびテロ・紛争等による情勢不安などにより、各地域の販売市場の縮小や閉鎖、また、営業活動が著しく制約される可能性をリスクとして認識しております。

・サプライチェーンへの影響

当社グループは、製造に関わる部品・材料を、国内のみならずインド・中国・ベトナム等から調達しており、自然災害、パンデミック、国際紛争、人権問題等による調達先の閉鎖、材料・部品納入の遅延等により、生産工場の稼働率低下や需要に対して供給が出来なくなる事による機会損失が発生する可能性があります。

また、諸外国も含めた調達先の人権問題等が判明し、当社販売先のポリシーに抵触することによる取引制限やサプライチェーンから排除される可能性があります。

 

② 環境・気候変動の動向に起因するリスク

当社の主要な事業セグメントの一つであるオートモティブ部門においては、自動車産業が温室効果ガス排出削減推進の影響を大きく受けることから、EV車の普及によるカーメンテナンス製品需要の変化等、市場が大きく変質する可能性をリスクまたは機会と認識しております。

 

上記のサステナビリティに関するリスクについて、サステナビリティ委員会にて定期または随時にリスクと機会の評価を行うとともに必要な対策や戦略を検討し、重要な事項については取締役会に諮り、当社グループの経営方針や施策に反映させております。

なお、事業等のリスクについては、有価証券報告書 第2 事業の状況「3.事業等のリスク」に記載の通りでございます。

 

(3)人財に関する戦略及び目標

当社グループの中期的な経営計画においても、ポンプ事業の更なるグローバル展開を実現していくうえでの経営基盤として、『人財ビジョンを実現し、社員と会社の成長を支える』と掲げ、変化に対応し持続的に成長できる企業文化を醸成するとともに、各階層で次代を担う人財の育成に取組んでおります。

 

① 人財ビジョンの定着・人事制度の再構築

2023年3月に当社の求める人財像を『変化』、『お客様志向』、『共創』の「3つの価値観」で明確化した『人財ビジョン』を制定いたしましたが、このビジョンの浸透と定着を推し進めてまいります。

2023年4月には、「人財ビジョン」の視点に立った新人事評価制度を先行導入いたしましたが、2025年度からは「人財ビジョン」と「次代を担う人財育成」の方針を反映し、人事体系を見直した新たな人事制度の導入を計画しております。

[人財ビジョンの3つの価値観]

『変化』    今までの固定概念を疑い、自らの殻を破り、変化を楽しみ、変革を成し遂げる

『お客様志向』 お客様の潜在ニーズを探り、創意工夫を凝らし、お客様価値を創造し続ける

『共創』    共通の目標に向かって、共に成長し、仲間の長所を引き出し、活かす

 

② 従業員の成長支援・次世代リーダーの育成

会社にとって大切な財産である社員、一人一人の成長をきめ細かく支援するとともに、各階層の役割に応じた業務遂行能力を向上するための教育研修や自らの成長を支援するための制度を実施しております。

グローバル人財育成、女性活躍については、重点的に取り組むべき項目であると認識しており、研修プログラムの一層の充実に取り組んでまいります。

ⅰ)従業員の成長支援

・全社員を対象に役割毎に階層別研修を実施、各々の課題や役職ごとの役割等を共有し、業務レベルの向上および社内コミュニケーションの向上により、当社が求める人財の育成を進めております。

・自らの成長支援策として、資格取得に対して報奨金を支給する資格取得奨励制度や自らが受講内容を選択できる外部研修・通信研修、自らのレベルに合わせた選択が可能な英会話研修等、様々な研修制度を拡充し従業員の自主的なスキルアップを支援しております。2024年3月時点の英会話研修受講率は累計で17.7%とグローバルな人材の育成にも注力しており、今後は海外拠点での研修制度の導入等も予定しております。

・有期雇用の嘱託社員およびパートタイマーが正社員に転換できる正社員転換制度を導入し、キャリアに応じた成長支援の環境整備を実施しております。

 

ⅱ)次世代リーダーの育成

・次世代を担う候補である主任・係長を中心とした人財を対象として、一定期間所属部署以外の業務を体験させ、部署間の相互理解と人事交流活性化を促進するプログラムを実施することで次世代人財の育成を図っております。

・新任の課長、主任・係長に対しては、役割や求められる行動を理解する目的で外部研修を実施、また評価者教育を実施することで人財ビジョンを始めとした当社が求める人財像の共有を図っております。

・当社グループでは、さらなる女性の積極的登用、性別や国籍にとらわれない優秀な人財が活躍できる環境作りに取り組むとともに、中長期的な視点で次世代リーダーとなる管理職、監督職の育成に取り組んでおります。今年度、新たに6名(うち女性は1名)を管理職の課長に、9名(うち女性は2名)を監督職の主任・係長に登用いたしました。

2024年3月時点での女性管理職比率はグループ全体で8%ですが、2028年3月末までに10%以上の達成を目指しており、今後も管理職および管理職候補としての監督職の増員を進めるべく、各種研修を通しての意識向上に取り組んでまいります。

(参考)女性管理職比率の推移

 

2022年3月

2023年3月

2024年3月

管理職数

76人

83人

86

女性管理職数

5人

7人

7

女性管理職比率

7%

8%

8

 

③ 働き方改革の促進

当社グループでは、2023年度の時間外労働の年間平均時間が9.6H、有給休暇取得率が89.6%など働きやすい環境の実現に取組んでおります。良好な労働環境の維持とともに、より多様な働き方の実現に向け様々な施策を継続的に実施しております。

(取組事例)

・7月から10月までを年次有休休暇取得促進期間に定め、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現を促進しております。

・2021年度から在宅勤務制度や時差出勤制度を導入、2023年度から時間単位有給休暇を導入し、社員一人一人が更に多様な働き方ができるよう対応しております。

・働き方改革の一環として、社員がより快適に働ける職場環境の提供を目指し「通年服装自由化」を実施しております。

・相模原工場および製商品物流センターでは、自由に働き場所を選ぶことができるフリーアドレスを導入し、業務の効率化や部署間の交流を促進しております。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には次のようなものがありますが、すべてのリスクを網羅するものではありません。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避あるいは発生した場合の対応に努める方針であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済環境の変化によるリスク

 当社グループの主力製品であるダイアフラムポンプ及びオートモティブ製品の業界は、国内外の景気動向・設備投資動向に大きく影響を受ける傾向にあり、さらに国又は地域の経済事情による様々なリスク要因も存在しております。このような経済環境の変化は当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)海外事業展開によるリスク

 当社グループは成長戦略の一環として、海外事業の拡大を進めております。海外事業は、グローバル経済や為替などの動向、投資や競争などに関する法的規制、商習慣、労使関係など、様々な要因の影響を受ける可能性があります。海外事業のリスク管理は、現地のグループ会社や拠点が当社主幹組織と連携し、状況の的確な把握と速やかな対策の協議等、管理体制の向上に取り組んでおります。しかしながら、これらのリスクが予期しない形で顕在化した場合は、当社グループの事業及び業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)為替レートの変動によるリスク

 当社グループは、外貨建ての売上、資産、負債などがあり、急激な為替レートの変動は、売上高や損益、資産や負債などの財務諸表上の円換算により、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品の品質に関するリスク

 当社グループの製品は、世界で認められる品質管理基準のもと、国内外で製造及び販売を行っておりますが、将来にわたり、全ての製品において欠陥が発生し得ないという保証はありません。製造物賠償責任については、保険に加入しておりますが、重大な品質問題が生じた場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)金利変動によるリスク

 当社グループは、金利変動リスクを抱える金融資産・負債を保有しており、想定を超えた金利の変動は、受取利息、支払利息及び金融資産の価値に影響を与え、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)投資有価証券に関するリスク

 当社グループは、投資有価証券を保有しており、その評価額の変動は当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)設備投資計画におけるリスク

 当社グループは、成長が期待される分野に重点をおいた戦略的投資、並びに合理化及び更新のための設備投資等を実施しておりますが、グループ事業の拡大が想定通りなされなかった場合や、カントリーリスク等国内とは異なる環境に晒される海外事業については、減価償却負担の増加や投資回収の長期化など、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)情報セキュリティにおけるリスク

 当社グループは、当社グループ内及び取引先等の機密情報や個人情報を有しています。これらの情報について、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とセキュリティの強化、社員教育等を行っております。しかし、過失や盗難等によりこれらの情報が流出あるいは改ざんされる可能性があり、万が一、こうした事態が発生した場合には、当社の社会的信用の低下や損害賠償等の費用により、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)災害・事故及び感染症等によるリスク

 当社グループは、国内外に事業拠点を有しております。各拠点では不慮の自然災害、火災等の事故、感染症発生等に対する防災、事業継続性の確保に努めておりますが、想定をはるかに超えた状況が発生した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)固定資産の減損会計によるリスク

 当社グループが保有する固定資産において、将来キャッシュ・フローにより資産の帳簿価額を回収できないと判断される場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する必要があります。当社グループが保有する固定資産において減損損失を計上する必要になる場合は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済の動向は、米国においては、住宅投資や在庫投資が実質GDPの成長率を押し下げた一方、設備投資の伸びが加速したほか、個人消費も株高などを背景に堅調な推移となり、堅調を維持しました。

欧州においては、原材料価格下落や需要後退を受けてインフレ率は低下傾向にありましたが、消費者物価上昇率は前年比横ばいの推移となり、また、内需と輸出のいずれも低迷し、景気はほぼ横ばいの推移となりました。

中国をはじめとする新興国経済は、中国においては、家計消費の改善ペースが緩慢なほか、不動産投資にも好転の兆しが見られない一方、不動産以外の投資は堅調に推移するなど、景気は足踏み状態となりました。

一方、日本経済においては、設備投資は堅調に推移しましたが、鉱工業生産は一進一退の動きとなりました。個人消費は、対面型サービスを中心に回復しておりますが、物価高の影響などから全体的に弱い動きがみられるなど、足踏みも見られますが、緩やかに回復してきております。

こうした中、当社グループにおいては、オートモティブ部門の売上は、フロンガス交換機を中心に好調な推移となり、また、インダストリアル部門では、当社の主力製品でありますダイアフラムポンプの売上が海外を中心に好調な推移となりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は19,038百万円となり、前連結会計年度末に比べ979百万円の増加となりました。これは主に棚卸資産の増加(686百万円)、繰延税金資産の増加(137百万円)、売掛金の増加(95百万円)等によるものであります。

 負債合計は3,231百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,083百万円の減少となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少(△720百万円)、長短借入金の減少(△452百万円)等によるものであります。

 純資産合計は15,807百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,063百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加(1,597百万円)、為替換算調整勘定の増加(409百万円)等によるものであります。

 この結果、自己資本比率は81.5%となりました。

b.経営成績

 当連結会計年度の連結売上高は14,753百万円(前年同期比1,036百万円、7.6%増)となりました。売上高を部門別にみますと、オートモティブ部門は3,736百万円(前年同期比270百万円、7.8%増)、インダストリアル部門は9,269百万円(前年同期比696百万円、8.1%増)となり、上記部門に属さないサービス部品や修理売上などのその他の部門の売上高は1,747百万円(前年同期比69百万円、4.1%増)となりました。

 利益面では、売上総利益は6,573百万円(前年同期比826百万円、14.4%増)となり、営業利益は2,465百万円(前年同期比593百万円、31.7%増)、経常利益は2,553百万円(前年同期比458百万円、21.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,918百万円(前年同期比424百万円、28.4%増)となりました。

 当連結会計年度における報告セグメントの業績は次のとおりであります。

 日本における外部顧客に対する売上高は6,389百万円(前年同期比88百万円、1.4%増)、営業利益は1,248百万円(前年同期比126百万円、11.2%増)となりました。米国における外部顧客に対する売上高は5,752百万円(前年同期比914百万円、18.9%増)、営業利益は889百万円(前年同期比287百万円、47.7%増)となりました。オランダにおける外部顧客に対する売上高は1,478百万円(前年同期比167百万円、12.8%増)、営業利益は147百万円(前年同期比84百万円、135.8%増)となりました。中国における外部顧客に対する売上高は797百万円(前年同期比△150百万円、15.9%減)、営業利益は63百万円(前年同期比△38百万円、37.5%減)となりました。タイにおける外部顧客に対する売上高は335百万円(前年同期比16百万円、5.2%増)、営業利益は74百万円(前年同期比6百万円、9.7%増)となりました。

 また、当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上高は8,847百万円(前年同期比1,044百万円、13.4%増)で、その割合は60.0%(前年同期56.9%、3.1ポイント増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は4,343百万円となり、前連結会計年度末に比べ187百万円の減少となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは984百万円の純収入(前年同期は1,729百万円の純収入)となりました。

これは主に法人税等の支払額737百万円、仕入債務の減少796百万円等の支出要因があったものの、税金等調整前当期純利益2,543百万円等の収入要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは494百万円の純支出(前年同期は343百万円の純支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による454百万円等の支出要因があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは794百万円の純支出(前年同期は463百万円の純支出)となりました。これは主に短期借入れによる170百万円等の収入要因があったものの、長短借入金の返済による622百万円、配当金の支払による319百万円等の支出要因があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

6,477,522

107.9

米国(千円)

オランダ(千円)

中国(千円)

タイ(千円)

合計

6,477,522

107.9

(注) 金額は製造原価で表示しております。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

858,379

88.6

米国(千円)

1,026,725

126.5

オランダ(千円)

322,745

97.8

中国(千円)

タイ(千円)

合計

2,207,849

104.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は仕入価格で表示しております。

c.受注実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、販売計画に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

6,389,661

101.4

米国(千円)

5,752,139

118.9

オランダ(千円)

1,478,681

112.8

中国(千円)

797,387

84.1

タイ(千円)

335,187

105.2

合計

14,753,057

107.6

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、採用している重要な会計方針は、第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。

 当社グループの連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択や適用、資産・負債及び収益・費用の報告及び開示に影響を与える見積りを必要とします。その見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づく様々な要因を考慮し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は19,038百万円となり、前連結会計年度末に比べ979百万円の増加となりました。これは主に棚卸資産の増加(686百万円)、繰延税金資産の増加(137百万円)、売掛金の増加(95百万円)等によるものであります。

 負債合計は3,231百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,083百万円の減少となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少(△720百万円)、長短借入金の減少(△452百万円)等によるものであります。

 純資産合計は15,807百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,063百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加(1,597百万円)、為替換算調整勘定の増加(409百万円)等によるものであります。

 この結果、自己資本比率は81.5%となりました。

 

2)経営成績

 当連結会計年度の連結売上高は14,753百万円(前年同期比1,036百万円、7.6%増)となりました。利益面では、売上総利益は6,573百万円(前年同期比826百万円、14.4%増)となり、営業利益は2,465百万円(前年同期比593百万円、31.7%増)、経常利益は2,553百万円(前年同期比458百万円、21.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,918百万円(前年同期比424百万円、28.4%増)となりました。

3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は4,343百万円となり、前連結会計年度末に比べ187百万円の減少となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは984百万円の純収入(前年同期は1,729百万円の純収入)となりました。これは主に法人税等の支払額737百万円、仕入債務の減少796百万円等の支出要因があったものの、税金等調整前当期純利益2,543百万円等の収入要因があったことによるものであります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは494百万円の純支出(前年同期は343百万円の純支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による454百万円等の支出要因があったことによるものであります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは794百万円の純支出(前年同期は463百万円の純支出)となりました。これは主に短期借入れによる170百万円等の収入要因があったものの、長短借入金の返済による622百万円、配当金の支払による319百万円等の支出要因があったことによるものであります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

自己資本比率(%)

77.4

71.7

70.4

74.5

81.5

時価ベースの自己資本比率(%)

35.0

38.8

36.2

37.8

73.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.4

1.4

2.4

1.0

1.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

101.2

275.6

134.3

580.7

264.2

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式を除く期末発行済株式数により算出しております。

※ 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、2025年(第100期事業年度)を見据え、グループビジョン「yamada toward 2025」を掲げ、企業価値の向上に取り組んでまいりました。

 世界経済がパンデミックに巻き込まれたなか、中期経営計画を1年前倒し「Jump‼2024」とし、コロナ禍から脱出し収益を回復することを優先課題と位置付け目標達成に努めました。

 第100期事業年度のスタートにあたり、新たなグループビジョン「For the Next Century with YAMADA PRIDE」を掲げ、中期経営計画を三ヶ年毎、PhaseⅠ~Ⅲの三段階に区切り、次の100年を見据えて事業の持続的成長に取り組んでまいります。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、市場動向、海外事業展開、為替動向、製品品質、金利動向、投資有価証券、設備投資計画、情報セキュリティ、災害・事故及び感染症等、固定資産の減損会計があります。

 市場環境については、国内外の景気動向・設備投資動向に大きく影響を受ける傾向にあり、国又は地域の経済事情による様々なリスク要因も存在し、このような経済環境の変化は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 海外事業展開については、成長戦略の一環として、海外事業の拡大を進めており、グローバル経済や為替などの動向、投資や競争などに関する法的規制、商習慣、労使関係など、様々な要因の影響を受ける可能性があります。海外事業のリスク管理は、現地のグループ会社や拠点が当社主幹組織と連携し、状況の的確な把握と速やかな対策の協議等、管理体制の向上に取り組んでおりますが、これらのリスクが予期しない形で顕在化した場合は、当社グループの事業及び業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 為替動向については、外貨建ての売上、資産、負債などがあり、急激な為替レートの変動は、売上高や損益、資産や負債などの財務諸表上の円換算により、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 製品品質については、世界で認められる品質管理基準のもと、国内外で製造及び販売を行っておりますが、将来にわたり、全ての製品において欠陥が発生し得ないという保証はありません。製造物賠償責任については、保険に加入しておりますが、重大な品質問題が生じた場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 金利動向については、金利変動リスクを抱える金融商品・負債を保有しており、想定を超えた金利の変動は、受取利息、支払利息及び金融資産の価値に影響を与え、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 投資有価証券については、当社グループは投資有価証券を保有しており、その評価額の変動は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 設備投資計画については、成長が期待される分野に重点をおいた戦略的投資、並びに合理化及び更新のための設備投資等を実施しておりますが、グループ事業の拡大が想定通りになされなかった場合や、カントリーリスク等国内とは異なる環境に晒される海外事業については、減価償却負担の増加や投資回収の長期化など、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 情報セキュリティについては、当社グループは、当社グループ内及び取引先等の機密情報や個人情報を有しております。これらの情報について、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とセキュリティの強化、社員教育等を行っておりますが、過失や盗難等により、これらの情報が流出あるいは改ざんされる可能性があり、万が一、こうした事態が発生した場合には、当社の社会的信用の低下や損害賠償等の費用により、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 災害・事故及び感染症等については、当社グループは国内外に拠点を有しており、各拠点では、不慮の自然災害、火災等の事故や感染症発生等に対する防災、事業継続性の確保に努めておりますが、想定をはるかに超えた状況が発生した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 固定資産の減損会計については、当社グループが保有する固定資産において、将来キャッシュ・フローにより資産の帳簿価額を回収できないと判断される場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する必要があり、当社グループが保有する固定資産において減損損失を計上する必要になる場合は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な資金(材料・外注費及び人件費等)、営業活動に係る販売費及び一般管理費等、新製品開発に係る研究開発費等の営業費用等によるものであります。投資活動については、成長期待分野に重点をおいた戦略的投資、合理化及び更新のための設備投資等が主な内容であります。

 当連結会計年度における設備投資等の資金については、全て自己資金によっております。

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、収益性を重視する観点から、売上高に占める営業利益率の向上に努めます。また、株主を重視する観点から、株主資本に対する利益率(ROE)の向上に努めます。

(参考)主要な経営指標の推移

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

売上高営業利益率(%)

12.1

12.1

14.8

13.6

16.7

ROE(自己資本利益率)(%)

9.6

8.7

10.2

11.7

13.2

売上高営業利益率:営業利益/売上高

ROE(自己資本利益率):親会社株主に帰属する当期純利益/((期首自己資本+期末自己資本)÷2)

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 日本における外部顧客に対する売上高は6,389百万円(前年同期比88百万円、1.4%増)、営業利益は1,248百万円(前年同期比126百万円、11.2%増)となりました。米国における外部顧客に対する売上高は5,752百万円(前年同期比914百万円、18.9%増)、営業利益は889百万円(前年同期比287百万円、47.7%増)となりました。オランダにおける外部顧客に対する売上高は1,478百万円(前年同期比167百万円、12.8%増)、営業利益は147百万円(前年同期比84百万円、135.8%増)となりました。中国における外部顧客に対する売上高は797百万円(前年同期比△150百万円、15.9%減)、営業利益は63百万円(前年同期比△38百万円、37.5%減)となりました。タイにおける外部顧客に対する売上高は335百万円(前年同期比16百万円、5.2%増)、営業利益は74百万円(前年同期比6百万円、9.7%増)となりました。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、空圧式駆動ポンプを主力製品として、その市場分野が広範囲にわたるため、各市場ニーズに適応した製品の開発・改良を積極的に行っており、海外子会社のヤマダアメリカINC.、ヤマダヨーロッパB.V.、ヤマダ上海ポンプ貿易有限公司及びヤマダタイランドCO.,LTD.は当社製品に関連する海外のマーケティング情報を提供しております。

 研究開発は主に当社の技術部によって行われており、オートモティブ部門においては、自動車自体の技術革新に対応すべく、車両整備機器及びその派生機器の開発を行っております。また、インダストリアル部門においては、世界市場の多角的なニーズ、新たなニーズに応え、さらに潜在的なニーズを掘り起こすべく、ダイアフラムポンプの開発を行っております。

 当社は、製造・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「米国」、「オランダ」、「中国」、「タイ」の5つを報告セグメントとしておりますが、研究開発については、全てのセグメントに係るため、一括して表示しております。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は22,396千円であります。