文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「“生活者の不利益解消”という正義を貫き、安心で豊かな暮らしの創造をめざします。」という経営理念の下、専門的な知識を持たない生活者が、専門的な知識・経験を持つ供給者から一方的に情報を提供されている不利益を解消するため、私たちはこの情報格差を埋める役割を担う住生活エージェントとして、高度な知見をもとに公正な立場で商品やサービスを今後も開発・提供してまいります。
これを実現するためには、株主はもとより、お客様、お取引先、従業員等のステークホルダーとの良好な関係を築き、企業倫理とコンプライアンス遵守を徹底するとともに、企業活動を律する枠組みであるコーポレート・ガバナンスを一層強化し、企業価値の向上に努めてまいります。
当社グループは、企業価値を高めるために、成長性・収益性の指標として、売上高伸び率と売上高営業利益率を重視しております。また、経営指標としてROE(自己資本利益率)を採用し、株主資本コストを意識した経営により企業価値の向上に努めてまいります。
2008年の創業以来、「“生活者の不利益解消”という正義を貫き、安心で豊かな暮らしの創造を目指します」という経営理念の下、地盤改良工事を行わない地盤解析専門会社として、地盤セカンドオピニオン®から事業をスタートし、住宅事業者へ地盤調査・地盤解析サービスの提供を行ってまいりました。また、地盤情報を見える化した、地盤安心マップ®、地盤カルテ®の提供や新築住宅の設計施工及びリフォーム施工といった個人のお客様へのサービスも展開してまいりました。
創業から2015年頃までは、売上・利益も順調に伸びておりましたが、その後は競合他社の影響による平均販売単価の下落による売上・利益の減少で事業が低迷し、一時的な回復の兆しはありましたが、厳しい状況が継続しております。また、株価の低迷による東京証券取引所グロース市場の上場維持基準における時価総額40億円に適合しない状態となっております。
今後、国内住宅市場は、少子高齢化により緩やかに縮小していくことが予想されます。当社の継続的な事業発展のためには、高付加価値サービスの提供と新たな事業展開、これらを遂行するための組織体制強化が必要であると考え、2020年よりこれらの課題に取り組み、今後の成長のための新たな事業としてのBIMサービスの提供開始と組織体制の基礎を整えてまいりました。今後も企業価値向上のため、組織体制の更なる整備と強化、BIMサービス事業の拡大、新たな高付加価値サービス開発が課題であると認識しております。
① マーケットの拡大
BIMを活用した3Dパース(完成予想図)・ウォークスルー動画・VRの提供開始により、従来の戸建住宅事業者の仕入・建築部署を窓口とした取引に加えて、新たに設計・販売部署との取引が生まれ、一社あたりの取引量が拡大しました。同時に、マンションや大型分譲地の3Dパース(完成予想図)・ウォークスルー動画・VRを提供することで、不動産ディベロッパー等との取引も始まっております。また、BIMモデリングサービスを開始したことで、ゼネコン、設計事務所との取引も始まりました。
2023年11月に、3DスキャンとBIMモデリングによる、図面のない既存建築物のデジタル化の取り組みが、京都市に採用され、自治体との取引も始まっております。
今後も、戸建住宅事業者以外との取引を拡大させるために、より高い技術力を培い、その技術力を採用いただくための営業活動強化が課題と認識しております。
② BtoCビジネス
当社グループが個人のお客様向けに提供している「地盤カルテ®」「地盤安心マップ®」「デジタル耐震チェック」は、地盤の良し悪し、建物の耐震性の結果のみを提供するサービスでしたが、当社グループの経営理念に賛同するお取引先・協力会社へ個人のお客様を紹介することで、安全安心な家づくりにおいて家の完成まで関わる仕組みを構築し、お取引先・協力会社より紹介手数料をいただく紹介ビジネスを開始しております。
新築住宅建築において、地盤調査は法的に義務付けられているため、戸建住宅事業者は必要性を認識しておりますが、個人のお客様(施主様)には、地盤調査の価値や必要性をまだ十分に認識していただけているとは言えません。
ホームページ、SNS等で個人のお客様向けの情報提供を行っておりますが、地盤調査の価値や必要性をより多くの方に認識していただくための普及活動が課題であると認識し、広報部門の強化を行い、普及活動にも取り組んでまいります。
③ BIMサービスの拡大
BIMによる建築・設計業務は、設計から竣工後のファシリティマネジメントまで可能ですが、現在、当社グループが提供しているBIMサービスは、3Dパース(完成予想図)・ウォークスルー動画・VRを活用したプレゼンテーションの分野が中心で設計BIM(意匠、構造、設備)と施工BIMは少数となっております。当社グループの事業拡大のためには、戸建住宅市場にとどまらず、設計BIM(意匠、構造、設備)と施工BIMといったレベルの高いBIMサービスの提供で、ビル・商業施設等の大型物件の非住宅建築の市場へ拡大、また、3DスキャンとBIMモデリングによる図面のない既存建築物のデジタル化といったBIMの新たな活用による市場開拓が必要です。
既存の技術に留まることなく、BIMに関する研究開発の継続、日本及びベトナム・ダナンBCPOセンターにおける技術力の向上のための取り組みが課題と認識しております。
④ 自然災害への対応
従来の地盤調査・解析では予見困難な自然災害が近年多発しております。
当社が開発・リリースした事業者向けの地盤安心マップ®PRO、個人のお客様向けの地盤カルテ®において、津波マップ、地滑りマップ、災害伝承碑情報マップ、令和6年能登半島地震情報の取り込みにより情報量の拡大を実施し、各種自然災害リスク対応を行いました。また、これらのリスク情報を基に解析技術のアップデートも実施してまいります。
今後も最新の情報へのアップデートを継続し、また、気象データ等の取り込みの検討も行い、多発する自然災害に対応することが課題と認識しております。
⑤ DX戦略
地盤関連業界を含む建築業界は、他の業界と比較してIT化が進んでいないのが現状ですが、当社グループは2015年に当社グループとお取引先・協力会社がWEB上で相互に利用でき、物件の工程進捗を個別に管理できるシステムを構築いたしました。このシステムは多くのお取引先・協力会社に利用いただいております。また、地盤に関する膨大なデータも蓄積されております。
今後は最新のテクノロジーによる業務効率化と収益化を目指し、建築業界における各種システムやアプリ等の外部連携、いつでも・どこでも・誰でも情報にアクセス可能な仕組みづくり、蓄積された地盤データの活用といった視点でのシステム開発が課題と認識しております。
⑥ ガバナンス
当社グループの経営体制・組織体制の現状は、基礎を整えた状態であり、この体制を安定運用するためのガバナンス強化が必要であると認識しております。また、ガバナンス強化と同時に、従業員の能力や知識を高め人材価値を最大限に引き出すことで企業の価値向上を目指す「人的資本経営」に取り組む事も必要であると認識しております。
⑦ 上場維持
当社は、東京証券取引所グロース市場の上場維持基準における時価総額40億円に適合しない状態となっております。
上場維持のためには、株価を上昇させ、持続的な事業発展と企業価値を向上させる必要があります。
上記課題に取り組み、また、中長期ビジョンの開示、IR・広報活動にも取り組んでまいります。
当社グループにおけるサステナビリティの取り組みは、当社グループの経営理念である「“生活者の不利益解消”という正義を貫き、安心で豊かな暮らしの創造をめざします。」この経営理念の実践そのものです。
当社グループは住生活エージェントとして高い専門性と経営資本を生かし、専門的な知識を持たない生活者が安全安心で豊かに暮すために必要な「地盤調査と解析による地盤データの蓄積と提供」、建物の企画から竣工、その後のファシリティマネジメントまで、建物のライフサイクルにあわせて一元管理可能な「BIM設計サービスの提供」、すべての従業員が能力を最大限発揮できる「人的資本経営」、そしてこれらを実現する「経営基盤の強化」をテーマとして、重要課題に取り組み、住みよい豊かな社会の持続的な発展に貢献することで、当社グループの持続的成長と企業価値向上の実現を目指しています。
過剰な地盤改良の施工を防止し、不適切な地盤改良工事を適切なものに修正施工することで、過剰な工事が土壌に与える負荷や資材の浪費、施主の金銭負担を軽減し、また不適切な設計を修正施工することで地盤事故の発生を防止し、人、環境、資源の損失を防ぎます。
社業をもって人間社会に貢献し、社会的信頼により収益の基盤を強固にし、持続的に発展可能な事業体質を堅持し、もって生活者である人と、人がいる空間の環境を守り続けることが当社のサステナビリティの基本です。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
サステナビリティ目標の客観的な評価と戦略的な展開の検討が求められるなか、当社といたしましては、取締役会において当該テーマを付議事項とし、様々な知見のある社外役員とも議論を深め、その結果を議事録に記録しています。
① 事業
当社グループの持つ専門性に特化したセールスエンジニアの育成をすすめ、より高品質かつ的確なサービスを提供し、顧客満足度を向上させます。また、蓄積された豊富な地盤データを、より適切に管理・活用するシステムの構築やデータ分析技術の導入などを進め、地盤情報の精度向上とともに、わかりやすい地盤情報を生活者に届けます。
事業の拡大については、既存顧客の戸建住宅事業者に加え、BIMサービスを新たな顧客層にアプローチすることで、戸建市場以外への拡大を図ります。地盤・BIMの両分野においても、新しいサービス・関連業務を統合し、総合的なサービスを提供することで、同業他社との差別化を図ります。
当社グループは、経営効率の向上、経営リスクの低減、財務基盤の強化などに取り組み、安定的な事業展開を維持することで、サステナビリティの取り組みを持続的に実現します。
② 人的資本
当社グループの事業(ビジネス)は、高い専門性と膨大なデータ活用が軸であり、その軸を作り上げる人的資本が当社グループの事業(ビジネス)価値創造の源泉であると考えております。また、当社グループで働く全ての従業員が『豊かな人生』を送ることが当社グループの経営理念実現には欠かすことができないとも考えております。これらのことから、人的資本が技術力・財務力・社会的信頼性に繋がり当社グループの価値を創造し、増大させていくものと考えておりますので人的資本を最重要視して投資を行うことで持続的に人的資本とその他の当社グループの資本の強固な基盤を作ることを目指し戦略を設計しております。
サステナビリティの実践に向けた人的資本を最重要視した具体的な取り組みとして専門性に特化したセールスエンジニア育成のための専門知識習得を実施し、理解浸透の促進と各自の活躍の源泉とします。また、リーダーシップを発揮し事業変革を生み出すことができる管理職を育成します。
加えて、「成長の実感」「挑戦できる組織づくり」「多様化の推進」「働き方改革」の指標を定め実践し、変化の激しい時代に対応する柔軟かつ強靭な人材と組織構築を実現します。
人づくり、組織づくりには社員が互いに尊重しあいながら成長することが、強い原動力となることから心理的安全性がある挑戦できる組織・風土をつくり、社員が自らの仕事に誇りを持って生き生きと働き、社会に新たな価値を提供する企業を目指します。
当社のサステナビリティ方針は当社基幹業務の事業活動と一体であり、また、人的資本が事業価値創造の源泉であると考えております。
当社のリスク管理体制については、管理本部が主観部署となり、各部門との情報共有を行うことで、人的資本経営を含む当社グループに著しい影響を与えるリスクの早期発見と未然防止に努めており、全部門長が参加し毎週開催されるミーティングにおいて営業の進捗報告や課題の共有が行われております。組織横断的に情報を共有し、必要に応じて取締役会への報告を含めたリスクマネジメントを図っております。
① 事業
② 人的資本
当社グループは、柔軟かつ強靭な人材で組織運営を行い、社会に新たな価値を提供する企業を実現するために、「成長の実感」「挑戦できる組織づくり」「多様性の推進」「働き方改革」の4つの軸を定め、以下の指標としています。
(注)1.エンゲージメント調査での「働きがいがある」割合は設問35項目のポジティブ回答の平均であります。
2.管理職に占める女性労働者の割合は、JIBANNET ASIA社を含めた内容であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループの事業に関するリスク
① 特定事業への依存によるリスク
当社グループは地盤事業を核として事業を展開しております。今後は新たな柱となる事業を育成し、収益力の分散を図ることも検討しておりますが、事業環境の激変、競争の激化、新規参入企業による類似するサービスの出現等により、地盤事業が縮小し、その変化への対応が適切でない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合によるリスク
少子高齢化による国内の住宅市場における新設住宅着工戸数の減少により、地盤関連の市場規模の縮小が予想されます。その中で当社グループは、新たなサービスを提供し競合他社との差別化を行い、シェア拡大を図っておりますが、類似するサービスの出現等により、当社グループの提供するサービスの優位性が保てなくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報管理によるリスク
当社グループはサービス提供にあたり、顧客、施主等の個人に関連する情報を取得しております。これらの情報の取り扱いには、外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩を防ぐため、セキュリティ環境の強化、従業員に対する個人情報の取り扱いに対する教育等、十分な対策を行うと同時に、個人情報として管理すべき情報の範囲についても厳密な判断が必要であると考えております。しかし、今後何らかの理由により個人情報が漏洩した場合には、損害賠償や信用力の失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 地盤解析サービスの瑕疵によるリスク
当社グループは、地盤調査データから、国土交通省令をはじめとする関係法令並びに日本建築学会等の各種団体が示す指針及び住宅瑕疵担保責任保険法人による設計施工基準に基づき、地盤解析を実施し、適正な住宅基礎仕様を判定しております。しかしながら、確認した地盤調査データについて、現在の調査技術においても予見できない原因や過失による地盤解析ミス等により不同沈下等が多数発生した場合には、当社グループの信用失墜や保険料率高騰等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 損害保険会社との契約について
当社グループが地盤品質証明書を発行した住宅において、万が一、住宅が傾く不同沈下等の地盤事故が発生した場合には、当該住宅の引渡日から10年間もしくは20年間、地盤修復工事費用及び住宅の損害等を当社グループが工務店等に対し賠償します。当社グループは損害賠償金の支払いに備え大手保険会社との間で損害保険契約を締結しております。しかし、将来においても同等の条件での保険加入が継続できるか、あるいは賠償請求を受けた場合に十分に地盤補修費用が補填されるかについては保証できません。
今後は事業の拡大に伴い契約社数を拡大する等、リスクの分散をしていきたいと考えておりますが、当社グループ及び損害保険会社を取り巻く環境の変化等により当該保険契約の継続が困難となった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 補償リスクの自家保有
当社グループは、地震を起因として発生した地盤変動による不同沈下等による地盤事故が発生した場合、引渡日より10年間、最大500万円の地盤修復工事費用等を補填する追加特約を付した地盤品質証明書を発行しており、これに関わる損害保険契約を運用しておりましたが、2022年3月期連結会計年度において関連する保険契約を更新せず、期間満了で終了し、同スキームのために設立したJibannet Reinsurance Inc.は2023年2月に清算結了し、当該追加特約に係る補償リスクを自家保有しておりましたが、損害保険契約を締結したため、補償リスクの自家保有は解消しました。
⑦ 債権の未回収リスク
当社グループの売上債権の総資産に占める割合は当連結会計年度末で17.9%となっております。取引先の資金繰り状況等により売掛債権の延滞が発生し貸倒引当金の積み増しを行うこととなった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 不動産市況等の影響について
当社グループの事業は、個人の所有する不動産に関連する事業であることから、不動産市況、住宅関連税制、住宅ローン金利水準等による購買者の需要動向並びに建築資材等の原材料の価格動向等に影響を受けております。
(2) 事業環境等に関するリスク
① 事業環境に関するリスク
当社グループが提供するサービスは、地盤業界(広くは住宅業界)に属しておりますが、我が国の人口・世帯数は減少局面に入っており、今後も新設住宅着工戸数は緩やかに減少していくものと考えられます。そのため、国内の新設住宅着工戸数の減少による競争激化や地盤関連市場の縮小は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 地盤解析業務に係わる法的規制
地盤解析業務というサービスは法的に規定されたものではなく、将来、何かしらの理由により、地盤解析業務というサービス自体に法的な規制が設けられた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 戸建住宅等の地盤解析基準(地耐力に応じた基礎仕様)が明確なものとなった場合のリスク
当社グループの地盤解析基準は、国土交通省令を始めとする関係法令並びに日本建築学会等の各種団体が示す指針及び住宅瑕疵担保責任保険法人による設計施工基準に基づいておりますが、将来、何かしらの理由により、戸建住宅等の地盤解析基準が明確なものとなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」及び「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(住宅瑕疵担保履行法)に関するリスク
当社グループは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」及び「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」に基づいて、地盤解析サービスを行っておりますが、将来、何かしらの理由により、法律の条文や解釈の変更があり、当社グループの地盤品質証明の意義が薄れた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ JIBANGOO事業に係わる法的規制
特定建設業者として建設業法第3条第1項に基づく東京都知事の許可(許可番号 東京都知事許可(特-30)第149067号)を受け建築工事業、屋根工事業、大工工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、内装仕上工事業、鋼構築物工事業を行うと共に、建築士法第23条第1項に基づく東京都知事の登録(地盤ネット株式会社一級建築士事務所 登録番号 東京都知事登録 第62658号)を受けて一級建築士事務所の運営をしております。また、宅地建物取引業法に基づく国土交通省からの宅地建物取引業免許(東京都知事(1)第102861号)を受けております。
⑥ 許認可等の期限について
a.特定建設業許可の有効期限は、2023年7月20日から2028年7月19日までとなっております。
b.一級建築士事務所登録の有効期限は、2023年9月1日から2028年8月31日までとなっております。
c.宅地建物取引業免許の有効期限は、2023年12月22日から2028年12月21日までとなっております。
⑦ 許認可等の取消事由について
a.特定建設業許可の取消事由は、建設業法第29条に定められております。
b.一級建築士事務所登録の取消事由は、建築士法第26条に定められております。
c.宅地建物取引業免許の取消事由は、宅地建物取引業法第66条に定められております。
⑧ 許認可等に係る事業活動への影響について
JIBANGOO事業継続には前述のとおり、特定建設業許可・一級建築士事務所登録・宅地建物取引業免許が必要でありますが、現時点において、当社グループはこれらの許認可等の取消又は更新欠落の事由に該当する事実はないものと認識しております。しかしながら、将来、何かしらの理由により許認可等の取消等があった場合には、JIBANGOO事業の活動に支障をきたすとともに業績に重大な影響を与える可能性があります。
⑨ 為替リスク
当社グループは、在外連結子会社の財務諸表を円換算して連結財務諸表を作成しております。このため、当該現地通貨の為替変動があった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 組織体制に関するリスク
少人数での組織運営上のリスク
当社グループは、少人数の組織体制を志向しております。事業の拡大と合わせ、今後、積極的に優秀な人材、特に経験豊富な営業人材及び地盤解析能力の高い人材を確保していき、組織体制をより安定させることに努めてまいりますが、計画通りに人材の確保が出来ない場合や、事業の中核をなす従業員に不測の事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い経済活動の正常化が進む一方で、長期化しているウクライナ情勢や中東情勢の悪化、世界的な金融引き締め等による円安や資源価格の高騰等もあり、依然として先行き不透明な状況となっております。
当社グループの主要な事業領域である国内の住宅市場においては、当連結会計年度の新設住宅着工戸数(※)の合計は353,237戸(前年同期比10.0%減)となりました。持家の着工戸数は219,622戸(前年同期比11.5%減)、分譲住宅(一戸建て)の着工戸数は133,615戸(前年同期比7.4%減)となっております。
これらの環境において、当連結会計年度は、収益性の高い「地盤事業」「BIM Solution事業」に経営資源を投下し、「JIBANGOO事業」は建築事業の請負から設計監理や案件紹介にシフトすることで当社グループの収益構造を再構築し、収益性を向上させる方針で取組んでおります。
(※)国土交通省「建築着工統計調査報告」より、当社グループの事業領域である持家、分譲住宅(一戸建て)の戸数を合算して、新設住宅着工戸数としております。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は1,600,584千円となり、前連結会計年度末に比べ229,054千円減少いたしました。流動資産は1,474,265千円となり、前連結会計年度末に比べ221,136千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が107,936千円減少、売掛金が47,058千円減少、流動資産のその他に含まれる立替金が49,614千円減少したことによるものであります。固定資産は126,319千円となり、前連結会計年度末に比べ7,918千円減少いたしました。これは主に、投資その他の資産のその他に含まれる長期前払費用が10,786千円増加、繰延税金資産が23,418千円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は344,186千円となり、前連結会計年度末に比べ163,515千円減少いたしました。流動負債は238,344千円となり、前連結会計年度末に比べ58,339千円減少いたしました。これは主に、未払金が14,788千円減少、未払法人税等が37,619千円減少したことによるものであります。固定負債は105,842千円となり、前連結会計年度末に比べ105,176千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が109,992千円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は1,256,398千円となり、前連結会計年度末に比べ65,539千円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失95,308千円の計上、自己株式が37,385千円減少したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は1,877,353千円(前年同期比18.7%減)、営業損失は48,738千円(前年同期は営業利益108,577千円)、経常損失は58,695千円(前年同期は経常利益101,972千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は95,308千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益73,284千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
<地盤事業>
当連結会計年度の売上高は1,564,557千円(前年同期比9.6%減)、セグメント利益219,843千円(前年同期比2.7%減)となりました。
国内の住宅市場は依然として厳しい状況にありますが、営業体制の強化をし、既存顧客との関係強化・新規取引先の開拓に取組みました。また、2023年4月に地盤改良工事業者会として『地盤工事適正化ネットワーク』を設立し、「ずさんな設計・施工」「土質に対して不適切な工法の選択」により発生していた地盤沈下事故をなくし、経営理念である「生活者の不利益解消」の実現に向けた取組みを開始しております。同時に、当社グループの独自基準に賛同いただいた工事業者に、解析の結果、地盤改良工事が必要と判断された案件を紹介するサービスを新たに開始しております。
<BIM Solution事業>
当連結会計年度の売上高は254,955千円(前年同期比6.2%減)、セグメント損失80,787千円(前年同期はセグメント利益68,004千円)となりました。
BIM Solution事業を当社グループの新たな柱とすべく、営業体制の強化をすると共に、BIMの生産拠点であるJIBANNET ASIA CO., LTD.において、生産性・品質管理体制の向上、技術力向上のためのオペレーターの育成と新規採用に取組んでおりましたが、住宅市場における資材や人件費高騰の影響を受け、販促ツールとしても利用されていたパース・ウォークスルー動画の受注が想定よりも低調に推移しました。一方で、人材育成期間を加味した先行投資により固定費が増えておりました。このため、需給バランスに応じた生産体制となるように、過剰人員の整理並びに外注先を開拓・活用し、固定費率を下げるよう取組んでおります。
また、3Dスキャン撮影とBIMモデリングを活用した既存建物のデジタルツイン化技術が京都市で採用される等、新たな取組みを開始しております。
<JIBANGOO事業>
当連結会計年度の売上高は64,889千円(前年同期比80.6%減)、セグメント利益10,680千円(前年同期はセグメント損失36,762千円)となりました。
前期受注分の新築案件の引き渡しがありましたが、収益性を高めるため請負から設計監理や案件紹介にシフトしており、27件の実績を計上しております。前年同期比で売上高は減少しておりますが、セグメント利益を計上することが出来ました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ107,936千円減少し、963,944千円となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は4,290千円(前年同期146,597千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失66,522千円、減価償却費28,800千円、売上債権の減少41,844千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は40,583千円(前年同期1,367千円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出15,993千円、無形固定資産の取得による支出24,764千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は64,166千円(前年同期24千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出64,166千円によるものであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは売上高伸び率と売上高営業利益率、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として採用しております。
(重要な経営指標 推移)
※ROEは以下の計算式により算出しております。
ROE = 親会社株主に帰属する当期純利益 / 自己資本
売上高伸び率に関しては、JIBANGOO事業において請負から設計監理や案件紹介にシフトしたため、マイナス6.9%想定でおりましたが、BIM Solution事業において受注増を見込んでいたパース・ウォークスルー動画が想定よりも大幅に乖離し、前年と同程度の実績となったため、全体の売上高伸び率がマイナス18.7%となりました。
売上高営業利益率に関しては、売上総利益率は前期比でプラス2.9%改善したものの、売上高減少に伴い売上総利益額は減少したことに加え、BIM Solution事業において受注増を見込んでいたことに伴い、人材育成期間を加味した体制整備を進めていたため、固定費が増加した結果、営業損失となり、売上高営業利益率はマイナス2.6%となりました。
ROEに関しては、営業損失を計上したことに起因して親会社株主に帰属する当期純損失を計上したため、マイナス7.4%となりました。
当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要は営業活動に伴う費用であり、この資金需要につきましては、営業活動から得られる自己資金を源泉としております。当社グループの持続的な成長と企業価値向上を目的とした投資資金需要が生じた場合は、内部資金に加え、金融機関からの借入を中心に機動性と長期安定性を重視した資金調達を実施することとしております。なお、金融機関には十分な借入枠を有しております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産は、将来減算一時差異の解消により、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲を回収可能性があると判断し計上しております。具体的には、将来の一時差異解消スケジュール、タックス・プランニング及び収益力に基づく課税所得の見積り等に基づいて判断しております。これらは主に事業計画を基礎として見積っておりますが、当事業計画の主要な仮定は、売上予測であります。売上予測は、新設住宅着工戸数やその他不動産市況、受注見込に基づき予測しており、不確実性を伴っております。そのため、実際の経済環境が一定の仮定と大きく乖離した場合には、翌連結会計年度の繰延税金資産の回収可能性に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(損害補償引当金)
当社グループは、地盤解析サービスにおいて、地盤品質証明書を提供しており、地盤品質証明書を発行した住宅において、万が一、住宅が傾く不同沈下等の地盤事故が発生した場合には、地盤修復工事費用及び住宅の損害等を補償します。また、当該補償に備え、保険会社と保険契約を締結しております。
損害補償引当金は、地震リスク分析に基づく期待損失や過去の実績等の客観的データ及び保険契約の内容に基づき合理的な見積額を計上しておりますが、地震リスクの変動や保険内容の見直し等により見積額が変動するため、不確実性を伴っており、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(1) 保険契約
① 当社の連結子会社である地盤ネット株式会社は、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社と生産物賠償責任保険(PL保険)契約を締結し、地盤品質証明を行った建物が不同沈下した場合の賠償金の支払いに備えております。
② 当社の連結子会社である地盤ネット株式会社は、共栄火災海上保険株式会社と生産物賠償責任保険(PL保険)契約を締結し、地盤品質証明を行った建物が不同沈下した場合の賠償金の支払いに備えております。
③ 当社の連結子会社である地盤ネット株式会社は、共栄火災海上保険株式会社と生産物賠償責任保険(PL保険)契約を締結し、地盤品質証明を行った建物が不同沈下した場合の賠償金の支払いに備えております。
(2) 地盤品質証明書発行に関する覚書
当社の連結子会社である地盤ネット株式会社は、一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構を当社と連名での地盤品質証明書の発行主体とし、保険契約上の連名被保険者とする覚書を締結し、事故対応等の総合的なリスクマネジメント体制を構築しております。
該当事項はありません。