第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、「良品質な塗料を通して、広く社会に貢献する」という経営理念のもと、「時代の要求する製品」「愛される商品」を開発することを社是として、常に「業界の先駆者たれ」をモットーに技術開発を推進してまいりました。

 現在は、社員全員が「お客様に一番近いメーカーであり続けよう」という経営ビジョンをしっかり意識して日々業務を遂行し、顧客満足の向上につなげるとともに、地球環境との調和や社会環境の保護を背景とした市場ニーズに基づき、色彩産業としての新しい高い地位を目指して事業活動を行うことにより、顧客および株主の皆様の信頼や期待に応える安定した経営を基本方針としております。

(2) 経営環境および経営戦略等

 当社グループは、自動車補修用塗料はメンテナンス分野に特化し、建築用塗料はメンテナンスを主軸とし、新築にも対応しております。また、工業用塗料はユーザー個別対応により、積極的な営業活動を推進するとともに、全社員が環境への問題を最優先課題として取り組んでおります。併せて、顧客のみならず社会的に受け入れられる塗料・塗装システムの開発も進めております。

 現在、塗料業界におきましては、環境関連法(大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染防止法)や、特化則・有機則・PRTR法などさまざまな法的規制の適用を受けております。このため、当社グループは、社会や業界を取り巻く法律や規制への対応に積極的に取り組んでおり、今後もなお一層、環境・化学物質関連の法規制対応の取り組みを強化してまいります。また、製品化におきましては、これらをクリアした環境対応型製品を主力とする新製品・新システムの開発に注力し、塗装作業従事者の健康維持と地球環境保護を考慮した水性塗料の製品力向上に努めてまいります。

 国内の塗料需要が停滞している状況においては、製品開発力を強化し、顧客起点の製品開発を推進することや、新たな市場を創造することで顧客の支持を得られるような営業活動により、市場でのシェア拡大に取り組んでまいります。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、経営指標として従来から株主資本利益率を重視しております。また、経営の安定性と収益性の両立を図りながら企業価値の向上を目指すとともに、資金面におけるキャッシュ・フローを重視し、総合的な結果としてROE等の向上につなげることを目標としております。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の経済の見通しにつきましては、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の影響による原油価格をはじめとするエネルギー価格の動向、いわゆる物流の2024年問題、世界的な金融引締めによる海外景気の下振れがわが国経済に与える影響が見通せず、先行きは極めて不透明な状況であります。

 当社グループを取り巻く状況も予断を許しませんが、引き続き、原材料価格、エネルギー価格、物流コスト、人件費上昇に対処すべく、生産効率化、業務効率化に注力し、販売シェアを維持・拡大することで収益確保に繋げてまいります。

 当社グループの収益環境は、新型コロナウイルス感染症の影響はほぼ収束し、経済社会活動は回復しているものと考えておりますが、塗料業界におきましては、引き続き企業間競争が激しくなることが予想されます。このような状況の中、当社グループは、「お客様に一番近いメーカーであり続けよう」という経営ビジョンを掲げ、全社員一丸となって次のとおり取り組んでまいります。

① 人材の育成

 「お客様に一番近いメーカーであり続けよう」という経営ビジョンを掲げる当社グループにとって、顧客の声に耳を傾け、顧客起点の製品開発を推進するための人材育成は最重要課題の一つと位置づけております。人材育成については、全従業員を対象として社員教育制度を整備し、従業員のモチベーションの向上やスキルアップに取り組んでおります。

 また、全社的な労務管理を行うとともに、「働き方改革」やメンタルヘルス対策を推進し、より良い労働環境の整備、運用に努めてまいります。

② 高品質、安全・安心な製品の安定供給

 当社グループは「環境方針」を定め、社会や業界を取り巻く法律や規制への対応に積極的に取り組むとともに、大規模な事故・災害等の発生に備えて、事業継続計画(BCP)を策定し、社員教育や災害訓練等によりBCPの周知徹底および実効性の向上を図っております。一方、経営環境に大きな影響を及ぼす、いわゆる物流2024年問題に伴う物流コストや原材料の価格と安定的な調達も大きな課題ととらえております。

③ 顧客ニーズに沿った製品開発と新しいマーケットの開拓

 当社グループは自動車補修用塗料を主力としておりますが、自動車業界では、衝突安全装置の普及や自動運転装置の開発・標準化に伴い、自動車補修用塗料の市場は縮小傾向であります。このような状況の中、自動車補修用分野では、より一層の製品開発と新規開拓の推進により、シェアの拡大を図ります。また、大型車両用分野・各種工業用分野など新しいマーケットの獲得を目的に、提案と取り組みを強化し、収益の向上に繋げてまいります。さらに、ソフト面の強化としまして、「YouTube」の公式チャンネルを活用してBtoB、BtoCへ製品をPRし、啓蒙・塗装動画サービスの発信を新たな市場向けに実施してまいります。

④ 生産性の向上

 経営資源を最適活用し、組織・業務・生産活動の効率化ならびに集約化に努めてまいります。具体的には、管理業務を本社へ、生産・受注業務を滋賀工場へ集中化し、トータルコストの低減・生産性の向上を進めるとともに、情報システムを強化して全社的な業務の効率化を推進してまいります。さらに、滋賀工場における生産ラインにおいて、費用対効果に配慮しつつ、生産設備の更新、合理化投資を実行し、生産力・収益力の向上に繋げてまいります。

⑤ グループ経営における社会的責任(CSR)

 当社グループの経営につきましては、社会的責任を果たすために、環境保全に積極的に取り組み、適切な企業情報の開示やコンプライアンスを一層推進するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化および内部統制の充実に全力を投入いたします。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「良品質な塗料を通して、広く社会に貢献する」という経営理念のもと、「時代の要求する製品」「愛される商品」を開発することを社是として、常に「業界の先駆者たれ」をモットーに技術開発を推進しております。その中で、コーポレート・ガバナンスを整備・強化し、顧客満足の向上につなげ、地球環境の保護を背景とした市場ニーズに対応し、継続的に企業価値を高めることにより、顧客、株主、社会から信頼される企業を目指します。また、人的資本を重視し、従業員の健康と働きがいのある職場・会社づくりに取り組んでいます。当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、気候変動や環境対応型製品の普及・拡大をサステナビリティ対応の重要課題と捉え、経営企画会議を月に1回開催し、サステナビリティに係る重要課題を審議、施策執行を決定し、取締役会にて監視・監督・議決を行うガバナンス体制を構築しております。また、経営企画会議の下に、製造・販売・管理部門の人員を横断的に構成した各種プロジェクト会議・委員会を設置し、サステナビリティに関連する課題を経営企画会議に報告しております。さらに、コンプライアンス委員会を年に4回以上開催し、経営企画会議における討議・決定事項を法令遵守・社会規範の観点から監視・監督しております。

 

組織体

開催頻度

役割

メンバー

責任者

取締役会

6回/年

取締役会は重要な業務執行に関する事項について討議、決裁する機関であり、サステナビリティ課題についても適切な対応が行われるよう監視・監督を行う。

取締役

取締役社長(議長)

経営企画会議

1回/月

経営企画会議は各部門や各プロジェクト会議・委員会の報告事項を基に、重要な経営戦略およびリスクやサステナビリティ課題に対し、当社の経営に関する基本方針を討議し、方向性を決定する。

取締役社長

業務執行取締役

部門長

取締役社長

コンプライアンス委員会

4回以上/年

コンプライアンス委員会は、取締役社長を責任者とした経営層で構成し、経営企画会議における決定事項を法令遵守・社会規範の観点から監視・監督する。

取締役社長

業務執行取締役

部門長

取締役社長

 

(2)戦略

 当社グループは「地球環境の保全と地域社会との調和」をコンセプトとして、エネルギー使用量の削減、温室効果ガスや環境負荷物質の排出抑制など、化学物質と産業廃棄物の適正な管理を行います。

① 気候変動対策

 地球温暖化防止、温室効果ガス排出削減のため、排出活動量の低減に取り組んでいます。具体的には、省エネ設備の導入や業務のIT化推進コスト削減が結果として資源使用量の削減につなげることを継続的に進めております。

② 環境対応型製品の普及

 水性塗料やPRTR法届出対象外の塗料の開発・普及を促進し、業績の拡大と顧客の安全・健康の両立を目指しております。

③ 地域社会への貢献

 企業市民として事業を展開する地域社会に根ざした貢献に取り組むとともに、地球環境保全活動に参加しています。

 具体的には、サンゴの保全活動である「チーム美らサンゴ」への参加、当社の生産拠点である滋賀工場近隣の環境保全活動「びわ湖を美しくする運動」に会社として参加しています。

④ 人材確保、人材育成の取り組み

 当社グループにおける人材確保、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、働く人の健康と働きがいのある職場・会社づくりを重要な課題と位置づけ、モチベーション向上と人材育成の適正な運用などにより、全役職員が能力を最大限に発揮できる働き方を実現するとともに、多様な人材が安心して働ける組織づくりに取り組みます。

 具体的には、全従業員を対象として社員教育制度を整備し、モチベーション向上やスキルアップに取り組んでいます。また、有給休暇や育児休業等の取得推進、健康診断項目の拡充、メンタルヘルス対策として社外相談窓口を設置し、より良い労働環境の整備、運用に努めています。

 

(3)リスク管理

① 気候変動に対するリスク

 エネルギーミックスの変化やエネルギー価格の高騰による温室効果ガス削減のためのコスト上昇を経営上のリスクであると認識しております。このようなリスクに迅速に対応するため、財務部門と製造部門が連携し、経営上のリスクを経営企画会議に報告し、省電力化の設備の追加投資やエネルギー価格の製品価格への転嫁を議論します。

② 製品市場における公的規制のリスク

 塗料業界における公的規制のリスクについては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク (2)公的規制について」に記載のとおりであります。このようなリスクに対応して水性塗料をはじめとする環境対応型製品の開発を迅速化し、市場へ供給することのより収益向上の機会となるものと認識しております。このような機会を収益につなげるため、経営企画会議の下に各種プロジェクト会議・委員会を設置し、経営課題解決に資する情報を報告する体制を構築しております。

③ 人材確保に対するリスク

 国内における生産年齢人口の減少により適正人材の確保が困難となることを当社グループの持続的成長に向けてのリスクであると認識しております。このようなリスクに対応するため、ジェンダーにとらわれない働きやすい職場環境を整え、社員の定着率向上を図るとともに、全従業員が成長できる社員教育制度を充実させ、生産性向上を目指しております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループはカーボンニュートラル実現のため、2030年にCO排出量を2013年度比46%削減することを当面の目標としております。まずは、燃料の燃焼などによるCOの直接排出「Scope1」、購入した電力等の使用に伴う間接排出「Scope2」といった当社自身の事業活動による排出量を把握し、気候変動対策に取り組みます。

 また、当社グループの持続的な発展に必要な人材の確保に資するため、女性活躍推進法に基づき、ジェンダーにとらわれない働きやすい職場環境を目指し、女性が活躍できる雇用環境の整備を行うため、次の行動計画を策定しております

 

(計画期間)

 2022年4月1日から2027年3月31日までの5年間

(取組内容)

(目標)正社員に占める女性社員の比率を15%以上にする。

(実績)当社グループ 13.5%(当連結会計年度)  当社 12.4%(当事業年度)

(対策)男性限定もしくは男性が圧倒的に多い職場での採用基準を見直すとともに、男女差のない職場では、積極的に女性を採用する。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 原材料の調達について

 当社グループの使用する原材料は石油関連製品への依存度が高く、原油・ナフサ価格等の動向が塗料原料の価格に影響を及ぼすことが懸念され、業績に多大な影響を受ける可能性があります。また、特定メーカーに依存している原材料について、そのメーカーの罹災や事故により調達が困難となった場合、当社グループの生産に影響を与え、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 公的規制について

 塗料業界におきましては、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染防止法などの環境関連法や、毒物劇物取締法、廃掃法、PRTR法などさまざまな法的規制の適用を受けております。当社グループは、社会や業界を取り巻く法律や規制の施行に積極的に取り組むため、「環境方針」を定め、ISO14001等を取得するなど対応に注力していますが、今後、新たな法規制の施行や強化などにより、販売活動の制限や法対応への費用増加などが当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 新製品の開発に対するもの

 当社グループは、多様化・高機能化する市場ニーズに対応できる新製品および塗装システムの開発を行なっておりますが、製品開発や販売政策の展開が適正な時期に行なわれなかった場合、将来の成長と収益性が低下し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 災害に対するもの

 危険物を取扱う工場として災害からの安全を確保するために法的な規制を遵守し、災害を未然に防止する対応をとり、万一の災害に対しては火災保険等を付保していますが、当社グループの生産拠点は滋賀工場(滋賀県草津市)のみのため、当工場が地震等の災害に罹災するなどで生産困難となった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス等の感染症拡大により、当社グループの生産拠点、物流体制、営業活動等に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 製造物責任について

 当社グループは厳正な品質管理基準に基づき製品を製造しておりますが、万一、製品に欠陥が発生した場合に備えて保険に加入しています。しかし、予期せぬ事情で大規模な製品の欠陥による損失が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) ITリスク

 当社グループは多数の情報システムを運用しており、権限責任の適切な配分、チェック体制の確立、また、外部からの進入に対する方策などを講じておりますが、情報の消失、情報の漏洩、回線障害、コンピュータやシステム障害、ウイルスによる障害等の影響を受ける可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が第5類に分類され、経済社会活動の正常化

が進み、企業収益は総じて緩やかに改善の動きがみられました。設備投資、個人消費には持ち直しの動きが、雇用

情勢には改善の動きがみられ、景気全体は緩やかに回復しております。一方で世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直しの動きがみられますが、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢、世界的な金融引き締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクがあります。わが国においても、原材料価格やエネルギー価格ならびに企業物価指数や消費者物価指数の高止まりなどが懸念され、当社グループを取り巻く環境は予断を許さない状況が続いております。

 このような状況の中、当社グループは一定の需要に対し安定して製品供給すべく事業活動を継続し、自動車補修

用市場でのシェアの拡大を図るため、顧客ニーズに沿った環境対応型塗料や高機能性塗料で販路拡大に注力すると

ともに、大型車両分野や工業用分野などの新規市場開拓や建築用塗料の受注拡大に向け、営業活動を展開いたしま

した。

 その結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ9億3百万円増加して207億63百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ2億54百万円増加して35億83百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ6億49百万円増加して171億79百万円となりました。

b.経営成績

売上高については、原材料価格の上昇分の一部を販売価格に転嫁し、収益確保に努めてまいりました。利益面につきましても、ウクライナ情勢の長期化ならびに原材料価格やエネルギー価格が高止まりしたことから、収益環境を慎重に見極め、生産部門における設備投資を必要最小限とし、不急の設備維持経費を抑制するなど総コスト上昇を一定程度に抑えることに注力いたしました。

その結果、当連結会計年度の売上高は、79億95百万円(前年同期比5.2%増加)となりました。利益面につきましては、営業利益は6億45百万円(前年同期比20.2%増加)、経常利益は7億55百万円(前年同期比18.3%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億20百万円(前年同期比19.1%増加)となりました。

塗料事業は、売上高78億94百万円(前年同期比5.2%増加)、営業利益6億1百万円(前年同期比21.6%増加)であります。

 分野別の販売状況は、自動車補修用塗料分野では、特化則対応、PRTR法対応の1液ベースコート「ハイアー

トNext」やハイソリッドクリヤー「アクセルクリヤー」シリーズで市場占有率の維持を図るとともに、特殊ウ

レタン樹脂をベースとした2液型塗料「ベッドライナービースト」で新規ユーザーの獲得に努めました。併せて、

水性1液ベースコート塗料「アクアスDRY」では主力ユーザーへの普及促進を行うとともに、水性塗料の安全性

を維持しつつ作業効率の改善と作業者の負担軽減を実現した水性1液ベースコート塗料「CRONOS HD」を

発売し、新規ユーザー獲得に注力しました。大型車両分野では、トラック荷台床面の木部保護塗料「ウッドプロテ

クト」、特化則対応、PRTR法対応の2液ウレタン樹脂塗料「ハイアートCBエコ」でユーザー獲得に注力し、

堅調に推移いたしました。さらに、調色作業を標準化・システム化した測色機「彩選短スマート」の販売を促進

し、ユーザーの作業効率改善や若年者の技術教育に大きく貢献いたしました。

 建築用塗料分野におきましては、主力の「ネオシリカ」シリーズに加え、JISA6021取得の外壁用塗膜防

水材「アトロンエラストマー」、抗ウイルス性、抗菌性、抗カビ性、消臭性に優れた内装用光触媒塗料「エアフレ

ッシュ」など、各種用途に特化した製品を展開いたしました。また、タイル床面等滑り止めの「スキッドガードシ

リーズ」では、高耐久性を実現した無溶剤2液型ウレタン樹脂塗料「スキッドガードTOUGH」、水性1液型ア

クリル樹脂塗料「スキッドガードAQUA」の販売促進に取り組みました。

 工業用塗料につきましては、ユーザーの環境重視志向を背景に「ハイアートCBエコ」の拡販に注力するととも

に、従来の水性塗料と比較して乾燥性・光沢を大幅に向上させた水性1液型アクリル樹脂塗料「アクアシャインG

A」において、引き続き個々のユーザーに対応して積極的な個別営業活動に取り組みました。

 エアゾール分野におきましても、工業用向けでは、補修用スプレー「エアラッカーエコ」の売上が堅調であった

ほか、DIY分野では、2液内部混合型エアースプレー「エアーウレタン」、1液カラークリヤー「キャンデーカ

ラー」が堅調に推移しました。

その他は、売上高1億1百万円(前年同期比1.1%増加)、営業利益44百万円(前年同期比3.0%増加)であります。

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、有価証券の売却及び償還による収入

10億円、税金等調整前当期純利益7億55百万円、定期預金の払戻による収入6億円などの増加がありましたが、投資

有価証券の取得による支出18億24百万円、定期預金の預入による支出6億円、法人税等の支払額2億13百万円などが

あり、全体として期首残高より15百万円減少し、34億26百万円(前連結会計年度末34億41百万円)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は7億98百万円(前連結会計年度6億88百万円)となりました。

 その主な要因は、増加した資金では、税金等調整前当期純利益7億55百万円、仕入債務の増加1億29百万円などがあり、減少した資金では、法人税等の支払額2億13百万円、売上債権の増加1億40百万円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は7億7百万円(前連結会計年度4億74百万円)となりました。

 その主な要因は、増加した資金では、有価証券の売却及び償還による収入10億円、定期預金の払戻による収入6億円、投資有価証券の売却及び償還による収入3億20百万円などがあり、減少した資金では、投資有価証券の取得による支出18億24百万円、有形固定資産の取得による支出1億80百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は1億6百万円(前連結会計年度1億6百万円)となりました。

 その主な要因は、配当金の支払額95百万円などによるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績及び商品仕入実績

生産実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

塗料事業(千円)

4,160,701

6.8

その他(千円)

合計(千円)

4,160,701

6.8

 (注) 金額は製造原価によっております。

商品仕入実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

塗料事業(千円)

1,483,649

5.0

その他(千円)

合計(千円)

1,483,649

5.0

 (注) 金額は仕入価格によっております。

b.受注実績

 主として見込生産によっておりますので、受注ならびに受注残高について特に記載すべき事項はありません。

c.販売実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

塗料事業(千円)

7,894,028

5.2

その他(千円)

100,983

1.1

合計(千円)

7,995,011

5.2

 (注) セグメント間取引については相殺消去しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ9億3百万円増加して207億63百万円となりました。

 資産の増加の主なものは、投資有価証券12億16百万円、長期預金6億円、受取手形1億48百万円、減少の主なもの

は現金及び預金6億15百万円、有価証券4億円であります。

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ2億54百万円増加して35億83百万円となりました。

 負債の増加の主なものは、電子記録債務1億70百万円、未払金51百万円であります。

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ6億49百万円増加して171億79百万円となりました。

 純資産の増加の主なものは、利益剰余金4億25百万円、その他有価証券評価差額金2億16百万円であります。

  以上の結果、自己資本比率は0.4ポイント下がり、80.8%となりました。

2)経営成績

 当社の主力事業の自動車補修用塗料分野の国内市場が停滞している環境において、環境保全の法規制などにより、塗料の低溶剤化・水性化を推進することが不可欠となるなど、事業環境は厳しい状況が続いております。そうした環境のもと、積極的な営業活動を展開いたしました結果、売上高は前連結会計年度比5.2%増加の79億95百万円となりました。

 製品の統廃合や総原価低減に取り組み、原材料価格や物流コスト等の上昇分の一部を販売価格に転嫁したことにより、営業利益は前連結会計年度比20.2%増加の6億45百万円、経常利益は前連結会計年度比18.3%増加の7億55百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比19.1%増加の5億20百万円となりました。

 3)キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況におきましては、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ15百万円減少し、34億26百万円(前連結会計年度末34億41百万円)となりました。

 営業活動による資金の増加は、7億98百万円となりました。

 投資活動による資金の減少は、7億7百万円となりました。

 財務活動による資金の減少は、1億6百万円となりました。

 なお、詳細は「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営に影響を与える大きな要因としましては、使用する原材料の石油関連製品への依存度が高く、原油・ナフサ価格等の動向が塗料原料の価格に影響を及ぼします。また、物流費の上昇もコスト増加の要因であり、原材料価格の上昇によるコスト増とともに収益の圧迫要因となります。このような状況の下、当社グループは生産効率化ならびに業務の効率化によりコスト増を吸収しつつ、一部販売価格への転嫁等により対応しております。

 当社グループの主たる事業である塗料業界におきましては、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染防止法などの環境関連法や、毒物劇物取締法、廃掃法、PRTR法などさまざまな法的規制の適用を受けております。当社グループは、社会や業界を取り巻く法律や規制の施行に積極的に取り組むため、「環境方針」を定め、ISO14001等を取得するなど対応に注力しています。また、大規模な事故・災害等の発生に備えて、事業継続計画(BCP)を策定し、社員教育や災害訓練等によりBCPの周知徹底および実効性の向上を図っております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの主たる事業である塗料事業であります。塗料事業の必要な資金は、製造費用、販売費および一般管理費、設備投資でありますが、これらは全て営業活動によるキャッシュ・フローと内部資金により調達しており、金融機関からの借入や社債の発行による資金調達はありません。今後の事業の維持・発展に必要な運転資金・設備資金についても内部資金による調達で可能であると考えておりますが、取引銀行2行と20億円の当座貸越契約を締結し流動性を補完しています。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。なお、この連結財務諸表作成に当たりましては、引当金の計上など一部に将来の見積りに基づいているものがありますが、これらの見積りは当社グループにおける過去の実績等を勘案し、「退職給付に関する会計基準」「税効果会計に係る会計基準」「金融商品に関する会計基準」などに準拠しております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、当社技術部を中心に、塗料、塗装及び塗装システムを含めた各用途分野にわたり長期的な基礎研究を行うとともに、営業企画部も加え、多様化・高機能化する市場ニーズ及び環境保護を目的とした環境対応型塗料の開発に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費は235百万円であります。

 なお、当連結会計年度の主な研究開発活動は次のとおりであります。

 

(1)自動車補修用塗料分野

 上塗り関係では、揮発性有機化合物(VOC)を大幅に削減した、主力の1液型上塗り塗料の市場拡大を図りつつ、優れた環境機能を持つ水性塗料の更なる開発・研究を進め、トータル的に使い易く、より環境負荷低減を実現出来る製品開発に取り組みました。

下地関係では、新製品を含め顧客から高い評価を得ておりますが、更なる技術開発に注力し、より顧客満足度の高い製品を提供出来るよう研究開発に取り組みました。

 

(2)建築用塗料分野

 環境対応型塗料を重点商品とし更なる研究開発を行い、水系、弱溶剤系、室内環境対応水系などの環境型高機能性塗料の一層の充実に取り組みました。

 また、タイル床面の滑り止めシステムや磁器タイルの美装に漏水防止性を付与した磁器タイル壁面改修システムの開発を進めるとともに、消臭・抗菌等に特徴がある内装用光触媒塗料に加え、遮熱塗料として高日射反射率カラー舗装材・ガラス用遮熱コーティング材など「熱」「ニオイ」に特化し、高い技術力を生かした高機能性塗料の充実にも注力しました。

 

(3)工業用塗料分野

 個々のユーザーに対応して積極的な個別営業活動に対応する技術指導・開発に積極的に取り組みました。また、従来の溶剤系塗料の無鉛化を積極的に推進するとともに、工業用分野における水性化へのシフトに取り組みました。

 エアゾール製品におきましても、環境対応型スプレーの充実を図るとともに、磁器タイル用滑り止めスプレー、万能型1液密着プライマースプレーなどのエアゾール製品の充実に取り組みました。