文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、取り巻く経営環境が大きく変化する中、持続的な成長を目指すべく、2021年に新たに企業理念を策定いたしました。企業理念は、わたしたちの使命(パーパス)、わたしたちが目指す未来(ビジョン)、わたしたちが大切にする想い(バリュー)と、これらを一言で表した『コーポレートメッセージ』(おいしく たのしく すこやかに)で構成しております。この企業理念を当社グループにおける全ての活動の拠り所として、ステークホルダーの皆様と社会の期待に応えることで持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な企業価値向上を図ってまいります。

(2) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
① 経営環境
日本国内の人口動態の変化、気候変動や資源不足、デジタル技術の発展、生活環境の変化など、今後予測される経営環境の変化は安定的な事業活動にとって脅威であるとともに、市場のニーズに迅速に対応していくことで大きな機会になり得ると捉えております。

② 2030経営計画
当社グループは、企業理念のもと、持続可能な社会の実現に貢献しつつ中長期的な成長を遂げ、企業価値を高めていくため、2030年に向けた長期経営計画「2030経営計画」を推進しております。
2030ビジョン
当社グループは、2030年の目指す姿として2030ビジョン『森永製菓グループは、2030年にウェルネスカンパニーへ生まれ変わります。』を定めております。「ウェルネス」とは、「いきいきとした心・体・環境を基盤にして、豊かで輝く人生を追求・実現している状態」と定義し、顧客・従業員・社会に、心の健康、体の健康、環境の健康の3つの価値を提供し続ける企業になることを目指してまいります。120余年の歴史で培った信頼と技術を進化させ、あらゆる世代のウェルネスライフをサポートしてまいります。

基本方針
方針1)事業ポートフォリオの転換と構造改革による収益力の向上
<重点領域への経営資源集中>
高い収益性、成長性が見込める事業として、「inゼリー」など「in」ブランドを中心とするin事業、冷菓事業、通販事業、米国事業を選定し、これらを重点領域と定めました。重点領域への経営資源集中によって当社グループの成長を牽引してまいります。
<基盤領域による安定的なキャッシュ創出>
菓子食品事業など着実な売上高拡大と収益力向上を目指す事業を基盤領域と定め、重点領域への投資原資の安定的な創出に取り組んでまいります。
<探索・研究領域の取組み>
ウェルネスを基軸とした国内外におけるビジネスモデルの創造や商品開発など、新たな取組みを総称して探索・研究領域と定め、次世代成長を担う新事業の育成を目指してまいります。
<機能部門を中心とした構造改革による収益力の向上>
重点領域への投資原資を創出するとともに、様々な経営リスクに備えるべく、生産、物流、販売など機能部門を中心に、全社的に構造改革を実行していくことで、収益力のさらなる底上げに取り組んでまいります。
方針2)事業戦略と連動した経営基盤の構築
「2030経営計画」の達成に向けた事業戦略と連動し、「人」「技術」「キャッシュ」そして「デジタル」という経営に不可欠なリソースを最大限活かすことで経営基盤をより強固なものにしてまいります。併せてコーポレート・ガバナンスの改革を推し進め、経営の透明性向上を図ってまいります。
方針3)ダイバーシティ&インクルージョンの推進
「一人ひとりの個を活かす」という考えのもと、ダイバーシティ&インクルージョンを推進することで、多様な人材が活躍できる環境・風土をベースに社会課題の解決につながる新しい価値(イノベーション)を創出できる環境の整備を推し進めてまいります。
経営目標
「2030経営計画」における経営目標・指標は以下のとおりであります。
(注1)2030経営計画策定時(2021年5月)の目標(15%以上)よりアップデートしております。
(注2)2030経営計画策定時には目標を開示しておりませんでしたが、新たに追加しております。
(注3)貸方アプローチで算出 計算式:NOPAT÷投下資本(有利子負債+株主資本)
2030経営計画全体像

③ サステナブル経営
パーパスに基づくサステナブル経営を推進
現在、グローバル社会では、気候変動問題をはじめとする社会課題の深刻化やデジタル化の急速な進展など、企業活動に大きな影響を及ぼす環境変化が今までにないスピードで起き、将来の見通しに関する不確実性も高まっております。そのような中、パーパス・2030ビジョンを実現するには、ありたい姿に向けた課題を明確化したうえで、長期視点を持ち、全社グループを挙げて取り組んでいくことが必要であります。
当社グループは、創業時より社会への貢献を強く意識して事業を行ってまいりましたが、新たな企業理念の策定を機に、グローバル社会の一員としてSDGsの達成を含めた持続可能な社会の実現に向けた取組みを、これまで以上に積極的に進めていくことといたしました。このような取組みの積み重ねが、当社グループのビジネスをよりサステナブルなものとし、持続的成長と中長期的な企業価値の向上につながると考えております。
当社グループのマテリアリティを特定
当社グループでは2024中期経営計画策定に当たり、経営を取り巻く外部環境変化を踏まえて、マテリアリティの見直しを行いました。マテリアリティへの対応を通じて、社会価値の創造とレジリエントな経営基盤づくりを着実に進め、持続的成長を実現してまいります。
<当社グループのマテリアリティ特定プロセス>
外部環境変化を踏まえ、新たに抽出・整理した取り組むべき課題について、社外ステークホルダー16名(投資家3名、取引先5社、NGO1名、アドバイザリーボードメンバー3名、社外役員4名)と社内のキーメンバー11名で重要性評価を行いました。その結果を基に役員で議論を重ね、当社グループのマネジメントや業務とのつながりを総合的に考慮して統合し、社内決議及び取締役会報告を経て、5つのマテリアリティを特定いたしました。



④ 2021中期経営計画(2021-2023)振り返り
2030経営計画の1stステージである2021中期経営計画は、「飛躍に向けた新たな基盤づくり」をテーマに事業活動を推進してまいりました。外部環境の様々な変化に対応すべく、ブランド力や技術力に磨きをかけながら、価格改定や様々なコスト低減の取組み等機動的に対策を講じるとともに、資本コストや株価を意識した経営の実践として株主還元の強化を図り、企業価値向上に努めてまいりました。
結果として、米国事業を中心に重点領域の各事業が売上成長を果たし、重点領域売上高比率、海外売上高比率ともに目標を大きく上回りました。また、無形資産への積極的な投資により事業成長を支える経営基盤の構築を推し進めました。2021中期経営計画最終年度である2023年度には、コロナ前水準の営業利益へV字回復を果たし「飛躍に向けた新たな基盤づくり」に一定の成果を挙げることができました。
収益性の観点では、ROEは目標を達成しましたが、売上高営業利益率は目標未達となりました。基盤領域を中心とした資本収益性の向上、グローバル視点での構造改革や経営基盤のさらなる強化が課題であると認識しております。
経営目標
「2021中期経営計画」の経営目標及び重要経営指標と当連結会計年度の実績は以下のとおりであります。
⑤ 2024中期経営計画(2024-2026)
2025年3月期を初年度とする「2024中期経営計画」では、2030経営計画達成をより確実なものにするための2ndステージと位置づけ、キーメッセージを「飛躍に向けた成長軌道の確立」と定めました。
成長し続ける永続企業を目指して、重点領域の成長、経営基盤の強化に向け積極的な投資を継続するとともに、基盤領域及び機能部門を中心とした構造改革を推し進めてまいります。ROICマネジメントの実践を通して、これらの戦略をスピードをもって実行することにより、成長性と資本収益性の好循環を生み出し、2030年に向けた成長軌道を確かなものにしてまいります。

⑥ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
重点領域による成長の牽引
「inゼリー」を中心としたin事業や「チョコモナカジャンボ」をはじめとした冷菓事業、「おいしいコラーゲンドリンク」などの通販事業の拡大、米国事業では「HI-CHEW」を中心としたブランド育成と事業基盤の強化など重点領域に経営資源を集中してまいります。
in事業においては、ゼリー飲料のトップランナーとして「inゼリー」のさらなるシーンとターゲットの拡大を進めるとともに次世代成長ドライバーを育成いたします。冷菓事業は独自価値を有する商品群の技術深耕により、強いものをより強くするとともに、価値提供領域を拡大していく「芽の創造」にも取り組むことで事業成長を実現してまいります。通販事業はこれまで蓄積してきた顧客データを活用し、1to1マーケティングの実践と顧客ニーズに応える商品・サービスの提供によって定期顧客の育成を図るとともに、DtoCの仕組みを構築し新たな事業領域への進出を目指します。米国事業においては、「HI-CHEW」のさらなる拡大と「Chargel」をはじめとした次世代成長ドライバーの育成を図るとともに、事業成長を支える基盤強化を着実に進めてまいります。
基盤領域の資本収益性向上
菓子食品事業においては、「ハイチュウ」「森永ビスケット」など主力ブランドへの集中によるカテゴリーポートフォリオの転換、保有資産を活かした売上高の拡大、維持更新投資の選択と集中による段階的アセットライト、コスト低減や販売費効率化、機動的な価格改定など高収益基盤の構築に向けて様々な取組みを実施してまいります。
探索・研究領域による新たなビジネス創造と育成
ウェルネスを基軸に、国内では独自技術を活用した口腔ケア領域への挑戦や当社独自の素材であるパセノール™ビジネスの育成、海外では、ゼリー飲料やコラーゲンドリンクにおける市場創造に取り組み、次世代の成長を担う芽の創造と育成に取り組みます。
機能部門の構造改革
製造部門のスマートファクトリー化のさらなる進化や市場変化を見据えた販売部門の組織最適化による生産性の向上、物流体制の変革により全社的な資本収益性の向上を図ってまいります。構造改革を支える人材育成の強化や職場環境のさらなる改善等、従業員のエンゲージメントを高める取組みを推進してまいります。
経営基盤の構築
成長軌道の確立に向け事業戦略を横断的に支える経営基盤を構築してまいります。
人事戦略では、「ダイバーシティ&インクルージョン」「人材育成・組織風土づくり」「健康経営の推進」の取組みを進め、人的資本経営を実践してまいります。また、R&D戦略ではグローバル視点の「既存技術深化」「新規技術探索」による価値の創出、DX戦略においてはデジタル経営基盤の拡張とAI技術等による業務高度化・効率化、経理財務戦略ではROICマネジメントの全社推進を行ってまいります。
⑦ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「2024中期経営計画」における最終年度2027年3月期の経営目標・指標は以下のとおりであります。
なお、2026年3月期よりすべての連結子会社の決算日を3月31日に統一する予定であります。これによる業績に与える影響は軽微の見込みであります。
(注)貸方アプローチで算出 計算式:NOPAT÷投下資本(有利子負債+株主資本)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みの状況は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般に関する事項
① ガバナンス
当社グループのサステナビリティに関するリスクと機会の分析、目標設定、進捗モニタリングについては、代表取締役社長を委員長とする「ESG委員会」にて審議され、取締役会はその報告を受けるとともに、活動状況について取締役会が監督しております。ESGの取組みは、役員報酬の一部と連動しております。
また、サステナブル経営の質的向上を図るために、「ESG委員会」の諮問機関として、サステナビリティ・アドバイザリーボードを設置しております。社外有識者3名に参画いただくことで、急激に変化する外部環境や多様化するステークホルダーのニーズを適切に把握し、対応を図っております。
多岐に渡るサステナビリティ活動を適切に推進するために、「ESG委員会」傘下には、取締役を委員長とした5つの分科会を設置し、個々のテーマについて、管理・推進に取り組んでおります。

「ESG委員会」は2023年度に8回開催し、持続可能な原材料調達や、気候変動問題への対応など、全15議題を扱いました。「ESG委員会」での審議事項は、経営に関する様々な意思決定において考慮されております。
2023年度ESG委員会の開催実績と主な討議内容
② リスク管理
当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「トータルリスクマネジメント委員会」において、リスクの洗出しやレベル評価、リスクへの対応策検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。サステナビリティに関して特に重要とされるリスクについても、同委員会にて適切に管理しております。また、サステナビリティに関するリスク全般については、「ESG委員会」にて管理し、対応策の進捗モニタリングを実施しております。
両委員会で審議された内容は、取締役会へ報告され、取締役会はリスクの管理状況について監督しております。
パーパスに基づくサステナブル経営及びマテリアリティ特定プロセス
パーパスに基づくサステナブル経営及びマテリアリティ特定プロセスについては、
マテリアリティに対する主なアクション
特定した5つのマテリアリティと、マテリアリティに含まれる主な課題に対して、リスクと機会を分析したうえで、2030年に向けたアクションを設定し、取組みを進めております。
マテリアリティ1.世界の人々のすこやかな生活への貢献
マテリアリティ2.多様な人材の活躍
(人的資本に関する戦略並びに指標及び目標の詳細については、「(2) 人的資本に関する事項(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)」をご参照ください。)
マテリアリティ3.持続可能なバリューチェーンの実現
マテリアリティ4.地球環境の保全
(気候変動に関する戦略並びに指標及び目標の詳細については、「(4) 気候変動」をご参照ください。)
マテリアリティ5.サステナビリティガバナンスの強化
④ 指標及び目標
特定したマテリアリティについて、2030年に向けた長期目標を設定しており、各目標に向けた進捗管理を実施しております。
(注)1 対象:当社が定義する<心の健康を深掘り><体の健康を加速><心の健康から体の健康へ進
化>した商品。人口割合はインテージ社SCI年間購入率(対象:全国15才~79才消費者)より
算出。今後、グローバルでのありたい姿の設定を検討
2 当社調べ
3 FSSC22000、SQF Codes edition 9、JFS-B規格等
4 ISO10002
5 対象:森永製菓㈱単体、出向者を除く正規従業員
6 対象:国内グループ連結(正規従業員)
7 対象:グループ連結(一部非正規従業員を含む)
8 グループ連結。紙は製品の包材が対象
9 対象:国内の森永製菓㈱製品。紙は製品の包材が対象
10 グループ連結
11 対象:原料受け入れから納品(流通)までに発生するフードロス(国内グループ連結、
原単位、2019年度比)。発生した食品廃棄物のうち、飼料化・肥料化等、食資源循環に戻す
ものを除き、焼却・埋め立て等により処理・処分されたものを「フードロス」と定義
12 グループ連結
13 Scope1+2(国内グループ連結、2018年度比)
14 対象:包装材料におけるプラスチック使用量(原単位、2019年度比、バイオマスプラスチック
への置換を含む)
(2) 人的資本に関する事項(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)
① ガバナンス
当社グループの人的資本に関するリスクと機会の分析、目標設定、進捗モニタリングについて、役員の人事やガバナンスに関しては、社外取締役を委員長とし、構成メンバーは社外取締役全員と代表取締役社長とする「役員人事報酬諮問委員会」、従業員の人事やガバナンスに関しては、代表取締役社長を委員長とする「人事委員会」にて審議され、取締役会はその報告を受けるとともに、活動状況について監督しております。他にも「社長賞審査委員会」、「健康推進委員会」を開催しております。
② リスク管理
当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「トータルリスクマネジメント委員会」において、リスクの洗出しやレベル評価、リスクへの対応策立案と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。人的資本に関して特に重要とされるリスクについても、同委員会にて適切に管理しております。また、人的資本に関するリスク全般については「人事委員会」にて管理し、対応策の進捗モニタリングを実施しております。両委員会で審議された内容は取締役会へ報告され、取締役会はリスクの管理状況について監督しております。
③ 戦略
<人的資本経営の取組み>
当社グループは企業理念のもと2030ビジョンを掲げ、成長し続ける永続企業(サステナブルカンパニー)を目指しております。これを実現する原動力は「人」、そしてその力を最大化するのはダイバーシティ&インクルージョン(以降D&I)の実践と捉え、経営戦略の中心に位置づけております。「人」の持つ力、すなわち人的資本の価値を最大化すべく2030経営計画と連動した人事戦略を推進し、人的資本投資を実行いたします。
人事戦略においては、会社と従業員相互の信頼関係のもと、D&Iの中心となる考え方である「一人ひとりの個を活かす」ことで従業員の幸せを実現するとともに、エンゲージメントを高め、生産性を向上し社会に対して価値を生み出し続け、当社グループの持続的成長の実現を図ります。そのために従業員に自律した成長を促すとともに、人材の価値を継続的に高めること(働きがい)、従業員が持てる能力をいかんなく発揮できるよう環境を整えていくこと(働きやすさ)の2点を追求いたします。その上で「D&Iの推進」「人材育成」「健康経営の推進」を重要戦略として人的資本経営を実践してまいります。

<重要戦略への取組み>
取組み1)D&Iの推進
当社グループは全員活躍を標榜し、社員一人ひとりが活躍できるような風土醸成を目指しております。2022年度より「プロティアン・キャリア(主体的かつ変幻自在なキャリア)」の考え方を中心に据え、従業員のキャリア自律を推進しつつ、「女性」「シニア」といった属性別の活躍に向けた施策も並行して実施しております。また、多様な人材の採用に積極的に取り組んでおります。
a.D&Iの更なる浸透への取組み
2023年度はダイバーシティポリシー浸透研修及び研修後のフォローを実施し、事後アンケートにより理解が進んでいることを把握いたしました。D&I推進が一定程度進行したことにより、今後は、従来からの取組みである「全社」に対する理解・行動促進支援に加え、「個別」の部門に対するイノベーション創出に資するインプットなどの理解・行動促進支援を行い、より価値の創出につながる施策を展開してまいります。
b.キャリア自律の推進
従業員のWill・Can・Mustの重なりが増えることがキャリア自律を実現できている状態と捉え、さまざまな施策を組み合わせることでその支援を行っております。キャリア自律の浸透に向けては上司によるきめ細かなキャリア支援が不可欠であると考え、2023年度は全社で約350名を対象に「キャリア支援力強化ワークショップ」を実施いたしました。実施後のアンケートでは、キャリア面談の場において上司による傾聴や共感の姿勢を感じ取る社員が多数を占めたという結果が確認でき、前向きな反応が見られました。2024年度は職場の中堅層との対話会を実施してまいります。

c.女性活躍推進
2023年度は、社外の女性経営者の基調講演から自身のキャリアのモデルとなる要素を見つけ、キャリアの軸となる重要な価値観等を再発見することを目的とした、女性に特化した研修を実施いたしました。また、2023年6月よりキャリア相談室を常設化し、育児と仕事の両立も含めた支援を開始いたしました。
d.シニア活躍推進
2022年度より50代社員にキャリア自律の研修を実施しています。Will×Can×Mustを自ら考え直すアンラーニング研修は2年間の累計で134名が受講いたしました。研修後の本人及び一部上司へのフォロー面談を実施したところ、モチベーションアップや自己研鑽への意欲喚起などの効果が見られました。2024年度は対象部署を拡大するとともに、越境ワークショップや自分の強みの稀少性を明確にする研修など、多角的にキャリアを考えるための様々な施策を実施いたします。また、エイジズム解消に向けて上司層との対話も継続的に実施してまいります。
e.人材の多様化に向けた取組み
・新卒採用
事務系総合職において「マルチタレント」コース以外に、「経理・IT」、「セールススペシャリスト」を加えた3コースで人材を募集しております。また、生産技術系総合職においては2024年度から「生産マネジメント」、「製造エキスパート」の2コースに分けることで、個人のキャリア意向や適性を踏まえた人材の採用につながるよう取り組んでおります。
・キャリア採用
2023年度のキャリア採用人数(登用者含む)は、全採用人数の31%となっております。今後も計画的に採用を継続してまいります。
取組み2)人材育成
「人材育成」については、「経営計画に連動した人材育成」と「個人のキャリア開発」との両立を目指しております。「経営計画に連動した人材育成」として、サクセッションプランの策定・推進、専門人材の確保・育成を実施するとともに、「個人のキャリア開発」を支援する取組み等を充実させております。
a.サクセッションプランの策定・推進
各階層候補者の継続的な育成に向けて、中長期的な視点で取組みを実施しております。
・役員候補
数回に及ぶプロフェッショナルコーチとの1対1のコーチングを通して、全社リーダーとしてのあり方などのテーマで、自ら気づきを得る機会を設けており、当社グループの経営人材要件を備えた人材の継続的な育成に取り組んでおります。
・部長候補
他流試合型研修は、会社で選抜した従業員を派遣し、他社の選抜層と共に社会課題などのテーマについてディスカッションを行い、社会を捉える視野の拡大や外部との共創力の醸成等を図ります。また、森永レシピ研修は、問題解決のフレームワークを学ぶワークショップで、2019年度にスタートして以降継続して実施しております。
・マネジャー候補
30歳代の選抜社員に対し、9ヶ月にわたって次世代リーダーに求められる要件開発に取り組む研修を現在4期まで実施しております。また、次世代リーダー研修修了者を対象に外部スクールへの派遣を行い、さらにマネジメントスキル開発に向けた研鑽の機会を設けております。
b.専門性の高い人材の確保と育成
各業務領域において、専門性の高い人材の確保と中長期的な育成に取り組んでおります。2023年度は重点分野であるDX人材、経理人材、グローバル人材の要件に基づき、専門性の現状把握を行うとともに、公募中心に選出された従業員に対して研修を開始いたしました。2024年度はより高度な専門性の育成メニューを展開するとともに、R&D人材に対象を拡大してまいります。
c.自律的な能力開発を推進する主な取組み
・人材育成プログラムによる育成
当社が定義する6つの能力の現状を上司と本人で把握し、さらに伸長させていくための育成メニューと連動させることで、計画的な能力開発に取り組んでおります。具体的には、年に1回、上司と本人が自身の能力に関するアセスメントを実施し、現状把握と能力開発に向けた対話の場を設けており、2024年度も継続して実施してまいります。
・社内公募
従業員の手挙げによる異動を可能とする仕組みを整備し、一部の部署を対象に運用しております。2023年度は、マーケティング本部や海外事業本部などを中心に、5つの部署で社内公募を実施いたしました。2024年度も継続して実施してまいります。
・従業員の主体的な学びの支援
2023年秋に自己啓発用社内プラットフォームを開設いたしました。既に積極的に活用している従業員も多数おり、一例としましては、研究所の社員が講師役となって勉強会を企画し、参加者は商品に関する知識を学ぶことができたと同時に、参加者同士の人的ネットワークの広がりにつながりました。2024年度はさらなる活用促進に向けて、プラットフォームでの情報発信や周知強化に取り組んでまいります。

d.要員構成の最適化推進
中長期的視点で重点領域への人材配置のウェイトを高めております。また、モニタリングを強化することで生産性の向上を図っております。
取組み3)健康経営の推進
当社グループが永続企業(サステナブルカンパニー)として、心と体をすこやかにする食を創造し、誰もが笑顔で過ごせる持続可能な社会の実現に貢献していくためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが重要と考えております。そして、当社グループでは2030ビジョン「ウェルネスカンパニーへ生まれ変わる」を掲げており、下記のとおり、健康経営を推進しております。
a.基本方針と推進体制
・健康宣言
「森永製菓健康宣言」を指針に掲げ、従業員の「心と体の健康」を維持・増進する取組みを支援しております。従業員が健康でやりがいをもって働くことができる職場環境を整備することで、従業員の活力向上や生産性向上等を通した組織の活性化を実現し、当社グループの持続的な成長と社会により良い価値を提供することを目指しております。
・推進体制
代表取締役社長直轄の「最高健康責任者(Chief Health Officer;CHO)」を人事部担当役員が担い、また人事部と森永健康保険組合の他に、統括産業医及び産業保健スタッフも参画する「健康推進委員会」を設置し、理念や方針の策定、施策の検討・実施に関する意思決定を行っております。全国の主要事業所に配置される健康管理担当者、安全衛生スタッフが具体的な施策の展開を担い、従業員や家族の健康課題に継続的に向き合い、健康増進を進めております。

b.健康経営を推進する主な取組み
心の健康
・「こころく」
従業員・顧客に「心の健康」を提供することを目指し、2023年度には心が健康な状態を6つの要素で定義した「こころく」を策定いたしました。この「こころく」に基づき、従業員一人ひとりが日々の業務に落とし込み、自発的に行動している状態を推進することで、従業員エンゲージメントの向上と事業活動への貢献を目指しております。具体的には、グループ全従業員に対して、当社が目指す「心の健康」の価値提供に関する解説資料や動画を作成し、その推進と達成に向けた取組みを進めております。

・メンタルヘルス対策
「こころく」の理解・推進に向けた従業員向けセミナー等を開催しております。自己管理能力の向上やメンタルヘルスに対する意識を高めるため、職位者研修やセルフケアセミナーでの啓発を定期的に実施しております。ストレスチェックの受検率は制度導入以降95%以上を維持しており、従業員自らがストレスに気づく機会の提供と集団分析による環境改善に活かしております。また社内外に専門的な相談窓口を設け、従業員が相談しやすい環境も整備しております。
体の健康
・全社健康増進イベント「ハビット」
従業員とご家族の健康づくりと生活習慣改善を目的に、一人ひとりが健康に関する目標を立てて運動や食生活改善などを行う森永健康保険組合独自の取組み「ハビット」は、今年で22回目を迎え、2023年度の参加者は1,960名を超えました。
・エイジフレンドリーな職場づくり
職場には、様々な年齢層の従業員がおりますが、年齢に関係なく、すべての従業員が活躍するエイジフレンドリーな職場づくりに力を入れております。たとえば、豊富な知識と経験を持つシニア層の安全とさらなる活躍を支援するため、当社グループの工場においてシニア教育や体力測定、当社独自の転倒予防体操を展開し、全員が安全かつ健康的に長く働き続けることを目指した取組みを行っております。
労働環境の整備
・ヘルスリテラシーの向上
外部講師や産業医を講師に迎え、毎年「健康フォーラム」を開催しており、2023年度は「睡眠改善セミナー」「知っておきたい目の話」をテーマに実施いたしました。全国各地より250名以上の従業員がオンラインで参加したほか、初めてお取引先様も招待し開催いたしました。
・総労働時間短縮に向けた取組み
健康を損ないかねない長時間労働を発生させないため、労働時間管理の精度向上をはじめ様々な施策を実施しております。また労働組合とともに「労働時間対策労使会議」を開催し、現状把握と対策について意見交換を行い、労働環境の改善に努めております。2024年度からは管理職も労働時間管理の対象に含め、取組み範囲を拡大してまいります。
・労働安全衛生の取組み
企業経営の基盤である労働安全衛生活動を「労働安全衛生方針」に沿って行っております。年齢・経験・言語・雇用関係・働く場所等の一人ひとりの違いにかかわらず、安全で働きやすい職場環境の維持・向上を目指しております。具体的には、従業員の安全と健康を最優先に考えた定期的な安全教育の実施や、職場の安全管理の徹底、事故や災害の予防活動等に取り組んでおります。
取組み4)外部評価
・「健康経営※優良法人2024(大規模法人部門)」認定
当社は「健康経営※優良法人2024(大規模法人部門)」に認定され、今回で7年連続の認定となりました。
特に「健康経営推進に関する情報開示」や「育児・介護と就業の両立支援」など健康経営の実践に向けた土台作りなどが評価されました。
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標であります。
・スポーツ庁「スポーツエールカンパニー※2024」認定
2023年度の認定に続き、2024年度も「スポーツエールカンパニー※」の認定を取得いたしました。ウェルネスカンパニーへの生まれ変わりを加速させるためにも、今後も継続的な認定取得を目指してまいります。
※スポーツエールカンパニーとは、スポーツ庁が従業員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な
取組みを行っている企業を毎年認定しているものであります。
取組み5)従業員との対話
従業員のエンゲージメントを高める取組みとして、経営トップと従業員との対話を大切にしております。経営トップが各事業所を訪問し、従業員と対話し、従業員の理解を深めるよう取り組んでまいりました。2021年度から2023年度にかけて、海外グループ会社を含む約2,000名を超える従業員とのディスカッションを行うことでトップの想いを共有しております。現在は2周目に入り、少人数での対話をポイントとして実施しております。今後も従業員との対話を継続していきたいと考えております。
④指標及び目標
(注)1 対象範囲:国内グループ連結
(注)2 対象範囲:森永製菓㈱単体
(注)3 対象範囲:森永製菓㈱工場及び国内生産グループ会社
度数率:100万延べ労働時間当たりの労働災害による死傷者(不休災害による傷病者は含まず)
をもって労働災害発生の頻度を表しております。
(3) 気候変動に関する事項
当社グループでは、気候変動は事業の継続や持続的な成長に影響を及ぼす重要な課題と認識しております。金融安定理事会(FSB)により設置されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に2022年4月に賛同し、気候変動シナリオ分析を行うなど、TCFD提言への対応を進めております。
① ガバナンス
気候変動に関する検討については、2021年度に「ESG委員会」の分科会として、「TCFD・TNFD分科会」を設置し、TCFD提言に沿って、当社グループのリスク・機会の分析及び対応策の検討を実施しております。「TCFD・TNFD分科会」は、サステナブル経営推進部の担当役員である取締役常務執行役員が委員長を務めております。2023年度は4回開催いたしました。検討結果については、「ESG委員会」で審議され、取締役会はその報告を受けるとともに、活動状況について監督しております。

② リスク管理
当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「トータルリスクマネジメント委員会」において、リスクの洗出しやレベル評価、リスクへの対応策検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。気候変動に関するリスクについても、同委員会にて、経営リスクとして適切に管理し、対応を推進しております。また、気候変動に関するTCFD提言に沿った検討については、「ESG委員会」の分科会として設置した「TCFD・TNFD分科会」において実施し、その結果を「ESG委員会」にて審議しております。両委員会で審議された内容は、取締役会へ報告され、取締役会はリスクの管理状況について監督しております。
以上により、全社のリスクを経営で適切に管理し、事業運営を行っております。
③ 戦略
シナリオ分析
当社の国内食料品製造事業について、4℃シナリオ、2℃シナリオ及び1.5℃シナリオを設定し、2030年及び2050年の影響を分析いたしました。気候変動によるリスクと機会の特定及び評価、またそれらのリスクや機会が当社グループのビジネス・戦略・財務に及ぼす影響の分析にあたって、政府機関及び研究機関が開示するシナリオを参照いたしました。
※参照したシナリオ等
<当社グループの重要度の高いリスク>
(注)1 財務影響が及ぶ売上高規模と費用規模、影響が及ぶ期間等について評価し、最終的な重要度を
判定
2 Scope1+2(国内グループ連結、2018年度比)
3 対象:包装材料におけるプラスチック使用量(原単位、2019年度比、バイオマスプラスチック
への置換を含む)
4 グループ連結。紙は製品の包材が対象
<当社グループの重要度の高い機会>
(注)5 スマートファクトリー化:IoT・AI技術等を利用して、技術と製造設備のデジタルデータ
を融合し、安定稼働・生産効率を向上させる取組み
6 対象:原料受け入れから納品(流通)までに発生するフードロス(国内グループ連結、原単位、
2019年度比)。発生した食品廃棄物のうち、飼料化・肥料化など、食資源循環に戻すものを除
き、焼却・埋め立て等により処理・処分されたものを「フードロス」と定義
7 「1チョコ for 1スマイル」:対象商品の売上高の一部でカカオ生産国の子どもたちの教育
環境整備等を支援する活動
④ 指標及び目標
当社グループでは、気候変動リスクを緩和するため、2030年に2018年度比で国内グループ連結CO2排出量(Scope1+2)を30%削減、2050年に温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す目標を設定いたしました。生産現場における省エネ活動(エアー漏れ防止、断熱補修等)や省エネ設備の導入・更新、石油燃料から電気エネルギーへの置換推進等に取り組むとともに、再生可能エネルギーの導入を検討し、目標の達成に向けた取組みを進めております。

(4) 人権の尊重に関する事項
当社グループでは、事業を行う過程で直接または間接的に人権に影響を及ぼす可能性があることを認識しており、ビジネスに関わるすべての人々の人権を尊重する責任を果たすために、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく「森永製菓グループ人権方針」を 2023年に取締役会決議により改定し、本方針に基づいて人権尊重に取り組んでおります。
① ガバナンス
人権の尊重に関する取組みについて、コンプライアンス委員会とESG委員会にて対応を議論する体制としております。当社グループ内で懸念が生じた場合及び匿名報告が可能なヘルプラインに情報が届いた場合はコンプライアンス委員会へ報告し、社外で発生した場合はサステナブル経営推進部が情報を取りまとめてESG委員会に報告いたします。取締役会は、両委員会から報告を受けるとともに、活動状況について監督しております。
2023年度に「ESG委員会」の分科会として「人権分科会」を設置し、「人権分科会」は、サステナブル経営推進部の担当役員である取締役常務執行役員が委員長を務めております。

② リスク管理
当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「トータルリスクマネジメント委員会」において、リスクの洗出しやレベル評価、リスクへの対応策検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。人権に関するリスクについても、同委員会にて、経営リスクとして適切に管理し、対応を推進しております。また、従業員に対しては、コンプライアンス・アンケートを実施し、リスクの把握に努めております。人権デューディリジェンスの評価結果については、「ESG委員会」にて審議しております。以上の委員会で審議された内容は、取締役会へ報告され、取締役会はリスクの管理状況について監督しております。
以上により、全社のリスクを経営で適切に管理し、事業運営を行っております。
③ 人権尊重に向けた取組み
当社グループでは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権方針の策定、人権デューディリジェンスの実施、救済メカニズムの構築を推進しております。

a.人権方針改定
2023年に、有識者・専門家にご意見を伺いながら、「森永製菓グループ人権方針」を改定し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際的な枠組みと規範を尊重することを宣言いたしました。その中で、差別・ハラスメント・児童労働・強制労働・人身取引の排除に加え、生活賃金を満たす賃金の実現に努めること、採用と処遇におけるジェンダーをはじめとする差別の排除、子どもに負の影響を及ぼす広告を実施しないこと等を明示しております。
b.人権デューディリジェンスの実施
2022年に、当社グループの事業が及ぼす人権への負の影響について机上評価を実施いたしました。現時点では、当社グループの内外での製造過程において、労働安全衛生や外国人労働者の権利への配慮等がこれまで以上に求められていることや、原材料においては、カカオ生産地での児童労働以外にも賃金や労働時間に関連した様々な課題が潜在することを、改めて認識いたしました。この評価結果の検証を進めながら、引き続き具体的な負の影響の特定に取り組んでおります。
c. 救済メカニズムの構築
2022年に設立された一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に発足時メンバーの一員として加入し、その苦情通報の仕組みと専門家の助言の活用を開始しております。JaCERが提供する、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「対話救済プラットフォーム」を通して、既存のヘルプラインに加えて社外や海外からも通報を受け付けることが可能になりました。通報者に対しては、専門家の助言を受けながら適切な対応に努め、ビジネスと人権の課題解決に向けて取り組んでおります。
(1) リスクマネジメント体制
当社グループは、事業活動に潜在する様々なリスクを把握し、トータルリスクマネジメントの理念のもとリスクに対し適切な対応を図るべく取り組んでおります。事業活動に潜在するリスクに対応するため、内部統制システムの一環として「トータルリスクマネジメント規程」を制定し、想定されるリスクを分類・評価して平常時における予防策を実施しております。またトータルリスクマネジメントを組織横断的に検討・主管・実施する組織として、取締役が参加する「トータルリスクマネジメント委員会」を設置し、協議内容を取締役会に報告しております。
(2) リスクの把握と管理
当社グループは、「トータルリスクマネジメント規程」に基づき、想定リスクの把握とリスクの影響度・発生頻度の評価を行い「トータルリスクマップ」を作成し、リスク対応の優先順位を見直し・決定をしております。優先的に対応すべきリスクは、リスク対応策の立案部門と実施部門を明確にし、立案部門はリスク対応策の立案と実施状況のモニタリング、改善策の策定を行い「トータルリスクマネジメント委員会」に報告する、一連のPDCAを回しております。また災害発生時においても、事業継続を確実に行うために、主要商品について事業継続マネジメント(BCM)の円滑な運用が図れるよう定期的に見直しを行い、その結果を「トータルリスクマネジメント委員会」に報告しております。
◆リスクマネジメント体制図

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業、業績及び財政状態等に影響を与え、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク事項には、次のようなものがあります。
なお、本事項の文中に将来に関する事項が含まれており、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において判断したものであります。
(3) 短期・中期の視点から事業、業績及び財政状態等に影響を与える可能性のある重要なリスク
(4) 中期・長期の視点から事業、業績及び財政状態等に影響を与える可能性のある重要なリスク
なお、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある要素は、上記だけに限定されるものではありません。
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」に記載のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
■2024年3月期実績

(注)1 EBITDAは簡易版を使用→営業利益+減価償却費
2 2024年2月8日発表値
3 在外子会社換算レートは、1米ドル=140.56円
■2024年3月期実績:セグメント情報

② 財政状態の状況
財政状態は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、1,180億4千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ166億7千4百万円増加しております。これは主に、原材料及び貯蔵品が36億7千7百万円、未収還付法人税等が33億2千8百万円減少した一方で、現金及び預金が85億3千5百万円、受取手形及び売掛金が69億1千1百万円、現金及び預金の一部を取崩し合同運用指定金銭信託とした有価証券が49億9千9百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,055億9千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億4千3百万円増加しております。これは主に、機械装置及び運搬具(純額)が15億9千3百万円、土地が77億4千万円、建設仮勘定が25億3千2百万円減少した一方で、建物及び構築物(純額)が58億1千7百万円、無形固定資産のその他に含まれているソフトウエア仮勘定が11億2千6百万円、投資有価証券が30億5千万円、退職給付に係る資産が21億5千9百万円増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、644億3千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ131億3千9百万円増加しております。これは主に、未払金が25億6千4百万円、未払法人税等が58億3千2百万円、返金負債が18億4百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、265億5千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億1千8百万円減少しております。これは主に、繰延税金負債が2億8千3百万円、退職給付に係る負債が9億6千3百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、1,326億5千3百万円で、前連結会計年度末に比べ67億9千6百万円増加しております。これは主に、株主還元の強化により、配当金の支払い47億1千2百万円や自己株式の取得86億6千5百万円により減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益151億5千4百万円の計上による増加やその他有価証券評価差額金が24億9百万、退職給付に係る調整累計額が17億1千2百万円増加したこと等によるものであります。
以上により自己資本比率は、58.7%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ110億2千4百万円増加し、471億1百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は301億7千4百万円となりました。主な内容は、税金等調整前当期純利益205億7千6百万円、減価償却費94億9千2百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は53億4千5百万円となりました。主な内容は、有形固定資産の取得による支出90億9千1百万円、有価証券の取得による支出25億円、有形固定資産の売却による収入76億6千6百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は140億7千3百万円となりました。主な内容は、自己株式の取得による支出86億8千5百万円、配当金の支払額47億1千2百万円によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格(内部取引価格を含む)によっております。
2 「食料卸売」、「不動産及びサービス」及び「その他」のセグメントについては、該当事項はありません。
主要製品の受注生産は、行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルスの5類感染症への移行以降、経済活動や社会生活が正常化し、インバウンド需要が拡大するなど、緩やかな回復基調が続きました。一方、国内の物価上昇により消費者の節約志向が高まるなど、消費行動に影響を与えていることに加え、不安定な国際情勢の長期化や円安の進行による原材料価格高騰の継続、米国の金融引締め継続による景気下振れリスクなどが懸念され、事業を取り巻く環境は依然として不確実な状況が続いております。
このような中、当社グループは2030経営計画の達成に向け、2021中期経営計画の最終年度として「飛躍に向けた新たな経営基盤づくり」に取り組むとともに、様々な外部環境の変化に対応すべく事業強化を図ってまいりました。
その結果、国内では主に菓子食品事業、冷菓事業及び国内事業子会社が好調であったことに加え、米国事業が高成長を持続したことから、売上高は2,133億6千8百万円と前年実績に比べ189億9千5百万円(9.8%)の増収となり、3期連続で過去最高を更新し、2021中期経営計画の目標である1,900億円を大幅に上回りました。
損益については、原材料価格の高騰影響を受けましたが、増収及び価格改定効果により、営業利益は202億7千3百万円と前年実績に比べ50億3千8百万円(33.1%)の増益となりました。外部環境の逆風を受けながらも、中長期の成長を見据えた経営基盤・事業への投資を一段と加速したこともあり、2021中期経営計画の目標である215億円に対しては未達となりました。経常利益は前年実績に比べ52億8千2百万円(33.5%)増益の210億3千9百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年実績に比べ50億9千5百万円(50.6%)増益の151億5千4百万円となりました。
■営業利益増減分析

(注)当連結会計年度の実績調達レートは1米ドル=137.12円、前連結会計年度は同128.09円
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<食料品製造>
菓子食品事業
ビスケットカテゴリーでは、「森永ビスケット」は前期より「ムーンライト」を中心としたプロモーション及び商品展開を強化しており、人気コンテンツとコラボレーションした既存品の限定パッケージの展開や新商品の発売、高付加価値商品の贅沢シリーズが寄与し、ブランド全体で引き続き好調に推移し前年実績を上回りました。
キャンディカテゴリーでは、「ハイチュウ」は、世界中で愛されるグローバルブランドを目指しブランドロゴのリニューアルを実施、引き続き食感を訴求する商品及びプロモーション展開の強化により好調に推移し、前年実績を上回りました。また、「森永ラムネ」は、機能性表示食品の発売や受験生をターゲットとした販売促進の強化により、ボトル形態、パウチ形態の「大粒ラムネ」いずれも好調が継続し、前年実績を大きく上回りました。
チョコレートカテゴリーでは、「カレ・ド・ショコラ」は、基幹品は堅調に推移しましたが、新商品が苦戦し、前年実績を下回りました。「ダース」は高付加価値化に向けた戦術の変更が奏功しており、「香るダース」や「半熟ダース」などスイーツ需要に向けた新商品の売上が大きく寄与し、前年実績を上回りました。「チョコボール」は、基幹品はいずれも堅調に推移しましたが、「大玉チョコボール」など大人向け商品の見直しを実施、一部商品の終売によるアイテム数絞り込みが影響し、前年実績を下回りました。
食品カテゴリーでは、「森永甘酒」「森永ココア」ともに健康ブランドとして強化するべく、引き続き機能価値を訴求するプロモーションに取り組みましたが、前年実績を下回りました。
これらの結果、菓子食品事業全体の売上高は791億9千4百万円と前年実績に比べ48億8千6百万円(6.6%)増となりました。
損益については、原材料価格の高騰を増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年実績に比べ25億7百万円(162.6%)増益の40億4千8百万円となりました。
冷菓事業
「ジャンボ」グループは、インパクトのあるパッケージデザインで展開した冬季限定品の販売が好調に推移したことに加え、インバウンド需要獲得の取組みや新たな感性研究結果に基づく情報発信などブランドの価値訴求を継続的に行い、前年実績を上回りました。「板チョコアイス」は、品質の独自価値を訴求するTVCMを投入し基幹品の販売が好調に推移したほか、秋冬限定品として発売した「白い板チョコアイス」の販売好調(9月発売後、想定を上回る販売状況により一時休売、1月販売再開)も寄与し、前年実績を大きく上回りました。通年発売2年目となる「ザ・クレープ」はデザートアイスという品質特徴や喫食シーンを訴求するTVCM等のプロモーション展開を実施、定期的に新商品を発売することでブランド接点の拡大に取り組み、前年実績を上回りました。「アイスボックス」は、お酒の割材としての活用や乾燥対策などの訴求で秋冬の需要拡大に取り組んだことに加え、秋冬の店頭での取り扱い向上も寄与し、前年実績を大きく上回りました。
これらの結果、冷菓事業全体の売上高は453億9千4百万円と前年実績に比べ48億6千1百万円(12.0%)増となりました。
損益については、原材料価格の高騰を増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年実績に比べ13億7千3百万円(39.9%)増益の48億1千8百万円となりました。
in事業
「inゼリー」は、前年に新型コロナウイルス感染者向けとして自治体へ商品を供給した売上実績がある中、引き続きターゲット毎の飲用シーンの訴求に取り組み、前年実績を上回りました。中でも、「エネルギーブドウ糖」は仕事中や勉強中のシーン定着が進んだことで注目が高まり、大きく売上を伸ばしてブランド全体を牽引しました。「inバー」は、プロテイン摂取手段の多様化による競争環境の激化に伴いプロテインバー市場が漸減する中、主力品の品質改良による活性化を実施、喫食シーンを訴求するプロモーション展開により堅調に推移し、前年実績を上回りました。
これらの結果、in事業全体の売上高は315億7千9百万円と前年実績に比べ9億7千7百万円(3.2%)増となりました。
損益については、価格改定による収益性改善を行いましたが、原材料価格の高騰に加えて、中長期的な事業成長を見据えた戦略的な広告投資を実施したことにより、営業利益は前年実績に比べ3億8千6百万円(5.5%)減益の66億3千4百万円となりました。
通販事業
「おいしいコラーゲンドリンク」は、オンライン広告を戦略的に投入することで定期顧客数を着実に伸ばし、売上高は前年実績を上回りました。通販事業の第2の柱候補の商品である「おいしい青汁」も順調に売上高を拡大しております。
これらの結果、通販事業全体の売上高は109億円と前年実績に比べ6億1千5百万円(6.0%)増となりました。
損益については、中長期的な事業成長を見据え、定期顧客数拡大に向けた戦略的な広告投資を実施したことにより、営業利益は前年実績に比べ4億5千3百万円(68.7%)減益の2億6百万円となりました。
事業子会社
㈱アントステラは、引き続き全国の直営店において量り売りやギフト商品の販売が好調に推移したほか、大手量販店の銘店コーナーへの出店の増加も寄与し、前年実績を上回りました。森永市場開発㈱は、国内旅行の好調や訪日外国人の増加を背景に、テーマパークにおける販売が引き続き好調に推移し、前年実績を上回りました。
これらの結果、事業子会社全体の売上高は97億7千7百万円と前年実績に比べ15億7千9百万円(19.3%)増となりました。
営業利益は前年実績に比べ2億1千5百万円(34.5%)増益の8億4千1百万円となりました。
[国内における主な商品の前年同期比 (単位:%)]
※表中の数値は国内販売実績にて算出
米国事業
「HI-CHEW」は、品質価値の1つである“chewy”を訴求する新作TVCMを投入し、更なる認知率の向上及び購買喚起に取り組んだほか、販売好調商品の容量ラインアップの拡充にも取り組み、売上高は前年実績を大きく上回りました。ゼリー飲料「Chargel」は、日系スーパーへの導入が進み、試食販売等で飲用体験を創出し購買喚起に取り組んだほか、引き続き米系スーパー及びスポーツ系チャネルへの導入促進に取り組んでおります。また、スポーツイベントでのサンプリング活動をはじめとしたPR活動を強化し、ブランド認知及び商品理解の促進を積極的に進めております。
これらの結果、米国事業全体の売上高は191億8千7百万円と前年実績に比べ45億3千3百万円(30.9%)増となりました。
損益については、原材料価格の高騰や戦略的な広告投資等がありましたが、増収及び価格改定効果、前年高騰していた海上運賃の低下により、営業利益は前年実績に比べ17億6千4百万円(119.5%)増益の32億4千万円となりました。
中国・台湾・輸出等
中国では「HI-CHEW」の販売が引き続き好調に推移しましたが、日本製品の輸入販売は苦戦しました。台湾では、「HI-CHEW」及び「inゼリー」が好調に推移しました。探索・研究領域である欧州・東アジア・オセアニア地区でも、「HI-CHEW」の売上高を着実に拡大しております。
これらの結果、中国・台湾・輸出等全体の売上高は75億4千万円と前年実績に比べ7億3千2百万円(10.8%)増となりました。
損益については、探索・研究領域である欧州やオセアニア地区におけるマーケティング投資を先行的に実施したこともあり、営業利益は前年実績に比べ1億3百万円(18.1%)減益の4億6千6百万円となりました。
以上の結果、<食料品製造>の売上高は2,038億1千万円と前年実績に比べ9.9%増となりました。セグメント利益は199億9百万円と前年実績に比べ50億8千1百万円の増益となりました。
<食料卸売>
売上高は、69億9百万円と前年実績に比べ10.1%増となりました。セグメント利益は3億7千7百万円と前年実績に比べ1億3百万円の増益となりました。
<不動産及びサービス>
売上高は、19億1千1百万円と前年実績に比べ0.6%減となりました。セグメント利益は8億3千4百万円と前年実績に比べ1千3百万円の減益となりました。
<その他>
売上高7億3千7百万円、セグメント利益1億4千2百万円であります。
② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
<2021中期経営計画(2021-2023)の振り返り>
当社グループは、2021中期経営計画において、「飛躍に向けた新たな基盤づくり」を進めるべく諸施策の実行に取り組みました。その間、2030経営計画で定めた重点領域の牽引により、3期連続で過去最高売上高(注)1を実現し、計画を大幅に上回りました。重点領域売上高比率は5割を超え、また米国事業を中心とした海外事業の急速な成長によって、海外売上高比率は初めて2桁に到達いたしました。事業ポートフォリオの転換が順調に進展した一方、新型コロナウイルス感染症の拡大や原材料価格等の高騰の影響を大きく受けたこと、また中長期計画に基づき経営・事業基盤づくりに向けた投資を実行したことによる費用増もあり、売上高営業利益率は最終年度の2023年度に回復基調に転じたものの、計画は下回りました。
直近年度での業績回復、アセットライトや株主還元の強化でROEも計画を達成し、2023年度において株価は大きく上昇いたしました。株価の上昇と9期連続の増配の結果、2023年度末の株主総利回り(TSR)は100%を超える水準(119%)に回復いたしました。



(注)1 2021年度の期初より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月)等を適用
2020年度に係る各数値については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値
2018・2019年度は当該会計基準等を遡って適用したと仮定した概算値
2 2018中期経営計画の実績は期間平均
3 2024年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施
4 TSR:(各事業年度末日の株価+各事業年度の4事業年度前から各事業年度までの1株当たり配当額の累計額)
÷ 各事業年度の5事業年度前の末日の株価
<森永製菓グループの財務課題>
2023年3月に東京証券取引所より、プライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について要請がありました。
企業価値を資本市場の視点で評価する指標の一つとして、株価純資産倍率(PBR)がありますが、当社グループのPBRの中長期的推移をみると、2018年度以降下落傾向が継続しておりましたが、直近の2023年度末においては、株価上昇と資本収益性の回復を受けて上昇基調に転じ、約1.8倍の水準となりました。今後も持続的な企業価値向上は当社グループにとって最も重要な財務課題と認識し取り組んでいきます。

当社グループの場合、PBRに対するROEやPERの相関は比較的強く、特にROEの改善が企業価値(株主価値)の改善に有効と認識しております。
当社グループのROEは、2010年代半ば以降、相対的に収益性の高い冷菓事業やin事業等の成長を促進し、事業ポートフォリオを変化させたことにより、概ね2桁の水準を維持しております。当社は、CAPMによる理論値やPERの水準から株主資本コストを5~6%程度と推計しており、ROEはこの水準を中長期にわたり上回っております。2030経営計画では、ROEの目標を15%以上と定め、東証プライム市場の中で、さらに高ROEの企業群に加わり、中長期的に安定してその水準を持続することを目指してまいります。


(注) 政策保有株式売却に伴う特別利益の影響を除く(含む場合22.0%)


当社グループの売上高当期純利益率の推移をみると、2020年度以降は新型コロナウイルス感染症の拡大や原材料価格等の高騰といった急激な外部環境の変化もあり、低下傾向となっておりましたが、増収及び価格改定効果等によって、2023年度は上昇に転じました。さらなる収益性の改善に取り組んでまいります。
総資産回転率の推移をみると、直近3事業年度においては改善傾向であります。これは、政策保有株式の売却や配送拠点の再編等を通じて保有不動産を売却し、アセットライトを進めた効果と認識しております。今後は、非事業資産の圧縮に加え、事業用資産(投下資本回転率)の一層の効率化を進めてまいります。
財務レバレッジについては、2021中期経営計画期間において株主還元を大幅に強化したものの、全体としては横ばいに推移しております。中長期的な事業成長のための投資資金需要を考慮しつつ、財務レバレッジを中長期的に調整してまいります。

(注)1 2021年度の期初より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月)等を適用
2020年度に係る各数値については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値
2018・2019年度は当該会計基準等を遡って適用したと仮定した概算値
(注)2 売上高当期純利益率は、政策保有株式売却に伴う特別利益の影響を除いた数値(含む場合15.3%)

(注) みなし保有株式は含まない

<財務戦略骨子>
当社グループは、積極的な成長投資と安定した財務基盤を維持することにより、持続的な企業価値向上と継続的かつ安定的な株主還元を実現していくことを基本方針としております。2030経営計画の達成に向けて、「資本コストや株価を意識した経営」を実践し、企業価値を最大化することですべてのステークホルダーに貢献することを目指してまいります。


当社グループでは、企業価値(株主価値)を示す代表指標の一つであるPBRに着目し、その構成要素であるROEの向上とPERの上昇を狙いとして、3つの主要財務戦略を実行いたします。
戦略①は「ROICマネジメントの実践による成長力と資本収益性の向上」であります。ROIC水準の中長期的な向上を目指し、2024中期経営計画のテーマである「飛躍に向けた成長軌道の確立」を果たすべく、ROICマネジメントに基づき、「成長性」と「資本収益性」の好循環の実現に取組みます。
戦略②は「財務安全性の確保と資本コストの低減」であります。当社グループは財務ガイダンスに基づき一定水準の財務安全性と投資余力を確保することを基本方針としております。これを前提に、最適な財務レバレッジ水準へのコントロールを行うとともに、環境変化に強い事業ポートフォリオの構築を通じて長期事業リスクの低減を図ることで資本コストの低減に努めてまいります。
戦略③は「株主還元の強化」であります。経営基盤の盤石化のもとに、継続的かつ安定的な株主還元を実施し、ROEやPERの改善に繋げてまいります。

<戦略① ROICマネジメントの実践による成長力と資本収益性の向上>
当社グループは、中長期的な企業価値の向上を図るために、ROICマネジメントを実践し、最適なポートフォリオ形成に向けた事業戦略を実行いたします。「成長性」と「資本収益性」の2軸で事業を分析し、各事業の中長期的な戦略・施策を決定いたします。成長を加速する事業、資本収益性を改善する事業を見定め、投資先・投資規模を含めて、経営資源の最適な配分を行ってまいります。
2030経営計画で定める重点領域に対して、事業提携やM&Aなどのインオーガニック成長を含めて、戦略的な成長投資を最優先に実施し、飛躍的な成長を促してまいります。一方、相対的にROIC水準の低い菓子食品等の基盤事業と位置付けられる事業においては、主に収益性や投下資本効率の改善を通じて「資本収益性」の改善に取り組みます。具体的には、保有資産を活かした売上拡大を志向しつつ、維持更新投資の選択と集中により、段階的なアセットライトを推進してまいります。同時に、コスト低減、機動的な価格改定等の収益性改善施策を展開いたします。
これらを通じて、2024年度中期経営計画における各事業のミッションや具体的な取組みの考え方を明確化するとともに、成長と資本収益性の中期目標を事業毎に定めました。同中計期間においては、「重点領域」は成長軌道の確立に向けて、成長投資先行の取組みとなります。基盤領域である菓子食品事業については資本収益性の改善を重視し、全社WACC(5%程度)を上回る8%以上を目指して取り組んでまいります。



(注)1 連結ROICは貸方アプローチ、事業別ROICは借方アプローチ(現預金・投資有価証券等の非事業用資産は
投下資本に含まない)で算出
(注)2 売上高CAGRは2020年度比
(注)3 米国事業の売上高CAGRは現地通貨ベース
ROICマネジメントを実践するためには、各事業の現場部門に対してROICマネジメントの浸透を図ることが重要と考えております。そのため、事業毎にROICツリーを活用して、経営層と事業責任部門で資本収益性の改善につながる課題領域を抽出するとともに、課題解決に向けた戦略及び施策の検討を行っております。2023年度予算編成より、ROICツリーに基づく予算水準の点検を開始し、2024中期経営計画の策定にあたっては具体的な戦略施策の策定と目標選定を行いました。今後、PDCAによる継続的な改善活動につなげてまいります。なお、ROICマネジメントを現場レベルまで浸透させるべく、全社従業員を対象に、独自の動画教材等を用いてROICマネジメントの概念と現場活動との関連性などについて理解の促進を図っております。
また、個別の投資の実行にあたっては、投資決定基準に基づき案件評価を厳格に行い、投資回収状況を継続的にフォローしながら、資本コストを意識した投資管理を行っております。

■従業員を対象とした動画教育プログラム「資本コスト経営の実践に向けて」

<戦略② 財務安全性の確保と資本コストの低減>
当社グループは、外的経営環境の急変や戦略的大型投資案件(M&A等)の発現に備え、一定水準の財務安全性と投資余力を確保することを基本方針としております。財務安全性の基準といたしましては、㈱日本格付研究所(JCR)における長期発行体格付「A」以上を維持することを原則としております。また、財務安全性指標をモニタリングし、財務安全性を確保してまいります。その上で、投資資金需要を満たすための資金調達にあたっては、適切な手元資金の水準、資金調達コストの水準などの調達条件、財務安全性指標やROE・ROIC等の財務指標への影響等を総合的に勘案した上で、決定いたします。
当社グループは、企業価値の向上に向けて資本コストの低減に取り組んでまいります。現状のネットキャッシュの状況に対し、財務安全性や投資資金需要を見極めた上で、有利子負債の構成を高め、財務レバレッジを活用することで、現状5%程度と推計されるWACC(加重平均資本コスト)の低減を図ってまいります。
また、株主資本コストは5~6%程度と推計しておりますが、その低減にあたっては、環境変化に強い事業ポートフォリオの構築による長期事業リスクへの対応が重要と認識しております。そのために、政策保有株式の更なる縮減、非事業不動産等の売却・処分推進等のアセットライトによって、投下資本の圧縮と成長投資資金の確保を図るとともに、資産価値変動リスクを低減いたします。また、マテリアリティへの対応を進めるとともに、無形投資を強化し、事業の長期的成長力(サステナビリティ)を高めてまいります。さらに、財務・非財務情報の開示や株主・投資家との対話を強化し、中長期的な事業成長への取組み、事業リスク等への対応状況等をご理解いただき、適正な株価形成によって株価ボラティリティを抑制してまいります。



<戦略③ 株主還元の強化>
当社グループは、戦略的かつ重要な事業投資を優先することを原則としつつ、株主の皆様への利益還元について、経営基盤の盤石化のもとに、継続的かつ安定的な株主還元の実施を基本方針といたしております。
株主還元にあたっては、健全なバランスシートを維持することを前提に、配当性向の水準、フリーキャッシュ・フローを考慮しつつ、資本政策の指標である純資産配当率 (DOE)の水準を中長期的に引き上げていくことを目指してまいります。また、総還元性向を意識して、投資資金需要を考慮しつつ、必要に応じ自己株式の取得を機動的に実施することも検討してまいります。
2021中期経営計画期間においては、計画を大幅に上回る過去最高の株主還元345億円(注)5を実施いたしました(計画比約3倍)。2024年度まで過去10年連続の増配の予想で、今後とも継続的かつ安定的な配当を目指してまいります。加えて、必要に応じて機動的な自社株式の取得を行うこととし、2024中期経営計画期間の3年間で360億円以上(注)5の株主還元を実現できるように取り組んでまいります。


(注)1 2024年5月10日における2025年3月期配当予想数値
2 当該会計期間中の取得金額を記載(FY24は2024年5月14日までの取得分)
3 当該会計期間に係る剰余金処分の額を記載
4 2024年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施
FY22以前の数値は株式分割を遡及適用した数値
5 剰余金の配当、自己株式取得ともキャッシュアウトベース
当社グループは、2030経営計画達成のための道筋をつくるため、2024中期経営計画では「飛躍に向けた成長軌道の確立」をテーマと定め、重点領域を中心とした投資を最優先に実施いたします。特にHI-CHEWのグローバルにおけるブランド成長に向けた生産体制構築のための戦略的投資を予定しております。また、DX投資をはじめとした経営基盤強化のための戦略投資、重点領域への積極的なM&A探索を含め、2024中期経営計画期間の3か年で総額約600億円(注)1の投資を予定しております。これは、2021中期経営計画期間の投資実績454億円(注)1から大幅に増額しております。今後の事業展開によっては、さらに投資額を増額していくことも検討してまいります。
一方、株主還元については、事業からのキャッシュ創出力を引き続き強化し、2024中期経営計画期間で360億円以上(注)2の還元を目指す方針であります。

(注)1 中計期間における計上ベースの金額
2 中計期間におけるキャッシュアウトベースの金額
<株主・投資家の皆様との対話について>
当社グループの長期経営計画である2030経営計画の実現に向けて、「資本コストと株価を意識した経営の実践」について注力しております。
株主・投資家の皆様にこれらの取組みについてご理解いただくべく、積極的にIR活動を強化してまいりました。開示情報におけるセグメント情報の充実、決算説明会や資料提供の四半期化、IR Day開催、スモールミーティングや個別IR面談、海外IRやカンファレンスを通じた対話機会の創出に取り組んできた結果、資本市場の皆様との面談回数は過去2年間で大幅に増加しております。また、当社ホームページのIRサイトでの開示情報の拡充や利便性の改善にも努めており、2023年度は外部機関から高い評価をいただいております。
対話の実施状況や内容については、四半期毎に開催されるIR委員会や2024年3月開催の取締役会に報告するとともに、年間を通じて適宜関連する所管部門にもフィードバックしております。


(注) 個別IR面談、IR Day、スモールミーティング、カンファレンス、海外IRにて投資家・アナリストの接点を得た回数
(カウントの単位は「社」、同一四半期において複数回の接点があった場合も「1」とカウント)

また、これらの対話を通じて得られた貴重なご意見を2024中期経営計画策定において参考にさせていただきました。特に、事業ポートフォリオの考え方、ROIC経営の推進に対する関心が多く寄せられたことを踏まえ、主要事業別のROIC実績及び目標ならびに資本コストの推計値を開示いたしました。
引き続き、建設的な対話の促進に努め、対話を通じて得られた示唆を今後の経営活動に活かすことで持続的な企業価値向上を目指します。
当連結会計年度において、新たに締結した重要な契約等は次のとおりであります。
業務提携
当社グループにおける研究開発活動は、「世代を超えて愛されるすこやかな食を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぐこと」を使命とし、私たちが目指すビジョンに沿って、お客様に満足していただける商品・サービス・情報を提供すべく、「食」に関連する様々な技術分野において研究を進めております。
なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は
「2021中期経営計画」の最終年度である当連結会計年度は、2030ビジョン『森永製菓グループは、2030年にウェルネスカンパニーへ生まれ変わります。』実現に向けた1stステージとして、「技術を基軸に、未来に向けて新たな顧客価値を創造する」という基本方針のもと、全社戦略・事業戦略と連動しながら、中長期視点での研究開発力の強化・共創による価値創出の加速に向けた取組みを引き続き実施いたしました。
(1)重要技術のアップデート
<ゼリー飲料技術>
「inゼリー 完全栄養」が2年の研究期間を経て、1袋で効率的に栄養を摂取できる商品になりました。忙しく時間のない中でも、手間をかけずに必要な栄養素を補給できる食事同等の商品を目指して開発いたしました。
成長期のお子様向けの「inゼリー 成長期サポート」について成長をサポートするカルシウム・ビタミンD・鉄分に加え、考えるためのエネルギーであるブドウ糖を配合しリニューアル発売いたしました。当社が保有するゼリー食感のコントロール技術を活用し、離水をコントロールすることでみずみずしく飲みやすい品質に仕立てております。
<冷凍下での菓子技術>
当社グループの菓子技術を活かした冷菓商品の開発を継続しております。
パリッとしたチョコレート食感を維持し、なおかつクリームの滑らかさを強化した「板チョコアイス」の夏期限定品として、後味をさっぱりさせ、夏でも食べやすくした「夏限定板チョコアイス」、とろっとしたキャラメルソースを組み合わせた「板チョコアイス<メルティキャラメル>」を発売いたしました。
また、「森永ミルクキャラメル」110周年を記念して、リッチな風味の「森永ミルクキャラメルアイスクリームバー」、「マリー」発売100周年を記念して、キャラメルソースとクリームを「マリー」でサンドした「100THマリーサンドアイス<キャラメル>」を発売いたしました。
冷凍下でもしっとりもちもち食感のクレープ生地が特長のアイスとして、「ザ・クレープ<爽やかヨーグルト>」「ザ・クレープ<ダースミルク>」「ザ・クレープ<重ねあずき>」を発売いたしました。
<ソフトキャンディ技術>
主力ブランドの「ハイチュウ」に関する技術伸長に注力して研究開発を継続しております。心地よいチューイング性とジューシー感が特長の「ハイチュウ」はチューイング性を維持しながらソフトな食感に改良することで、より一層フルーツの香りとジューシー感を楽しめる品質となっており引き続き好評をいただいております。また、感性研究との連動により「幸せ食感」を訴求して心の健康にも寄与する商品として成長し続けております。
本物の果実の食感をイメージしたシャリっとした食感が特長の「12粒ハイチュウ<スイカ味>、<和梨味>」の発売や、食感を楽しむ「ハイチュウ<そのまんま味>」など多様な食感バリエーションによりお客様へ楽しさやワクワク感の提供を実現いたしました。
また、独自のもちもち食感と果汁感が特長である「ハイチュウプレミアム<清水白桃>、<せとか>」の発売や、口どけの良い糖衣(コーティング)層と冷涼感が特長の「生ラムネ玉」等の商品を開発いたしました。
(2)基盤研究強化
<健康科学研究>
健康科学の研究としては、パセノール™、カカオなどの素材が人々の健康に与える影響や、体の健康を支える重要な要素の一つである筋肉について研究を行っております。パセノール™については、“有効成分であるピセアタンノールを10mg含む試験食品の摂取により皮膚の粘弾性が改善すること”をヒト試験で見出し、学術論文で発表いたしました。また、“骨格筋細胞においてピセアタンノール添加により、長寿遺伝子としても知られるサーチュイン1の発現量が上昇すること”や、“ミトコンドリア生合成及び脂質代謝に関連する遺伝子の発現が上昇すること”を見出し、学会発表を行いました。
カカオについては、当社で初めて子どもの心の健康に着目したヒト試験を実施し、“ミルクココアを継続摂取することにより、精神的健康度を改善すること”を見出し、海外の学術論文で発表いたしました。
筋肉の基礎研究については、“大学との共同研究により骨格筋細胞の三次元培養系を用いて直接筋力を測定する方法”を確立し、学術論文で発表いたしました。
<量産化技術>
中京工場では「パックンチョ」「小麦胚芽のクラッカー」のラインを更新し、さらなる成長に向けた基盤を整備いたしました。
(3)成長戦略の強化
<ウェルネス>
・体の健康
タンパク質摂取の目的が多様化する中、「inバー」ブランドでは、糖質を抑えつつタンパク質は取りたいというニーズに応えるため「タンパク質16g、糖質5g以下」として甘さ控えめなビター味に仕上げた「inバープロテイン<ザクザクビター>」を発売いたしました。また、ライトユーザーにも幅広く高タンパク製品を提供するために、「おいしい大豆プロテインクッキー<ゴマ味>、<ココア味>」を発売し、「体の健康」戦略の推進に寄与いたしました。
小麦粉を使わずにもっちりとした食感に仕上げた「国産米粉使用ホットケーキミックス」を発売し、食の多様化への対応を進めてまいりました。
甘さを控えて大人の方でも飲みやすい品質に仕立てた「甘さひかえめ牛乳で飲むココア」では、鉄・カルシウム・ビタミンDを強化し、栄養機能食品として発売いたしました。
また、「小麦胚芽のクラッカー」は素材の強みを一層際立たせるために、ターゲットである女性の摂取意向が高い「鉄分」を強化しリニューアルいたしました。
機能性表示食品としましても、体調管理への意識が高まり食生活に気を遣う方が増えている中、カカオポリフェノール(フラバノールとして)による“血流改善”が期待でき、コク深いカカオの味わいが特長のハイカカオチョコレートである「カカオの力チョコレート」を発売いたしました。
・心の健康(感性研究)
喫食時の生体計測や主観評価など、感性を可視化するために、大学などとの共同研究による多角的な分析を進め、新しい価値の創出に取り組んでおります。食感研究と感性研究の融合による「心地よい食感」に関する研究成果は、「ハイチュウ」の訴求表現(かむほど幸せ食感)や「チョコモナカジャンボ」のマーケティング戦略(ジャンボスマイルプロジェクト)などに活用しております。今後もR&D部門を通じて「心の健康」への貢献を推進してまいります。
<グローバル>
・海外開発案件
米国市場のソフトキャンディユーザーに対して、健康志向や嗜好性(食感・フレーバー)を調査し、「HI-CHEW」ブランドとしてより付加価値の高い製品を提供すべく、新製品の開発を進めてまいりました。
健康志向の高いユーザー向けに発売した「HI-CHEW REDUCED SUGAR」について、新たに増粘多糖類を配合し、ゼラチンの働きを補完することでChewyな食感を高めた品質にリニューアルして発売いたしました。
(4)未来に向けた価値創造
<新技術開発>
「バニラモナカジャンボ」のモナカのパリパリ食感をできるだけ長持ちさせる為に水分を吸着する食物繊維原料に着目し、モナカへのコーティングチョコ部分や“チョコの壁”にこの食物繊維原料を加えることでモナカの吸湿耐性を約1.3倍向上することを実現し、“チョコの壁”をさらに強化いたしました。
「inゼリー」において、栄養素を従来比の2倍高濃度に含有しつつも、原料のクセや味を抑えて美味しくする技術を確立し、1袋で1日の1/3の栄養素を摂取可能とした「inゼリー 完全栄養」を発売いたしました。
<サステナビリティ>
環境負荷低減を促進するため、植物タンパク素材の加工技術開発を進め、「inバープロテイン<ベイクドチョコ>、<ベイクドビター>」2品で2022年春から2024年春で乳ホエイタンパクの使用量を30%削減いたしました。
<R&Dセンター>
当社グループの価値創造を担う中核拠点として2022年春に開設した「森永製菓R&Dセンター」で当社が保有する幅広い食品カテゴリーの知見・技術融合を図るとともに、多彩な社内外のパートナーとの共創を実施いたしました。
2023年度の共創の取組みとしては、複数の企業との共創開発・研究を実施し、うち1件は商品発売に向け、検討を進めております。また例年実施しておりますCSRイベント(下末吉小小枝教室、サイエンスフロンティアチョコレート学習プログラム)の他、お客様との共創による商品開発検討のための試食会や、エンゼルPLUS会員を招いたイベントを複数開催いたしました。R&Dセンターを舞台とし、国内外を問わずメディアの見学誘致やお取引先様・同業/異業種企業との意見交換を実施し、外部へ開かれた研究開発活動を推進することで新たな価値共創を目指してまいります。