文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業を中心にその他のモノづくり企業を含め幅広いお客さまの設計・製造の効率化、生産性の向上を図り、製品の開発、製造を支えることにより、モノづくり産業の発展に貢献することを基本方針としております。これに向け、当社グループは、常に市場ニーズの変化に的確に対応し、最適なソリューションの提供に努めております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループの主要な市場であるエレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業は、新興国における需要の拡大や環境対応などの技術革新の必要性などから、当社グループの果たすべき役割はますます重要となってきております。また、製造業全体において製品のエレクトロニクス化が急速に進んでおり、当社グループが取り組むべき市場も拡大してきております。当社グループでは、こうした状況の中、引き続きソリューションビジネスを推進するとともに、新たな市場や技術領域への積極的な展開などにより、事業の拡大や伸長を図りつつ、株主のみなさまの長期的な利益を確保するという観点から、1株当たり当期純利益の持続的な伸長をひとつの指標として経営を推進しております。
(3) 経営環境、経営戦略及び対処すべき課題
今後の経済環境につきましては、中東情勢の緊迫化や海外景気の下振れ懸念などにより先行き不透明な状況は続いていくものと思われます。その一方で、製品の複雑化が進み、AIや新たな技術の活用によって世界のモノづくりを取り巻く環境は変化を続けており、当社グループが取り組むべき事業領域は、ますます拡大していくことが見込まれます。
このような中にあって、当社グループは、お客さまが抱える課題に真正面から取り組み、モノづくりのプロセス全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する革新的なソリューションを提供してまいります。
このために、当社グループの対処すべき課題は、以下のとおりであります。
① 製品開発のさらなる加速
主力の電気設計システム「CR-8000」シリーズにおいて、AI技術を活用した自動配置配線機能の開発をさらに推し進め、設計の省力化や効率化を実現する画期的な製品として新たに販売を開始してまいります。また、MBSEモデリングツール「GENESYS」においては、引き続き開発に注力して製品力を高めるとともに、「GENESYS」と既存の設計システムを連携させ、構想設計からその後のプロセスである実設計へとつなぎ、設計効率の大幅な向上に取り組んでまいります。
さらに、営業部門と開発部門の連携をより一層強化し、世界のモノづくり企業のニーズを的確にとらえ、お客さまの変革スピードに適応できるよう、製品開発をさらに加速させてまいります。
② モノづくり企業のDXを支援する取り組み
モノづくりの技術革新が急速に進む中、製品設計の複雑化への対応は急務となっており、モノづくりのプロセス全体のDXへの取り組みは、お客さまの事業戦略において重要な課題となってきております。
これに対して当社グループは、DXを推進する組織を拡充し、今まで培ってきたお客さまとの強固なリレーションも最大限に活かし、モノづくり企業の変革への取り組みを、全社をあげて支援してまいります。さらに、ソフトウェア、コンサルティング、サービスを一体的なソリューションとして提案し、モノづくりのプロセス全体のデジタル化の実現と変革を支援するソリューションの提供に向けて、グループの総力を結集して取り組んでまいります。
以上の取り組みにより、当社グループは、お客さまの次世代のモノづくりに貢献する最適なソリューションを提供し、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループは、ITによってモノづくり企業のエンジニアリング・プロセスを効率化していくことを事業の目的としております。エンジニアリング・プロセスの効率化は、設計や製造のみならず、調達、サービス業務の効率化を通じて、サプライチェーン全体で地球環境の負荷の低減にも大きく貢献することができます。また、当社のソフトウェアの利用により、省エネルギー、小型・軽量化を目指すモノづくり企業の製品が普及することは広く持続可能な社会の実現にもつながります。
このことから、当社グループは、事業目的自体がサステナビリティに密接に関係したものであると認識しております。「持続可能な社会の実現」という視点を経営戦略および成長戦略立案の中に、より明確に取り入れ、提供できる製品やソリューションの幅をさらに拡げていくことで、持続可能な未来に貢献していく企業を目指します。
(2)サステナビリティに関する取組
当社はサステナビリティに関して、事業目的自体がサステナビリティに密接に関係したものであると認識しており、以下のとおり、「ガバナンス」および「リスク管理」の枠組みを構築し、課題に対し戦略、指標及び目標を定めて取り組んでおります。なお、グループ会社においては各社の事業内容に応じ、主体的に取り組んでおります。
①ガバナンス
当社は、変化の激しい事業環境に迅速かつ機動的に対応し、適法かつ適正で健全性の高い企業活動を行うことのできるガバナンス体制を構築することが、サステナビリティ関連のリスクおよび機会を監視し、管理するために必要と考えております。
このような考えの下、サステナビリティの推進体制につきましては、代表取締役副社長をプロジェクトリーダーとして、総務部門、人事部門、広報部門を中心としたプロジェクトチームにより、各事業部門及び各グループ会社と連携を図りながら、各施策の推進に取り組んでおります。
②リスク管理
サステナビリティ関連のリスク及び機会の識別、評価及び管理につきましては、サステナビリティプロジェクトの各施策の進捗状況を取締役会へ報告のうえ、取締役会が活動方針や取り組み状況について監督・承認する体制となっております。
③重要課題
当社では、上記(1)のサステナビリティに関する考え方に基づき、当社グループの事業に及ぼす影響やステークホルダーからの期待を踏まえて課題を抽出し、上記枠組みに基づき、次の3項目の重要課題を特定いたしました。
1.エンジニアリングITによる持続可能なモノづくりへの貢献
お客さまにおける技術伝承や人材不足、システム老朽化などの課題解決を支援するため、製造業のスマート(知能)化を促進するソリューションへの開発投資を強化します。また、当社のエンジニアリングITの知見を活かし、お客さまのデジタル人材の育成やリスキリングを支援するサービスを拡充します。
2.人的資本の拡充
当社のソフトウェア事業の源泉である人的資本を最大化するため、多様な人材がいきいきと働き、長期にわたりキャリア形成ができる職場環境を目指します。また、社員が持つ能力・可能性を最大限引き出すための人材マネジメントを強化します。
3.機動的かつ健全なガバナンスの確立
変化の激しい事業環境に迅速かつ機動的に対応し、適法かつ適正で健全性の高い企業活動を行うため経営体制を強化します。
④戦略、指標及び目標
当社は上記(1)③の重要課題を実施するため、以下のとおり戦略、指標及び目標を定めております。
ⅰ)「1.エンジニアリングITによる持続可能なモノづくりへの貢献」及び「2.人的資本の拡充」について
当社は、人的資本が源泉となるソフトウェア製品を開発し、販売する企業であることから、人的資本を最大化することが重要であると考えております。社員が持つ能力・可能性を最大限引き出せるよう、多様な人材がいきいきと働き、長期にわたりキャリア形成ができる職場環境を目指し、人材育成と人材確保の施策に重点的に取り組んでおります。
人材育成の点では、当社の将来を担う人材の育成を目標とし、社員の育成段階に応じ、最適な研修を実施することを指標としております。当連結会計年度においては、次世代リーダーを対象とした人格形成研修、新任管理職を対象としたマネジメント研修及びコンプライアンス研修などを実施しているほか、新入社員の自作ロボットコンテストへの参加をバックアップするなどの施策を実施し、当社の将来を担う人材の育成に力を入れてまいりました。
人材確保の点では、多様な価値観が企業の成長につながると考え、男女、国籍を問わず適材適所の人材採用や人材配置を行っており、特に女性採用比率を人材確保の指標とし、2026年の女性採用比率25%を目標としております。当連結会計年度においては、女性採用比率は約20.8%となっております。当社は女性採用比率向上の施策として、女性の基幹職(各職場・業務における中核的な役割を果たす職種)への積極的な登用を促進していきたいと考えており、女性のキャリア形成支援として、女性が安心して長期間働くことができる職場環境や制度を備えております。具体的には、各種休暇制度や小学校3年生修了までを対象とする法定期間を上回る短時間勤務制度などを導入し、仕事と育児の両立を支援しております。なお、当社では、人的資本・多様性に関する「戦略」及び「指標と目標」に関し具体的に取り組んでいるものの、全てのグループ会社での取り組みとはなっていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、上記の「戦略」及び「指標と目標」は、提出会社のものを記載しております。
ⅱ)「3.機動的かつ健全なガバナンスの確立」について
当社グループは、(1)で記載のとおり、事業目的自体がサステナビリティに密接に関係したものであると認識しております。ソフトウェア業界を取り巻く環境の変化は激しく、意思決定の遅れは、サステナビリティ関連のリスクとなるため、ビジネスの遅れに繋がらないよう、適切なタイミングで意思決定を行うことが求められております。また、迅速かつ機動的な意思決定のもと、健全性の高い企業活動を行い、ソフトウェア製品を開発して販売していくことがサステナビリティ関連の機会となります。
サステナビリティ関連のリスクおよび機会を長期的に評価し、管理し、監視するため、機動的かつ健全な意思決定を行うことのできるガバナンス体制を構築することが当社の取組となります。具体的には、4
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 特定の市場への依存について
当社グループは、エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業の分野を中心にモノづくり企業における設計・製造の効率化に関するソリューションの提供を主要な事業としております。そのため、当社グループの業績は、かかる製造業における景気の動向や設備投資の動向の影響を受ける場合があります。新たな有力市場、技術領域への取り組みなど事業の拡大に努めておりますが、製造業における業績の低迷や設備投資の停滞が継続した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(2) ソリューションの開発について
当社グループは、お客さまのニーズに応えた最適なソリューションを提供するため、最新のトレンドや技術を取り入れた新製品の開発や機能強化などを鋭意行っております。また、品質の向上とその管理の徹底に努めるとともに、欠陥等の不具合を生じないよう、また生じた場合にも迅速に修補等の対応を行うよう万全の体制を敷いて事業に取り組んでおります。しかしながら、計画通りに開発が行われなかった場合は、営業機会の喪失や事業展開の遅延などが生じるおそれがあります。また製品に重大な不具合があった場合は、修補対応や瑕疵担保責任の負担のほか、ソリューションに対する信用の低下などが生じるおそれがあります。これらが生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(3) 知的財産権について
当社グループは、コンピューターテクノロジーとITを用いたソリューションビジネスの展開、継続において、著作権、特許権、商標権その他の知的財産権の確保が極めて重要なものと考えております。しかしながら、その取得に官公庁の審査を要するものについては、必ずしも取得できるとは限りません。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分配慮して製品を開発しておりますが、当社グループの製品が他社の知的財産権を侵害しているかどうかを全て調査、把握することは事実上困難であります。当社グループの製品、技術、商標等が第三者の知的財産権を侵害し、ロイヤリティーの支払や使用差止、損害賠償を請求された場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(4) 有力パートナー企業との提携関係について
当社グループは、確固たる事業基盤の構築や新規事業への進出を図るため、製品開発・販売面などにおいて、多数の有力パートナー企業と長期的な提携関係を築いております。しかしながら、これらパートナー企業が破産、倒産した場合や買収された場合、又は戦略上の目標を変更した場合、提携関係は解消されるおそれがあります。複数の、又は重要な提携関係が解消された場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(5) 子会社の設立、資本提携、企業買収等について
当社グループは、事業の拡大や補強等のため、事業展開に応じて、子会社、関連会社の設立や、協力会社との資本提携、有力企業の買収等を行っております。しかしながら、これらを行った場合、当初の計画通りに業績が伸長しないおそれや、コスト負担が増大するおそれがあります。これら会社の経営成績、財政状態が悪化した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(6) 海外展開について
当社グループは、欧米やアジア各国に事業を展開しております。しかしながら、海外市場においては、①政治、経済環境の急激な変動、②為替レートの変動、③法律、規制の予期しない変更、④人材確保の困難、⑤テロ、戦争、伝染病その他による社会的混乱などのリスクを内包しております。これらが顕在化した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(7) 機密情報及び個人情報の管理について
当社グループは、システムの開発業務や各種コンサルティング、検証・支援業務などにおいて、お客さまの設計データや新製品情報などの重要機密情報を知る機会があります。また、お客さまや株主、社員等に関する個人情報を多数保有しています。社内情報システムの整備、機密保持契約の締結、社内規程・ガイドラインの制定、社員の教育など情報管理の徹底に努めておりますが、万一機密情報又は個人情報が当社グループより漏洩し、損害賠償の請求や信用の失墜などが生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(8) 退職給付債務及び費用について
当社グループは、当社及び一部の連結子会社において確定給付型の退職一時金制度を、また一部の海外連結子会社において確定給付型の退職年金制度を設けております。しかしながら、退職給付債務及び費用の算出条件の変動や年金資産の運用状況の悪化、また退職給付に関する法制度や会計基準の変更などにより、退職給付債務及び費用が増加するおそれがあります。これにより、退職給付債務及び費用の負担が多大なものとなった場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(9) 自然災害及び感染症の流行等について
当社グループは、日本及び世界各国に事業活動の拠点を有しております。災害の防止やその対策には十分な注意を払っておりますが、大地震や火災、感染症の流行等により、重要な開発・営業拠点に壊滅的な損害が生じるおそれや社員が就業できなくなるおそれがあります。これにより、事業活動が中断、遅延し、その復旧等に多大な費用が生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①当連結会計年度の概況
当連結会計年度の経済環境は、世界的なインフレ加速や海外景気の下振れ懸念などから先行き不透明な状況は続いているものの、コロナ禍の収束により経済活動が正常化したことから、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
当社グループの主要なお客さまであるエレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業におきましては、設備投資全体は堅調に推移し、IT投資も活発な状況が続いております。
このような中にあって、当社グループは、世界のモノづくり企業の設計・製造にかかわる様々な課題の解決に向けて最適なソリューションを提供していくエンジニアリングITカンパニーを目指し、主力製品の拡販や機能拡充、新しい設計手法への取り組みに注力してまいりました。当連結会計年度の主な取り組みは、次のとおりであります。
(ⅰ) 主力製品の拡販と機能拡充
エレクトロニクス製造業向けの主力の電気設計システム「CR-8000」シリーズにおいて、引き続き全世界で拡販に注力し、売上を伸ばしてまいりました。また、AIを活用して自動化する新機能の開発や解析機能のさらなる向上などに取り組んでまいりました。自動車関連・産業機器製造業向けのワイヤハーネスの設計システム「E3.series」においては、欧米のグローバル企業を中心に販売を拡大させ、また、北米最大の制御盤メーカとの協業を推進し、新たな販売先の開拓に注力いたしました。設計システムのデータを管理するDSシリーズにおいては、設計システムとの連携を強化し、データ管理まで一貫したソリューションとして販売を推し進め、大型プロジェクトにつなげてまいりました。
(ⅱ) 新しい設計手法への取り組み
大規模化、複雑化するモノづくりにおいて、多様化する設計の課題を解決するため、プロセス全体をデジタル化し変革していくことが求められています。これに対して当社グループは、電気・機械・ソフトウェアなど複数の設計分野にまたがる製品開発において、設計プロセスの構想段階から設計を最適化するMBSEの手法に引き続き取り組んでまいりました。
MBSEモデリングツール「GENESYS」におきましては、既存製品との連携機能をさらに拡充し、操作性の向上やチェック機能を追加するなど製品力を高めてまいりました。先進的な取り組みを模索するお客さまから、導入効果の検証の引き合いも多く、今後の本格導入に向けて、積極的に営業活動を行ってまいりました。
②当連結会計年度の業績
(連結業績)
|
売上高 |
: |
384億6千6百万円 |
(前期比 9.7%増) |
|
経常利益 |
: |
54億3千9百万円 |
(前期比 14.9%増) |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
: |
38億6千8百万円 |
(前期比 21.0%増) |
以上の取り組みにより、当連結会計年度の売上高は、すべてのソリューションにおいて前年を大きく上回り、3期連続で過去最高を更新いたしました。特に、主力の電気設計システム「CR-8000」シリーズやワイヤハーネスの設計システム「E3.series」の売上が伸長し、また、国内子会社のネットワークセキュリティ関連製品の売上が好調に推移いたしました。
利益面につきましても、売上高の伸長により大幅な増益を達成し、営業利益、経常利益ともに過去最高となりました。
|
基板設計ソリューションの主な製品 |
CR-8000 Design Force CR-8000 Board Designer CR-8000 DFM Center CADSTAR eCADSTAR |
|
|
回路設計ソリューションの主な製品 |
CR-8000 Design Gateway CR-8000 System Planner E3.series E3.infinite Cabling Designer Harness Designer |
|
|
ITソリューションの主な製品 |
DS-CR エクスプレッソ DS-2 Expresso DS-E3 DS-E3.infinite GENESYS プリサイト ビジュアル ボム PreSight visual BOM |
|
(セグメントの業績)
報告セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。
・日本
ネットワークセキュリティ関連製品を中心にITソリューションの売上が順調に推移したことや、販売ライセンス数等の増加によりクライアントサービスが伸長したことなどから、売上高は280億5百万円(前年同期比 8.6%増)となりました。営業利益は売上高の増加などから40億6百万円(前年同期比 9.5%増)となりました。
・欧州
回路設計ソリューションはワイヤハーネスの設計システム「E3.series」を中心に、ITソリューションはデータ管理システム「DS-E3」を中心に売上が増加したことなどから、売上高は85億3千5百万円(前年同期比 14.2%増)となりました。営業利益は売上高の増加などにより7億5千2百万円(前年同期比 73.9%増)となりました。
・米国
回路設計ソリューション及びクライアントサービスの売上が堅調に推移したことなどから、売上高は
31億3千万円(前年同期比 8.2%増)となりました。営業損益は研究開発費の増加などから営業損失3億5千4百万円(前年同期 営業損失1億1千3百万円)となりました。
・アジア
韓国で電気設計システム「CR-8000」シリーズを中心に基板設計ソリューション及びクライアントサービスの売上が増加したことなどにより、売上高は19億7千1百万円(前年同期比 16.6%増)となり、営業利益は4億8千6百万円(前年同期比 18.2%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ11億3百万円減少し、当連結会計年度末は272億9千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、48億8千万円(前期比 20億円増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益55億1千8百万円(前期比 8億6千8百万円増)の計上、前受金の増加額9億5千7百万円(前期比 9億2千8百万円減)、減価償却費8億4千9百万円(前期比 1億1千7百万円増)などの増加要因と、法人税等の支払額15億4千6百万円(前期比 16億2千1百万円減)、前払費用の増加額3億6千5百万円(前期比 4億3千6百万円減)などの減少要因との差引合計によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、16億3千6百万円(前期比 8億8千8百万円増)となりました。これは主に定期預金の増加額9億8千9百万円(前期は2億6百万円の減少)、固定資産の取得による支出6億5千7百万円(前期比 2億2百万円減)などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、52億1千5百万円(前期比 41億9千1百万円増)となりました。これは主に自己株式の取得による支出40億9百万円(前期比 40億9百万円増)、配当金の支払額11億4千万円(前期比 1億8千6百万円増)などによるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当社グループの売上高は、受注に基づくソフトウェア及びそれに付随するコンサルティングが主体であり、生産高と極めて近似しております。従って、セグメント別生産実績については、有用性が乏しいとの判断から記載を省略しております。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
日 本 |
26,948,148 |
105.7 |
12,140,773 |
103.8 |
|
欧 州 |
8,061,704 |
128.4 |
4,049,626 |
149.7 |
|
米 国 |
2,936,933 |
93.4 |
2,377,554 |
108.8 |
|
ア ジ ア |
2,032,898 |
125.0 |
874,528 |
139.4 |
|
合 計 |
39,979,686 |
109.4 |
19,442,483 |
113.0 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
日 本 |
26,499,054 |
108.8 |
|
欧 州 |
7,094,657 |
112.1 |
|
米 国 |
3,024,989 |
107.8 |
|
ア ジ ア |
1,847,532 |
117.6 |
|
合 計 |
38,466,233 |
109.7 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(参考)製品区分別実績は次のとおりであります。
①受注実績
当連結会計年度における受注実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。
|
製品区分 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
基板設計ソリューション |
5,312,010 |
129.4 |
1,664,653 |
173.1 |
|
回路設計ソリューション |
9,093,485 |
117.9 |
2,229,918 |
151.9 |
|
ITソリューション |
9,177,241 |
110.4 |
1,719,741 |
93.3 |
|
クライアントサービス |
16,387,081 |
99.9 |
13,827,633 |
106.9 |
|
その他 |
9,866 |
123.5 |
536 |
24.4 |
|
合計 |
39,979,686 |
109.4 |
19,442,483 |
113.0 |
②販売実績
当連結会計年度における販売実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。
|
製品区分 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
基板設計ソリューション |
4,698,531 |
113.9 |
|
回路設計ソリューション |
8,456,353 |
108.2 |
|
ITソリューション |
9,354,230 |
112.8 |
|
クライアントサービス |
15,945,586 |
107.5 |
|
その他 |
11,531 |
186.7 |
|
合計 |
38,466,233 |
109.7 |
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析等
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析等の内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より13億8千1百万円増加して638億7千9百万円(前期比 2.2%増)となりました。流動資産は9億3百万円増加して488億9千6百万円(前期比 1.9%増)、固定資産は4億7千8百万円増加して149億8千2百万円(前期比 3.3%増)となりました。流動資産の増加の主な要因は、売掛金が4億2千7百万円、前払費用が4億8百万円増加したことなどであります。固定資産の増加の主な要因は、投資有価証券が6億4千4百万円増加したことなどであります。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末より17億2千万円増加して228億6千2百万円(前期比 8.1%増)となりました。流動負債は18億6千4百万円増加して187億8千7百万円(前期比 11.0%増)、固定負債は1億4千4百万円減少して40億7千5百万円(前期比 3.4%減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、前受金が14億1千9百万円増加したことなどであります。固定負債の減少の主な要因は、退職給付に係る負債が1億6千8百万円減少したことなどであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末より3億3千8百万円減少して410億1千7百万円(前期比 0.8%減)となりました。株主資本は12億7千3百万円減少して375億8千2百万円となりましたが、この減少の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を38億6千8百万円計上した一方で、配当金11億4千万円の支払いや、自己株式を40億円取得及び消却したことから、利益剰余金が12億9千3百万円減少したことであります。その他の包括利益累計額は、その他有価証券評価差額金が4億5千8百万円、為替換算調整勘定が3億9千4百万円増加したことなどから、8億4千3百万円の増加となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の65.4%から2.1ポイント減少し、63.3%となりました。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度の業績につきましては、主力の電気設計システム「CR-8000」シリーズやワイヤハーネスの設計システム「E3.series」の売上が伸長し、また、国内子会社のネットワークセキュリティ関連製品の売上が好調に推移したことにより、売上高は384億6千6百万円(前期比 9.7%増)となり、過去最高を更新いたしました。利益面につきましては、原価率の高い外部仕入品の売上割合が増加したことなどにより売上原価が増加したものの、売上高の増加により売上総利益は261億3千5百万円(前期比 9.2%増)となりました。販売費及び一般管理費は213億3千8百万円(前期比 9.3%増)となり、営業利益は47億9千6百万円(前期比 8.3%増)と、前連結会計年度を上回りました。
営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、6億4千2百万円の収益の計上となりました。これは主に、営業外収益として持分法による投資利益が3億2千4百万円、為替差益が1億1千4百万円、受取利息が6千
6百万円計上されたことなどによるものであります。
以上の結果、経常利益は54億3千9百万円(前期比 14.9%増)となりました。
特別利益から特別損失を差し引いた純額は、7千8百万円の利益の計上となりました。これは主に、特別利益として退職給付制度終了益1億5千万円と、特別損失として特別退職金が6千9百万円計上されたことなどの差引合計によるものであります。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は55億1千8百万円となり、法人税等と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は38億6千8百万円(前期比 21.0%増)となりました。
また、1株当たり当期純利益は171円37銭(前期は137円48銭)となりました。
なお、セグメントごとの分析につきましては、「1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況 (セグメントの業績)」を参照願います。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度末における当社グループの資金(連結キャッシュ・―フロー計算書の「現金及び現金同等物」)残高は、前連結会計年度末より11億3百万円減少して272億9千5百万円となりましたが、当社グループの流動性は、十分な水準にあると考えられます。また、財務状態につきましては、流動比率は260.3%、自己資本比率は63.3%であり、健全な財務状態であると認識しております。
将来の事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金並びに株主還元等につきましては、営業活動により得られた資金及び内部資金より調達しております。また、資金の運用につきましては、信用リスク、金利等を考慮し、安全性を第一と考え、元本割れの可能性が極めて低いと思われる金融商品で行っております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フロー」を参照願います。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積りや評価が含まれております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
なお、現時点において連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に与える重要な影響は認識しておりません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、設計・製造の効率化という課題の解決に向けたソリューションビジネスを展開しております。エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業を主要な市場とするほか、ソリューションを拡充し、設計・製造プロセス全体の最適化を提供していくこと等により、新たな市場、技術領域への取り組みを積極的に展開し、事業基盤のさらなる拡大を図っております。そのため、各種ソリューションの開発・強化の進捗やその品質・信用性の向上、エレクトロニクス、自動車関連・産業機器を中心に製造業における設備投資の動向、さらには有力企業や関連会社との良好な協業・連携の維持といった要因が経営成績に重要な影響を与えるものと思われます。詳細につきましては、「3.事業等のリスク」を参照願います。
(6) 今後の見通し
今後の経済環境につきましては、中東情勢の緊迫化や海外景気の下振れ懸念などにより先行き不透明な状況は続いていくものと思われます。
このような中にあって、当社グループは、お客さまの次世代のモノづくりに貢献する最適なソリューションを提供し、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。詳細につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照願います。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、日本、欧州及び米国の各セグメントにおいて行っております。エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業の分野を中心にモノづくり企業における設計・製造の効率化に関するソリューションを研究開発対象としており、保有する技術を相互補完することにより研究開発の成果増大に効果をあげております。当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は、以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1) 日本
日本における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は
電子機器設計支援における新規分野として、引き続き構想設計段階におけるシステム全体の要件検討やプランニングを行うMBSE(モデルベース・システムズエンジニアリング)ツール「GENESYS」と「CR-8000」や「DS-CR」「DS-E3」の連携強化によるMBSE並びにMBD(モデルベースデベロップメント)領域のソリューション拡充に取り組みました。また、AI(人工知能)エンジンによる基板配置配線の自動化と効率化、AI活用による設計操作支援など様々なプロジェクトにも取り組み、各種新製品をリリースしております。また、グローバルな設計環境への取り組みとして、多言語を統一的に扱うことのできる標準規格「Unicode」に対応する製品を大幅に拡充しました。既存の分野においても、複雑化や大型化により高コスト高難易度となった試作検証を低減するため、シミュレーション活用による設計品質の向上や、隣接する設計プロセスとの協調設計にも継続して取り組みました。
MBSE/MBD領域では、MBSEツール「GENESYS」と「CR-8000」の連携を実現する「GENESYS-CR DG-Connector」及び「GENESYS-CR SP-Connector」の機能強化に加え、MBSEのモデリングを強力にアシストする新製品「GENESYS Utility Power Pack」をリリースしました。
回路・基板を中心とした電子機器設計支援EDA分野においては、システムレベルマルチボード設計環境「CR-8000 Design Force」において、欧州開発部門と取り組んできたAI技術を活用した世界初の自律型インテリジェント自動配置配線システム「Autonomous Intelligent Place and Route」のリリースを行いました。また、エレキとメカを融合したEMC検証ツール「3D EMC Adviser」における新ルール開発、「Analysis Module Advance」におけるDC解析機能強化など、解析主導型設計環境の実現を押し進めました。新設計技術に対するテーマでは、各種センサーやフィルターなどのMEMS設計を支援する高速で高精度の半導体微細設計ツール「MEMS Designer」や、AIを活用してECUコネクタなどのピンマッピングを自動で最適化する「AI GPM (Advanced Intelligent General Pin Mapping)」のパフォーマンス改善や機能強化を行いました。
システムレベル回路設計環境「CR-8000 Design Gateway」では、「サーキットアドバイザ」における電流回り込みチェックのネット電圧値判定方法改善など、電気回路検証環境を強化する機能追加や操作性改善を行いました。
システムレベル構想設計環境「CR-8000 System Planner」では、マルチボード設計機能強化として、実装基板ごとのフィルタリング機能、端子属性の比較・反映機能などの開発を行いました。また、Design Gatewayへの詳細回路出力機能の強化を行いました。
基板製造設計支援システム「CR-8000 DFM Center」では、製造プロセスのDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進する機能強化に取り組み、検査装置や各種生産データに引き渡せる設計情報を拡張しました。また、生産データに付加する情報を集約管理できる機能を開発し、生産データ作成の効率化に取り組みました。
ワイヤーハーネス設計の領域では、輸送機器市場向けの次世代システム「E3.infinite」において、設計データに対するデザインレビューを実現する新オプション製品「WH Design Review」をリリースしました。また、当社が提唱する新しいワイヤーハーネス設計プロセスであるジェネラティブデザインの精度を高めるため、「Topology Advance」の自動設計機能の拡充を行いました。また、大規模ハーネス設計のため分割・分担設計への対応に取り組みました。ハーネス詳細設計を支援する「Formboard Advance」においては、メカ側の設計変更をハーネス図に自動で差分反映する機能を強化し、メカ設計とエレキ設計の連携性向上に取り組みました。
マシナリー向けアドオンパッケージ「E3 Service Utilities」では、部品表出力、布線表出力、及びケーブル図生成などの機能強化を行い、製品力の向上に取り組みました。
プラント/工場の電気工事設計向け製品「E3.EC options」では、ケーブルダクト配管及びケーブルルーティング機能を強化して、設計精度及び効率の大幅な向上を実現する機能開発に取り組みました。
エンジニアリングPLMプラットフォーム「DSシリーズ」では、設計インフラから DX インフラへの進化をテーマに各種の機能改善やセキュリティ向上への取り組みを行いました。回路基板設計領域に対応する「DS-CR」では、種々の機能における操作性改善やパフォーマンス改善を行いました。また、新たなミドルウェア環境の対応や64bit版のリリースを行い、最新の設計環境への対応を行いました。デジタルデータ共有/共創環境「DS-Web」の機能強化を行いました。ワイヤーハーネス設計領域では、マシナリー・プラント市場向けソリューション「E3.series」のデータ管理ツール「DS-E3.series」と輸送機器市場向けソリューション「E3.infinite」のデータ管理ツール「DS-E3.infinite」の双方で、データ管理やモジュール管理、トレーサビリティを強化し、設計効率化や高度なQCDやBCPの対策を支援する様々な機能強化を行いました。「DS-OP」では、PLM/CAEベンダー各社とのアライアンスによる各種PLM/CAE製品の混在した環境対応や他社CAD管理機能拡張を行いました。また、エンジニアリングチェーンを繋ぐデジタルスレッド環境を実現するためのEDM領域とエンタープライズ領域の協調環境として、「PLM Interface」におけるPLMソリューションベンダーとの連携強化に継続して取り組みました。
機械設計分野において、dwg互換であるBricsCADにアドオンする2D機械製図に対応した作図編集機能、豊富な寸法機能やシンプルな操作で注釈や部品番号の記入等に利用できるバルーンと部品表を連携させる機能にあわせ、部品の向きの指定、長さなどのパラメータの指定をすることで配置できるパラメトリックな部品コンテンツを備えたCADアドオンアプリケーション「ACAD-KIKAI」を開発しました。
エンタープライズPLM分野では、「visual BOM」において、3D設計情報の差分取込のパフォーマンスを大幅に高速化することにより、設計変更を適時にvisual BOMに連携できるようになりました。また、組立製造業向け原価見積ツール「COSTLink Qeep」においては、チャット機能を開発し、3D形状を活用した情報伝達を可能にすることで、各部門間で発生する見積に関するコミュニケーションを高度化、簡易化しました。
ナレッジマネージメント分野では、「Qualityforce」において、AIにより推定したクレーム情報を利用者が手入力で修正する機能を開発しました。利用者の訂正により、Qualityforceが正しいデータで再学習することで、推定の精度の向上が可能になりました。AI実装フルオート型ナレッジ活用ソリューション「Knowledge Explorer」においては、RDBの「検索インデックス差分更新」を開発しました。検索対象が大規模レコードである場合に検索インデックスの更新が高速化され、より最新のRDBの状態での検索を可能にしました。
ストリーミング製品分野では、ストリーミングミドルウェア製品のWeb対応に向けた基礎研究、セキュリティ対策が強化されるWebブラウザなどで、ストリーミング製品搭載を容易に実現できる環境構築を目的とした基礎研究および、ストリーミング・ネットワークビジネスにおける生成AIの活用方法や開発業務プロセスへの応用を目的とした生成AI活用に関する基礎研究を行いました。
MBD分野では、流体モデルの応用として精密機器の洗浄等に利用される、薬液の加熱・混合システムのモデル化研究を行い、その成果として流体応用システムのモデル構築手法をテキスト化することで、技術継承のための環境構築を行いました。
(2) 欧州
欧州における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は
電子回路・基板設計分野では、「CR-8000 Design Force」におけるAI技術を活用した世界初の自律型インテリジェント自動配置配線システム「Autonomous Intelligent Place and Route」では、ファンアウト機能やレジストチェック機能を追加し、より配線効率と結線率の向上を実現する機能強化を行いました。また、SI/PI/EMI解析モジュール「Analysis Module Advance Multicore」では、S-ParameterモデルやEBDモデルなどを活用したより高精度な解析環境の実現や操作性の向上に取り組みました。
ワイヤーハーネス分野では、制御盤用筐体のトップ企業であるnVent HOFFMAN社と協調し、「E3.series」をベースとした「DTM Engineering and Manufacturing」を開発し、制御盤開発/製造企業向けのOEM製品として新たにリリースしました。「E3.series」では、より一層複雑化する制御盤レイアウト設計を支援するため、要素の配置先検索機能の強化や、要素配列機能の拡充、既存図形の再利用性向上、要素配置スペースや熱影響等の検証機能を開発しました。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けて、連携する3DメカCADの更なる拡充や、ワイヤ切断装置・パネル製造支援装置等との連携拡充に取り組みました。
(3) 米国
米国における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は
MBSE(モデルベース・システムズ・エンジニアリング)分野では、継続テーマである「GENESYS」の操作性向上と大規模モデルの操作に関するパフォーマンスを強化しました。モデリングデータベースの定義をより簡便にし、必須業務であるシステムモデル定義とそれに伴うモデルデータベース定義にかかる時間を大幅に短縮できるツールとしました。さらに簡便なモデリングを可能にするテーブルビュー、マトリクスビューを新設し、モデリング及びモデルレビューの負担を大幅に軽減する機能を開発しました。
(4) アジア
該当事項はありません。