第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは創業以来の製粉事業に食品事業を加えて基盤事業とし、冷凍食品や中食など事業の多角化を進めてまいりましたが、今後はヘルスケアや大豆・野菜事業などへも注力し、さらに新規事業も加えて事業領域を拡げ持続的成長を図っていくため、「人々のウェルビーイング(幸せ・健康・笑顔)を追求し、持続可能な社会の実現に貢献します」を経営理念としております。

 当社を取り巻く環境は目まぐるしく変化しておりますが、創業以来の技術力と新しいデジタルトランスフォーメーション(DX)の融合を図り、イノベーションを起こすことで、変化を先取りした新しい時代の「食」を創造していきたいと考えております。

 社内においては、社員一人ひとりが創業以来のパイオニア精神を忘れず、創造性・多様性を育み、何事にも積極的に取り組めるような職場環境を構築し、新たな事業領域にチャレンジしてまいります。

 このような企業活動を通じて、気候変動等の環境問題、食資源の有効活用、生物多様性の保全、人口問題、健康寿命の延伸等の社会的課題に対して真摯に向き合い、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。ESG経営を実践するレジリエント企業として、日本と世界の現実に目を向け、国内外のパートナーとともに「より良い社会」「より良い地球」の実現に力を注ぎます。

 当社グループは、経営理念を実現するためにお客様、社員、株主、社会をはじめとするステークホルダーとともに、未来につながる価値を創出してまいります。

 様々な場面で当社製品が愛用され、世の中の全ての人々に幸せ、心身の健康、そして笑顔をお届けする企業を目指します。

 

(2) 会社を取り巻く経営環境

 当連結会計年度における我が国経済は、行動制限の緩和による個人消費及びインバウンド需要の回復が続きました。また、原材料・エネルギー価格の高騰により製造・輸送コストは依然として高止まりの状況にあるものの、ロシアによるウクライナ侵攻後に高騰した穀物相場は沈静化し安定的に推移しております。複雑化する国際情勢、国内の金融政策の動向及び為替相場の変動リスク等、依然として見通しは明るくないものの、経済活動の正常化に伴い、当社グループを取り巻く経営環境は緩やかに改善しました。

 当社グループは持続的な成長を実現するため、ブランド力の強化や差別化した商品の展開に注力するほか、生産拠点の整備・拡充や事業の取得・提携を推進することにより、売上・収益の向上に努めておりますが、国内外での消費行動の変化等が当社グループの業績に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。

 

(3) 会社の対処すべき課題と中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標

① 長期ビジョン2030について

 当社グループは経営理念の実現に向け、新たな長期ビジョンを「ニップングループは、総合食品企業として、食による社会課題の解決に挑み続けます」とし、売上高5,000億円・営業利益250億円の達成年度を2030年度としました。企業価値創造の源泉となる「従業員」のウェルビーイングと「社会」と「生活者」のウェルビーイングを私たちが目指すウェルビーイングとして同時に実現してまいります。

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 今般策定した長期ビジョン2030を目指すべき姿として長期的な課題に取り組み、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を推進するためDX(デジタル・トランスフォーメーション)の更なる活用を図り、企業価値の向上を目指してまいります。

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② 2022-2026中期目標の修正

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<中期目標達成に向けた成長イメージ>

 当社グループは、長期ビジョンとして設定した売上高5,000億円・営業利益250億円を達成するためのマイルストーンとして、2026年度までに売上高4,000億円・営業利益150億円の達成を目指す中期目標を策定しておりましたが、生産性の向上、販売数量増、価格改定の浸透等により、2023年度実績が2026年度の当初目標を上回ったことから、今般新たな数値目標として、売上高4,500億円・営業利益210億円、RОE8%以上、RОIC5%以上を設定しました。新工場稼働等に伴う償却負担増により、営業利益は2023年度比で僅かな増加となるものの、償却前営業利益は大きく伸長する数値目標となります。

 

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 今般策定した修正中期目標は、従来と同様、基盤領域の収益力強化、成長領域及び新規領域への戦略投資、M&Aや事業提携の機会追求、サステナビリティ経営の推進、DX推進等による経営基盤の強化の5つを戦略の基本方針としております。

 

・基盤領域の収益力強化

 収益力強化に向けた生産拠点の整備、マーケティング戦略の推進により、一層の収益力強化を図ります。

・成長領域および新規領域への戦略投資

 販路の拡大、生産能力の増強、付加価値商品の開発・提供を図ることで、更なる成長を目指します。

・M&Aや事業提携の機会追求

 新規領域への戦略投資やM&A・事業提携を通じて、事業の多角化を図ります。

・サステナビリティ経営の推進

 CO2削減等の環境保護への取り組み、孤食や貧困解消のための食の機会提供、多様な人財が働ける雇用の実現などを通じて、社会・生活者・従業員のウェルビーイングを追求し、社会的価値の創出に努めます。

・DX推進等による経営基盤強化

 顧客や従業員の満足度向上に向け、省人化、効率化を推進します。

 これらの基本方針に沿った施策を着実に実行することで、2026年度の修正中期目標の達成に努めてまいります。

 

 

<基盤領域での取り組み>

 当社では、製粉事業、食品素材事業、加工食品事業の3つを基盤領域と定め、安定的かつ継続的にキャッシュを創出するため、収益力の一層の強化に努めてまいります。

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製粉事業

 物流費を始めとした諸コスト上昇に対し、拡売、生産効率向上、物流改善等による効率化を実現することで、償却前営業利益で2023年度並みの水準を維持することで安定的なキャッシュの創出に努めてまいります。

 

食品素材事業

 顧客目線を重視したマーケティング展開、拡大市場での取り組み強化、生産・物流工程における不断のコストダウン継続により、顧客提供価値及び収益性の向上を図ってまいります。

 

加工食品事業

 家庭用ドライグロサリー市場における消費者からの高いエンゲージメントの獲得に向け、マスターブランド戦略への資本集中投下によりトップラインを拡大し、規模の経済性を効かせて収益力の強化を図ってまいります。

 

 

<成長領域での取り組み>

 当社では、冷凍食品事業、中食事業、ヘルスケア事業、海外事業の4つを成長領域と定め、経営資源を重点配分することにより事業領域の拡大を図り、持続的な成長を図ってまいります。

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冷凍食品事業

 各種マーケティング施策と販路拡大による拡売推進、様々なユーザーニーズに応える商品開発体制及び需要拡大を見据えた供給体制の構築により、事業の拡大を図ってまいります。

 

中食事業

 生産体制強化により収益構造を改善すると同時に、既存マーケットの深耕及び新たな中食市場の開拓を進めてまいります。

 

ヘルスケア事業

 付加価値の高い機能性素材の販路拡大と機能性表示食品の主軸ブランド育成及び健康通販事業の拡充を図ることで、売上高の伸長を目指してまいります。

 

海外事業

 各国事業拠点の底上げと近隣諸国への拡大、事業拡大に向けた設備投資、海外経営基盤の強化を図ることで、事業の拡大に努めてまいります。

 

<政策保有株式の縮減>

 当社グループは、政策保有株式の保有にあたり、資本コストを意識した上で銘柄ごとに保有意義を検証し、基本的には縮減を進めることにより資本効率の向上を図ることを目指しております。

 2023年度においては、保有先との対話を進め、154億円相当の政策保有株式を売却しました。引き続き2024年度以降も縮減に注力し、中期目標の最終年度(2026年度)までに、保有額を連結純資産比20%未満とすることを目指してまいります。

 

 

 当社グループの経営理念である「人々のウェルビーイング(幸せ・健康・笑顔)を追求し、持続可能な社会の実現に貢献」するため、経済的価値を追求する事業成長戦略と社会価値創造戦略に経営資源を投入し、長期ビジョン及び中期目標の達成を目指してまいります。

 

③サステナビリティへの取り組み

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 VUCA時代と言われるように当社を取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、将来を予測することが難しくなっております。このような中で、当社の将来の方向性を考える際に、多くの要因を整理し、取り組む課題を明確に示す必要があります。そのため、当社は新たなマテリアリティ(重点課題)とテーマごとに具体的な取り組みを決定しました。これらの課題に重点的に取り組むことで、急激な環境変化に柔軟な対応ができるような組織体制の強化、人財育成などを一層進め、経営理念の実現を目指してまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは「ニップングループは人々のウェルビーイング(幸せ・健康・笑顔)を追求し、持続可能な社会の実現に貢献します」を経営理念としています。この理念の実現のため、気候変動、生物多様性の保全、資源循環型社会の推進といった環境負荷の削減を社会課題と認識し、その解決に努めています。事業活動を通じて、生活者の消費行動やライフスタイルの多様化、ニーズの細分化、超高齢化社会に対応した高付加価値商品、サービスの提供をすることで、食によるウェルビーイングを追求し続けています。さらに、次世代育成のための学習機会や健康情報の提供、食品アクセス問題解消など、食と健康を通じた社会への貢献も重要な課題であると認識し活動しています。また、人的資本への取り組みについても、経営の重点課題として注力しています。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは経営における最高責任者である当社代表取締役社長を委員長とした「サステナビリティ委員会」で、グループ全体の環境を含めた、サステナビリティ課題に取り組む体制を構築しています。

 「サステナビリティ委員会」は取締役会の諮問機関として、長期的視点に立ち社会のサステナビリティを多角的に検討し、当社グループのサステナビリティに関する方向性、マテリアリティや戦略のあり方について議論し、取締役会へ答申します。取締役会はこれを受け、マテリアリティの承認やサステナビリティを踏まえた基本戦略を決定、執行を監督します。

 「サステナビリティ実行委員会」は、サステナビリティ経営を推進するため、マテリアリティに則した施策の立案、施策の進捗管理、各部門、事業計画へのサステナビリティ視点での提案、支援、社内情報の取りまとめを行います。

 

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(2)戦略

<気候変動への対応>

 当社グループは、多くの農作物を原材料として使用しています。気候変動や生物多様性、資源廃棄、土壌汚染などの課題は、農作物に対し大きな影響を与えていることを認識し、温室効果ガスの削減、生物多様性の保全、資源の有効活用等、具体的な対策を進めていきます。また、持続可能な農業を追求するため、これまでの知見を活かした、国産小麦の拡大支援や、植物育種の研究を強化していきます。

 

<TCFDへの取り組み>

 当社グループは、気候変動によるリスクと機会に関連する事業へのインパクトを評価し、対策を立案することが、事業継続と、持続可能な社会の実現に不可欠との認識から、「気候変動財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しています。

①シナリオ分析の前提

当社グループでは、2100年における世界の気温上昇が産業革命時期比で1.5℃上昇、4℃上昇の世界観を想定し(*)、2030年、及び2050年におけるシナリオ分析を当社グループの基盤事業である製粉事業に対して実施しました。また、下表に示すような研究機関で開示されているシナリオを参照し(*)、重要度評価・財務影響評価を実施し、財務への影響度が大、又は中と特定したものについて、対応策を検討しました。

*分析にあたっては、国際エネルギー機関(International Energy Agency)によるSTEPS(4℃シナリオ)、NZE(1.5℃シナリオ)、及び物理シナリオには国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)「AR5」、RCP8.5、RCP6.0(4℃シナリオ)、RCP1.9(1.5℃シナリオ)等を参照しています。

 

②シナリオ分析 リスク

種類

リスクの発生

する要因

具体的内容

対応策

移行 リスク

政策

及び

規制

GHG排出の価格付け進行

GHG排出量の報告義務の強化

炭素価格の上昇により、サプライチェーン全体(原料調達、製造、物流、エネルギー、廃棄等)のコストが幅広く上昇する

・省エネ設備の採用

・太陽光発電設備の導入

省エネ政策の強化

サービス(商品配送、委託製造等)を受ける場合には、業者側にかかるコストが価格転嫁され調達コストが上昇する

・内麦の購入

・船舶輸送への切替

既存製品/サービスに対する義務化/規制化

プラスチック資源の循環や脱プラスチックを考慮した持続可能な容器包装・梱包資材へ切り替えるためのコストが上昇する

・リサイクルパレットへの

切替

・環境配慮型容器包材への

切替

技術

低炭素技術への移行に伴う先行コスト

事業活動全般において、低炭素技術への移行に伴い、開発コスト、設備投資コストが増加する

・省エネ設備の採用

・太陽光発電設備の導入

新規技術への

投資の失敗

規制対応のための技術開発に失敗し、他社の新技術に製品・サービスの需要を奪われ売上が減少する

市場

エネルギーミックスの変化

エネルギー価格の上昇に伴い操業コストが増加する

・省エネ設備の採用

・太陽光発電設備の導入

原材料コスト高騰

GHG排出削減への対応により、原材料(小麦、トマト、大豆、トウモロコシ、蕎麦等)のサプライチェーン全体の調達コストが増加する

・代替原料を使用した商品

開発

 

 

 

種類

リスクの発生

する要因

具体的内容

対応策

物理 リスク

急性

台風や洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇

山火事の可能性と重大性の上昇

暴風雨や高潮・干ばつ等の異常気象が激甚化し、サプライチェーン上での被害が拡大することで、操業の停止や原料の安定調達の困難化により収益の減少(機会損失)、売上保証、製造・調達コスト/復旧コスト/物流コストの増加、対策費用の増加につながる

・船舶輸送への切替

・高潮対策強化

慢性

降雨パターンの変化、気象パターンの極端な変動、平均気温の上昇

深刻な水不足により穀物生産地や当社グループの生産拠点が悪影響を受け、原料調達コストの増加、原材料品質低下、工場の操業停止により収益が減少する

・水リスク評価の徹底

暴風雨や高潮・干ばつ等の異常気象が激甚化し、製品に使用する副原料の供給が滞ることにより生産が遅延し売上が減少する

・省エネ設備の採用

・太陽光発電設備の導入

気温上昇や降水不順等により栽培適地が変化し、農作物の収量低下や品質劣化が発生し原材料価格や製造コストが上昇する。また調達ルート変更により原材料調達コストが増大する

病害虫被害の拡大による農作物の収穫減や品質悪化に伴い、原材料調達コストが上昇する

 

③シナリオ分析 機会

種類

機会の発生する要因

具体的内容

対応策

資源の効率

効率的な輸送手段の利用

効率的な生産・流通プロセス

輸送効率化(トラック輸送の船舶への切り替え)、省エネ化により輸送コストを削減する

・船舶輸送への切替

再生利用(リサイクリング)の利用

物流資材リサイクル(プラパレット)スキーム構築、リサイクリングにより、環境負荷及び調達コストを低減する

・リサイクルパレット

への切替

新技術の利用

サプライチェーンでのフードロス削減や低炭素商品への需要が増加し、それに対応した当社製品(環境配慮型商品・サービス)の売上が増加する

低炭素商品/サービスの

開発、拡大

R&Dとイノベーションを

通じた新製品・サービス開発

ビジネス活動を多様化させる能力

消費者の好みの変化

健康ニーズの高まりやSDGsの価値観浸透により、環境保全・健康に貢献する当社グループのPBF(プラントベースフード)製品に対する需要が拡大する

・植物由来原料を使用

した商品開発

 

<人的資本経営>

 当社グループでは、人的資本への取り組みを経営の重点課題と位置づけ、人財の採用・育成、DE&Iの推進、働きがいがある・働きやすい職場環境づくりの3つのテーマを中心に人財戦略を推進し、企業価値の向上と経営理念の実現を目指します。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティに関するガバナンス体制を強化しています。

 サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価、管理するため、代表取締役社長を委員長とした環境、健康経営推進、HC(ヒューマンキャピタル)の3分野からなる「サステナビリティ実行委員会」は、全社的なリスク管理を行っている「リスクマネジメント委員会」と連携して、多角的な視点でリスクを洗い出し、これら一連の対応状況について、定期的にモニタリング・管理しています。

 両委員会は、全てのリスクを包括的に捉えた上で、優先順位付けと対策を立案し、取締役会に報告します。

 

(4)指標及び目標

①気候変動緩和に関する指標及び目標

 当社グループは気候変動緩和のための指標として、スコープ1・2におけるグループCO2排出量、及び当社の主幹事業である製粉事業のスコープ3を把握しており、今後、バウンダリの拡大と、目標設定をします。引き続き、更なる省エネに取り組むとともに、太陽光発電設備の増設や、再生可能エネルギー電力の使用を進め、CO2排出量削減を推進します。

スコープ1におけるCO2排出量及びCO2排出量原単位

 

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

CO2排出量

(千t-CO2)

48

49

44

47

47

CO2排出原単位

(t-CO2/千t)

25.8

26.0

24.2

25.5

24.8

(注)CO2排出量は連結、CO2排出量原単位は当社及び製造部門をもつ連結子会社

 

スコープ2におけるCO2排出量及びCO2排出量原単位

 

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

CO2排出量

(千t-CO2)

114

113

112

113

115

CO2排出原単位

(t-CO2/千t)

59.9

58.9

59.7

59.9

59.9

(注)CO2排出量は連結、CO2排出量原単位は当社及び製造部門をもつ連結子会社

 

スコープ3におけるCO2排出量

 

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

CO2排出量

(千t-CO2)

3,120

(注)当社製粉事業の排出量

 

②人的資本に関する指標及び目標

 当社グループは経営理念を実現するために、社員の創造性と多様性を育み、何事にも積極的に取り組める職場環境の構築により、個人と組織双方の持続的な成長を目指します。

 人財の採用・育成においては、主体的学習の促進や、越境学習機会の創出、マネジメント力向上など、社員一人ひとりが、自ら学び自律的なキャリアを切り拓く機会を提供し、自身の能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組みます。

 DE&Iの推進においては、人権尊重や女性活躍推進、障がい者雇用の促進など、多様性に溢れた社員が活き活きと働ける職場づくりと心理的安全性が担保された組織風土の醸成に取り組みます。

 働きがいがある・働きやすい職場環境づくりにおいては、理念浸透施策やエンゲージメント向上、健康経営の推進など、社員とその家族の心身の健康保持・増進を支援し、組織の生産性・活力・エンゲージメント向上を図ります。

指標及び目標

 

2023年度実績

2024年度目標

2026年度目標

女性管理職比率

9.2

9.5

10.0%

育児休業取得率

男性

83.3%

90.0%

100.0%

女性

100.0%

100.0%

100.0%

(注)1.当社のみの指標及び目標。

2.育児休業取得者には、年度内に産後休業を開始した者も含む。

 

人的資本に関する情報開示

 

2021年度実績

2022年度実績

2023年度実績

経験者採用数

11人

12人

30

教育・研修投資金額

32,634千円

51,394千円

71,932千円

年次有給休暇平均取得日数

12.3日

12.7日

13.3

育児休業

平均取得日数

男性

9.1日

12.4日

20.1日

女性

331.9日

304.5日

311.1日

適正体重維持者割合

(BMI値)

64.8%

64.8%

63.3

高ストレス者割合

8.4%

9.7%

8.5

(注)1.当社のみの実績。

2.育児休業は、年度内に育児休業を終了した者の平均取得日数。

 

労働者の男女の賃金の差異

 

2022年度実績

2023年度実績

全労働者

74.9%

73.3%

うち正規雇用労働者

80.9%

80.3%

うちパート・有期労働者

74.5%

65.4%

(注)1.当社のみの実績。

2.パート労働者については、正規雇用労働者の所定労働時間(1日7.7時間)で換算した人数を基に算出。2023年度の算定見直しに合わせ、2022年度実績も見直した。

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

また、◎を付したリスクは、顕在化した場合の経営成績への影響が大きい特に重要なリスクと認識しています。

 

 

リスク

対応策

1-1 貿易自由化の進展と麦政策の変更(◎)

当社グループの基幹事業(製粉、プレミックス、パスタ事業)の分野において、CPTPP(TPP11)や日EUEPA、日米貿易協定等の発効・拡大に見られる貿易自由化の進展や、麦政策及び国家貿易のあり方等の見直し状況により、小麦・小麦粉・小麦二次加工品等に関する制度の大幅な変更、小麦調達方式の変更、関連業界再編等が考えられ、当社グループの事業が大きな影響を受ける可能性があります。

輸入関税等の国境措置の低下による小麦粉関連製品の輸入増加や関連制度変更等に対応するため、国内小規模工場の閉鎖と臨海大型工場へ生産集約によるコスト競争力の強化、競争力があり差別化が可能な製品の開発、海外事業の拡大等により、リスクの低減を図っております。

1-2 為替の変動

当社グループは一部の原材料・商品を海外から調達しており、為替相場の変動によってその調達コストに影響を受ける可能性があります。また、在外子会社の損益・財務状況等が円貨換算による影響を受ける可能性があります。

為替予約ルールの設定等によりリスクの低減を図るとともに、原材料・商品の調達価格に見合った適正な製品価格への転嫁により、業績の大幅な変動の抑制に努めております。

1-3 製品市況の変動

当社グループの国内事業は、人口減少、少子高齢化が進むなか競争が激化しており、製品市況の変動が顕在化した場合、当社グループの業績の不安定要因となる可能性があります。また、製粉事業における副産物のふすまは需給バランス、競合する飼料原料の市況等により価格が変動するため、業績に悪影響を与える可能性があります。

当社グループでは、製品市況の変動に応じて、コスト等に見合う適正な価格で製品を販売しており、市場ニーズの変化に対応した製品の開発、高付加価値品の開発による差別化を図っております。また、副産物のふすまについては、需給状況及び市況に応じた価格の販売に努めるとともに、製品製造に連動した適正な在庫水準を維持することで当該リスクの低減に取り組んでおります。

1-4 物流の委託(◎)

ドライバーの不足や高齢化、2024年問題で懸念されている諸問題の発生により取引先への製品の納入が滞り、業績に悪影響を与える可能性があります。

2024年4月の物流法改正により顕著となる配送能力縮小への対応として、物流拠点の見直し、難作業・待機状況の改善などに取組んでおります。またローリーを含めた共同物流の拡大、積載量の増加などの物流効率向上策を進めております。

1-5 海外事業に潜在するリスク

当社グループは米国やアジア地域において事業を展開しておりますが、海外市場においては、予期しない政治・経済状況の変動や法令・規制の改正、テロ・クーデター・紛争等の発生による政情不安等により、事業活動に支障が生じる可能性があります。

海外情勢の情報収集に努めるとともに、海外関連会社に対する当社による適切な管理や運営サポートを施すことにより、リスクの低減を図っております。

 

 

 

 

リスク

対応策

2-1 製品の安全性

食品の安全性に対する消費者の意識は日々高まっており、法令・規制等も厳格さを増しております。当社グループでは、新技術の導入や品質管理に関する社内研修の実施等、品質保証体制の強化に取り組んでおりますが、想定外の要因により、販売停止や製品回収を行う可能性があります。

当社グループではJFS-C等の品質管理システム及び食品安全マネジメントシステムの認証取得、食品防御(フードディフェンス)への取り組みの強化、製造委託先を含む製造拠点における品質管理の徹底、トレーサビリティシステムの維持等、品質保証体制の強化を推進することにより、リスクの低減を図っております。

2-2 気候変動(◎)

気候変動により、原材料の調達からお客様への販売まで、サプライチェーン上の様々な場面で影響が及び、また、低炭素経済への移行により、コストが上昇するなど、当社グループの事業活動に支障が生じる可能性があります。

当社はサステナビリティ委員会及びサステナビリティ実行委員会を設置しており、気候変動に関する当社グループのリスクに包括的かつ具体的に対応する体制を整えております。また、2023年2月には、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同を表明し、「ガバナンス」「リスク管理」の枠組みを通じて、今後、「戦略」「指標及び目標」に取り組み、リスクの低減を図ってまいります。

2-3 原材料の調達(◎)

原材料・海外調達品については、市況の変動・原油価格高騰等による調達コストや人件費・物流費等の諸経費の高騰、自然災害・地球温暖化の影響等による品質の低下及び世界的な需給逼迫による調達難、国際紛争の発生・現地政情不安や港湾スト、流行性疾患の大流行等の物流障害により、安定的に調達できなくなる可能性があります。また、原材料価格上昇等により調達コストが上昇し、製品販売価格への転嫁が確実に行われない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、調達に際して環境・人権問題等の社会的課題に適切に対応しなかった場合、当社グループのブランド毀損や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、環境・人権に配慮しながら、安全で価格競争力のある原材料・海外調達品を安定的に調達できる調達先を確保し、適正な在庫を維持するとともに、調達コスト等に見合う適正な価格での販売に努めることでリスクの低減を図っております。

2-4 資金調達

当社グループは、銀行借入及び社債発行により必要資金の調達をしておりますが、急激な金利上昇や事業計画未達等により格付けが低下し、資金調達環境の悪化や金利負担が増加するなど、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

財務体質の維持及び強化に努めるとともに、資金調達先及び方法、期間を分散させることにより、リスクの低減を図っております。

3-1 サイバー攻撃及びコンピュータシステムのトラブル・データ漏洩(◎)

当社グループでは、システムにトラブルが起こった場合、業務に支障をきたすことが考えられます。また、個人情報を含むデータの漏洩やデータ暗号化の被害等があった場合、対応費用が発生します。

情報セキュリティ基本方針、情報セキュリティ管理規程等を制定し、従業員教育や訓練を実施しております。情報機器についてはデータへのアクセス制御やパスワードの厳重管理を徹底し、取締役会が情報セキュリティの管理状況をモニタリングしており、リスク低減を図っております。

3-2 法的規制の影響

当社グループでは、食品衛生法、食品表示法、環境法等、国内外の法的規制等の適用を受けています。規制強化や想定を超えた新たな法的規制により、事業活動の制限や対応費用が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

関連法規の改正動向の把握に努め、外部研修会への参加、社内研修会の開催、内部監査などを実施し、コンプライアンス体制を強化し、リスクの低減を図っております。

 

 

 

 

リスク

対応策

3-3 知的財産権

当社グループの知的財産権やノウハウが侵害される可能性、また、当社グループが第三者の知的財産権を意図せず侵害した場合、当該第三者から損害賠償請求等の権利行使を受ける可能性があり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

法務部門、知的財産部門による知的財産権の取得、関連部門によるノウハウ化、知的財産権の調査、知的財産権を尊重した製品開発及び営業活動を行い、リスクの低減を図っております。

3-4 災害による影響(◎)

当社グループでは、大規模災害等が発生した場合、大きな損害を被ったり、製品の製造・出荷に支障をきたしたりすることが考えられます。

リスクマネジメント委員会の下部組織である災害対策部会が、全社的な体制の検討を行います。設備・機器の安全性チェックや労働安全教育などを実施し、安全な操業や事故防止体制の確立を図るとともに、従業員の安否確認システムの導入や避難手順書の作成、食料の備蓄、損害保険の付保等によりリスクの低減を図っております。

3-5 人材の確保

当社グループでは、人材の確保及び育成が順調に進まない場合、適切な人材の配置に支障をきたす恐れがあり、特に製造現場での人材が不足することは事業継続に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、製造要員他必要な人材を確保するとともに、職場における教育(OJT)や研修(OFF-JT)等により、その育成に努め、ワークライフバランスの促進や育児休業・育児勤務制度の導入等、働きやすい制度設計に取り組み健康経営を推進しております。さらにIоTやAIを活用して作業の効率化、省力化することで生産性の向上に取り組み、リスクの低減を図っております。

3-6 提携及び買収

当社グループでは、事業展開の手段として他社との提携や買収を実施することがありますが、事業環境の変化等の様々な不確実性により、当初期待した成果を実現できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

提携や買収にあたっては、詳細なデューデリジェンスを実施し、買収等の後、当社は運営のサポート管理を実施し、リスクの低減を図っております。

3-7 資産の運用

当社グループの従業員に係る年金資産は、外部金融機関を通じて運用されておりますが、市況の悪化等により期待運用収益率を実現できない場合や、数理計算上で設定される割引率等の前提条件が変動した場合、将来期間において認識される退職給付債務が増減し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは政策保有株式を保有しておりますが、経済環境や企業収益の動向に付随する時価下落や発行会社の業績不振等により、自己資本が毀損するなど当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

年金資産については、運用の詳細情報を定期的に収集して運用状況のモニタリングを実施しております。政策保有株式の保有については、個別の銘柄ごとに保有目的やメリットなど経済合理性の検証を行い取締役会に報告するとともに、保有の妥当性が認められない場合は縮減に取り組んでおります。検証にあたっては便益やリスクが資本コストに見合っているか否かを精査したうえで、事業戦略の観点など定性的な評価を含め総合的な判断をしております。

 

 

 

 

リスク

対応策

3-8 固定資産・のれんの減損

当社グループでは、国内外に様々な固定資産を保有しており、事業拡大や新規事業の展開に伴う出資等でのれんや投資有価証券を保有する場合があります。生産設備については販売不振等によって将来の収益性が低下し、のれんや投資有価証券については、意思決定時に想定していた収益や効果が実現できない場合には、減損処理が必要となり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

一定金額以上の設備投資やM&A等の計画については、投融資委員会を設置し、委員会において社内基準に基づき経済合理性を十分吟味したうえで、取締役会において投資効果等を審議のうえ決議としており、

また、投資後の業績進捗状況等のモニタリングを継続的に実施することでリスクの低減を図っております。

3-9 感染症等(◎)

感染症の流行により従業員の感染、原材料の確保に支障が生じる等により、製品の安定供給に支障が生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

感染症の流行時の事業継続計画を策定し、業績への影響を低減するよう備えております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比

売 上 高

365,525

400,514

34,988

109.6%

営業利益

12,288

20,340

8,052

165.5%

経常利益

14,816

23,280

8,463

157.1%

親会社株主に

帰属する

当期純利益

10,260

26,367

16,107

257.0%

 

当連結会計年度における我が国経済は、行動制限の緩和による個人消費及びインバウンド需要の回復が続きました。また、原材料・エネルギー価格の高騰により製造・輸送コストは依然として高止まりの状況にあるものの、ロシアによるウクライナ侵攻後に高騰した穀物相場は沈静化し安定的に推移しております。複雑化する国際情勢、国内の金融政策の動向及び為替相場の変動リスク等、依然として見通しは明るくないものの、経済活動の正常化に伴い、当社グループを取り巻く経営環境は緩やかに改善しました。

このような状況下、当社グループは経営理念「人々のウェルビーイング(幸せ・健康・笑顔)を追求し、持続可能な社会の実現に貢献します」のもと、環境負荷低減や人的資本等のサステナビリティ課題への取り組みを強化する等、企業価値の持続的な向上に努めました。

国内では、昨年10月に愛知県知多市の新たな製粉工場建設に着工しました。当工場はDXの活用によるスマートファクトリー化を推進するとともに、自然災害に強く、省エネ・環境を含めSDGsに配慮した最先端の製粉工場として、2026年2月の稼働を予定しております。新たな工場建設に加え、神戸甲南工場、伊勢崎工場の設備増強工事をはじめとした投資を着実に進めました。また、本年2月には研究開発体制の一層の強化を図るため、新たな研究拠点の用地を取得しました。

海外では、昨年5月に北米でのビジネス拡大のため米国の製粉会社Utah Flour Milling, LLCへ出資した他、9月に再生可能エネルギーの利用を推進するべく、NIPPN(Thailand)CO., Ltd.のプレミックス並びに冷凍生地工場に太陽光発電設備を導入しました。また、10月にはPT NIPPN PRODUCTS INDONESIAのプレミックス工場が竣工し、ASEAN地域での業容拡大に取り組みました。

当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、個人消費及びインバウンド消費の回復等による需要の増加に加え、原材料価格及び各種コストの上昇に伴い実施した価格改定により、売上高は4,005億1千4百万円(前期比109.6%)となりました。利益面では、原材料及び各種コストの上昇や、拡売のための戦略コストが増加したものの、冷凍食品類の販売数量伸長、中食事業の堅調な推移、生産性の改善によるコストダウン等により、営業利益は203億4千万円(同165.5%)、経常利益は232億8千万円(同157.1%)、政策保有株式の売却による特別利益の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は263億6千7百万円(同257.0%)となり、売上高及び各段階利益は過去最高を更新しました。

事業別の状況は次のとおりです。

 

<製粉事業>

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比

売 上 高

117,604

125,316

7,711

106.6%

営業利益

7,528

9,186

1,657

122.0%

 

製粉事業については、小麦粉の価格改定並びに副製品のふすまの販売価格の堅調な推移等により、売上高は前年を上回りました。

なお、外国産小麦の政府売渡価格が昨年4月から5銘柄平均(税込価格)で5.8%引き上げられ、昨年10月には同11.1%引き下げられたことに伴い、昨年6月及び本年1月に、業務用小麦粉の価格を改定しております。

以上により、製粉事業の売上高は1,253億1千6百万円(前期比106.6%)、営業利益は91億8千6百万円(同122.0%)となりました。

 

<食品事業>

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比

売 上 高

204,796

226,661

21,864

110.7%

営業利益

3,449

8,354

4,904

242.2%

 

業務用食品については、飲食店を中心に個人消費及びインバウンド消費の回復等により需要が増加したことから、売上高は前年を上回りました。

家庭用食品については、原材料費、物流費及びエネルギー価格等のコスト上昇に伴い、昨年から継続して価格改定を実施したことにより、売上高は前年を上回りました。

冷凍食品類については、発売から20周年を迎えた冷凍パスタ「オーマイプレミアム」の新たなラインナップとして最上級の美味しさを目指した「至極」シリーズを発売し、高付加価値商品の拡売に努めました。また、1食完結型のトレー入り「よくばり」シリーズ等の家庭用冷凍食品の販売も好調に推移し、加えて価格改定を実施したことから、売上高は前年を上回りました。

なお、本年2月にはおうちパスタを革新するオーマイプレミアムの新ブランド戦略を発表し、家庭用食品・家庭用冷凍食品の更なる販売強化に取り組んでおります。

中食事業については、人流の回復に伴い需要が伸長するとともに、商品の販売単価が上昇したことから、売上高は前年を上回りました。

以上により、食品事業の売上高は2,266億6千1百万円(前期比110.7%)、営業利益は83億5千4百万円(同242.2%)となりました。

 

<その他事業>

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比

売 上 高

43,123

48,536

5,412

112.6%

営業利益

1,263

2,799

1,535

221.5%

 

ペットフード事業については、出荷増に加えて原材料等のコスト上昇に伴う価格改定を実施したことにより、売上高は前年を上回りました。

外食事業については、人流の回復に伴う需要の増加に加えて販売が好調に推移したことから、売上高は前年を上回りました。

以上により、その他事業の売上高は485億3千6百万円(前期比112.6%)、営業利益は27億9千9百万円(同221.5%)となりました。

 

②資産、負債及び純資産の状況

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

流動資産

143,021

157,759

14,737

固定資産

201,557

228,919

27,361

繰延資産

26

13

△12

資産 合計

344,606

386,692

42,086

流動負債

78,613

84,403

5,790

固定負債

73,378

74,002

623

負債 合計

151,992

158,406

6,413

純資産

192,613

228,285

35,672

負債・純資産 合計

344,606

386,692

42,086

 

当連結会計年度末の総資産残高は、前連結会計年度末に比べ420億8千6百万円増加し、3,866億9千2百万円となりました。この主な要因は、投資有価証券が133億6千3百万円、有形固定資産が109億3千9百万円、現金及び預金が87億7千8百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が64億3千7百万円、退職給付に係る資産が32億1千9百万円、その他の流動資産が29億7千5百万円増加したこと、及び原材料及び貯蔵品が56億3千9百万円減少したことによるものであります。

負債の残高は、前連結会計年度末に比べ64億1千3百万円増加し、1,584億6百万円となりました。この主な要因は、未払法人税等が48億6千8百万円、繰延税金負債が47億9千4百万円、その他の流動負債が13億4千9百万円、短期借入金が13億円、未払費用が10億6百万円増加したこと、及び長期借入金が39億6千8百万円、支払手形及び買掛金が28億8千3百万円減少したことによるものであります。

純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ356億7千2百万円増加し、2,282億8千5百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が225億2千6百万円、その他有価証券評価差額金が96億5千9百万円、退職給付に係る調整累計額が21億8千9百万円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

15,055

24,022

8,966

投資活動によるキャッシュ・フロー

△5,026

△9,489

△4,463

財務活動によるキャッシュ・フロー

△8,402

△7,241

1,161

現金及び現金同等物に係る換算差額

394

293

△101

現金及び現金同等物の増減額

2,021

7,584

5,563

連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額

△78

△13

65

現金及び現金同等物の期末残高

33,157

40,728

7,570

 

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ75億7千万円増加し、407億2千8百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、240億2千2百万円の収入となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益が361億6千3百万円、減価償却費が103億1千4百万円、棚卸資産の減少額が36億1千1百万円となったこと、並びに投資有価証券売却益が135億6百万円、売上債権の増加額が62億8千4百万円、法人税等の支払額が48億6千8百万円となったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、94億8千9百万円の支出となりました。この主な要因は、固定資産の取得により211億5千7百万円、関係会社株式の取得により35億6百万円、有価証券の取得により30億3千万円の支出があったこと、並びに投資有価証券の売却・償還により162億7千5百万円、有価証券の売却・償還により10億1千6百万円、関係会社株式の売却により9億7千9百万円の収入があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、72億4千1百万円の支出となりました。この主な要因は、長期借入金の返済により38億9千1百万円、配当金の支払により38億3千4百万円の支出があったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

ⅰ) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 前年同期比(%)

製粉事業(百万円)

129,104

107.5

食品事業(百万円)

173,733

115.1

その他(百万円)

27,570

114.0

合計(百万円)

330,409

111.9

(注)1.金額は期間中の平均販売価格によっております。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

ⅱ) 受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)の生産は受注によるものではなく、この項目の記載事項はありません。

 

ⅲ) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 前年同期比(%)

製粉事業(百万円)

125,316

106.6

食品事業(百万円)

226,661

110.7

その他(百万円)

48,536

112.6

合計(百万円)

400,514

109.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 相手先

 前連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

伊藤忠商事株式会社

54,481

14.9

58,351

14.6

株式会社ファミリーマート

47,893

13.1

48,823

12.2

 

⑤重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」並びに「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、経営方針として、有利子負債圧縮の考えのもと、事業活動に必要な資金の安定的な確保と、事業環境の変化に耐えうる流動性の維持を基本としております。

当社グループの短期資金需要のうち主要な内容は、製造・販売活動に必要な運転資金、研究開発費、借入の返済、配当金の支払い、法人税の支払いであり、これらについては営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入のほか、必要に応じてコマーシャル・ペーパーを発行することでまかなう方針であります。

長期資金需要は、長期運転資金及び設備投資資金であり、設備投資のうち主要な内容は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております大規模投資のほか、生産合理化に向けた設備投資等であります。これらの投資資金については営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入のほか、必要に応じて主として社債を発行することで資金需要をまかなう方針であります。

資金流動性を維持するにあたり、当社及び主要な連結子会社は、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、各社の余剰資金を当社へ集中させ一元管理することにより、資金効率の向上と金融費用の低減を図っております。また、設備投資を行うにあたっては投資計画の妥当性を考慮して資金の使用時期と金額を判断しております。さらに、主要取引銀行とのコミットメントライン契約及び当座貸越契約により、十分な流動性を確保しております。

なお、当連結会計年度末における社債、転換社債型新株予約権付社債及び借入金並びにリース債務を含む有利子負債の残高は629億4千9百万円、現金及び現金同等物の残高は407億2千8百万円となり、ネット有利子負債は222億2千1百万円(前期比69.1%)となりました。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は当社の中央研究所(フードリサーチセンター、イノベーションセンター、研究企画センター)及び開発本部(企画開発部、食品開発部、事業開発部)が中心となって、顧客のニーズにマッチした差別化された新製品、新技術の開発を目標に、顧客及び関連部門との連携を密にして研究開発を行っております。

当連結会計年度における各セグメント別の研究、主要課題、研究成果は次のとおりであります。なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は3,606百万円であります。

(1) 製粉事業

小麦粉をはじめとする穀粉類について、それぞれの原料の品質特性に関する研究、物理的あるいは化学的な性状に関する研究を行い、小麦粉関連製品の品質向上に努めております。また、小麦粉等のパン、ケーキ、めん等への加工性に関する総合的研究を行い、風味に特徴のある小麦粉関連製品や新たな性状・機能性をもつ製品等の開発を行っております。

分析関係では、安全・安心に関わる分析技術の開発を進めるとともに、試験所に関する国際規格ISO17025の認定を取得するなど、分析の信頼性向上に努めております。

製粉事業に係る研究開発費は970百万円であります。

(2) 食品事業

家庭用商品(グロサリー、冷凍食品)の開発をはじめ、業務用として、プレミックス類、冷凍生地、冷凍食品、めん類、パスタ、パスタソース、レトルト食品、ホイップクリーム、コーン、米粉の開発及び調理メニューの開発を、各種業態向けに取り組んでおります。

家庭用グロサリー商品においては、「ニップン」ブランドとして、用途に合わせた包装容量の小麦粉、簡便性等の消費者ニーズに合わせた各種プレミックス類、各種乾麺、「オーマイ」「REGALO」ブランドのパスタ及びパスタ関連商品(ソース、ラザニエッテ他)、健康・機能性を訴求するアマニ関連商品類(アマニ油、ドレッシング他)について、ブランド強化と連動した新商品開発を進めています。家庭用冷凍食品では、「オーマイプレミアム」「Big」シリーズを代表とする調理済個食パスタ、トップシェアの「お弁当パスタ」に加え、「よくばり御膳」「いまどきごはん」「よくばりメシ」「よくばりプレート」といった個食米飯・プレート商品群の強化、更に、パイシート、ホットケーキ、プラントベースフード商品等、拡大する冷凍食品市場に向け、新商品の投入を図っています。

また、穀物、大豆、野菜等を原料とした素材開発、商品開発を積極的に取り組み、新たな植物性たんぱく新素材「ソイルプロ」を開発し、新しい事業展開に向けた取り組みを試みています。

食品事業に係る研究開発費は1,894百万円であります。

(3) その他事業

①ペットフード事業

当社及びエヌピーエフジャパン㈱が中心となって、嗜好性や健康に配慮した、主食用ペットフード及び副食用ペットフードの研究開発を行っております。

②エンジニアリング事業

粉粒体関係、小麦粉二次加工関係の機械装置及びこれに付帯する制御装置、情報処理の研究、開発を行っております。

③機能性関連事業

植物に含まれる機能性成分の基礎並びに応用研究を行っており、大学や公的研究機関等とも共同研究を行っております。また、これらの成分を利用した機能性食品素材、健康食品、機能性表示食品、機能性野菜等の開発にも取り組んでおります。

④その他

生命工学の手法を応用した研究開発に取り組んでおり、小麦新品種の育成を公的研究機関等と共同で行っております。また、微生物の利用技術の開発、新規な分析技術の研究開発等も行っております。

その他事業に係る研究開発費は741百万円であります。