当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業の精神である、常にお客さまに誠心誠意尽くすという「飛脚の精神(こころ)」のもと、
一.お客さまと社会の信頼に応え 共に成長します
一.新しい価値を創造し 社会の発展に貢献します
一.常に挑戦を続け あらゆる可能性を追求します
を企業理念とし、お客さまから「安心」「満足」「信頼」をいただけるサービス・品質向上を図っております。今後も社会の変化・顧客のニーズに迅速に対応し、トータルなソリューションの提供を実現させ、一層社会に必要とされる企業体を目指してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
現在の我が国における物流事業環境は、物価・人件費等のコスト上昇に伴う価格転嫁の進行に加え、2024年4月から適用される自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制に伴う輸送力不足の懸念(以下「2024年問題」という)に向けた対応の本格化等を契機に同業・異業種間の協業の増加など業界構造に変化の兆しが見られます。内需型産業である宅配便は中長期的な観点では、国内人口減少等の影響が見込まれる一方で、EC化率(商取引金額に対するEC取引金額割合)の高まりとともに、宅配便に対する需要も緩やかに増加すると想定しております。また、少子高齢化を背景に労働需給が一段とひっ迫する中、働き方改革関連法が順次施行されるなど、宅配便ネットワークを維持するための社内外の人材確保や生産性向上の取組みが必要となっております。
国外における物流事業環境は、地政学リスクの拡大を背景としたグローバルサプライチェーンの再構築の動きの継続や、インフレ継続などによる世界経済の成長鈍化懸念など、先行きは不透明な状況が続いております。
加えて、気候変動による激甚災害が世界的に増加する中、企業における脱炭素の取組みがより一層求められております。
このような変化の激しい環境の中、当社グループは社会インフラの一部を担う物流企業グループとして、持続可能な社会の実現に貢献するため、2030年に向けた長期ビジョン「Grow the New Story. 新しい物流で、新しい社会を、共に育む。」を策定し、社会に必要とされ続ける物流を創ることに挑んでまいります。長期ビジョンでは、具体的な施策として2つの柱を掲げております。1つ目は、宅配便の安定的な成長及び、宅配便以外のTMS、3PL、国際・海外などのビジネスを成長エンジンに、バランスの取れた事業ポートフォリオを形成し、2030年度の営業収益2兆2,000億円を目指すことです。そしてもう1つは、2050年度カーボンニュートラルの実現です。これに向けて、2030年度にはCO2排出量を46%削減(2013年度比)する目標を掲げております。
そして当社グループは、2023年3月期から2025年3月期までを長期ビジョン達成に向けた最初の3か年と位置づけ、2022年3月に中期経営計画「SGH Story 2024」を策定いたしました。この3か年で重点戦略である、総合物流ソリューション「GOAL」の高度化、競争優位創出につながる経営資源の拡充、ガバナンスの更なる高度化に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(中期経営計画の経営戦略)
① 総合物流ソリューションの高度化
② 競争優位創出につながる経営資源の拡充
③ ガバナンスの更なる高度化
(中期経営計画策定時の2025年3月期計数目標)
|
営業収益 |
1兆6,500億円 |
|
営業利益 |
1,600億円 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
1,050億円 |
中期経営計画策定時と比較し、マクロ環境及び物流業界を取り巻く環境は大きく変化しております。このような環境変化に対応するとともに、中期経営計画で掲げた戦略を推進するため、宅配便ネットワークを維持するための社内外リソースの確保や生産性向上の推進のほか、適正運賃収受の取組みや、TMS、3PL、国際といった宅配便以外のサービスの成長に向けた取組みを進めておりますが、2025年3月期の業績予想は、当初掲げていた中期経営計画最終年度の計数目標から引き下げております。詳細は、「(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご覧ください。
中期経営計画「SGH Story 2024」では、「持続可能な成長を実現する次世代の競争優位性創出」を基本方針に掲げ、①総合物流ソリューション(GOAL)の高度化、②競争優位創出につながる経営資源の拡充、③ガバナンスの更なる高度化、に取り組んでまいります。
特に2025年3月期は、「2024年問題」への対応、インフレの進行や世界経済の停滞といった中期経営計画策定時からの環境変化も踏まえ、持続的成長を実現するために、次の3点を重点ポイントとして各種施策に取り組んでまいります。
・成長領域への進出や新規事業拡大など成長基盤の構築
TMS、3PLや国際サービスを中心とした宅配便以外のサービス領域の拡大を進めてまいります。特に、成長性の高い分野に注力し、自社リソースだけでなく、ノウハウを持つ他社とのアライアンス等も視野に入れて対応してまいります。さらに、オープンイノベーションの取組みなど新規事業拡大を推進してまいります。
・パートナー企業への委託単価の引き上げなどの社内外リソースの維持・確保
パートナー企業との関係性を一層強化するため、委託単価の引き上げや業務効率化の取組みを進めてまいります。これらの取組みにより、宅配便ネットワークの維持に努めてまいります。
・事業を持続的に支えるコスト構造の再構築
自動化投資等による省人化・効率化を図るとともに、適正運賃収受の取組みを継続し、持続可能な事業基盤の構築を進めてまいります。
① 総合物流ソリューション(GOAL)の高度化
・脱炭素をはじめとした社会・環境課題解決に向けたサービスの推進
世界的な気候変動問題への意識は一層高まりを見せており、日本国内においても政府による削減目標の引き上げ、コーポレートガバナンス・コード改訂による気候変動対応の開示等への対応が必要となってまいります。
このような環境下において、当社グループが提供する物流ソリューションを通じて、お客さまにとってより効率的なサプライチェーンの構築、社会・環境課題の解決に貢献していくことを目指してまいります。加えて、車両のEV化や再生可能エネルギー創出への施設投資など、自社の取組みを進めることによりお客さまのGHG排出削減にも寄与してまいります。
・TMS・3PLネットワークの拡充と周辺ソリューションの高度化
EC貨物の増加を背景に国内の宅配便市場は中長期的には緩やかな成長を見込んでおります。お客さまのサービス差別化において物流は大きな役割を担っており、運送事業者へ求めるロジスティクス高度化への要求は高まりを見せております。
佐川急便株式会社を中心とした当社グループの顧客基盤と、グループ横断の営業チーム「GOAL」を強みとして、TMS・3PLソリューションによりお客さまのサプライチェーン全体へと提案領域を広げてまいります。特に2025年3月期は、成長性の高い分野に注力し、より最適な物流提案を実現することでお客さまの抱える物流課題の解決を図ってまいります。
・国際・海外向けサービスの強化
国際サービスでは、日本国内の営業リソース及び集配ネットワークを強みに、国際通販・国際TMS・国際エクスプレス等、日本発着貨物の獲得を強化してまいります。また、海外サービスでは、アジア発のフォワーディング事業を中心に既存顧客のウォレットシェア拡大、新規レーンの拡大、新規顧客層の開拓により、取扱貨物量の増加に取り組んでまいります。
・宅配便のサービス向上と効率化による収益性向上
宅配便サービスは、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という)に端を発したEC化の加速により、取扱個数は今後も増加すると想定しております。一方で、低価格帯のポストインサービスの急伸、大手ECプラットフォーマーの自社配送網拡大及び異業種からの新たな参入など、競争の激化が見込まれます。
このような環境下において、市場成長を見据えたキャパシティ向上への投資、業務効率化を実現するDX投資を加速させ、サービス向上と収益性向上による宅配便の安定的事業成長を目指してまいります。特に、エネルギーや車両等様々なコスト上昇の影響や、このようなインフレ環境下における給与水準や委託費といった人に関わる費用の見直しの必要性等を踏まえ、一層の効率化に取り組むとともに、引き続き適正運賃収受の取組みも推進してまいります。
② 競争優位創出につながる経営資源の拡充
・アライアンスを含めた国内外輸配送ネットワークの強化
宅配便以外の収益拡大に向けたネットワークの強化においては、自社の力だけではなくパートナーとのアライアンスを積極的に進めることで、多様で高品質なサービスの提供とネットワークの強化による拡販を目指してまいります。
宅配便におきましては、市場成長による取扱個数増加への対応として、中継センターの拡充、営業所への最適投資及びパートナー企業の増加による戦力増強に取り組んでまいります。また、特に2025年3月期においては、インフレの進行や「2024年問題」への継続的な対応を見据え、パートナー企業との連携を一層強化するため、委託費の見直しや業務効率化の取組みを進めてまいります。
・人的資本への投資及びエンゲージメントの向上
次世代の競争優位を創出するための「人材」への投資として、グローバルやDX等の専門人材の獲得及び育成に注力してまいります。また、各種制度や教育の充実を図り、新しいことに挑戦できる企業風土を醸成してまいります。
・DXへの投資による競争優位の創出
社会・顧客の課題解決を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目的に、「デジタル基盤の進化」、「業務の効率化」、「サービスの強化」の3つの施策に取り組んでまいります。また、R&Dによる新たな事業モデルの研究等、将来の競争優位を高めるための取組みも同時に進めてまいります。加えて、これらの施策を推進するために必要なDX人材の育成強化を行ってまいります。
・オープンイノベーションなどによる新たな価値の創造
スタートアップや異業種企業が持つ革新的アイデア、テクノロジー及びITソリューションなどのノウハウと、当社グループが持つリソースを融合し、新たな価値の創造を目指してまいります。これに向けて、スピード感を持った概念実証を行うための体制の構築や、グループ内でのノウハウの蓄積も進めてまいります。
③ ガバナンスの更なる高度化
・グローバル化に対応したガバナンスの構築
海外における当社の主要な連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLCのJ-SOX対応等、管理体制を高度化してまいります。また、海外現地法人のガバナンスの一層の強化に取り組み、内部統制の定着化を推進してまいります。加えて、EXPOLANKA HOLDINGS PLCにおきましては、国際輸送ビジネスにおける最適なガバナンス体制の構築やグループ間連携の一層の強化等を目的に、2024年3月に非上場化手続に着手しており、今後も企業価値向上に資する中長期的な戦略を実行してまいります。
・コンプライアンスの継続的な高度化
不正・不祥事(ハラスメント含む)の発見から対応、再発防止までのサイクルを高度化するとともに、コンプライアンス意識向上への教育等、コンプライアンス体制の更なる強化に取り組んでまいります。
(3)経営環境と対応方針
① 全般
現在の我が国経済は、感染症の法律上の取扱いが引き下げられ、経済社会活動の制限が取り除かれたことなどを背景に、景気は緩やかに回復いたしました。しかしながら、国内の物価上昇や為替相場での円安の進行のほか、世界的な金融引き締め政策の継続や地政学リスクの拡大などを背景とした経済成長の鈍化懸念など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。物流業界におきましては、国内ではインフレの進行による実質賃金の低下等を背景に足元の宅配便需要は不安定な状況が継続しておりますが、コロナ禍を契機に新たな生活様式として幅広い世代でEC利用が定着し、宅配便に対するニーズは多様化しております。また、「2024年問題」への対応や、急激なインフレの進行等を背景に、当社グループを含む大手事業者を中心に価格改定の動きが加速しております。加えて、政府から「2024年問題」への対策として、荷主企業、物流事業者、一般消費者が協力して輸送力不足に対応するための環境整備に向けて、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容を進める方針が示され、持続可能な物流を実現するための取組みが推進されております。
今後の我が国経済の見通しにつきましては、政府の総合経済対策の効果発現や実質賃金の上昇等による緩やかな回復が期待されておりますが、資源価格の上昇や為替相場での円安の継続等に加え、世界的な金融引き締め政策の継続や地政学リスクの拡大など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの主力事業である国内におけるデリバリー事業や、ロジスティクス事業におきましては、足元では物価上昇による実質賃金の低下や為替相場での円安の継続等のほか、消費者マインドに弱い動きがみられるなど、需要の状況が不安定になっております。中長期的にはEC市場の拡大を背景に成長トレンドが続くと想定しておりますが、国際物流におきましては、インフレの進行とこれに対応した金融引き締め政策の継続、地政学リスクの拡大などを背景に一部で経済成長の鈍化が懸念されるなど、先行きの見通しが難しい状況が続いております。また、当社グループとして中長期的に対応すべき外部環境として、インフレの進行、国内の労働人口減少、物流業界における長時間労働問題への対応、AI・IoT技術や物流ロボティクスといったテクノロジーの進化、さらに2050年カーボンニュートラルに向けたGHG排出削減などを想定しており、今後もこのような社会・経済環境の変化はスピードを増していくものと考えております。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、社会インフラの一部を担う物流企業グループとして、持続可能な社会の実現に貢献するため、2030年に向けた長期ビジョン「Grow the new Story. 新しい物流で、新しい社会を、共に育む。」を掲げ、社会に必要とされ続ける物流を創ることに挑んでまいります。
② デリバリー事業
物価調整後の家計消費支出の弱まり等の影響を受け、当連結会計年度の宅配便の取扱個数は、前期比2.7%減の1,373百万個となりました。一方で、2023年4月からの届出運賃の改定や、取引ごとの適正運賃収受の取組みにより、平均単価は前期比5円増の648円となりました。
当社グループでは、労働力不足やインフレの進行等リソースの制約の厳しさが増す中で、次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」を代表とする中継センター等、物流施設の最適化やデジタライゼーションによる業務効率化、多様な働き方への対応等、生産性の向上や労働環境の改善に積極的に取り組み、経営基盤の強化を進めてまいりました。特に、エネルギーや車両等様々なコスト上昇の影響や、このようなインフレ環境下における給与水準や委託費といった人に関わる費用の見直しの必要性等を踏まえ、一層の効率化に取り組むとともに、適正運賃収受の取組みを継続してまいります。また、「GOAL」による総合物流ソリューションの取組みにより、「TMS」や越境EC等、かねてより開拓に注力してきた分野の成果が出始めております。今後も「TMS」や3PLといった物流ソリューションの拡充や、越境EC等、国際・海外向けサービスの強化、脱炭素を始めとした社会・環境課題解決に向けたサービスの推進、また、中長期的には増加が見込まれる宅配便の需要に対するサービス向上と効率化等に取り組み、総合物流ソリューションの高度化を進めてまいります。
特に、宅配便に次ぐ第二の主力商品と位置付けている「TMS」につきましては、成長性の高い分野に注力し、自社リソースだけでなく、ノウハウを持つ他社とのアライアンス等も視野に入れ、お客さまの輸送ニーズに幅広く対応していくとともに、新しい収益の柱として成長させていきたいと考えております。
③ ロジスティクス事業
当第3四半期連結会計期間から米国での消費者マインドには回復の兆しも見え始めたものの、物価上昇による金融引き締めなどを背景とした経済成長の鈍化懸念等が継続したことにより当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLCでは、海上・航空輸送需要が減少しました。また、海上・航空運賃は、一部では上昇が見られたものの、全体としては底這い状況が継続いたしました。そのような中でも、中長期的な成長に向けては、アメリカの通関事業者やカナダのフォワーディングを中心とした物流事業者を子会社化するなど、国際輸送サービス強化のための取組みを実施してまいりました。また、2024年3月には、国際輸送ビジネスにおける最適なガバナンス体制の構築やグループ間連携の一層の強化等を目的に、EXPOLANKA HOLDINGS PLCのコロンボ証券取引所からの非上場化手続に着手いたしました。
国内におきましては、「GOAL」による包括的なソリューション提案により、3PL等の案件受託も増加しております。また、デリバリー事業と連携した越境ECや日本発着の国際物流に関しても、本格展開に向けた体制強化を進めております。
今後も、アライアンスを含めた更なるグローバルネットワークの拡充や、EXPOLANKA HOLDINGS PLCと国内で展開する事業とのシナジーの創出などにも注力してまいります。
④ 不動産事業
日本のEC化率は、中国や欧米に対し未だ低い水準にあることから上昇が継続すると考えられ、宅配便の取扱個数は今後も緩やかに増加することが見込まれます。また、サプライチェーンの複雑化やテクノロジーの進化に伴い、企業物流も高度化していくことが予想されます。このような宅配便の需要増や、高度化する物流ニーズに対応するため、当社グループの輸送ネットワークにおける適切なキャパシティの確保や安定的な稼働・効率化を実現する物流施設の開発・改修に努めるとともに、不動産を含めた総合物流ソリューションの提供を進めてまいります。
⑤ その他
その他の事業は、効率的な物流ソリューションを提供するための基盤となる様々な機能で構成されております。高度化する物流ニーズや生産年齢人口の減少が続く中、効率的で安定的な物流を実現するために、デジタル化による生産性の向上や顧客の利便性の向上に取り組んでまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、次のとおりであります。
|
(連結業績予想) |
|
(単位:百万円) |
|
|
2025年3月期 業績予想 |
前期比(%) |
|
営業収益 |
1,380,000 |
104.8 |
|
営業利益 |
96,000 |
107.6 |
|
経常利益 |
97,000 |
106.8 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
64,500 |
110.7 |
|
(セグメント別業績予想) |
|
(単位:百万円) |
|
|
|
2025年3月期 業績予想 |
前期比(%) |
|
|
営業収益 合計 |
1,380,000 |
104.8 |
|
|
|
デリバリー事業 |
1,062,000 |
103.3 |
|
ロジスティクス事業 |
246,000 |
111.9 |
|
|
不動産事業 |
12,000 |
95.1 |
|
|
その他 |
60,000 |
107.1 |
|
|
営業利益 合計 |
96,000 |
107.6 |
|
|
|
デリバリー事業 |
82,000 |
100.6 |
|
ロジスティクス事業 |
3,000 |
- |
|
|
不動産事業 |
7,000 |
98.0 |
|
|
その他 |
3,500 |
102.5 |
|
|
調整額 |
500 |
25.0 |
|
(注)営業収益は外部顧客に対する売上高を示しております。
2025年3月期の連結業績予想
当社グループの2025年3月期連結業績予想は、主力のデリバリー事業の取扱個数については当期と同程度の数量とセールスミックスを前提とし作成しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
当社グループは、2030年に向けた長期ビジョン「Grow the new Story. 新しい物流で、新しい社会を、共に育む。」を掲げ、多様なパートナーと共に、環境問題に代表される社会課題の解決に取り組み、総合物流ソリューションの提供を通じて、社会とお客さまのお役に立てる価値創造に挑んでおります。
① ガバナンス
イ.組織体制
当社グループは、サステナビリティに関わるグループ全体の管理体系の構築と、持続的改善活動の推進を目的としたサステナビリティ委員会を設置しております。本委員会は、代表取締役会長を委員長、常勤取締役を委員とし、原則年4回開催しています。サステナビリティ委員会の下部組織には7つの専門部会を設置し、具体的な課題の設定と取組みを行っています。このサステナビリティ委員会での議論の結果は、取締役会での脱炭素施策の予算承認など具体的な施策の意思決定に反映されております。
各会議体の概要については、「
ロ.スキルマトリックス
取締役および監査役が備えるスキルは以下のとおりです。サステナビリティ関連のスキルについて、松本秀一(代表取締役社長)および鷺坂長美(社外取締役)は、環境省での実務経験があります。また、笹森公彰(取締役)はCSR推進部門における実務経験があります。
|
|
氏名 |
独立 社外 |
企業経営 |
事業戦略 |
財務/会計 |
法務/ リスクマネジメント |
サステナビリティ |
IT/ デジタル |
グローバル |
|
取締役 |
栗和田 榮一 |
|
○ |
○ |
|
|
○ |
|
|
|
松本 秀一 |
|
○ |
○ |
|
○ |
○ |
|
○ |
|
|
本村 正秀 |
|
○ |
○ |
|
|
○ |
○ |
○ |
|
|
川中子 勝浩 |
|
○ |
○ |
○ |
|
|
○ |
○ |
|
|
笹森 公彰 |
|
○ |
○ |
|
○ |
○ |
○ |
|
|
|
髙岡 美佳 |
○ |
○ |
|
○ |
|
○ |
|
|
|
|
鷺坂 長美 |
○ |
|
|
|
○ |
○ |
|
|
|
|
秋山 真人 |
○ |
○ |
○ |
|
|
|
|
○ |
|
|
監査役 |
田島 聡志 |
○ |
○ |
|
○ |
|
|
|
○ |
|
新本 朋斉 |
|
○ |
|
○ |
○ |
|
|
○ |
|
|
岡村 憲一郎 |
○ |
○ |
|
○ |
|
|
|
○ |
|
|
大島 義孝 |
○ |
○ |
|
|
○ |
|
|
|
ハ.サステナビリティに関する会議体の審議状況
|
開催日 |
会議体名称 |
審議内容 |
|
2024年1月26日 |
取締役会 |
・GHG排出量の該当年度の実績報告 ・次年度の削減目標及び再生可能エネルギー導入 計画等 |
|
開催日 |
会議体名称 |
審議内容 |
|
2023年5月25日 |
第1回サステナビリティ委員会 |
・専門部会の刷新と増設に関する報告 ・GHG排出量及び増減要因に関する検討 ・中長期のGHG排出削減目標に関する検討 ・人的資本経営戦略に関する検討 |
|
2023年8月24日 |
第2回サステナビリティ委員会 |
|
|
2023年10月26日 |
第3回サステナビリティ委員会 |
|
|
2024年2月15日 |
第4回サステナビリティ委員会 |
ニ.マテリアリティ
長期ビジョンに向けた一歩として、2022年に策定した中期経営計画「SGH Story 2024」では基本方針を「持続可能な成長を実現する次世代の競争優位性創出」とし、「総合物流ソリューション(GOAL)の高度化」「競争優位創出につながる経営資源の拡充」「ガバナンスの更なる高度化」に取り組んでいます。これらの重点戦略を、ESGを含む経営上の重要課題「マテリアリティ」として再定義し、サステナビリティと経営計画の統合を推進しております。
<特定プロセス>
1. 内外環境分析を通して、当社グループにおける中長期的な事業機会とリスクを整理
2. 1に鑑みてグループ経営課題を洗い出し、優先順位の高い重要項目を抽出
「グループ経営戦略会議」や「グループ予算委員会」でのディスカッションを通して、中期経営計画の重点戦略10項目を設定
3. 「サステナビリティ委員会」の下部組織「マテリアリティ専門部会」にて、マテリアリティの再設定につ
いて議論
2で設定した中計重点戦略10項目を2022年3月にマテリアリティとして再定義、2024年度も引き続き運用中
<マテリアリティとKPI>
|
大項目 |
小項目 |
主な取組み |
KPI |
|
総合物流ソリューション(GOAL)の高度化 |
①脱炭素をはじめとした社会・環境課題解決に向けたサービスの推進 |
自社及びお客さま(荷主)のGHG排出量削減 |
スコープ1+2排出量削減率(2013年度対比) ※2024年度目標:15%削減 |
|
電力使用量に占める再エネ率 ※2030年度目標:40% |
|||
|
環境対応車比率(EV、HV、CNG、クリーンディーゼル合計) ※2030年度目標:98% |
|||
|
社会・環境課題解決に向けた新規サービス・事業の検討 |
新規サービス・事業の創出と拡大に向けた取り組み推進 |
||
|
②TMS・3PLネットワークの拡充と周辺ソリューションの高度化 |
TMS案件数の拡大 既存顧客のTMS利用率上昇 |
TMS営業収益 ※2023年度目標:1,280億円 |
|
|
③国際・海外向けサービスの強化 |
既存顧客シェア拡大 新規レーン、インダストリ拡大 |
EXPOLANKA営業収益 ※2023年度目標:1,370億円 |
|
|
④宅配便のサービス向上と効率化による収益性向上 |
新サービス開発、宅配便周辺サービスの強化 新領域への拡販 |
取扱個数 ※2023年度目標:14.0億個 |
|
|
適正運賃収受の取組み |
平均単価 ※2023年度目標:648円 |
||
|
宅配便の生産性向上 |
デリバリー事業営業利益率 ※2023年度目標:7.8% (社内外リソース強靭化に向けたコスト先行により、営業利益率は前年から減少見込み。取組みにより、期末に向けて改善予定) |
||
|
競争優位につながる 経営資源の拡充 |
⑤アライアンスを含めた国内外輸配送ネットワークの強化 |
・国内 パートナー企業(協力会社)との関係強化及びサポート体制の拡充 |
SAGAWAパートナープログラムの拡充 適正取引促進会の実施 |
|
・海外 営業戦略に紐づいたアライアンス先の拡充 |
アライアンス先の拡充 |
||
|
⑥人的資本への投資及びエンゲージメントの向上 |
経営人材、ソリューション提案ができる人材の育成 多様な働き方の実現、柔軟な人材登用 |
経営人材、ソリューション人材育成に向けた研修等の実施 働き方改革施策の推進 |
|
|
従業員エンゲージメント指標の定期モニタリング モニタリング結果を通した取組みの計画、推進 |
「社員エンゲージメント」に関する質問への肯定的な人の割合 「社員を活かす環境」に関する質問への肯定的な人の割合 |
||
|
競争優位につながる 経営資源の拡充 |
⑦DXへの投資による競争優位の創出 |
3つの側面(サービスの強化、業務の効率化、デジタル基盤の進化)からの施策推進 DX企画立案を担う人材の育成 |
DX戦略によるサービス/施策の推進 DX企画人材育成活動の推進 |
|
⑧オープンイノベーションなどによる新たな価値の創造 |
アクセラレータープログラム開催と、新規事業創出に向けた体制強化 |
新規事業/サービス創出に向けた活動の推進 |
|
|
ガバナンスの更なる強化 |
⑨グローバル化に対応したガバナンスの構築 ⑩コンプライアンスの継続的な高度化 |
国際法務機能の強化、海外子会社のガバナンス強化 予防的な法務/コンプライアンス強化に向けた体制整備や教育推進 |
グローバル化に対応したガバナンス強化、コンプライアンス高度化に向けた取り組みの推進 |
<管理体制>
「グループ経営戦略会議」を活用して、当社所管部署および当社グループ各社とマテリアリティKPIの進捗状況を確認し、達成度に乖離が生じている際には、要因分析や対策の検討を行います。内外の環境変化等によるグループの方針や施策に変化が生じた場合又は生じる見込みとなった場合は、目標やKPIを再設定することも含めて検討します。また、「グループ予算委員会」では、マテリアリティKPIの進捗状況を踏まえた次年度の施策および予算の検討を行い、マテリアリティに対する取り組みを継続的に推進してまいります。
② リスク管理
当社グループは、サステナビリティ関連リスクについて、グループのリスクマネジメント機関である「グループリスクマネジメント会議」において、他の事業リスクと同様に評価・管理しております。
これらのリスクは、当社グループのリスクマネジメント評価基準(1〜9段階評価)を基に、影響度「小」=2、「中」=5、「大」=8を基本として、各リスクをレーティングし、定期的にモニタリングを行なっています。本評価基準は、TCFDシナリオ分析のリスク判断基準としても使用しております。
当社グループのリスクマネジメント評価基準
※本基準は社内規程「リスクマネジメント手順書」にて2010年より運用しております。
|
影響度 |
評価の目安 |
||||
|
定性評価 |
定量評価 |
||||
|
人の安全・衛生 |
民事・刑事・行政上の処分 |
社会的批判 |
営業利益の 計画に対する 損失の割合 |
||
|
大 |
9 |
・人命に関わるレベル |
・全事業所での活動停止レベル ・営業所単位での活動停止レベル |
・新聞、テレビ等の主要マスメディアで全国的に報道されるレベル ・消費者団体等にボイコット(不買)運動されるレベル |
5%以上 |
|
8 |
|||||
|
7 |
・重傷レベル |
||||
|
中 |
6 |
・軽傷レベル |
・活動停止には至らないレベル(改善命令・罰金レベル) |
・一部メディア、地域で報道されるレベル ・苦情、問合せがコールセンターに多数寄せられるレベル |
1%以上 5%未満 |
|
5 |
・体調不良につながるレベル |
||||
|
4 |
|||||
|
小 |
3 |
・無傷レベル |
・注意指導レベル |
・報道の対象とならないレベル ・世間の人々は知らないレベル |
1%未満 |
|
2 |
|||||
|
1 |
|||||
2023年度は、マテリアリティのうち「アライアンスを含めた国内外輸送ネットワークの強化」「人的資本への投資及びエンゲージメントの向上」「グローバル化に対応したガバナンスの構築」のリスク側面を「気候変動への適応と緩和」と合わせてグループの戦略リスクに特定し、グループリスクマネジメント会議を通じてモニタリングを行いました。
2024年度も継続して上記戦略リスクのモニタリングとコントロールする方策・課題の検討を継続してまいります。
(2)人的資本
① 人材戦略
当社グループが長期ビジョンにおいて、宅配便事業の収益性維持、生産性向上による事業基盤強化、宅配便以外のTMS、3PL及び国際事業などを成長エンジンとする事業規模の拡大による、2030年度営業収益2兆2,000億円を目指す中、当社グループの人材戦略においては、経営戦略に連動した人的資本への投資及び、人材の価値を最大限に引き出すための活躍基盤の構築を通じた人的資本価値の最大化を目指してまいります。
人的資本への投資におきましては、事業基盤としての宅配便事業の収益性維持と生産性向上を担うセールスドライバーをはじめとする現場のオペレーションを支える人材を「オペレーション人材」、TMS、3PL及び国際事業(宅配便以外)の拡大などの成長エンジンを担う人材を「ソリューション人材」、当社グループ事業を支え経営基幹を担う人材を「グループ経営人材」と定義し、これら当社グループの競争優位性を担う固有の人材に投資してまいります。
まず、「オペレーション人材」につきましては、少子高齢化に伴い人材の採用・確保が難しくなる中、IT・先端技術の活用や人員配置の最適化の推進により、限られた人材で効率的なオペレーションが維持できるよう、物流現場の生産性向上に取り組んでまいります。加えて、当社グループの輸送インフラを支えるパートナー企業についても広義の人的資本と捉え、適正取引促進会などの取り組みを通じて、持続的かつ良好な関係を構築してまいります。
次に、「ソリューション人材」につきましては、総合物流ソリューションの高度化を支える「GOAL人材」、テクノロジーの活用を通じた顧客の課題解決や物流の自動化・省力化を支える「DX人材」、及び国際事業を推進する「グローバル人材」の層を更に厚くする必要があります。「GOAL人材」につきましては、10年間の取り組みを通じて蓄積した知見を基にしたOJT・Off-JTによる体系的な人材育成、総合物流課題に対応した事業会社間の人材交流、高度化する顧客の物流課題に対応した外部人材の登用などを継続的に取り組んでまいります。また、「DX人材」につきましては、全従業員向けのDXリテラシー教育を進めるとともに、DX研修を通じて高度なデジタル知見の習得と学習した技術やアイデアを元に企画創出できる人材を育成してまいります。「グローバル人材」につきましては、海外赴任研修短期派遣など各種研修に加えてグローバル教育の体系化に取り組んでおります。
併せて、当社グループの経営方針の策定やその舵取りに必要な「グループ経営人材」の育成・登用も重要課題と捉えております。部長職及び役員への登用に至る過程において、能力と意欲のある多様な人材を育成・登用すべく、「新規GM資格認定者向けセミナー」(GM:グループマネジャー※)「経営者育成プログラム」などの人事施策に取り組んでおります。
他方、これらの実現には、「多様な人材が活躍できる、働きやすく働きがいのある職場環境」が必要であり、多様な価値観を尊重し様々な視点から柔軟な意思決定を行い、競争優位性の高い企業グループへと発展するために、継続的にDE&I(Diversity, Equity and Inclusion)に取り組んでまいります。性別や年齢、障がいの有無、国籍に分け隔てなく、すべての多様な人材がいきいきと働ける職場環境を目指すため、女性活躍の推進をはじめ、年功序列や経験年数を重視する考え方から脱却する施策の一環として、優秀な人材については2階級上の役職への登用を図り、早期に挑戦と成長する機会を得られる「チャレンジ制度」の導入など必要な人事施策に取り組むとともに、従業員エンゲージメントが高く風通しの良い企業風土により、人材の価値を最大限に引き出し、組織と従業員の結びつきを強め、人材の成長や維持・定着を目指してまいります。
※グループマネジャー:グループ経営人材である部長級の従業員を指しております。
② 指標及び目標
上記①に記載のある人材戦略を実現するためには、従業員エンゲージメント、従業員を活かす環境、女性の活躍を含む多様性といった人的資本全体を取り巻く社内環境の改善・整備が必要となります。
2023年度に実施した従業員エンゲージメント調査では、従業員エンゲージメントが56.0%、従業員を活かす環境が54.0%(両指標とも肯定的回答率)という結果になりました。また、女性従業員比率は32.6%、女性管理職比率は11.1%というそれぞれの指標結果となりました。従業員エンゲージメントは57.0%、従業員を活かす環境は55.0%を2024年度の目標といたします。また、3ヶ年をかけて女性従業員比率は35%、女性管理職比率は12%を目指してまいります。
※これらの指標は、「
(3)気候変動への対応
当社グループが掲げる長期ビジョンでは、営業収益の成長イメージとともに、2050年カーボンニュートラルに向けた中長期のGHG排出削減目標を掲げており、2030年にはCО2排出量46%削減(2013年度比)を目標としています。中期経営計画ではKPIに営業収益・営業利益と合わせてGHG排出削減目標を設定するとともに、重点戦略「脱炭素をはじめとした社会・環境課題解決に向けたサービスの推進」を掲げ、事業を通じて気候変動課題に取り組んでいます。さらに、中長期にわたる気候変動関連リスク・機会について、今後の経営判断の一助とするべくTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに沿ったシナリオ分析を行い、結果をTCFDレポートにまとめ、当社ホームページ上にて公表しています。
※詳細はTCFDレポートをご参照ください。
<TCFDレポート2022>
https://www.sg-hldgs.co.jp/csr/tcfd/pdf/tcfdreport2022.pdf
<TCFDレポート2023>
https://www.sg-hldgs.co.jp/csr/tcfd/pdf/tcfdreport2023.pdf
① ガバナンス
当社は、サステナビリティ委員会の下部組織として専門部会「TCFDワーキンググループ」を設置していましたが、改めて2024年度より3つの専門部会「再エネ戦略専門部会」「再エネ開発専門部会」「Scope3検討専門部会」にて脱炭素に向けた課題を解決すべく、戦略的に進めてまいります。サステナビリティ委員会で検討した結果は取締役会へ報告し、管理・監督を行う体制を整えています。
詳細は「
② 戦略
シナリオ分析では、1.5℃、4℃の2つのシナリオを使用し、定性分析・定量分析を行いました。定性分析では、事業と関連する社会経済の動向予測を参照し、気候変動により想定されるリスク・機会の洗い出しを実施いたしました。定量分析では、特定した気候変動関連リスク・機会のうち、影響度が大きくかつ定量化可能な項目について財務影響を試算いたしました。
当社グループは、貨物自動車を使用するデリバリー事業を中核とすることから、化石燃料由来のCО2排出量が多いため、1.5℃シナリオの移行リスクにおける「炭素税によるコスト増加」「車両の脱炭素化に伴うコスト増加」の影響度が大きいと評価し、重要リスクに位置付けています。それらの影響額を試算した結果、CО2排出削減による炭素税回避額は、気候変動対策に伴うコスト増加額を上回ることとなり、気候変動対策の推進が当社グループの事業においてプラスの影響を及ぼすことが判明いたしました。
これらの分析結果を踏まえ、当社グループでは気候変動の緩和策と適応策に取り組んでおります。
|
主な緩和策 |
・GHG排出量削減に向けた各種取組みの推進 ・ビジネスモデル、手法の変更を含む気候変動緩和策の検討 (例:モーダルシフト、バイオ燃料の導入) ・グループのGHG排出量モニタリング(スコープ1・2)の継続的な実施 スコープ3の精度向上に向けた算定開始 |
|
主な適応策 |
・BCM活動 (例:出水期に向けての注意喚起、事業継続訓練、安否確認訓練、グループ間連携強化) ・備蓄品の拡充 (例:定期的な棚卸、災害の状況を踏まえた必要品の拡充) ファンベストやネッククーラーの暑熱対策推進) |
③ リスク管理
気候関連リスクは、当社グループのリスクマネジメント機関である「グループリスクマネジメント会議」とも情報連携し、他の事業リスクと同様に評価・管理を実施しております。
詳細は「
④ 指標及び目標
|
■GHG排出削減目標 |
|
|
スコープ1・2 |
2030年度:CO2排出量46%減(2013年度比) |
|
2050年度:カーボンニュートラルを目指します |
|
|
スコープ3 |
サプライチェーン全体での排出削減に取り組みます |
|
■削減水準・前提条件 |
|
|
削減水準 |
・日本の排出削減目標に沿うものとする |
|
・カーボン・クレジット等の活用によるオフセット分も含める |
|
|
前提条件 |
・第6次エネルギー基本計画における2030年度の電源構成(※)の実現 |
|
(※非化石59%:再エネ36~38%、原子力20~22%、水素・アンモニア1%) |
|
|
※社会情勢により国の削減水準や前提条件に変更があった場合、排出削減目標を再検討する可能性があります。 |
|
|
■GHG排出削減実績(2023年度 国内グループ会社) |
|
|
スコープ1・2 |
基準年度(2013年度)比較削減率・量:19.9%(85,069t-CO2) |
|
2023年度排出量: |
|
※上記数値は暫定値であります。
|
■移行計画(佐川急便株式会社) |
||
|
|
2023年度実績 |
2030年度目標 |
|
EVを含む環境対応車導入率 |
76.7% |
98% |
|
電力使用量に占める再エネ率 |
47.2% |
40% |
※2023年度実績のうち「電力使用量に占める再エネ率」は暫定値であります。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のようなものがあります。
当社グループでは事業に密接関連性のあるリスクとして、中長期にわたって対処すべき経営上の重要課題(マテリアリティ)のうちリスク側面を持つものを戦略リスクと位置づけております。グループのリスクマネジメント機関である「グループリスクマネジメント会議」を通じて、戦略リスクを中心とした各種リスクに関してコントロールする方策について検討・議論を行い、経営計画への反映を図っております。
具体的なリスク管理方法につきましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ ②リスク管理」をご参照ください。
なお、当社グループとしましては、これらの各リスクの発生可能性を認識した上でその発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、次の事項については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断した内容であり、当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。
(1)戦略リスク
① 気候変動への適応と緩和
近年、気候変動の影響により日本各地において深刻な風水害が頻発しており、災害対策の強化が必要な状況にあります。温暖化は急速に進行しており、世界気象機関によると、今後5年で世界平均気温はさらに上昇するとみられ、気候変動の緩和策の検討と実施は急務となっております。
また、日本政府は、2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しており、脱炭素社会への移行が急速に進む中、企業における排出削減の取り組みが重要になっております。特に運輸部門のCО2排出量は約2割を占め、物流という社会インフラを担う当グループの脱炭素社会に向けた取り組みは責務であり、対策を従来以上に強化する必要があります。
気候変動リスクの適応策および緩和策につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)気候変動への対応 ②戦略」をご参照ください。
② アライアンスを含めた国内外輸送ネットワークの強化
当社グループのデリバリー事業では、当社グループが保有する経営資源を企業からの物流業務受託(from B)の獲得に最大限活用しております。そのため、個人宅(to C)への輸送業務のうち7割程度を、また、路線運行(東京・大阪間等物流拠点間の長距離輸送)のうち大部分を外部業者に委託しております。ロジスティクス事業等においても、デリバリー事業と同様に一部業務を外部業者に委託しております。
そのような中、当社では「SAGAWAパートナープログラム」を推進し、委託先とポータルサイトを通じてSGパートナーモールの展開や相談窓口・お知らせ機能を設け、コミュニケーションの強化を図っております。
また、2023年度に設立いたしました「適正取引促進会」を通じて適切な単価改定等について委託先と協議を行っております。
当社グループは、想定輸送量・業務量に応じ複数の委託先の確保に努めておりますが、十分な委託先が確保できない場合は、当社グループ従業員の業務時間が長時間化することで労務費の想定以上の増加や、配達の遅延等が発生する可能性があります。また、「2024年問題」への対応、少子高齢化による労働力不足や、インフレ・賃金上昇により外注費が高騰する場合は、当社グループの費用が増加する可能性があります。
加えて、当社グループの委託先にて不祥事が発生した場合や委託先の業務品質が顧客の要求に応えることができない場合には、当社グループの社会的信用の低下を招く可能性があります。これらのリスクが顕在化する場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人的資本への投資及びエンゲージメントの向上
少子高齢化が進み、長期の人口減少過程に入っている日本において、人材の採用・確保競争は今後も激化することが想定されます。持続的な成長の実現に向けて、働きやすい環境の整備、従業員エンゲージメントの向上、そして人材の育成を重要課題と位置づけ取り組んでおります。
働きやすい環境の整備については、多様な人材の活躍を目指して、「女性キャリア支援研修」等の女性活躍推進策を実施しております。加えて、実力のある優秀な人材が、年齢や経験年数などに関係なく、2階級上の役職へ早期昇格の挑戦ができる「チャレンジ制度」を導入し、柔軟な人材登用に取り組んでおります。
従業員エンゲージメントについては、毎年、当社グループの国内従業員を対象にWeb調査によるモニタリングを実施しております。組織別の分析結果を踏まえ、各社毎に改善施策を立案し実行しております。
人材の育成については、経営人材、ソリューション提案ができる人材の育成が急務であると認識し、経営幹部候補を対象とした「新規GM資格認定者向けセミナー」や次代を担う人材を対象とした「かがやく未来そうぞう委員会」等の人材育成プログラムを継続実施しております。
これらの取組みが効果を発揮できなかった場合、長期ビジョン・中期経営計画の基盤となる人的資本の不足につながり、目標の未達、営業収益の減少や費用増加等により当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ グローバル化に対応したガバナンスの構築、コンプライアンスの継続的な高度化
当社グループは、アジアを中心に海外各国へ事業展開をしていることから、グローバル化に対応したガバナンスの構築とコンプライアンスの継続的な高度化への対応を実施しております。
グローバル化に対応したガバナンスの構築としては、内部通報申請フォームの言語拡大を実施し、不正・不祥事の発生を防ぐための体制を構築しております。コンプライアンスの継続的な高度化の対応としては、贈収賄防止方針の制定や、各国の法令に基づいた個人情報保護法への対応を行っております。
今後、法規制の強化や、新たな法規制の適用等がなされた場合には、かかる法規制への対応に追加費用を要したり、当社グループの事業運営方法の変更を余儀なくされたりすること等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業に関するその他のリスク
① デリバリー事業への依存
デリバリー事業は、当社グループの連結営業収益の8割程度を占める主要な事業であります。
当社グループでは、当事業において顧客に対し「GOAL」の推進等により総合物流サービスを提案・提供することで、デリバリー事業のみならず、ロジスティクス事業等の収益拡大も図ってまいります。付加価値の高いサービス提供を行うほか、人件費、外注費及び安全確保のための諸費用等、増加するコストを適正に運賃に反映させるべく、過年度から各顧客との個別価格交渉を行うことにより、収益性の安定化に努めてまいりました。
当社グループとしましては、今後においてもこれらの取組みを継続的に実施していく方針でありますが、景気低迷等による個人の消費や企業物流の減少等により、これらの取組みが想定どおりに進展しない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 燃料価格等の上昇
当社グループは、事業を行うに当たり多数のトラック等輸送機材を使用しており、その燃料費は原油価格や為替相場の動向により変動いたします。
当社グループとしましては、天然ガストラック等の環境対応車を導入し、原油価格の変動による費用増加リスクの抑制に努めており、また、今後も新技術の導入による省エネルギーや代替エネルギーに対応した車両が開発されれば、積極的に導入していく方針であります。しかしながら、急激な燃料価格等の上昇が生じた場合や、当該費用増加を運賃等の販売価格に転嫁できない場合、販売価格への転嫁により当社グループのサービスへの需要が減少した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競争環境の激化
デリバリー事業の主要サービスである宅配便については、当社グループを含めた大手3社での競争が激化しております。また、ロジスティクス事業においても3PLやフォワーディングの各業務サービスにおける同業他社との競争が高まっているものと認識しております。
当社グループとしましては、「GOAL」に基づく複合的なサービスを提供することで、顧客にとってより効率的かつ付加価値の高い物流ソリューション提案を行い、当該競争環境下でのシェア向上を図っていく所存であります。しかしながら、今後、当社グループの優位性が相対的に低下した場合や、更なる競争激化による価格下落が生じた場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 輸送トラブル
デリバリー事業では、法人・個人を含めた顧客所有の物品を顧客の指定どおりに輸送することが中心となります。このため、当社グループによるサービス提供の過程において、輸送品の破損、配達先の誤り及び輸送量の変動に伴い予定時間内の輸送ができない場合は、当社グループによるサービスの信用を損なう可能性があります。
当社グループとしましては、こうしたトラブルの発生を抑制するべく、発生要因等をデータベース化し、ミスの低減やセールスドライバーの教育等の改善策を継続的に実施しておりますが、今後これらに起因するトラブルが頻発するような場合や、当該トラブルを理由とした損害賠償が増加するような場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 不動産事業における継続的な資産流動化
不動産事業では、SGリアルティ株式会社が中心となって当社グループ拠点における資産管理・運営、大型施設の開発及び既存施設の転用等の資産活用を行っております。また、当社グループが所有、利用している物流施設及び開発したマルチテナント型の物流施設を信託受益権化し、売却することにより、資産の有効活用、財政状態の改善等を図っており、これにより営業収益及び営業利益が計上されます。
当社グループとしましては、今後も継続的に収益性が見込まれる物件の取得、施設の開発及びこれらの売却を行っていく方針ではありますが、不動産市況の変動、建設資材や人件費の高騰、物件の開発遅延等を要因として、物件の仕入価格、簿価及び販売価格等が変動することにより、適時かつ適切な価格による不動産及び信託受益権の売買が困難となる可能性があり、また、会計処理の複雑性を起因として、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 重大事故
当社グループは、デリバリー事業を中心に公道を利用した陸上輸送業を営んでおります。昨今、「運輸の安全性向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律」(いわゆる「運輸安全一括法」)等により安全運転に係る規制が強化される中、運送事業運営者への安全配慮に対する社会的責任は一層強く求められております。
当社グループとしましては、安全を最優先とした対策を実施しておりますが、重大事故が生じた場合は車両の使用停止等の行政処分が行われ、当社グループの一部又は全部の事業の停止を余儀なくされるとともに、当社グループの社会的信用が低下する可能性があります。また、国土交通省報告事故の違反点数が累積した場合には、事業停止命令を受けたり、事業許可の取消しがなされたりすることによって、当社グループの事業の継続が困難となる可能性があります。このような事象が発生した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 海外展開
当社グループは、アジアを中心に海外各国へ事業展開しております。また、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にも記載のとおり、国際・海外向けサービスのグローバル強化を図る所存であります。
このため、今後、為替及び海上・航空運賃の急激な変動や、当社グループの拠点がある地域での経済情勢・事業環境の悪化、予期せぬ法律・規則等の変更、政情の悪化やテロ活動の活発化、商慣習の相違、自然災害や各種感染症の発生等のリスクが顕在化した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、当連結会計年度においては、感染症拡大に端を発した世界的なサプライチェーンの混乱が収束へと向かう中、海上・航空運賃の下落が急速に進んだことに加え、各国での物価上昇や金融引き締めなどを背景とした景気後退懸念や、サプライチェーンの混乱の中で荷主企業が在庫を増加させたことなどが影響し、海上・航空取扱量についても当初予想を大幅に下回ったことで、ロジスティクス事業における国際輸送の業績のボラティリティの高さが連結ベースの財政状態及び経営成績にも影響を及ぼす結果となりました。今後も同様に、マクロ環境の変動に伴う国際輸送の業績の変動が当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLCは、スリランカを本社所在地としており、当該国においては、2022年4月頃からいわゆる「スリランカ経済危機」と呼ばれる大規模な政治・経済の混乱が発生しております。しかしながら、スリランカに対しては、2023年3月に国際通貨基金理事会で金融支援が承認されるなど国際的な支援が開始されているほか、同社の主要事業であるフォワーディング事業においては、基本的な取引通貨は米国ドルであり、スリランカ以外での取引が中心であること、また、同社の金融機能についてはシンガポールを拠点としていることから、「スリランカ経済危機」による同社の事業、財政状態及び経営成績への影響は、本有価証券報告書提出日現在においては軽微と考えております。
⑧ M&A、事業提携
当社グループでは、事業拡大及び企業価値向上のためにM&A及び事業提携を積極的に活用しております。特にこれらの経営戦略を実施する場合は、対象会社への十分なデューディリジェンスを実施するとともに、社外取締役・監査役も参加する投資検討委員会にて出資・取得価額の妥当性について十分に検討した上で実行することとしております。しかしながら、当該M&Aや資本提携等実施時に見込んだ成果が計画どおりに進捗しないこと等によるのれんや株式取得価額の減損等、当初予期していなかった事業上の問題の発生、取引関連費用の負担等によって当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、特に資本業務提携や共同出資によるジョイントベンチャー設立等については、提携等実施当初に企図する成果が得られないと判断される場合は、契約の解消による出資の解消や提携会社の解散等が生じる可能性があります。この場合も、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 役員との取引関係
当社代表取締役会長である栗和田榮一が理事長を務める当社グループの外郭団体として、公益財団法人SGH文化スポーツ振興財団及び公益財団法人SGH財団があります。当社グループとしましては、サステナビリティ活動の一環として両財団の活動方針に賛同し、美術品の無償寄託及び人材支援等の活動を今後も継続して実施する方針としております。
なお、両財団については、当連結会計年度末現在、合計で当社普通株式の58,636,362株(発行済株式総数対比9.16%)を保有しております。両財団が当社株式に係る議決権を行使する際は、定款により理事会の3分の2以上の賛成を得る必要がある旨定められております。当社グループとしましては、両財団の議決権行使に係る独立性確保のため、当該議決権行使に係る理事会決議に当社グループ役職員を兼務する理事は参加しないこととしております。また、両財団の理事選任に当たり、当社グループ役職員を兼務する評議員は、当社グループ役職員を兼務する理事の選任に当たっては評議会の決議に参加しないこととしております。
⑩ 今後の設備投資
当社グループでは、継続的に物流施設の開発を行っており、2021年3月期には、路線輸送の効率的な運用やキャパシティの向上を目的として、東京都江東区に建設した「Xフロンティア」を本稼働させました。2026年度にも関東および関西において「Xフロンティア」と同規模の大型中継センターの稼働を予定するなど、継続的にインフラの強化を図っていく方針でありますが、施設の建設に関連して想定以上のコストが発生する場合や、完成後において想定どおりの効果を発揮しない場合等においては、費用負担の増加や減損の発生等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)規制、コンプライアンスに関するリスク
当社グループの事業運営に当たっては、次のような法規制を含む様々な法令の遵守が必要となります。今後、法規制の強化や、新たな法規制の適用等がなされた場合には、かかる法規制への対応に追加費用を要したり、当社グループの事業運営方法の変更を余儀なくされたりすること等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
① 事業上の重要な許認可等
当社グループの事業運営に当たっては、主に次のような許認可等が必要となっております。当社グループでは、これら許認可等の規制に係る関係法令等の遵守に努めており、事業運営上の支障を来すような状況は生じておりません。しかしながら、今後、法令違反等が発生することでこれらの許認可等が停止又は取消しとなった場合や法規制の厳格化が生じる場合は、当社グループの事業の継続が困難となり、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
[主要な事業上の許認可等]
|
許認可事業 |
法律 |
監督官庁 |
許認可等 の内容 |
有効 期限 |
許認可等の 取消事由 |
セグメント |
|
一般貨物自動車運送事業 |
貨物自動車運送事業法 |
国土交通省 |
許可 |
なし |
同法第33条 |
デリバリー事業 ロジスティクス事業 |
|
第一種貨物利用運送事業 |
貨物利用運送事業法 |
国土交通省 |
登録 |
なし |
同法第16条 |
デリバリー事業 ロジスティクス事業 |
|
第二種貨物利用運送事業 |
貨物利用運送事業法 |
国土交通省 |
許可 |
なし |
同法第33条 |
デリバリー事業 ロジスティクス事業 |
|
倉庫業 |
倉庫業法 |
国土交通省 |
登録 |
なし |
同法第21条 |
デリバリー事業 ロジスティクス事業 |
|
通関業 |
通関業法 |
財務省 |
許可 |
なし |
同法第11条 |
ロジスティクス事業 |
|
宅地建物取引業 |
宅地建物取引業法 |
国土交通省 |
免許 |
2026年 8月23日 |
同法第66条 |
不動産事業 |
|
第二種金融商品取引業 |
金融商品取引法 |
金融庁 |
登録 |
なし |
同法第52条 |
不動産事業 |
|
指定自動車整備事業 |
道路運送車両法 |
国土交通省 |
指定 |
なし |
同法第93条 |
その他 |
|
自動車分解整備事業 |
道路運送車両法 |
国土交通省 |
認証 |
なし |
同法第93条 |
その他 |
|
労働者派遣事業 |
労働者派遣法 |
厚生労働省 |
許可 |
2029年 6月30日 |
同法第14条 |
その他 |
② 労務関連法令
当社グループは、2024年3月期末現在において従業員52,309人、パートナー社員等41,094人(期中平均人員数)が在籍しており、そのうち大半を占める国内従業者については、「労働基準法」に従って36協定の遵守や休憩時間の確保等が義務付けられております。当社グループでは、これらの法令遵守のみならず中期経営計画において多様な働き方推進を掲げるなど、従業員の働きやすさの改善に向けて積極的に制度設計を行っております。
このように、当社グループでは継続的に労働環境の改善を進めておりますが、労務管理に関する不祥事が発生した場合、当社グループの社会的信用が低下することに加え、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)情報セキュリティ、システムに関するリスク
① 情報漏えい
当社グループは、役職員情報のみならず、事業運営の過程において集荷先・配達先情報や顧客企業担当者情報等の多数の個人情報を取得しております。また、顧客企業向けサービスにおいては、顧客企業の営業秘密を保有する場合があります。こうした機密情報を保護するため、データに関するパスワード管理・アクセス制限及びハードコピーに関する施錠管理の徹底に加え、従業員に対して情報セキュリティ教育による啓発を継続的に行う等、情報の厳重な管理に努めております。さらに、近年世界的に被害が急増しているランサムウェアを始めとした外部からのサイバー攻撃に備え、インターネット出入口対策を講じるなど、情報セキュリティ対策を強化するとともに、当社グループ内にサイバー攻撃専門の対応組織SGH-CSIRT(SG Holdings Computer Security Incident Response Team)を設置し、日本コンピュータセキュリティインシデント対応チーム協議会に加盟するなど、情報セキュリティ対策の高度化に取り組んでおります。しかしながら、今後システムトラブル若しくは当社グループ従業員の故意・過失、又はサイバー攻撃等による不正アクセスやコンピュータウイルス感染等により、情報の漏えい又は喪失等が生じた場合は、当社グループの社会的信用の低下につながるとともに、損害賠償請求や情報セキュリティ対策に要する追加費用の発生等によって、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② システムトラブル
当社グループの事業の中で、特にデリバリー事業やロジスティクス事業においては、リアルタイムでの輸送状況管理や、倉庫運営における在庫管理等の観点から、ITの活用は不可欠となっております。また、大量の取引をシステムにより集約管理していることから、会計処理においてもシステムへの依存度が高い状況であります。当社グループでは、子会社にシステム開発・保守・運用を行うSGシステム株式会社を有しており、グループ内外における物流システムの開発・提供を行っております。
現時点で問題は生じておらず、また、リスク回避に向け適宜開発等を行っているものの、重大なバグの露見及びサイバー攻撃等による不正アクセスやコンピュータウイルス感染等を起因としたシステムトラブルの発生並びにシステム提供先におけるトラブルがあった場合は、当社グループの各事業の業務が停止する可能性のほか、システム上の問題への対応や当社顧客からの損害賠償請求等により多額の費用が生じる可能性があり、その結果、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)訴訟その他の法的手続・災害等に関するリスク
① 訴訟その他の法的手続
当社グループの事業運営において、予期せぬトラブル・問題が生じた場合、当社グループの瑕疵にかかわらず、これらに起因する損害賠償の請求や、訴訟の提起を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合は、訴訟提起内容や損害賠償請求額の状況及びその結果によっては当社グループの社会的信用が低下することに加え、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 自然災害等の発生
当社グループは、車両や大規模な物流拠点を利用するデリバリー事業が中核事業であり、また、当該事業のみならず、各事業について情報管理を行うコンピュータシステム、荷物の自動仕分け機、冷凍・冷蔵倉庫等電気供給が必要な設備による業務運営が前提となっているものがあります。また、車両以外にも、鉄道・航空機・船舶など様々なインフラを活用して事業を営んでおります。
このため、自然災害が発生することで輸送経路の遮断や一部設備の破損が生じたり、停電等の電力供給の停止により設備稼働が停止したりする場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、各種感染症の感染拡大が発生した場合、行動制限による輸送の遮断や量的制限、経済の停滞などにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、2023年5月から感染症の法律上の取扱いが引き下げられ、経済社会活動の制限が取り除かれたことなどを背景に、景気は緩やかに回復いたしました。しかしながら、国内の物価上昇や為替相場での円安の進行のほか、世界的な金融引き締め政策の継続や地政学リスクの拡大などを背景とした経済成長の鈍化懸念など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
物流業界におきましては、国内では、インフレの進行による実質賃金の低下等を背景に足元の宅配便需要は不安定な状況にありますが、コロナ禍を契機に新たな生活様式として幅広い世代でEC利用が定着し、宅配便に対するニーズは多様化しております。また、「2024年問題」に向けた対応や、急激なインフレの進行等を背景に、当社グループを含む大手事業者を中心に価格改定の動きが加速しております。加えて、「2024年問題」への政府の対策として、2023年6月に関係閣僚会議において「物流革新に向けた政策パッケージ」が策定され、2023年10月には「物流革新緊急パッケージ」が閣議決定されました。このように政府からも、荷主企業、物流事業者、一般消費者が協力して輸送力不足に対応するための環境整備に向けて、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容を進める方針が示され、持続可能な物流を実現するための取組みが推進されております。また、国際物流市場では、世界経済の減速等に伴い、海上・航空貨物の需要は低調に推移しておりますが、地政学リスクの拡大や越境ECの増加等を背景としたグローバルサプライチェーン再構築の動きは継続しております。
当社グループにおきましては、2023年3月期から2025年3月期までの中期経営計画「SGH Story 2024」の2年目として、総合物流ソリューションの高度化を推し進め、グループ横断の先進的ロジスティクスプロジェクトチーム 「GOAL」を中心に、脱炭素をはじめとした社会・環境課題解決に向けたサービスや、宅配便以外の付加価値を提供するソリューション「TMS」などの提案営業を積極的に行ってまいりました。加えて、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、再生可能エネルギーの活用や環境に配慮した物流施設の開発等、当社グループのGHG排出量を削減することにとどまらず、効率的な物流サービスの提供によりお客さまの環境負荷低減に貢献する物流サービスの提供も進めてまいりました。その結果、国際環境非営利団体CDPから、気候変動対応における世界の先進企業として最高評価である「気候変動Aリスト」に3年連続で選定されました。
このような状況のもと、当社グループの中核事業であるデリバリー事業におきましては、物価調整後の家計消費支出の弱まり等の影響を受け、宅配便の取扱個数は減少いたしました。一方で、2023年4月からの届出運賃の改定や、取引ごとの適正運賃収受の取組みにより、平均単価は上昇いたしました。また、2023年12月に、住友商事株式会社、米国のスタートアップ企業でAIロボティクスソフトウェアの開発等を行うDexterity, Inc.と、今後の輸送力不足に対応する取組みの一環として、物流業界初の「AI搭載の荷積みロボット」の実証実験を行う共同プロジェクトを発足いたしました。ロジスティクス事業におきましては、米国での消費者マインドには回復の兆しも見え始めたものの、物価上昇による金融引き締めなどを背景とした経済成長の鈍化懸念等は継続しており、海上・航空貨物ともに取扱量が減少いたしました。海上・航空運賃につきましては一部では上昇も見られるものの、全体としては底這い状況が継続しております。また、2024年3月には、国際輸送ビジネスにおける最適なガバナンス体制の構築やグループ間連携の一層の強化等を目的に、当社の連結子会社であり、スリランカの物流企業であるEXPOLANKA HOLDINGS PLCの非上場化手続に着手いたしました。不動産事業におきましては、計画的に保有不動産を売却いたしました。その他の事業におきましては、前連結会計年度において半導体不足等で不振であった新車販売が回復いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
イ.財政状態
前連結会計年度に行われたTrans American及びLocher Evers Internationalとの企業結合について、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析に当たっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いて前連結会計年度末との比較・分析を行っております。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は3,973億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ91億69百万円減少いたしました。主な要因は、現金及び預金が309億82百万円減少した一方で、販売用不動産が156億45百万円、受取手形、営業未収金及び契約資産が37億80百万円、未収税金等の増加等によりその他流動資産が24億6百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は4,996億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億63百万円増加いたしました。主な要因は、2026年度稼働予定の「関西エリア中継センター」に係る設備投資の実行等により建設仮勘定が124億44百万円、車両運搬具が74億89百万円それぞれ増加した一方で、土地が192億32百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は8,970億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ79億6百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は2,183億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ106億21百万円減少いたしました。主な要因は、未払法人税等が294億45百万円減少した一方で、1年内返済予定の長期借入金が114億18百万円、預り金が58億66百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は884億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ201億40百万円減少いたしました。主な要因は、長期借入金の返済等により有利子負債が237億66百万円減少した一方で、繰延税金負債の増加等によりその他固定負債が29億20百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は3,067億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ307億62百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は5,902億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ228億56百万円増加いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益582億79百万円を計上、為替換算調整勘定が74億58百万円増加した一方で、剰余金の配当326億47百万円の実施に加え、自己株式の取得等により自己株式が99億71百万円増加(純資産への影響は減少)したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は64.4%となり、前連結会計年度末に比べ3.2ポイント上昇いたしました。
ロ.経営成績
(営業収益)
デリバリー事業におきましては、物価調整後の家計消費支出の弱まり等の影響を受け、BtoB・BtoCともに取扱個数が減少いたしました。平均単価は、小型荷物の割合の上昇等による下押し要因があるものの、2023年4月からの届出運賃の改定や、取引ごとの適正運賃収受の取組みの効果により上昇いたしました。「TMS」については、「GOAL」による提案営業等を継続しておりますが、前連結会計年度に受託した感染症関連案件が剥落した影響等もあり、売上高が減少いたしました。ロジスティクス事業におきましては、米国での消費者マインドには回復の兆しも見え始めたものの、物価上昇による金融引き締めなどを背景とした経済成長の鈍化懸念等は継続しており、海上・航空貨物の取扱量は減少いたしました。また、海上・航空運賃については一部では上昇も見られるものの、全体としては底這い状況が継続しております。不動産事業におきましては、計画的に保有不動産を売却いたしました。その他の事業におきましては、前連結会計年度において半導体不足等の影響で不振であった新車販売が回復いたしました。
この結果、営業収益は1兆3,169億40百万円となり、前連結会計年度に比べ8.2%の減少となりました。
(営業原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
デリバリー事業を中心に、各種デジタライゼーションの推進など、お客さまの利便性や生産性向上への取組みを継続して行ってまいりました。また、持続的成長に向けた当連結会計年度の重点的な取組みとして、従業員に対する給与の引き上げやパートナー企業との関係強化などの社内外リソースの強靭化とサービス領域拡張による成長基盤の確立を強化ポイントとして各種施策にも取り組んでおります。
この結果、営業原価は1兆1,629億49百万円(前期比6.0%減)、販売費及び一般管理費は647億86百万円(同4.9%増)となりました。営業利益は892億4百万円(同34.1%減)となり、営業利益率は6.8%と前連結会計年度に比べ2.7%ポイント低下いたしました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は、受取保険配当金や受取利息の計上等により45億47百万円(前期比0.7%減)となりました。営業外費用は、支払利息の計上等により29億1百万円(同51.6%増)となりました。
この結果、経常利益は908億50百万円となり、前連結会計年度に比べ34.1%の減少となりました。
(特別損益、税金等調整前当期純利益)
特別利益は、固定資産売却益の計上等により1億14百万円(前期比99.8%減)となりました。特別損失は、固定資産除却損の計上等により24億47百万円(前期は3億23百万円)となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は885億18百万円となり、前連結会計年度に比べ52.8%の減少となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等317億11百万円(前期比45.1%減)、非支配株主に帰属する当期純損失14億73百万円(前期は非支配株主に帰属する当期純利益32億10百万円)を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は582億79百万円となり、前連結会計年度に比べ53.9%の減少となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
・デリバリー事業
デリバリー事業におきましては、物価調整後の家計消費支出の弱まり等の影響を受け、BtoB・BtoCともに取扱個数が減少いたしました。平均単価は、小型荷物の割合の上昇等による下押し要因があるものの、2023年4月からの届出運賃の改定や、取引ごとの適正運賃収受の取組みの効果により上昇いたしました。「TMS」については、「GOAL」による提案営業等を継続しておりますが、前連結会計年度に受託した感染症関連案件が剥落した影響等もあり、売上高が減少いたしました。当社グループは、継続的なデジタライゼーションの推進によるお客さまの利便性や、生産性向上の取組みとして、2023年4月から、LINE株式会社(現・LINEヤフー株式会社)が運営・開発するコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」において、「配達予定通知」や「お荷物問い合わせサービス」などがご利用いただける佐川急便LINE公式アカウントを開設いたしました。加えて、2023年12月に、住友商事株式会社、米国のスタートアップ企業でAIロボティクスソフトウェアの開発等を行うDexterity, Inc.と、今後の輸送力不足に対応する取組みの一環として、物流業界初の「AI搭載の荷積みロボット」の実証実験を行う共同プロジェクトを発足いたしました。
この結果、当セグメントの営業収益は1兆285億30百万円(前期比1.8%減)、営業利益は815億3百万円(同18.3%減)となりました。
・ロジスティクス事業
ロジスティクス事業におきましては、米国での消費者マインドには回復の兆しも見え始めたものの、物価上昇による金融引き締めなどを背景とした経済成長の鈍化懸念等は継続しており、海上・航空貨物の取扱量は減少いたしました。また、海上・航空運賃については一部では上昇も見られるものの、全体としては底這い状況が継続しております。
この結果、当セグメントの営業収益は2,197億61百万円(前期比30.2%減)、営業損失は48億54百万円(前期は営業利益192億39百万円)となりました。
・不動産事業
不動産事業におきましては、計画的に保有不動産を売却いたしました。
この結果、当セグメントの営業収益は126億23百万円(前期比35.4%減)、営業利益は71億39百万円(同28.2%減)となりました。
・その他
その他の事業におきましては、前連結会計年度において半導体不足等の影響で不振であった新車販売が回復いたしました。
この結果、当セグメントの営業収益は560億24百万円(前期比6.1%増)、営業利益は34億15百万円(同20.5%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ309億82百万円減少し1,472億66百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は776億29百万円(前期比53.1%減)となりました。
主な要因は、収入要因として税金等調整前当期純利益885億18百万円、減価償却費348億17百万円をそれぞれ計上した一方で、支出要因として法人税等の支払額590億86百万円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は413億57百万円(前期は280億28百万円の収入)となりました。
主な要因は、支出要因として有形固定資産の取得による支出352億19百万円、無形固定資産の取得による支出65億55百万円をそれぞれ計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は703億10百万円(前期は1,054億69百万円の支出)となりました。
主な要因は、支出要因として配当金の支払額326億46百万円、長期借入金の返済による支出208億70百万円、自己株式の取得による支出99億99百万円、リース債務の返済による支出92億83百万円をそれぞれ計上したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメント別の営業収益及び当社グループの中核事業であるデリバリー事業の商品別取扱個数は次のとおりであります。
なお、当社グループは、デリバリー事業、ロジスティクス事業、不動産事業を中心とするサービス提供を主たる業務としているため、生産及び受注の状況は記載しておりません。
イ.セグメント別の営業収益
当連結会計年度のセグメント別の営業収益は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
前期比(%) |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
|
デリバリー事業 |
1,047,364 |
100.4 |
1,028,530 |
98.2 |
|
ロジスティクス事業 |
314,877 |
66.0 |
219,761 |
69.8 |
|
不動産事業 |
19,549 |
173.1 |
12,623 |
64.6 |
|
その他 |
52,818 |
92.9 |
56,024 |
106.1 |
|
合計 |
1,434,609 |
90.3 |
1,316,940 |
91.8 |
(注)営業収益は外部顧客に対する売上高を示しております。
ロ.デリバリー事業の商品別取扱個数
当連結会計年度のデリバリー事業の商品別取扱個数は、次のとおりであります。
|
商品の名称 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
取扱個数 |
(百万個) |
1,410 |
1,373 |
|
|
|
飛脚宅配便 |
(百万個) |
1,359 |
1,325 |
|
その他 |
(百万個) |
50 |
47 |
|
(注)1.取扱個数は、当社グループの主要商品の取扱個数であります。
2.飛脚宅配便は、佐川急便株式会社が国土交通省に届け出ている宅配便の個数であります。
3.その他は、佐川急便株式会社の提供する飛脚ラージサイズ宅配便及びその他の会社の取扱個数であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの事業セグメントは、デリバリー事業、ロジスティクス事業、不動産事業とその他で構成され、主要セグメントであるデリバリー事業が、当連結会計年度において営業収益の8割程度を占めております。
・デリバリー事業
デリバリー事業におきましては、主力の宅配便に加え、あらゆるお客さまのニーズに応えた「運ぶ」を実現する「TMS」をはじめとした、「GOAL」による付加価値の高い物流ソリューションの開発・提供を行っております。また、これらの物流ソリューションの提供は、自社のセールスドライバーや外部輸送業者を通じて行うことから、営業費用の80%以上を人件費と外注費が占めております。そのため、働き方改革の推進、輸送品質の維持・向上や輸送インフラの強化、デジタライゼーションによる生産性向上等に継続的に取り組み、人件費・外注費の適切なコストコントロールに注力しております。
当連結会計年度の宅配便の取扱個数は、物価調整後の家計消費支出の弱まり等の影響を受け、通期で1,373百万個(前期比2.7%減)となりました。一方、平均単価は、小型荷物の割合の上昇等による下押し要因があるものの、2023年4月からの届出運賃の改定や、取引ごとの適正運賃収受の取組みの効果により、648円(同0.9%増)と上昇いたしました。また、「TMS」は、「GOAL」による提案営業等を継続しておりますが、前連結会計年度に受託した感染症関連案件が剥落した影響もあり、通期で営業収益1,130億33百万円(同5.6%減)となりました。この結果、当セグメントの営業収益は1兆285億30百万円(同1.8%減)となりました。
人件費及び外注費につきましては、それぞれ3,595億35百万円(同0.5%増)、4,927億60百万円(同0.8%減)となりました。人件費増加の主な要因は、持続的成長の実現に向けた取組みとして、期初から従業員の給与引き上げを行ったことであります。一方、外注費減少の主な要因は、宅配便の取扱個数減少や「TMS」の減収に伴う減少でございます。この結果、営業利益は815億3百万円(同18.3%減)となり、営業利益率は7.9%と前連結会計年度から1.6ポイント低下いたしました。
・ロジスティクス事業
ロジスティクス事業におきましては、主に当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLCを中心に海外で展開するフレイトフォワーディングに加え、デリバリー事業と連携した3PLや日本発着の国際輸送を展開しております。当セグメントは、フレイトフォワーディングを中心とする国際物流事業と3PLを中心とする国内物流事業とに区分しており、営業収益の構成比は、それぞれおおよそ5割程度となっております。
当連結会計年度におきましては、第3四半期連結会計期間から米国での消費者マインドには回復の兆しも見え始めたものの、物価上昇による金融引き締めなどを背景とした経済成長の鈍化懸念等が継続したことにより、海上・航空貨物ともに取扱量は減少いたしました。また、海上・航空運賃は、一部では上昇が見られたものの、全体としては底這い状況が継続いたしました。一方、国内におきましては、「GOAL」による包括的なソリューション提案等を継続しておりますが、前連結会計年度に受託した感染症関連案件が剥落した影響等により、営業収益は2,197億61百万円(前期比30.2%減)、営業損失は48億54百万円(前期は営業利益192億39百万円)となりました。
・不動産事業
不動産事業におきましては、当社グループの物流施設を中心に不動産の開発、賃貸、管理を行っております。
当連結会計年度におきましては、物流施設にかかる保有不動産の売却規模が前連結会計年度と異なったことにより、営業収益は126億23百万円(前期比35.4%減)、営業利益は71億39百万円(同28.2%減)となりましたが、営業利益率は56.6%と前連結会計年度から5.8ポイント上昇いたしました。
・その他
その他の事業におきましては、人材派遣・請負、自動車整備・販売、宅配便の代金引換サービスや物流システムの開発・運用等の物流附帯サービスを提供しております。
当連結会計年度におきましては、前連結会計年度において半導体不足等の影響で不振であった新車販売が回復したものの、BPO取引が減少したことにより、営業収益は560億24百万円(前期比6.1%増)、営業利益は34億15百万円(同20.5%減)となり、営業利益率は6.1%と前連結会計年度から2.0ポイント低下いたしました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
・財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、高い財務健全性と資本効率を両立しつつ、中長期的な企業価値向上のための成長投資の実施と株主還元の充実を図ることを財務戦略の基本方針としております。
・財務健全性の状況
当社グループは、中長期的な企業価値向上のための成長投資を支える強固な財務基盤が必要と考えております。当連結会計年度末の自己資本比率は64.4%となり、前連結会計年度末に比べ3.2ポイント上昇いたしました。今後も財務健全性の維持に努めてまいります。
・資本効率の向上
当社グループは資本コストを重視し、投資において投下資本利益率が資本コストを上回るよう管理し、ROEの維持・向上を意識した経営を実施しております。当連結会計年度のROEは10.3%と、前連結会計年度から13.8ポイント低下いたしました。今後も成長が期待される分野へ規律ある投資を行うことで、企業価値の最大化に努めてまいります。
・フリーキャッシュ・フローの状況
当社グループは、フリーキャッシュ・フローを営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計と定義し、成長投資、内部留保や株主還元などを検討する際の指標の一つとして重視しております。
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
165,385 |
77,629 |
△87,755 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
28,028 |
△41,357 |
△69,386 |
|
フリーキャッシュ・フロー |
193,413 |
36,272 |
△157,141 |
・株主還元
当社グループは、株主へ配当金による利益還元を実施しております。配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。また、当連結会計年度におきましては、株主還元の強化と資本効率の向上を図ることを目的として、2023年5月1日から2023年9月22日までの間に自己株式4,769,200株(取得価額99億99百万円)を取得いたしました。
・流動性の状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、1,472億66百万円となりました。当連結会計年度末の短期借入金149億18百万円と、1年内返済予定の長期借入金300億84百万円の返済に必要な流動性を十分に満たしていると認識しております。
・資金調達手段
当社グループの事業活動における運転資金については、原則として手持資金(利益等の内部留保資金)で賄っております。設備資金等については、手持資金とのバランスを勘案し、必要に応じて外部から長期借入金で調達しております。
当社グループは、当社及び国内子会社を対象に、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を利用し、グループ内資金の包括的管理を実施しており、国内子会社において、設備投資等に伴う大規模な資金が必要となる場合は、当社が国内各子会社に長期貸付を行っております。
海外子会社においては、当社が、投資計画・資金計画に基づいて貸付又は増資引受けを行い、地域に所在する海外各子会社の資金を管理する体制としております。また、外貨資金需要への機動的な対応と調達手段の多様化を目的として、金融機関との間に外貨建貸越極度枠を設定しております。なお、当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLC及び上海虹迪物流科技有限公司においては、資金調達の一部を金融機関から直接行っております。
翌連結会計年度につきましても、上記の方針に基づき資金調達を行う予定であります。なお、重要な設備の新設計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。当社グループは連結財務諸表を作成するに当たり、退職給付に係る負債、税効果会計、貸倒引当金の計上等において、過去の実績等を勘案するなど合理的な見積りを行い、その結果を反映させておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるためこれらの見積りとは異なる場合があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。