当行グループ(当行及び連結子会社)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)経営方針
当行は、「ふるさとの発展に役立つ銀行」、「たくましく発展する銀行」、「働きがいのある銀行」という経営理念を掲げております。
当行で受け継がれてきた精神は「思いやり」、「相互扶助」の無尽の精神であり、また、当行に求められている使命は、地域の産業と人々の暮らしを支えていくことであり、地域のお客さまに信頼され、地域の発展に尽くしていくという経営の根本は、これからも変わることはありません。
(2)経営戦略等
当行は、2024年4月より3年間の第18次中期経営計画「変革への挑戦3rd stage」をスタートさせました。
第18次中期経営計画は、これまで行ってきた「変革への挑戦」の集大成であり、成果を最大限発揮するとともに、経営環境の変化を踏まえ、地域とともに持続可能な発展を目指します。第18次中期経営計画では、「「金融プラス1」収益力の強化」、「強固な経営基盤の確立」、「サステナビリティ経営の実践」を基本方針に掲げております。
①「金融プラス1」収益力の強化
これまで培ってきたネットワークを活用し、法個人コンサルティングやグループ総合力による「金融プラス1」収益力を強化します。
②強固な経営基盤の確立
新APプラットフォーム本格稼働による生産性向上(DX)および企業価値向上に資するガバナンス態勢を高度化し強固な経営基盤を確立します。
③サステナビリティ経営の実践
人的資本経営により、当行役職員が能力・資質を最大限に発揮しながら、地域価値を創造し、持続可能な地域社会の実現をめざすサステナビリティ経営を実践します。
第18次中期経営計画の計画最終年度の主要計数目標
<2026年度>
(3)経営環境及び対処すべき課題等
地域金融機関を取り巻く経営環境は、人口減少、少子高齢化、気候変動や地政学的リスクの高まり、物価上昇や金融政策変更に伴う影響などにより、先行きの不透明な状況が続いているなか、当行においては、法個人のコンサルタントを中心とした役務収益力の強化やPBRの改善、人的資本経営への対応、リスク管理の高度化等の課題があります。
こうした経営環境や課題に対応していくため、第18次中期経営計画~変革への挑戦3rd stage~を策定しました。
新中期経営計画では、基本方針として、①「金融プラス1」収益力の強化、②強固な経営基盤の確立、③サステナビリティ経営の実践を掲げ、「お客さまに寄り添い 地域の発展に貢献する」ことを目指してまいります。
第1の基本方針「金融プラス1」収益力の強化では、法個人コンサルティングと、グループ総合力を重点項目としています。第2の基本方針、強固な経営基盤の確立では、生産性向上とガバナンスを、第3の基本方針、サステナビリティ経営の実践では、地域共創と人的資本経営をそれぞれ重点項目としました。
地場産業の育成を通じて、地域シェアを拡大するとともに、役務収益ビジネスの更なる強化に努め、新たな企業価値を創造することに注力します。
また、選択と集中により、人的資本分野やDX分野に引き続き戦略的投資を行いながら、業務効率化と収益化を推進し、OHR60%台の達成を目標とします。
さらに、リスクアセット対比での収益目線であるRORAの改善と財務レバレッジコントロールにより、中長期的に、自己資本利益率であるROE向上を図るとともに、地域企業への資金供給を継続的に行いながら、連結自己資本比率の8%を維持します。また、配当政策は安定配当を基本とし、配当性向30%以上を目指してまいります。
第18次中期経営計画を着実に推し進め、3つの基本方針にもとづく重点戦略を組み合わせ、お客さまに寄り添いながら、地域の発展に貢献することで、地域全体の価値を高めてまいります。
当行は、「ふるさとの発展に役立つ銀行」「たくましく発展する銀行」「働きがいのある銀行」を経営理念に掲げ、グループで、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指して、サステナビリティ経営に取り組んでおります。2021年8月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、2022年4月に、「投融資方針」及び「GHG排出量削減目標」を設定、開示しております。
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。
当行グループでは、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指して、気候変動を含む環境問題及び社会問題を経営の最重要課題に位置付け、2021年8月に制定した「サステナビリティ方針」に基づき、2022年2月にグループ横断的な取組体制として、サステナビリティ委員会を設置しております。同委員会は、サステナビリティ担当役員を委員長とし、本部部長及び関連会社社長からなる委員で構成され、原則3ヶ月毎に定期的に開催し、また委員会の活動状況について原則6ヶ月毎に常務会及び取締役会に報告し、取締役会がこれらの活動を監督しております。

① 重要課題(マテリアリティ)の特定
当行は、持続可能な社会の実現に向けた基本的な方針として2021年8月に「サステナビリティ方針」を制定しております。
このサステナビリティ方針に則り、環境問題や社会問題をはじめとするサステナビリティに関する課題を洗い出し、ESG(環境・社会・ガバナンス)や経営理念との親和性を基準に評価した上で、以下の3つの重要課題(マテリアリティ)を特定しました。これらの重要課題(マテリアリティ)は、サステナビリティ委員会での審議を経て、常務会・取締役会で決定しております。
―環境経営
―地域共創
―人的資本経営
② 環境問題への取組(気候変動及びTCFD提言への対応)
当行グループでは、環境問題への取組みにおける戦略として、気候変動への対応を最上位と位置付けております。
気候変動への対応に関する経営戦略の策定やリスク管理体制の強化に向けた取組みにおいては、まず気候変動のリスクと機会を評価することによって、お客さま及び当行グループへの影響を明らかにすることが重要になります。具体的には、「1.5℃シナリオ※1」及び「4℃シナリオ※2」の2パターンのシナリオに基づいて、それぞれ「物理的リスク」「移行リスク」「機会」を評価し、シナリオ分析の充実・高度化に努めております。
※1 1.5℃シナリオ:脱炭素社会への抜本的な移行が達成され、世界の平均気温の上昇が高い確率で産業革命時期比1.5℃未満に抑えられるシナリオ
※2 4℃シナリオ:現状を上回る温暖化対策が講じられず、世界の平均気温が産業革命時期比3.2~5.4℃上昇するシナリオ
a.1.5℃シナリオ

b.4℃シナリオ

IPCC4℃シナリオにおける物理的リスクについて、当行の事業性与信先及び住宅ローン先を対象に水害発生による当行の担保不動産の損傷に起因する与信関係費用の増加額を最大約15億円と推計しております。

③ 人材育成・社内環境整備に関する考え方及び取組
当行グループでは、人材の多様性の確保を含む「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を以下のとおり制定しております。雇用情勢が著しく変化する環境において、人材の多様性を確保するため、人事制度や研修を通じて各人の能力・資質を最大限発揮できるよう多様なキャリアパスと働き方を提供しております。
a.人材育成方針
当行グループが企業価値の向上を図るためには、社員一人ひとりが“プロフェッショナル”として、専門性を身に付けることが重要です。私たちは、「“人”にしかできないことができる人材」となるべく、様々な取組や経験の機会を提供することで、地域の皆さまに寄り添い、課題解決支援ができる社員を育成します。
b.社内環境整備方針
当行グループは、社員が心身ともに健全で、安心して働くことができる職場環境を整えることで社員が本来持つ能力を最大限発揮し、お客さまへの質の高いサービス提供に努めます。また、共に働く仲間を家族同様に大切にし、仲間と共に成長します。
当行グループでは、気候変動リスクを管理するため、2022年4月に「気候変動リスク管理方針」を制定し、リスク管理委員会及びサステナビリティ委員会において気候変動リスクの特定・評価について定期的に審議し、常務会及び取締役会に報告しております。
なお、当行グループでは、気候変動リスクを独立のリスクカテゴリーとせず、「流動性リスク」「市場リスク」「信用リスク」「オペレーショナル・リスク」の発生・増幅要因となるリスクドライバーと位置付け、統合的リスク管理の枠組の中で管理しております。
また、当行グループでは、「投融資方針」に基づき、気候変動を含む環境問題及び社会問題の解決に資する知見の提供や資金調達の支援を行い、脱炭素社会に向けたトランジション投融資等について積極的に推進しております。一方で、児童労働等の違法行為や絶滅のおそれのある野生動植物の取引に関する事業など特定の業種・セクターや環境・社会問題に大きな影響を与える可能性があるセクターへの投融資に対する取組方針を個別に定め、適切に対応を行っております。
a.リスク管理体制の全体像

b.気候変動リスクが各リスクカテゴリーに及ぼす影響

c.投融資方針
(a)基本方針
・愛媛銀行は、持続可能な社会づくりに貢献するため、地域の環境・社会問題解決につながる自律的で責任ある投融資を推進します。
・投融資を行うにあたり、財務情報だけではなく、環境・社会に与える影響等の観点も重視した適切な判断を行っていきます。
・環境・社会問題に対しては、適切な知見の提供や積極的な支援を行い、脱炭素社会に向けたトランジション投融資等については、積極的に取り組みます。
(b)特定の業種、セクターへの対応方針
・違法性のある行為および公序良俗に反する行為を業とする先、間接的にそれらを補助する先、反社会的勢力が関係する企業や事業に対する一切の取引
・児童労働、強制労働への関与が認められる事業
・クラスター爆弾製造関連等非人道的な兵器の開発や製造を行う事業
・絶滅のおそれのある野生動植物に関する国際取引に関する条約(ワシントン条約)に違反する事業
※環境や社会に大きな影響を与える可能性がある、次のセクターへの投融資に対しては、個別に取組方針を定め、適切に対応を行っております。
石炭火力発電、パーム油、森林伐採、炭鉱掘削、石油・ガス、大規模水力発電
① GHG排出量削減目標及び実績
当行グループでは、GHG排出量(注)について、2022年4月に、2030年度末までに2013年度比50%削減する目標を設定しておりましたが、2024年3月、目標達成時期を2026年度末に繰り上げ、脱炭素社会への移行の取組みを加速させております。2023年度の削減実績は、2013年度比▲57.8%であります。当行グループでは、引き続き省エネルギー化に資する設備投資及び再生可能エネルギー由来の電力調達等に取組み、GHG排出量の削減を進めてまいります。
(注)GHG排出量:Scope1及びScope2の合計

② ESG関連投融資の実行累計額目標
当行グループでは、環境・社会問題の解決に向けお客さまのサステナビリティへの取組みを支援するため、グリーンローン、サステナビリティ・リンク・ローンなど持続可能な社会の実現に資するESG関連投融資を積極的に推進しております。2023年度より、2030年度をターゲットとするESG関連投融資の実行累計額目標を2,000億円に設定しており、2023年度末までの累計実績は、287億円であります。
また、第18次中期経営計画において、2026年度末の実行累計額目標を900億円としております。

③ 人的資本関連の指標及び目標
当行グループでは、上記「(2)戦略」において記載した「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」に関連する指標として、次の指標を用いております。当該指標の実績及び目標は、次のとおりであります。
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。「管理職」は、課長級以上の職位を指しております。
2 「主任」は管理職の1つ手前の職位で、本指標は、管理職の候補人材における女性労働者の割合を示しております。
3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
4 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。今回より算出方法を変更しており、変更後の算出方法による前連結会計年度の実績は47.7%であります。
5 当行グループでは、社内環境整備の一環として、健康経営の実践に取り組んでおり、労働安全衛生法に基づく定期健康診断に加えて、疾病の早期発見や早期治療を目的に、社会保険に加入する満30歳以上の従業員に対して人間ドック受診を推奨しております。本指標は、満30歳以上の従業員(社会保険加入者)のうち、当連結会計年度において、所定の人間ドックを受診した者の割合を示しております。
6 当行グループでは、外部での勤務を通じて幅広い視野と知見を深めるために外部出向に積極的に取組んでおります。本指標は、当行グループ外の官公庁、地方自治体、民間企業等への出向経験を有する従業員数を示しております。
7 当行グループでは、2020年6月以降、スキルや経験を得ることにより自己成長を促し、新たな企業価値の創出や地域経済の活性化に貢献することを目的に副業制度を導入しております。本指標は、副業制度を利用した延べ人数を示しております。
8 本指標は、以下の資格及び同等の資格保有者の延べ人数を示しております。
弁護士、税理士、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士、通関士、宅地建物取引士、FP1級、日商簿記1級、証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、AML/CFTオフィサー、AML/CFTオーディタ―、システム監査技術者、情報処理安全確保支援士、データベーススペシャリスト、ネットワークスペシャリスト、公認内部監査人、TOEIC850点以上、農業上級アドバイザー、キャリアコンサルタント
9 本指標は、中途採用した従業員数を示しております。
10 本指標は、女性労働者の平均勤続年数を示しております。
当行、当行の連結子会社5社及び持分法適用非連結子会社9社(以下、本項目においては「当行グループ」という。)において、事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。当行グループは、これらのリスクを認識したうえで、リスクの抑制を図るとともに、万が一顕在化した場合には迅速かつ適切に対処してまいります。
なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)特に重要なリスク
当行グループは、本店ほか支店が立地する地域のお客さまからお預けいただいた預金を貸出金や有価証券で運用していることから、貸出金における信用リスク及び有価証券運用における金利変動や株価変動等の市場リスクを特に重要なリスクと位置付けております。
①信用リスク
当行グループは、貸出金等の資産内容について自己査定を実施し、これに基づき貸倒引当金を繰り入れるとともに、不良債権の状況を開示しております。しかしながら、わが国の経済情勢、特に当行グループが主たる営業基盤としている四国地区内の経済情勢の変動が貸出先の業況等に悪影響を及ぼし、債務者区分の下方遷移や、担保価値の下落、その他予期せざる事由の発生により、不良債権及び与信費用が増加する可能性があります。
特に、新型コロナウイルス感染症については、感染症法での扱いが「5類」へと変更になりましたが、実体経済への影響は今後も一定程度継続すると想定し、特定業種向け貸出金等の信用リスクに影響を与えるとの仮定を置いております。翌年度(2025年3月期)の業績見通しは、これらの仮定を踏まえて作成しておりますが、仮定の不確実性は高く、新型コロナウイルス感染症の感染状況やその経済環境への影響が変化した場合には、予想を超える損失を被る可能性があります。
②市場リスク
当行グループは、余資運用や政策投資等の観点から、各種債券や市場性のある株式等を保有しています。保有債券については、市場金利の変動等によって債券ポートフォリオの価値が下落し、損失を被る可能性があります。また、保有株式等については、株価の変動によって価格が下落すれば、減損または評価損が発生する可能性があります。
当行グループでは、市場リスク管理において、株価や市場金利をリスクファクターとしたVaR(Value at Risk)計測、BPV(Basis Point Value)による金利感応度計測に加えて、ストレステストを定期的に行うことによりリスク量の定量的な把握を行っております。
③気候変動に関するリスク
当行グループは、地球規模の気候変動に関する問題について、水害等自然災害の発生により取引先の担保物件が毀損した場合や気候変動対策の規制により取引先の事業が影響を受ける場合、当行の信用や業績にも影響を及ぼす可能性があります。
(2)その他重要なリスク
①金利リスク
当行グループは、市場関連リスクの中の1つのファクターとして金利リスクを管理しております。しかしながら、貸出取引や有価証券投資等の資金運用と預金等による資金調達との金額・期間等のミスマッチが存在している状況において、当行グループの予期せぬ金利変動が生じた場合、当行グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
②資金調達・流動性に関するリスク
当行グループは、資金調達や資金運用の状況について客観的な基準で把握し、流動性管理に万全を期しておりますが、当行グループの業績や財務状況が悪化した場合、あるいは市場環境が大きく変化した場合に、必要な資金の確保が困難になり、通常より著しく高い金利による資金調達を余儀なくされる可能性があります。
③自己資本比率に係るリスク
当行は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に定められた国内基準である自己資本比率4%以上を維持する必要があり、要求される水準を下回った場合、監督当局から業務の全部または一部の停止等の命令を受けることとなります。当行では適正かつ十分な水準の自己資本比率を維持することに努めておりますが、本項に示した事業等に係る各種リスクが顕在化することにより自己資本比率が低下する可能性があります。
④繰延税金資産に係るリスク
繰延税金資産は、現時点におけるわが国の会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来における税金負担額の軽減効果として貸借対照表に計上することが認められております。当行グループは、現時点において想定される金融経済環境等の様々な予測・仮定を前提に将来の課税所得を合理的に見積り計上しておりますが、実際の課税所得が想定と異なること等により、繰延税金資産が減額された場合には、当行グループの業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤格付に係るリスク
当行は、格付機関から格付を取得しております。格付の水準は、当行から格付機関に提供する情報のほか、格付機関が独自に収集した情報に基づいて付与されているため常に格付機関による見直しがなされる可能性があり、また、日本の金融システム全体に対する評価等の影響も受けます。仮に格付が引き下げられた場合には、資金調達コストの上昇や必要な資金を市場から確保できず資金繰りが困難になる可能性があります。
⑥退職給付債務等の変動に係るリスク
当行グループの退職給付費用や債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件に変更があった場合には追加損失が発生する可能性があります。また、制度内容の変更により未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。
⑦規制変更のリスク
当行グループは、現時点の規制(法律、規則、政策、実務慣行等)に従って業務を遂行しております。将来、これらの規制の新設、変更、廃止並びにそれらによって発生する事態が、当行グループの業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧事務リスク
当行グループは、預金・為替・貸出などの銀行業務に加え、リース業務、クレジットカード業務など幅広い業務を行っております。これら多様な業務の遂行に際して、役職員による不正確な事務、あるいは不正や過失等による不適切な事務が行われることにより、損失が発生する可能性があります。当行グループではこのようなリスクが内在することを認識した上で、これを防止するための事務管理規程を定めて定期的な点検を行い、本部による事務指導の強化や管理者の育成を行っておりますが、仮に重大な事務リスクが顕在化した場合には、当行グループの業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨システムリスク
当行グループは、勘定系・決済系等のコンピュータシステムを保有しており、お客さまや各種決済機構等のシステムとネットワークで接続されています。
当行グループでは、システムリスク管理規程を定め、日々システムの安定稼働の維持に努めるとともに定期的な保守点検も励行しております。また、システムリスクのうちサイバーセキュリティリスクについては、サイバーセキュリティリスク管理方針をはじめとする諸規程・マニュアルの整備に加え、最高情報セキュリティ責任者(CISO)及びサイバーセキュリティ管理部門(CSIRT「シーサート」(Computer Security Incident Response Team))を設置し、経営主導によるセキュリティリスク事案にかかる未然防止・事案発生時の態勢を構築し、関連する外部機関とも連携のうえ運営しております。しかしながら、万が一重大なシステム障害やサイバー攻撃による不正アクセスやコンピュータウイルス感染等が発生した場合には、当行グループの業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩競合リスク
近年、わが国の金融制度は大幅に規制緩和されてきており、各種商品サービス等を含めた広範な分野において、他業態・他業種との競合が激しさを増しています。当行がこうした環境下において競争優位性を得られない場合、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪風評リスク
当行グループの業務は、預金者等のお客さまや市場関係者からの信用に大きく依存しております。そのため、当行グループや金融業界等に対する風説・風評が、マスコミ報道・市場関係者への情報伝播・インターネット上の掲示板への書き込み等により発生・拡散した場合には、お客さまや市場関係者が当行グループについて事実と異なる理解・認識をされ、当行グループの業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫コンプライアンスリスク
当行グループは、業務を遂行する上で様々な法令諸規制の適用を受けており、これらの法令諸規制が遵守されるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底に努めていますが、これが遵守できなかった場合には、当行グループの業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬顧客情報に係るリスク
当行グループは、多数のお客さまの情報を保有しているほか、様々な経営情報等の内部情報を有しております。これらの情報の管理については、情報管理に関するポリシーやその手続等を策定するとともに、役職員への研修等による周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を行っております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、重要な情報が外部に漏洩した場合には、当行グループの信用力、業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑭災害リスク
当行グループは、愛媛県を中心に事業を展開しており、営業拠点、電算センター等の施設、お客さま及び役職員は愛媛県に集中しております。万が一、愛媛県を含む広域に災害等が発生した場合、あるいは愛媛県を中心とする局地的な災害等が発生した場合には、地域経済及び当行の施設、役職員に甚大な被害が及ぶ可能性があり、その結果、当行グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮感染症の流行に係るリスク
新型コロナウイルス感染症や新型インフルエンザ等に当行グループ役職員が感染することにより、業務継続に支障をきたす可能性があります。加えて、感染症の影響が国内外の経済や金融市場に波及することにより、当行グループの信用リスクや市場リスク、流動性リスク等が顕在化することで、当行グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループでは、今般の新型コロナウイルス感染症拡大を受け、業務継続のために、リモートワークや勤務の交代制度を導入しております。
(1)経営成績等の状況の概要
<金融経済環境>
国内経済は、脱コロナによる経済社会活動の正常化が進み、緩やかに回復しています。企業の業況や収益の改善が続いており、物価と賃金がともに上昇する経済の好循環につながるのか、見極めが必要な段階となっています。一方で、先行きのリスク要因をみますと、中東・ウクライナ情勢の地政学的リスク等に注意が必要な状況にあります。
愛媛県経済は、国内経済と同様、物価上昇の影響を受けつつも、個人消費や設備投資、生産動向は、持ち直しており、景気回復傾向にあります。
金融面では、2024年3月に、日本銀行の金融政策決定会合において、これまでの金融政策方針を見直し、マイナス金利の解除やイールドカーブ・コントロールを撤廃したことを受け、短期金利はプラスに上昇に、長期金利は小幅に上昇しました。現時点での経済・物価見通しを前提とすると、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えられます。
<財政状態>
預金・譲渡性預金は積極的な営業活動を行った結果、前連結会計年度末比252億円増加の2兆6,455億円となりました。また、預り資産残高は同比93億円増加し2,052億円となりました。貸出金は、中小企業・個人向け貸出を中心に積極的な貸出に努めました結果、前連結会計年度末比124億円増加し、1兆9,346億円となりました。有価証券は、効率的な運用に努めました結果、前連結会計年度末比59億円減少し、6,148億円となりました。
連結自己資本比率は8.15%、当行単体では7.77%となりました。
<経営成績の説明>
収益面では、積極的な貸出金増強に加えて、海外金利上昇を受けたことで貸出金利息及び有価証券利息配当金が増加し、資金運用収益が前連結会計年度比101億11百万円の増加となりました。役務取引等収益については、不安定な外国為替相場等を背景に預り資産販売手数料が減少したことで前連結会計年度比25百万円の減少となりました。その他業務収益については同比53百万円減少、その他経常収益が株式売却益の増加等により同比30億4百万円増加したことから、経常収益は同比130億36百万円増加して651億63百万円となりました。
費用面においては、海外金利の上昇を受け、資金調達費用が前連結会計年度比80億51百万円増加したほか、有価証券売却損等の増加などにより経常費用は同比134億81百万円増加し572億54百万円となりました。
これらの結果、経常利益は前連結会計年度比4億45百万円減少して79億9百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同比3億35百万円減少して50億55百万円となりました。
セグメント情報につきましては、次のとおりであります。なお、記載の金額は内部取引相殺前の金額であります。
銀行業の経常収益は、資金運用収益の増加等により、前連結会計年度比126億11百万円増加の608億3百万円となりました。一方、経常費用は、資金調達費用等の増加により前連結会計年度比131億16百万円増加し537億19百万円となりました。これらの結果、経常利益は前連結会計年度比5億4百万円減少して70億84百万円となりました。
リース業では、経常収益は前連結会計年度比1億78百万円減少し34億40百万円、経常費用は前連結会計年度比2億19百万円減少し32億84百万円となり、経常利益は前連結会計年度比41百万円増加して1億56百万円となりました。
その他業務(クレジットカード業務、保証業務、コンピュータ業務運営・管理等)では、経常収益は前連結会計年度比2億47百万円増加の25億19百万円、経常費用は前連結会計年度比2億25百万円増加の18億38百万円となり、経常利益は前連結会計年度比22百万円増加して6億80百万円となりました。
連結自己資本比率は8.15%、当行単体では7.77%となり、引き続き健全性を保っております。
<キャッシュ・フロー>
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末比132億41百万円減少しました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、積極的な営業活動による貸出金の増加により△249億69百万円(前連結会計年度比496億49百万円増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却・償還が取得を上回ったことから130億19百万円(前連結会計年度比589億70百万円増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い等により△12億92百万円(前連結会計年度比1億25百万円減少)となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、2,042億80百万円となりました。
(1) 国内・国際業務部門別収支
積極的な貸出金の増加や効率的な有価証券の運用による利息配当金の増加により、資金運用収支合計は前連結会計年度比20億59百万円増加して352億26百万円となりました。役務取引等収支合計は、預り資産手数料等の減少により、前連結会計年度比1億10百万円減少し△34百万円となりました。その他業務収支は、前連結会計年度比55億69百万円減少し△59億99百万円となりました。
(注) 1 「国内業務部門」は、当行及び子会社の円建取引、「国際業務部門」は当行及び子会社の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
資金運用勘定平均残高(相殺消去後)は、積極的な貸出金の増強や資金運用の多様化を進めた結果2兆7,930億13百万円(前連結会計年度比527億17百万円増加)となり、うち国内業務部門は2兆6,105億59百万円(前連結会計年度比272億79百万円増加)、国際業務部門は6,399億88百万円(前連結会計年度比326億87百万円増加)となりました。運用利回りは、合計で前連結会計年度比0.33%上昇し1.85%となりました。資金調達勘定平均残高(相殺消去後)は、預金等平均残高の増加を主因に2兆7,267億81百万円(前連結会計年度比575億22百万円増加)となり、うち国内業務部門は2兆5,414億63百万円(前連結会計年度比416億59百万円増加)、国際業務部門は6,428億53百万円(前連結会計年度比231億12百万円増加)となりました。合計の調達利回りは前連結会計年度0.29%上昇し0.61%となりました。
(注) 1 「国内業務部門」は、当行及び子会社の円建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度158百万円、当連結会計年度567百万円)を、控除して表示しております。
(注) 1 「国際業務部門」は、当行及び子会社の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 国際業務部門の外貨建取引の平均残高は月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度―百万円、当連結会計年度―百万円)を、控除して表示しております。
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度158百万円、当連結会計年度567百万円)を、控除して表示しております。
2 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息であります。
役務取引等収益合計は預金・貸出業務等の減少を主因に前連結会計年度比25百万円減少の53億89百万円となりました。役務取引等費用合計は、支払手数料の増加等に伴い前連結会計年度比84百万円増加の54億23百万円となりました。
(注)1 「国内業務部門」は、当行及び子会社の円建取引であります。
2 「国際業務部門」は、当行及び子会社の外貨建取引であります。
(注)1 「国内業務部門」は、当行及び子会社の円建取引、「国際業務部門」は、当行及び子会社の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は、国際業務部門に含めております。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金+定期積金
(注)1 「国内」とは、当行及び子会社で特別国際金融取引勘定分を除いたものであります。
2 当行には海外店及び海外に本店を有する子会社はありません。
該当事項はありません。
(注)1 「国内業務部門」は、当行及び子会社の円建取引、「国際業務部門」は、当行及び子会社の外貨建取引であります。ただし、円建外国証券は国際業務部門に含めております。
2 「その他の証券」には、外国債券を含んでおります。
(自己資本比率等の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
(単位:億円、%)
(単位:億円、%)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態の分析
(ⅰ)預金等
預金・譲渡性預金は、積極的な営業活動を行った結果、前連結会計年度末比252億円増加の2兆6,455億円となりました。また、預り資産残高は前連結会計年度末比93億円増加し2,052億円となりました。
(ⅱ)貸出金等
貸出金は、中小企業・個人向け貸出を中心に積極的な貸出に努めました結果、前連結会計年度末比124億円増加し、1兆9,346億円となりました。
<参考>中小企業等貸出金(単体)
リスク管理債権は、前連結会計年度末比48億円増加の398億円となり、総与信残高に対するリスク管理債権の比率は前連結会計年度比0.24%上昇し、2.03%となりました。
<リスク管理債権残高>
<対総与信残高比率>
(ⅲ)有価証券
有価証券は、効率的な運用に努めました結果、前連結会計年度末比59億円減少し、6,148億円となりました。
(ⅳ)資本金等
自己資本比率は、前連結会計年度比0.08%上昇し、8.15%となりました。
②経営成績に重要な影響を与える要因
当行グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性
当行グループは、本店ほか支店が立地する地域のお客さまからお預けいただいた預金を貸出金や有価証券で運用しております。
今後も地域の成長につながる資金供給を一層強化してまいります。一方で、地方銀行として、良質な金融サービスを提供していくためには、一定の自己資本を確保しておく必要があり、効率的な資金運用等を行い、財務体質の一層の強化に努めてまいります。
なお、当面の設備等への投資は自己資金で対応しており、今後の固定資産の取得や株主還元も同様に自己資金で対応する予定であります。
④経営成績の分析
収益面では、欧米を中心とした海外市場金の上昇を受け、貸出金利息及び有価証券利息配当金が増加したことにより資金運用収益は、前連結会計年度比101億11百万円増加しました。一方で、役務取引等収益は、投資信託販売等、役務手数料の減少により同比25百万円減少しましたが、その他経常収益は株式売却益の増加等により同比30億4百万円増加し、経常収益は同比130億36百万円増加して651億63百万円となりました。
費用面においては市場金利の上昇を受け、資金調達費用が増加したこと等により経常費用は前連結会計年度比134億81百万円増加し572億54百万円となりました。
これらの結果、経常利益は前連結会計年度比4億45百万円減少して79億9百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は50億55百万円となりました。
<損益の概況>
⑤中期経営計画の進捗状況
当行は、2021年4月より3年間の第17次中期経営計画をスタートさせ、役職員一丸となって推進しました。第17次中期経営計画の最終年度(2023年度)の計数目標と実績は以下のとおりとなっております。
第17次中期経営計画最終年度において、総預金残高、貸出金残高及び開示債権比率は、達成しました。当期純利益、コア業務粗利益、OHR及び自己資本比率は、未達となりました。
⑥次期の業績見通し
第18次中期経営計画の初年度として、2025年3月期は経常利益74億円、親会社株主に帰属する当期純利益50億円をそれぞれ見込んでおります。
⑦重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成に当たっては、連結財務諸表の報告額に影響を及ぼす会計上の見積り及び仮定を用いております。当行グループでは、過去の実績等を分析し合理的であると考えられる見積り及び仮定を使用しておりますが、見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成において特に重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、貸倒引当金に関するものであり、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
その他、以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が、連結財務諸表の作成において重要なものと考えております。
a.繰延税金資産
当行グループは、将来の合理的な期間内の課税所得に関する見通しをはじめとする様々な見積り及び仮定に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有していると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の計上に関する判断は、毎決算期末時点において実施しておりますが、実際の課税所得の推移等により、前連結会計年度に計上した繰延税金資産の一部、又は全額の回収ができないと判断した場合には、当行グループの繰延税金資産を取り崩し、同額を費用として計上することとなります。また、将来の課税所得は十分見込めるとしても、将来の税金負担額の軽減の要件を充足することが見込めない場合には、同様に当行グループの繰延税金資産を取り崩し、同額を費用として計上することとなります。
b.有価証券の減損
当行グループが保有している有価証券には、市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券と市場価格のない有価証券が含まれます。当行グループでは、市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券の時価が取得原価に比べて著しく下落しており、取得原価まで回復する見込みがないものと判断したものについては、当該時価をもって連結貸借対照表価額とするとともに、評価差額を当該連結会計年度において損失処理を行っております。また、市場価格のない有価証券において、当該有価証券の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には、相当の減額を行い、同様に評価差額を当該連結会計年度において損失処理しております。
将来の市況悪化や投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に反映されていない損失又は帳簿価額の回収不能が発生した場合には、追加的な減損処理が必要となる可能性があります。
c.退職給付に係る負債
当行グループは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき、退職給付に係る負債を計上しております。退職給付費用及び退職給付債務は、割引率、予定昇給率、退職率及び死亡率等の数理計算において用いる前提条件に基づいて算出されております。
実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は数理計算上の差異あるいは過去勤務費用として累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
d.固定資産の減損会計
当行グループは、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産の帳簿価額を、回収可能価額まで減額する会計処理を適用しております。
同会計処理の適用に当たっては、営業活動から生ずる損益の継続的低下や地価の著しい下落等によって減損の兆候が見られる場合に減損の有無を検討しております。減損の検討には将来キャッシュ・フローの見積額を用いており、減損の認識が必要と判断された場合には、帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を減損しております。なお、回収可能価額は将来キャッシュ・フローの見積額の現在価値、又は正味売却価額のいずれか高い金額によって決定しております。
将来の営業活動から生ずる損益の悪化、使用範囲又は方法についての変更、経営環境の著しい悪化、市場価格の著しい下落等により減損の認識が必要となった場合、また、見積りの前提条件の変更等により将来キャッシュ・フローの見積額が減少することとなった場合には、追加的な減損処理が必要となる可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。