第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、創立以来受け継いできた「品質第一」、「誠実第一」の理念のもと、介護保険制度の対象となる福祉用具を地域の福祉用具貸与事業者にレンタル、又は、販売する「福祉用具サービス」を中心に事業活動の一層の拡大を図りつつ、高齢者やそのご家族への生活支援に繋がる「高齢者生活支援サービス」を数多く展開し、事業基盤の更なる拡大を図り、高齢者生活支援企業として社会に貢献できる企業となる事を目指してまいります。

(2)経営戦略等

当社グループの中期的な経営戦略としては、従前の福祉用具レンタル・販売に加え、高齢者やそのご家族の生活支援につながる事業への取組拡大を推進しております。当社グループは、事業領域の拡大を図ると共に、実効性の高いコーポレート・ガバナンス体制の整備・強化を推進し、持続的な成長と中長期的な企業価値の更なる向上を目指してまいります。

これらを踏まえ、当社グループが2022年1月に公表した中期経営計画で掲げたとおり、「健康長寿社会への貢献」の社是のもと、コアビジネスである福祉用具レンタル卸とともに、第二の収益の柱とすべく取り組んでいる高齢者生活支援サービスにおいて、団塊世代向けの介護需要の拡大や、在宅高齢者が安心して豊かな生活を送るための生活支援サービスの充実、介護現場のデジタル化による業務効率など、今後予測される様々な社会の課題に的確に対応してまいります。

(3)経営環境

わが国の高齢者人口は、「団塊の世代」が後期高齢者である75歳以上となり増加する一方、少子化の進展による生産年齢人口の減少とともに人材獲得競争の激化も加わり、介護現場の労働力不足は今まで以上に深刻となっております。また、物価上昇の影響も相俟って、介護現場の生産性向上は喫緊の課題となっております。一方で、介護保険制度では2024年度の改正が行われ、福祉用具貸与では一部の貸与品目・種類を対象とした貸与と販売の選択制が導入されました。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2023年度は中期経営計画の2年目として主要な目標として掲げた①福祉用具サービスにおけるレンタル卸を支えるサービス力の強化、②高齢者生活支援サービスは第二の収益の柱を目指した取引拡大、③人材価値向上に向けた各種施策、④持続的成長と企業価値向上に資するガバナンス体制の構築に向けて引き続き推進してまいりました。

2024年度の当社グループは中期経営計画の最終年度として、社是である「健康長寿社会への貢献」のもと、上記に掲げた各種課題に継続して取り組んでまいります。

福祉用具サービスにおけるレンタル卸におきましては、一部の貸与品目・種類を対象とした貸与と販売の選択制の導入による影響は不透明な部分はありますが、介護給付費の増加率を上回る売上拡大を目指し、これを支えるレンタル資産の積極購入を進めるとともに、資産の効率的な運用を継続してまいります。また、販売におきましては、各種ネットワークを活用し、介護施設に向けた取り組みの強化を図ることで取引拡大を目指してまいります。拠点展開につきましても、都市部を中心に既存営業所の大型化や移転等の開発を継続してまいります。物流の2024年問題を受け、地域に応じて物流機能の内製化等の施策を推進してまいります。

高齢者生活支援サービスにおきましては、食事サービスにおいて調達先の多様化を図るとともに物流網の構築による効率化を図ってまいります。また、フィッティング付おむつ配送サービス「おむピタ」につきましては、メーカーと協業し取引の拡大を推進してまいります。

人材におきましては、人材獲得競争が激化するなか、人材の採用の強化と定着の促進を図ることに加え、女性活躍に向けた施策を推進するとともに、教育研修の充実化等の人的資本投資を継続してまいります。また、人材不足が顕在化するなか、デジタルを活用した業務効率化や省力化を推進することで、社内のみならず、介護事業者の効率化・生産性向上に寄与してまいります。

これらを実行することで、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に努めてまいります。

(中期経営計画の骨子)

■福祉用具サービス

[福祉用具レンタル卸]

営業拠点の新設・移設、福祉用具の洗浄・修理能力の更なる向上、配送の効率化などに向けた各種施策に取り組んでまいります。

 

■高齢者生活支援サービス

[おむつ]

在宅にお住まいの高齢者のおむつ漏れを改善するサービスであるフィッティング付おむつ配送サービス「おむピタ」の拡大に取り組んでまいります。

[食事サービス]

新規顧客の獲得、新商品の開発、物流の効率化などに向けた各種施策に取り組んでまいります。

(連結業績目標)

 

2024年3月期実績

2025年3月期目標

売上高

28,592百万円

31,500百万円

親会社株主に帰属する当期純利益

1,578百万円

1,800百万円

ROE(自己資本利益率)

9.7%

10.6%

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、企業価値の持続的な向上を目指すため、収益力の向上に取り組んでおり、売上・利益の安定的な成長を重視しております。また、コアビジネスである福祉用具サービスは、レンタル資産(固定資産)への多額の投資を必要とするため、ROA(総資産利益率)、ROE(自己資本利益率)及びEBITDA(経常利益+支払利息+減価償却費)を効率性・収益性の指標として重視しております。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティに関する基本方針

当社グループのサステナビリティに関する基本方針は、次のとおりであります。

<基本方針>

私たちは社是である「健康長寿社会への貢献」を存在意義と定めステークホルダーの皆様との協働により豊かな暮らしに役立つ商品やサービスの提供によって社会課題の解決に挑みます。

そして新しい価値の創造と健全な事業活動を通じて中長期的な企業価値向上を追求し持続可能な社会の実現に貢献することを目指します。

(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループは、サステナビリティ関連のリスク・機会による事業への影響を評価し、その結果を事業戦略に反映することでリスクの低減と事業機会創出の実現を図ってまいります。

これらの戦略や目標を各組織に落とし込み、活動の結果や進捗、未対応課題への取組み等をサステナビリティ推進室が管理、取り纏めのうえ、経営会議に諮り、PDCAサイクルの有効性評価を受けるとともに、その結果を取締役会に報告し、監督を受けることとしております。

(3)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

①戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、全ての社員に合った柔軟な働き方や働きやすい環境を整えた上で教育機会の継続的提供により知識、スキル並びに仕事への意欲を高めることで、生産性の向上を実現してまいります。

②指標及び目標

人的資本に関する指標、目標及び実績は次のとおりです。なお、当該指標のデータ管理等につきましては、連結グループに属する会社全てについては行われていないため、当社の指標、目標及び実績を開示しております。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

人材開発投資額

2030年度まで28千円/人

18千円/人

有給休暇取得率(注)

2030年度まで70.0

71.7

育休取得率

2030年度まで100.0

75.8

育休復帰率

2030年度まで100.0

100.0

(注)有給休暇取得率の目標は、過去の実績及び政府目標を踏まえ設定しております。

過年度における有給休暇取得率の推移は、以下のとおりであります。

2022年度 69.1% 2021年度 59.4% 2020年度 56.4%

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)介護保険制度に伴うリスクについて

介護保険制度は、高齢期の最大の不安である「介護」を家族や個人だけでなく社会全体で支援する狙いのもとに創設された制度であり、「介護保険法」により、その基本的な枠組みが定められています。

介護保険法では、市町村及び特別区が保険者となって介護保険の運営を行いますが、費用の半分を被保険者(区域内に住所を有する65歳以上の方全員及び区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の方で医療保険に加入している方)が保険料として支払い、残りの半分は公費(総費用のうち負担割合は国が25.0%、都道府県が12.5%、市区町村が12.5%)が充当されます。

介護保険制度によるサービスが利用できるのは、要介護認定もしくは要支援認定を受けた65歳以上の方又は特定疾病による要介護認定もしくは要支援認定を受けた40歳以上65歳未満の方となります。介護保険利用者は指定居宅サービス事業者(以下、事業者)から福祉用具の貸与又は販売を受けた場合、利用者の所得に応じて介護サービス費用の1割から3割を自己負担し、残りの費用は介護保険から給付される仕組みとなっております。

当社の主力事業である福祉用具レンタル卸及び福祉用具の販売卸につきましては、一部の関係会社を除き介護保険利用者に直接的な介護サービスを実施しておりませんが、当社の取引先となる事業者及び介護保険利用者は介護保険制度の適用を受けるため、間接的に当社グループの事業は介護保険制度の影響を強く受けることとなります。よって、要介護認定を受ける被保険者の範囲、介護保険の適用となる福祉用具の範囲や利用者の負担率が変更されることで需要動向が悪化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2)貸与福祉用具から感染症・不具合が発生することに伴うリスク

当社が事業者に貸与する福祉用具は、介護保険利用者の使用後、当社にて洗浄、消毒等の保守サービスを行い、再び事業者を通じて介護保険利用者に貸与されることから、当社では一般社団法人シルバーサービス振興会による「福祉用具の消毒工程管理認定制度」に積極参加するなど、衛生管理を徹底して行っております。また、当社グループでは、きめ細かい社員研修制度等を通じて従業員の福祉用具の保守・メンテナンスの品質の向上や均質化を図っております。万一、当社が貸与する福祉用具から感染症が発生した場合や当社の従業員が実施した福祉用具の保守・メンテナンスに重大な瑕疵が生じ重大事故につながった場合、多額の損害賠償の発生や当社グループに対する社会的信用の失墜等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3)オリジナル商品に不具合が発生することに伴うリスク

当社が事業者に貸与・販売する福祉用具の利用者は、要介護の認定を受けた高齢者が多いことから、福祉用具に不具合が生じた場合、重大な事故につながる可能性があります。当社が貸与・販売する福祉用具の一部は当社オリジナル商品であり、不測の事態に備え、生産物賠償責任保険(PL保険)に加入しておりますが、最終的に負担する賠償額を十分に補うことを保証するものではありません。万一、製品の欠陥が発生した場合、大規模なリコールが発生した場合には、多額の損害賠償や製品の回収費用が発生すると共に、当社の信用を大きく毀損する可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4)固定資産の減損についてのリスク

当社グループは、貸与する福祉用具を始め、全国に洗浄消毒設備等の固定資産を多く保有しており、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。今後、介護保険制度の変更や画期的な新技術の出現に伴う既存福祉用具の陳腐化により、大幅な企業収益の悪化等が生じた場合には減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)大手企業参入によるリスク

当社グループの福祉用具のレンタル卸を始めとする介護事業は、超高齢化社会を迎えた我が国の有望な成長産業として、様々な業種や業態からの市場参入を目指した企業の取組が活発化しております。

当社グループの主力事業である福祉用具レンタル卸及び販売卸は、レンタル商品の一括購入及び保守サービス体制の構築等、経営体力やノウハウが要求されることから、全国展開を目指した一定規模以上の新規参入は容易ではないと認識しております。しかしながら、大手企業の参入により、当社グループが十分な差別化が出来ない場合、当社グループの優位性、価格競争、収益等への影響が予測されます。このような競合が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6)人材の確保についてのリスク

当社グループの展開する高齢者生活支援事業は人材の確保が重要であり、当社グループの事業計画を遂行するうえで必要な人材を安定的に採用し、労働環境の整備や教育体制の充実等により人材の定着を図ることが、持続的な成長にとって必要となりますが、これらが達成できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(7)食の安全性及び衛生管理についてのリスク

当社は食事サービスにおいて、冷凍弁当等の販売を行っております。当社は、安全な食材等を仕入れるため、仕入先との信頼関係を構築するとともに、商品管理・衛生管理の徹底に努めておりますが、流通過程等における異物混入や虚偽表示等の事故・事件が発生した場合、当社食事サービスに対する信頼・信用の毀損等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の衛生管理等に起因する食中毒が発生した場合には、損害賠償責任の発生する可能性があります。当社では生産物賠償責任保険(PL保険)に加入しておりますが、万が一、食中毒が発生し、当社の管理責任が問われた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(8)システムリスク

当社は、通信ネットワークやコンピュータシステムを使用し、商品の調達や販売等多岐にわたるオペレーションを実施しております。システムの運用・管理には万全を期しておりますが、想定外の自然災害や事故等により、設備に甚大な被害を被った場合や、コンピュータウイルスの不正侵入、又は、従業員の過誤等によるシステム障害が発生した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当社はインターネットを利用した電子受発注管理システム“e-KaigoNet”を構築しており、事業者及び福祉用具メーカー等に対し、同システムのサービスを提供しております。現在、当社売上高の約4割を占める事業者及び福祉用具メーカー等の主要仕入先が加入しているため、災害等により同システムに重大な障害が発生した場合、当社グループの信頼・信用が毀損すると共に、営業関係業務において円滑な運営に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(9)個人情報漏洩に伴うリスクについて

当社の福祉用具は、事業者を通じて多数の介護保険利用者に利用されており、介護保険利用者の個人情報を取得する場合があります。当社では、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)よりプライバシーマーク制度の認定を取得するなど、個人情報の管理に関する規程等を整備し、運用の徹底を図ることにより、個人情報が漏洩することのないよう留意しておりますが、万一、個人情報の漏洩が発生した場合は、法的責任を負う可能性があるほか、信用を大きく毀損することとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(10)大規模災害・感染症リスクについて

地震、大雨、洪水等の自然災害・異常気象、大規模事故、ウイルス等の感染症の流行及びその他予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの社員・事業所・設備・レンタル資産などの営業用資産等に被害が発生するほか、サプライチェーンの混乱等により、被害に対する原状復旧や営業用資産などの調達において速やかに対応ができず、営業活動に支障が生じる可能性があります。当社では、各種災害・事故等への備えとして社員の安否確認システムの導入、災害対策・対応に関する規程の整備、防災訓練、必要物資の備蓄、調達の多様化等の対策を講じております。ただし、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、自然災害等の発生時には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

イ.財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,229百万円増加し、25,401百万円となりました。主な要因は、流動資産の受取手形及び売掛金140百万円増加、レンタル未収入金358百万円増加、有価証券699百万円減少、固定資産のレンタル資産(純額)1,828百万円増加、建物及び構築物(純額)363百万円増加、繰延税金資産161百万円増加等によるものであります。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,769百万円増加し、8,853百万円となりました。主な要因は、流動負債の買掛金65百万円増加、レンタル資産購入未払金126百万円増加、短期借入金750百万円増加、未払法人税等131百万円増加、レンタル資産保守引当金248百万円増加、その他に含まれる未払金180百万円増加、固定負債の退職給付に係る負債131百万円増加等によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ460百万円増加し、16,547百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益1,578百万円の計上による増加、配当金1,087百万円による減少等によるものであります。自己資本比率は、前連結会計年度末の69.4%から4.3ポイント減少し65.1%となりました。

ロ.経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動が正常化するなか個人消費の持ち直しや雇用・所得環境の改善など緩やかな回復基調で推移いたしましたが、不安定な国際情勢や人手不足の影響、物価上昇など先行き不透明な状況が続いております。

介護保険制度におきましては、次期介護保険法改正(2024年度)が国会で成立し、2023年12月には2024年度の介護報酬が1.59%のプラス改定で公表となりました。また、福祉用具貸与では一部の貸与品目・種類を対象として貸与と販売の選択制が導入されることとなりました。

このような状況下、当社グループは中期経営計画の2年目として、社是である「健康長寿社会への貢献」のもと、福祉用具レンタル卸を中心とする福祉用具サービスの更なる強化とともに、第二の収益の柱とすべく取り組んでいる高齢者生活支援サービスにおいて、様々な社会の課題に的確に対応するサービスを創出すべく検討を進めてまいりました。

福祉用具サービスにおきましては、引き続き人員の採用や育成の強化、レンタル資産の積極的な投入に加え、拠点間でのレンタル資産の効率的な運用を推進してまいりました。また、ITを活用した物流機能の効率化やレンタル資産のメンテナンス工程をデジタルで管理する当社独自のシステムであるIT工程管理システムを出荷・検品工程まで機能拡張することで業務効率化や資産管理の高度化を図るとともに、人材育成ツールとしても活用してまいりました。これらの各種施策により福祉用具レンタル卸が堅調に推移いたしました。このほか、オンラインセミナーである「グリーンケアフォーラム」を全11回開催し、介護保険制度改正などタイムリーなテーマに対して識者の講演により質の高い情報発信に努め、事業者支援策を推進してまいりました。

高齢者生活支援サービスにおきましては、事業者向けECサイト「グリーンケアオンラインショップ」や食事サービスの受注拡大に努めてまいりました。食事サービスでは4月に「ふつう食丼もの」や「ムース食パンセット」などを追加、11月には、ご飯付冷凍弁当「彩食弁当」やふつう食のメニューを追加し商品の拡充を図るとともに、外部委託による物流倉庫を新たに設置することで物流コストの削減を図ってまいりました。このほか、在宅にお住まいの高齢者のおむつ漏れを改善するフィッティング付おむつ配送サービス「おむピタ」の拡販を推進いたしました。

拠点展開におきましては、後期高齢者が増加する都市部を中心に新規の拠点開設や倉庫の大型化に向け、既存拠点の移転・拡張を推進いたしました。6月に佐倉営業所、7月に八戸ステーションの新設、6月に島根ステーション、9月に群馬営業所、10月に愛媛営業所の移転、6月に浜松営業所、12月に福岡営業所、3月に沖縄営業所の拡張をそれぞれ実施いたしました。なお、当連結会計年度末現在の営業拠点数は94拠点となっております。

このほか、サステナビリティの観点では5月にサステナビリティ基本方針を策定するとともに10月にサステナビリティ推進室を新たに設置し、推進体制を整備いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、福祉用具レンタル卸が堅調に推移し、売上高28,592百万円(前連結会計年度比10.4%増)となりました。

利益面では、レンタル売上の増加に伴い、レンタル資産の購入による減価償却費や人員増に伴う人件費、物流費の増加等があったものの、増収効果により、営業利益2,173百万円(同2.6%増)、経常利益2,200百万円(同2.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,578百万円(同4.2%増)となりました。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末に比べ779百万円減少し、当連結会計年度末には711百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、339百万円(前年同期は使用した資金7百万円)となりました。主な要因は、売上債権の増加額498百万円、レンタル資産の取得による支出7,437百万円、法人税等の支払額643百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益2,203百万円、減価償却費6,158百万円、レンタル資産保守引当金の増加額248百万円、退職給付に係る負債の増加額131百万円、レンタル資産除却損49百万円、仕入債務の増加額65百万円、未払金の増加額88百万円等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、775百万円(前年同期は得られた資金132百万円)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出646百万円、無形固定資産の取得による支出131百万円等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、343百万円(前年同期は使用した資金381百万円)となりました。主な要因は、短期借入金の純増加額750百万円があったものの、配当金の支払額1,087百万円等があったことによるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

該当事項はありません。

ロ.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

サービス区分

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前連結会計年度比(%)

福祉用具サービス(千円)

1,652,550

115.4

高齢者生活支援サービス(千円)

3,052,442

112.6

合計(千円)

4,677,992

113.6

(注)サービス間の取引については相殺消去しております。

ハ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

サービス区分

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前連結会計年度比(%)

福祉用具サービス(千円)

24,943,043

110.1

高齢者生活支援サービス(千円)

3,649,548

112.6

合計(千円)

28,592,592

110.4

(注)1.サービス間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

イ.財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,229百万円増加し、25,401百万円となりました。主な要因は、福祉用具サービスが堅調に推移したことに伴い受取手形及び売掛金が140百万円、レンタル未収入金が358百万円増加したこと、レンタル需要に伴い有形固定資産のレンタル資産(純額)が1,828百万円増加したこと、都市部を中心に行った営業拠点の新規開設、移転等に伴い建物及び構築物(純額)が363百万円増加した一方、これらの設備投資資金を賄うため、有価証券が699百万円減少したこと等によるものであります。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,769百万円増加し、8,853百万円となりました。主な要因は、業容拡大に伴い流動負債の買掛金が65百万円、レンタル資産購入未払金が126百万円増加したことや、設備投資資金や運転資金を賄うため金融機関からの短期借入金が750百万円増加したこと、福祉用具サービスが堅調に推移したことに伴いレンタル資産保守引当金が248百万円増加したこと、未払法人税等が131百万円、退職給付に係る負債が131百万円増加したこと等によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ460百万円増加し、16,547百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益1,578百万円の計上により増加した一方、増配に伴う配当金1,087百万円の支払いにより減少したこと等によるものであります。これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の69.4%から4.3ポイント減少し65.1%となりました。

ロ.経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高が前年比2,700百万円増の28,592百万円(前年比10.4%増)、営業利益が前年比55百万円増の2,173百万円(同2.6%増)、経常利益が前年比58百万円増の2,200百万円(同2.7%増)となりました。売上高については、主力事業である福祉用具サービスが堅調に推移したことにより増加しました。営業利益及び経常利益については、レンタル売上の増加に伴い、レンタル資産の購入による減価償却費や物流費の増加、さらに人員体制の強化による人件費の増加及び営業拠点新設・移転等による開発費用の増加などにより売上原価及び販管費の合計で2,644百万円増加しましたが、増収により費用の増加を吸収しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年比63百万円増の1,578百万円(同4.2%増)となりました。

なお、当社グループは、高齢者生活支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループのキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業活動の維持拡大に必要な資金を自己資金の活用及び金融機関からの借入によっております。当社グループの資金需要のうち主なものは福祉用具の購入費用であります。当連結会計年度は福祉用具を7,090百万円購入いたしましたが、翌連結会計年度においても今後も高齢者人口の増加により福祉用具のレンタル需要の拡大が見込まれることから6,600百万円の購入を予定しております。これらの資金は自己資金の活用及び金融機関からの借入金で賄う予定であります。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は711百万円、有利子負債の残高は1,358百万円となりました。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える会計方針についていくつかの重要な判断や見積りを行っております。有価証券、棚卸資産の評価基準及び評価方法、貸倒引当金、賞与引当金及びレンタル資産保守引当金の計上基準、退職給付に係る会計処理の方法については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)に記載しておりますが、これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいて行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。