(1) 経営の基本方針
当行は、以下の「基本方針」等に基づき、地域経済の活性化や地域貢献等に強力に取り組んでまいります。
(経営理念)
・Contribution:貢献
わたくしたち豊和銀行は、地域の発展に貢献します。
・Customers:お客様第一主義
わたくしたち豊和銀行は、常にお客さまに寄り添い、ありがとうと言っていただける銀行を目指します。
・Challenge&Change:挑戦と変革
わたくしたち豊和銀行は、たゆまぬ挑戦と変革により、未来を切り開きます。
(目指す姿)
「地元大分になくてはならない地域銀行」
(基本方針)
「地域への徹底支援による地元経済の活性化」
2022年9月に公表した「経営強化計画」(対象期間:2022年4月~2025年3月)につきましては、「経営の改善の目標」である「コア業務純益」及び「業務粗利益経費率」に加え、中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化及び地域経済の活性化に資するため、「中小規模事業者等向け貸出残高」、「中小規模事業者等向け貸出残高の総資産に対する比率」及び「経営改善支援等取組先数の取引先企業総数に占める比率」を目標に掲げております。
2023年度につきましては、「コア業務純益」については目標達成見込みとなりましたが、他の4項目については、未達成の見込みとなっております。
※「コア業務純益」=「業務純益」+「一般貸倒引当金繰入額」-「国債等債券損益」
※「業務粗利益経費率」=(「経費」-「機械化関連費用」)÷「業務粗利益」
※「中小規模事業者等向け貸出」とは、銀行法施行規則第19条の2第1項第3号ハに規定する別表第一における中小企業等から個人事業者以外の個人等を除いた先に対する貸出をいいます。
※「経営改善支援等取組先」とは、「経営改善応援ファンド支援先」「資金繰り安定化ファンド支援先」「事業継承支援先」「創業・新事業開拓支援先」「事業再生支援先」をいいます。
2023年度の国内経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、経済の正常化が進んだこともあり、飲食業・宿泊業を中心に幅広い業種で企業業績は好調に推移しました。また、自動車生産の回復や円安の影響もあり、輸出も順調に推移しました。その結果、人材不足はバブル期以降で最高水準まで高まり、好調な企業業績、物価上昇及び人材不足を背景として30年振りの高い賃上げが実施されました。しかしながら、所得の伸びを上回るペースで物価が上昇したことから、個人消費は低調に推移しました。また、物価上昇や人材不足を背景として、中小企業を中心に倒産件数も増加しました。デフレ脱却の動きが進む一方で、欧米の利上げの影響や中国の不動産価格下落の影響を始め、2024年1月に発生した令和6年能登半島地震の影響等もあり、依然として国内経済の先行きは不透明な情勢となっております。
金融環境につきましては、大きな転換点となる1年となりました。好調な企業業績や円安を背景として、2024年2月22日に日経平均株価は1989年の史上最高値であった3万8,915円87銭を更新し、その後同3月4日に初めて4万円を突破しました。また、同3月19日には、物価上昇や賃上げの状況等を踏まえ、日本銀行は2016年から始めたマイナス金利政策の解除を決定しました。
そのような中、当行の主要な営業基盤である大分県経済においては、経済の正常化により飲食業・宿泊業を中心に幅広い業種で企業業績が回復する一方、2023年12月に国の認証取得の不正問題により大分県内にある大手自動車メーカーの工場が生産・出荷停止となったことが県内の下請け・孫請け企業の業績に悪影響を及ぼしたほか、物価高騰や人材不足による倒産の増加も見られ、大分県経済は不透明な状況が続いております。
私たちを取り巻く経済環境は上記に述べました通り、新型コロナウィルス感染症5類移行後の経済の正常化を受け、飲食業・宿泊業を中心に業績の改善が見られた業種がある一方、足元では特に、エネルギー・原材料価格を始めとした諸物価の高騰、人手不足等による人件費の上昇等により、幅広い業種の中小企業・小規模事業者を中心に長期の業績低迷から脱却できず、倒産件数は増加傾向にあります。また、過疎化、少子高齢化・人口減少、廃業の増加等はその深刻さを増し、今後、地元の中小企業・小規模事業者のお客さまを取り巻く経営環境はなお一層厳しさを増すことは間違いありません。
このような経営環境の下、地元の中小企業・小規模事業者のお客さまに寄り添い、伴走し、お客さまの経営改善支援・再生支援に全力で取り組むことが当行の果たすべき使命と考えております。
そして当行はその使命を果たすことで、『共通価値の創造』を実現することができ、結果として当行の業績の将来にわたっての収益性・健全性にもプラスに働くものと確信しております。
具体的施策としては、お客さまの売上増強を含めた経営課題の改善や業務プロセスの改善をご支援する「Vサポート」、経営改善計画の策定とご融資をセットとしてお客さまの経営改善をご支援する「経営改善応援ファンド」、資金繰りに追われることなくお客さまが本業に専念するためのご融資である「資金繰り安定化ファンド」を経営改善支援スキームの3本柱として位置づけ、継続的・組織的に全力で取り組んでまいります。
なお、2024年2月9日に実施したF種優先株式の発行で100億円を資金調達したことにより、経営基盤の強化が図れ、当行は地元の中小企業・小規模事業者のお客さまに対するさらなる金融仲介機能の発揮に努めるとともに、経営改善支援・再生支援に注力できる態勢を整備することができました。深く感謝申し上げるとともに、お引き受けいただいた皆さまのご期待に沿えるよう全力で取り組んでまいります。
当行はその使命を果たすために、役職員一丸となりまして、「地元大分になくてはならない銀行」の実現に向けて邁進してまいります。
当行のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当行が判断したものであります。
《基本的な考え方》
当行は大分県に本店を置く地方銀行であり、地域の中小企業・小規模事業者の事業を支え、雇用を守り、商流を活性化することを通じて、地域のサステナビリティの維持・改善に向けてご支援することが当行の最大の役割と考えております。当行はその役割を果たすため、地域のお客さまに対する円滑な金融仲介機能の発揮に努めることは当然のこととして、さらに本業支援・経営改善支援・事業再生支援などに全行を挙げて取り組み、結果として当行の収益性・健全性の向上にも貢献するという『共通価値の創造』をビジネスモデルの根幹に据えております。『共通価値の創造』を通じて、お客さまや地域のサステナビリティの維持・改善に寄与するのみならず、当行のサステナビリティの強化を図ることができると考えております。
当行は3年毎に中長期の経営方針を定めた『経営強化計画』を取締役会の協議を経て策定しております。その計画の中で達成すべき目標として金融機能強化の状況を示す「中小規模事業者等に対する貸出残高、総資産に対する比率」と、お取引先への経営改善支援の状況を示す「経営改善支援先数の取引先企業総数に占める比率」を定めております。毎月開催している経営強化計画運営協議会にてその目標の達成状況を把握・分析し、必要に応じて迅速に改善を図っております。
また、『経営強化計画』の履行状況については、半年毎に取締役会へ報告するとともに当行ホームページで開示しており、上記指標のほか、お客さまへの金融仲介機能及び経営改善支援として取り組んでいる各施策の実施状況も外部から確認できるようにしております。
人的資本においても、『共通価値の創造』という当行のビジネスモデルを支えるために必要な人材を育成・確保するため、人材育成計画や採用計画、その他人的資本投資等に関する重要な施策の検討や進捗状況の報告を定期的に行っております。
上記《基本的な考え方》に記載のとおり、『共通価値の創造』という当行のビジネスモデルを経営の根幹に据え、地域の中小企業・小規模事業者に対する円滑な金融仲介機能の発揮及び経営改善支援に取り組むことがサステナビリティに係る当行の基本的な戦略であります。この戦略の実現に向けて、お客さまの経営改善を支援する強力なスキームを整備するとともに、そのための人的資本を充実させていくことが重要な取組と考えております。
経営改善支援のスキームとしては、お客さまの売上増強及び業務プロセスの改善をご支援する「Vサポート」、経営改善計画策定とご融資が一体となった「経営改善応援ファンド」、お客さまが資金繰りに追われることなく本業に専念できるためのご融資「資金繰り安定化ファンド」の3つのスキームを経営改善支援の3本柱と位置づけ、継続的・組織的に全力で取り組んでおります。
人的資本については、『人材こそが経営の要』と考え、人材確保、人材の活躍推進及び人材育成等人的資源に関して下記の取組を行っております。当行における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
①お客さまの相談相手となれる行員の育成
当行の経営改善支援の3本柱と位置付ける「Vサポート」「経営改善応援ファンド」及び「資金繰り安定化ファンド」を担うために必要な業務スキル(円滑な資金供給ができる融資スキル、事業性評価、販路開拓(Vサポート)、事業承継、M&A等)を向上させるための取組を強化しております。
地域の課題解決や質の高いサービスを提供するため、階層別・職務別の集合研修を増加させるほか、これまで実施している本部各部への行内トレーニー制度の充実・強化と合わせ、行外トレーニー派遣により、地域振興や事業再生に強い人材の育成に取り組んでおります。
専門性の高い人材確保のため、有資格者(中小企業診断士、M&Aシニアエキスパート、事業承継シニアエキスパート、FP技能士、宅建士等)を養成する取組を継続し、外部講師招聘によるセミナー開催等により資格習得のための支援を実施しております。
また、新入行員には原則1年目は預金業務、2年目は融資業務、3年目は渉外業務を担当させ入行後の3年間で営業店の一とおりの業務を経験し業務知識を習得するための「マルチキャリア開発プログラム」を提供しております。若手行員のスキルの幅を広げるとともに自身の適性を見極めるための機会と位置づけ、若手行員のモチベーションアップの一助としております。
②女性の活躍推進
女性行員の役割を重視した営業体制の構築が当行の喫緊の課題となっております。女性行員が十分に能力と個性を発揮し生き生きと活躍できるような環境を整備するとともに、融資や渉外といった今までは、主に男性行員が中心に担ってきた分野への配置による業務経験の蓄積やマネジメント力の向上を図り管理職への登用も拡大してまいります。また、育児短時間勤務については、法律上の義務は「子が3歳に達する日まで」のところ、当行では努力目標の「子が3歳から小学校1年修了まで」を対象とし導入しておりましたが、従業員のニーズに応えるため2022年4月より「子が小学校6年修了まで」に対象を拡大しております。
③ワーク・エンゲージメントの向上
行員が仕事に対して充実した心理状態を維持、向上させるためには、職場内における「心理的安全性」の確保が前提条件であり、上司や先輩に忖度することなく行員一人一人が自由闊達に発言できる人間関係の構築が必要だと考えております。「心理的安全性」の確保につきましては、地道な啓発活動による行員の理解が必要であることから、関係部が連携し、常にその必要性について情報発信を行い、臨店や行員との面談により実態の把握を行って定着化を図っております。さらに、支店長や部長経験のあるシニア人材(60歳以上)が随時支店を臨店し、若手行員の悩みを聞く場を作っております。
また、当行では人材の確保につながる取組として、中途採用に積極的に取り組んでおります。特に、当行を退職された方のうち、再入行を希望される方が再び当行で活躍いただける「ウェルカムバック採用」に注力しており、退職された行員を「豊和銀行の業務内容や企業風土に一定の知見を持ちながら、豊和銀行外でのさまざまな経験・キャリアを持つ貴重な人材」と捉え、積極的に採用し、多様な人材によって人的リソースを強化することで、より一層、地域経済の発展に貢献してまいります。
さらに、2024年3月より、「副業制度」を導入しました。本制度の導入により、行員は収入向上や自分がやりたいことへの挑戦など多様な働き方を実現できる一方、併せて銀行に対するエンゲージメント(会社に対する愛着)の向上に寄与するとともに、労働人口の減少する地域への人的貢献、そして地域社会の発展に資するものと考えております。
加えて、行員が最大限の能力を発揮するためには、心身ともに健康であることが欠かせません。行員が健康を維持できるよう、健康診断の受診率の向上に努めるとともに、健康診断の結果が芳しくなかった行員については2次健康診断の受診を強く勧めてまいります。
当行のサステナビリティの考え方によれば、リスクとしてはお取引先の信用リスクがその大宗を占めると考えております。信用リスクについては「クレジットポリシー」、「信用リスク管理規程」及び「与信決裁権限規程」等の管理諸規程に従い、与信ポートフォリオのリスクの状況を定量・定性両面から把握しております。また、与信管理に関する規程やマニュアルを整備するとともに、特に信用リスクの程度が大きい与信先等については、融資部が重点的に管理を行うなど適切な対応をとっております。
また、長時間労働やメンタル不調等の人的リスクについては、産業医による面談や全従業員を対象としたストレスチェックを実施のうえ、専門家の助言のもと適切に対処しております。
上記(1)に記載のとおり、「中小規模事業者等に対する貸出残高、総資産に対する比率」と「経営改善支援先数の取引先企業総数に占める比率」を指標と定め、目標を設定し管理しております。詳細は「
また、当行では、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
(注)専門性の高い資格(中小企業診断士、M&Aシニアエキスパート、事業承継シニアエキスパート、FP技能士、宅建士等)保有者の延べ人数÷(正行員+元正行員の嘱託)により算出しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において当行が判断したものであります。
当行は地域金融機関であり、大分県を主要な営業基盤としております。したがって、地域の経済環境の変化に大きな影響を受けます。地域経済の変動によっては、当行の不良債権及び与信関係費用は増加するおそれがあり、その結果、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行の貸出先は、中小企業及び個人が主体であることから、内部留保の蓄積が薄く、景気変動の影響を受けやすいため、当行は、ミドルリスク以上のリスクテイクをしている状況にあります。したがって、景気の低迷や雇用環境の悪化が続けば、当行の不良債権及び与信関係費用は増加するおそれがあり、その結果、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行は、特定業種や特定先等への与信集中を排除したリスクの分散を図っておりますが、当行の業種別の貸出割合は、建設業、不動産業、卸・小売業などの業種が他の業種に比べて高い状況にあります。また、地域には、建設業や不動産業が多く、建設工事の減少や不動産価格の下落により、内容が劣化している企業も少なくありません。企業の再生支援がうまくいかない場合、当行の与信関係費用はさらに増加する可能性があります。
当行は、厳格な自己査定に基づき、資産の健全化を進めておりますが、地域経済の順調な回復とお取引先の業況回復ならびにお取引先に対する再生支援策の実現が遅れれば、与信関係費用が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行では、主に貸出金の貸倒実績率に基づく予想損失額を見込む方法により、貸倒引当金を計上しております。しかしながら、実際の貸倒れが貸倒引当金計上時点における予想を大幅に上回る可能性もあります。この場合、当行は貸倒引当金の積み増しを実施せざるを得なくなります。
当行では、有価証券などへの投資活動を行っております。したがって、当行の業績及び財政状態は、これらの活動に伴うリスク(金利、株価及び為替の市場変動)にさらされています。たとえば、金利が上昇した場合、保有する債券の価値に悪影響を及ぼします。また、保有している株式の価格が下落した場合には減損または評価損が発生し、当行の業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行の業績や財務内容の悪化等が発生した場合、あるいは市場環境が大きく変化した場合に、資金繰りに支障をきたすほか、通常より著しく高い金利による資金調達を余儀なくされ、当行の業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行は、預金・為替・貸出などの銀行業務を行っておりますが、全ての業務に事務リスクが存在すると認識しており、業務の遂行に際し損失が発生する可能性があります。また、役職員による不正確な事務、あるいは不正や過失等による不適切な事務が行われることにより、損失が発生する可能性があります。
重大なシステム障害が発生した場合、あるいは悪意のある第三者によるコンピュータシステムへの侵入等が発生した場合には、当行の業務運営や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号)に則り、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測や仮定に基づいているため、実際の結果がこの予測や仮定とは異なる可能性があります。当行は、繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合には、繰延税金資産を減額することとなります。その結果、業績に悪影響を与え、自己資本比率の低下を招くことになります。
当行や金融業界等に対する風説・風評が、マスコミ報道・市場関係者への情報伝播・インターネット上の掲示板への書き込み等により発生・拡散した場合には、その内容の正確性にかかわらず、当行の業務運営や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行は、業務を遂行する上で様々な法令諸規則の適用を受けており、これらの法令諸規則が遵守されるよう役職員に対するコンプライアンスの徹底に努めていますが、役職員による違法行為等が発生した場合には、各種法令・規則等に基づく処分を受けることとなり、当行の業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行は、コンプライアンスの徹底に努め業務を行っておりますが、今後の事業活動の過程で必ずしも当行の責はなくとも、当行に対し訴訟等が提起された場合には、当行の評価とともに業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行は膨大な顧客情報を保有しており、顧客情報の管理には万全を期しているものの、悪意のある第三者によるコンピュータへの侵入だけでなく、役職員及び委託先の人為的ミス、事故等により顧客情報が外部に漏洩した場合、当行の業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行の年金資産の時価が下落した場合、年金資産の運用利回りが低下した場合、または予測給付債務を計算する前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。また、制度内容の変更により未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。金利環境の変動その他の要因も年金債務及び年金資産に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行は、収益力強化のため様々なビジネス戦略を実施していますが、これらの戦略が功を奏さないか、当初想定していた結果をもたらさない可能性があります。戦略が奏効しない例としては、既存の貸出について期待どおりの利鞘拡大が進まないこと、競争状況や市場環境により手数料収入の増大が期待どおりの成果とならないこと、経費削減等の効率化が期待どおり進まないこと、リスク管理での想定を超える市場の変動等により有価証券運用が期待どおりの成果を挙げられないこと、などがあります。
当行は、現時点の規制(法律、規則、政策、実務慣行等)に従って業務を遂行しております。このため、将来における規制変更が当行の業務運営や業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行は、格付機関から格付を取得しております。格付水準は、格付機関が当行から提供された情報のほか独自に収集した情報や国内の金融システムに対する評価等も反映して付与され、常時見直しが行われます。仮に当行の格付が引き下げられた場合には、資金調達コストの上昇や必要とする資金を市場から調達できず資金繰りが困難となる可能性があります。
地震や風水害等の自然災害、犯罪等により、地域の経済活動が停滞し、又、当行の事業活動に支障が生じ、当行の業績に悪影響が及ぶ可能性があります。また、貸出先が被害を受けたり、不動産価格の低下による担保価値の下落の影響を受けることにより、当行の業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
大規模な感染症の流行が発生した場合には、業務継続体制を確保するための対策を行います。当行の行員に多数の感染者が発生した場合は、支店の一時閉鎖等当行の事業活動に支障が生じるほか、経済活動等への影響によっては取引先の業績悪化による信用リスクの上昇等を通じて、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行は、お客さま本位の金融サービスの提供のために専門性の高い人材の確保や育成に努めておりますが、十分な人材の確保・育成ができない場合には、当行の競争力や生産性が低下し、当行の業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度における当行の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
預金は個人預金・法人預金ともに増加し、前年度末比64億77百万円増加の5,688億68百万円となりました。
貸出金は個人ローンが減少(前年度末比28億59百万円の減少)したものの、中小企業のお客さまに対する円滑な資金提供に努めた結果、事業性貸出が増加(前年度末比60億43百万円の増加)したことで、年度末比22億2百万円増加し、4,225億6百万円となりました。
有価証券は、前年度末比7億16百万円減少の1,080億49百万円となりました。
経常収益は貸出金利息及び株式等売却益の増加等により、前年度比5億78百万円増加の104億65百万円となりました。
経常費用は貸出金償却及び国債等債券売却損の増加等により、前年度比13億53百万円増加の97億83百万円となりました。
この結果、経常利益は前年度比7億74百万円減少の6億82百万円となりました。また、当期純利益は前年度比4億25百万円減少の8億77百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金の減少等により、56億96百万円のマイナス(前年度247億60百万円のマイナス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入等により、13億1百万円のプラス(前年度4億33百万円のプラス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による収入等により、30億81百万円のプラス(前年度4億51百万円のマイナス)となりました。
この結果、現金及び現金同等物は、前年度末比13億14百万円減少し、775億77百万円となりました。
経営者の視点による当行の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において判断したものであります。
当行は「地域への徹底支援による地元経済の活性化」という基本方針のもと、
(1)「地域への徹底支援」
(2)「経営基盤の強化」
の2つの取組方針を掲げ、中小企業等のお客さまの成長・発展に向け、円滑な資金供給に努めるとともに、経営改善支援の取組みを徹底し、地域経済の発展に貢献していくことに全力で取り組み、地元のお客さまにとって「地元大分になくてはならない銀行」となることを目指しております。
特に、経営改善を必要とされるお客さまに対しては、「Vサポート」「経営改善応援ファンド」「資金繰り安定化ファンド」を経営改善支援スキームの3本柱として施策の中心に据え、全行を挙げて取り組んでおります。
これら3つの取組の2023年度末における実績は以下のとおりであります。
<Vサポート>(2016.11からの累計)
<経営改善応援ファンド>
<資金繰り安定化ファンド>
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び(4)会社の対処すべき課題」に記載のとおり、当行は地元の中小企業・小規模事業者のお客さまに寄り添い、伴走し、お客さまの経営改善支援・再生支援に全力で取り組むことが当行の果たすべき使命と考えており、お客さまの売上増強を含めた経営課題の改善や業務プロセスの改善をご支援する「Vサポート」、経営改善計画の策定とご融資をセットとしてお客さまの経営改善をご支援する「経営改善応援ファンド」、資金繰りに追われることなくお客さまが本業に専念するためのご融資である「資金繰り安定化ファンド」を経営改善支援スキームの3本柱として位置づけ、継続的・組織的に全力で取り組んでまいります。
そして当行はその使命を果たすことで、『共通価値の創造』を実現することができ、結果として当行の業績の将来にわたっての収益性・健全性にもプラスに働くものと確信しております。
貸出金残高は個人ローンが減少(前年度末比28億59百万円の減少)したものの、中小企業のお客さまに対する円滑な資金提供に努めた結果、事業性貸出が増加(前年度末比60億43百万円の増加)したことで、前年度末比22億2百万円増加し、4,225億6百万円となりました。
預金及び譲渡性預金残高は個人預金・法人預金ともに増加し、前年度末比89億33百万円増加の5,790億33百万円となりました。
金融再生法開示債権は前年度末比20億18百万円増加の226億33百万円、金融再生法開示債権比率(不良債権比率)は同0.46ポイント上昇の5.31%となりました。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
銀行業である当行は資金の大部分を預金で調達し、調達した資金を貸出金や有価証券・預け金等で運用し、その調達費用と運用収益との運用差益が当行の重要な利益の源泉となっております。設備資金等に係る資金需要は貸出金等の運用額に比べ僅少であります。
今後とも、収益増強のため、特に貸出金の増加に注力するとともに、着実な預金の増加を目指してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1) 国内・国際業務部門別収支
(経営成績の説明)
資金運用収益は、貸出金利息及び有価証券利息配当金の増加等により、前年度比70百万円増加しました。資金調達費用は、預金利回りの低下等により、同13百万円減少しました。この結果、資金運用収支は同84百万円増加しました。役務取引等収益は金融商品等の窓口販売手数料の増加等により、同20百万円増加しました。役務取引等費用は、同1百万円増加しました。この結果、役務取引等収支は同19百万円増加しました。その他業務収支は、国債等債券売却損の増加等により同3億71百万円減少しました。
(注) 1.「国内業務部門」は当行の円建取引、「国際業務部門」は当行の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引は、国際業務部門に含めております。
2.「うち資金運用収益」及び「うち資金調達費用」の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
(経営成績の説明)
資金運用については、有価証券利回りが前年度比0.01ポイント上昇したものの、貸出金利回りが前年度と同率であったことから、資金運用利回りは前年度と同率となりました。
資金調達については、預金利回りが前年度比0.01ポイント低下したものの資金調達利回りは前年度と同率となりました。
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しております。
2.「国内業務部門」は当行の円建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は、国際業務部門に含めております。
3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前事業年度49,230百万円、当事業年度24,568百万円)を控除して表示しております。
4.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(うち書き)であります。
(注) 1.平均残高は、日々の残高の平均に基づいて算出しております。
2.「国際業務部門」とは、当行の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引は、国際業務部門に含めております。
3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前事業年度0百万円、当事業年度-百万円)を控除して表示しております。
4.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(うち書き)であります。
(注) 1.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前事業年度49,230百万円、当事業年度24,568百万円)を控除して表示しております。
2.国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息は、相殺して記載しております。
(経営成績の説明)
役務取引等収益は、前年度比20百万円増加しました。役務取引等費用は、同1百万円増加しました。この結果、役務取引等収支は同19百万円増加しました。
(注)「国内業務部門」は当行の円建取引、「国際業務部門」は当行の外貨建取引であります。
(注) 1.「国内業務部門」は当行の円建取引、「国際業務部門」は当行の外貨建取引であります。
2.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3.定期性預金=定期預金+定期積金
(注)「国内」とは、当行であります。
該当ありません。
(注) 1.「国内業務部門」は当行の円建取引、「国際業務部門」は当行の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引は、国際業務部門に含めております。
2.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、単体ベースについて算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
単体自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
該当事項はありません。
該当事項はありません。