当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
◎ DENSAN VALUES(電算の価値観)
<Corporate Mission(会社の使命)>
1.5歩進んだ情報技術を、豊かな発想と情熱で活用することにより「お客さまにワンランク上の仕事を」「人々の生活に便利さを」提供する
<Business Values(仕事の価値観)>
① お客さまにとって「頼りになる企業」になろう
電算の事業である情報サービス分野は、お客さまの仕事の中枢を担うものです。電算は、お客さまにとって真に役立つサービスを長期的に提供する事ができる「頼りになる企業」になります。
② 高い志を持ち、自ら創り出す事ができる社員になろう
お客さまに高いサービスを提供するためには、一人ひとりが担当分野のプロフェッショナルになる必要があります。私たちは高い志・夢を持ち、その実現に向けてチャレンジします。
そして、チーム・個人自らが、主体的にビジョン、高い目標を持ち、具体的に実行し、結果に対し責任を持ちます。
③ 誠実でフェアであり続け、誇り高い行動をとろう
電算は、誠実でフェアな企業であり続け、社員は誇りを持ち正直な行動をとります。
④ 仕事に感動を吹き込もう
私たちが目指すのは、お客さまからの高い評価や、目標を達成した時に得られる感動ある仕事です。そのために「仕事への想い」「仕事を通じての成長」「明るいコミュニケーション」を大切にします。
⑤ 利益ある事業成長を目指そう
利益は、お客さまが私たちの仕事を評価してくれた結果であり、社員の生活の向上、企業成長のための投資、株主へのリターン、社会貢献のための原資です。
そのため電算は、利益ある事業成長を目指します。
<Corporate Vision(目指す企業像)>
「輝く会社」「輝いている社員」「輝ける仕事」
(2) 経営戦略等
情報サービス産業は、1950年代のコンピューターの民間利用拡大を皮切りに、ソフトウェア開発の拡大、アウトソーシング化、インターネットの普及、クラウドコンピューティングやビッグデータの浸透と、急速な発展を遂げております。あわせて、携帯電話やインターネットの普及により、デジタル技術は私たちの日常生活をより便利なものにし、また、地方公共団体や企業などにおいても効率的な業務やサービス実現に向け、システムインテグレーションが必要不可欠なものになっております。
今後につきましては、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」や「デジタル田園都市国家構想の実現に向けた取組みの推進」等の政府による各種施策の推進、それに伴う国・県・市区町村等の動きの加速化とニーズの拡大、生産年齢人口の減少や業務負担軽減のためのDX※推進等、ビジネス環境の変化が見込まれております。
当社グループは、1990年に通産省よりシステムインテグレーターの認定を受け、2003年には自社のデータセンターを建設し、時代の流れとともに変化する、ホスティング、C/S※、Webアプリケーション※、クラウドコンピューティング等のソフトウェア形態に合わせて、システムの世代交代を重ねてきました。システム提供だけでなく、顧客の業務を把握し、要求に合わせ、課題解決のためのコンサルティングから設計、開発、運用・保守までを一貫して請け負うワンストップトータルソリューションを提供しております。
これまで当社グループでは、甲信越地域を中心とした導入実績に基づくブランド力、全国の提携パートナーと連携した営業力、50年以上の実績による提案力、お客様の要望に対し柔軟にカスタマイズできる対応力、自社データセンターを保有し、豊富な運用実績に裏付けされた高いセキュリティ技術力、長野県に本社を置く情報通信サービス企業として唯一の上場企業、といった強みを生かし、成果を積み上げてまいりました。
今後も地方が生き残り、持続可能な成長を続けるためにはデジタルの力は不可欠であり、当社グループはそのソリューションを提供し続ける企業として存在する必要があると考えております。お客様の期待に応え、既存事業を強化するとともに、環境変化に対応した新製品開発や新技術への対応に積極的にチャレンジし、飛躍的な成長を目指してまいります。
そのために、公共分野におきましては、国が定める標準仕様に準拠したシステムの開発及び2025年度末までの確実な移行を進めてまいります。また、デジタル田園都市国家構想の実現に向けた「書かない窓口」「住民向け情報アプリ」「デジタルスタンプラリー」等の自治体DX推進ソリューションの展開を、引き続き積極的に進めてまいります。産業分野におきましては、主力製品であるリース業務パッケージの新規案件及びリプレイス案件の獲得、生産管理システム・販売管理システム・病院総合情報システムの新規受注、Observe AI・SmartKMS・SmartRobot・AI-OCR等のAI製品のさらなる拡販を積極的に進めてまいります。さらに、両分野ともに、協業各社との積極的な技術交流・情報交換による、新たな顧客への販売機会の獲得と双方の強みを融合した新規事業の開発を進めてまいります。また、新たな技術への対応力と開発力の確保のため、個人の自律的な成長や学び直しを後押しし、支援する教育体制を確立し、中長期的な企業成長に向けた人材の育成に取り組んでまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループはこれまで、情報サービス企業として、地域や企業のデジタル化推進のために寄与してまいりました。これからの高度情報化社会のなかで、当社グループの果たすべき使命はますます大きくなると考えております。
今後も急激に進化するデジタル技術への対応、情報化のセキュリティ対策等、顧客ニーズは大きく変化、拡大していくことが予想されます。
当社グループは、このような状況に対応できるよう、全力をあげて下記課題に対応し、経営体質の強化及び業績の拡大を図ってまいります。
① 自治体情報システムの標準化・共通化への対応
デジタル庁が進める取組みのひとつである「地方公共団体の基幹業務等システムの統一・標準化」に基づき、地方公共団体は2025年度末までに新システムに移行することが求められています。当社は、標準仕様に準拠した総合行政情報システム「Reams」の開発を進めるとともに、2025年度末までの移行に向けた計画を策定し、確実に実行してまいります。
また、自治体のニーズを的確に捉えて業務の効率化や行政サービスの向上につながる新たなサービス提供を実現し、収益を確保してまいります。
② 成長企業の基盤構築
当社グループは今後の成長戦略として、新製品の開発への積極的な投資、首都圏を含む全国エリアへの営業強化、データセンター事業の拡大等を図り、さらに短期及び長期の業績向上に資する新たな製品・サービスを提供します。
産業分野の拡大と収益性の向上に向けて、リース業務パッケージ、販売管理システム等の主力パッケージシステムの業務知識を活かした提案活動による拡販並びに子会社と協業し医療関連システム事業を更に拡大することで、産業分野における安定的・継続的な成長を目指します。
当社グループの長野県・新潟県内(民間企業については本社所在地基準)での売上高は11,418百万円(2024年3月期)と、売上高全体の71.7%を占めており、長野県・新潟県以外への展開が課題です。全国展開を推進するために、当社製品群の競争力を向上させることは無論のこと、提携パートナーとの協働の強化を図ります。
また、公共、産業分野ともに、協業各社との積極的な技術交流・情報交換により、新たな顧客への販売機会の獲得と双方の強みを融合した新技術の開発を通じて、他社に先んじた新たなビジネスモデルの構築を図ります。
上記により継続的かつ飛躍的に業績を拡大することができる体質を持った成長企業としての基盤を構築します。
③ 既存事業の競争力強化
日々変化する顧客ニーズを的確に把握すること及び原価低減により、製品の収益性を向上させることが、製品・品質の優位性を保ち、当社グループ製品群の競争力を向上する上で大きな課題です。
当社グループは、顧客ニーズを的確かつ継続的に把握するため、当社グループ製品を日々利用されている顧客との情報交換会を行っております。当情報交換会は、顧客と当社グループサービス開発担当者が定期的に打ち合わせをするもので、ユーザビリティの改善、顧客満足度の向上に役立っています。
当社グループの主力事業分野の1つである地方公共団体向けのソリューションサービスは、国家主導でのデジタル化の強力な推進、業務プロセス及びシステムの標準化の流れが顕著な分野であります。この流れの中で、当社は国が定める標準仕様に準拠したシステムを提供することに加え、デジタルサービスを取り入れた新たな業務フローの設計とアウトソーシングを検討してまいります。また、デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、行政サービスのデジタル化に寄与する製品やサービス、観光分野向けの新サービス等を企画、提案し、実現していくことで、新たな事業機会を創出してまいります。
④ システム開発の品質・生産性向上
当社グループでは会社の製品に対する品質・生産性の向上の推進並びに品質管理を担当する部署を中心に、総合行政情報システムを含む当社製品の品質対策と生産性の向上を図っております。社会や顧客からの信頼と期待に応える品質の追求と実現に向け、進捗状況の監視等の管理に加えて、品質改善に直接つながる開発プロセスの運用指導を実施することで、プロジェクト全体の品質・生産性の向上を目指し、安定したシステムとサービスを提供してまいります。
なお、システム開発において、予定開発工数を超過することが見込まれる場合には、原因究明を行い、稟議書や取締役会による承認を取ることとしております。また、今後各種の対策を実施することにより、更なる生産性の向上を図り、開発工数の削減に努めてまいります。
⑤ DX人材の確保及び積極的な人材育成
当社グループにとって、人材は価値創出の原動力であり、最大の資本です。積極的な事業展開及び企業成長のために、一定水準以上のスキルを有する優秀な技術者の確保が不可欠であり、人材の確保は最重要の課題です。このような状況のもと、当社グループでは継続的に優秀な人材を採用していくために、採用基準のレベルアップを前提として、新卒・中途採用の区別なく通年で必要な人材を求める採用方針を適用しています。さらに、今後増加が見込まれるシニア層が、継続して活躍し続けるための施策を実施し、スキルを持つシニア層の、長期にわたる更なる能力発揮と貢献を促します。
また、優秀な人材の確保と併せ、社員の人材育成さらには社員一人当たりの生産性向上を目指します。高度情報セキュリティ技術者、システム開発技術者の技術力向上と、営業・管理部門の専門知識の向上を図り、サービス力・顧客対応力・提案力等の総合力が顧客及び業界から評価される企業を目指します。
さらに、個人の自律的な成長や学び直しを後押し、支援できる教育体制を確立し、中長期的な企業成長に向けた人材の育成に取り組んでまいります。社員と会社が目標を共有し、共に成長できる関係の構築に向けた施策を実行してまいります。
⑥ 新技術の調査研究とサービス提供
情報サービス関連分野は、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、変化が激しい業界となっております。当社グループでは、引き続き拡大が見込まれるクラウドサービスを核に、AI(Artificial Intelligence:人工知能)※、IoT(Internet of Things)※、RPA※、ビッグデータ等の各領域を連動させ、成長領域に対する新たな製品・サービスを企画、新規事業としての展開を図るとともに、デジタル化・オンライン化等、DXの新たな事業モデルを検討・企画し、事業の具現化に向けての活動を推進することで、顧客や社会からのDXニーズへの的確な対応を行ってまいります。
また、協業各社との積極的な技術交流・情報交換により、新たな顧客への販売機会の獲得と双方の強みを融合した新規事業の開発及びサービスの提供を図ります。
⑦ データセンターでの提供サービスの充実
当社データセンターで提供しているデータセンターサービスの売上のうち48.6%(2024年3月期)がハウジングサービスとなっています。より顧客の利便性を高め、コスト削減、安全性の確保等のニーズに応えるため、データセンターを活用したクラウドサービス、仮想サーバーサービス等の充実が課題です。データセンターのクラウドサービス拡販と顧客の既存システムのクラウド化提案によるデータセンター事業の拡大にも引き続き注力し、ストックビジネスの強化につなげてまいります。さらに、データセンター事業については、自治体情報システムの標準化・共通化に伴うガバメントクラウドと当社データセンターの併用や、環境に配慮したデータセンターサービスの提供など、顧客が求める新たなサービスの創出と提供にも努めてまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、利益の源泉となる売上高の拡大に注力する一方、適切な研究開発投資や積極的な人材育成への投資を進めながらコスト削減を図り、利益体質の向上を図ってまいります。また、収益力の向上を図るため、売上高営業利益率を経営指標とするとともに、キャッシュ・フローを重視しております。なお、売上高営業利益率につきましては、10%を目指しております。
[用語解説]
ここに示す用語解説は、文中で※印で示す用語の本書内での意味を説明するものであり、必ずしも一般的な用法用例を包含するとは限りません。(アルファベット、50音順)
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用語 |
解説・定義 |
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AI(Artificial Intelligence:人工知能) |
人間が使う自然言語を理解し、論理的な推論を行ったり、経験から学習したりするソフトウェアやシステム等のこと。 |
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C/S |
通信ネットワークを利用したコンピュータシステムの形態の一つで、機能や情報を提供する「サーバ」と、利用者が操作する「クライアント」をネットワークで結び、クライアントからの要求にサーバが応答する形で処理を進める方式。 |
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DX(デジタルトランスフォーメーション) |
データや最新のデジタル技術を活用し、人々の生活及び企業活動をあらゆる面でより良い方向に変革すること。 |
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IoT(Internet of Things) |
従来、インターネットに接続されていたパソコンやサーバー、プリンター等の情報通信関連機器に加えて、それ以外のさまざまな機器や装置をつなげる技術。膨大な量の情報を共有するクラウド技術やビッグデータ技術、人工知能等の登場により、あらゆる“モノ(Things)”に高度な通信機能が組み込まれ、インターネットで相互に情報伝達できるようになる。 |
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RPA(Robotic Process Automation) |
人間がコンピュータを操作して行う作業を、ソフトウェアによる自動的な操作によって代替すること。主にデスクワークにおけるパソコンを使った業務の自動化・省力化を行うもので、業務の効率化や低コスト化を進めることができる。 |
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Webアプリケーション |
Webの技術を利用して構築されたアプリケーションソフトのこと。利用者は操作するWebブラウザや専用のクライアントソフトなどを用いてWebサーバにアクセスし、必要なデータの処理や転送を指示する。 |
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題と認識し、事業活動とともに環境対応・社会貢献等の活動を通じて、地域社会にとって必要とされる企業として発展し、グループの成長と持続可能な社会の実現、中長期的な価値の創出を目指しております。
① 気候変動に関するガバナンス
2001年に取得したISO14001(環境マネジメントシステム)の要求事項に則り、組織の各部署や担当がマネジメントシステムを運用できるよう、具体的な計画や手順を整えております。また、マネジメントシステムを管轄する部署より年間レポートを経営層に提出し、社としてPDCAサイクルが正常に機能しているかを確認しております。
② 社内環境整備に関するガバナンス
人的資本に対する投資は、企業の競争優位の源泉や持続的な企業価値向上の推進につながるものと認識しております。人的資本を強化するため、能力やスキルを重要な経営資源と捉え、中長期的な企業価値の向上に向けて、経営方針・経営戦略等を踏まえた人材育成と社内環境整備に取組んでおります。
また、代表取締役社長の健康宣言のもと、健康経営に積極的に取組んでおります。安全衛生委員会では、健康経営に関する活動を社員に周知するとともに、社員からの意見を定期的に収集し、健康確保に向けた快適な労働環境の整備やリスク対策等につなげています。
健康経営に関する詳細は、当社ホームページに掲載しております。
(https://www.ndensan.co.jp/ir/management/health-management.html)
(2)戦略
① 気候変動に関する戦略
当社は、事業活動全般に渡る環境保全活動はもとより、顧客に届けられる製品やサービスが及ぼす環境負荷を低減することが重要と考え、2001年に環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001の認証を取得しました。また、企業活動のあらゆる面で地球環境の継続的な改善及び汚染の予防に配慮するという理念のもと、環境方針を制定し、環境保全活動を推進しております。
AIやRPA等の技術を利用した人的作業の省力化につながるサービスの提供や、社内におけるDX推進に注力し、エネルギー使用量を軽減する取組みを継続しております。
また、2050年度までのカーボンニュートラルの実現に向けて2024年4月1日から、本社ビルで使用する電気のすべてをCO2フリー電気に切り替えました。これにより、年間で排出するCO2を約700トン削減できると見込んでおります。
環境方針に関する詳細は、当社ホームページに掲載しております。
(https://www.ndensan.co.jp/policy/environment.html)
② 人的資本に関する戦略
a.多様な人材確保と人材育成
当社は、新卒者・社会人経験者の区別なく通年採用を実施し、積極的に優秀な人材の採用に努めております。また、性別・国籍・職歴・年齢等に区別なく実力や成果に応じた評価を行い、昇格・管理職への登用等を実施しております。
人材の育成については、中長期的な企業価値の向上のため、経営方針・経営戦略等を踏まえ、各部署において教育計画を策定しております。
b.社内環境整備
企業としての健全な成長には、社員とその家族が心身ともに健康を維持し、いきいきと働くことのできる環境づくりが必要と考えます。この環境づくりに向けた取組みを組織的に推進し、安全かつ健康的で働きやすい職場を形成することで健康経営を実現していきます。
多様なワークスタイルを実現し、ライフサイクルに合わせた仕事と家庭の両立やワーク・ライフ・バランスの実現と向上を目的として「テレワーク基本方針」を策定しているほか、「育児休業制度・育児短時間勤務制度」等、仕事と育児の両立を支援する制度を整えております。今後も、すべての従業員が安心して働き、活躍できる職場環境づくりを進めてまいります。
(3)リスク管理
当社グループは、事業を取り巻くさまざまなリスクに対して的確な管理・実践が可能となるよう、管理部門担当取締役をリスク管理担当役員とし、経営企画部をリスク管理担当部署として、リスク管理規程を定めております。グループ全体の事業リスクの洗い出しから評価、分析には、サステナビリティに関するリスクも含めております。洗い出したリスクより、特に優先的に取組むべきリスクを特定し、経営計画等に対応方針を盛り込み、リスク低減活動につなげております。
(4)指標及び目標
① 気候変動に関する指標及び目標
当社は、2050年度までに事業活動で排出するCO2の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現に向け、通過点の2030年度には、2013(平成25)年度のCO2排出量の46%に当たる1,714トンのCO2削減を目指しております。
② 人的資本に関する指標及び目標
a.多様な人材確保と人材育成についての指標及び目標
当社は、人材確保と人材育成に関する指標及び目標は定めておりませんが、人的資本に関する戦略に基づき、性別や国籍等を問わず、求める人材を通年で採用し、積極的に優秀な人材の採用に努めております。さらに、性別・国籍・職歴・年齢等に区別なく実力や成果に応じた評価を行い、昇格・管理職への登用等を実施しております。
また、従業員・役員・管理職の女性比率を毎年測定し、当社コーポレートガバナンス・ガイドライン制定時の管理職の女性比率3.6%(2015年3月31日時点)を下回らないことを基準として、適時・適切な多様性の確保に努めております。
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指標 |
目標 |
実績 |
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(注)連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表義務の対象ではないため、提出会社のみの指標を記載しております。
b.社内環境整備に関する方針についての指標及び目標
全社員に対して労働安全衛生法で定められた健康診断とストレスチェック実施に加え、人間ドックの補助制度の活用を通じて、健康リスクを未然に防ぐ対策を継続しています。また健康診断の結果、二次健診が必要な社員に直接働きかけることで、一次健診率は100%、二次健診率も80%以上の水準を維持しております。2030年度の健康診断二次健診の受診率100%を最終目標とし、二次健診が必要となった社員一人一人への受診勧奨を継続してまいります。
また、経済産業省のヘルスケア産業政策「健康経営優良法人制度」において、「健康経営優良法人 (大規模法人部門)」に2021年度より三年連続で認定されました。当社の健康経営についての方針や制度が有効であり、必要な施策が行われていると客観的な評価を受けたと判断し、認定を継続できるよう今後も健康経営に向けた取組み、制度を充実してまいります。
当社グループは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、リスクの発生頻度や経営への影響を低減していくための活動を行っております。全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進する役員を置くとともに、リスク管理部門が各部門へヒアリングを行い、事業現場におけるリスクの洗い出しを実施しております。リスク評価の結果から、優先的に取組むべきリスクを特定し、次年度の年度経営計画にリスク対応方針を盛り込み、リスク低減活動へとつなげております。
以下においては、当社グループの事業展開その他リスクに関する要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社グループの事業活動を理解するうえで重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループは、これらリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に対する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、以下の記載は本株式の投資判断に関連するリスクをすべて網羅するものではありません。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 公共分野への依存度が高いことについて
当社グループは、長野・新潟地域を中心に「情報処理・通信サービス」、「ソフトウェア開発・システム提供サービス」、「システム機器販売等」及び「その他関連サービス」を展開し、特に地方公共団体向け等の公共分野のシステムは同地域で高いマーケットシェアを持ち、当社グループの売上に占める公共分野の売上の割合は、2024年3月期において70.9%とウエイトが高い収益構造となっております。
このため、公共基幹業務及び周辺システムの見直しによる軽量化、柔軟化を行い、同分野でのコスト削減を通じて得た経営資源を産業分野へシフトし、新規顧客への資源投入を行ってまいります。しかしながら、地方公共団体間での情報システムの共同利用や国家主導での業務プロセス・システムの標準化の流れの動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 信越放送株式会社との関係について
信越放送株式会社は、当社株式の議決権総数の37.7%(間接保有分を含む)を保有しており、当社のその他の関係会社となっております。
当社グループは経営に関する総合的な意見を得るため、信越放送株式会社の代表取締役社長の渡辺雅義氏を社外取締役として招聘しております。
また、当社グループは信越放送株式会社に対して、システム提供サービス及びシステム機器販売等を行なっており、2024年3月期における当該取引の状況は下記のとおりです。
1 主要株主(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
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種類 |
会社等の 名称又は 氏名 |
所在地 |
資本金又は 出資金 (千円) |
事業の内容 又は職業 |
議決権等の 所有(被所有) 割合(%) |
関連当事者 との関係 |
取引の 内容 |
取引金額 (千円) |
科目 |
期末残高 (千円) |
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主要 株主 |
信越放送 (株) |
長野県 長野市 |
450,000 |
放送事業 |
被所有 37.7 (2.3) |
当社システム等 の販売先 賃借取引 役員の兼任 |
システム 運用支援他 |
185,532 |
売掛金 |
2,774 |
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賃借取引等 |
15,231 |
未払金 |
193 |
(注)1.当社製品の販売については、市場価格を参考に決定しております。
2.「議決権の被所有割合」の( )内は、間接被所有割合で内数であります。
上記のとおり、当社グループと信越放送株式会社との間に役員派遣関係及び取引関係がありますが、当社グループの事業戦略、人事政策及び資本政策等について、何らかの制約等は受けておりません。
信越放送株式会社は、今後も当面の間、大株主であり続けるものと思われ、当社グループの方針決定に何らかの影響を与える可能性があります。
(3) TOPPANエッジ株式会社との関係について
TOPPANエッジ株式会社は、当社株式の議決権総数の15.2%を保有しております。
また、当社グループは経営に関する総合的な意見を得るため、TOPPANエッジ株式会社の顧問の増田久氏を取締役として招聘しており、2024年6月27日付で、TOPPANエッジ株式会社は当社のその他の関係会社となっております。
当社グループはTOPPANエッジ株式会社に対して、原材料の仕入れ及び業務外注等を行なっており、2024年3月期における当該取引の状況は下記のとおりです。
1 主要株主(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
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種類 |
会社等の 名称又は 氏名 |
所在地 |
資本金又は 出資金 (千円) |
事業の内容 又は職業 |
議決権等の 所有(被所有) 割合(%) |
関連当事者 との関係 |
取引の 内容 |
取引金額 (千円) |
科目 |
期末残高 (千円) |
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主要 株主 |
TOPPANエッジ(株) |
東京都 港区 |
500,000 |
情報コミュニケーション 事業 |
被所有 15.2 |
原材料等の 仕入先 業務外注先 |
原材料等の仕入 |
355,517 |
買掛金 |
110,142 |
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業務外注等 |
91,604 |
未払金 |
737 |
上記のとおり、当社グループとTOPPANエッジ株式会社との間に取引関係等がありますが、当社グループの事業戦略、人事政策及び資本政策等について、何らかの制約等は受けておりません。
TOPPANエッジ株式会社は、今後も当面の間、大株主であり続けるものと思われ、当社グループの方針決定に何らかの影響を与える可能性があります。
(4) システム開発での不採算案件について
当社グループでは全社の製品に対する品質・生産性の向上の推進並びに品質管理を担当する部署を設け、生産性及び品質の向上に取組んでおります。しかしながら、開発工数の増加や開発業務の遅延等により大幅に当初の見込みを超えて開発費用が増加した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) システムの不具合等について
受託ソフトウェア開発及びプロダクトソフト開発等、当社グループが提供しているサービスにおいては、顧客の検収後にシステムの不具合(バグ)等が発見される場合があります。当社グループは、品質管理の徹底を図り、不具合等の発生防止に努めております。しかしながら、今後、当社グループの過失によって生じたシステムの不具合等により顧客に損害を与えた場合には、損害賠償や信頼喪失等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) システム障害について
システム運用・管理サービス等においては、免震構造を備えた当社データセンターにシステム機器を設置する等、当社グループシステムについて一定の安全性を確保しております。しかしながら、地震、火災及びその他の自然災害、システム・ハード及び通信の不具合、コンピュータウィルス等による予測不可能な事態によりシステム障害が発生した場合には、サービスの提供に重大な支障が生じることになり、損害賠償や信頼喪失等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 情報漏洩について
当社グループは、情報処理あるいはシステム開発のためにお客様から個人情報及び顧客情報を含んだ情報資産を預かっております。当社グループは、ISMSやプライバシーマークの認定を取得するとともに、情報漏洩防止に努めております。しかしながら、個人情報等の情報が漏洩した場合、損害賠償請求による費用の発生や情報サービス企業として信用を失墜することが考えられ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 人材の確保及び人材育成について
積極的な事業展開及び企業成長のために、一定水準以上のスキルを有する優秀な技術者の確保が不可欠であり、人材の確保は最重要の課題です。優秀な人材の通年採用と併せ、将来の事業環境を見据えた計画的な社員の人材育成さらには社員一人当たりの生産性向上を目指します。しかしながら、情報サービス業界での人材獲得競争は激しく、業務上必要とされる知識及び経験を備えた人材を確保できないリスクがあります。優秀な人材を十分かつ適時に確保できなかった場合及び社内の人材が流出してしまった場合には、今後の事業展開に制約を受けることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 労務管理について
社員の勤怠管理や時間外勤務管理につきましては、労働基準法の規制が適用されます。当社グループでは、個人別の就業時間管理及び部署別の時間外勤務申請管理等により労働時間を管理しております。また、毎月、部長職が部署別に時間外勤務時間に関する報告や時間外削減状況に関する報告を行い、長時間労働の削減を図っております。
しかしながら、システム開発における当初見積り以上の工数の発生や予期せぬトラブルの発生等により法定内での長時間労働が連続することがあります。これにより、社員に健康被害等が発生した場合は、開発人員の欠員につながり、更なる時間外勤務時間の増加や納期遅延等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 価格競争激化による利益率の低下について
当社グループの属する情報サービス産業においては、顧客の情報化投資に対する費用対効果要求の高まりや海外情報サービス産業企業の参入等により価格競争が激化しております。このような状況に対し、当社グループでは業種業態を絞り込み、顧客業務のノウハウを蓄積することで付加価値の高いサービスを提供し、生産性向上施策の推進に取組んでおります。しかしながら、予想を超える発注単価の低減の動きにより利益率が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 全国展開について
当社グループは、今後の成長戦略として、山梨県、首都圏、中京圏等を重点地域として営業体制の強化を図り、長野県・新潟県中心の企業から全国で事業を展開する企業を志向しております。全国展開を推進するために、当社グループの営業力の強化及び全国の提携ビジネスパートナーの積極的な活用・拡大を図ってまいりますが、事業計画で予定している全国展開による受注の確保が計画通り進捗しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 知的財産権について
当社グループは、現時点において、当社グループの事業活動に影響を及ぼすような特許権、商標権その他知的財産権が第三者によって取得されているという事実は確認しておりません。また、第三者から知的財産権に関する警告を受けたり、侵害訴訟等を提起されたことはありません。しかしながら、将来の当社グループの事業活動に関連して、第三者が知的財産権の侵害を主張し、当社グループの事業が差し止められたり、損害賠償等、金銭的な負担を余儀なくされた場合、又は第三者の知的財産権につき実施許諾が必要となりロイヤリティの支払が発生したり、あるいは実施許諾が得られない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 外注管理について
当社グループは、受託ソフトウェア開発及びプロダクトソフト開発等において、ノウハウの蓄積を目的として自社による開発を基本としておりますが、開発業務を効率的に遂行するために、開発工程における一部のプログラミング業務等については、外注先企業を活用しております。当社グループが安定的に事業を拡大していくため、今後も、有能な外注先企業の確保及び品質保持のための管理体制の強化を図ってまいりますが、有能な外注先企業が確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 情報技術革新への対応について
情報サービス関連分野は、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、変化が激しい業界となっております。当社グループでは、顧客ニーズに適時に応えることができる技術力の保持と迅速なサービス提供を目指し、DX、AI(生成AI※を含む)、IoT、ビッグデータ、RPA等のデジタル新領域及び新技術の調査・研究・評価を進めておりますが、今後、情報技術革新への対応が遅れた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 後継者の育成
経営陣幹部の後継者の育成は最も重要な責務の一つであると認識し、経営陣幹部となる戦略的ビジョン、リーダーシップ及び業務執行力等を有する人材を特定するとともに、十分な時間と資源をかけて計画的にその育成に努めております。しかしながら、後継者候補人材の流出や育成が適切に進まなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 大規模な感染症拡大の影響について
当社グループでは大規模な感染症罹患者の発生に備え、感染拡大防止のための行動指針及び対応方針を定めております。しかしながら、感染拡大の状況によっては、社員の就業状況や顧客先の経営状況の変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
[用語解説]
ここに示す用語解説は、文中で※印で示す用語の本書内での意味を説明するものであり、必ずしも一般的な用法用例を包含するとは限りません。
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用語 |
解説・定義 |
|
生成AI |
学習したデータをもとに、文章、画像等の新しいコンテンツを自動的に生成する人工知能のこと。 |
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による活動制限の緩和や同感染症の5類への引下げのほか、企業収益の改善や設備投資の持ち直し等により、緩やかに回復しております。先行きにつきましては、雇用・所得環境が改善するなか、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待される一方、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
情報サービス産業におきましては、ソフトウェア投資は増加しており、政府主導のデジタル基盤整備の推進や、生成AIの急速な発展と市場拡大が見込まれる等、堅調な企業収益等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待されます。
このような状況の中、当社グループは以下の重点施策と事業の推進を行いました。
a. 国が定める標準仕様に準拠したシステムの計画的な開発、デジタル田園都市国家構想の実現に向けた行政サービスのデジタル化に寄与する製品・サービスや、観光分野の新サービスの提案及び受注活動。
b. リース業向けのリース業務パッケージ、医療福祉機関向けの病院情報関連システム、製造業向けの販売管理システム、AI関連システム等の提案及び受注活動。
c. 新規事業、新サービスの開発や新技術への対応等、さらなる事業の拡大と中長期的な企業価値向上につながる、積極的な事業提携※の推進。
d. デジタル人材の確保と育成に向けた、全社的な教育計画の策定と実行。
当連結会計年度の業績については、次のとおりです。
|
|
2024年3月期 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
売上高 |
15,974 |
△10.3 |
|
営業利益 |
1,290 |
△48.4 |
|
経常利益 |
1,233 |
△50.8 |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
898 |
△44.2 |
セグメントごとの業績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
売上高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
セグメント利益 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
公共分野 |
11,324 |
87.1 |
892 |
44.5 |
|
産業分野 |
4,649 |
96.7 |
387 |
76.4 |
|
調整額 |
- |
- |
10 |
- |
|
合計 |
15,974 |
89.7 |
1,290 |
51.6 |
(注) セグメント利益の算定にあたり、営業費用の配賦方法を当社の経営管理手法により即したものとし、セグメント利益の実態をより明瞭に表示するために、当社の管理部門等のうち、報告セグメントに帰属しない費用については「調整額」に含めております。
また、業務の種類別による売上高の状況は、次のとおりです。
|
業務の種類別 |
売上高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
構成比 (%) |
|
情報処理・通信サービス |
3,386 |
99.2 |
21.2 |
|
ソフトウェア開発・ システム提供サービス |
6,323 |
88.8 |
39.6 |
|
システム機器販売等 |
2,981 |
77.0 |
18.7 |
|
その他関連サービス |
3,284 |
96.6 |
20.5 |
|
合計 |
15,974 |
89.7 |
100.0 |
(注) 「その他関連サービス」には、顧客との契約から生じる収益以外の収益も含まれております。
② 財政状況
当連結会計年度末における財政状態については、次のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末と比較して631百万円減少し、19,547百万円となりました。これは主に、無形固定資産が408百万円、現金及び預金が267百万円、流動資産のその他が189百万円増加したものの、売掛金が847百万円、建物及び構築物が288百万円、リース投資資産が273百万円、商品が98百万円減少したことによるものです。
(負債)
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して2,541百万円減少し、8,716百万円となりました。これは主に、未払法人税等が628百万円、長期借入金が564百万円、短期借入金が480百万円、流動負債のその他が310百万円、固定負債のリース債務が223百万円、買掛金が215百万円減少したことによるものです。
(純資産)
純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して1,909百万円増加し、10,830百万円となりました。これは主に、自己株式が1,740百万円減少したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資活動によるキャッシュ・フローにおいて1,414百万円、財務活動によるキャッシュ・フローにおいて194百万円資金使用したものの、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて1,615百万円資金獲得したことにより、前連結会計年度末に比べ7百万円増加し、当連結会計年度末には1,053百万円(前年同期比0.7%増)となりました。
また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は1,615百万円(前年同期比10.4%増)となりました。これは主に、法人税等の支払926百万円、仕入債務の減少215百万円、立替金の増加83百万円により資金使用したものの、税金等調整前当期純利益1,231百万円、減価償却費788百万円、売上債権の減少778百万円により資金獲得したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は1,414百万円(前年同期比226.9%増)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出720百万円、定期預金の預入による支出560百万円により資金使用したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は194百万円(前年同期比83.8%減)となりました。これは主に、自己株式の処分による収入1,127百万円がありましたが、長期借入金の返済による支出586百万円、短期借入金の純減額480百万円、配当金の支払225百万円により資金使用したことによるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
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2023年3月期 |
2024年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
44.1 |
55.3 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
44.6 |
44.4 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
4.3 |
3.0 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
74.0 |
106.3 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表上に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象と
しております。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループの生産は、サービスメニューごとの規模等により作業手順、作業時間、工程管理等が異なります。さらに、受注形態も個別かつ、多岐にわたっている上に完成後直ちに顧客へ引き渡しており、生産実績は販売実績とほぼ一致しているため記載をしておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
公共分野 |
10,766,548 |
85.8 |
10,764,208 |
95.1 |
|
産業分野 |
4,683,200 |
97.2 |
3,412,482 |
101.0 |
|
合計 |
15,449,749 |
89.0 |
14,176,690 |
96.4 |
なお、当連結会計年度の受注実績を業務の種類別に示すと、次のとおりであります。
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業務の種類別 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
情報処理・通信サービス |
3,214,321 |
93.0 |
3,838,434 |
95.7 |
|
ソフトウェア開発・ システム提供サービス |
6,444,040 |
86.4 |
5,732,222 |
102.2 |
|
システム機器販売等 |
2,911,753 |
85.0 |
729,229 |
91.3 |
|
その他関連サービス |
2,879,633 |
95.1 |
3,876,804 |
90.6 |
|
合計 |
15,449,749 |
89.0 |
14,176,690 |
96.4 |
(注)「その他関連サービス」には、顧客との契約から生じる収益以外の収益も含まれております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
公共分野 |
11,324,811 |
87.1 |
|
産業分野 |
4,649,836 |
96.7 |
|
合計 |
15,974,648 |
89.7 |
なお、当連結会計年度の販売実績を業務の種類別に示すと、次のとおりであります。
|
業務の種類別 |
販売高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
情報処理・通信サービス |
3,386,080 |
99.2 |
|
ソフトウェア開発・ システム提供サービス |
6,323,283 |
88.8 |
|
システム機器販売等 |
2,981,195 |
77.0 |
|
その他関連サービス |
3,284,089 |
96.6 |
|
合計 |
15,974,648 |
89.7 |
(注)1.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
2.「その他関連サービス」には、顧客との契約から生じる収益以外の収益も含まれております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
■当連結会計年度の経営成績
当連結会計年度は、公共分野では、森林環境税の創設や個人住民税の特別徴収税額通知の電子化等の法制度改正への対応、自治体情報セキュリティ対策における機器等のリプレイス、基幹系システム等のリプレイス、デジタル田園都市国家構想交付金事業への対応、標準準拠システムへの移行に向けた支援業務対応等で売上、利益を確保しました。
また、産業分野では、リース業務パッケージ、販売管理システム、医療機関向けの総合情報システムや電子カルテシステム、生産管理システムの導入・リプレイス、民間企業向けの機器販売等で売上、利益を確保しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は15,974百万円(前年同期比10.3%減)、営業利益は1,290百万円(前年同期比48.4%減)、経常利益は1,233百万円(前年同期比50.8%減)及び親会社株主に帰属する当期純利益は898百万円(前年同期比44.2%減)となりました。
a. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益力の向上を図るため、売上高営業利益率につきましては10%以上を目指すとともに、キャッシュ・フローを重視しております。
当連結会計年度における、売上高営業利益率は8.1%となり、前連結会計年度と比べて6.0ポイント減少しております。
また、キャッシュ・フローは前連結会計年度末に比べ7百万円増加し、1,053百万円(前連結会計年度比0.7%増)となりました。
今後も、企業成長に必要な研究開発や設備への投資を進めつつ、売上高の拡大、コスト削減など利益率の向上を図り、キャッシュ・フローの更なる改善を目指してまいります。
b. 新技術・新サービスへの取組み
新技術への取り組みとして、2023年5月からChatGPTの業務利用を開始しました。利用開始にあたり、ChatGPTを安全に利用するためのガイドラインの策定やAPI※を利用した社内向け機能の構築を行いました。その後、12月にGitHub Copilotを導入し、生成AIを活用したプログラムのコード生成やレビューを行いました。また、2024年3月にCopilot for Microsoft 365を導入し、文書の下書きやプレゼンテーション資料の作成において生成AIの活用を開始しました。日々新たな生成AIが発表されていますが、今後も業務効率や品質の向上につながる技術を積極的に取り入れてまいります。
新サービスへの取り組みとして、生成AIチャットボット「SmartRobot×Azure OpenAI Service」の販売を新たに開始したほか、「クラウド文書保管サービス」をリリースしました。「クラウド文書保管サービス」は、電子帳簿保存法における「電子取引データ保存」に対応しており、様々な文書をデータセンター内で安全に長期保管できるサービスです。当社のワークフローシステムや販売管理システムと組み合わせて提案を行い、23社に提供しました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
■公共分野の状況
公共分野におきましては、住民税、国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険、健康管理等の受託処理及び基幹系システムのリプレイス、自治体情報セキュリティ対策における機器等のリプレイス作業を進めました。
当連結会計年度は、国が創設した「デジタル田園都市国家構想交付金」を活用した地方公共団体の取り組みを積極的に支援し、自治体窓口DX推進サービスとして、住民向け総合窓口スマートフォンアプリを提供しました。また、VR※、AR※等の技術を活用した観光向けデジタルコンテンツを構築しました。
総合行政情報システム「Reams」における既存顧客に対しては、4団体の基幹系システムと11団体の情報系システムのリプレイスを行いました。また、10団体の自治体情報セキュリティ対策における機器等のリプレイスを行ったほか、コンビニ交付システムを4団体に提供しました。
システム提供サービスでは、森林環境税の創設、個人住民税の特別徴収税額通知の電子化、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金、国民健康保険の産前産後期間の保険料免除措置等、各種法制度改正への対応等を行いました。
研究開発では、標準仕様に準拠した総合行政情報システム「Reams」の開発を、継続して実施しております。
これらの結果、公共分野の売上高は11,324百万円(前年同期比12.9%減)、営業利益は892百万円(前年同期比55.5%減)となりました。
■産業分野の状況
産業分野におきましては、リース業向けのリース業務パッケージ、製造・流通業向けの販売管理システム・生産管理システムの開発と導入作業のほか、医療福祉機関向けの電子カルテ・医事会計システム・介護支援システム等の導入とリプレイスを進めました。
当連結会計年度は、主力製品であるリース業務パッケージについて、3社が予定どおり稼働しました。また、現在、新規稼働に向けた開発及び準備を行っております。
医療福祉機関向けのシステム提供サービスでは、電子カルテシステム・医事会計システムを含む病院総合情報システムについて、1病院に導入し、2病院のリプレイスを行いました。また、7団体の介護支援システムのリプレイスを行いました。
製造・流通業向けのシステム提供サービスでは、販売管理システムについて5社のリプレイスを行いました。生産管理システムでは、新たに2社を受注しました。また、AI外観検査システム「Observe AI」を2社に提供しました。
データセンターサービスでは、仮想サーバーサービスを12社へ提供し、インターネット事業では、17社のコンテンツ管理システムのリプレイスを実施しました。
これらの結果、産業分野の売上高は4,649百万円(前年同期比3.3%減)、営業利益は387百万円(前年同期比23.6%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。なお、運転資金の効率的な調達を行うため、主要取引金融機関と総額8,050百万円の当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末における借入実行残高は2,172百万円であります。また、第三者割当による自己株式の処分を実施し、1,181百万円の資金調達を行いました。
以上の結果、当連結会計年度末における、総資産に占める有利子負債(リース債務は除く)は前事業年度と比べて4.8%減少し、17.7%となっております。今後も、営業活動によるキャッシュ・フローにより有利子負債の削減を進めてまいります。
当社グループは、設備や研究開発などへの積極的な投資を行っております。設備及び研究開発への投資につきましては、「第3 設備の状況」及び「6研究開発活動」に記載しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。当社グループは、事業に内在するリスクを分析・評価し、対応策を検討・実施することによって、課題を着実に解決してまいります。
[用語解説]
ここに示す用語解説は、文中で※印で示す用語の本書内での意味を説明するものであり、必ずしも一般的な用法用例を包含するとは限りません。(アルファベット、50音順)
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用語 |
解説・定義 |
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API |
ソフトウェア、プログラム等をつなぐインターフェースのこと。 |
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AR |
拡張現実(Augmented Reality)の略。コンピューターによって、現実世界に仮想世界を重ね合わせて表示する技術のこと。 |
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VR |
仮想現実(Virtual Reality)の略。コンピューターによって創り出された仮想的な空間等を現実であるかのように疑似体験できる技術のこと。 |
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積極的な事業提携 |
当連結会計年度の事業提携実績 2023年6月30日 Intumit Inc.(インツミット株式会社)とAI分野に関する包括的協業契約を締結 2023年10月31日 TOPPANエッジ株式会社と資本業務提携契約を締結 |
(資本業務提携及び第三者割当による自己株式の処分)
当社は、2023年10月31日開催の取締役会決議に基づき、TOPPANエッジ株式会社との間で、地方公共団体の市場において複数自治体の業務のアウトソーシング受託やDXサービス支援などの拡充及び民間企業への様々なソリューション導入を推進するなど、両社の事業拡大を目的として、2023年10月31日付で資本業務提携(以下、「本資本業務提携」)に関する契約を締結し、2023年11月17日に第三者割当による自己株式の処分(以下、「本自己株式処分」)を行いました。
概要は、以下のとおりであります。
1.本資本業務提携の目的及び理由
当社はお客様の期待に応え、既存事業をさらに強化するとともに、環境変化に対応した新製品の開発や新技術への対応に積極的にチャレンジするための新たなシナジーを追求できるアライアンスを模索しておりました。その検討過程において、以前から取引関係があるとともに、当社の株主でもあるTOPPANエッジ株式会社が上がり、同社との間で資本業務提携に向けて、協議を開始いたしました。同社は、自治体の同一業務、同一事務処理フローによる効率化、コスト削減を目的とした業務アウトソーシング(BPO)サービスを地方公共団体向けに展開しており、自治体市場の拡大を重点事業のひとつとして位置付けて、新規顧客の開拓に取り組んでおります。親和性の高い事業を展開する両社の本資本業務提携の締結により、相互の業務に関する知見及び情報の共有、販売戦略及び攻略情報等営業戦略に特化した情報の共有によるサービスの販売連携、人材交流等の施策を検討し、実行することで、共通のお客様である地方公共団体及び民間企業の更なる満足度の向上と両社における事業の拡大を図ってまいりたいと考えました。
以上を勘案した結果、TOPPANエッジ株式会社に対して、当社が処分する自己株式を第三者割当の方法により取得させることが、当社及び同社の中長期的な企業価値向上に資すると判断したため、本自己株式処分を行いました。
2.本資本業務提携の内容等
当社はTOPPANエッジ株式会社との間で、2023年10月31日付で本資本業務提携に関する契約を締結し、同社に本株式760,000株の割り当てを行い、2023年11月17日に払込が完了しております。また、2023年10月31日付で、当社株主である信越放送株式会社はTOPPANエッジ株式会社との間で、信越放送株式会社が保有する当社普通株式の一部である80,000株を譲渡する旨の契約を締結し、2023年11月17日に譲渡が完了しております。TOPPANエッジ株式会社が保有する当社普通株式の数は、すでに保有していた40,000株及び本自己株式処分により取得した760,000株と合計して880,000株(議決権数8,800個)となり、この数は、当社の発行済株式数5,837,200株の15.08%(本自己株式処分実施後の総議決権数57,890個に対する割合は15.20%。小数点以下第三位四捨五入。)にあたります。
3.本自己株式処分の目的及び理由
前記「1.本資本業務提携の目的及び理由」に記載のとおりです。
4.本自己株式処分の概要
|
(1) |
処分期日 |
2023年11月17日 |
|
(2) |
処分株式数 |
当社普通株式 760,000株 |
|
(3) |
処分価額 |
1株につき1,555円 |
|
(4) |
処分価額の総額 |
1,181,800,000円 |
|
(5) |
処分方法 (処分先) |
第三者割当の方法による (TOPPANエッジ株式会社) |
|
(6) |
処分後の自己株式数 |
45,381株 |
当社グループは、日々刻々と変化するデジタル技術の進化や情報サービスに対するニーズに迅速に対応するため、プロダクトソフト開発及びソフトウェア開発において、最適なシステムを提供するための研究開発を進めております。
当連結会計年度の研究開発費は公共分野において
|
研究開発 |
セグメント の種類 |
研究開発の内容 |
研究開発計画 |
実績 |
|
|
総開発費 (百万円) |
開発期間 |
当期開発費 (百万円) |
|||
|
標準準拠システム開発 |
公共分野 |
当社が提供する総合行政情報システム「Reams」を、2021年5月19日に公布された「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」が示す標準仕様に適合させるための開発 |
2,662 (注) |
2021年11月 ~2025年3月 |
1,107 |
|
総合健診システム (PREST) バージョンアップ |
産業分野 |
当社の子会社である株式会社ティー・エム・アール・システムズの主力製品である総合健診システムをバージョンアップし、商品力強化と最新の開発環境への対応による開発効率及び品質を向上させるための開発 |
83 |
2022年11月 ~2024年9月 |
70 |
(注)研究開発計画の総開発費が2,552百万円から2,662百万円に変更となりました。