第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社の社会的使命は「快適な食空間、心温まる接客、そして美味しい料理は人々を『幸せ』にします。私たちは、それらを高品質で提供しながら、低価格で実現する努力を行う事によって、より多くの人に『幸せ』を感じてもらう事を使命とします。」と定めています。そして、その使命を全うするために『お客様から褒められる店を創ろう!』というわかりやすい言葉を経営理念としております。

 お客様から褒められる店舗づくりを実現する為には、顧客ニーズをくみ取り、それに応えていく必要があり、そのためには従業員の「考える」「発言する」「行動する」「反省する」という主体性が不可欠です。当社は創業当時よりそうした「自奮自発の精神」を大切にし、従業員が自己成長することをサポートすることで、真のお客様サービスの追求と実践を行ってまいりました。今後もこの精神を伝承し、従業員の成長をもって会社の持続的な成長を実現してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は美味しい料理を提供して、より多くの人に幸せを感じてもらいたいという社会的使命に基づき、着実な「増収」を目標とするとともに、原価率の適正な水準やコスト管理を重視する方針から、「売上高営業利益率」を重要な指標としております。当期の「売上高営業利益率」は10.1%と、目標水準である8%を大きく上回る成果を上げました。

 同時に、企業価値のさらなる向上を図るため、将来の事業展開を目的とした設備及び人的資本に対する成長投資を推進するとともに、資本効率を重視し、安定的かつ持続的な配当による株主還元の向上に努めてまいります。

 

(3)会社の経営戦略・優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は店内調理、しかもオープンキッチンにこだわっています。それは、お客様の目の前で、一流の腕を持った料理人が強火で鍋振りをして、心を込めてシャカシャカと音を立てて料理を作っている。熱した鉄板に餃子を並べ、水を入れたとたん、ジュワーっと音も出れば蒸気も立つ。お客様はそういうライブ感、ワクワク感を五感で体験できる。それが美味しさを2倍にも3倍にもしてくれるからです。そして、美味しい料理と心温まる接客。これらが全て含まれて、当社独自の価値を構成しているのであり、当社は「人が価値を創る」会社です。

 そのため、人口減少と少子化が急速に進んで広範な業種で労働力不足が顕著になっている現下、「人が価値を創る会社」である当社にとって、今後のさらなる成長を支える人材の確保と育成がますます重要になっています。

 この課題に対して、当社は自動釣銭機やセミセルフレジの導入、テイクアウトモバイルオーダーの開発など、顧客利便性とともに、省力化や生産効率向上などに役立つデジタル技術の導入を積極的に進めております。

 当社のDX戦略は、従業員の成長を目的としたeラーニングを含めた人材育成から始めて、従業員の働き方の改革まで目指すものです。

 最終の目標は、「デジタル技術が創り出す価値」の導入による「人にしか創り出せない価値」の最大化であり、当社は引き続き、DX戦略を積極的に推進してまいります。

 課題解決のために取り組んでいるもう一つが、以下に述べます人的資本への積極的な投資です。

 一つ目は、「新規採用の強化」と「ダイバーシティの実践」です。

 採用の強化では、時代に合った効果的な採用チャネルと採用手法の改善、結果検証を踏まえた求人広告媒体等の見直し、インターンシップの活用、学生アルバイト等を対象にしたインナー採用の強化、面接官となる社員の面接スキルの向上などに着手しております。その上で、大卒初任給は52,000円の引き上げを実施し、278,500円と業界最高水準にまで高めました。大卒初任給の引き上げは、採用人数だけでなく、応募者の幅を拡げ、当社が求める多様な人材の確保に寄与しています。さらに、各店舗でも、活き活きと当社店舗で働く従業員をモデルにして、「全ては人で決まる。」をモチーフに制作した動画を店内で放映し、パート・アルバイトの採用に成果を上げました。

 また、ダイバーシティでは、障がいのある社員が能力を最大限に発揮できる職場を作ることを目的に、特例子会社王将ハートフルを設立し、その事業を展開し、障がい者雇用に積極的に取り組んでいます。さらに、重要ポジションへの女性の積極登用や、外国人労働者の特定技能制度の利用開始など、当社は多様な人材の活躍の場を提供しております。

 二つ目は、「人材の育成」です。一人一人の従業員が成長し、生産性が上がれば、新規採用と同等のマンパワーを確保することができます。そのためには、従業員の仕事や会社に対するエンゲージメントを高めることが不可欠であると考えています。当社は毎年実施している専門業者による従業員満足度調査(ES)を、エンゲージメントを可視化するものとして重視し、その結果を経営に活かすように努めています。調査結果では、従業員の総合満足度は年を追うごとに着実に向上しておりますが、さらに満足度を引き上げるための方策を実行しています。そのために当社が最も注力しているのが、「各種研修機会の提供」です。従業員満足度調査によると、待遇や労働環境の改善とともに、「できない仕事ができるようになった時」や「お客様からお褒めの言葉をいただいた時」に働き甲斐を感じるとの結果が出ました。そのため、このような機会をたくさん与えられるように、社内組織である王将アカデミーが中心になって、従業員の成長、スキルアップに全社を挙げて取り組んでいます。

 例えば、王将アカデミーによる調理実地研修、調理知識研修、接客応対研修、マネジメントセミナーなど、各種研修を受講する機会が幅広く従業員に提供されています。本年4月の新入社員研修では、外部コンサルタントを利用しながら、王将アカデミーによる手作りのプログラムによって、「全ては感謝の心から、これからのライフワークとして」をテーマに、当社社長も参加する密度の濃い4日間の研修を行いました。こうした機会が、従業員の成長と生産性向上に直接役立つとともに、ワークエンゲージメントの向上に大きく寄与し、それが仕事への情熱となって、新たな価値創造につながっています。

 三つ目が、「処遇面の大幅な引き上げ」です。当社は2023年、2024年とベースアップを実施し、2024年はベースアップと定期昇給により、全企業の中でトップクラスとなる一人当たり平均約11.5%の月例給与の引き上げを実施いたしました。この実施により、直近3年間の賃上げ率は約22%となります。また、賞与でも、夏季、冬季賞与以外に、これまで決算賞与、コロナ禍においてはコロナ慰労金、新生活支援金等を支給しております。2023年冬季賞与では特別加算賞与を上乗せして支給するとともに、期末には好業績に伴って決算賞与を支給したことから、2024年3月期通期の賞与支給額は前期を12.8%上回って過去最高額となりました。こうした対応が、従業員エンゲージメントを高め、定着率の向上につながっています。

 このように、今後の当社の成長に必要な人材について、「量」と「質」の両面で着実に確保を図ってまいります。エンゲージメントをより高め、従業員が情熱をもって業務に取り組むことで、お客様に対して、これまで以上に高い価値、美味しい料理をご提供していく、その先に、当社の目指すゴールがあると考えています。

 「ゴールはずっと先にある。情熱が最高のエンジンだ。おいしい力が未来を変える。」2024年の当社スローガンを全役職員が胸に抱き、当社はさらなる飛躍を目指してまいります。

 

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 当社は、「快適な食空間、心温まる接客、そして美味しい料理は人々を幸せにします」という社会的使命のもと、「お客様から『褒められる店』を創ろう」という経営理念に則り、事業を遂行しております。サステナビリティは、その実現のための基礎となるものであるため、経営戦略を具現化するための中期経営計画の大目標の一つとして「サステナビリティの推進」を掲げるとともに、「サステナビリティ委員会」で対応を進めております。

 当社は、サステナビリティビジョンとして「食に困らない豊かな社会の実現」、「全てのステークホルダーとの共栄」、「地球環境の保全」を目指すことを表明し、積極的・能動的に取り組んでおります。

 

①「食に困らない豊かな社会の実現」に関する取組み

 食を通じて社会に貢献するため、当社は安心・安全で美味しい料理の提供に取り組んでおります。そのために、主要食材は国産を使用することで安心・安全を確保するとともに、国内自給率の維持・向上に寄与しております。上質かつ安定的な国産食材の供給を確保するため、生産者との緊密な連携と公正な取引関係を構築しており、当社の持続可能性を高めております。

 さらには、世界各地で子ども達のための支援活動を行う民間・非営利の国際組織 「セーブ・ザ・チルドレン」に寄付するとともに、学校の休み期間中に全国の子ども食堂に対して「お子様弁当」の無償提供を行うなど、その時々に応じて必要とされている取組みを積極的に行っております。令和6年能登半島地震においては、災害義援金として2024年2月と3月の限定メニューである「野菜煮込みラーメン」の代金の一部(1杯につき80円、総額61百万円)を日本赤十字社を通じて被災地に寄付、さらに、店頭では募金箱を設置し、京都府と連携して、石川県七尾市に対して、天然水ペットボトルを提供いたしました。また、七尾市の避難所で炊き出しを行い、被災者の方々に「野菜煮込みラーメン」540食と、「餃子」770食を提供いたしました。

 当社はこれからも食を生業とする会社として、全ての人が食に困らない健康で豊かな社会の実現に取り組んでまいります。

 

② 「全てのステークホルダーとの共栄」に関する取組み

 当社は、全てのステークホルダーとの共栄を目指し、事業遂行の成果の還元として、お客様に対する主要食材の国産化による安心・安全という付加価値のご提供、株主に対する配当水準の引き上げや自社株買いによる還元、取引先に対するサプライチェーン全体での付加価値向上を目指した取り組み、従業員に対する処遇や職場環境の改善などを実施してまいりました。 また、当社はスポーツを通じて健全な精神、強靭な身体、礼儀正しさなどを学ぶ青少年の育成活動の支援を行っており、企業や自治体のイベントに屋台を出店するなどして地域の活性化の一翼を担っております。

 物流2024年問題への対応につきましては、全社一丸となって取り組むべき課題と考え、まずは店舗の取り組みとして、搬入通路や格納場所の整理・修繕など、配送作業時間を削減する取り組みを行いました。次に配送の取り組みとして、配送トラック1台あたりの配送店舗数の削減や、配送とピッキング作業の分割化の推進、さらには、共同配送など、ドライバーの労働時間の短縮を図りました。こうした取り組みにより、当社における配送体制は十分に持続可能なものとなっております。

 

③「地球環境の保全」に関する取組み

 営業活動及びお客様への料理の提供に係る環境影響を低減する為に、環境マネジメントシステム活動を推進し、水道光熱使用量の削減や一般廃棄物の排出量の削減に取り組んでおります。「プラスチック資源循環促進法」の施行に伴い、「バイオマスプラスプーン」「プラスチックレンゲ」を有料化するとともに、「ストロー」の素材をプラスチックから紙に、「使い捨てミニスプーン」は プラスチックから金属製のデザートスプーンに変更するなど、同法に則り、環境保全のための取り組みを推進いたしました。さらに、食べ残しを防止するため、食べきりサイズの「ジャストサイズメニュー」を提供し、食品ロス削減にも取り組んでおります。また、環境配慮設備への更新による店舗や工場のエネルギーコストの削減などにより、CO2排出量の削減に取り組んでおります。

 こうした取組みにより、地球環境への負荷を低減し、自然災害や気候変動のリスクに備えることが、お客様からの信頼獲得にもつながり、当社の持続可能性を高めると考えております。

 

 様々な活動の中でまずは「気候変動に対する取り組み」、「人的資本・多様性に対する取り組み」内容を記載いたします。今後は更に、当社の重要課題の特定と目標の設定を進め、取り組みを拡大してまいります。

 

(2)ガバナンス

 当社は、サステナビリティに係る課題の検討やモニタリング等の対応については、代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会(原則年4回開催)で目標・計画の策定、重点取り組み課題の選定、計画に対する進捗を確認し、適宜、リスクと機会及び財務への影響をステークホルダーに開示します。

 「気候変動対応」や「人的資本・多様性」を含むサステナビリティに関わる重要な議案は取締役会に上程、報告を行い、承認、助言、監督を受けます。

 組織体制は下記図の通りです。

 2023年度のサステナビリティ委員会、及び原則として毎週開催されている経営戦略会議において、人的資本及び人材育成への投資、Scope1、2排出量の削減、プラスチック使用量削減の推進、サステナビリティ・リンク・ローンのKPI進捗状況確認、子ども達への「食」を通じた支援などについて議論を継続して実施いたしました。また、「TCFD提言への取り組み」につきましては、当社ホームページへの開示も開始し、Scope1~3排出量の具体的な削減活動や検討内容をパース図、写真と共に掲載しました。

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(3)戦略

①気候変動

a シナリオ分析

 当社では、2100年における世界の気温上昇が2℃上昇と4℃上昇の世界観を想定し、2030年、および2050年におけるシナリオ分析を実施しました。

 海外につきましては台湾に事業所と直営店2店舗がありますが、当社全体への影響は極めて小さいことから、対象を国内に絞り、シナリオ分析を進めました。

 以下に示す政府機関及び研究機関で開示されているシナリオなどを参照して、重要度の評価及び財務的影響の分析を実施しています。

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b リスク、機会

 特に当社で実際に起きる可能性が高いと想定されるリスク8項目、機会5項目を開示します。

 

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c 対応策

 特定したリスク、機会に対する中長期での対応策につきましては、継続的な実施と効果評価を行い、事業活動のレジリエンスを高めてまいります。

 

 

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②人的資本・多様性

a 人が価値を創り出す企業

 当社は常に従業員満足度が高まることによりお客様にご満足いただき、その結果として業績の向上という形で従業員へ還元される好循環が生まれると考えております。従業員ひとり一人が熱き情熱を持ち自ら考え成長することに喜びを感じ、笑顔あふれる店創り(職場づくり)を行ってまいります。

 

 従業員の成長を促進するためには、個々の従業員に対して学びの機会を提供することが会社の重要な役割の一つだと考えています。そのため、人材育成に関しては、王将調理道場や王将アカデミーの研修プログラムに加えて、eラーニングやデジタル技術の習得など、多様な投資を積極的に行っています。例えば、王将アカデミーによる調理実地研修、調理知識研修、接客応対研修、マネジメントセミナーなど、各種研修を受講する機会が幅広く従業員に提供されています。本年4月の新入社員研修では、外部コンサルタントを利用しながら、王将アカデミーによる手作りのプログラムによって、「全ては感謝の心から、これからのライフワークとして」をテーマに、当社社長も参加する密度の濃い4日間の研修を行いました。こうした機会が、従業員の成長と生産性向上に直接役立つとともに、ワークエンゲージメントの向上に大きく寄与し、それが仕事への情熱となって、新たな価値創造につながっています。

 

 待遇面においても、2023年の「夏期賞与」では、賞与テーブル100%に8.5%を加算した労働組合の要求に対して満額回答し、「冬期賞与」では組合要求である賞与テーブルに10%上乗せした110%の支給に満額回答のうえ、10%超を「特別加算賞与」として上乗せ支給することで、合計で賞与テーブルの120%を上回る水準の支給を行い、賞与支給額は過去最高となりました。また、期末には、好業績に伴って過去最高額となる「決算賞与」を支給いたしました。

 さらに、2024年度の月例給改定においても、2023年度に引き続き「ベースアップ」を実施し、組合要求を大幅に上回る、全企業の中でトップクラスとなる、一人当たり平均約39,162円の引上げ(ベースアップを含めた賃上げ率11.5%)を実施しました。

 そして、大卒初任給は52,000円の引き上げを実施し、278,500円と業界最高水準まで高め、採用人数だけでなく当社が求める多様な人材の確保に寄与しています。こうした取り組みにより、私たちは人的資本への投資に注力しています。

 

b 多様性の確保

 当社は性別、年齢、国籍、新卒・中途に関係なく、様々な人材を採用しています。全従業員における女性の割合は約半数を占めており今後も引き続き女性の採用を積極的に進めてまいります。また、外国人については、特定技能の在留資格を有する方の採用に新たに取り組んでおります。更に、中途採用者については、中途入社者研修を実施することで、当社に関する理解を深め、知識・経験・能力を培うことのできる環境を整備し活躍できる体制を構築しています。そして、障がい者雇用についても、当社は「お客様から褒められる店づくり」を支援するための特例子会社を設立し、障害のある社員が能力を最大限に発揮できる職場を作ることを目的に、全社的に積極的に取り組んでおります。

 人材の登用についても採用同様に性別、年齢、国籍、新卒・中途に関係なく、適性に応じ各ポジションへの登用を実施しており、適性のある女性については積極的に管理職に登用してまいります。中途採用者については当社での経験年数の長短に関係なく、実力と成果に応じ早期に管理職および上級管理職として活躍できる体制を構築しております。更に、パートタイマーに対しても育成のための教育プログラムを充実させ積極的に正社員への登用を行い、各自のライフプランに合わせて勤務時間や雇用形態などを選ぶことができるキャリアアップ転換制度を設けることで、柔軟な働き方を可能とし、各人がキャリアアップしながら長く安心して働ける環境の整備に努めています。

 これらの対応によって、多様な価値観を取り入れ、持続的な成長を図っております。

 

(4)リスク管理

 当社は、特定されたリスクについては、サステナビリティ委員会を中心にリスクの回避、軽減、コントロール、機会への早期着手に関する方針の策定や対応策の立案などを実施し、取締役会への上程、報告と承認、助言、監督を受け、全社を通じたリスクマネジメントを行っています。また、対応策の実施状況、およびその効果についてモニタリングを実施しています。

 特定されたリスク及び機会に関して、当社は以下のように取り組みを行っています。

・ シナリオ分析

・ 短期・中期・長期のリスク及び機会の特定と重要度評価

・ 特定された重要なリスク及び機会に対する戦略的な取り組み方針

・ リスク及び機会への具体的な対応策の検討

・ リスク及び機会に関して採用された対応策の進捗管理

 

(5)指標及び目標

①気候変動

 当社では事業活動におけるCO2排出量(Scope1、2)の把握に加え、2021年度より原材料の調達や輸配送、フランチャイズチェーンなども含んだサプライチェーンのCO2排出量(Scope3)の把握に取り組み始めました。

 2022年度の事業活動におけるCO2排出量(Scope1、2)は86,097t-CO2、およびサプライチェーンにおけるCO2排出量(Scope3)は276,057t-CO2でした。

・ 2022年度 売上百万円当たりの事業活動におけるCO2排出量(Scope1、2) : 0.93t-CO2 /百万円

 当社2021年度のCO2排出量を基準値として、日本の2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、当社としても省エネルギー・創エネルギー活動を推進すると共に再生可能エネルギーの活用検討も進め、継続的な低・脱炭素活動を推進してまいります。具体的な目標につきましては、現在設定に向けて検討を進めております。

 サプライチェーンのCO2排出量(Scope3)につきましても環境配慮型素材の探索や開発、環境負荷低減に貢献する活動を推進し、削減に貢献してまいります。

 2023年度の実績につきましては、今後以下のページに開示する予定です。

URL:https://ir.ohsho.co.jp/csr/tcfd/

 

②人的資本・多様性

 当社では、上記「(3)戦略」において記載した、人的資本・多様性について、次の通り目標を定めて積極的に取り組んでおります。

 管理職に占める女性労働者の割合の目標は、2029年3月31日までに4%以上と定めており、当事業年度末で1.9%(対象は提出会社)となりました。女性の職場での活躍をさらに促進し、目標達成に向けて傾注してまいります。

 また、障害者雇用率については、同雇用率が法定雇用率を上回る雇用水準を維持する目標を設定し、当事業年度末で3.04%(提出会社と特例子会社を合算)と目標を達成いたしました。今後も障害者雇用を積極的に進め、法定雇用率を上回る雇用水準を目標にしてまいります。

 なお、当社では、定期的に全従業員を対象とした「従業員満足度調査」を実施しており、仕事への意識や職場の雰囲気、主体的な行動、姿勢、会社への信頼感などについて選択形式で調査を行い、経年の変化を把握しております。調査結果は組織単位に統計的に処理・分析され、組織リーダーにおける職場改善の参考指標として活用を進めることで、個々の職場の活性化につなげてまいります。

 今後もサステナビリティを重視した経営を遂行し、当社の経営理念「お客様から褒められる店創り」を追求することで、企業価値の向上はもとより、持続可能な社会形成の実現に貢献してまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

 当社は、リスクマネジメント規程において、代表取締役社長をリスクマネジメント体制の最高責任者と定め、その直属の組織として、各部室長によって構成されるリスクマネジメント会議を定期的に開催しております。

 当会議では、当社グループの事業に関するリスクを総合的に抽出・分析し、重点的に対応すべきと評価したリスクについて、発生の予防策および発生した場合の対応策の策定を行い、それらの施策の実行状況確認及び是正をしております。

 また、当社はリスクが顕在化した場合に備えて危機管理対応に関する諸規程を整備しており、経営危機の発生時には直ちに経営危機対策本部を設置し、迅速かつ適切に対応することで、損失の極小化を図る体制となっております。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)出店戦略について

 当社グループは、現在は西日本と比較して出店余地の多い関東地域を中心に新規出店に取り組んでおりますが、出店にあたっては、商圏・立地条件や賃借料の水準等に基づく店舗の収益性を重視して決定しております。

 したがって、条件に合う出店予定地を確保できない場合などにより、新規出店数が計画を下回ると、計画通りの売上利益を確保できないなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、人材補強等による専門部署の整備により市場分析能力の向上を図り、店舗開発力を強化して計画通りの出店を実現するとともに、出店にあたっては建築・設備コスト及びランニングコストを削減して新店の収益力を高めることで、リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(2)賃借物件について

 当社グループは、土地もしくは建物を賃借して出店するビジネスモデルを基本としているため、賃貸借契約をめぐるトラブルに起因するリスクがあります。具体的には、賃貸人側の事情によって契約が解除または更新不能になった場合には、業績好調な店舗であっても当社グループの計画に拘わらず閉店を余儀なくされる結果、売上高が減少する可能性があります。また、賃貸人の財政状態が悪化した場合には、当社グループが預け入れている敷金・保証金の回収が困難となる結果、差入保証金の回収不能による損失が発生する可能性があります。

 ただし、これらが一時期に集中して起きる可能性は低いため、一部店舗においてリスクが発現しても、当社グループの業績及び財政状態に及ぼす影響は極めて限定的であると判断しております。

 対応策としては、賃貸人とのコミュニケーションを重視し、契約更新にあたっては期限に十分余裕のある段階から当社グループの意思を伝えて丁寧な交渉を行い、契約更新のトラブルを回避いたします。また、敷金・保証金の回収に関しては、適宜賃料との相殺を実行するなどのほか、賃貸借契約締結時に返還請求権を登記して保全に努めるなどして、リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(3)安全かつ安定的な食材の確保について

 食材の産地、当社工場、及び輸送経路に、何らかの事件や事故、災害等による被害が発生した場合や、異常気象、天候不順などの気候変動により食材の極端な品薄や価格の上昇があった場合、食材の安定的な確保に問題が生じる可能性があります。

 また、豚コレラや鳥インフルエンザ、残留農薬等に代表されるように、使用している食材にその安全性が疑われる問題が生じた場合、需給関係に変動が生じて食材の調達に支障を来す可能性があります。

 こうした場合、提供できる料理の制約や仕入価格の上昇が業績に大きな影響を与える可能性がありますが、食材の調達は常に天候等の自然条件の影響を受け、市況にさらされているため、そのリスクは多少なりとも常時存在していると考えられます。

 当社グループにおきましては、上質かつ安定的な国産食材の供給を確保するため、生産者と緊密な連携を実施し、産地を分散する等の工夫を行っており、さらに、産地の巡回、製造委託工場の視察・監査、製品規格書の整備、代替食材選定の検討等を実施し、リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(4)自然災害の店舗・工場運営及び本社への影響について

 当社グループが出店、操業している地域やその周辺地域における大型の台風や地震等の自然災害により、店舗・工場の設備や電気・ガス・水道などのインフラの損傷、配送やサプライチェーンの分断、また従業員が出勤できない等の事情が発生すると、店舗・工場が正常な運営を継続できなくなる可能性があり、被害が広域で甚大である場合には、営業活動の休止が長期にわたる可能性があります。

 近年、頻発している大雨や大型台風などの異常気象に対しては、本社、店舗、工場ごとに、大規模災害発生時の事業継続と損失軽減のための計画を策定しております。

 具体的には、店舗・工場の耐震化やITインフラの冗長化等の対策とともに、災害時における従業員の出退勤や店舗の営業継続に関する判断基準の作成、従業員の安否確認・連絡網と避難場所の周知等により、お客様と従業員の安全を最優先とし、さらに、食材産地の分散化と被災工場をカバーする生産・供給体制の構築、借入枠の設定による被災時の資金面の手当など、事業継続または早急な事業再開につなげる態勢作りを行っております。

 

(5)気候変動への取り組みとTCFDへの対応

 近年、世界的規模でエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策のための法規制等、気候変動抑制のための動きが強まっておりますが、気候変動問題は当社が目指す持続可能な社会の実現、及び事業の持続可能性の追求に重大なダメージを与えるリスクであると認識しております。

 そのため、当社グループは、サステナビリティビジョンの1つとして、「地球環境の保全」を掲げ、サステナビリティのための活動の一環として積極的な取り組みを開始いたしました。実例をあげますと、レジ袋については、植物性由来の素材を含んだプラスチック製への切り替えを実施、「バイオマスプラスプーン」、「プラスチックレンゲ」を有料化するとともに、「ストロー」の素材をプラスチックから紙に、「使い捨てミニスプーン」はプラスチックから金属製のデザートスプーンに変更いたしました。また、工場では、環境配慮設計によりエネルギーコストを削減、AIを利用した配送編成により配送距離を適正化し、DXによりトータル物流業務時間を短縮するとともに、製品化率の引き上げにより食材ロスを削減するなど、カーボンニュートラルに向けた積極的な取り組みを図っております。

 さらに、気候変動に係るリスク及び機会が当社グループの事業活動や収益等に与える影響について必要なデータの収集と分析をおこない、TCFD提言に沿った取り組みを進めております。

 

(6)消防法、建築基準法等について

 当社グループは消防法、建築基準法及び都市計画法等による規制を受けておりますが、店舗内で調理を行う関係上、常時発生しているリスクとして、店舗での不慮の火災発生があります。

 リスクが発現し、当社グループ店舗において火災による死傷事故等が発生した場合、当社グループの信用低下とともに、損害賠償請求等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当社グループでは直営全店に自動消火設備を設置するとともに、防火対策についてマニュアルを整備して社員教育を徹底し、とりわけお客様や従業員の生命や身体に被害が及ばぬように、年に2回の消防訓練を行うなど、リスクの軽減を図っております。また、店舗・工場等の建物・設備に対する火災保険や事業総合賠償責任保険に加入するなど、リスク発現時の損失の補填対応を行っております。

 

(7)食品衛生法について

 当社グループの事業においては、食品衛生法に基づき、飲食提供に際して食品衛生責任者を設置して法令違反のないよう監督を行う必要があり、営業にあたっては食品衛生法第55条の規定により都道府県知事の許可を受けなくてはなりません。さらに、食品衛生法等の一部を改正する法律(平成30年法律第46号)により、営業許可制度の見直し及び営業届出制度の創設が施行新たに従来の32業種以外の業種に関しての届出制度が創設され、HACCPに沿った衛生管理が制度化されたため、これらに対しても規定に従った運用・監督を行うことが義務付けられております。その他、食品用器具・容器包装におけるポジティブリスト制度の導入、アレルゲン、消費期限等安全性に関わる食品表示法違反による回収情報の届け出義務化、遺伝子組み換え表示制度における任意表示に対応するための体制を整えております。

 また、

・食中毒、異物の混入等、健康に影響を及ぼす事故等を起こした場合、若しくはその恐れがある場合

・法令若しくは条例によって規定された食品及びその表示、施設内外の清潔保持に係る規格・基準に違反する場合

・厚生労働大臣の命令により禁止された食品等を取り扱った場合

・業務を行う役員が食品衛生法第55条第2項第1号若しくは第2号に該当した場合

・許認可に際して付けられた条件に反した場合

・食品衛生法第60条の取消事由に該当した場合

などには、一定期間の営業停止、営業の全部若しくは一部禁止、又は営業許可の取消を命じられることがあります。

 上記の事案については、常時存在しているリスクであり、リスクが発現した場合には、営業停止等の処罰はもちろん、食材の廃棄損や営業停止に伴う売上高の減少、さらには近年はSNSでの情報の拡散もあり、当社グループの社会的信用の低下を招いて企業イメージを大きく損ない、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当社グループでは、店舗や工場における食材の管理・取扱い、及び設備機器・従業員等の衛生状態について常に最大限の注意を払うとともに、定期的に厳格な衛生検査を実施する等の対応を行い、リスクの発現可能性を軽減しております。

 店舗においては、営業本部に設けられた営業サポート部衛生管理課のスタッフによる自主衛生チェック・店舗巡回指導の実施、HACCP制度に沿った衛生管理体制の整備、異物混入時のフロー体制の構築、年2回の検体提出(検便)、定期健康診断の実施等、衛生管理体制の強化を図っております。

 工場においては、FSSC22000・HACCP・JFS-B規格の取得と継続維持、従業員に対しての食品衛生法及びその他関連法規に関する勉強会・モラル教育の実施、各工場のフードセキュリティ・フードディフェンスの強化、衛生問題や事故発生時を想定したシミュレーション訓練の実施、製造機器及び資材からの異物混入防止のための危害分析による危害の抽出と危害の排除とメンテナンスカレンダーの運用、さらにBCP(事業継続計画)の策定を行っております。

 以上のとおり、当社グループは、食品衛生法に係るリスクを発現させないための徹底した取り組みを全社的に行っております。

 

(8)店舗における酒類提供について

 当社グループの店舗において、20歳未満の者であることを知っての酒類提供及び車両等で来店されていることを知っての酒類提供等が発生した場合、当社グループ及び従業員は20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律や道路交通法違反等の罪に問われ、店舗は営業停止処分等を課されるリスクがあります。また、これらの違反が報道やSNS等で情報拡散され当社グループのブランドイメージが損なわれると、長期的な業績の下振れ要因になる可能性があります。

 酒類を提供している店舗において、リスクが顕在化する可能性は常時あることから、当社グループでは酒類を注文されたお客様全員に対し、車両等の運転をしての来店でないこと、及び20歳未満の者でないことの確認を行っており、毎日の朝・夕礼においてその徹底を指導しております。さらに、飲酒運転、20歳未満の者への酒類提供禁止の確認バッチ着用や啓蒙ポスターの掲示、コンプライアンス研修時の酒類提供に関する確認テストの実施など、常に注意喚起を行ってリスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(9)法的規制等の強化に関するリスク

 当社グループは、上記の法令の他、食品の表示については食品衛生法以外にも食品表示法、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)等の規制を受け、また、フランチャイズ・チェーン運営に関しては私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)及び中小小売商業振興法等の規制を受けております。その他、環境への意識の高まりを背景に、食品循環資源の再利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)等が適用されるなど、様々な法的規制を受けております。

 今後、社会環境の変化等により新たな法律の施行や法令の改正等を通じて規制が強化され、対応するための費用が必要となる場合は、当社グループの業績が費用増加による影響を受ける可能性があります。また、新たな法的規制への対応が遅れ、違反する事態となれば、当社グループに対する法的な制裁を受けるのみならず、社会的評価を落とし、大きな経済的損失に発展する可能性があります。

 そこで、当社グループでは、法律の制定・改正情報の配信サービスの活用、公的機関による関係法令に関する説明会やフォーラムへの参加、各省庁のウェブサイト内の法規制に関連する通達の閲覧、法規制に関する社内勉強会の開催等を通して、関係法令の改正について情報収集に努めており、業務との関連性を常に調査し確認することで、リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(10)重要な訴訟事件等について

 当社グループは、契約締結時の審査体制や決裁手続きに関する規程を定めてこれを遵守しており、契約に関するリスクを適切に管理できる体制を構築しておりますが、事業を遂行していくうえで、お客様、取引先、フランチャイズ加盟店等利害関係人との間で契約上のトラブルによる紛争になった場合、契約上の責任に加え、訴訟のための時間と費用、訴訟の内容によってはブランドイメージが低下する等、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、商取引においては書面でのやりとりや契約書の締結により曖昧な点をなくして紛争の未然防止を図るとともに、利害関係者と十分な意思確認を行うことで、リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(11)固定資産の減損会計適用について

 当社グループが保有する固定資産を使用している店舗の営業損益に悪化が見られ、回復が見込まれない場合、もしくは不動産の時価が著しく下落した場合には、当該固定資産について減損会計を適用し、減損損失を計上しております。

 中食市場との競合、少子高齢化による需要の減退、人手不足等による人件費単価の上昇などの要因により事業環境は引続き不透明であるため、減損損失を計上するリスクが翌期においても相応にあるものと認識しております。また、営業収支の悪化に減損損失が重なった場合には業績に与えるインパクトが増幅する可能性があります。

 そのため、当社グループは、王将アカデミーによる社員の教育を通したQSCの基礎的レベルの向上や、店舗の生産性の引き上げ、販売促進の様々な営業施策の継続的な実施等により、各店舗の収益力を強化し、リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(12)人材確保・育成について

 就職活動の早期化が進む一方、通年採用への動きが見られる等、企業にとって人材の確保のための新たな対応を迫られる状況に置かれております。特に当社グループの場合、多彩なメニューの調理技術、オリジナルメニューの考案力、接客技術及び店舗マネジメント力その他IT分野における専門性など、社内で求められるスキルを身に付けた人材を育成するには数年を要するため、従業員の計画的な採用及び育成が不可欠です。

 従業員の採用と育成が順調に行かずに人的資源の不足を招いた場合、新規出店の鈍化と店舗のQSCレベルの低下、IT分野では、当社システム開発の停滞等を招き、当社グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当社グループは、時代に合った効果的な採用チャネルと採用手法の改善、結果検証を踏まえた求人広告媒体等の見直し、インターンシップの活用、学生アルバイト等を対象にしたインナー採用の強化、面接官となる社員の面接スキルの向上などに着手しております。その上で、大卒初任給は52,000円の引き上げを実施し、278,500円と業界最高水準にまで高めました。また、研修・教育機関として社内に「王将アカデミー」を設置して店舗運営に必要なスキルとルールのマニュアル化と、各等級の期待役割に応じたスキルを習得させるための一貫した研修体制を構築しております。「王将アカデミー」の調理部が運営する「王将調理道場」では、調理実地研修により社員の調理技術の向上に努めるとともに、調理知識研修も並行して開講し、美味しい料理の提供に最善を尽くしています。その上で、コロナ禍以降、新たにリモート研修も導入し、パートタイマーも含めた従業員の受講機会を一気に拡大いたしました。こうした採用の強化と、各種研修の充実により従業員の成長を促すことで、店舗における上記リスク発現可能性の軽減を図っております。

 

(13)労務管理について

適切な労務管理体制が整備されなかったことに起因し人材の定着が図れず、また、労使紛争や訴訟へと発展した場合、当社グループのブランドイメージが損なわれ、当社の営業その他人材の採用に悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、労務管理を適切に行うとともに、ハラスメント発生時の対応、再発防止、対応窓口等を明確にした「ハラスメント防止に関する細則」を制定し従業員に周知しております。また、社内相談窓口の他、外部機関、弁護士が窓口となる内部通報窓口を設置し、従業員が相談しやすい環境を整備しております。さらに、ハラスメントや労務管理をテーマにしたコンプライアンス研修や各階層別の定期的な研修を開催するなど指導・教育を行い、労務問題の発生を予防するための対策を実施しております。

 

(14)個人情報について

 当社グループは、事業遂行上、顧客、株主、取引先担当者、従業員、採用応募者、懸賞応募者等、多くの個人情報を取り扱っており、特に「餃子の王将公式スマホアプリ」のリリースによって顧客のデジタル情報が増加傾向にあります。個人情報に係るリスクは常時存在していると考えられ、不測の事態等により個人情報が外部に漏洩した場合、社会的信用の低下や損害賠償請求による経済的損失が発生して、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 そのため、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)の内容を踏まえ、個人情報の社内取扱責任者による監督、アクセス制御、管理・取扱区域の制限等の安全管理措置と個人情報の取扱いについて定めた社内規程を整備し、これを全社的に厳格に運用することでリスク発現可能性を軽減するとともに、事故発生時の危機管理体制を構築して、リスク発現時の損失を最小限とする対策を図っております。

 なお、当社の各種システムについては、不正アクセス防止を含めた高度なセキュリティ対策を実施しております。

 

(15)フランチャイズ・チェーン展開について

 当社グループの売上高の1割弱はフランチャイズ加盟店に対する当社工場からの出荷売上であり、フランチャイズ加盟店はフランチャイズ基本契約に基づいて、当社グループの店舗ブランド名で営業を行っております。そのため、一度に多数のフランチャイズ基本契約が解消された場合には当社グループの売上に直接影響を与え、またフランチャイズ加盟店において不祥事や業績悪化による信用不安が発生した場合には当社グループ全体のブランドイメージに影響を与える可能性があります。

 こうしたリスクは潜在的には常に存在しているため、当社グループではフランチャイズ加盟店の状況把握とサポートを最重要の対策と位置づけております。具体的な取組みとしては、フランチャイズ加盟店経営者との定期的な面談や財務状況の把握、加盟店が抱える課題の解決を全社的にバックアップできるように組織変更を行いました。営業本部の中にFC営業部を組み入れ、ショップアドバイザーがFC店舗を巡回して直営店と同様のQSCチェックを行うとともに、王将アカデミーによる調理等の研修を受講する機会を提供して、王将スタンダードの徹底を図り、ブランド価値の維持向上に努め、リスクの発現可能性の軽減を図っております。

 さらに契約満了で後継者がいないFC加盟店を直営店に移行して、これまでの固定客を維持しながら店舗価値の引き上げを図るなど、FC加盟店を含めたチェーン全体としての店舗展開を進めてまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけの5類移行を背景に、社会経済活動が正常化する中で、緩やかな持ち直しの動きが見られました。本年3月に行われた春季労使交渉(春闘)では、2023年に引き続いて企業側の満額回答が相次ぎ、平均賃上げ率は2年連続で高水準となったことから、所得の増加による個人消費の回復が期待されます。

 外食業界におきましては、行動制限が外れたことなどで個人消費が回復するとともに、インバウンド需要が旺盛に推移したこと等により、外食需要は堅調に推移いたしました。一方で、人手不足の常態化とともに、人件費や求人費の上昇、慢性化している原材料価格等の高騰などにより、経営環境は依然として厳しい状況が続いております。

 こうした環境下において当社グループは、「快適な食空間」「心温まる接客」「美味しい料理」をお客様に提供するという社会的使命を全うするため、当社が培ってきた現場力を活かし、QSCの基礎的レベルのさらなる向上に注力するとともに、積極的な販売促進策を継続して実施いたしました。その結果、2022年5月と11月に続き、2023年10月に実施した価格改定後も客数は増加し、特に店内飲食が大きく伸びるとともに、テイクアウト&デリバリーも引き続き好調に推移いたしました。2022年2月以降、同月比過去最高売上を26か月連続で更新するとともに、単月としての過去最高売上を2023年5月、7月、8月、12月、2024年1月、3月と6度更新しており、当連結会計年度における売上高は創業以来初めて1,000億円を突破することができました。

 以下、当連結会計年度における主な取り組みと成果について、3年目を迎える中期経営計画の3つの主要戦略である「営業戦略」、「店舗開発戦略」、「FC推進戦略」、及び「サステナビリティの取り組み」の4項目に沿ってご説明をいたします。

①営業戦略

2022年より継続して掲げている「おいしい力が、未来を変える。」のスローガンのもと、基礎的レベルのさらなる向上に向けて、従業員一人一人が情熱をもって取り組みました。

王将調理道場での調理研修では、実地と並行してオンラインを活用して受講者の拡大を図ったほか、調理技能検定試験の刷新や『美味しさの science』と銘打った「調理知識研修」の定着などで、美味しさの一層の向上を図りました。また、お客様に快適な食空間を提供するため、人にしかできないホスピタリティあふれる接客応対の習得を目的とした「接客応対研修」にも注力いたしました。

販売促進においては、生ビールキャンペーンを実施し、累計で984万杯を販売したほか、「2023年版ぎょうざ倶楽部お客様感謝キャンペーン」において109.4万名と過去最高の会員数を獲得することができました。また2023年6月23日から開始した「2024年版ぎょうざ倶楽部お客様感謝キャンペーン」では、キャンペーン景品として取り揃えた「忘れられない中華そば」のラーメン鉢にイラストを入れた「2023年干支入ラーメン鉢」や「光る!ワイヤレス充電器」などの新たなオリジナル限定グッズが人気を博しました。会員数は今年度も過去最高を更新するペースで推移しており、ロイヤルカスタマーの獲得に成果を上げることができました。

当社の看板商品である餃子に関しては、新鮮な“夏獲れ”の青森県産にんにくを“ニンニクヌーボー”とネーミングして、高い鮮度にこだわるとともに、「餃子の王将をもっとおいしく Challenge 2024」の第1弾として、餃子の餡に使用している生姜の調理方法とにんにくとのバランスを見直し、生姜の旨味をよりクリアーにしたことで、餃子がより美味しくなったと好評をいただきました。

そのほか、当社が注力している商品開発の成果として、2023年4月1日から全国販売を行った「忘れられない中華そば」は、「懐かしいのに、初めての味」が多くのお客様に支持され、3月末時点で販売累計476万杯を突破するなど、新たな人気商品となっております。

②店舗開発戦略

当連結会計年度において、直営6店舗の新規出店及びFC加盟店2店舗の直営への移行、直営1店舗の建替え、直営1店舗の移転を行いました。

新規出店では、2023年5月に「海老名上郷店」、6月に「国道4号幸手店」、7月に「イオンなかま店」、8月に「トライアル宇都宮店」、2024年1月に「国道50号結城店」、2月に「羽村小作坂上店」をオープンいたしました。

「海老名上郷店」「国道4号幸手店」「国道50号結城店」「羽村小作坂上店」は、それぞれ交通量の多い主要幹線道路沿いのロードサイド型店舗で、近隣地域に加えて広域から多くのお客様にご利用いただいております。この中では「国道4号幸手店」を昭和時代の懐かしい雰囲気を醸し出す「ネオ昭和」の路面デザイン店舗といたしました。

「イオンなかま店」は、福岡県中間市の新設商業施設内のロードサイド型店舗、「トライアル宇都宮店」は、平日休日を問わず集客力の高い「メガセンタートライアル宇都宮店」内正面1階への出店で、ともに広域からの安定的かつ多数の集客が認められます。

また、FC加盟店として営業していた徳島県鳴門市の「鳴門店」、大阪府大阪市の「針中野店」(FC加盟店は2022年10月に閉店)を直営店として出店いたしました。長年ご来店いただいたお客様から営業継続を望む声が多く、新規顧客も十分に見込めると判断したもので、針中野店については物件の特徴を活かし、テイクアウト&デリバリーを主体とする「ジョイ・ナーホ」の3号店として出店いたしました。

以上に加え、開店から40年を経過した「国道大久保店」の建替えと、周辺の再開発の機をとらえて「河内花園駅前店」の駅前表通りへの移転を行いました。ともにホールの席数を拡充するとともに、お持ち帰り・デリバリー需要の増加にも対応できるように、厨房面積の拡大と作業効率の良い厨房配置への切り替えを行いました。中でも「国道大久保店」は駐車場台数も大幅に増やし、「ネオ昭和」をコンセプトとした内外装デザインに一新いたしました。店舗の改装や移転は、従業員の士気の向上や客層の拡大など様々な利点があり、店舗の業績向上につながっているため、新規出店同様に、引き続き積極的に投資を行っていく方針です。

出店や移転にあたっては、候補エリアの商圏分析や立地調査の強化に加え、商圏・立地条件に応じた店舗タイプの検討や売上予測の精緻化など、投資に対して資本効率を高める努力を行っており、そうした成果により各店舗とも売上は好調に推移しております。

③FC推進戦略

直営店同様、FC加盟店においても「王将スタンダード」を徹底することで、基礎的レベルのさらなる向上を進めてまいりました。

調理に関しては、直営店と共通のレシピ・調理方法の徹底により、料理の品質の安定化と向上に努めました。特に新商品の「忘れられない中華そば」は、当社のショップアドバイザーがFC加盟店を巡回して調理指導を行いました。

衛生管理では、直営店と同じ衛生マニュアルを使用して、洗浄・清掃・消毒等の手順や食品の適切な取扱い方法等をFC加盟店に定着させ、当社の衛生管理専門部署がFC店長を対象とした講習会を実施するなど、さらなる衛生面の強化を図りました。

販売促進では、全店イベント実施時にFC加盟店の店頭告知を強化するなど、直営店舗と一体となった取り組みを行いました。

また、FC店舗の新規出店や移転にあたっては、当社の店舗開発部と営業部が現地調査や出店判断を含めサポートするなど、直営店舗と同様のプロセスによる着実な展開を図りました。

こうした施策の遂行により、FC加盟店の売上は直営店同様に過去最高となるなど好調に推移し、直営店売上高と合算したチェーン全店売上高は2年連続で1,000億円を超えました。当連結会計年度における決算上の売上高である当社セントラルキッチンからFC加盟店に対する出荷売上高も、同様に過去最高売上を記録しております。

④サステナビリティの取り組み

当社が「サステナビリティ基本方針」とともに定めた「サステナビリティビジョン」では、「食に困らない豊かな社会の実現」「全てのステークホルダーとの共栄」「地球環境の保全」を掲げています。

(ア)「食に困らない豊かな社会の実現」では、学校の休み期間に合わせた全国の子ども食堂等への「お子様弁当」の無償提供を2021年より実施しており、2023年も春休み、夏休み、冬休みと3回実施いたしました。当社の全国の店舗が毎回1,000を超える子ども食堂等に、多い時で1回あたり10万食を超える食数を提供しており(これまで実施した8回の累計で約58万食)、回を重ねるごとに着実に活動のすそ野が拡がっております。

また、同様に子どもたちの今と未来を支援する活動として、世界約120ヶ国で子ども支援を行う民間・非営利の国際組織「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」に対して本年は11百万円を寄付し、その活動に充てていただきました。

そのほか、令和6年能登半島地震においては、災害義援金として2024年2月と3月の限定メニューである「野菜煮込みラーメン」の代金の一部(1杯につき80円、総額61百万円)を日本赤十字社を通じて被災地に寄付、さらに、店頭では募金箱を設置し、京都府と連携して、石川県七尾市に対して、天然水ペットボトルを提供いたしました。また、七尾市の避難所で炊き出しを行い、被災者の方々に「野菜煮込みラーメン」540食と、「餃子」770食を提供いたしました。

当社はこれからも食を生業とする会社として、全ての人が食に困らない健康で豊かな社会の実現に取り組んでまいります。

(イ)「全てのステークホルダーとの共栄」では、その起点となる当社従業員に対して、前述の各種研修による人材育成に加え、次のような処遇面の大幅な引き上げを行いました。

・2023年度の月例給改定において、一人当たり平均約22,000円(賃上げ率7.0%)と過去最高の引き上げを実施いたしました。

・2023年夏期賞与においては、労働組合からの要求に対して、満額回答の支給(賞与テーブル100%に8.5%を加算)をいたしました。この結果、一人当たりの平均賞与支給額は過去最高を更新いたしました。

・2023年冬期賞与においては、労働組合から要求のあった「賞与テーブルに10%の『加算賞与』を上乗せした110%支給」への満額回答に加えて、「『決算賞与』の前倒し分として賞与テーブルの10%超を『特別加算賞与』として上乗せ」することで、合計で賞与テーブルの120%を上回る水準の支給を行いました。その結果、「加算賞与」と「特別加算賞与」による加算総額は約315百万円となり、一人当たりの平均賞与支給額では過去最高となりました。さらに2024年3月においても、好調な業績結果に対する従業員への還元として「決算賞与」を支給する事を決定し、上期業績に対する前払いである前述の「特別加算賞与」を合わせた年間業績結果に対する「決算賞与」の年間総額は約531百万円となり、「決算賞与」としても過去最高額となりました。

・2024年度の月例給改定においては、労働組合の要求に対し大幅な増額回答となる、一人当たり平均約39,162円(ベースアップを含めた賃上げ率11.5%)と2年連続で過去最高の引き上げを行いました。

・併せて、大卒新卒初任給について52,000円の引き上げを実施いたしました(実施後大卒初任給278,500円)。

当社は「人が価値を創る会社」として、これからも人的資本への投資に注力し、従業員エンゲージメントをさらに向上させることで、当社の成長力の源泉である従業員の成長を実現してまいります。

・物流2024年問題への対応につきましては、全社一丸となって取り組むべき課題と考え、まずは店舗の取り組みとして、搬入通路や格納場所の整理・修繕など、配送作業時間を削減する取り組みを行いました。次に配送の取り組みとして、配送トラック1台あたりの配送店舗数の削減や、配送とピッキング作業の分割化の推進、さらには、共同配送など、ドライバーの労働時間の短縮を図りました。こうした取り組みにより、当社における配送体制は十分に持続可能なものとなっております。

(ウ)「地球環境の保全」では、当社の事業活動に係る環境影響を低減するために、水道光熱使用量や一般廃棄物排出量の削減、さらには「プラスチック資源循環促進法」に基づくプラスチック使用量の削減等の取り組みを推進いたしました。

また、気候変動の問題では、気候変動に関する情報開示を目的にした国際組織であるTCFDの提言に沿った取り組みを行い、2021年度の事業活動におけるCO₂排出量(Scope1,2)及びサプライチェーンにおけるCO₂排出量(Scope3)などの開示を行いました(第49期有価証券報告書(2023年6月28日提出)にて詳細を開示:https://ir.ohsho.co.jp/ir/library/securities.html)。

CO₂排出量の算定は2022年度も継続して行っており、店舗・工場等における脱炭素に向けた諸施策の実行等により、当社の売上高当たりのCO₂排出量は2021年度に比較して減少していることを確認しております。

今後もサステナビリティを重視した経営を遂行し、当社の経営理念「お客様から褒められる店創り」を追求することで、企業価値の向上はもとより、持続可能な社会形成の実現に貢献してまいります。

 

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は、2022年2月から26か月連続で同月比過去最高売上を達成し、前年同期に比べて83億79百万円(9.0%)の増収で、過去最高となる1,014億1百万円と創業以来初めて1,000億円を突破いたしました。

 営業利益は、昨年よりもさらに高騰した原材料や包材の単価上昇等があったものの、増収効果に加え、高付加価値商品の販売等による原価率の低減や水道光熱費増加の抑制等により、前年同期に比べて23億4百万円(28.9%)の増益で、102億86百万円となりました。

 経常利益は、前年同期に営業外収益に計上した時短協力金収入9億15百万円の減益要因があるものの、当連結会計年度の増益幅が上回ったため、前年同期に比べて13億56百万円(14.8%)の増益で104億96百万円となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前述の理由に加え、固定資産売却益の計上等により前年同期に比べて16億97百万円(27.3%)の増益で79億11百万円となりました。

 当連結会計年度の店舗展開の状況につきましては、直営店7店(ジョイ・ナーホ針中野店を含む)、FC加盟店3店の新規出店、FC加盟店1店の直営店への移行、直営店1店のFC加盟店への移行、直営店4店・FC加盟店7店の閉店を行っております。これにより当連結会計年度末店舗数は、直営店545店、FC加盟店186店となり、合計店舗数は731店となりました。

 

(生産、受注及び販売の実績)

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、主な品目を示すと次のとおりであります。

品目

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

生産高(百万円)

前年同期比(%)

麺類

1,287

12.3

餃子の皮

849

2.3

餃子の具

5,850

5.4

成形餃子

7,202

4.9

スライス豚肉

836

22.5

(注)1 上記の金額は、製造原価額によっております。

2 成形餃子には餃子の具及び餃子の皮の生産高が一部含まれております。

 

② 商品仕入実績

品目

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

酒類

2,035

10.6

清涼飲料水等

208

27.7

合計

2,244

12.0

(注)1 上記の金額は、仕入価格によっております。

 

 

③ 受注実績

 当社グループは飲食業であり、見込生産によっておりますので、受注高及び受注残高について記載すべき事項はありません。

 

④ 販売実績

a 形態別販売実績

区分

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

店舗数(店)

金額(百万円)

前年同期比(%)

直営店

545

92,973

9.2

フランチャイズ加盟店

186

8,428

6.8

合計

731

101,401

9.0

(注)1 直営店は、直営店舗での中華料理等の販売高であり、フランチャイズ加盟店は、当社からの中華食材等の販売高であります。

2 店舗数は、期末日現在のものであります。

b 地域別販売実績

地域別

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

店舗数(店)

売上高(百万円)

前年同期比(%)

直営店

 

 

 

京都府

41

7,994

8.5

大阪府

116

19,157

6.5

兵庫県

38

6,984

7.5

滋賀県

15

3,290

6.1

奈良県

15

2,838

7.9

和歌山県

9

1,621

7.5

北海道

19

2,626

13.4

宮城県

4

695

4.6

東京都

60

10,033

11.1

埼玉県

26

3,648

8.8

千葉県

27

4,064

7.9

神奈川県

35

6,180

14.7

群馬県

6

795

11.9

茨城県

5

702

15.0

栃木県

3

515

44.3

長野県

4

479

15.4

新潟県

3

372

11.5

山梨県

1

175

19.3

愛知県

22

4,609

6.5

岐阜県

12

2,056

11.7

三重県

12

2,180

11.8

静岡県

7

1,194

6.2

富山県

4

607

1.5

石川県

8

1,295

7.9

福井県

4

633

8.7

岡山県

2

381

0.8

広島県

6

1,032

11.9

山口県

3

373

16.6

徳島県

2

172

148.7

香川県

4

450

14.2

福岡県

19

3,825

10.2

熊本県

4

563

9.2

佐賀県

2

326

0.5

長崎県

4

478

12.7

大分県

1

192

8.5

台湾

2

416

32.9

小計

545

92,973

9.2

 

 

地域別

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

店舗数(店)

売上高(百万円)

前年同期比(%)

フランチャイズ加盟店

 

 

 

京都府

5

175

19.9

大阪府

46

2,136

10.9

兵庫県

37

2,016

6.3

滋賀県

7

291

10.7

奈良県

2

140

10.1

和歌山県

3

92

4.3

北海道

0

5

△ 79.0

宮城県

1

58

4.2

東京都

7

247

4.3

茨城県

1

25

△ 0.9

埼玉県

6

329

5.1

神奈川県

5

226

3.1

群馬県

4

203

43.6

愛知県

20

947

2.6

岐阜県

5

271

14.3

長野県

0

7

△ 75.5

三重県

7

258

6.5

福井県

2

82

6.1

岡山県

7

158

9.4

広島県

3

50

10.8

山口県

1

15

30.2

鳥取県

3

120

11.6

徳島県

3

196

△ 21.6

香川県

3

126

12.2

愛媛県

2

48

8.5

高知県

2

111

△ 3.0

福岡県

3

62

△ 1.3

熊本県

1

20

31.9

小計

186

8,428

6.8

合計

731

101,401

9.0

(注)1 一部の複数の地域にまたがって店舗展開をしているフランチャイズ加盟店については、一部店舗の販売金額を当該フランチャイズ加盟店の本店所在地に含めて表示しております。

2 直営店は、直営店舗での中華料理等の販売高であり、フランチャイズ加盟店は、当社からの中華食材等の販売高であります。

3 店舗数は、期末日現在のものであります。

 

 なお、国内直営店売上についての主な分析は下記のとおりであります。

 

第49期店内店外別全店売上

 

売上高(百万円)

客数(千人)

客単価(円)

 

構成比

店内飲食

58,703

69.2%

60,185

975

テイクアウト・デリバリー

26,114

30.8%

17,010

1,535

合計

84,817

100.0%

77,195

1,099

(注)1 店内飲食のお客様がテイクアウトを追加注文された場合など混在した売上は、店内飲食としてカウントしております。

2 レジ入力ミス等による売上高の修正は店内飲食に含めております。

3 店内飲食は、コロナ禍で一時低調となっておりましたが、コロナ前の売上水準まで着実に回復させるとともに、引き続きテイクアウト・デリバリーの好調を維持いたしました。

 

第50期店内店外別全店売上

 

売上高(百万円)

客数(千人)

客単価(円)

 

構成比

店内飲食

66,985

72.4%

65,588

1,021

テイクアウト・デリバリー

25,571

27.6%

16,146

1,584

合計

92,556

100.0%

81,735

1,132

(注)1 店内飲食のお客様がテイクアウトを追加注文された場合など混在した売上は、店内飲食としてカウントしております。

2 レジ入力ミス等による売上高の修正は店内飲食に含めております。

3 店内飲食は、コロナ前を上回り、過去最高売上となりました。一方、テイクアウト・デリバリーは、テイクアウトが一部、店内飲食やデリバリーにシフトしたことと、サービスが終了したテイクアウト事前予約のEPARK利用売上が減少したことにより、前年比で減収となりましたが、依然として高い水準を維持しております。

 

 

第49期既存店月別売上構成比

 

第49期既存店曜日別平均売上対比

(月曜日を100として対比)

月別

売上構成比

(%)

営業日数

 

曜日別

平均売上対比

合計

 

4月

7.9

4

4

4

4

4

5

4

1

30

 

月曜日

100.0

5月

8.6

5

4

3

3

4

4

5

3

31

 

火曜日

101.3

6月

7.7

4

4

5

5

4

4

4

0

30

 

水曜日

109.4

7月

8.2

3

4

4

4

5

5

5

1

31

 

木曜日

103.6

8月

8.2

5

5

5

3

4

4

4

1

31

 

金曜日

121.6

9月

7.6

3

4

4

5

4

4

4

2

30

 

土曜日

158.8

10月

8.5

4

4

4

4

4

5

5

1

31

 

日曜日

159.7

11月

8.3

4

5

4

3

4

4

4

2

30

 

祝日

146.7

12月

8.8

4

4

4

5

5

5

4

0

31

 

 

 

1月

8.9

3

4

4

4

4

5

6

1

31

 

 

 

2月

8.1

4

4

4

3

4

3

4

2

28

 

 

 

3月

9.2

4

3

5

5

5

4

4

1

31

 

 

 

合計

100.0

47

49

50

48

51

52

53

15

365

 

 

 

(注)1 新規出店、閉鎖及び改装を行った店舗を除いております。

2 元旦は祝日としてカウントしておらず、1月2日は土曜日、1月3日は日曜日としてカウントしており、営業日数については営業していない店舗もあります。

 

 

第50期既存店月別売上構成比

 

第50期既存店曜日別平均売上対比

(月曜日を100として対比)

月別

売上構成比

(%)

営業日数

 

曜日別

平均売上対比

合計

 

4月

8.3

4

4

4

4

4

4

5

1

30

 

月曜日

100.0

5月

8.5

5

5

4

3

3

4

4

3

31

 

火曜日

101.9

6月

7.8

4

4

4

5

5

4

4

0

30

 

水曜日

107.7

7月

8.4

4

4

4

4

4

5

5

1

31

 

木曜日

104.6

8月

8.4

4

5

5

5

3

4

4

1

31

 

金曜日

119.5

9月

7.8

3

4

4

4

5

4

4

2

30

 

土曜日

157.8

10月

8.3

4

5

4

4

4

4

5

1

31

 

日曜日

158.1

11月

8.3

4

4

5

4

3

4

4

2

30

 

祝日

152.8

12月

8.6

4

4

4

4

5

5

5

0

31

 

 

 

1月

8.6

4

4

4

4

4

5

5

1

31

 

 

 

2月

8.0

3

4

4

5

3

4

4

2

29

 

 

 

3月

9.0

4

4

3

4

5

5

5

1

31

 

 

 

合計

100.0

47

51

49

50

48

52

54

15

366

 

 

 

(注)1 新規出店、閉鎖及び改装を行った店舗を除いております。

2 元旦は祝日としてカウントしておらず、1月2日は土曜日、1月3日は日曜日としてカウントしており、営業日数については営業していない店舗もあります。

 

(2)財政状態

(資産の部)

 当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ73億58百万円(8.7%)増加し、914億62百万円となりました。主な増加要因は次のとおりであります。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ47億38百万円(13.2%)増加し、406億7百万円となりました。主な要因は現金及び預金の増加等であります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ26億20百万円(5.4%)増加し、508億54百万円となりました。主な要因は建物及び構築物の増加等であります。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ14億93百万円(7.0%)増加し、228億27百万円となりました。主な増加要因は次のとおりであります。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ23億51百万円(18.6%)増加し、149億75百万円となりました。主な要因は未払法人税等の増加等であります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ8億58百万円(9.9%)減少し、78億51百万円となりました。主な要因は長期借入金の減少等であります。なお、借入金の残高は70億円となりました。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ58億65百万円(9.3%)増加し、686億35百万円となりました。主な要因は配当金の支払い27億27百万円に対し、親会社株主に帰属する当期純利益79億11百万円の計上により増加した事によるもの等であります。以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の74.6%から75.0%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ42億67百万円増加し、362億96百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果得られた資金は、前年同期に比べて48億92百万円(66.8%)増加し、122億17百万円となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益の増加であります。

 営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、税金等調整前当期純利益107億53百万円に減価償却費28億1百万円を加えた額から法人税等の支払額13億68百万円等を減じた額であります。

 

②投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果使用した資金は、前年同期に比べて6百万円(0.2%)減少し、32億22百万円となりました。主な要因は有形固定資産の売却による収入の増加であります。

 投資活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、有形固定資産の取得による支出34億82百万円等によるものであります。

 

③財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果使用した資金は、47億79百万円(50.3%)減少し、47億28百万円となりました。主な要因は長期借入金の返済による支出の減少であります。

 財務活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、長期借入金の返済による支出20億円及び配当金の支払額27億27百万円による支出であります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、安定した資金調達基盤を維持しつつ、資金効率を重視して資金調達を行う方針としております。当連結会計年度におきましては、前述した好調な業績により潤沢な営業キャッシュ・フローを創出できたことから、新規借入は実行しておりませんが、引き続き事業拡大のための事業投資と人的資本への投資を積極的に行う方針から、資金効率を重視しつつ、今後も必要に応じて最適な資金調達方法を検討し実行してまいります。

 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。

 

第48期

2022年3月期

第49期

2023年3月期

第50期

2024年3月期

自己資本比率(%)

66.1

74.6

75.0

時価ベースの自己資本比率(%)

126.1

134.6

161.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

1.2

1.2

0.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

224.2

240.4

471.8

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※ キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、連結決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、ならびに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り等を行っております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 フランチャイズ加盟店(FC店)等との間で、飲食店として当社の指導のもとに継続して営業することを目的とし、次のとおり契約を締結しております。

(イ)契約の名称 フランチャイズ基本契約

 

(ロ)契約者   フランチャイズ加盟店等

 

(ハ)契約の本旨 当社の許諾による飲食チェーン店経営のために食材、資材等の指定品目の購入義務を伴うフランチャイズ契約関係を形成すること。

 

(ニ)加盟料、保証金等

区分

店舗面積

加盟料(千円)

保証金(千円)

広告負担金(千円)

小型店

100㎡以下

750

1,000

20~40

中型店

100㎡超~200㎡

1,000

2,000

40~80

大型店

200㎡超

1,250

2,500

50~100

(注)1 当社従業員が独立してフランチャイズ加盟店となった場合については、加盟料は免除されます。

2 広告負担金は月額であります。

3 上記の他、当社より配達する食材運送費の分担金として、店舗の規模別、地域別に20~100千円の運送費を徴収しております。

4 一部契約店舗より改装費を毎月預かっております。

5 複数店舗を所有する場合、2店舗目以降よりロイヤリティを徴収しております。

 

(ホ)契約期間、契約の更新等

契約の期間   フランチャイズ基本契約は契約日より満9年

 

契約更新の条件 契約日より3年ごとに期間満了3か月前までに当社又は加盟店のいずれか一方からの異議がない場合

 

契約更新料   300~800千円

 

(注) 契約更新料は、小型店300~400千円、中型店400~600千円、大型店500~800千円であります。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。