当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「地球環境と資源を大切にしながら、空気・水・熱の科学に基づく高度な技術によって最適空間を創造し、人類文化の発展に貢献する」ことを企業理念としております。
エンジニアリングコンストラクターとして積極的な事業展開を図り、未来を見つめた技術の開発に取り組み、時代の変化に俊敏に対応する「環境創造企業」として、社会的責任を果たし、株主をはじめとするステークホルダーの皆様のご期待と信頼に応えるべく企業価値の向上を目指してまいります。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の日本経済は、引き続き、資源価格の高騰、物価上昇、金融資本市場の変動等先行きは依然として不透明な状況が続くと思われます。
こうした事業環境の下で、設備工事事業におきましては、前連結会計年度に引き続き建設投資は堅調に推移すると思われますが、資機材価格の高騰、労働者不足等によるコストの上昇が懸念されるため、施工における生産性の向上、利益管理の徹底に努めてまいります。機器製造販売事業におきましては、生成AI(人工知能)の活用によるデータセンターの需要などにけん引され回復が見込まれますが、乾燥(ドライヤ)技術を使った高機能フィルム製造装置向け製品などFPD・半導体分野での環境制御で培った技術を応用した製品の販売も進めてまいります。
当社グループは3ヶ年を計画期間とする第18次中期経営計画(2023年4月~2026年3月)を策定しており、次期連結会計年度は2年度に当たります。第18次中期経営計画は、先に策定した長期ビジョン「ASAHI-VISION 100」の最終ステージとして、2025年4月に迎える創業100周年とその先に向けて、次なる飛躍を目指すものであります。また、基本方針として下記の3つの戦略とそれらを支える2つの基盤強化に取り組みます。
① 事業戦略「収益力の強化と生産性の向上」
② 人材戦略「人材の価値を最大限に引き出す人的資本経営の実践」
③ イノベーション戦略「研究開発の強化・推進と新事業への挑戦」
④ サステナビリティ基盤の強化
⑤ DX基盤の強化
さらに、当社グループは、「地球環境と資源を大切にしながら、空気・水・熱の科学に基づく高度な技術によって、最適空間を創造し、人類文化の発展に貢献する」という企業理念に基づき、SDGs(持続可能な開発目標)基本方針を策定し、グループ全体としてのサステナビリティの観点を踏まえた経営を推進し、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
当社グループの第18次中期経営計画の最終年度(2026年3月期)の目標数値は連結受注高87,500百万円、連結売上高91,500百万円、連結営業利益3,250百万円、連結経常利益3,450百万円、連結当期純利益2,650百万円としております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方や取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
サステナビリティ全般
(1) ガバナンス
ガバナンス体制としては、取締役会の諮問機関として「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティに関する次の事項を協議または審議して、適宜、取締役会に対して提言・報告を行っております。委員会のメンバーは取締役会の決議により選任し、現在の委員長は代表取締役社長、委員は総務本部長、営業本部長、技術本部長、経営統括グループ統括となっており、事務局は経営統括グループ経営企画室が担っております。
・方針の立案、見直し
・推進体制の構築、整備
・重要課題(マテリアリティ)とその解決に向けた目標の設定
・諸施策や活動計画の策定、及びその進捗状況の確認・評価
・情報開示の内容の策定
・その他、サステナビリティに関わる取締役会が必要とする事項
(2) 戦略
当社の経営理念に基づき策定した「朝日工業社グループSDGs基本方針」に沿って、その中で定めた、地球(Planet)、豊かさ(Prosperity)、人間(People)、パートナーシップ(Partnership)、平和(Peace)の5つのPそれぞれに重点課題を決め、また、年度毎に「SDGsに係る取り組みテーマ・具体的な施策」を設定しております。
(3) リスク管理
当社グループに経済的もしくは信用上の損失または不利益を生じさせるリスクの防止及びリスクが顕在化したときの会社の損失の最小化を図るため、「リスク管理規程」を整備し、確実な運用を図っております。また、リスクマネジメントの更なる推進を図るため、リスクの管理に関する事項を統括する、「リスク管理委員会」を設置し、当社グループの経営に影響を及ぼすリスクについて協議または審議を行い、その結果を取締役会に報告しております。委員会のメンバーは取締役会の決議により選任し、現在の委員長は代表取締役社長、委員は総務本部長、営業本部長、技術本部長、経営統括グループ統括となっており、事務局は本社総務部が担っております。
(4) 指標及び目標
「
気候変動(TCFD提言への取組)
(1) ガバナンス
気候変動におけるガバナンス体制はサステナビリティ委員会が主として担っております。また、当社では国際規格ISO14001を遵守したEMS(環境マネジメントシステム)を全社的に構築・運用し、継続的な環境活動に取り組んでおります。EMSは代表取締役社長をトップマネジメントとし、本社に環境管理責任者(技術本部長)とISO事務局(技術本部環境推進室)、各事業店にエリアトップマネジメントとエリアISO事務局を配置して、全社一丸となってEMSを推進しております。サステナビリティ委員会事務局とISO事務局は、温室効果ガスの排出量の算出等について、綿密な連携を図っております。
(2) 戦略
当社グループの事業である「設備工事事業」及び「機器製造販売事業(製造業)」における気候変動に関するリスクと機会について、サステナビリティ委員会においてシナリオ分析を行いました。分析に用いる科学的シナリオについては以下を使用しております。
移行シナリオ…IEA WEO 「Net Zero Emission by 2050(NZE)」
(国際エネルギー機関 産業革命の水準から21世紀末の気温上昇を1.5℃未満に抑えるシナリオ)
物理的シナリオ…IPCC SSP5-8.5(気候変動に関する政府間パネル 第6次評価報告書(2021-2022年) 化石燃料依存型の発展の下で、気候政策を導入しない最大排出量シナリオ)
・気候変動に関するリスク(「関連事業」欄の「共通」は設備工事事業と機器製造販売事業の両事業が該当)
リスクの内、1.5℃シナリオで最も顕在化すると想定されるものを「移行リスク」、4℃シナリオで最も顕在化すると想定されるものを「物理的リスク」と定義し、当社グループ事業におけるリスクを抽出して、各リスクが発生すると想定される時期(長期:10年先・中期:5年先)と定量的な事業影響度(大・中・小)を分析しております。また、それらのリスクに対して、当社グループとしての対応策を検討し、気候変動における事業の方向性を示しております。
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リスク 種類 |
関連 事業 |
当社グループへの影響 |
想定 時期 |
影響度 |
対応策 |
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移行リスク
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政策 ・ 法規制 |
設備工事事業 |
建築物に対する環境・省エネルギー基準が厳しくなり、その基準に適応した設備の引き渡しが求められる。また、高効率機器・環境配慮機器の選定・施工の要求の高まりに伴い、建設コストが上昇する。 |
中期 |
大 |
環境・省エネ基準の厳格化や建設コストの上昇に対応できるよう、設計・施工の技術力のさらなる向上と購買力の強化を図り、設備のLCC(ライフサイクルコスト)の最小化にも資するコストパフォーマンスに優れたソリューションを提供し、コスト上昇分に確実に対応していく。 |
|
機器製造販売事業 |
製品に対する環境・省エネルギー基準が厳しくなり、その基準に適合した製品の提供が求められる。また、そのために製造コストが上昇する。 |
中期 |
大 |
環境・省エネ基準の厳格化や製造コストの上昇に対応できるよう、設計・製造の技術力のさらなる向上と購買力の強化を図り、生産計画・生産工程の見直しや代替素材の研究・模索をサプライチェーン企業と共同実施するなど、製品のLCC(ライフサイクルコスト)の最小化にも資するコストパフォーマンスに優れた製品を提供する。変化する環境や省エネ基準に適合する低価格な製品を開発する。 |
||
|
共通 |
炭素税、排出権取引、オフセットクレジット取引などの導入に伴うコストが発生する。 |
長期 |
中 |
事業所及び工場において省エネ機器や蓄電池、再生可能エネルギーを積極的に導入するとともに、「カーボン・ニュートラル認証制度」や「カーボン・オフセット制度」を利用し、導入コストの削減を図る。 |
||
|
エネルギーコストの上昇により建設・製造コストが増加する。循環型経済の進展に伴い、それに対応した資機材調達コスト、産業廃棄物の処理コストが増加する。 |
中期 |
中 |
建設・製造工期の合理化・高効率化によりエネルギー使用量の削減に努める。また、循環型経済に合致した資機材の選択による施工・製造、産業廃棄物の分別管理の徹底により調達及び処理コストを抑える。 |
|||
|
技術 |
共通 |
脱炭素、省エネルギーなどの環境配慮技術の開発や製品適用への遅れが受注機会の逸失につながる。 |
中期 |
大 |
既存技術のアップデート・実用化と新たな環境配慮技術・製品の研究・開発を推進する。顧客のカーボンニュートラルに向けたニーズを的確に把握し、それを踏まえた研究開発を推進する。 |
|
|
脱炭素、省エネルギーなどの環境配慮技術への投資や研究開発コストが増加する。 |
中期 |
大 |
産官学連携によるオープンイノベーションの有効活用や業界・業種に捕らわれないパートナー企業との協働を実現する。 |
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リスク 種類 |
関連事業 |
当社グループへの影響 |
想定 時期 |
影響度 |
対応策 |
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|
移行リスク
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市場 |
設備工事事業 |
循環型経済の進展により、建築物の建て替え(新築)が減少し、リニューアル、改修・保全工事の需要が高まる。 |
長期 |
大 |
リニューアル、改修・保全工事に対する営業力及び技術力の向上と体制整備を行い、売上の拡大を図る。 |
|
機器製造販売事業 |
製品の長寿命化の需要が高まり、顧客の買い替えサイクルが長期化する。 |
長期 |
大 |
長寿命化・高効率化の需要に対応した製品開発を行い、受注拡大を図る。また、製品の保守点検やリニューアルサービスにおける収益力の向上を図るとともに、製品のリサイクルを推進する。 |
||
|
共通 |
顧客の発注先選定において、環境負荷が低いサービスの提供が必須条件となる。 |
中期 |
大 |
顧客や市場のニーズを把握しながら、環境配慮面とコスト面を両立させた技術・サービス・製品の研究・開発を進めて、他社との差別化を図り、受注活動における優位性を確保する。 |
||
|
新たな環境配慮技術によって、海外や他業界からの新規参入が増加し、受注競争が激化する。 |
長期 |
大 |
||||
|
評判 |
共通 |
気候関連への取り組みや情報開示の不足により、企業イメージが悪化し、投資家や顧客の評価が低下する。また、採用活動に悪影響が生じる。 |
中期 |
大 |
サプライチェーン企業とも連携し、気候関連における取り組みを強化して、環境に関連する各種認定制度を積極的に取得するなど、それらの取り組みを積極的に開示する。研究開発の分野で高い専門スキルを持つ人材の確保及び育成を強化する。 |
|
|
環境配慮技術の不足により、顧客からの信頼や社会的評価が悪化する。 |
中期 |
大 |
2050年度のカーボンゼロを目指して環境関連技術の研究・開発に取り組むとともに、それらの技術を積極的に発信、アピールする。 |
|||
|
物理的リスク
|
急性 |
共通 |
自然災害の増加によって、事業拠点、建設・製造現場、サプライチェーンなどの操業が困難となり、設備の引き渡しや製品の納入に遅延が生じる。 |
長期 |
大 |
平時からサプライチェーン企業との連携を強化し、顧客対応も含めたBCPを策定し、有事の際に補完できる体制を整備する。 |
|
自然災害を被った顧客の設備や製品に対して、早急の復旧対策が必要となる。 |
中期 |
大 |
||||
|
慢性 |
設備工事事業 |
建設現場における作業環境の悪化により、作業員の熱中症などの健康被害が増加し、著しく労働生産性が低下する。また、それを防止するためのコストが増加する。 |
中期 |
中 |
熱中症対策をはじめとした健康被害の回避に向けた取り組みを推進し、現場就労者の心身負担の軽減と作業環境の改善を図る。また、施工現場におけるDX推進や工場加工・組立により、作業員工数の削減と労働生産性の向上を図る。 |
|
|
過酷な作業環境により、建設現場での労働力不足がさらに加速する。 |
中期 |
中 |
||||
|
機器製造販売事業 |
クリーンルームなどの製造環境の温湿度制御のためのコストが増加する。 |
長期 |
中 |
工場全体の空調・製造設備の省エネルギー化と最適運用を図るとともに、製造工程の効率化を図り、製造コストの圧縮に取り組む。 |
||
|
共通 |
水、エネルギー、原材料等の供給が不安定化する。 |
長期 |
中 |
当社グループ事業における省エネルギーの最大化を図る。また、複数のサプライヤーからの柔軟な供給体制の確立や、調達方法の見直しに取り組む。 |
||
・気候変動に関する機会(「関連事業」欄の「共通」は設備工事事業と機器製造販売事業の両事業が該当)
当社グループ事業における機会を抽出し、「エネルギー源」、「製品/サービス」、「市場」の3つに分類して、各機会が発生すると想定される時期(長期:10年先・中期:5年先)とそれぞれのシナリオにおける定量的な事業影響度(大・中・小)を分析しております。また、それらの機会に対して、当社グループとしての対応策を検討し、気候変動における事業の方向性を示しております。
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機会種類 |
関連 事業 |
当社グループへの影響 |
想定 時期 |
影響度 |
対応策 |
|
|
1.5℃ シナリオ |
4℃ シナリオ |
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エネルギー源 |
共通 |
再生可能エネルギーの普及によって、生活様式が変化し、さらに省エネルギーに対する要請が高まることで、それを可能とする機器やシステム、製品への乗り換え需要が発生する。 |
長期 |
中 |
中 |
機器メーカーや他業種との連携により、さらに高効率な機器やシステム、製品の開発を推進する。また、それを積極的に社外に発信して需要の取り込みを図る。 |
|
雪氷熱利用や地中熱利用、バイオマス発電など、新エネルギーに関連する建設・製品市場が拡大する。 |
長期 |
中 |
小 |
機器メーカーや他業種との連携によって、自然エネルギーや新エネルギーに対応した技術の開発を推進し、それを積極的に社会に発信して需要の取り込みを図る。また、将来的なコーポレートPPAや産官学によるオープンイノベーション等の有効活用を推進する。 |
||
|
製品/ サービス |
共通 |
環境配慮技術の開発・改良により、受注機会が増加する。 |
中期 |
大 |
中 |
ZEBをはじめとするゼロエネルギー技術の開発やサプライチェーン企業との連携強化を図り、獲得した技術によって新規顧客の開拓を進める。また、行政の低炭素エネルギー向けの助成金を活用した提案営業を推進する。 |
|
法規制の強化により、その基準を達成するための建設投資や装置入れ替え需要が拡大する。 |
長期 |
大 |
中 |
|||
|
環境配慮技術の研究開発や適用した設備・製品に対する国や自治体の助成が強化され、民間投資が拡大する。 |
中期 |
中 |
小 |
|||
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市場 |
共通 |
設備や製品の長寿命化により、リニューアル、改修・保全に関する市場が拡大する。 |
長期 |
大 |
大 |
リニューアル、改修・保全工事に対する技術力の向上と体制整備を行う。また、他企業とのアライアンスやM&Aも検討し、新たな市場への進出を目指す。 |
|
政府の環境政策による新たな市場の創出により、事業機会が生まれる。 |
長期 |
中 |
小 |
|||
|
積極的な気候関連への取り組みやその情報開示の強化により、社外からの評価や企業イメージが向上し、投融資の獲得や資金調達コストの低減、受注機会の拡大が可能となる。 |
中期 |
大 |
中 |
気候変動対策に関する取り組みを強化し、環境に関連する各種認定制度を積極的に取得する。また、それらの取り組みを積極的に開示する。 |
||
|
労働環境の改善により、労働力の確保が容易となる。 |
中期 |
大 |
中 |
建設従事者だけでなく、デジタル技術に精通した人材など、多種多様な人材を積極的に確保して、当社グループの持続可能性を高める。 |
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※影響度評価基準
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利益 |
売上 |
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大 |
5億円以上 |
大 |
100億円以上 |
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中 |
~5億円未満 |
中 |
~100億円未満 |
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小 |
~1億円以下 |
小 |
~10億円以下 |
(3) リスク管理
気候変動に関するリスクの識別・評価・管理のプロセスは、主にサステナビリティ委員会がその役割を果たしておりますが、必要に応じてリスク管理委員会と連携して、全社的リスク管理への統合を図るとともに、リスクマネジメントの推進を強化しております。
(4) 指標及び目標
当社は、気候変動に関するリスクと機会を評価する際に用いる指標として、Scope1、Scope2及びScope3における温室効果ガス排出量(t-CO2)を使用しております。
各Scopeの算定を2022年6月より開始し、2019年度及び2023年度の算定値は以下のとおりであります。なお、Scope1+2における排出量は、2030年度までに2019年度比で65.0%削減することを目標とし、目標達成に向け、今後、太陽光発電や自然由来の電力などを積極的に取り入れて温室効果ガス排出量の削減に努めるとともに、引き続き当社が保有する脱炭素技術や省エネ技術を最大限駆使して、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。Scope3につきましては、今後の目標設定に加え、取引先等との連携を強化し、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減に取り組んでまいります。
温室効果ガス(CO2)排出量実績と削減目標 (単位:t-CO2)
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Scope1+2 |
基準年度 |
実績 |
目標値 |
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2019年度 |
2023年度 |
2025年度 |
2030年度 |
2050年度 |
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CO2排出量 |
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|
1,930 |
1,064 |
0 |
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削減率 |
- |
△21.3% |
△36.5% |
△65.0% |
△100.0% |
|
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2019年度 |
2023年度 |
増減率 |
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Scope1 |
|
|
△24.9% |
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|
Scope2 |
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|
△20.9% |
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Scope1・2合計 |
3,039 |
2,391 |
△21.3% |
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Scope3 |
1 購入した製品・サービス |
344,867 |
278,488 |
|
|
2 資本財 |
304 |
239 |
|
|
|
3 Scope1、2に含まれない 燃料及びエネルギー活動 |
258 |
393 |
|
|
|
4 輸送、配送(上流) |
10,507 |
8,279 |
|
|
|
5 事業から出る廃棄物 |
1,201 |
1,453 |
|
|
|
6 出張 |
772 |
1,054 |
|
|
|
7 雇用者の通勤 |
221 |
278 |
|
|
|
11 販売した製品の使用 |
1,304,709 |
1,115,595 |
|
|
|
Scope3合計 |
|
|
△15.5% |
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|
Scope1・2・3合計 |
|
|
△15.5% |
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(注)1.算定対象とする範囲は、国内事業としております。
2.Scope3のカテゴリー8~10及び12~15は該当なしとしております。
3.昨年度から下記の点において算定方法を変更しております。
・Scope2へ全国の現場事務所で使用する電力量を加算
・Scope2の算出をロケーション基準からマーケット基準へ変更
人的資本・多様性
当社グループは、建設業界において、人こそが最大の財産であり、競争力の源泉であると考えており、技術革新が著しく、環境変化がさらに加速している中にあって、当社グループが持続的に企業価値を高めていくためには、変化を見据えた人材ポートフォリオの構築や付加価値を生み出す人材の確保と育成が重要であります。当社は、企業理念のポリシーの中に「人間尊重の経営」と「働きがいのある職場」を謳い、全役職員が多様な人材の価値観を尊重して十分に能力を発揮できるように、また働きがいを感じられる職場となるように、ワークライフバランスやダイバーシティを推進するとともに、中長期的な視点をもって人材育成を進めております。
(1) 戦略
当社グループでは、年齢や性別、身体能力にかかわらず、さまざまな人がそれぞれの能力を十分に発揮できるように、ダイバーシティへの取り組みを推進しております。定年再雇用者については、これまでの経験を生かして後進の育成・指導や繁忙部門のサポート担当としての活躍の場の拡充を目指すとともに、職務内容や能力に応じた各種処遇の改善を図っております。障がい者雇用については、障がいのある従業員が勤務しやすいようにサテライトオフィスを設置するなど、新たな雇用の創出に向けて就労環境を整備しております。また、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下「女性活躍推進法」という。)に基づき策定した行動計画に沿って、女性総合職の採用増及び勤続年数の伸長に努めるとともに、女性が働きやすい環境の整備等に取り組んでおります。さらに、持続的な成長にとって人材こそが極めて重要であるとの認識のもと、性別によらない、専門的な能力、経験、識見等を備えた多様で優秀な人材を幅広く確保するため、中途採用の拡充にも取り組んでおります。これからも、多様なバックグラウンドを有するさまざまな従業員の視点を複合的に取り入れ、ダイバーシティの実現に努めてまいります。
具体的な取り組みといたしましては、「
(2) 指標及び目標
当社は、「管理職などの中核人材における多様性の確保」に関して、性別、国籍、中途採用等の属性ごとに次のような目標を設定しております。
女性の採用につきましては、建設業という業種から、今まで女性自体の応募が少ない事情もあり、当社では、女性の採用や育成が進みづらい環境にありました。特に、管理職候補となる総合職社員総数に対する女性社員の割合は、男性社員と大差があります。そのため女性活躍推進法の趣旨に則り、まず、母数となる女性社員数を増加すべく、現在は女性社員の新卒採用比率を15%以上とする目標としております。毎年の女性応募数の変動もあり、目標に達成・未達成と分かれる年もありますが、この5年間の女性の総合職採用は平均12.1%(平均約4人/年)となっており、2030年迄に女性の新卒採用比率を20%以上とする目標を掲げ、求人対象となる学校等の拡充、当社の充実した社員教育制度のアピール等を図り、積極的な採用活動を進めてまいります。
同様に女性管理職につきましても、現在0.9%という微数に留まっておりますが、2030年迄に3%以上を目標として、女性活躍を推進するための育成環境の整備を図り、適材適所による女性管理職の任用を進めてまいります。
外国籍社員の国内登用につきましては、現在0.2%(管理職任用は0人)となっております。今後は、海外関連会社(台湾・マレーシア)との綿密な連携を図るためにも、多国籍社員の人員は必要と考え、2030年迄に全従業員に対する割合を1%以上とし、管理職任用についても1%以上を目標といたします。
中途採用につきましては、毎年10人以上の採用を目標にしております。管理職候補を含め、継続的に採用活動を実施しており、管理職に占める比率は12.5%となっております。現在、人員構成上、40歳代の社員が不足しているため、2030年迄に中途採用者の管理職割合の目標を20%以上とし、前述の女性及び外国籍社員の管理職候補を含めた中途採用活動を積極的に推進してまいります。
なお、連結子会社を含めた指標及び目標の設定は困難なため、当社単独の指標及び目標としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当社に経済的もしくは信用上の損失または不利益を生じさせるリスクの防止およびリスクが顕在化したときの会社の損失の最小化を図るため、「リスク管理規程」を整備し、確実な運用を図っています。また、リスクの管理に関する事項を統括し、リスクマネジメントの更なる推進を図るため、「リスク管理委員会」を設置し、当社の経営に影響を及ぼすリスクについて協議または審議し、その結果を取締役会に報告して、リスクマネジメントの推進を強化しております。
(1)市場環境について
建設業界は、公共投資、民間の設備投資に左右される傾向があり、公共投資予算の削減や国内外の景気動向の影響で設備投資計画が縮小する場合があります。また、厳しい受注価格競争による予想以上の受注採算の低下や資機材高騰による原価の上昇が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
機器製造販売事業の主要製品である精密環境制御機器は、半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置向け製品の急速な技術革新に伴い大幅に成長する反面、需給のバランスの悪化から市況が低迷するという周期的な好不況の波があります。このような環境の中、予想を上回る下降局面になった場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、精密環境制御機器は、特定の取引先への依存度が高くなっており、当該取引先の業績、外注政策等により、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、市場や顧客の動向に十分注視するとともに、長期ビジョン、中期経営計画において、将来を見据えた積極的な経営と社会やお客様のニーズを的確に捉えた独自の技術・サービスへの取り組みを強化しております。また、現場支援体制の強化等により業務効率化や徹底したコスト削減により施工・製造現場の生産性の向上を図っております。
(2)取引先の信用リスク
建設業においては、1件あたりの取引における請負金額が大きく、また多くの場合には、工事目的物の引渡時に多額の工事代金が支払われる条件で契約を締結します。このため、工事代金を受領する前に取引先が信用不安に陥った場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、与信管理に係る規程等に従い、取引先ごとの期日管理及び残高管理を徹底するとともに、主な取引先の信用状況を定期的に把握する体制としております。
(3)株価の変動リスク
当社グループは、売買目的の有価証券は保有しておりませんが、取引関係の維持発展等、中長期的な企業価値を向上させることを目的として、主要取引先の株式を保有しております。これらの有価証券のうち、時価を有するものについては、株価変動のリスクを負っております。
また、株価の下落は年金資産の目減りを通じて、年金の積立不足が増加し、年金費用を増大させるリスクがあります。
当社では、毎年定期的に取締役会において、政策保有株式の保有の意義や資本コスト等を踏まえた経済合理性について検証を行い、保有が適切でないと判断されるものについては、縮減を行っております。
(4)退職給付債務
当社グループの従業員の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、当社及び国内連結子会社は総合設立型の確定給付企業年金制度に加入しておりますが、その財政状態悪化による制度の見直しによっては、グループの退職給付費用の増加を招き、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、割引率、期待運用収益率等の計算基礎については、毎期、見直しを行い、合理的に算定しており、また年金資産の運用についても、安全性の高い資産での運用を継続しております。
(5)不採算工事の発生によるリスク
工事の施工段階において想定外の追加原価等により不採算工事が発生した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、工事の施工に関しては、採算性と施工体制を重視し、適正な原価管理、進捗管理を徹底しております。
(6)労働災害リスク
工事・製造現場において重大な労働災害が発生した場合には、進捗に支障をきたし、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、関係者への補償等による損失の発生により、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、工事の施工や機器の製造工程における労働災害の撲滅に向けて、安全教育や作業現場での安全点検パトロール等を実施しております。また、事故が発生した場合には原因を解明して社内に周知するとともに、再発防止策の策定等、安全管理を徹底し、安全な作業環境の整備に努めております。
(7)法的規制リスク
当社グループは、事業活動において、建設業法、労働安全衛生法、独占禁止法等、各種法令による規制を受けており、これらの改定ないし新設により新たな義務が発生するほか、費用負担の増加や権利の制約等が発生する可能性があります。また、コンプライアンスに違反する事象が発生した場合には、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、事業の停止等に至る可能性があります。
当社グループでは、内部監査の強化、内部通報制度の周知徹底、コンプライアンス研修を通じての役職員に対して各種法令の遵守を徹底しております。
(8)訴訟等のリスク
当社グループは、事業活動を遂行する上で、取引先から契約不適合責任、製造物責任等、様々な訴訟等が提起された場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、訴訟等が提起されることを未然に防ぐため、法令遵守を徹底しております。また、重要な訴訟等が提起された場合は、法務担当部署が所管部署や弁護士等と連携をとりながら、慎重かつ迅速に対応しております。
(9)情報セキュリティリスク
当社グループは、技術情報等の重要な機密情報や取引先及びその他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報の漏洩、不正使用、外部からの不正アクセス等により、対外的な信用毀損、損害賠償、復旧費用が発生した場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティ統括責任者を選任し、情報セキュリティ管理組織の下、情報管理の強化を図っております。また役職員が順守すべき「情報セキュリティ管理規程」を制定するとともに、BCP及び「情報セキュリティ対策基準」に沿って、情報管理、セキュリティ教育を通じて重要性を周知徹底しております。さらに当社情報システムにおいて、第三者の専門家によるリスクアセスメントを実施し、技術的、組織的対策の強化に努めております。
(10)海外事業リスク
当社グループは、台湾及びマレーシアにて海外事業を行っておりますが、現地において、予期しない法規制や租税制度の変更、政情不安、経済状態及び為替レートの急激な変動、資材価格の高騰、労務単価の上昇等が起きた場合には、工事の進捗の遅れや工事利益が確保できず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
海外事業については、比較的政情の安定した国・地域で事業展開を行っております。また、進出先の政治・経済・法令の情報収集を随時行い、現地スタッフへの教育、海外赴任者へのリスク管理の徹底に努めております。
(11)気候変動リスク
現在世界が直面している気候変動における主な移行リスクとしては、脱炭素社会への急激な移行に伴う環境・省エネ基準の厳格化による建設・製造コストの上昇、循環型経済の進展に伴う新築工事の減少による受注機会の減少と競争の激化、脱炭素技術の開発を含めた気候関連への取り組み及び情報開示の不足による社会的評価の悪化等が挙げられ、これらが経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、主な物理的リスクとしては、自然災害の増加による操業の困難化、急激な気温上昇に伴う建設現場の作業環境の悪化による作業員の熱中症等の健康被害の増加と労働生産性の低下、水・エネルギー・原材料の供給の不安定化等が挙げられます。これらが事業の停止等に至る可能性があるとともに、これらへの対応コストの上昇が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、2022年3月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、同提言に沿った情報開示を進めるとともに、脱炭素技術の開発の推進、設計・施工・製造に係る技術力の強化、再生可能エネルギーの積極的な導入、カーボン・ニュートラル認証制度をはじめとした脱炭素関連の認証制度の利用、建設現場における作業環境の改善やDX推進による労働生産性の向上を図る等、サプライチェーン企業と連携して各リスクに対応してまいります。また、平時からBCPに関する全社的な教育・訓練を実施し、適宜内容を見直すことにより、大規模な自然災害の発生時にも円滑に対応できるよう体制を整えております。
(12)感染症のリスク
新興感染症の影響により、工事の中断や遅延が発生した場合、当社グループの事業活動が困難となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、BCPにおいて、感染症流行時における拡大を防止するための対応手順について定めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移しましたが、一方で、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格の高騰、世界的な金融引き締めによる影響、中国の景気減速などにより先行きは依然として不透明な状況が続きました。
当社グループの事業環境は、設備工事事業につきましては、建設投資は堅調に推移しておりますが、資機材価格の高騰、労働者不足によるコストの上昇などが懸念される状況が続きました。精密環境制御機器の製造販売事業につきましては、FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置向け製品、半導体製造装置向け製品ともに、納入先の生産調整の影響などによる減少が続きました。
こうした事業環境の下で、当社グループは第18次中期経営計画の初年度に当たり、収益力の強化と生産性の向上に総力をあげて取り組んでまいりました。その結果、機器製造販売事業は当初予想を下回りましたが、全体では、受注高、売上高、利益面すべてにおいて、当初予想を上回る成績を上げることができました。
1.財政状態
当連結会計年度末の資産総額は84,012百万円で、前連結会計年度末比5,070百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の負債総額は45,255百万円で、前連結会計年度末比1,694百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の純資産総額は38,756百万円で、前連結会計年度末比3,375百万円の増加となりました。
2.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、受注高97,586百万円(前連結会計年度比12.5%増加)、売上高91,676百万円(前連結会計年度比14.4%増加)、営業利益4,568百万円(前連結会計年度比69.3%増加)、経常利益4,896百万円(前連結会計年度比56.6%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益3,712百万円(前連結会計年度比49.6%増加)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
(設備工事事業)
受注高93,161百万円(前連結会計年度比13.5%増加)、売上高88,235百万円(前連結会計年度比17.5%増加)、営業利益5,111百万円(前連結会計年度比98.8%増加)となりました。
(機器製造販売事業)
受注高4,424百万円(前連結会計年度比5.6%減少)売上高3,441百万円(前連結会計年度比32.0%減少)、営業損失542百万円(前連結会計年度営業利益126百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より439百万円増加し、17,979百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は2,010百万円(前連結会計年度比2,045百万円の増加)となりました。主な増減は、税金等調整前当期純利益の計上による増加、売上債権・仕入債務等の増減による減少です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は304百万円(前連結会計年度比177百万円の増加)となりました。主な増減は、有形・無形固定資産の取得、定期預金の預入による支出、投資有価証券の売却による収入です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は1,293百万円(前連結会計年度比55百万円の増加)となりました。主な増減は、配当金の支払です。
キャッシュ・フローの指標のトレンドを示すと下記のとおりです。
|
|
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
|
自己資本比率 |
38.0% |
47.1% |
47.7% |
44.8% |
46.1% |
|
時価ベースの自己資本比率 |
25.3% |
27.3% |
28.5% |
35.6% |
51.3% |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
0.5年 |
-年 |
0.7年 |
-年 |
1.0年 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
252.0倍 |
-倍 |
163.1倍 |
-倍 |
129.0倍 |
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式数控除後)により算出しております。
3.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロー(利息の支払額及び法人税等の支払額控除前)を使用しております。また利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債の内、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5.2021年3月期及び2023年3月期は、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。
③ 生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
設備工事事業(百万円) |
- |
- |
|
機器製造販売事業(百万円) |
3,829 |
88.6 |
|
合計(百万円) |
3,829 |
88.6 |
(注)1.金額は、売上原価により算出しております。
2.当社グループでは設備工事事業における生産実績を定義することは困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。
2.受注実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|||
|
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
設備工事事業(百万円) |
93,161 |
113.5 |
82,744 |
106.3 |
|
機器製造販売事業(百万円) |
4,424 |
94.4 |
5,545 |
121.6 |
|
合計(百万円) |
97,586 |
112.5 |
88,290 |
107.2 |
3.販売実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
設備工事事業(百万円) |
88,235 |
117.5 |
|
機器製造販売事業(百万円) |
3,441 |
68.0 |
|
合計(百万円) |
91,676 |
114.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度 鹿島建設㈱ 9,434百万円 11.8%
清水建設㈱ 8,106百万円 10.1%
当連結会計年度 鹿島建設㈱ 15,967百万円 17.4%
3.機器製造販売事業において前連結会計年度と比較して大幅に減少しておりますが、これは、主としてFPD製造装置向け製品等の販売実績が減少したことによるものであります。
参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりであります。
1.受注高、売上高及び繰越高
|
期別 |
区分 |
前期繰越高 (百万円) |
当期受注高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期売上高 (百万円) |
次期繰越高 (百万円) |
|
前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
設備工事事業 |
69,096 |
80,221 |
149,317 |
72,397 |
76,919 |
|
機器製造販売事業 |
4,937 |
4,685 |
9,622 |
5,060 |
4,562 |
|
|
合計 |
74,034 |
84,906 |
158,940 |
77,458 |
81,482 |
|
|
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
設備工事事業 |
76,919 |
90,710 |
167,630 |
86,365 |
81,264 |
|
機器製造販売事業 |
4,562 |
4,426 |
8,989 |
3,443 |
5,545 |
|
|
合計 |
81,482 |
95,137 |
176,619 |
89,809 |
86,810 |
(注)1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更のあるものについては、当期受注高にその増減額を含んでおります。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2.次期繰越高は(前期繰越高+当期受注高-当期売上高)であります。
2.受注高の受注方法別比率
受注方法は、特命と競争に大別されます。
|
期別 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
|
前事業年度 |
(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
55.9 |
44.1 |
100.0 |
|
当事業年度 |
(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
58.9 |
41.1 |
100.0 |
(注)百分率は請負金額比であります。
3.売上高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
合計(百万円) |
|
|
前事業年度 |
(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
設備工事事業 |
8,868 |
63,529 |
72,397 |
|
機器製造販売事業 |
- |
5,060 |
5,060 |
||
|
合計 |
8,868 |
68,589 |
77,458 |
||
|
当事業年度 |
(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
設備工事事業 |
6,010 |
80,354 |
86,365 |
|
機器製造販売事業 |
- |
3,443 |
3,443 |
||
|
合計 |
6,010 |
83,798 |
89,809 |
||
(注)1.前事業年度完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
|
独立行政法人国立病院機構 弘前病院 |
独立行政法人国立病院機構弘前総合医療センター(仮称)整備工事(機械) |
|
鹿島建設㈱ |
中外ライフサイエンスパーク横浜建設工事のうち給排水衛生設備工事 |
|
清水建設㈱ |
鹿児島中央駅西口複合ビル(仮称)機械設備工事 |
|
全星薬品工業㈱ |
全星薬品工業㈱岸和田工場E棟新築建設に伴う機械設備工事 |
|
㈱竹中工務店 |
東北学院大学五橋キャンパス(講義棟)機械設備工事 |
当事業年度完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
|
戸田建設㈱ |
渋谷駅桜丘口再開発 B街区空気調和換気設備工事・給排水衛生設備工事 |
|
国立大学法人弘前大学 |
弘前大学(医病)病棟新営その他機械設備工事 |
|
清水建設㈱ |
ロジポート名古屋新築工事に伴う空気調和衛生設備工事 |
|
㈱大林組 |
東洋大学朝霞キャンパス整備工事(空調設備工事) |
|
千葉県 |
(仮称)千葉県総合救急災害医療センター空調設備工事 |
2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度 鹿島建設㈱ 9,434百万円 12.2%
清水建設㈱ 8,106百万円 10.5%
当事業年度 鹿島建設㈱ 15,967百万円 17.8%
㈱竹中工務店 9,017百万円 10.0%
4.繰越高(2024年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
合計(百万円) |
|
設備工事事業 |
9,088 |
72,175 |
81,264 |
|
機器製造販売事業 |
- |
5,545 |
5,545 |
|
合計 |
9,088 |
77,721 |
86,810 |
(注)繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
|
㈱大林組 |
NHK川口施設(仮称) |
2026年3月完成予定 |
|
㈱大林組 |
近畿大学医学部・近畿大学病院新築工事(A工区) 外来棟・臨床研究棟・PD 機械設備工事/樋工事 |
2025年7月完成予定 |
|
㈱ナカノフドー建設 |
㈱児湯食鳥 都城工場建設計画 機械設備工事 |
2024年10月完成予定 |
|
鹿島建設㈱ |
浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事に伴う給排水衛生設備工事(1期) |
2024年11月完成予定 |
|
沖縄防衛局 |
ハンセン(R2)隊舎(4011)新設機械工事 |
2025年3月完成予定 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況の分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営に影響を与える大きな要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
1.財政状態
(資産総額)
当連結会計年度末の資産総額は84,012百万円で、前連結会計年度末比5,070百万円の増加となりました。
流動資産は63,854百万円で、前連結会計年度末比4,653百万円の増加となりました。主な増加は、現金預金1,099百万円、受取手形・完成工事未収入金等の売上債権2,362百万円及び電子記録債権2,187百万円です。
固定資産は20,157百万円で、前連結会計年度末比416百万円の増加となりました。主な増加は、投資有価証券541百万円です。
(負債総額)
当連結会計年度末の負債総額は45,255百万円で、前連結会計年度末比1,694百万円の増加となりました。
流動負債は43,677百万円で、前連結会計年度末比2,034百万円の増加となりました。主な増加は、未払法人税等746百万円及び工事損失引当金905百万円です。
固定負債は1,578百万円で、前連結会計年度末比340百万円の減少となりました。主な減少は、繰延税金負債292百万円です。
(純資産総額)
当連結会計年度末の純資産総額は38,756百万円で、前連結会計年度末比3,375百万円の増加となりました。
株主資本は34,316百万円で、前連結会計年度末比2,523百万円の増加となりました。主な増加は、利益剰余金2,491百万円です。
その他の包括利益累計額は4,440百万円で、前連結会計年度末比851百万円の増加となりました。主な増加は、その他有価証券評価差額金627百万円です。
2.経営成績
(受注高)
受注高は、設備工事事業が前連結会計年度に比べ13.5%増加の93,161百万円、機器製造販売事業が前連結会計年度に比べ5.6%減少の4,424百万円を計上したことにより、前連結会計年度に比べ12.5%増加の97,586百万円となりました。
(売上高)
売上高は、設備工事事業が前連結会計年度に比べ17.5%増加の88,235百万円、機器製造販売事業が前連結会計年度に比べ32.0%減少の3,441百万円を計上したことにより、前連結会計年度に比べ14.4%増加の91,676百万円となりました。
(売上総利益、一般管理費及び営業利益)
売上高の増加と工事採算の改善などにより、売上総利益は前連結会計年度に比べ2,599百万円増加し、11,652百万円となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より増加し7,084百万円となりました。
その結果、営業利益は前連結会計年度に比べ69.3%増加の4,568百万円となりました。
(経常利益)
経常利益は、営業外損益が328百万円のプラスとなったことにより、前連結会計年度に比べ56.6%増加の4,896百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損益に投資有価証券売却益251百万円等を計上したことにより、前連結会計年度に比べ49.6%増加の3,712百万円となりました。
3.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(設備工事事業)
設備工事事業は、建設投資は堅調に推移しておりますが、資機材価格の高騰、労働者不足によるコストの上昇などが懸念される状況が続きました。
受注高は、民間工事が前年を上回ったことにより、前連結会計年度に比べ13.5%増加の93,161百万円となりました。
売上高は、民間工事が前年を上回ったことにより、前連結会計年度に比べ17.5%増加の88,235百万円となりました。
セグメント利益は、売上高の増加と工事採算の改善などにより、前連結会計年度に比べ98.8%増加の5,111百万円となりました。
セグメント資産は、受取手形・完成工事未収入金等の売上債権が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ5,774百万円増加の50,947百万円となりました。
(機器製造販売事業)
機器製造販売事業は、FPD製造装置向け製品、半導体製造装置向け製品ともに、納入先の生産調整の影響などによる減少が続きました。
受注高は、主に半導体製造装置向け製品が減少したことにより、前連結会計年度に比べ5.6%減少の4,424百万円となりました。
売上高は、FPD製造装置向け製品が減少したことにより、前連結会計年度に比べ32.0%減少の3,441百万円となりました。
セグメント損失は、売上高が減少したことにより、前連結会計年度の営業利益126百万円から減少し、542百万円の営業損失となりました。
セグメント資産は、仕掛品等が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ526百万円増加の6,202百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
1.資金需要
当社グループの主要な資金需要は、設備工事事業における工事施工及び機器製造販売事業における製品製造販売のための材料費、外注費、経費、並びに販売費及び一般管理費等の営業費用の支払いに要するものであります。
2.財務政策
当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入れにより資金調達を行っております。また、国内金融機関において合計50億円のコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指し第18次中期経営計画を策定しております。詳細につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。
また、2025年3月期につきましては、受注高84,700百万円、売上高92,500百万円、営業利益3,600百万円、経常利益3,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,100百万円を目標達成のための客観的な指標としております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社は、長年培ってきた空気・水・熱に関する技術を基に、一般空調から様々な産業空調に亘る最適環境を目指して研究開発を行っています。また、固有の技術をベースに、先端産業分野向けの超精密温湿度調整装置の開発も行っています。
当連結会計年度における研究開発費は、
当連結会計年度における主な成果は下記のとおりです。
(設備工事事業)
技術研究所では、一般空調と産業空調を対象として、各種の建築や環境設備に対応した要素技術の研究開発やシステム開発、性能評価検証等の幅広い技術の創造を積極的に推進しております。
(1) 脱炭素社会の実現に向けた空調システムの開発
業務用ビルのZEB化に向けて、潜熱・顕熱分離空調に再生可能エネルギーを活用したシステムを開発しています。また、オープンダクトを活用した空調搬送動力の効率化を検証し、大学との共同特許が開示されました。
植物工場における省エネ化においては、冷却・除湿・加湿の最適制御による空調の省エネシステムを開発するとともに、培養液の効率的な運用による資源やエネルギー消費削減などによる脱炭素社会への貢献も目指しています。
(2) 空気環境対策等のコア技術の研究開発
噴流誘引を用いる排気補助装置を開発し、「オックスジェット」として商標登録しました。合わせて局所排気技術における性能評価手法を検証し、各種学会で発表を行いました。また、室圧制御における基準圧の平準化技術を確立し、技術資料として社内展開を図っています。
(3) アグリ分野に対する研究開発の取組み
コメ型経口ワクチン(ムコライス)の省エネかつ安定栽培システムの研究開発を継続的に実施し、千葉大学から「MucoRice-CTB19Aの製造プロセス管理」を受託しました。本業務は、「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」の採択課題「コメ型経口ワクチン MucoRice-CTB19Aの開発とヒトでの粘膜免疫誘導効果実証とそれを応用した呼吸器感染症に対する新規常温安定備蓄型経口ワクチンプラットフォームを目指す研究開発」(研究代表者:清野 宏 卓越教授)において、千葉大学から受託したものです。また、「食と先端技術共創コンソーシアム」に参画し、植物工場におけるゲノム編集作物の生産システムを開発しています。その他、培養液の藻の抑制システム、電気照射による栽培促進などの研究開発を大学と共同で行っています。
(4) 気流可視化技術の展開
研究所内に構築した「みえるかラボ」において、様々な微粒子・気流可視化計測を実施しています。ここで得られた計測データを基に、一般空調・産業空調向けのシステム開発を行っています。また、可視化システムを現地に持ち込み、実運用システムの性能評価などを実施し、可視化技術の展開を図っています。
(5) 施工現場のデジタル化に関する研究
業界全体の課題である施工現場のDX推進を実施しています。様々なDXプロダクトの試験運用や3Dスキャナー活用などと合わせて、BIM活用した施工ツールの開発を行っています。
(機器製造販売事業)
技術研究所での基礎研究をもとに、機器事業部では半導体や液晶ディスプレイなどの先端産業分野向けの超精密温湿度調整装置の脱炭素化に貢献するための製品開発を行いました。また、乾燥ドライヤシステムなどの半導体関連分野以外へのシステム開発を推進しています。