当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、自らが担う社会的責任について常に念頭に置き、中長期的な企業価値向上に努めております。
新型コロナウイルス感染拡大により変化した消費活動における価値観に対応するため、2022年よりコーポレートビジョンを「全ての魅力にスポットライトが当たる社会へ」に変更し、あらゆる企業や商品、個人が持つ魅力や価値を、事業を営む地域・規模に関係なく世の中に広く伝えることを当社の使命とすることといたしました。
また、経営方針である「付加価値の追求による企業価値の向上」に従い、複数の事業ポートフォリオを保有する事業構成から、収益率の高い事業に経営資源を集中させる大幅な事業再編を実施しております。また、顧客価値を最優先したプロダクト開発・提供を通じて継続顧客数及び顧客単価を重視する高付加価値経営に加え、新たな事業への中期的な投資育成による企業価値の向上に努めます。
(2) 中期的な経営戦略等
① 事業再編と財務体質の改善
競争環境が激化し投資対効果が低下した国内シェアオフィスサービスの事業譲渡を決断し、収益率の高いデジタルPR事業に経営資源を集中してまいります。また、株式会社ジーニーとの資本業務提携、第三者割当による新株式発行を予定しており、キャッシュ・フローと財務体質の健全化を進めます。
② 成長戦略の実効性
各サービスの事業戦略の実効性を確認する指標として「顧客数」と「顧客単価」を重要指標とします。各プロダクトが提供する価値を高めることで顧客継続率を向上させます。顧客の継続率を向上させることで、重要指標を増大させ、売上高及び営業利益の成長に努めてまいります。
③ 新規事業
現在の中核サービスであるリリース配信、インフルエンサーPR、クリッピング(取引先チェック含む)市場における競争優位性の構築、または周辺市場への進出に資する新規性のあるサービスを展開します。
上記施策により、財務体質の改善及び継続顧客数・顧客単価の向上による持続的な事業成長を実現し、中期的な高収益化及び企業価値の向上を目指してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営方針「付加価値の追求による企業価値の向上」に合わせ、「営業利益」を最重要指標としております。併せて、「顧客数」「顧客単価」を成長戦略の進捗状況を示す指標としてまいります。
(4) 当社グループを取り巻く経営環境
① デジタルPR事業
(a) インフルエンサーPR市場
2022年11月、株式会社サイバー・バズ/株式会社デジタルインファクトは「国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」を発表しております。同調査によると、2023年の国内ソーシャルメディアマーケティング市場規模は1兆899億円(前年比117%となる見通し)であり、カテゴリ別内訳は、「ソーシャルメディア広告」が9,724億円で全体の89.2%、これに「インフルエンサーマーケティング」が741億円で全体の6.8%。また、企業の「SNSアカウント運用支援」が261億円で全体の2.4%、「分析ツール」が80億円で0.7%、そして「キャンペーンプランニング・コンサルティング」が92億円で0.8%と推測されます。今後もインフルエンサーPRの役割はますます高まることが期待されており、2027年のソーシャルメディアマーケティング市場規模は、2023年比約1.7倍、1兆8,868億円に達すると予測されます。
(b) 広報・PR市場
当社が運営するリリース配信代行サービス及びクリッピングサービスにおける市場規模は発表資料がありませんが、2021年5月公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会発表「PR業に関する実態調査」によると、2020年度における市場規模は1,111億円と、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2018年度(1,290億円)と比較し一時的な減少はあったものの、2022年度における市場規模は1,479億円とアフターコロナ後の消費活動の活性化に伴う企業のPR意欲は、今後も段階的に成長するものと推測しております。
② シェアオフィス事業
レンタルオフィス市場は、働き方改革、リモートワーク、遊休不動産活用、オープンイノベーション、スタートアップ支援など多様な切り口で急拡大しており、企業にとっては通常のオフィス賃貸と同等水準の『標準的な選択肢』となっております。一般社団法人大都市政策研究機構が2023年3月に発表した「日本のコワーキングスペースの拡大」によるとコワーキングスペースの数は、2019年の799件から2022年には2,129件と大幅に増加している一方で、大手不動産会社のシェアオフィス事業への参入により、特に政令指定都市や地方の中心都市において競争環境は激化しております。
なお、拠点運営を行っているシンガポールにおいて、シンガポール都市再開発庁(URA)が2024年1月に発表を行った「不動産統計」によると、同国の2023年のオフィスと民間住宅の賃料がいずれも過去最高を更新し、経済活動再開の本格化がみられます。このような背景を鑑みますと、比較的賃料が安定し、初期費用が抑えられるコワーキングスペースの需要は一定程度得られるものと推測しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、創業以来、最大の事業再編を実施したことによる純資産の減少及び自己資本比率の低下が財務上の課題であり、早期の財務体質の改善が必要と認識しております。併せて、今後、経営資源を集中させるデジタルPR事業の成長戦略の実効性の確認、及び中期的な事業成長のマイルストーンを示すことも必要と認識しております。
当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① 成長戦略の実効性と中期経営計画の策定
当社グループは、付加価値の追求による企業価値の向上を経営方針に掲げており、経営方針に準じた成長戦略として、プロダクト価値の向上に向けた積極的な投資をしております。本投資による効果として、継続顧客数(リピート客)及び顧客あたり取引額の増加を見込んでおります。また、株式会社ジーニーとの資本業務提携、第三者割当による新株式発行を予定しており、資本業務提携における成長戦略の実効性の確認後、改めて中期経営計画の策定に取り組む予定です。
② 事業の選択と集中
当社グループは、損益及び財務体質の改善に向け、事業の選択と集中を積極的に行っています。ノンコア事業については、他人資本の受入れや事業譲渡等、あらゆる選択肢を排除せずに経営の効率化を推進し、コア事業については、高付加価値サービスメニューを開発し、顧客の継続率を高めることで、ストック性の高いビジネスモデルへ昇華させ、収益率の向上を進めております。
③ 純資産の減少と回復
当社グループは、事業の選択と集中を進めるなか、国内シェアオフィスサービスの事業譲渡(クロスコープ横浜拠点除く)及び「クロスコープ横浜」の撤退に係る固定資産の減損損失及び法人税等調整額を前連結会計年度に計上したことにより、当社グループの純資産は大幅に減少しております。当連結会計年度におきましても、国内シェアオフィスサービスの事業譲渡(クロスコープ横浜拠点除く9拠点)及び「クロスコープ横浜拠点」の撤退を行い、事業譲渡関連損失の影響もあり、引き続き当社グループの純資産は低調な水準となっております。一方、2024年4月25日付「株式会社ジーニーとの資本業務提携、第三者割当による新株式発行、並びに、主要株主である筆頭株主の異動及び親会社の異動に関するお知らせ」に記載のとおり、株式会社ジーニーとの資本業務提携、第三者割当による新株式発行による増資払い込みを2024年7月に予定しており、デジタルPR事業の更なる拡充・先鋭化及び財務基盤強化によるキャッシュ・フローの健全化を見込んでおります。
④ マネジメント人材の育成とエンゲージメント向上
当社グループは、「ポジション(ポスト)が人を育てる」という育成方針のもと、従業員の積極的な管理職の登用を行い、ポジション(ポスト)提供と権限移譲による事業運営を行っております。競合や顧客等の市場分析からサービス企画・開発、マーケティング企画、オペレーション管理、計数管理、人的管理まで幅広い知識と経験を要し、事業部を牽引するマネジメント人材の育成と確保は当社の成長には欠かせません。成長組織のマネジメント実績を有する人材の調達をはじめ、マネジメント層の指導力・管理能力の向上、社内教育制度の充実を図るとともに、社内コミュニケーション活性化の施策を通じたエンゲージメント向上に努めていく方針であります。
⑤ 情報管理体制の強化及びサイバー攻撃への対処
当社グループにおける事業運営上、顧客の公開前情報や個人情報を含む機密情報を保有することがあります。そのような中、今般のリモートワーク導入の加速化や個人情報保護法の改正等の外部要因もあり、ますます機密情報の保護に関しては重要課題であると認識しております。また、昨今はマルウェア等のサイバー攻撃も多発していることから、情報管理面やセキュリティ対策において、その保護方針及び社内規程に基づく管理を徹底するとともに、社内教育・研修の実施、業務フローの精度向上、持続的なシステムの整備やサイバーセキュリティ対策等を行ってまいります。
⑥ テクノロジーを活用したサービス価値創出
当社グループが今後も各市場において競争優位性を発揮し続けるためには、AIをはじめとした最新テクノロジーを活用し、生産性の向上及びサービス付加価値の創造を推進することが必要です。そのために、エンジニアの採用強化等、社内の新規事業の組織体制の強化を進め、テクノロジーを活用したサービス企画と運用、検証のPDCAサイクルを回し、テクノロジーの自社活用における有効性を検証してまいります。
⑦ AIの技術革新に伴うサービス影響
各サービスにおいては、インターネットを活用した各サービスを展開しており、AI技術の発展により提供される技術革新への対応が遅れた場合は、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのようなAI技術の発展への対応を図るため、新技術の開発やAI技術の発展に基づく新サービスの導入において、自社グループ内にシステム開発部門を設けており、顧客の用途やニーズに合ったシステムへフレキシブルに対応し、日々新たなビジネスモデル開発を進めることで対応してまいります。
⑧ 内部管理体制の強化
当社グループの継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識をしております。業務拡大に合わせ、関連する法規制や社会的要請等にも適切な対応をすべく、引き続き内部管理体制の整備及び改善に努めてまいります。
⑨ M&A及び新規事業による成長性
当社グループでは、創業より多くのM&Aを行っており、今後も積極的にM&Aを活用する方針であります。また、既存事業の周辺市場の開拓に向けた新規事業も展開する可能性がございます。M&Aや新規事業を行うにあたり、投資効果及び事業規模、事業の成長性、相乗効果、並びに次世代に求められる事業ニーズや先進性等を十分に検討したうえで、事業領域の拡大と業績の向上につながるM&Aや新規事業を積極的に実行し、競争力の強化を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は創業以来、「デジタルPR事業」と「シェアオフィス事業」を中核とし、人や情報、企業をつなぐビジネスプラットフォームの創造を追求してまいりました。2022年にコーポレートビジョンを「全ての魅力にスポットライトがあたる社会へ」に刷新し、事業を通じて大企業だけではなく中小企業や個人が持つ多様性のある魅力や価値にスポットライトを当て世の中に広く伝えることで社会へ貢献することを当社の使命としました。
コーポレートビジョンの実現及び持続性のある経営のためには、時代の変化に対応できる多様性のある従業員が活躍できる環境を構築することが重要であり、誰もが活躍できる社会の実現に向けた取り組みを推進しています。
サステナビリティ全般
(1)ガバナンス及びリスク管理
①リスク・コンプライアンス委員会の役割
全社的なリスク管理の強化を図るため、代表取締役社長を委員会とするリスク・コンプライアンス委員会を設置し、原則として月1回開催しております。リスクの評価、対策等、広範囲的なリスク管理に関して協議を行い、具体的な対応を検討しております。
②取締役会の役割
定期的にリスク・コンプライアンス委員会や経営会議から報告を受け、対応策の進捗状況について監督するとともに、重要リスクについては、各取締役及び各監査役から意見を積極的に述べてもらい、リスクの拡大防止に努めております。
人的資本
(1)ガバナンスについて
①経営会議
経営者及び管理職で構成される経営会議(毎月開催)において、定期的に人的資本の多様性に関する指標を共有し、課題の議論及び改善に向けての方針の提示を実施しています。また、有給休暇の取得状況や時間外労働等の労働環境を共有する機会の提供、課題の認識、及び課題に対する改善の指示命令を実施しています。
②リスク・コンプライアンス委員会
当社はコンプライアンス憲章(2006年制定、2022年4月改定)にて、「人権の尊重」「個性の尊重」「安全と健康管理」の遵守を定めています。毎月開催される管理職で構成されるリスク・コンプライアンス委員会においては、管理職の人権に対する意識改革や安全衛生の改善に努めています。具体的には、公益通報者保護法に則った公益通報者保護規程に定める内部通報制度等を通じて把握した人権、または安全衛生等に関する問題等を個人情報の秘匿に配慮したうえで共有しています。
③取締役会
取締役5名(うち社外取締役3名)で構成され、毎月定例で開催される取締役会において、人的資本の多様性に関する指標の共有を行い、課題の議論を図っております。また、経営会議においての改善指示状況も共有しております。
④人事評価会議
創業以来、半年ごとに全従業員の人事評価を管理職で構成される人事評価会議にて行っています。所属長による直接的な評価だけではなく、多様性のある評価視点による人事考課を行うことで、性別や年齢、雇用形態等にとらわれない平等な人事評価制度を運用しています。その結果、バックグラウンドにとらわれない多様性のある職場環境が実現できていると認識しています。
(2)戦略について
当社のデジタルPR事業は、企業の商品やサービスの魅力をメディアや個人を通じて発信することを媒介するものであり、消費者が情報を取得するメディアや情報取得経路は時代と共に常に変化を続けています。目まぐるしく変化する事業環境に対応するためには、性別、国籍、雇用形態等にとらわれない多様性のある従業員を採用し、活躍できる就労環境を整備する必要があります。また、当社は複数のサービスポートフォリオで事業が構成されており、各サービスやバックオフィスを統括する管理職に積極的に権限を委譲しています。従いまして、管理職のマネジメントスキルの育成は、当社の持続成長には欠かせない要素です。
①機会の平等、多様性を最大化する人事制度
当社は「ポジションが人を育てる」という育成方針のもと、管理職として積極的なポジション提供と権限委譲を推進しております。この考え方を基礎として、社員一人ひとりの強みを活かし、性別等にとらわれない人事制度の運用を行ってきたからこそ、現在の女性活躍環境が実現できていると考えています。
②柔軟かつ多様なワークスタイル
11時~15時をコアタイムとした勤務時間の調整、社内イントラのクラウド化やチャットツール活用など、リモートワーク環境の整備を通じ、それぞれのライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が選択できる社内環境を構築してまいりました。社内アンケートや社員インタビューを実施することで、ニーズに合わせた制度設計ができるよう実情把握に努めています。
③通年採用制の実施
通年採用を取り入れ、中途採用においては外国籍人材の登用も行うなど、異業種からの多様なバックグラウンドを持った人材が活躍しています。
④人材の育成に関する方針
「ポジションが人を育てる」という育成方針を基盤に積極的にポジション提供を行っています。併せて、非正規雇用から正規雇用への転換も積極的に取り組み、管理職の18%が非正規雇用からの登用実績です。
また、管理職の育成のために、大幅な権限移譲、年に1度の事業計画の策定、半年ごとの事業戦略の立案、四半期ごとに取締役会での事業報告等の経営の視座を養う成長機会を提供しています。
(3)リスク管理について
テレビや新聞・雑誌等のマスメディアからインターネットメディアへ、昨今はSNSの台頭によるインフルエンサー等、個人のメディア化へと情報を伝達するメディアも時代と共に大きく変化しています。一方で、消費者もインターネットメディアやSNSを中心に情報を収集する行動様式へ変化するとともに、嗜好するコンテンツも文字や画像からショート動画へトレンドは移行しています。当社のデジタルPR事業は、絶えず変化する事業環境に適応していくためには、組織の偏重や人材の画一性こそが当社の経営リスクと認識し、(4)に定める多様性に関する指標をモニタリング・評価してまいります。
(4)指標及び目標について
多様性のある人材が活躍する環境を構築し維持していくために、性別や国籍、雇用形態等にとらわれない個々の能力や成果を平等に評価する仕組みと、全ての従業員に等しく機会を提供する風土を維持するため、次の6つの多様性に関する指標をモニタリング指標としています。
なお、当社は現時点では一定水準の多様性のある環境を整備できていますが、女性管理職比率及び男女間賃金格差においては改善の余地があるものと認識しています。正社員の女性比率と同水準として女性管理職比率60%以上、及び男女間賃金格差の更なる縮小(90%以上)を当社の組織運営における多様性の課題解決の重要指標としてまいります。
■提出会社における多様性に関する指標(実績)
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2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
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1. |
66% |
61% |
61% |
62% |
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2. |
64% |
56% |
50% |
48% |
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3. |
- |
- |
- |
86% |
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20代 |
- |
- |
- |
99% |
101% |
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30代 |
- |
- |
- |
86% |
61% |
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40代 |
- |
- |
- |
89% |
87% |
|
50代以上 |
- |
- |
- |
64% |
72% |
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4. |
- |
- |
33% |
50% |
|
|
5. |
13% |
14% |
15% |
18% |
|
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6. |
17% |
16% |
19% |
18% |
|
(注)1.正社員の女性比率は、2024年3月時点の集計結果です。
2.女性管理職比率は、2024年3月時点の集計結果です。
3.男女間賃金格差は、2023年4月~2024年3月の期間において、正社員を対象に「女性賃金/男性賃金」にて算出したものです。対象賃金については、基本給、超過労働に対する報酬等を含み、通勤手当を除きます。
4.男性育児休業取得率は、2023年4月~2024年3月の期間において、「育児休業等をした男性労働者/配偶者が出産した男性労働者」にて算出したものです。
5.正規雇用者の元非正規雇用者率は、2024年3月時点に提出会社と雇用関係にある従業員を対象に、元非正規雇用者の比率を算出したものです。
6.連結子会社トランスマート株式会社の従業員については、提出会社における雇用関係となるため、提出会社に関する指標に含めております。また、海外子会社につきましては、女性活躍推進法等の対象外となるため、非開示とさせていただきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<グループ全体及びその他に係るリスク>
(1) 成長戦略の実効性と中期経営計画の策定について
新たな経営方針の下、プロダクト価値を向上させることで、顧客継続率を向上させることによる顧客数や顧客単価の増加を見込んでおりますが、その効果の発現が遅延しており、中期経営計画を取り下げております。今後、成長戦略の効果が限定的であった場合や想定を下回る場合は、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業の選択と集中に伴う純資産の減少について
当社グループは、損益及び財務体質の改善に向け、事業の選択と集中を実施しております。前連結会計年度において、国内シェアオフィスサービス(クロスコープ横浜拠点を除く9拠点)の事業譲渡、及び「クロスコープ横浜」の撤退に係る固定資産の減損損失を計上し、当社グループの純資産は大幅に減少しました。また、当連結会計年度においては、国内シェアオフィスサービス(クロスコープ横浜拠点を除く9拠点)の事業譲渡を行ったことによる事業譲渡関連損失を計上したことにより、引き続き当社グループの純資産は低調な水準となっております。
一方、2024年4月25日付「株式会社ジーニーとの資本業務提携、第三者割当による新株式発行、並びに、主要株主である筆頭株主の異動及び親会社の異動に関するお知らせ」に記載のとおり、株式会社ジーニーとの資本業務提携、第三者割当による新株式発行による増資払い込みを予定しており、デジタルPR事業の更なる拡充・先鋭化及び財務基盤強化によるキャッシュ・フローの健全化を予定しております。
今後は利益率の高いデジタルPR事業に経営資源を集中させることで純資産の回復に努めること、また、株式会社ジーニーとの資本業務提携による新株式発行による増資払い込みにより、当社グループの純資産は大幅に回復する予定ではありますが、資本業務提携の解消等により増資払い込みが実施されない場合においては、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 管理職人材の育成について
当社グループは、複数のサービスポートフォリオで事業が構成されており、各サービスの適切な事業成長のために、従業員の積極的な管理職への登用と権限移譲を行っております。そのため、管理職層の指導力や事業運営能力の育成が適正かつ持続的に実施されない場合、当社グループの中長期の事業成長に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 金利変動リスク及び資金調達について
当社グループの資金調達については、主に金融機関からの借入金によるものであり、資金調達に際しては複数の金融機関と契約を締結し、機動的・効率的な資金調達を行うとともに資金調達リスクの軽減に努めております。しかしながら、何らかの理由で必要額の資金調達が行われなかった場合には、事業展開の進捗に遅れが生じ、収益機会の逸失に繋がる可能性があります。また、不測の事態による急激な金利変動によっては、金利負担が当社の経営成績に影響を与える可能性があります。さらに、全般的な市況及び景気の後退、金融収縮、当社グループの信用力の低下、事業見通しの悪化等の要因により、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) サイバー攻撃について
今般のリモートワーク導入の加速化や個人情報保護法の改正等の外部要因もあり、ますます機密情報の保護に関しては重要課題であると認識しております。昨今、多発している特定の組織内の情報を狙って行われるサイバー攻撃の一種である「標的型攻撃」を受け、マルウェアなどの不正プログラムが送りつけられるなどして情報を窃取されることにより、当社の重要データの流出またはシステムへのアクセスが不能となった場合、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 内部管理体制について
当社グループは、継続成長のために、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識をしております。業務拡大に合わせ、内部管理体制の充実を図ることを重要課題にあげておりますが、事業の急激な変化等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<デジタルPR事業に係るリスク>
(7) システム障害等について
当社グループが提供するリリース配信代行サービス及びクリッピングサービスは、システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、サーバー管理等の重要な業務の一部を外部委託しております。自然災害や事故等の発生によって当社グループ並びにサーバー管理等の委託先の通信ネットワークが切断された場合、継続したサービス提供その他に支障が生じる可能性があります。当社グループのシステムは、通信ネットワーク・システム構築の二重化及び適切なセキュリティ手段の構築等により、これら障害回避のための取り組みを講じておりますが、前述した要因等により、継続したサービス提供に支障が生じた場合には、収益機会の逸失、システム及び事業運営に対する信頼性低下、クレーム発生その他要因により、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) クリッピングサービスにおける著作権等について
当社グループが運営するクリッピングサービスのうち、紙メディアクリッピングサービスは、新聞社、出版社等から発行される新聞、雑誌等を購入し、原本郵送することで行っております。調査対象メディアが一般に販売された時点で著作権者の有する著作物の譲渡権は消尽していると考えられるため、原本郵送サービスが当該メディアに含まれる著作物に係る譲渡権を侵害すると評価される可能性は低いと考えられます。しかしながら、調査対象メディアとの間でトラブルが発生し、訴訟等に至った場合には、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 参入障壁について
当社グループが提供するリリース配信代行サービスは、法的規制がないサービス分野であり、新規参入が比較的容易であります。当社グループにおいては、メディアリレーションの強化、各プレスリリースの内容に応じて適切に絞りこまれたメディアを対象として配信、ノウハウをもつ専属スタッフによるきめ細かな顧客対応、顧客の配信履歴分析によるリコメンデーション機能等により、競争力の維持・向上、流出防止策の強化をしていく方針であります。今後、多くの新規参入を招き、競合他社との差別化が困難となった場合には、受注や採算性の確保が困難となり、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) メディア各社及びインフルエンサー等との関係について
当社グループとメディア各社及びインフルエンサー等との広域かつ親密なネットワークは経営資源であり、効果的なPRやマーケティングサービスを提供するための関係について重要な事業インフラです。有用な情報を長期的かつ継続的に提供することによりメディア各社及びインフルエンサー等との信頼関係を構築してまいりましたが、当社グループが誤った情報の提供を行うことや他社との競争激化により相対的に信頼関係が低下した場合には、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 公開前情報の情報管理について
当社グループが運営する各サービスにおいては、顧客の公開前情報や個人情報を扱う機会があり、事前にお預かりすることで、効果的にディレクションする性質のサービスがあります。情報管理は、従業員への意識徹底のみならず厳重なシステム担保方策を施し、関連顧客や仕入先との間で機密情報漏洩禁止の法的拘束を前提に業務進行しております。しかしながら、何らかの予期せぬシステムトラブル、もしくは関連仕入先の過失による漏洩事案が発生した場合、顧客との信頼関係の低下を誘発し、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 災害・事故等について
当社グループが提供するデジタルPR事業の顧客である企業等は、自然災害、社会的インフラの障害、通信・放送の障害、大規模な事故、伝染病、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が発生した場合、広報・PR・宣伝活動等による企業活動を自重する等、災害・事故等の影響を受けやすい傾向にあります。したがって、これらの災害・事故等が発生した場合には、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<シェアオフィス事業に係るリスク>
(13) 海外シェアオフィス事業の運営について
当社は財務体質の改善及び事業の選択と集中を目的に、2023年9月に国内シェアオフィス事業(クロスコープ横浜拠点を除く)の譲渡を行い、2023年10月に国内に残るクロスコープ横浜拠点を閉鎖した結果、2024年3月31日現在、運営を行っている拠点は海外シェアオフィス事業であるシンガポール1拠点のみとなっております。海外シェアオフィス事業におきましては、政情不安、通関業法・税制等の法制度の変更、金融等に関する諸規制の変更、ストライキ、テロ、暴動等、社会環境における予測し得ない事態の発生によって事業計画に遅延が起きる可能性があります。その場合は当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) AIの技術革新に伴うサービスへの影響について
当社グループは、インターネットを活用した各サービスを展開しており、今後においても適切にインターネットサービスを活用してまいります。そのようなインターネットサービス関連における技術において、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が日進月歩行われており、非常に変化が激しいものとなっております。
そのため、AI技術の発展により提供される技術革新への対応が遅れた場合は、競争力の低下や、ビジネスモデルの転換をしていく可能性があり、技術革新に対応するためのシステム投資の遅れなど、ビジネスモデルの転換が迅速かつ効果的に実行されなかった場合には、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<新規事業に係るリスク>
(15) 新規事業について
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、積極的に新規事業開発を検討し、実施してまいります。新規事業においては、蓋然性を十分検討したうえで、開発を行ってまいりますが、当該開発が何らかの影響で想定以上の工数を要した場合や、想定していた収益計画が大幅に遅延した場合においては、投資回収見込みがなくなることによる減損損失等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、新規事業を推進する中で、必要に応じて他社との業務提携等を検討し、実行してまいりますが、想定していた相乗効果が業務提携等から得られなかった場合、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16) M&Aについて
当社グループは、既存事業の規模拡大や新規事業進出に際し、事業戦略の一環としてM&Aや資本参加、資本提携等を行っております。買収や提携後の事業計画の進捗が当初見通しに比べ大幅に遅れる場合には、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは第2四半期連結会計期間末では債務超過となり、その後当連結会計年度では債務超過を解消しておりますが、営業損失を計上しており継続企業の前提に関する重要な事象等が存在しております。しかし、黒字化に時間を要しておりました「シェアオフィス事業」についてクロスコープ横浜拠点に係るものを除く国内9拠点に係る事業をヒューリック株式会社に2023年9月1日に譲渡し、またクロスコープ横浜拠点については同年10月31日に閉鎖したことにより、収益構造の改善が見込まれることから継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
さらに、2024年4月25日付「株式会社ジーニーとの資本業務提携、第三者割当による新株式発行、並びに、主要株主である筆頭株主の異動及び親会社の異動に関するお知らせ」に記載のとおり、デジタルPR事業の更なる拡充・先鋭化及び財務基盤強化を目的として、2024年7月1日に13億円程度の増資払い込みが実行される予定です。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行により行動制限が緩和され、インバウンド需要による対面型サービスが回復している一方、原油高をはじめとした国際商品市況の上昇や円安の進展による物価高、金融資本市場の変動リスク等の影響により、経済の見通しは弱い動きがみられ、依然として不透明な状況が継続するものと見込まれます。
このような市場環境のもと、コロナ禍以降のニューノーマル時代における市場環境の変化及び競争環境を鑑み、当連結会計年度においては、経営ビジョンを「全ての魅力にスポットライトがあたる社会へ」、経営方針を「付加価値の追求による企業価値の向上」に刷新、新たな成長戦略を策定し、事業成長を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,387,775千円減少し、1,336,314千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,261,905千円減少し、1,250,411千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ125,869千円減少し、85,902千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高3,669,577千円(前連結会計年度比23.1%減)と、減収となりました。また、利益につきましては、営業損失2,862千円(前連結会計年度は、営業損失211,747千円)、経常損失27,335千円(前連結会計年度は、経常損失201,373千円)となりました。また、シェアオフィス事業における国内シェアオフィスサービス(クロスコープ横浜を除く9拠点)をヒューリック株式会社へ2023年9月1日に譲渡し、クロスコープ横浜につきましては事業運営を2023年10月31日で終了したことを受け、特別利益において資産除去債務戻入益100,650千円を計上し、特別損失においては、事業譲渡関連損失155,586千円を特別損失に計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は146,418千円(前連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失876,873千円)となりました。
当連結会計年度における各セグメントの概況は、次のとおりです。なお、数値はセグメント間の取引消去後となっております。
(a) デジタルPR事業
デジタルPR事業は、企業や官公庁・団体等に対して、インフルエンサーPRサービス、新聞・雑誌・WEB・SNS等各種メディアのクリッピング(調査・報告)サービス、製品・サービスや事業等に関するリリース配信サービスを運営しております。
当連結会計年度において、リリース配信サービスについては、ショート動画サービスを始めとする新サービスへの傾注、及び既存顧客取引増加における単価上昇させることを優先事項として取り組みました。そのため、施策方針の影響もあり、利用社数、配信数ともに減少(それぞれ前年同期比25.4%減、前年同期比13.6%減)となりました。インフルエンサーPRサービスは、セミナー開催や代理店等の法人へのPR活動等、新サービス導入に向けた積極的な販促活動に基づいた営業活動の効果もあり、案件数は増加(前年同期比3.5%増)となりました。クリッピングサービスについては、営業活動を増加させるなどの販促活動を継続的に行っておりますが、昨今の紙媒体数減少の影響もあり案件数は減少(前年同期比9.9%減)となりました。
また、クリッピングサービスよりスピンアウトしましたリスクチェックサービスについては、昨今のコンプライアンス意識の高まりを受け、案件数は大幅に増加(前年同期比50.6%増)となりました。
この結果、デジタルPR事業の売上高は2,531,281千円(前年同期比1.4%減)となり、セグメント利益は448,784千円(前年同期比4.7%増)となりました。
(b) シェアオフィス事業
シェアオフィス事業については、2023年6月29日に開催しました当社定時株主総会にて事業譲渡の決議を行い、ヒューリック株式会社(国内シェアオフィスサービスのうち、クロスコープ横浜拠点に係るものを除く国内9拠点に係る事業)へ2023年9月1日に譲渡いたしました。また、クロスコープ横浜拠点に関しましても、2023年10月31日に閉鎖を行った影響もあり、主要サービスであるシェアオフィスについては、国内拠点について累積稼働席数は大幅に減少(前年同期比59.6%減)となりました。海外拠点につきましても、前年度にタイ拠点の撤退を行う等、リストラクチャリングによる統廃合の進行もあり、累積稼働席数は減少(前年同期比24.2%減)となりました。
費用面におきましては、事業譲渡及び拠点閉鎖による整理に要すべき費用負担もあり、黒字化まで時間を要する状況となっております。
この結果、シェアオフィス事業の売上高(セグメント間売上高を除く)は1,138,295千円(前年同期比48.3%減)となり、セグメント損失は62,725千円(前連結会計年度は241,791千円のセグメント損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は354,309千円と、前連結会計年度末に比較して660,585千円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は126,300千円(前連結会計年度は100,031千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失134,333千円及び資産除去債務戻入益100,650千円等の減少要因があった一方、減価償却費215,703千円、事業譲渡関連損失155,586千円等の増加要因等があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は1,184,591千円(前連結会計年度は414,097千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出163,415千円等があった一方、ヒューリックビズフロンティア株式会社(国内シェアオフィスサービスのうち、横浜拠点に係るものを除く国内9拠点に係る事業)の譲渡を行ったことによる事業譲渡による収入1,228,270千円等があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,977,116千円(前連結会計年度は413,849千円の収入)となりました。これは主に、短期借入による収入993,875千円があった一方、短期返済による支出1,366,203千円及び長期借入金の返済による支出1,710,885千円等があった等ことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績及び受注実績
当社グループの事業内容は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(b) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年比(%) |
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デジタルPR事業(千円) |
2,531,281 |
△1.4 |
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シェアオフィス事業(千円) |
1,138,295 |
△48.3 |
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合計(千円) |
3,669,577 |
△23.1 |
(注)セグメント間の取引については消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における資産の額は1,336,314千円と、前連結会計年度末に比べ3,387,775千円の減少となりました。資産の減少の主な要因は、国内シェアオフィスサービスに関して、国内9拠点に係る事業譲渡及び国内1拠点の閉鎖を行ったこと等による有形固定資産1,141,777千円の減少及び差入保証金1,379,890千円の減少、また、国内シェアオフィスサービスの国内9拠点に係る事業譲渡及び国内1拠点の閉鎖を行ったこと等に関する借入金の返済により、現預金660,585千円減少したこと等によるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の額は1,250,411千円と、前連結会計年度末に比べ3,261,905千円の減少となりました。負債の減少の主な要因は、国内シェアオフィスサービスに関して、国内9拠点に係る事業譲渡及び国内1拠点の閉鎖を行ったこと等による資産除去債務(流動負債計上分を含む。)650,902千円及び預り保証金(長期預り保証金を含む。)360,547千円の減少、また、各銀行への返済を行ったことによる長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)が1,510,305千円減少したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の額は85,902千円と、前連結会計年度末に比べ125,869千円の減少となりました。純資産の減少の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失146,418千円を計上したこと等によるものであります。
(b) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は3,669,577千円(前連結会計年度比23.1%減)となり、前連結会計年度に比べて1,099,993千円減収となりました。セグメント別の売上高については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は1,899,775千円(前連結会計年度比3.1%減)となりました。売上総利益率は前連結会計年度比10.7ポイント増加し、51.8%となりました。これは主にシェアオフィス事業における国内シェアオフィスサービスの国内9拠点に係る事業譲渡及び国内1拠点の閉鎖に伴う売上高の減少によるものです。
(営業利益)
当連結会計年度における営業損失は2,862千円(前連結会計年度は、営業損失211,747千円)となりました。営業利益率は前連結会計年度比4.3ポイント増加し、△0.1%となりました。これは主にシェアオフィス事業における国内シェアオフィスサービスの国内9拠点に係る事業譲渡及び国内1拠点の閉鎖によるセグメント損失の解消、及びデジタルPR事業のプロダクト価値向上を目的としたメディア連携費用等の効率化による費用削減によるものです。
(c) キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループは、事業運営上必要な資金を確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持することを基本方針としております。
運転資金及び設備投資については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は373,468千円となりました。設備投資に対応する借入の大部分については、国内シェアオフィスサービスの国内9拠点に係る事業譲渡の実行に伴い、有利子負債の返済を行った一方、引き続き資金調達コストの低減に努め、キャッシュ・フローの健全化を推進する見込みですが、十分な資金の財源及び流動性を確保するため、金融機関と締結している総額200,000千円の当座貸越契約による借入等、必要に応じ資金確保を行う体制をとっております。
③経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、従来までの売上成長を重視した量の追求方針から、付加価値の追求による企業価値の向上へ方針を変えており、事業ポートフォリオの選択と集中による事業再編を行い、シェアオフィスプロダクトから収益率の高いデジタルPRセグメント事業へ経営資源を集中させる方針です。併せて、プロダクト価値を向上させることで顧客継続率を高め、顧客数及び顧客単価の向上を図り、シェアオフィスプロダクトのうち、実施を行いました国内シェアオフィスサービスの国内9拠点に係る事業譲渡及び国内1拠点の閉鎖に伴う売上高の減少による影響を除き、売上高と営業利益の増大を図ります。
具体的な計画数値は以下のとおりとなります。
(単位:百万円)
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2024年3月期 (実績) |
2025年3月期 (計画) |
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売上高 |
3,669 |
2,890 |
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営業利益又は営業損失(△) (営業利益率) |
△2 (△0.1%) |
100 (3.5%) |
該当事項はありません。
該当事項はありません。