当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、『安全で快適な住環境づくりを通じて、広く社会の発展に貢献する』ことを経営理念として、マンション、ビル及び不動産の各管理事業、営繕工事業まで幅広く事業を展開しております。
今後とも、『お客さまの声を最優先に、考え、動き、応えていく、住・オフィス環境創造企業』をブランドステートメントとして掲げ、「役務・サービスの提供」、「ものづくり」において「現場第一主義」に徹し、『良質なものをリーズナブルな価格で提供する』ことを経営方針として取り組んでまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、事業活動の成果を示す売上高及び経常利益の安定的な成長を経営目標としております。また、収益力の向上を図るために、売上高経常利益率を経営上重要な指標として考え、財務体質強化の観点から、自己資本比率の向上につきましても、重視すべき指標として考えていますが、特定の指標に依存することなく、全体のバランスのとれた経営を目指す所存であります。
(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
マンション管理事業につきましては、建物の高経年化や居住者の高齢化が進む中、居住者の管理に対する関心が高まるとともに管理に対するニーズも多様化かつ高度化しています。また、良好なストック形成の重要性が一段と注目される中、「マンションの資産価値の維持、より良い住環境の提供」が求められています。今後も、計画的な設備改修など建物長命化のための提案や、防災・防疫対策及び高齢居住者対策の提案など、より充実したサービスの提供により事業強化を図っていくとともに、デジタル技術の活用を推進し、理事会をはじめとする管理組合の負担軽減を目指してまいります。また、引き続き、株式会社リログループとの業務提携を活用し、共用部・専有部の区分にとらわれない総合的な建物管理サービスを展開してまいります。
ビル管理事業、不動産管理事業につきましては、管理物件のオーナーから一層の収益力向上が求められています。今後も、建物のライフサイクルコストの見直し提案等プロパティマネジメントの強化や入居率アップのための設備更新提案、リーシング機能の拡充など、オーナーの収益力向上に繋がる施策を進めるとともに、マーケット競争力及び営業力の一層の強化やコスト見直しをはじめ業務の効率化に取り組んでまいります。
営繕工事業につきましては、建物の高経年化が進む中、年々工事の需要が増加しております。今後も、建物管理で培ってきた豊富な経験とノウハウを活かし、「管理のプロ」としての視点から、建物の資産価値の維持向上のため、日常的な小修繕から建物のライフサイクルを考慮した長期的な大規模修繕まで、総合的な提案力を発揮し、受注増につなげてまいります。また、大規模修繕工事を含めた各種工事や役務作業について、「安全管理室」を中心に、本社員や現業員に対する安全管理等の一層の強化や安全パトロールの実施及び安全に対する啓蒙活動等で、労働災害の防止に努めてまいります。
海外の連結子会社につきましては、現在進出している3カ国それぞれの国において、日本式の極め細やかなサービスの提供を軸に業容の拡大に努めるとともに、海外グループ間でのシナジーの創造についても取り組んでまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「安全で快適な住環境づくりを通じて、広く社会の発展に貢献する」ことを経営理念とし、国内外において、マンション管理事業を主力とする建物管理事業及び営繕工事業を展開しております。昨今の人手不足や将来的な労働人口減少が想定される中、当社グループが経営理念を実践し、「持続できる成長」を達成していくために、2019年度からスタートした中期経営計画「PLAN23」に基づき、現場オペレーションのデジタル化、人間味があるサービスを提供できる人材の確保・育成、企業ブランドの向上及び働き方改革等の取り組みを進め、事業の拡大と収益基盤の強化を目指してまいりました。
今後更に深刻化していくと思われる、海外を含めた恒常的な人手不足や労務費のコストアップ等に対応するために、収益構造をはじめとする抜本的な構造改革を実行し、既存事業における事業基盤の更なる強化、M&Aを活用した国内事業の拡大、海外事業基盤の再構築等を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループのサステナビリティに関するガバナンス体制は、コーポレート・ガバナンス体制に基づいております。詳細については「
サステナビリティに関する事項を含むリスク及び機会の監視・管理プロセスとしては、本社管理部門や、一定の取締役及び執行役員並びに部長級職による「リスク管理委員会」にて監視・管理し、必要に応じて「社長報告会」・「経営会議」・「取締役会」へ報告できる体制となっております。
「社長報告会」については、原則月1回本社管理部門単位で開催され、各部門から必要に応じて代表取締役社長へ報告。報告内容が重要な業務執行に関する事項の場合は原則月1回開催される「経営会議」、経営に関する重要事項の場合は原則月1回開催される「取締役会」にて協議・決定する体制となっております。
今後、よりサステナビリティに関するガバナンス体制を充実させるため、代表取締役を委員長とし社外取締役を中心に構成する「サステナビリティ委員会」、担当執行役員を中心に構成する「サステナビリティ推進部会」(従来の「リスク管理委員会」の機能を整理し独立させた部会)の新設を検討してまいります。
(2)戦略
当社グループは、『安全で快適な住環境づくりを通じて、広く社会の発展に貢献する』ことを経営理念として、マンション、ビル及び不動産の各管理事業、営繕工事業まで幅広く事業を展開しております。このような企業活動において、お客様への省エネ資材活用の推奨や工事廃材の削減等に取り組むと共に、社内でもデジタル技術の導入によるペーパレス化の推進、本社ビルをはじめとする省エネ型器具の導入及び太陽光パネルの設置による電力の削減等を推進しております。また、転居を伴わない限定総合職への登用推進による女性社員の活躍の場の拡大や、特定技能制度を活用した外国人人材の積極的な雇用等の施策を実行しているところではありますが、現状では、優先的に取り組む課題を特定し、それらに対する方針を決め、その方針に対する指標及び具体的な目標を設定するまでに至っておりません。
今後、2030年までの新たな経営計画を策定する中で、当社グループの事業による社会的課題の解決へのポジティブなインパクト、また当社グループの事業活動が社会に及ぼすネガティブなインパクト及びステークホルダー(従業員や協力会社等)への負荷等を把握した上で、当社グループにおける全体戦略とサステナビリティの関わりについて改めて明確にし、マテリアリティ(気候変動・人的資本・少子高齢化・人権・サプライチェーンマネジメント等)の再特定を実行していく予定です。
(3)リスク管理
当社グループのサステナビリティに関する事項を含むリスク及び機会を識別、評価、管理するプロセスとしては、各部署が認識したサステナビリティに関する事項を含むリスク及び機会を、本社管理部門・「リスク管理委員会」へ報告し、本社管理部門・「リスク管理委員会」で識別、評価、管理を行う体制となっております。その後、必要に応じて「社長報告会」・「経営会議」・「取締役会」へ報告し、内容について検討するとともに必要な措置を講じております。
今後、よりサステナビリティに関するリスク管理を充実させるため、上記「(1)ガバナンス」で記載した「サステナビリティ委員会」及び「サステナビリティ推進部会」において、リスク及び機会を識別、評価、管理する体制を強化していく予定です。
(4)指標及び目標
上記「(2)戦略」において記載したとおり、2030年までの新たな経営計画を策定する中で、当社グループのサステナビリティに関するマテリアリティを再特定した上で、具体的な指標及び数値目標を設定し、実行・評価・改善を行っていく予定です。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の早期対応に努める所存であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)建物管理事業(マンション・ビル・不動産管理事業)について
当該事業は、労働集約型の事業が主であるため、管理員を中心に、人件費等のコストが上昇した場合、業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に備えるため、日常清掃や管理業務等、日々の業務についての質を確保し、管理組合やオーナー等からの信頼維持に努め、人件費の上昇に対応する管理委託料の値上げの提案を進めるとともに、デジタル技術の導入・活用や、社内システム等の整備を含む業務効率化を推進し、利益の確保を目指します。
(2)営繕工事業について
当該事業は、今後もその需要は増加することが見込まれておりますが、一方、ゼネコン等の参入などもあり、業者間の競争の影響により工事の受注率及び受注価格の低下等が生じる可能性があることや、資材価格の変動等が業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に備えるため、建物の管理を実施している管理会社ならではの適時・的確な工事の提案を徹底し、受注率の向上に努めていくとともに、デジタル技術の導入や社内システム等の整備を含む業務効率化を推進し、利益の確保を目指します。
(3)人材の確保について
労働人口の減少や採用環境の急激な変化により、今後管理員を中心に充分な人材が確保できなかった場合、安定的なサービスの提供に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に備えるため、労働環境の改善及び整備等の働き方改革を推進し、人材の確保・定着に努めてまいります。
(4)法的規制・訴訟について
当社グループの業務を営むうえで、マンション管理適正化法等の規制を受けております。関連する法及び法令に定められた事項に違反があった場合、業務の一時的な停止等の処分がなされることがあります。また、各種関係法令等を遵守し、公正かつ適正な企業行動を実践しておりますが、事業遂行のうえで訴訟提起される可能性があります。処分がなされた場合や重大な訴訟の場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に備えるため、法令順守の強化を目的に「コンプライアンス委員会」、損失危機管理強化を目的に「リスク管理委員会」、内部監査部門として、執行部門から独立した「業務監査室」を設置し、全社的に法令遵守や訴訟リスクの事前回避等に努めております。
(5)個人情報の管理について
当社グループでは、業務遂行上の必要から多くの個人情報を取扱っております。万が一この個人情報が漏洩した場合、当社グループの信用が損なわれることになり、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に備えるため、個人情報の正確性を保ち、個人情報の紛失、破壊、改ざん及び漏洩などを防止するため、当社のデータベース等に対する必要な安全管理措置を継続的に講じております。また、従業員に対しては、個人情報保護のための教育を定期的に行い、個人情報を厳重に管理しております。
(6)感染症について
新型コロナウイルス感染症の再拡大や新たな感染症の拡大に伴い、営業活動等に制限が発生した場合、新規顧客獲得によるストックの拡充が遅れることにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、引き続き、お客様や従業員の健康・安全を最優先に考え感染防止に努めるとともに、社会機能維持に関わる事業者として、安定的なサービスの提供を維持すべく、あらゆる対策を講じてまいります。
(7)その他のリスクについて
上記以外でも、当社グループが事業展開している海外を含む国や地域で、予期しない不利な政治又は経済要因の発生、不利な影響を及ぼす税制又は税率の変更、テロ・戦争・自然災害・伝染病・その他の要因による社会的混乱等の事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境が改善するもとで、景気の緩やかな回復が続いております。しかしながら、海外景気の下振れ、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に、引き続き十分注意する必要があります。
このような状況のもと、当社グループは、各管理事業における収益の基盤となる管理ストックの拡充、管理ストックから派生する工事の取込、グループ会社との協業によるシナジーの強化に注力いたしました。当社においては、各管理事業における管理ストックから派生する周辺事業および営繕工事業が好調に推移いたしましたが、シンガポールの子会社において、各種コストの増加に伴い業績が悪化したことに加え、売上債権の回収懸念に伴う会計処理を実施したこと等の影響により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも大幅な減益となりました。
その結果、売上高は145,350百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益は3,746百万円(前年同期比44.9%減)、経常利益は3,992百万円(前年同期比42.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は995百万円(前年同期比79.1%減)となりました。
当連結会計年度の売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は、以下のとおりであります。
|
|
売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円) |
|
2023年3月期 |
140,424 |
6,799 |
6,924 |
4,761 |
|
2024年3月期 |
145,350 |
3,746 |
3,992 |
995 |
|
増減 |
4,925 |
△3,052 |
△2,932 |
△3,766 |
|
伸び率 |
3.5% |
△44.9% |
△42.3% |
△79.1% |
セグメントの概況は、以下のとおりであります。
(マンション管理事業)
マンション管理事業につきましては、当社において、前連結会計年度に受託した物件が計画通りに稼働したことに加え、管理ストックから派生する周辺事業が好調に推移したことが売上高及び利益に寄与いたしました。
国内における当連結会計年度末の管理戸数は期中に9,659戸増加して499,325戸、海外を含めたグループ全体の管理戸数合計は603,753戸となっております。
その結果、売上高は59,445百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は5,116百万円(前年同期比2.8%増)となりました。
(ビル管理事業)
ビル管理事業につきましては、ベトナム子会社であるPAN SERVICESが売上高に寄与いたしました。また、当社において、当社グループ外から賃借していた不動産を取得したことにより、賃料が削減されたことに加え、国内子会社である株式会社NHファシリティーズにおいて、一部事業の業績が改善したこと等が、前年同期比で利益が増加する要因となりました。
その結果、売上高は16,385百万円(前年同期比2.8%増)、営業利益は711百万円(前年同期比8.3%増)となりました。
(不動産管理事業)
不動産管理事業につきましては、当社において、主にリフォーム工事が好調に推移したこと等が売上高及び利益に寄与いたしました。
その結果、売上高は5,927百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益は581百万円(前年同期比4.8%増)となりました。
(営繕工事業)
営繕工事業につきましては、当社において、大規模修繕工事・一般営繕工事が好調に推移したことが売上高に寄与いたしました。一方で、シンガポールの子会社であるPROPELL INTEGRATED PTE LTDにおいて、同国内におけるコロナ禍以降の急速なインフレに伴う銅をはじめとする原材料価格や労働力単価の急上昇、コロナ禍で工期延長となった現場において、元請業者からの工期短縮要請に伴う各種コストの増加等により業績が悪化したこと、および売上債権の回収懸念に伴う会計処理を実施したこと等が、大きく利益に影響いたしました。
その結果、売上高は63,592百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益は792百万円(前年同期比80.5%減)となりました。
|
セグメントの名称 |
売上高(百万円) |
営業利益(百万円) |
||||
|
2023年 3月期 |
2024年 3月期 |
前期比 |
2023年 3月期 |
2024年 3月期 |
前期比 |
|
|
マンション管理事業 |
56,800 |
59,445 |
4.7% |
4,976 |
5,116 |
2.8% |
|
ビル管理事業 |
15,946 |
16,385 |
2.8% |
657 |
711 |
8.3% |
|
不動産管理事業 |
5,851 |
5,927 |
1.3% |
554 |
581 |
4.8% |
|
営繕工事業 |
61,825 |
63,592 |
2.9% |
4,070 |
792 |
△80.5% |
|
消去又は全社 |
- |
- |
- |
△3,459 |
△3,454 |
- |
|
合計 |
140,424 |
145,350 |
3.5% |
6,799 |
3,746 |
△44.9% |
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ610百万円増加し、16,871百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、6,306百万円(前年同期は4,245百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,010百万円、法人税等の支払額2,984百万円、売上債権及び契約資産の減少額2,729百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、4,389百万円(前年同期は3,489百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の預入と払戻に伴う純収入額390百万円、有形固定資産の取得による支出4,634百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,414百万円(前年同期は1,355百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払いによる支出1,543百万円、有利子負債の増加額140百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの業務内容は、マンション及びビルの管理、賃貸、修繕等の役務提供を主体としております。
したがって、生産実績の表示は困難なため、その記載は省略しております。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
マンション管理事業 |
59,445 |
4.7 |
|
ビル管理事業 |
16,385 |
2.8 |
|
不動産管理事業 |
5,927 |
1.3 |
|
営繕工事業 |
63,592 |
2.9 |
|
合計 |
145,350 |
3.5 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
イ.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,810百万円増加し、77,188百万円となりました。この主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の減少2,067百万円、土地の増加4,191百万円、退職給付に係る資産の増加471百万円等であります。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,833百万円増加し、33,397百万円となりました。この主な要因は、有利子負債の増加478百万円、未払費用の増加544百万円、その他流動負債の増加1,060百万円等であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ22百万円減少し、43,791百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加995百万円、剰余金の配当に伴う利益剰余金の減少1,543百万円、退職給付に係る調整累計額の増加235百万円等であります。
ロ.経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高については増収となりましたが、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも大幅な減益となりました。
シンガポールの子会社において、各種コストの増加に伴い業績が悪化したことに加え、売上債権の回収懸念に伴う会計処理を実施したこと等が利益に影響したと分析しています。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」を参照願います。
c.セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(マンション管理事業)
マンション管理事業は、前連結会計年度に受託した物件が計画通りに稼働したことに加え、管理ストックから派生する周辺事業が好調に推移したことが増収・増益の要因と認識しております。今後についても、最低賃金上昇等の影響で、現業員の労務費を中心に人件費の上昇は続くと予想していることから、主たるお客様である管理組合に対し、管理委託料値上げの提案を進めていく必要があると分析しております。
(ビル管理事業)
ビル管理事業は、ベトナム子会社が売上高に寄与したことや、株式会社NHファシリティーズの一部事業の業績が改善したこと等が増収・増益の要因と認識しております。今後についても、引き続き管理ストックの拡充や、主たるお客様であるビルオーナーに対する管理委託料値上げの提案を進めていくとともに、株式会社NHファシリティーズとの協業によるシナジーの強化を図る必要があると分析しております。
(不動産管理事業)
不動産管理事業は、当社において、主にリフォーム工事が好調に推移したこと等が増収・増益の要因と認識しております。今後についても、管理ストックの拡充及び周辺事業の取込強化や、主たるお客様である賃貸マンションのオーナーに対する管理委託料値上げの提案を進めていく必要があると分析しております。
(営繕工事業)
営繕工事業は、当社において、大規模修繕工事・一般営繕工事が好調に推移したことで増収となりましたが、シンガポール子会社において、同国内におけるコロナ禍以降の急速なインフレに伴う銅をはじめとする原材料価格や労働力単価の急上昇、工期短縮に伴う各種コストの増加等による業績悪化、および売上債権の回収懸念に伴う会計処理を実施したこと等が大幅な減益の要因と認識しております。今後についても、資材価格の変動等の影響はありますが、建物の高経年化が進む中、一般営繕工事を中心に需要が拡大すると分析していることから、積極的な受注に努めてまいります。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、収益力の向上を図るために、売上高経常利益率を経営上重要な指標として考え、財務体質強化の観点から、自己資本比率を重視すべき指標として考えています。当連結会計年度における売上高経常利益率は2.7%(前期比2.2ポイントの減少)であり、自己資本比率は、55.4%(前期比2.3ポイントの減少)となりました。引き続きこれらの指標について向上を図るとともに、全体のバランスがとれた経営を目指してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」を参照願います。
当社グループの資金需要のうち主なものは、人件費を中心とした営業費用、設備投資等によるものであります。
当社グループでは、運転資金及び投資資金につきましては、自己資金または借入金により資金を調達することを基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,708百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は16,871百万円となっております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。