文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループの経営理念は「自由闊達にして公正で節度ある企業活動により、食文化の創造と発展を通して、顧客満足・株主還元・社会貢献の実現を図り、社会的に価値ある企業として、この会社に係わるすべての人が誇りを持てる会社を目指す」であります。
この経営理念のもと、「素材の風味を活かし、生産・流通・販売において温度帯にとらわれず、手軽に食べられ、様々な食シーンにマッチする、楽しさの演出に欠かせないおつまみをお客様にお届けします。」をミッションとし、「ひとつまみの幸せ。」を企業メッセージとして、「おつまみ」事業の維持・拡大及び収益力の強化に努めております。
新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う行動制限の緩和等により、行楽需要やインバウンド消費の拡大が期待されますが、世界的な原材料価格の高騰や、ウクライナ情勢の長期化と中東の緊張の高まりによるエネルギー価格の不安定さ、為替円安の懸念、物流2024年問題への対応、及び諸物価の上昇など、依然として先行き不透明な状況が想定されます。
第75期(2023年3月期)から第80期(2028年3月期)までを対象期間とする第6次中期経営計画「Next Value up for 80」の2年目であった第76期(2023年4月1日~2024年3月31日)は、世界的な原材料価格の高騰や、エネルギーコストの上昇、為替円安の進行、新型コロナウイルス感染症への対応など、当社グループを取り巻く事業環境の変化に対応しながら、第80期ビジョン「私たちは、『“もっと”おいしく、楽しく、ワクワクするおつまみをお届けする会社』を目指していきます。」を掲げ、時代の変化と共に多様化している「お客様が感じる様々な楽しさ」にお応えしていくため、3つの重点戦略に全社一丸となって取り組んでまいりました。

重点戦略「1.新しい楽しさをもった『おつまみ』の提供によりなとりファンの拡大を目指します」では、お客様の購買意欲を刺激することによって珍味売場の活性化を図るべく、期間限定品・期間限定パッケージ・販促キャンペーン等に積極的に取り組みました。具体的には、「まろやかチータラ® ちいかわコラボパッケージ」の第2弾を発売し、チータラ® をホットプレートで焼くだけの簡単レシピや、鍋の具材のひとつとして提案する売場を展開するなど、おつまみと比較的馴染みの薄い新たなお客様の開拓に努めました。また、チーズ鱈®・ジャッキーカルパス®・うまいか等の期間限定フレーバーや、節約志向に対応した各種おつまみのお買い得セットを継続的に投入し、既存のお客様を中心に据えた販売促進策にも積極的に取り組み、ご好評をいただきました。原材料調達については、カントリーリスクを踏まえた調達先の国内回帰や、東南アジアを中心とした海外調達先の更なる拡大に向けた準備等、リスク回避のためのサプライチェーンの強化を図っております。
重点戦略「2.すべての人材が活躍でき働きがいのある職場づくりを目指します」では、職場内での良好なコミュニケーションを図るため1on1ミーティングを全社的に水平展開いたしました。人事制度面においては、メンタルヘルスを含む健康相談窓口の拡充に加え、年間休日日数や有給休暇制度の拡充、産休育休復帰祝金の新設などを行いました。コンプライアンスにおいては外部講師も招へいし、内部通報制度の浸透や各ハラスメントの対策を講じております。また、人材育成面においては、入社10年目までの研修プログラムの刷新に加え、従業員の自己啓発・自己研鑽を後押しするために通信教育受講料の補助金充実など、各種の取り組みを着実に実行いたしました。
重点戦略「3.SDGsへの取り組みとガバナンスの強化を目指します」では、SDGsへの取り組みのスローガン「創ろう 未来あるおつまみ」と基本方針「おつまみを通して持続可能な環境と社会の実現に貢献します」に沿って、特にCO₂排出量の削減について、工場を中心に電気・ガス等のエネルギーを効率的に使用する改善活動や、埼玉第二工場に続き2ヵ所目の太陽光発電設備を2024年3月より子会社の「函館なとり」で稼働開始するなど、取り組みを積極的に進めました。その他の取り組みについては、下記URLのサステナビリティ報告書をご参照ください。
https://www.natori.co.jp/corporate/sustainability/report.html
第77期(2024年4月1日~2025年3月31日)は中期経営計画「Next Value up for 80」の3年目として、引き続き3つの重点戦略に全社一丸となって取り組み、より一層の収益力向上のための諸施策等を進め、更なる成長を目指してまいります。
当社は、収益力の観点から売上高営業利益率、株主重視の観点からROEをそれぞれ向上すべく常に意識した経営を進めております。
なお、2025年3月期は、連結売上高482億50百万円、連結営業利益21億30百万円を目指しております。
当社グループが対処すべき主な課題は、以下のとおりであります。
新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う行動制限の緩和等により、行楽需要やインバウンド消費の拡大が期待されますが、世界的な原材料価格の高騰や、ウクライナ情勢の長期化と中東の緊張の高まりによるエネルギー価格の不安定さ、為替円安の懸念、物流2024年問題への対応、及び諸物価の上昇など、依然として先行き不透明な状況が想定されます。
次期の連結業績の見通しにつきましては、売上高482億50百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益21億30百万円(同0.2%増)、経常利益21億70百万円(同0.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益14億80百万円(同5.7%増)を計画しております。
2025年3月期の連結業績予想(2024年4月1日~2025年3月31日)
売上高につきましては、市場環境に対応した継続的な新製品の投入と市場定着を図るとともに、きめ細かな販売促進策に取り組み、インストアシェアアップと新規開拓を進めることで増収を見込んでおります。
利益につきましては、原材料価格の上昇に加え、物流費や動力燃料費の増加、賃上げ等を想定しております。それに対して、売上増加やプロダクトミックスの改善、コストコントロールの徹底、製品の価格改定効果の浸透等により、増益を見込んでおります。
次期のキャッシュ・フローにつきましては、増収・増益をベースに、在庫水準、債権債務等のきめ細かい管理に努め営業キャッシュ・フローの向上に注力いたします。投資活動によるキャッシュ・フローは、商品の安全安心対策・合理化・増産のための設備投資、情報システム強化のため2024年度中の稼働を予定している基幹システム構築の最終段階の投資などを予定しており、更なる事業規模の拡大と企業体質の強化に取り組んでまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1) サステナビリティ
なとりグループは、いかをはじめとした水産加工品の製造・販売を目的に1948年に事業を開始して以来、従来「珍味」と呼ばれてきた食品を、「つまむ」というソフトの視点から見直し、「常温で流通でき、いつでもどこでも手でつまんで食べられるもの」を“おつまみ”と定義付ける独自の「おつまみコンセプト」を1981年に制定し、事業領域を珍味中心からおつまみ全般へと拡大させてまいりました。「おつまみ」は素材が重要な食品製造販売事業であり当時は、いかなどの水産物が中心でした。その後も、従来の「おつまみコンセプト」を発展させ、“おつまみ”の定義を更に拡大する「新おつまみ宣言」を制定した2006年以降は、手でつまんで食べる常温タイプの製品に留まらず、物流の進化に応じて要冷品や、フォーク・爪楊枝・お箸で食べられる製品の開発にも取り組んでまいりました。
創業当時は水産加工製品への依存度が高い事業構造でしたが、現在は、7つの製品群(さきいか・チーズかまぼこ・いかフライなどの水産加工製品、サラミなどの畜肉加工製品、チーズ鱈® などの酪農加工製品、ナッツなどの農産加工製品、梅・飴などの素材菓子製品、チルド製品、その他製品)を展開しており、最近のするめいかの不漁に対しては、原料を安定的に調達できる畜肉加工製品や酪農加工製品の拡販に注力するなど、経営環境の変化に対し能動的にアクションをとることでポートフォリオの最適化を図り、事業としてのサステナビリティを従来より高めてまいりました。
具体的な製品群別(主に素材別)の売上高の推移は次のグラフの通りです。

今後も様々な素材の風味を活かし、楽しさの演出に欠かせない“おつまみ”をお客様にお届けすることを通じて、更なる事業の成長と発展を目指してまいります。
当社グループの重要なサステナビリティ活動は、取締役執行役員 生産本部長が委員長を務める「SDGs推進委員会」が検討し、取締役会に諮りながら経営に反映しています。2020年に設置した「SDGs推進委員会」は原則、毎月開催をしており、2022年には、バリューチェーンに関わる各本部から統括委員としてメンバーが加わり、推進体制を更に強化しました。今後は新体制の下、TCFD提言に基づくシナリオ分析の検討を進め、検討したシナリオに基づき、最重要リスクと機会の特定を勘案しながら、諸施策を推進し、中長期の経営戦略の一部として継続的に反映をしてまいります。
当社グループは、中期経営計画「Next Value up for 80」において、「2.すべての人材が活躍でき働きがいのある職場づくりを目指します」「3.SDGsへの取り組みとガバナンスの強化を目指します」を重点戦略として掲げ、ESG経営への強い意志を表明しております。
重点戦略「2.すべての人材が活躍でき働きがいのある職場づくりを目指します」では、人事諸制度の充実と職場内での良好なコミュニケーションによる働きやすい組織・風土づくりを推進し、目的別教育プログラムの充実によって従業員の専門的な知識やスキルの向上を図るとともに、主体性と多面的な視点を持つ人材の育成に取り組んでおります。
重点戦略「3.SDGsへの取り組みとガバナンスの強化を目指します」では、SDGsに関する当社グループのスローガン「創ろう 未来あるおつまみ」、基本方針「おつまみを通して持続可能な環境と社会の実現に貢献します」に基づき、食品ロスの削減・二酸化炭素排出量の削減・持続可能な原材料調達等の「環境への配慮」、品質保証体制の徹底による「安全・安心」な商品の提供、食育セミナー活動や工場見学等を通した「社会貢献」、女性管理職比率・男性育児休暇取得率の向上等の「働きやすさ」、そしてプライム市場に上場する企業として「コーポレート・ガバナンスの継続強化」を推進し、地域社会とも共存共栄しながら食品メーカーとして、更なる企業価値の向上に邁進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する評価などについては、バリューチェーンに関わる各部門のメンバーで構成されるSDGs推進委員会で検討し、代表取締役会長兼社長が委員長を務める「リスク管理委員会」などの各委員会と相互に連携をとりながら、精査を行います。
リスク管理委員会は、原則、毎月開催し、当社グループの事業活動に関するサステナビリティも含めた様々なリスクの抽出とその対応状況を把握した上で、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかを検証・評価し、具体的対策を講じております。
当社グループは、前述の戦略に基づいた指標と目標を設定し、SDGs推進委員会において進捗管理を行っております。二酸化炭素(CO2)排出量の目標については、主に工場において電気・ガス等のエネルギーを効率的に使用する改善活動や、2022年4月より埼玉第二工場で太陽光発電設備を稼働開始したこと等により、2023年3月期に早期達成したことから、目標を15%削減から30%削減に引き上げました。なお、スコープ3の把握については、2024年3月期より対象範囲を限定する形で算定に着手しております。引き続き、算定値等の公表に向けた準備を検討してまいります。
※1.2024年3月期の実績は、集計時点(2024年4月30日現在)の最新のCO2排出係数で計算した暫定値です。
※2.FSC®(Forest Stewardship Council®、森林管理協議会)認証:森林保全を目的とし、環境や人権、地域に配慮した適切な森林管理を広めるための国際的な認証制度。
※3.MSC(Marine Stewardship Council、海洋管理協議会)認証:水産資源と環境に配慮した持続可能な漁業で獲られた水産物の証。
※4.工場見学は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため2021年3月期より一時休止をしておりましたが、2023年9月より再開いたしました。
(2) 気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)
いかなどの魚介類や海藻類、畜肉、チーズ、ナッツ類・梅などの素材の風味を活かした“おつまみ”を製造・販売している当社グループにとって、「気候変動」は原料の安定調達等を左右するリスクのひとつであり、持続的成長に影響を及ぼす重要課題であると認識しております。
また製品の製造工程におけるCO2排出量(スコープ1及びスコープ2)の削減について、その規模に関わらず影響を踏まえた取り組み姿勢は重要であると認識しております。
※TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全体のガバナンスに組み込まれております。詳細については「(1) サステナビリティ ① ガバナンス」をご参照ください。
気候変動に関する機会・リスクについては、SDGs推進委員会にて全社横断的に検討を行ってまいりますが、当社グループにおける気候変動リスクの大きいものとしては、以下を中心に調査・検討を進めていきます。
今後はこれらの内容の精査を進め、シナリオ分析・財務インパクト評価を行った上で、本報告書やホームページ等での開示を進めてまいります。
気候変動に関する主なリスクは、サステナビリティ全体のリスクに含めて管理しております。詳細については「(1) サステナビリティ ③ リスク管理」をご参照ください。
気候変動に関する指標と目標は、サステナビリティ全体の指標と目標に含めて管理しております。詳細については「(1) サステナビリティ ④ 指標と目標」をご参照ください。
(3) 人的資本(人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略)
a.人材の育成に関する方針
当社グループでは、創業以来、「”飽くなき食への探究心”に基づいたものづくりへの情熱」を原点としております。この情熱をもって、安全安心で高品質な製品をお客様に提供し続けて成長してきました。これからも、挑戦と革新を続け、おつまみの真のNO.1企業を目指してまいります。そのため、以下のように求める人物像を定めております。
1.正直、親切、誠実な人
2.俊敏に、主体的に、柔軟に行動できる人
3.情熱をもって挑戦し、周囲に活力を与え、失敗しても決してあきらめない人
社内外の研修、自己啓発や仕事を通して人材育成を積極的に行っております。
b.社内環境整備に関する方針
少子高齢化により労働人口が減少する中で、若者の就職観が変化しており、働き方へのニーズも多様化しております。人材の充実を図るため、魅力ある会社づくりのための諸制度の一層の充実や、採用された人材が能力を最大限に発揮できる社内環境の整備が重要です。採用職種を多様化し、入社後は自己申告制度、面接制度により、本人の希望を尊重したキャリアプランを描いてまいります。
また、働きながら子供を育てる従業員への支援を積極的に行っております。1日の労働時間を4時間まで短縮でき、小学校4年生になるまで利用できる育児短時間勤務制度や託児施設を利用する場合の補助など様々な施策を講じてまいります。
男性の育児休業についても、対象者一人一人に制度を説明し、利用促進を図っております。
社員が能力を最大限に発揮できる社内環境の整備、魅力のある会社づくりや人材育成に関する指標及び目標、実績は以下のとおりです。
※ 2023年3月期及び2024年3月期に育児休業を取得して復職していない15名は2025年3月期以降に復職予定です。
a.研修派遣人数
自社の研修以外にも積極的に外部研修、セミナーへ派遣し、従業員へ学ぶ機会の提供を行っております。今後、社員のキャリアプランを面接で確認する中で必要なスキルを習得するための研修に積極的に参加してもらい、2026年3月期までに累計1,400名の派遣を目指してまいります。
b.通信教育受講及び資格取得件数
当社グループでは、自ら学ぶ姿勢を大切にしており通信教育の受講料補助や公的資格取得者に対して報奨金を支給しております。支援対象の通信教育・資格の拡充を行い、2026年3月期までに受講件数と資格取得件数を合わせて累計1,600件を目指してまいります。
c.女性管理職比率
人材の多様化の一環として、女性の役職への登用を積極的に推進しております。管理職予備軍である係長クラスへの登用や外部の女性研修への派遣などを通して女性管理職を育成してまいります。2026年3月期までに女性管理職比率10%以上を目指し、2024年3月期に達成いたしました。今後も10%以上を目標に取り組んでまいります。
d.育児休業を経て復職した従業員の復職率
働きながら子供を育てる従業員への支援や社内環境の整備を推進しております。対象の個人別に制度説明や定期的に社内情報を発信する制度を整備し、復帰しやすい環境を整えております。2026年3月期まで育児休業を経て復職する従業員の復職率100%を目指してまいります。
e.男性育児休業取得率
当社の男性育児休業については、2023年3月期に初めて取得する従業員が出ております。2023年6月に特別休暇として育児目的休暇を創設することで、休みやすい環境を整備し、育児休業制度の周知を進めました。その結果、対象者全員が育児休業を取得いたしました。今後も柔軟な働き方や休み方ができる環境づくりを推進し、取得率100%を維持できるよう目指してまいります。
当社は、当社グループの事業活動に関する様々なリスクの管理を所轄するリスク管理委員会を設置し、原則、毎月開催しております。委員会では、リスクの抽出とその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。当連結会計年度は、特に新型コロナウイルス感染症への対応や、ロシア・ウクライナ情勢の影響やカントリーリスクを踏まえた事業継続のための具体策について検討し対応を進めております。また、サステナビリティに関しましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ ③ リスク管理」をご参照ください。
経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。以下は、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、当該事項の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(経営の影響度:大、発生の可能性:高、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(3)商品供給を支えるサプライ
チェーンの強化を進めます)
当社は、食品の原材料・資材として、いかなどの水産品、チーズなどの酪農品、牛肉などの畜産品、ナッツ類・梅などの農産品、あるいは包装材料など、幅広く使用しており、その調達先も多岐にわたっています。
これらの調達にあたっては、気候変動による自然環境や世界的な食糧需給構造の変化、生産・調達先である企業の経営状況、輸入関税の変動、環境や人権に配慮した原材料の調達等により、調達量及びコストが変動することが予想されます。原材料価格の値上がり影響を自助努力だけでは取り戻せない場合は、お得意先のご理解をいただきながら製品の規格変更や売価上げを実施いたします。また、安定的に調達するため、持続可能な原材料の調達への切り替えに取り組むと共に、特定の原材料、生産品、仕入先に多く依存することを避け、在庫管理などの対応を行っておりますが、総資産に占める原材料及び貯蔵品の比率や、製造原価に占める原材料価格の比率が高いため、原材料価格が高騰した場合や予想を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(経営の影響度:大、発生の可能性:低、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(3)商品供給を支えるサプライ
チェーンの強化を進めます)
当社グループは、食品の安全性を経営上の最重要課題の1つと認識しており、トレーサビリティーの推進、仕入先への指導・多様化、的確な業務処理を徹底しております。しかし、鳥インフルエンザや豚熱など家畜疫病の発生、有害物質や異物の混入等、食品の安全に関する事態が発生した場合、生産・調達先の変更等に伴うコスト増加が予想されます。想定を超える事態あるいは会社としての対応を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(経営の影響度:大、発生の可能性:中、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(2)品質向上と新製品開発に
よってお客様の満足度をさらに高めます)
当社グループは、食品の製造・販売を主たる事業としており、全従業員が食品会社に従事していることを認識し、お客様の立場に立って、原材料の仕入れから販売までを安全・安心に行うことを徹底しております。万が一、品質や安全性が疑われる問題が発生した場合、当社商品の回収や販売停止など、品質の信頼性を維持するための売上減少と費用増加が予想されます。商品の安全・安心を担保するために、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格FSSC22000を導入しており、部門横断の品質管理委員会を原則、毎月開催し、商品クレームや事故の未然防止のため、工場職場との緊密な連携によってリスクを予見し摘み取る活動や、商品表示の適正化に取り組んでおります。また、いわゆる「フード・ディフェンス」の考え方を取り入れ、意図的な異物混入を防御すると共に異常が無いことを証明できる体制を整備し、常にお客様に信頼される安全・安心な商品を提供するために原料仕入から生産現場、店頭に並ぶまでの衛生管理や履歴管理を徹底しております。これらの取り組みを今後も深化させてまいりますが、想定を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(経営の影響度:大、発生の可能性:高、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(3)商品供給を支えるサプライ
チェーンの強化を進めます)
当社原材料のうち、海外に依存しているものは全体の約6割あります。特に為替変動の影響を受けるものは全体の約4割です。各原材料の複数通貨建の購買体制の構築や、一部原料の調達先の国内回帰、海外への輸出拡大など為替リスクを極小化するよう努めておりますが、そのリスクは当社に帰属いたします。また、中国国内における生産販売を行っている合弁企業にも投資を行っております。為替相場が急激に変動した場合、あるいは投資先の状況により、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(経営の影響度:大、発生の可能性:低、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(2)品質向上と新製品開発に
よってお客様の満足度をさらに高めます)
当社及びグループ企業の一部は食品製造販売会社であり、食品表示法、食品衛生法、製造物責任法、容器包装リサイクル法、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、工場設備に関係する諸法律などの制約を受けます。万が一、これらの法律あるいは新たに当社グループの事業に関係する法律が改訂あるいは制定される等の理由により、対応できず法令違反や規制に反した行動等が発生した場合、法令による処罰、社会的制裁を受けることもありえます。各主管部門と法務部門が連携し、関連諸法規の遵守に万全の体制で臨んでおりますが、期限までに対処できない事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(経営の影響度:大、発生の可能性:中、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(3)商品供給を支えるサプライ
チェーンの強化を進めます)
震災や台風等の天災に伴う当社事業所の損壊や、物流網の遅滞、原材料の調達不足、電力の使用制限による工場の生産能力及び生産性の低下、風評被害の発生、サプライチェーンの寸断、交通網の麻痺による従業員の通勤不能、大規模イベントに伴う物流網の制約・混乱等により、当社の仕入、生産、販売において予期しえない事態が起こることもありえます。日頃より仕入先の分散を実施するなど、リスクを極小化するよう努めておりますが、会社としての対応を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、世界規模の感染症の蔓延による社会的混乱が発生した場合においては、当社グループは顧客、取引先及び従業員の安全を第一に考えて感染防止策を徹底すると同時に、事業活動の継続、商品の供給責任をできる限り果たせるよう努めてまいりますが、予想を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(経営の影響度:中、発生の可能性:中、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(1)クリエイティブな発想と
チャレンジ精神で新素材・新技術を活用し幅広いお客様を開拓します)
お客様の嗜好の多様性や健康志向の高まり、国内の少子高齢化、購買パターンの変化、売場のボーダレス化等、市場の変化にいかに迅速に対応し、お客様のニーズにマッチした商品を開発できるかが、当社グループが事業成長を続けていくために重要な課題となっております。おつまみ業界におきましては、競争が一層激しくなっており既存品のみではシェア・売上低下は避けられない状況にあります。このような状況に対処すべく、新商品開発の強化と既存品のリニューアルなどでシェアを維持・拡大しながら売上の伸張を図っておりますが、お客様のニーズに応えられる商品を提供できなかった場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(経営の影響度:大、発生の可能性:中、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(3)商品供給を支えるサプライ
チェーンの強化を進めます)
当社は、世界の各地から原材料を輸入しているほか、海外の協力工場での加工、商品の輸出を行っています。各国の法令・規制の変化、テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱、文化や慣習の違いに起因するトラブル発生、疫病の発生・蔓延等が予想されます。海外の協力工場で加工したものを日本国内に輸入できない場合に備えた生産の国内回帰や、第三国での加工について準備を進めるなど、各担当部門が情報収集を行い、個々に対策を打ってまいりますが、各地において政治・経済・社会的混乱など予想を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(経営の影響度:小、発生の可能性:低、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(3)商品供給を支えるサプライ
チェーンの強化を進めます)
当社グループは、事業の用に供する工場や生産設備、不動産、有価証券等の様々な資産を保有しております。これら資産は、時価の下落や生産品目の動静などにより、将来のキャッシュ・イン・フローが悪化し、減損会計の適用を受ける可能性があります。予想を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(経営の影響度:大、発生の可能性:中、中期経営計画の重点戦略との関連性: 3.SDGsへの取り組みとガバナン
スの強化を目指します)
当社グループは、持続的成長と企業価値向上のために、おつまみ事業の拡大と共に、気候変動の影響に関わる継続的な情報収集・分析・把握と事業活動を通じた環境問題への取り組みが欠かせないものと認識しております。当社は、今後も世界共通の社会課題として掲げられた持続可能な開発目標(SDGs)に紐づく活動に努めてまいります。具体的には、食品ロスの低減に向けた賞味期間の延長、賞味期限の年月表示化、原料廃棄の回避や、二酸化炭素排出量の削減に向けた太陽光発電設備の導入拡大、工場を中心とした省エネ活動、環境配慮型素材(包材)の活用等に取り組み、環境問題に関連する各種法律、規制を遵守しています。しかしながら、関係法令等の改正によって、新規設備の投資等による大幅なコスト増加など、予想を超える事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(経営の影響度:大、発生の可能性:中)
当社グループでは、取引業務の遂行や顧客とのデータのやり取りにおいて、取引先や個人の情報を保持しております。このため、コンピュータウイルスの感染や不正アクセスによるシステムダウン、情報の消失、データの改ざん、個人情報や会社の重要機密情報が漏洩するリスクがあります。また、地震等自然災害の発生による一時的な混乱が生じる可能性があります。これらの重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、適切なセキュリティ管理やバックアップ体制の整備と共に、従業員教育を実施しておりますが、悪意を持った第三者の介入など予想を超えた事態が発生した場合、情報システムの崩壊に伴う事業の中断、セキュリティ対策費用の増加により、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(経営の影響度:小、発生の可能性:低)
当社グループは、自己資金に加え、主に金融機関からの借入及びリースにより事業資金を調達しています。金融市場の不安定化・金利上昇が生じた場合等には、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加する可能性、あるいは全くできない状況に直面する可能性があります。最新の情報に基づく事業計画の見直し等により、資金調達先の分散や、借入期間の適正化、リスクの最小化に努めておりますが、社会環境の激変など予想を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
2019年末より、短期間で全世界に感染拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、当社グループでは、顧客、取引先及び従業員の安全を第一に考え、日頃から感染を予防するために考え得る様々な対応を実施しております。引き続き感染防止策を徹底した上で、事業を継続し、商品の供給責任をできる限り果たせるよう努めてまいりますが、今後、事態が大きく変化し、景気の悪化、消費のさらなる冷え込みが発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
○主な感染防止策の例
当社グループの一部商品でロシア産、ウクライナ産の水産原材料を使用しておりましたが、数量はわずかであり、他の産地からの購買によって必要とする数量は確保できる見込みであることから、現時点で業績への影響は軽微であると見込んでおります。
しかしながら、世界的なエネルギー価格の上昇に伴う動力燃料費・包材・物流コストの増加、小麦や飼料などの穀物価格の上昇に伴う原材料コストの高騰あるいはより広範囲のサプライチェーンの見直しが必要な場合、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い行動制限が緩和され、物価上昇の影響を受けつつも個人消費やインバウンド需要を中心に経済活動に回復の動きが見られました。一方で、円安やウクライナ情勢の長期化による原材料価格の上昇や物価上昇による消費の減速懸念などが続いており、世界的に先行き不透明な状況が広がっております。
食品業界では、急激な原材料価格の上昇に対して、やむを得ず、商品の売価上げをお客様とお得意先のご理解をいただきながら取り組んでおります。このため値上げした商品の販売数量が一時的に落ち込む等の影響が見られましたが、各メーカーは行動制限の緩和等に伴う消費動向や食シーンの変化に応じた商品の提供に取り組んでおります。
この様な状況の中、当社グループは売上面では、価格改定後の製品が市場に定着しつつある中、お客様の生活防衛意識の高まりによる節約志向を捉えた期間限定品や、おやつ需要に適した新製品導入と市場定着を図りながら、「チーズ鱈® の日(2月23日) プレゼントキャンペーン」など主力製品の販売促進策等に引き続き取り組み増収となりました。
利益面では、原材料価格の更なる値上がり影響などのコスト増加に対して、売上増やプロダクトミックスの改善、一部製品の価格改定や内容量変更、コストコントロールに全社をあげて取り組んだ結果、大幅増益となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、475億78百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益は21億25百万円(同241.6%増)、経常利益は21億62百万円(同232.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14億円(同243.6%増)となりました。
なお、当社の持分法適用関連会社であった南京名紅旺食品有限公司の出資持分の譲渡に伴う関係会社出資金売却益4億22百万円を特別利益に、2024年度中の稼働を予定している新基幹システムのパッケージソフトウェアについて、今後使用しない機能等に係る減損損失5億28百万円を特別損失にそれぞれ計上しております。
<連結業績>
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
セグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。
(食品製造販売事業)
売上高を製品群別に分類しますと、水産加工製品は、おやつにもお酒のおつまみにも最適な新製品「味付けいか耳チップ」や、いかの姿フライ、うまいか、チーズinかまぼこ、するめスティックなどが売上を伸ばし、増収となりました。畜肉加工製品は、新製品「厳選3種の肉バルアソート」が好調に推移したことに加え、「18本入りペンシルカルパス」や「一度は食べていただきたい おいしいサラミ」等のドライソーセージ製品が伸長し、増収となりました。酪農加工製品は、新製品「チータラ® ボリュームパック」や、「一度は食べていただきたい 贅沢な チーズ鱈®」などの チーズ鱈® 製品が全体的に好調に推移し、増収となりました。農産加工製品は、食べきりサイズの「JOLLY PACK」シリーズや、お買い得な大袋のナッツ製品などの売上が伸長し、増収となりました。素材菓子製品は、種抜きタイプの「甘ずっぱいカリカリ梅」や「ほし梅」などの梅製品が売上を伸ばし、増収となりました。チルド製品は、「ちいかわ」とコラボした期間限定パッケージの新製品「なめらか チータラ®」シリーズなどのチルド チーズ鱈® 製品が好調に推移し、増収となりました。その他製品は、定番品の「おつまみセレクション」や、期間限定の新製品「一度は食べていただきたい よくばり4種の詰め合わせ」などのアソート製品が売上を伸ばし、増収となりました。
以上の結果、食品製造販売事業の売上高は471億55百万円(同5.6%増)、営業利益は18億60百万円(同439.5%増)となりました。
(不動産賃貸事業)
売上高は4億23百万円(同0.6%増)、営業利益は2億64百万円(同4.6%減)となりました。
当連結会計年度末の連結総資産は、434億38百万円(前連結会計年度末比34億14百万円増)となりました。
資産の部では、リース資産、建物及び構築物は減価償却が進み10億99百万円減少しましたが、売上増や在庫の減少により現金及び預金が40億74百万円増加したこと等により総資産が増加しました。
負債の部では、リース債務、借入金は返済が進み10億93百万円減少しましたが、金融機関の休業日の影響や売上増加に伴う仕入増加により支払手形及び買掛金が17億60百万円増加したこと等により、負債合計は183億64百万円(同19億21百万円増)、純資産の部では、配当金の支払いはありましたが、当期純利益の計上で利益剰余金が11億23百万円増加したこと等により、純資産合計は250億74百万円(同14億92百万円増)となりました。
なお、自己資本比率は金融機関の休業日の影響に伴う仕入債務増加もあり前連結会計年度末比1.2ポイント減少の57.7%となっております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ40億74百万円増加し、57億89百万円となりました。
当社は、棚卸資産等のバランスシートの改善と営業キャッシュ・フローの確保が資本収益性を高める要点として取り組んでおりますが、2024年3月期はその結果が出たと分析しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、64億80百万円の収入(前年同期は13億30百万円の支出)となりました。主に、売上債権が1億60百万円増加した一方で、税金等調整前当期純利益が19億94百万円、減価償却費が13億81百万円あったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、8億91百万円の支出(同7億10百万円の支出)となりました。主に、基幹システム構築等で無形固定資産の取得による支出が7億27百万円あったこと等によるものです。
この結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュフローは55億88百万円の収入(同20億40百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、15億13百万円の支出(同8億34百万円の支出)となりました。主に、ファイナンス・リース債務の返済による支出が7億24百万円、長期借入金の返済による支出が4億91百万円あったこと等によるものです。
2025年3月期のキャッシュ・フローにつきましては、増収・増益をベースに、在庫水準、債権債務等のきめ細かい管理に努め営業キャッシュ・フローの向上に注力いたします。投資活動によるキャッシュ・フローは、自動化等生産性向上のための設備投資、情報システム強化のため2024年度中に稼働予定の基幹システム構築の最終段階の投資などを予定しており、更なる事業規模の拡大と企業体質の強化に取り組んでまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
将来の事業計画に基づき、課税所得が十分に確保され、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに基づいており、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じて見積りが減少した場合には、繰延税金資産の取り崩しを行う可能性があります。
(退職給付費用及び退職給付債務)
退職給付費用及び債務について、割引率、昇給率等の数理計算上の前提条件に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合には、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じて見積りが減少した場合には、減損損失が必要となる可能性があります。
当社グループの運転資金需要は主に、原材料調達のほか、製造経費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、長期の資金需要は、食品メーカーとしての生産設備、研究開発、情報システムなどの成長投資等によるものであります。
運転資金及び長期資金は、主として営業活動によって得られた自己資金を充当し、必要に応じて借入金などによる調達を実施いたします。また、当社グループの資金は、当社が全体を管理することにより、資金効率の向上を図っております。
配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
なお、2025年3月期における重要な資本的支出につきましては、埼玉工場をはじめとする各工場の合理化設備や老朽化設備の入替など、総額17億円の設備投資を予定しております
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、製造原価によるものであります。
2.不動産賃貸事業においては、該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、受注予測による見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績については、「(1) 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
現在の当社グループを取り巻く環境は、「少子高齢化を背景とした珍味顧客の高齢化や低年齢層の減少」「消費者ニーズの多様化による業種業態を超えた食品売場のボーダレス化」など、需要構造が徐々に変わってきております。これに対して、当社グループといたしましては、新たな発想による新しいおつまみの開発やおつまみ加工技術を活用し、珍味売り場向けの水産加工製品、畜肉加工製品、酪農加工製品を中心に、珍味外売り場向けの素材菓子製品、チルド製品などの開発も積極的に行い、新しい需要を創造し、成熟型社会に対応した企業基盤の確立に取り組んでおります。
当面の課題としては、世界的な原材料価格の高騰や、ウクライナ情勢の長期化と中東の緊張の高まりによるエネルギー価格の不安定さ、為替円安の懸念、物流2024年問題への対応、及び諸物価の上昇などであります。代替原材料への切替、一部原料の調達先の国内回帰や、エネルギーの効率的使用などの対策を検討しておりますが、更なる値上げなどが発生し、当社グループの企業努力の限界を超えた場合、企業収益を圧迫することがあります。
また、食の安全を確保するための法令改正や指導が行われた場合、追加設備投資あるいは費用などにより財政状態及び経営成績に重要な影響が生じる場合もあります。これらにつきましては、「3 事業等のリスク」に記載いたしましたのでご参照ください。
経営方針・経営戦略につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載いたしましたのでご参照ください。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載いたしましたのでご参照ください。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発部門は、第6次中期経営計画の実現に向け、素材の風味を活かし、手軽に食べられ、楽しさを演出する独創性あるおつまみの創出と、既存品の改良を継続的に行い、おつまみの可能性を追求しております。また、時代の変化とともに多様化しているお客様の様々な楽しさにも対応した、おつまみの新しい楽しさを提供し、なとりファンをさらに増やしていきたいと考えております。そのために新技術を開発・導入し、日々急激に変化するマーケット動向を見据え製品開発のスピードアップに取り組みながら、お客様にとって安全・安心でおいしいおつまみの開発を推進しております。
当社グループでは、食品総合ラボラトリーを中心に「安全・安心で高品質な製品」を生み出すべくマーケティング部門、原料部門、生産部門、営業部門等の関係部署との密なる連携により研究開発活動を展開しております。特にマーケティング部門とはさらなる連携強化のために組織を統合しております。
研究開発の主要課題は、素材の持つ良さを最大限に引き出すことです。素材の味・香り・食感・色などを最大限に活かすことで、従来には無かった新たな価値を持った新製品をお客様に提供することを目指しております。また、お客様の嗜好の変化に合わせて既存品の改良を進めて、愛され続ける製品になることを目指しております。
「水産加工製品」「畜肉加工製品」「酪農加工製品」「チルド製品」を重点ジャンルと位置付け開発資源を集中的に投入し、各製品群のさらなるアイテム充実を目標として、様々なバリエーション展開を進めております。
さらに基盤研究の推進にも注力し、当社グループで取り扱っている様々な原材料や加工・保存方法に関する研究・調査を進め、データ蓄積や新技術開発を目指しております。また、基盤研究から生み出されたシーズの新製品開発への導入も強力に進めております。
なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は
研究開発活動の中心的役割を担う食品総合ラボラトリーは、「製品開発」・「製品評価」・「基盤研究」の3つの機能を持ち活動しております。
「製品開発」に関しては、水産、畜肉、酪農、農産の各種原材料の特性を活かし、独自の加工技術を駆使したスピーディーな新製品開発に特化しております。
「製品評価」に関しては、理化学・微生物検査を駆使し、製品・原材料の安全性確保を目的に活動しております。また、美味しさの数値化についても取り組んでおります。
「基盤研究」は新たな加工・保存技術の探求や今後取り組むべき課題の抽出等、新製品の開発や品質の向上、賞味期間の延長等に有用な情報創出を目的に活動しております。
また、食品総合ラボラトリーから独立した組織である品質保証部を中心として、工場の衛生管理・品質管理に関する監視及び特許・商標等の知的財産の取得・管理を行っております。
研究開発成果は、以下のとおりであります。
① 製品開発
食品価格高騰によりお客様の節約意識が強まる一方、好きなものには多少の贅沢を、とのニーズもあり、消費が二極化しています。当社においてもこの「メリハリ消費」に対応し、高付加価値を付与した製品開発を行っており、原料、味付け、製法にこだわった当社のフラッグシップ製品であるゴールドパック製品の拡充を進めています。品質やおいしさなどの機能的価値を高めるのはもちろん、おつまみとしての情緒的価値である「楽しさ」「ストーリー性」を持たせた製品を取り揃えていきます。
最近は、おつまみの用途が広がっており、おつまみをおやつとして食べる頻度が増えるなど、様々な使われ方が生まれていることも市場拡大に向けた大きなチャンスと捉えております。そのため、お客様の健康志向にも対応した、タンパク質を訴求した健康価値のあるおやつ向け製品や、若年層のライフスタイル・感覚に合わせた新しいかまぼこ製品等の開発を行いました。
また、昨今の世界的な地球環境の変動によるスルメイカ原料不漁の対策として、代替となるイカ原料を使用した製品の開発を進めています。
その他、世界的にも注目を集めている和食文化の保護、継承も重要であると考えており、和素材を使用したサラミの製品開発を進めました。
② 製品評価
理化学・微生物検査・高度分析機器を駆使し、開発製品のおいしさ評価、製品・原材料の安全性確認、衛生管理への提言等を行っております。
おいしさ評価については、味覚センサーやアミノ酸分析等さまざまな分析を用いて、商品の味や物性を数値化し、味の変化や自社・他社品との味の違いなどを明確にし、製品開発や営業活動への適切なサポートを行っております。
製品や原料の安全・安心については、東京農業大学 食品安全研究センター研究会に入会し、当社製品の安全性確認体制の強化にも取り組んでおります。また、新しい検査・分析技術の導入も積的に進め、当社グループ工場への水平展開も進めています。
③ 基盤研究
基盤研究は、各種原材料素材に関して加工・保存時の品質変化や栄養成分の調査・研究を進め、さらなるおいしさや品質向上、健康価値を持つ製品開発、食品ロスにつながる賞味期間延長等の基盤データ収集や研究を行っております。特に、健康志向に対応したプラントベース製品の開発、安全・安心にかかわるチルド製品の新たな殺菌技術、新規検査機器の導入による検査の迅速化等に取り組んでおります。
これら開発の課題解決につながる共同研究や他企業との協同による新しい切り口の開発など、オープンイノベーションを進めております。