文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
当社グループは、電力送配電設備の設計・施工・保守等を通じて電力安定供給の一翼を担うとともに、総合設備企業として、お客さまにご満足いただける高品質の設備とサービスを提供することにより、地域社会に貢献し、企業として持続的成長を目指すことを基本としている。
建築設備工事業を取り巻く当面の事業環境は、首都圏・関西圏における再開発案件や地域の社会資本整備など引き続き底堅い建設需要が見込まれる一方で、建設人口の減少や資機材・労務費の上昇などにより、受注面、施工面への影響が懸念される状況が続くものと予想される。
送配電設備工事については、地域の電力需要の現状からみて設備投資の大きな伸びは期待できないものの、高経年化設備の更新工事が今後増加する見通しであり、そうしたなかで過不足のない施工体制を維持しつつ収益性を確保していくことが課題となっている。
こうしたことから、当社では、原価管理の徹底や施工力の有効活用、DXを含む生産性向上施策などに戦略的に取り組んでいくとともに、人的資本経営の推進を通じて、人財力・技術力の向上に努める。
一方、資本市場に向けては、2023年8月31日に「資本収益性の向上に向けた取り組みについて」を策定・公表した。人材投資をはじめとする成長投資を実践することで、利益の持続的な伸長を図るとともに、株主還元の充実等により適正な資本構成の実現に努め、ROE向上への取り組みを進めていく。
以上のように、当社としては、2021年7月に策定した『中期経営指針2025』に沿って、現下の市場環境やリスクに的確に対処しつつ業績の向上に取り組むとともに、グループ全体にてESG経営を実践していくことで、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現を図っていく。
[中期経営指針2025の概要]
①共通目標と基本スタンス
〇 2025年度に向けての共通目標を「チャレンジ、次なる成長ステージへ」と定めるとともに、以下の5つの基本スタンスのもとで事業活動を展開していく。
1.当社の成長の源泉である収益力を、チャレンジ精神旺盛に、着実かつ継続的に高めていく。
2.四国はもとより、首都圏・関西圏をはじめとする様々な地域で信頼される企業を目指していく。
3.地域社会の安定と繁栄に貢献できるよう、ライフラインを守り、社会のインフラを支える役割と責任を全うしていく。
4.事業の原動力である人財・技術力を向上させ、その能力を結集することにより、チーム四電工としての競争力を高め、付加価値を創出していく。
5.ESGの観点を踏まえつつ、環境・社会との調和を図り、収益の還元・再投資を進めることにより、社会と共生し、地域の持続的発展に貢献していく。
②数値目標(連結)
③成長投資
〇 当社グループが将来に向けて持続的な成長を実現するため、「100億円の成長投資枠」を設定する。その活用にあたっては、M&Aによる建設業としての収益力強化に加え、ESGの観点等も考慮していく。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
当社グループは、持続可能な社会の実現に向け、事業活動全般を通じ、環境負荷の低減や様々なステークホルダーの皆さまとの共存共栄を実現するなど、進化する総合設備企業としてESG経営を指向している。なお、以下に記載する「戦略」並びに「指標と目標」については、当社が特に重要と考える「気候変動」及び「人的資本」について記載する。また、当社グループでは「四電工グループ サステナビリティ方針」をもとに、持続可能な社会の実現に向けての理念を共有し、事業活動全般を通じてグループ大で取り組みを行っているが、連結グループに属する各企業によって実施内容が異なっていることに加え、その取り組みがグループ全体に与える影響は軽微であることから、以下のサステナビリティに関する情報は提出会社のみの記載としている。
当社は、環境・社会との調和のもと、持続的な企業成長を目的としたESG経営を推進するために、代表取締役社長を委員長とする「ESG推進会議」を設置している。本会議では、「四電工グループ サステナビリティ方針」に則り、持続的な社会を実現するためのESGアクションプランを推進している。審議結果は年1回の頻度で取締役会に付議し、経営計画に反映している。
①気候変動関連
当社では、気候変動対策は、持続可能な社会の実現のために取り組むべき重要課題の一つであると認識しており、社内外の温室効果ガスの排出量削減に向けて、多様な取り組みを進めている。その一環として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同するとともに、TCFDの提言に基づき、気候変動が当社にもたらすリスクと機会を把握するために、シナリオ分析を実施し、開示を行っている。(TCFD提言に基づく開示の全文は、当社ウェブサイトに掲載 https://www.yondenko.co.jp/sustainability/tcfd.php)
・シナリオ分析方法
2030年における気候変動による事業への影響を明らかにするために、下表の参考シナリオを用いてシナリオ分析を実施した。
・シナリオ分析結果
<1.5℃シナリオ>
1.5℃シナリオでは、炭素税や自然エネルギー活用に関する政策・法規制の強化によって、脱炭素社会への移行に伴った社会変容が起きると想定される。
当社事業へのリスクとしては、炭素税や排出量取引制度の導入、電力の再生可能エネルギーへの切り替えが挙げられる。さらに、脱炭素技術の開発の一環として、建設業でのDX化が進み、当社において導入が遅れた場合、他社に対する優位性が低下することが考えられる。これらリスクに対して当社では、自社設備の省エネ化に向けて空調の高効率化・LEDの導入・エコカーへの切り替え、並びにDXや新技術導入による省力化の検討などを進めている。
一方、機会としては再生可能エネルギーに関連する工事やZEB(※)をはじめとする建物の省エネ化に関連する工事の需要が増加することが予想される。そのため、現時点で当社としては太陽光発電システムの設置、風力・太陽光発電の送電線工事の営業活動を強化している。さらに、ESG対応ニーズの高い法人向けに脱炭素化サービス(太陽光システム・蓄電池・EVなど)を提供する新規サービスを検討している。
(※)ZEB(Net Zero Energy Building):建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物
<4℃シナリオ>
4℃シナリオでは、気候変動が進むことで異常気象の激甚化などの物理的な影響が拡大することが予想される。
当社へのリスクとしては、拠点の被災による損害や事業停止だけでなく、社会インフラや顧客設備の被災による緊急対応の増加などが挙げられる。当社としては、自社の事業活動への影響を最小限に抑えるために、自社の事業継続計画(BCP)の策定だけでなく、調達先へも協力を要請している。
一方、機会としては、防災意識の高まりにより、防災に対応した設備への更新工事や、非常用電源設備などの防災対策設備の新規導入工事における需要増が見込まれる。また、より安全な地域への建物の移転・新築ニーズの高まりに伴う設備工事の増加も予想される。当社では、顧客施設の防災・減災に資する、災害に強い設備の導入を促すソリューション営業をさらに強化・維持していくことを検討している。
②人的資本関連
当社は、経営理念に掲げているとおり、総合設備企業としての持続的な成長を目指している。設備工事業の担い手は「ヒト」、とりわけ専門技術者であり、人材こそが当社収益の源泉となる最も重要な資本であると考えている。当社では「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を定め、会社と従業員が共に成長し、持続可能な社会の実現に貢献できるよう努めている。なお、両方針の当社における位置付けは下図のとおりである。(人材育成方針及び社内環境整備方針の全文は、当社ウェブサイトに掲載 https://www.yondenko.co.jp/sustainability/
hr.php)

Ⅰ.人材育成方針
当社は、以下の方針に則り、持続可能性と多様性を基軸として、首尾一貫した人事施策を推進するとともに、人材投資を惜しまず、その効果を検証し、制度的枠組みや運用方法を継続して改善していく。
<採用>
長期的な従業員数の動向や年齢構成を踏まえ、戦略課題に即して持続的かつ安定的に社員の採用を行う。
<教育>
専門技術の区分等に応じて、基本技能の習得と実践経験を融合しつつ、必要かつ効果的なタイミングで教育プログラムを実践する。
<育成配置>
「現場主義」を基本に据え、業務の特性や個人の資質等を踏まえた計画的かつ多様な育成配置を実践する。
<評価・処遇>
公正・透明な評価を指向し、安定・安心とインセンティブのバランスを考慮した処遇制度を構築する。
Ⅱ.社内環境整備方針
<人的資本管理に関するガバナンス>
人材は当社経営の要であるため、取締役会の決議により、『中期経営指針』において経営の戦略課題と合わせてその実現に向けた中期の要員計画を定める。要員計画を踏まえた毎年の採用計画についても同様に取締役会で承認する。これらの計画は、人事部門が中心となって、各事業部門等と協議・調整のうえで策定する。なお、採用実績については、翌年の採用計画の付議に合わせて取締役会で報告する。
採用後の人材マネジメントについては、人事部門が事業部門と連携して基本的な制度的枠組みを整備し、これに従って各部門がマネジメント行為を実践する。人事部門は企画部門とも連携してその状況をモニタリングし、改善に繋げる。
また、経営幹部層のサクセションプランに関しては、経年的な評価データ等から候補者を選抜し、指名・報酬委員会での審議を経て、適切なタイミングで経営・部門管理に関わる重要ポストへ配置し、適性を多面的に見極める。また、バランスの取れた経営幹部構成を指向し、必要に応じて外部人材の活用についても検討する。
さらに、経営に多様な知見を取り込み、環境変化へのレジリエンスを高めていく観点から、女性を含めた多様な人材に自らの可能性を切り拓く機会を積極的に提供する。
<経営戦略と人事施策の連動のための環境整備>
経営戦略の実現に向け、最も重要な資本である人材を計画的に確保・育成し、持てる能力を十分に発揮できる環境をととのえ、その成果を適正に分配するため、人的生産性向上の好循環をもたらす人事施策を整備する。
<人材マネジメントの前提条件とリスク管理>
人的資本価値の最大化に向けた人材マネジメントを推進するにあたっては、多様性、共感性、健康・安全の確保に加え、良好な労使関係の維持や法令・倫理の遵守等の前提条件に留意し、リスクを適切に管理しながら、企業価値を持続的に高めるものとする。
当社は、事業活動に伴うリスクを未然に把握し、適切に対処するために「リスク管理要領」により、リスク管理方法を定めており、気候変動などのサステナビリティに関するリスクも同様に取り扱っている。
当該リスクは事業部ごとに年1回以上見直すこととしており、特定されたリスクは、影響度と発生可能性から分類・評価することとしている。このうち特に重要なリスクについては、統括執行役員会にて審議の後、取締役会に付議し、翌年の経営計画に反映することとしている。
①気候変動関連
当社は、上記「(2)戦略」において記載した、自社のESG経営の進捗及び気候変動に対する政策等の影響を評価・管理するために、温室効果ガス排出量を指標として設定しており、2030年度に2013年度比で46%以上削減※することを目標として掲げている(下表)。今後は、目標達成にむけて、ZEB化をはじめとした自社設備の省エネ化や再生可能エネルギーの導入を進めていく。
※対象:四電工単体のScope1,2
(単位:t-CO2)
(※)1.当社の元請け工事のScope1,Scope2が対象
2.2022年度より、CO2排出量の算定に際して、使用する排出係数を最新のデータベースへ更新。
(IDEA Ver.2.3から温対法で定められた係数に変更)
これにより、2013年度のScope1排出量を遡及修正した。
②人的資本関連
当社は、上記「(2)戦略」において記載した、人材育成方針及び社内環境整備方針のもと、人員の拡充と多様性の確保に関して、次の指標及び目標を設定している。
(注)女性管理職比率の2030年度目標が2023年度実績より低いのは、社員の年齢構成に基づくボリュー
ムゾーンの定年退職と新規登用の人員ギャップを踏まえたものである。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがある。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
当社グループは、想定される事業リスクについて、影響度と顕在化の可能性の観点から分類した上で対応方針を策定しており、リスク顕在化の未然防止を図るとともにリスク発生時の影響を最小限にとどめるよう的確な対応に努める所存である。
当社グループの主要取引先である四国電力グループの送・配電設備の建設・保守等に関連する設備投資の今後の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。また、一般建設投資の縮小や受注獲得競争の激化などから、受注価格が低下し工事採算性が悪化する可能性がある。このため、四国電力グループや民間・官公庁の投資動向の早期把握に努め、今後の事業戦略等に反映することとしている。
調達環境の悪化等により、完成工事原価の材料費や外注費が大幅に上昇した場合、工事採算性に影響を及ぼす可能性がある。特に、現下においては、担い手不足や世界的な素材価格の高騰等による、資材価格やサプライチェーンへの影響を注視していく必要がある。このため、労務単価及び材料代の市況を常に把握し、タイムリーに原価検討や先行手配等を実施することにより、影響を最小限にとどめることとしている。
当社グループは取引先の与信管理の充実・強化に努めているが、請負工事やリース事業において、契約締結から入金されるまでの間、取引先の信用リスクを抱えているため、予期せぬ経営・財務状況の悪化により、債権の回収等が困難となる事態が発生する可能性がある。このため、与信管理や長期未収入金の管理、出来高未請求チェックの徹底に努めることとしている。
当社は、確定給付企業年金制度を含む退職給付制度を採用しており、退職年金資産の運用利回りの悪化や割引率の低下は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。このため、政策的資産構成割合に基づき、各資産をパッシブ運用することなどにより、適切にリスク管理することとしている。
当社は、資金運用等のために有価証券を保有しているが、金利、株価の変動により時価が著しく下落した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。このため、株価変動等の影響を極力抑制できるよう投資ポートフォリオによるリスク管理に努めることとしている。
当社グループは、建設業法、独占禁止法、労働安全衛生法等による法的規制を受けており、これらの改廃や新設、適用基準の変更等があった場合、又は法的規制による行政処分を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。このため、関係法令等の動向について適宜情報収集及びその影響分析を行い、関連部署を中心に適切に対応することとしている。
地震などの大規模災害やパンデミックが起こった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。このため、大規模災害を想定した訓練及び必要な対策を継続実施するとともに、パンデミックの発生が懸念される場合、当社の事業活動の継続や従業員の衛生・健康の確保のために必要な対応を適時適切に行うこととしている。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的なインフレ進行や物流の停滞などから生産に足踏みがみられる一方、個人消費やインバウンド需要、雇用環境が改善するなど緩やかな持ち直しの動きが続いており、四国地域においてもほぼ全国と同様の状況で推移した。
こうしたなか、当社グループの当連結会計年度の連結業績は、高水準の受注高を確保するとともに、資機材の安定調達やきめ細やかな工程管理などにより大型工事の進捗が好調であったことから、完成工事高が 2,964百万円増加し、売上高合計は 92,112百万円(前連結会計年度比 2,991百万円増加、3.4%増加)となった。
利益面は、増収による効果に加え、徹底した原価管理などにより売上総利益率が大幅に改善(連結売上総利益率 15.7%から17.5%)したため、営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益の全てが増益となった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
(設備工事業)
建設業界においては、設備投資や公共投資に持ち直しの動きが続くなど受注環境は比較的良好であった半面、資機材の価格上昇や調達遅延などにより、受注判断や工事原価、工事進捗への影響に留意が必要な状況にあった。
こうしたなか、顧客との交渉の適正化に努めるとともに、営業・工事・原価管理の連携を強化し、資機材の先行手配やタイムリーな原価検討などを実施することにより、完成工事高は 86,913百万円(前連結会計年度比 2,941百万円増加、3.5%増加)、セグメント利益は 5,179百万円(同 1,381百万円増加、36.4%増加)となった。
(リース事業)
連結子会社 ㈱ヨンコービジネスが、工事用機械、車両、備品等のリース事業を行っている。
事業環境が厳しいなか、新規顧客の開拓に注力する一方、与信管理の徹底などコスト低減に努めた結果、売上高は 2,948百万円(同 27百万円減少、0.9%減少)、セグメント利益は 294百万円(同 16百万円減少、5.4%減少)となった。
(太陽光発電事業)
当社並びに連結子会社 ㈱ヨンコーソーラー、㈱仁尾太陽光発電及び㈱桑野太陽光発電が、太陽光発電事業を行っている。
出力制御の影響による設備利用率の低下などにより、売上高は 2,145百万円(同 141百万円減少、6.2%減少)、セグメント利益は 769百万円(同 87百万円減少、10.2%減少)となった。
(その他)
CADソフトウェアの販売、指定管理業務を中心に、その他の売上高は 1,415百万円(同 196百万円増加、16.1%増加)、セグメント利益は 205百万円(前連結会計年度はセグメント利益 6百万円)となった。
『中期経営指針2025』(2021年4月~2026年3月)の当連結会計年度の達成状況は次のとおりである。
当連結会計年度は、高水準の受注高を確保するとともに、売上高は連結決算を開始した1999年度以降で過去2番目の水準となった。利益についても、資機材の安定調達や徹底した原価管理などに努めた結果、営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益のすべてが過去最高となった。この結果、『中期経営指針2025』の数値目標のうち営業利益60億円については、当連結会計年度において達成することができた。また、連結ROE(自己資本利益率)については、その他の包括利益累計額の増加などによる純資産の積み増しがあったなかにおいても、前連結会計年度から 1.0ポイント上昇し 7.8%となり、目標である8%に近づいた。
このように、当社グループの収益力及び資本収益性は着実に向上しており、持続的な企業価値向上が図れているものと認識している。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりである。
a.受注実績
受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 当社グループでは、主要事業である設備工事業以外では受注実績を定義することが困難であるため、請負形態による工事の施工を伴うものについては、セグメント間の取引も含めて設備工事業の受注実績とし、それ以外については、b.売上実績と同額を受注実績としている。
b.売上実績
売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 1.当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の実績」は記載していない。
2.セグメント間の取引については相殺消去している。
3.売上高総額に対する割合が百分の十以上の相手先の売上高及びその割合は次のとおりである。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の実績
第72期(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)及び第73期(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(a) 受注工事高、完成工事高、次期繰越工事高
(注) 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
(b) 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命、競争及び四国電力送配電㈱との配電工事請負契約によるものに大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
(c) 完成工事高
(単位:百万円)
(注) 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
第72期
第73期
(d) 次期繰越工事高(2024年3月31日現在)
(単位:百万円)
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりである。
<資産>
資産合計は、103,205百万円(前連結会計年度末比 6,135百万円増加)となった。
流動資産の増加(同 4,551百万円増加)は、現金預金が 3,357百万円増加したことや、受取手形・完成工事未収入金等が 1,247百万円増加したことなどが主な要因である。
固定資産の増加(同 1,584百万円増加)は、償却の進捗などにより有形固定資産が 1,018百万円減少したものの、時価の上昇などにより投資有価証券が 2,923百万円増加したことなどが主な要因である。
<負債>
負債合計は、41,408百万円(同 248百万円増加)となった。
流動負債の増加(同 1,923百万円増加)は、未払金が 864百万円増加したことや、未払法人税等が 659百万円増加したことなどが主な要因である。
固定負債の減少(同 1,675百万円減少)は、長期借入金が 1,668百万円減少したことなどが主な要因である。
<純資産>
純資産合計は、61,796百万円(同 5,887百万円増加)となり、その変動は、配当金の支払い 1,654百万円を実施したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を 4,571百万円計上したことや、その他有価証券評価差額金が 2,192百万円増加したことなどが主な要因である。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の 57.5%から 59.8%に改善し、財務の安定性は十分に確保している。
また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の 3,547.30円から 3,921.60円となった。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、営業活動による資金収入が投資活動及び財務活動による資金支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べ 2,388百万円増加し、22,306百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益 6,989百万円の確保などにより、6,037百万円の資金収入(前連結会計年度は 3,809百万円の資金収入)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
設備投資などにより、598百万円の資金支出(前連結会計年度は 148百万円の資金収入)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
借入金の返済や配当金の支払いなどにより、3,106百万円の資金支出(前連結会計年度は 3,134百万円の資金支出)となった。
当社グループの資金需要については、主に設備工事業における土地、建物、工事用機械装置・車両運搬具等の設備投資資金、リース事業におけるリース用資産の取得資金等である。
資金調達については、連結子会社が銀行借入又は社債発行を行っている以外は、自己資金によりまかなっている。
資金の流動性については、営業債権の回収、営業債務の支払ともに概ね4ヶ月以内に滞りなく処理されており、営業活動に伴う資金を安定的に確保している。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたっては、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性のある見積りを必要とする場合がある。こうした見積りについては、過去の実績や様々な要因、仮定等を勘案し、合理的に判断しているが、見積り特有の不確実性により、実際の結果と異なる可能性がある。
詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
特記事項なし。
当社は、従来より、複雑化、多様化する顧客ニーズに積極的に対応するため、設備工事業においては、施工の安全性を確保し、高品質化・効率化を図るために必要な新工法・新工具等の研究開発を行い、その他においては、販売用のCADや積算見積のソフトウェアなどの開発を行っている。
当連結会計年度における研究開発活動の金額は、
セグメントごとの主な研究開発活動は次のとおりである。
(設備工事業)
作業環境の改善や省力化、保守技術の高度化等に効果のある工具・工法の開発及び改良を行っている。
当連結会計年度においては、配電工事について、安全性の向上に加え、人員不足や高齢化などによる作業員減少に対する作業効率の改善を目的とした、新工法・新工具や資機材の開発及び導入の検証を実施した。
また、建築設備工事については、RPA及びOCR技術の活用による業務の自動化を目的とした技術開発や、AIを用いた現場代理人の稼働予測システムの開発などを実施した。
(リース事業)
研究開発活動は特段行っていない。
(太陽光発電事業)
自律飛行ドローンとAIを用いた太陽光パネルの異常検知システムの開発に取り組んだ。
(その他)
多様化するお客さまニーズに即した建築設備専用のCADや積算見積のソフトウェアの開発に取り組んでいる。
また、農業事業において農業の見える化を目的とした収量予測システムの開発に取り組んでいる。
なお、子会社においては、研究開発活動は特段行っていない。