第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、株式会社オービック(当社)及び連結子会社1社並びに持分法適用関連会社2社より構成されており、事業は主に企業情報システムのシステムインテグレーション事業、システムサポート事業、オフィスオートメーション事業及び業務用パッケージソフト事業を行っております。なお、業務用パッケージソフト事業は持分法適用関連会社で行っているため連結セグメントには含まれておりません。

 当情報サービス業界では、企業の生産性向上を目的としたシステム投資需要が活性化し、より効率的でコストパフォーマンスの高い情報システムが求められております。また、変化の激しい経済環境を背景に、従来からの経営資源である「ヒト・モノ・カネ」に加えて「情報」と「時間」の重要性も高まっております。当社は、幅広い業界・規模の企業に「価値ある情報システム」を早期に提供し、継続的なシステム運用サポートを可能とするため、高い技術力とノウハウの蓄積に取り組んでまいりました。

 ユーザーオリエンテッド(顧客第一主義)の経営姿勢のもと、クラウドサービスをはじめとした技術革新によって顧客企業のデジタル変革と新たな企業利益の創造を支援することで社会に貢献することを経営の基本方針としております。

 

(2)目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略ならびに会社の対処すべき課題

 当社は中長期的に安定した企業の発展を考え、そのためには利益を意識した経営が重要であると考えております。自己資本利益率10%以上を一つの目標とし、それを維持・継続できるよう努めております。

 自社開発製品を直接販売で提供する体制を重要とし、市場ニーズに直結したソリューションを自社運営のクラウドセンターにて安定的に提供できるデジタル基盤を整えております。既存顧客のクラウドサービス利用率を高めるとともに、AIなど最新のデジタル技術を用いたデータ活用を促進し、新たな経営課題の設定と具体的な解決策の検討を通じて、顧客企業との継続的な関係性構築に努めてまいります。

 「ワンストップソリューションサービス」これは中長期的に見た当社の重要なキーワードであります。導入コンサルティングから、システム構築、運用、情報提供まで当社グループ一貫体制でトータルに「企業の情報システム構築と運用」をサポートしてまいります。また、顧客企業の経営管理や決算業務に関わる統合基幹業務システムの提供及びサポートを行っており、安定的に事業を継続する社会的責任を果たすべく、従業員のテレワーク環境整備や、当社クラウドセンターの拠点二重化をはじめとしたBCP対策などに努めております。

 今年度も、継続したイノベーションを重視して顧客満足度の向上に取り組む中で、以下の項目を優先的に対処すべき課題として重視してまいります。

 

 Ⅰ 製販一体体制を推進する

 Ⅱ カスタマイズ性の高い「OBIC7シリーズ」によって、生産性の向上に取り組む

 Ⅲ 人材の育成と活性化に注力する

 

 「経営資源を選択・集中し継続する」ことこそが経営にとって重要であると認識しており、今後ともグループ企業各社はその特徴を活かしつつ独立した企業としてグループ内での役割分担を明確にし、「グループの発展」のため経営努力をしてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組については以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループは、「人財の成長が会社の成長」、「Innovation~破壊と創造~」の企業理念のもと、事業及び企業活動に関する重要課題に取り組むことで、社会と当社自身の持続的な成長を目指しております。代表取締役社長直下の組織であるサステナビリティ推進委員会を中心に、環境・社会・ガバナンスに関する重要課題について部門横断的に取り組んでおります。代表取締役社長については、サステナビリティ課題に関する最高責任者として、委員メンバーより日常的にサステナビリティに関する外部環境・課題の変化や、当社の目標に対する進捗状況、新たな取組みに関する企画提案の報告等を受けており、必要に応じて取締役会等にて報告・共有をしております。

また、当社では、委員会及び環境マネジメントシステムにおいてリスク管理を行っております。四半期毎に委員会の指示により関連部門にて気候関連をはじめとした各種データの集計を行い、委員メンバーにて進捗状況の確認・分析・課題の抽出等のモニタリングを実施することで、継続的なリスクの把握と管理をしております。

 

(2)重要なサステナビリティ項目

上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目と主な取組は以下のとおりです。

事業に

関する

重要課題

製造

資本

技術革新と製品開発

統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」の開発

プライベート型クラウドサービスの提供

情報セキュリティの強化

情報セキュリティマネジメントシステム認証基準の取得

オービッククラウドサービスにおける米国保証業務基準書第18号(SSAE18)に準拠した「SOC1 Type2報告書」及び「SOC2 Type2報告書」の受領

BCP対応

社員のテレワーク環境整備

当社クラウドセンターの拠点二重化

大規模災害時における対応マニュアルの整備と定期訓練

知的

資本

ノウハウ蓄積による

付加価値向上

業種・業界の商習慣に特化したビジネスモデル特許化

AIなど最新のデジタル技術を活用したデータ活用

企業活動に

関する

重要課題

人的

資本

人材の確保と教育

社員をゼロから育てる新卒採用

業績及び業務プロセスに対するフィードバック制度の実施による社員エンゲージメントの把握と向上

社員の成長による

多様性の確保

直販体制を通じた多様性のある中核人材の育成

IT・会計・業界など社員の特性に合わせた幅広い教育・研修プログラムの整備と能力開発

社員のワークライフ

バランス実現

時間単位年休・時差出勤・在宅勤務など柔軟な働き方の推進

子育てサポートの優良企業として「プラチナくるみん」の認定取得

自然

資本

気候変動対応を

はじめとした環境保全

環境マネジメントシステム認証基準の取得

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく情報開示

ガバナンスの徹底

指名・報酬諮問委員会設置による透明性・公平性・客観性の強化

倫理・法令等の遵守に関する各種方針の策定と徹底

内部通報制度の設置によるコンプライアンス違反等の早期解決と未然防止

 

 

(3)人的資本(人材の多様性の確保を含む)に関する「戦略」並びに「指標と目標」について

① 戦略

a. 経営戦略と人材戦略の連動

当社は企業のビジネスパートナーとして、「人財の成長が会社の成長」、「Innovation〜破壊と創造〜」という企業理念のもと、お客様と共に変化・成長、新たな企業利益の創造をご支援することで社会に貢献したいと考えております。そのためには、営業・SE・サポートが連携してお客様と向き合う「フラットでオープンな組織体制」を採用し、職種の垣根を越えて、それぞれの専門ノウハウを結集することにより、お客様のスピーディーな問題解決を実現することが重要となります。

人材戦略としては、「メンバーシップ型」や「ジョブ型」をはじめとした画一的な枠組みにとらわれず、新卒で採用した社員の特性にあわせて中長期目線でじっくり育成することで、企業文化の醸成による組織力強化と社員個人の専門性向上の両立に努めることを重点方針としております。

 

b. 人材の育成に関する方針

「人財の成長が会社の成長につながる」という経営方針のもと、社員の特性にあわせて中長期目線でじっくり人材を育成する方針を定め、具体的な施策として採用戦略や教育戦略の各種方針に反映しております。

 

<採用戦略>

当社が採用において求める人物像は、前例や過去の成功体験に固執せず、今までの常識にとらわれない柔軟で「ふまじめ」な発想を持ち、社会に貢献するという気概とチャレンジする精神を持つ人物であります。顧客の経営のパートナーとして多種多様な課題に向き合い続けるためにこれらの要素は不可欠だと考えます。当社は新卒採用にこだわり顧客の経営課題に対して最適な解決策を探るには社員の提案力やコミュニケーション力などの人間力が重要であると考えこのような人財を中長期で育てております

 

<教育戦略>

顧客の持続的な成長を支えるためには、ITスキルだけでなく会計をはじめ幅広い業務知識や業界特有のノウハウの習得が必要であります。当社は充実した教育・研修制度のもと、職種にかかわらず全社員が会計をはじめとした多様な知識やスキルの向上に努めております。研修形式については、対面形式のほか、研修の内容や受講者層に応じてオンライン研修を用意し、様々な社員がワークスタイルに縛られることなく能力向上に取り組めるよう推進しております。その他、資格取得の補助制度や資格手当の支給、通信教育の取組なども行い、社員の学びを支援しております。また、創業当初より開催している全社員参加の経営方針発表会やさまざまな研修会などを通じて、毎年イノベーションが生まれております。

 

c. 社内環境整備に関する方針

社員の特性にあわせて中長期目線でじっくり人材を育成する方針を定め、具体的な施策としてエンゲージメント向上やダイバーシティ推進に向けた環境整備方針や各種取組に反映しております。

 

<エンゲージメント向上に向けた取組>

当社は、社員一人ひとりが働きがいを持って仕事に取り組めるよう環境づくりに努めております。年に複数回実施する上司との面談では、社員が期首に設定した個人の活動目標に対して達成度を確認し、適材適所のアサインに活かしております。また、フィードバック制度を設けて周りのメンバーからフィードバックを受けることで成長の加速やモチベーションの向上に繋げております。そのほか、社員だけでなく社員の家族も参加するオービックファミリー運動会を全国で毎年開催したり、クリスマスには社員にホールケーキが配られたりと、コミュニケーションを重視した風通しの良い企業風土はビジネス上での強い結束力に繋がっております。また、持続的な企業価値向上に向けた制度として、社員持株制度を導入しております。

 

<ダイバーシティ推進に向けた取組>

社員一人ひとりの成長とダイバーシティの広がりは相互にシナジーを発揮するという考えのもと、コミュニケーションを重視した風通しの良い企業風土の中で社員それぞれがスキルやノウハウを磨き、個性を伸ばしてまいりました。また、様々な環境の社員全員が最大限に能力を発揮して長期に活躍できるよう、一時間単位で取得可能な時間単位年休や子どもが小学校6年生を修了するまで取得可能な育児のための短時間勤務、時差出勤の導入やテレワーク環境などを設けて、社員皆が働きやすい環境づくりに努めております。ジェンダーダイバーシティについても、女性管理職比率15%以上を一つの指標に掲げて、女性社員の成長機会が増えるよう今後も継続的に取り組んでまいります。

 

② 指標と目標

また、当社では、上記の「戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む「人材の育成に関する方針」及び「社内環境整備に関する方針」について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、以下のとおりです。

指標

目標
(2028年3月度)

実績
(当連結会計年度)

女性管理職比率

15以上

11.2

男性社員の育児休業等取得率

100

86.2

有給休暇取得率

100

82.4

 

(4)自然資本(気候変動対応等)に関する「戦略」並びに「指標と目標」について

① 戦略

a. リスクと機会

     気候変動における当社事業の「リスクと機会」については以下のとおりです。

 

<リスク>

移行リスク

規制

炭素税等の新たな環境関連規制の導入による事業コストの増加

法的

重大な環境法令等の違反による訴訟や事業停止

評判

温室効果ガスの排出規制等に適合できないことによる企業レピュテーションの低下

物理的リスク

気候変動を起因とした大規模な自然災害による業務運営への影響や当社の施設等の損壊

<機会>

製品及びサービス

温室効果ガス削減ニーズの高まりによる高度な環境性能を誇るクラウドセンター経由のサービス需要拡大

リソースの効率

電力等エネルギーの効率的な利用に伴う運営コストの削減

レジリエンス

大規模な自然災害に対する事業継続性を担保する堅牢なクラウドセンターの需要拡大

 

b. 温室効果ガスの排出削減に向けた方針

当社は、気候変動における「リスクと機会」を認識し、温室効果ガスの排出削減に向けた方針や各種取組に反映しております。自社保有の東京本社ビルの環境負荷低減を目的として全館のLED化や省エネ設備への切り替えを推進したことで、年間電力消費量の削減につながっております。また、今後は各拠点のオフィスビルにおける電力プランを再生可能エネルギーに順次切り替えることによって、継続的にCO2排出量の削減を行ってまいります。

 

② 指標と目標

   温室効果ガス排出量(Scope1+2 ※1)の削減目標

2030年 目標

2017年度比で、排出量を50%削減

2050年 目標

排出量を100%削減

 

※1) Scope1:自社施設の燃料の消費に伴う直接排出量

         Scope2:自社施設における電気・熱の使用に伴う間接排出量

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものが考えられます。なお、将来に関する事項については、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において判断したものであり、特に経営成績に重要な影響を与える恐れがあるものを中心として記載しております。

 なお、以下のリスクが顕在化する可能性は、現時点において極めて低いと考えております。

 

(1)技術革新と製品開発に関するリスク

 当情報サービス業界は情報技術の革新や市場ニーズの変化に迅速に対応することが求められております。当社は、ネットワーク技術や通信技術、ハードウェアの新製品に対する検証、あるいはソフトウェアやミドルウェアに対する検証等々の幅広い分野で最新の技術動向に関して研究開発活動に努めてまいりました。

 しかしながら、広範な領域において技術革新が急速に進展し、その対応が遅れた場合には、製品開発の遅延に伴う機会損失や開発コストの上昇により、当社の経営成績に影響を与える可能性があると考えております。

 

(2)人材流失とノウハウ喪失に関するリスク

 当情報サービス業界は他の装置産業等に比べ労働集約的な側面があり「人材のモチベーション」が、よりダイレクトに業績に影響する可能性のある業界であります。当社は優秀な人材の確保と育成に毎年多くの時間とコストをかけ将来性豊かな社員の育成に努めてまいりました。

 仮想ではありますが、敵対的な買収者による奇襲攻撃的な企業買収行為が起きた場合には、人心の混乱を招き、結果としてモチベーションの高い人材の流失やノウハウの喪失を招くとすれば、安定的・継続的に成長・発展させていく企業活動にとって致命的な損失であり、当社の経営成績に重大な影響を与える可能性があると考えております。

 

(3)情報セキュリティに関するリスク

 当社は、機密度の高い経営情報を管理するクラウドサービス提供企業として、米国保証業務基準書第18号(SSAE18)に準拠した「SOC1 Type2報告書」及び「SOC2 Type2報告書」を受領し、情報管理規程の整備、研修を通じた社員への周知徹底、ソフトウェア及びインフラのセキュリティ強化などにより、顧客データ管理の強化・徹底と漏洩の防止に努めてまいりました。

 しかしながら、コンピュータウィルスをはじめとしたサイバー攻撃や、人為的過失による紛失や盗難などにより、顧客企業の個人情報が漏洩した場合には、当該顧客からの損害賠償請求による費用発生や、社会的信用の低下などにより、当社の経営成績に影響を与える可能性があると考えております。

 

(4)環境・気候変動に関するリスク

 当社は、顧客企業の経営管理や決算業務に関わる統合基幹業務システムの提供及びサポートを行っており、安定的に事業を継続する社会的責任を果たすべく、従業員のテレワーク環境整備や、当社クラウドセンターの拠点二重化をはじめとしたBCP対策などに努めてまいりました。また、世界の気候変動リスク緩和に向けた環境負荷低減に取り組む社会的責任の大きさを認識し、高度な環境性能を誇るクラウドセンターへの集約により当社及び顧客企業の温室効果ガス排出の削減にも取り組んでおります。

 しかしながら、近年の気候変動を起因とした大規模な自然災害による業務運営への影響や、温室効果ガスの排出規制等の適合に必要なコストの増加、適合できないことによる企業レピュテーション低下等により当社の経営成績に影響を与える可能性があると考えております。

 

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境が改善するなかで、各種政策の効果もあり、足踏みもみられるものの緩やかな回復基調で推移しました。一方で、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念などには注意が必要であり、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。

 当情報サービス業界においては、企業のデジタル変革(DX)への取組などを背景に、企業の生産性向上や業務効率化を目的としたシステムの更新投資需要は引き続き高い状態にあるものの、先行き不透明な景況感の中で投資判断には慎重さが見られました。企業のニーズは「効率的でコストパフォーマンスの高い情報システム」にあり、さらなる顧客目線でのシステム提案が求められております。

 当社は、このような状況の中、自社開発・直接販売にこだわり続け、顧客企業の経営効果を実現するため、製販一体体制のもと顧客満足度を高めるべく努めてまいりました。当社の主力である統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」は、会計を中心に統合的に情報を管理するERPシステムとして、製造・流通・サービス・金融等、様々な業種・業界の大手・中堅企業からシステム構築の引き合いが強まりました。

 システムの早期稼働につながりやすく、グループ全体の最適化やビジネス環境の変化にもスピーディに対応できるクラウドサービスのニーズにも、自社運営のクラウドセンターで提供し対応しております。また、クラウド関連施設等の設備増強やビジネスモデル特許の登録・出願、従業員の健康経営の取組の推進など、安定的な事業継続や当社の持続的成長につながる先行投資も継続して進めてまいりました。

 この結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は1,115億90百万円(前期比11.4%増)、営業利益は709億10百万円(同13.5%増)、経常利益は811億51百万円(同15.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は580億7百万円(同15.7%増)となりました。

 

 今後も当社は、顧客第一主義のもと、よりコストパフォーマンスの高いシステム提案ビジネスに注力し業績の向上に努めてまいる所存であります。

 

 事業セグメントの業績は次のとおりであります。

 

 (A)システムインテグレーション事業

 主力の統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」は、統合的に情報を管理するERPシステムとして、様々な業種・業界の企業に求められました。主な傾向として、大手・中堅企業への新規顧客開拓が進み、付加価値の高い「OBIC7シリーズ」のシステム構築売上が堅調に推移いたしました。

 この結果、外部顧客に対する売上高は472億96百万円(前期比6.4%増)、営業利益は279億82百万円(同9.8%増)となりました。

 (B)システムサポート事業

 主力のクラウドソリューションを中心に、ソフトウェア及びハードウェアの「運用支援・保守サービス等」が好調に推移いたしました。

 この結果、外部顧客に対する売上高は561億1百万円(前期比14.8%増)、営業利益は404億28百万円(同14.8%増)となりました。

 (C)オフィスオートメーション事業

 外部顧客に対する売上高は81億91百万円(前期比20.0%増)、営業利益は24億99百万円(同38.4%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,702億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ、139億22百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果増加した資金は、558億31百万円(前期比5.4%増)であります。これは主に税金等調整前当期純利益が810億78百万円計上された一方で、法人税等の支払額が228億89百万円発生したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は、22億6百万円(前期は12億82百万円の増加)であります。これは主に投資有価証券の売却によって40億23百万円増加した一方で、有形固定資産の取得により37億27百万円減少したこと及び投資有価証券の取得により27億25百万円減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果減少した資金は、397億2百万円(前期は206億19百万円の減少)であります。これは自己株式の取得による支出が157億58百万円発生したほか、配当金の支払額が239億44百万円発生したことによるものであります。

 なお、今後とも資金を企業の業績伸長のため有効に使用しつつ、「効率経営」に努力をしてまいる所存であります。

 

③受注及び販売の実績

(A)受注実績

(単位:百万円)

事業セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

システムインテグレーション事業

47,393

106.5

システムサポート事業

62,758

112.4

オフィスオートメーション事業

8,102

120.2

合 計

118,255

110.4

(注)1.金額は販売価額によっております。

 

(B)販売実績

(単位:百万円)

事業セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

システムインテグレーション事業

47,296

106.4

システムサポート事業

56,101

114.8

オフィスオートメーション事業

8,191

120.0

合 計

111,590

111.4

(注)1.金額は販売価額によっております。

2.事業セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当連結会計年度の当社グループにおける財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。

①財政状態の分析

当連結会計年度末における資産合計残高については、前連結会計年度末比で954億56百万円増加し4,621億65百万円となりました。これは主に、投資有価証券が785億60百万円増加したことなどによるものであります。

負債合計残高は、246億29百万円増加し634億73百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が231億10百万円増加したことによるものであります。

純資産合計残高は、708億27百万円増加し3,986億92百万円となりました。これは主に、利益剰余金が340億63百万円増加したほか、その他有価証券評価差額金が524億44百万円増加した一方で、自己株式を取得及び処分したことで157億47百万円減少したことによるものであります。結果、自己資本比率は86.3%となりました。

 

 

②経営成績の分析

 当連結会計年度の連結業績は、売上高は1,115億90百万円(前期比11.4%増)、営業利益は709億10百万円(同13.5%増)、経常利益は811億51百万円(同15.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は580億7百万円(同15.7%増)となりました。

 システムインテグレーション事業においては、長年のシステム構築の実績と製販一体での直接販売の営業力強化により、企業の幅広いニーズを捉える顧客満足度の高い提案活動を続けております。またシステムサポート事業においても、主力のクラウドソリューションを中心に、ソフトウェア及びハードウェアの「運用支援・保守サービス等」が好調に推移しております。オフィスオートメーション事業においては、付加価値の高い業務用パッケージソフトの提案に注力しております。

 全体として営業利益率は63.5%となり、依然として業界トップクラスの高い収益性を確保しております。

 なお、詳細な事業別の分析は、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況の項目をご参照ください。

 

③関連会社株式について

 グループ企業であります(株)オービックビジネスコンサルタントの株式は東京証券取引所プライム市場、(株)オービーシステムの株式は東京証券取引所スタンダード市場にそれぞれ上場しており、いずれも市場価格のある関連会社株式に該当します。

 (株)オービックビジネスコンサルタントの株式の当社持分としては貸借対照表計上額が80億61百万円であるのに対して、期末の時価で算出すると2,006億61百万円となり、1,925億99百万円の含み益を有しています。(株)オービーシステムの株式の当社持分としては貸借対照表計上額が16百万円であるのに対して、期末の時価で算出すると16億63百万円となり、16億46百万円の含み益を有しています。

 グループ全体の時価として高い評価を得ております。

 

④キャッシュ・フローの分析並びに資本の財源及び資金の流動性について

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況の項目をご参照ください。

 当社グループの資金需要については、営業活動については、商品等の購入費用、外注費、労務費、経費などであります。そして、投資活動については、主に当社グループ事業に必要な設備機器の購入などであります。これらの需要に対しては、借入金にて資金を調達することなく、すべての資金は内部資金及び営業活動による資金にてまかなっており、今後もその方針であります。

 当社グループの資金は、資金を安全性及び流動性を勘案して運用しているため、十分資金の流動性は確保されております。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。連結財務諸表の作成に当たって、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績や状況等を勘案して、合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

 

1.退職給付債務及び退職給付費用

 当社は従業員の退職給付に係る負債及び費用の計算は、数理計算で設定される前提条件に基づいて原則法により算出しております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率、死亡率等が含まれます。これらの仮定と実際の結果との差額は、即時に退職給付に係る負債として認識され、費用に関しては翌連結会計年度で一括費用処理しております。また、連結子会社の退職給付に係る負債の計算は、主に期末自己都合要支給額から計上する簡便法により算出しております。

 

2.投資有価証券の減損

 市場価格のない株式等については、個々の銘柄の1株当たり簿価純資産額が帳簿価額の50%以上下回っている場合については、当該会社の業績見通し等を斟酌したうえで減損処理の要否を決定しております。

3.固定資産の減損

 固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討しております。当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することになります。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。大阪御堂筋ビルについては、土地や建物などを一つとしてグルーピングし減損の要否を検討しております。2024年3月末時点では期末時価が帳簿価額を超過しており、減損は必要ないと判断しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

相手先

契約年月日

内容

契約期間

三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社

1970年6月1日

ハードウェアの仕入

自 1970年6月1日

至 1971年5月31日

以後1年毎自動延長

富士通株式会社

1983年9月20日

ハードウェアの仕入

自 1983年9月20日

至 1984年9月19日

以後1年毎自動延長

株式会社日立製作所

1998年3月17日

ハードウェアの仕入

自 1998年3月17日

至 1999年3月16日

以後1年毎自動延長

Microsoft Operations Pte Ltd.

2022年9月1日

ソフトウェアの仕入

自 2022年9月1日

至 2025年8月31日

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、コンピュータシステムの先端技術分野で今後の事業の中心となる製品の研究開発を進めており、連結財務諸表を作成する当社のシステムインテグレーション事業においてのみ行っております。

当社の研究開発活動は、システムインテグレーション事業の総合的な観点から、ネットワーク技術や通信技術、ハードウェアの新製品に対する検証、あるいはソフトウェアやミドルウェアに対する検証等々の幅広い分野で研究活動を行っております。当社主力製品である基幹系の統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」は会計を中心に業務・業種別に分類・分析され、長年培ってきた豊富なノウハウとシステム技術が集約されており、顧客に対してコストパフォーマンスの高いシステムの提供を可能とするものであります。

当連結会計年度における研究開発費の総額は1,967百万円であります。

当連結会計年度における成果といたしましては、統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」の業務・業種別の整備や、クラウド・コンピューティング対応のシステム開発にも取り組んでまいりました。また、最新技術の調査研究や、IFRS(国際会計基準)をはじめとする様々な制度対応にも取り組んでおります。今後とも付加価値の高いソリューションの提案ができるよう努めてまいる所存であります。