文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念に基づき、事業活動を通じて、優れた品質の製品を提供することで、各種ステークホルダーとの相互繁栄を図り、公正かつ誠実な企業運営をもって社会の発展に貢献することを基本としています。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、ROE(自己資本当期純利益率)およびPBR(株価純資産倍率)を重要な経営指標として考えております。また、「中期経営計画(2026)」における定量的な数値目標として売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、ROE、資本コスト、PBRを定めております。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
①基本方針
当社グループでは、「モノづくりへのこだわりで世の中の課題をカタチに変える」をテーマに「長期ビジョン2033」を策定しており、2024年4月~2027年3月の3年間を当ビジョンにて掲げる「ソリューション製造業としての地位を確立」に向けた経営基盤強化と成長戦略の基盤を構築する時期と位置付けております。
・中期経営計画の位置づけ

・中期経営計画2026の基本方針
③利益配分・株主還元の基本方針
当社は、2027年3月期のPBR1.0倍達成に向け、本中期経営計画期間中は総還元性向100%、配当性向50%以上の実施を基本方針に、自己資本の拡大を抑制し、機動的な株主還元を実施する方針です。
④中期経営計画2026の定量目標
⑤対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、物価上昇や地政学的なリスクの高まり、中国経済の減速など景気の先行きが懸念され、事業を取り巻く環境は一段と厳しさを増してきております。鉄鋼関連については自動車生産の回復が見込まれる一方で、人手不足は各分野で深刻化しており、特に中小建築分野においては需要の回復には時間を要することが予想されます。このような中、当社グループにおきましては、グループ間での製販・技術開発の連携を強化し、ステンレス需要の新規開拓に注力してまいります。また、積極的な設備投資を行うことで生産能力を強化し、生産可能品種の拡大やエリア別での拡販活動により収益確保に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社の取締役会は、会社の持続的成長と中長期的な企業価値向上を推進し、収益力・資本効率の向上を図るため、長期ビジョンや中期経営計画を策定しております。また、取締役社長を含む役付取締役(以下、「経営陣幹部」という。)による適切なリスクテイクを支える環境整備のための各種社内規程を整備し、執行機能と監督機能の分離を図り、意思決定および監督機関としての機能強化に取り組んでおります。
また、取締役会において、社会課題を幅広く洗い出したうえで企業理念や長期ビジョン2033の達成に向けて特に重要性の高い社会課題を当社グループのマテリアリティとして設定しております。
(サステナビリティに関する基本的な考え方)
当社は、経営理念として、「常に技術と品質の向上に努め創造と革新に挑戦する」「公正かつ誠実に企業運営し社会の発展に貢献する」「自然と調和し国際社会と共生する」「お客様を大切にし株主・取引先との相互繁栄をはかり従業員の福祉向上を目指す」を掲げ、経営理念の実践を通じて、「人と暮らしの幸せのために技術ができること、技術者ができること」を実現・追求し、持続的に成長していくことが当社のサステナビリティ活動の基本であると考えております。
また、企業として多様性を受容するとともに社会的責任を果たし、環境の保護をはじめ社会の持続可能性に配慮した事業活動を継続することで様々なステークホルダーの皆様と協働して持続可能な社会の形成へ貢献することを目指すため、サステナビリティ基本方針を定めております。
(サステナビリティ基本方針)
1.顧客の皆様との関係
・製品の開発・製造・販売・廃棄等のあらゆる段階において常に安全性に留意し、関係法令及び安全基準を遵守するとともに顧客の皆様へ環境に配慮した高品質な製品の提供を目指して参ります。
2.取引先の皆様との関係
・取引先の皆様との相互繁栄を目指します。
・独占禁止法をはじめとする関係法令を遵守することはもとより、公正かつ自由な取引を行います。
・全ての取引先の皆様と常に対等かつ健全な取引関係の構築を目指し、誠実に対応して参ります。また、公正さに疑義を生じさせるような接待や贈答品の授受は行いません。
3.社会との関係
・様々なステークホルダーと適切にコミュニケーションを図り、積極的かつ公正な情報開示を行います。
・国や地域社会の文化や慣習を尊重し、地域の人々と良好な関係を構築します。
・地域社会との対話と協働を通じて、地域社会の発展に貢献します。
・一人ひとりの人権を尊重し、あらゆる差別的取扱いを禁止し、強制労働・児童労働などの人権侵害を一切行いません。
4.環境への配慮
・環境関連法規を遵守し、地球環境の保護に貢献します。
・環境負荷の低減や資源の有効活用の重要性を認識し、環境に配慮した製品・サービスの開発を心がけます。
5.従業員との関係
・あらゆる人々の人格や個性を尊重し、雇用及び処遇における差別を行わず、機会の均等を図ります。
・安全・衛生に関する法令等を遵守し、従業員が安心して働くことが出来る職場環境づくりに努めます。
「人的資本に関する戦略」
当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針、社内環境整備に関する方針(ダイバーシティに関する方針)は、以下のとおりであります。
(ダイバーシティ&インクルージョン(D&I))
当社は、VUCAの時代である現代社会において、経営理念を実現し持続的に成長するためには、さまざまな価値観・考え方を持った人材を受け入れるとともにお互いが違いを認識・理解することで従業員一人ひとりが自分らしく能力を発揮できる文化・組織等の醸成が重要であると考えております。
(中核人材の登用における多様性確保についての考え方)
当社の経営理念を実現し、持続的に成長していくために中核人材の登用においても多様な人材の活用が必要不可欠であると考えております。そのため、当社では、年齢や性別・中途採用者等に関わらず、公正・公明な評価制度に基づき、中核人材へ多様な人材を登用して参ります。
(多様性の確保に向けた人材育成及び社内環境整備方針)
1.考え方
当社が持続的に成長していくためには、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を実現するための文化・組織の醸成が重要であると考えております。そのため、個々の従業員がそれぞれの価値観を受容し、様々な人材が活躍できるよう戦略的に人材の育成・教育に取り組むとともに、多様な価値観・個性を尊重し、一人ひとりがその能力を最大限に発揮できるような企業文化・組織を醸成して参ります。
2.女性活躍推進法に基づく取り組み
当社では、女性が安心して働き続けるための取り組みを推進しています。また、女性活躍推進法に基づき、2021年3月に厚生労働省に行動計画の届出をしています。
3.高齢者の活用のための取り組み
再雇用制度(60歳以上で希望するものは、65歳まで就業可能)を導入し、短時間勤務など柔軟な雇用形態を整備し、定年後もスキル・ノウハウを生かせる場を提供しています。
4.多様な働き方確保のための取り組み
育児・介護休業制度や子どもの看護休暇制度、育児・介護短時間勤務制度を導入しています。また半日休暇制度を導入しています。
5.ハラスメント防止への取り組み
各種ハラスメントに関する啓蒙教育を実施しています。
(3)リスク管理
当社の取締役会は、財務報告に係る内部統制が機能していることを監査・確認する等、適切な内部統制システムおよびグループ全体でのリスク管理体制を構築し、それらが適切に機能しているかその運用状況を監督しております。なお、サステナビリティに係るグループのリスク識別・評価のプロセスについては、サステナビリティ委員会の設置をはじめ検討中でございます。
「人的資本に関する指標及び目標」
当社グループにおける人的資本経営の推進を図るため、以下のマテリアリティのKPIを設定しております。
(指標及び目標)
1.グループにおける女性管理職比率
2.男性育児休業取得率
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 業界動向等について
① 鋼管関連について
当社グループは従前どおり独立性を維持してまいりましたが、今後、国際的規模にわたっての再編成や囲い込みがあった場合、これまでの材料調達や製商品の仕入・販売ルートに影響を及ぼし不安定となる可能性があります。鉄鋼業界の再編により顧客の購入先が政策的に変更されることや、商社の合併により取引先が変更となる可能性があります。また、為替変動に伴う各種コストの上昇リスクや国内外の景気の下振れリスクなどが、業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 自転車関連について
国内に流通する自転車の大半は輸入品であり、国内生産車は減少傾向が続いています。「アラヤ」及び「ラレー」ブランドのスポーツ用自転車については、独自の商品企画力を発揮してユーザーの支持を得られるよう話題性のある新商品の提供に努めておりますが、多くが輸入商品であることから為替の動向によって利益率が低下する可能性があります。
(2) 材料の市況変動の影響について
鋼管関連事業においては、普通鋼及びステンレス鋼の薄板(鋼帯)を鋼管・型鋼の材料として使用しております。これらの薄板(鋼帯)の市場価格は当社グループではコントロールできないものであり、世界的な需給バランスによって鉄鉱石・原料炭やニッケルなどの原料価格は絶えず変動しており、メーカー主導で価格決定されます。
当社グループでは、随時市況価格を注視しながら取引業者との価格交渉にあたっておりますが、材料価格の変動について、大幅に高騰した場合には材料費や商品仕入価格の上昇を招き、速やかな販売価格への転嫁が課題となり、適正な価格に上昇するまでの間は収益が圧迫され、大幅に下落した場合には下落前に保有する材料・製品・商品において、先安感により下落した販売価格の影響を受けることになり、それぞれ当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
(3) 貸倒引当金について
当社グループは、受取手形や売掛金等の債権の貸倒損失に備えるため、貸倒引当金を計上しています。貸倒懸念のある特定の債権等については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。したがって、景気後退、需要低迷に伴い、鉄鋼業界において不良債権発生の危険度が高くなることが予想されます。今後、新たに顧客等の財政状態が悪化し、その支払い能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
(4) 退職給付債務について
当社グループは、わが国の会計基準に従い、退職給付債務を処理しておりますが、当社グループにおける退職給付制度について再検討する必要が生じる可能性や今後年金資産の運用環境の悪化等から数理計算上の差異が発生する可能性もあります。これらの場合、退職給付債務の増加等、費用処理される債務金額が増加することにより、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
(5) 株価の変動について
当社グループが保有している投資有価証券の株価が大幅に下落した場合には、減損又は評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
(6) 自然災害による影響について
大規模な地震や大型の台風の発生により、直接損害を受けた場合や生産活動の停止等を余儀なくされた場合は、販売量の減少に伴って粗利益が圧迫される他に災害による損失を計上することとなり、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
(7) 感染症のリスクについて
感染症が発生し、広範囲かつ長期的に影響がおよんだ場合、販売量や生産量の低下などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、雇用情勢や企業収益が改善する中で、設備投資等の持ち直しが見られ景気は緩やかに回復している一方で、個人消費は、所得の伸びを上回る物価上昇の影響もあり、頭打ちとなっております。
鉄鋼業界においては、国内の粗鋼生産量が減少する中、自動車生産向けの需要は緩やかに回復が見込まれる一方で、建築向けの需要は慢性的な人手不足や資材価格の上昇を理由に低迷しております。また、中国やインドの増産から世界粗鋼生産量は増加傾向にあり、海外市場の鋼材価格の下落が危惧されます。
このような情勢のもと、当社グループといたしましては、市況は弱含みで推移する中、主力の鋼管事業を中心に、製品価格の維持に努めました。また、様々なコストの上昇に対して調達方法や拠点ごとの生産品の見直しを行うことで収益の確保に努めました。
この結果、当連結会計年度の売上高は44,556百万円(前年度比4.0%減)、営業利益2,053百万円(前年度比55.6%減)、経常利益2,558百万円(前年度比48.3%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,691百万円(前年度比44.7%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
普通鋼製品につきましては、需要の落ち込みに伴う国内鉄鋼メーカーの供給抑制が継続される中、自動車生産など一部の分野では持ち直しがみられたものの、当社が主力としている建築関連の物流倉庫やデータセンターなどにおいては人手不足を起因とする工事着工の遅れや延期などにより、需要は低調に推移しました。
ステンレス鋼製品につきましては、ニッケル国際価格の下落は歯止めがかかったものの、安価な輸入材の入着は止まらず、国内の製品価格は値下がり基調で推移しました。また、ステンレスを必要とする半導体製造装置や建材分野での生産調整は長引き、医療、食品、薬品関連、水処理等公共投資関連の需要も低調に推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は43,613百万円(前年度比4.1%減)、営業利益は1,449百万円(前年度比65.2%減)となりました。
自転車関連につきましては、円安による完成車輸入価格の上昇により、新車への買い替え需要は回復することなく、業界全体に減速感が漂いました。また、市場在庫水準は依然として高く、業者間での受注競争は激化しました。
この結果、当セグメント売上高は315百万円(前年度比1.7%減)、営業損失は61百万円(前年同期営業損失51百万円)となりました。
不動産等賃貸収入につきましては、東京都大田区の地代収入を中心に、関西工場リム工場跡地の地代収入や東京都江東区の自社ビル「アラヤ清澄白河ビル」の賃貸収入、大阪府茨木市の地代収入などにより、安定した業績をあげております。
この結果、当セグメントの売上高は611百万円(前年度比0.3%増)、営業利益は534百万円(前年度比1.6%増)となりました。
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は58,187百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,147百万円増加しました。流動資産は33,817百万円となり597百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金の増加1,145百万円であります。固定資産は24,370百万円となり3,550百万円の増加となりました。これは主に、投資有価証券の増加3,024百万円であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は22,177百万円となり、前連結会計年度末に比べ357百万円増加しました。流動負債は17,383百万円となり386百万円の増加となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加489百万円と1年内返済予定の長期借入金の増加750百万円、未払法人税等の減少840百万円であります。固定負債は4,793百万円となり29百万円の減少となりました。これは主に、繰延税金負債の増加1,330百万円と長期借入金の減少1,070百万円、リース債務の減少35百万円、退職給付に係る負債の減少249百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は36,010百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,789百万円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加1,133百万円とその他有価証券評価差額金の増加2,003百万円であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、9,417百万円となり、前連結会計年度末より1,145百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は2,872百万円(前年度は2,067百万円の資金の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が2,597百万円の資金増加となったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は683百万円(前年度は1,072百万円の資金の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が454百万円の資金減少となったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は1,048百万円(前年度は896百万円の資金の減少)となりました。これは主に、配当金の支払額が557百万円の資金減少、長期借入金の返済による支出が319百万円の資金減少になったことなどによるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式をベースに計算しています。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としています。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は平均販売価格によっております。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
鋼管関連事業及び自転車関連事業はいずれも見込生産であって受注生産は行っていません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a. 当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析
(概要)
わが国経済は、雇用情勢や企業収益が改善する中で、設備投資等の持ち直しが見られ景気は緩やかに回復している一方で、個人消費は、所得の伸びを上回る物価上昇の影響もあり、頭打ちとなっております。鉄鋼業界においては、国内の粗鋼生産量が減少する中、自動車生産向けの需要は緩やかに回復が見込まれる一方で、建築向けの需要は慢性的な人手不足や資材価格の上昇を理由に低迷しております。また、中国やインドの増産から世界粗鋼生産量は増加傾向にあり、海外市場の鋼材価格の下落が危惧されます。当社グループでは市況は弱含みで推移する中、主力の鋼管事業を中心に、製品価格の維持に努めました。また、様々なコストの上昇に対して調達方法や拠点ごとの生産品の見直しを行うことで収益の確保に努めました。
この結果、当連結会計年度の売上高は44,556百万円(前年度比4.0%減)、営業利益2,053百万円(前年度比55.6%減)、経常利益2,558百万円(前年度比48.3%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,691百万円(前年度比44.7%減)となりました。
また、当連結会計年度におけるROE(自己資本当期純利益率)は、親会社株主に帰属する当期純利益が前年度比44.7%減の1,691百万円となったことやその他有価証券評価差額金が2,003百万円増加したことなどにより、前連結会計年度より5.1ポイント減少し5.0%となりました。
(売上高)
鋼管関連の売上高は43,613百万円であり、前連結会計年度に比べ4.1%減少しました。普通鋼製品につきましては、需要の落ち込みに伴う国内鉄鋼メーカーの供給抑制が継続される中、自動車生産など一部の分野では持ち直しがみられたものの、当社が主力としている建築関連の物流倉庫やデータセンターなどにおいては人手不足を起因とする工事着工の遅れや延期などにより、需要は低調に推移しました。ステンレス鋼製品につきましては、ニッケル国際価格の下落は歯止めがかかったものの、安価な輸入材の入着は止まらず、国内の製品価格は値下がり基調で推移しました。また、ステンレスを必要とする半導体製造装置や建材分野での生産調整は長引き、医療、食品、薬品関連、水処理等公共投資関連の需要も低調に推移しました。
自転車関連の売上高は315百万円であり、前連結会計年度に比べ1.7%減少しました。自転車関連につきましては、円安による完成車輸入価格の上昇により、新車への買い替え需要は回復することなく、業界全体に減速感が漂いました。また、市場在庫水準は依然として高く、業者間での受注競争は激化しました。
不動産等賃貸の売上高は611百万円であり、前連結会計年度に比べ0.3%増加しました。東京工場跡地の地代収入や関西工場リム工場跡地の地代収入を中心に安定した業績をあげました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は7,810百万円であり、前連結会計年度に比べ25.1%減少しました。全体の売上総利益率については、前連結会計年度より4.9ポイント減少し、17.5%となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は5,757百万円であり、前連結会計年度に比べ0.7%減少しました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は2,053百万円であり、前連結会計年度に比べ55.6%減少しました。鋼管関連の営業利益は1,449百万円であり、前連結会計年度に比べ65.2%減少しました。自転車関連の営業損失は61百万円であり、前連結会計年度は営業損失51百万円でありました。不動産等賃貸の営業利益は534百万円であり、前連結会計年度に比べ1.6%増加しました。
(営業外収益)
当連結会計年度の営業外収益は579百万円であり、前連結会計年度に比べ58.3%増加しました。主なものとして受取配当金248百万円を計上しました。
(営業外費用)
当連結会計年度の営業外費用は74百万円であり、前連結会計年度に比べ52.7%増加しました。
(特別利益)
当連結会計年度の特別利益は63百万円であり、主なものとして有価証券償還益62百万円を計上しました。
(特別損失)
当連結会計年度の特別損失は24百万円であり、主なものとして固定資産除却損24百万円を計上しました。
(非支配株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は57百万円であり、主なものとしてステンレスパイプ工業株式会社の非支配株主に帰属する利益であります。
b. 当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析
(現金及び預金)
当連結会計年度末における現金及び預金の残高は9,417百万円となり、前連結会計年度末より1,145百万円増加しました。
(売上債権)
当連結会計年度末における売上債権の残高は13,852百万円となり、前連結会計年度末より107百万円増加しました。これは主に、当連結会計年度末日が金融機関の休日であったため、期末日満期手形等が年度末残高に含まれているためであります。
(商品及び製品)
当連結会計年度末における商品及び製品の残高は7,503百万円となり、前連結会計年度末より564百万円減少しました。これは主に、鋼管関連でステンレス製品の製造が減少し、在庫が減少したことによるものであります。
(貸倒引当金)
当社グループは、受取手形や売掛金等の債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により計上し、また、貸倒懸念のある特定の債権等については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。当連結会計年度末は合計で30百万円計上しています。
なお、現金及び預金の増加が主たる要因となって、当連結会計年度末における流動資産合計の残高は前連結会計年度末より597百万円増加し、33,817百万円となりました。
(有形固定資産)
当連結会計年度末における有形固定資産の残高は12,206百万円となり、前連結会計年度末より128百万円減少しました。これは主に、減価償却費を826百万円計上したことなどによるものであります。
(投資有価証券)
当連結会計年度末の投資有価証券の残高は10,756百万円となり、前連結会計年度末より3,024百万円増加しました。これは主に、保有株式等の時価が上昇したことによるものであります。
なお、投資有価証券の増加が主たる要因となって、当連結会計年度末における固定資産合計の残高は前連結会計年度末より3,550百万円増加し、24,370百万円となりました。
(仕入債務)
当連結会計年度末における仕入債務の残高は11,196百万円となり、前連結会計年度末より731百万円増加しました。これは主に、当連結会計年度末日が金融機関の休日であったため、期末日満期手形等が年度末残高に含まれているためであります。
(短期借入金)
当連結会計年度末における短期借入金の残高は3,548百万円となり、前連結会計年度末より7百万円増加しました。
(未払法人税等)
当連結会計年度末における未払法人税等の残高は31百万円となり、前連結会計年度末より840百万円減少しました。
なお、仕入債務の増加が主たる要因となって、当連結会計年度末における流動負債合計の残高は前連結会計年度末より386百万円増加し、17,383百万円となりました。
(長期借入金)
当連結会計年度末における長期借入金の残高は1,200百万円となり、前連結会計年度末より1,070百万円減少しました。
(繰延税金負債)
当連結会計年度末における繰延税金負債の残高は2,124百万円となり、前連結会計年度末より1,330百万円増加しました。
(退職給付に係る負債)
当連結会計年度末における退職給付に係る負債の残高は799百万円となり、前連結会計年度末より249百万円減少しました。
なお、長期借入金の減少が主たる要因となって、当連結会計年度末における固定負債合計の残高は前連結会計年度末より29百万円減少し、4,793百万円となりました。
(利益剰余金)
当連結会計年度末における利益剰余金の残高は22,215百万円となり、前連結会計年度末より1,133百万円増加しました。
(その他有価証券評価差額金)
当連結会計年度末におけるその他有価証券評価差額金の残高は5,356百万円となり、前連結会計年度末より2,003百万円増加しました。
なお、利益剰余金及びその他有価証券評価差額金の増加が主たる要因となって、当連結会計年度末における純資産合計の残高は前連結会計年度末より3,789百万円増加し、36,010百万円となりました。
当社グループの営業取引に係る資金は、主に製品の製造に使用する原材料の調達や製造費用、販売費及び一般管理費等に使用されています。これらの資金は主に自己資金で対応しており、一部、金融機関から短期資金及び長期資金の借り入れを行っています。設備投資に係る資金は、自己資金及び金融機関からの借り入れで対応しています。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループにおける重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照下さい。
当社グループの連結財務諸表の作成において、経営者は資産、負債及び収益、費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行うことを要求されています。この見積り及び仮定は過去の実績並びに決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいています。しかし、実際の業績は、これらの見積り及び仮定とは異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されており、その影響は、その見積りを見直した期間及びそれ以降の期間において認識しています。
当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定は以下のとおりであります。
・棚卸資産の評価
棚卸資産は、製造原価並びに取得原価で測定していますが、報告期間末における正味実現可能価額が製造原価並びに取得原価より下落している場合には、正味実現可能価額で測定し、製造原価並びに取得原価との差額を売上原価に認識しています。また、滞留する棚卸資産については、将来の需要などを反映して正味実現可能価額等を算定しています。しかし、将来の事象の結果、見直しが必要となった場合、当社グループの将来の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・有形固定資産、無形資産の減損
当社グループは、有形固定資産、無形資産について、回収可能価額が帳簿価額を下回る兆候がある場合には、減損テストを実施しております。減損テストを実施する兆候は、過去あるいは見込まれる営業成績に対しての著しい実績の悪化、取得した資産の用途の著しい変更及び時価の著しい下落等が含まれます。また、減損テストにおける回収可能価額の算定においては、将来キャッシュ・フロー等については、業績予想等、最善の見積もりにより決定しています。しかし、将来の事象の結果、見直しが必要となった場合、当社グループの将来の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来減算一時差異等を使用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しています。課税所得が生じる可能性の判断においては、業績予想等に基づき課税所得の発生時期及び金額を見積もっています。しかし、将来の事象の結果、見直しが必要となった場合、当社グループの将来の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
2002年10月10日に、当社の旧東京工場跡地(東京都大田区本羽田)を商業施設の敷地として、コーナン商事株式会社に賃貸する契約(20年間の事業用定期借地権設定契約)を締結していましたが、2015年9月30日に、同契約を解約し、再度同社と新たな賃貸料金、期間延長等の契約(20年間の事業用定期借地権設定契約)を締結しています。
2019年3月28日に、当社の関西工場内旧リム工場の跡地(大阪府大阪市西淀川区竹島)について、大和ハウス工業株式会社に賃貸する契約(49年11ヶ月間の事業用定期借地権設定契約)を締結いたしました。
当社グループ(当社及び連結子会社)の当連結会計年度における研究開発費は