第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「真心込めた行動でお客様のお役に立つ」という経営方針に沿って、結婚式・葬儀式・ヘルスケアを中心としたライフサイクル全般にわたるサービスを通じて顧客満足を実現し、地域社会に貢献することを経営の理念としております。

 

(2) 経営環境及び経営戦略

経営環境として、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立が進む一方で、不安定な国際情勢によるエネルギーや食料品価格の高騰、円安進行による賃上げもあり、当社に引き続き影響を及ぼすと思われます。当社はそのような環境下において、個々のニーズに応える商品・サービス開発や周辺商品の販売強化及び内製化における機械化・自動化推進によるコスト改善、人材の適正確保を行い生産性向上による営業利益率向上を目指します。

冠婚事業においては、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置付け変更されたことにより、婚礼等のキャンセルや延期数は少なく、現時点での業績への影響は限定的であります。

葬祭事業においては、社会的な交際範囲の縮小や伝統的な儀礼の多様化、価値観や生活様式の変化に伴うニーズの変化等から、葬儀の簡素化や小規模化が依然続いております。当社はこのような環境下において、利用者ニーズを考え、新商品・新サービスの企画と提案販売の促進、葬儀周辺売上の強化、生産性と労務効率の向上を課題として取り組んでまいります。

また、今後を見据えた葬祭新規店舗の出店及び築年数の古い大型葬祭施設をはじめとした施設改装、建替えによる投資を必要に応じて行い既存エリアのシェア率向上に繋げてまいります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①新商品・新サービスの企画と提案販売の促進

・オリジナル商品とサービス企画立案の継続、既存差別化商品の販売促進と口コミリピートの増進

・グループ全体売上の確保と外部収入の確保

(主に生花関連、食料品関連、音響・映像分野、家具備品、セレモニー商品)

・顧客情報の再整理による戦略的営業の強化

②葬儀周辺売上強化

・法事、墓地墓石や散骨・樹木葬、相続に関連する紹介斡旋事業や不動産仲介の受託、メモリアル商品の売り上げ

増進による葬儀一件単価減少の補完

③既存営業エリアの地盤強化と新規営業エリアへの拡大

・既存大型葬祭施設を更なる小規模化に対応する改修及び建替え継続

・既存サテライト店のご安置機能強化

・シェア率の低い地区や新規エリアへの市場規模に応じた出店拡大

④生産性と労務効率の向上

・内製部門の最新設備の導入による自動化、高速化の推進

・様々な働き方提案による採用強化

・自己学習可能な映像媒体マニュアルの拡充

・部門やグループ各社を超えたマルチジョブスタッフの育成

⑤管理統制システムの強化

・既存電算システムの拡充およびインターネット環境でのセキュリティ強化

・Web決裁システムの拡充や生花部門の電子管理統制システムの拡充

 

(4) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

    当社グループが目標とする経営指標は、連結営業利益率とその成長であります。連結営業利益率17%以上を目

   標とし、連結営業利益の確保とその安定的な成長を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

・気候変動への対応

昨今、世界では気候変動をはじめとする環境問題が深刻化しています。日本国内でも異常気象による大規模な自然災害が多発するなど大きな影響をもたらし、今や気候変動は企業にとって看過できない状況となっています。

このような中、当社グループは気候変動をサステナビリティ経営上の重要課題であると捉え、気候変動に伴うリスクや機会は事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しております。当社グループは脱炭素社会を実現させる環境への取り組みを最も重要な要素と位置付け、再生可能エネルギーの利用、エネルギー消費量の削減等に積極的に取り組んでいます。

 

(1) ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、環境問題に関する具体的な取り組み施策について、業務執行の最高意思決定機関である“経営会議”で協議・決議しています。また、定期開催している“予算ワールド20ヵ年会議”(未来予測・議論する場)において、環境課題への対応方針等を共有し、当社グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行っております。

代表取締役社長は“経営会議”の長を担うと同時に環境課題に係る経営判断の最終責任を負っています。

取締役会は“経営会議”で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループの環境課題への対応方針及び実行計画等についての議論・監督を行っています。

 

(2) 戦略

気候変動による世界的な平均気温の4℃上昇が社会に及ぼす影響は甚大であると認識し、気温上昇を1.5℃以下に抑制することを目指す動きに共に貢献していくことが重要であると考えています。

農産物・水産物を調理して販売する事業を行う当社にとって大きなリスクになるとともに、長年蓄積された技術を活用することで機会にもなり得ます。懸念されるリスクとしてはゲリラ豪雨などの異常気象の激甚化による食材不作や水不足などがあります。

当社では原木椎茸を内製栽培し自給自足の推進をすることが機会になると考えています。また、自然災害や異常気象によって起こる電力供給不足・資源の枯渇化もリスクとして挙げられ、蛍光・白熱照明からLEDへの切り替え、再生可能エネルギーの自社発電、電気自動車の導入や移動冷蔵庫導入による省エネルギー化、食材・食品の長期保存と廃棄ロス削減が機会になると考えています。

 

人材育成方針

当社グループの経営理念として儀式文化を重要視し、人と人との繋がりを大切にする「人材」を競争力の源泉と捉えております。

少子高齢化による人手不足を危惧し、定年年齢の見直しも含め働き方の多様化と人材力を活かす職域の拡充を行っております。ジェンダー平等に配慮した人材採用を進め、教育研修プログラムの改善等により女性幹部職の人数が徐々に高まっております。仕事と育児両立支援については、出産の前後や育児における休暇・休業、職場復帰制度、時短勤務制度、男性従業員による育児休暇制度等の諸制度を設けるなど、働きやすい職場環境の整備に積極的に取り組んでおります。

当社はワークライフバランスの推進に向け、就業時間管理の徹底、諸会議の集約や効率化などを通じた長時間労働の改善にも努めており、これは従業員の健康を守るとともにワークライフバランスの充実や育児・介護を行いやすくすること、ひいては生産性・企業価値向上に繋がるものと考えております。

 

(3) リスク管理

当社グループはリスクを戦略の起点と位置付け、企業が適切に対応することで持続的な成長に繋がると考えています。環境課題に係るリスクについては“予算ワールド20ヵ年会議”の中でより詳細に検討を行い、各事業会社と共有化を図っています。各事業会社では気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、各事業会社社長を長とする会議の中で議論しながら実行計画の進捗確認を行っています。その内容について“経営会議”や“予算ワールド20ヵ年会議”において進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。

当社グループは気候変動に伴うリスクと機会を抽出、当社への影響度とステークホルダーへの影響度を鑑みその重要性を評価しました。

当社グループは上記プロセスを経て、特に重要と評価された気候変動に伴うリスクと機会について、取締役会による監督体制の下、当社における企業リスクの一つとして戦略に反映し対応しています。

 

(4) 指標及び目標

人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針の指標及び実績は、次のとおりであります。なお、本報告書提出日現在において、当該指標についての目標は設定しておりません。

指標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

10.9

男性労働者の育児休業取得率

66.7

労働者の男女の賃金の差異

52.2

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のあると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

その他「人口動態」等による影響は以下の通りであります。

(1) 人口動態による業績の影響

総務省統計局「人口推計月報」(2023年11月確定値 2024年4月概算値より)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によりますと、全国の20歳~39歳の人口は、2023年の26,161千人から2045年には21,480千人となり4,681千人減少(17.9%減少)すると推測されております(表1)。一方、65歳以上の人口は、2023年の36,228千人(人口総数の29.1%)から、2045年には39,453千人(人口総数の36.3%)となり、3,226千人増加すると予想されております(表2)。

また、高齢者の人口増加とともに平均寿命も延びております。国立社会保障・人口問題研究所の「平均寿命の推移」によれば、2023年の男性平均寿命81.75歳、女性平均寿命87.82歳と予測され、2045年では男性平均寿命84.03歳(2.28歳の延び)、女性平均寿命90.08歳(2.26歳の延び)となっております。また、2070年には男性平均寿命85.89歳(2045年に対して1.86歳の延び)、女性平均寿命91.94歳(2040年に対して1.86歳の延び)と予測されております(表3)。 

    冠婚事業における利用者の年齢層は20歳~39歳が中心となっており、上記の通り、今後利用者総数の減少が予

   想されます。一方で、葬祭事業における利用者の中心となる高齢者総数は増加傾向にあります。
   このように当社の事業は、冠婚事業・葬祭事業共に、将来の人口動態により、業績に影響を受ける可能性があり

   ます。

(表1)全国の20歳~39歳の人口

 

(単位:千人)

年齢

20~39歳

2023年
(11月1日時点確定値)

26,161

2045年

21,480

 

 

(表2)全国の65歳以上の人口

 

 

 

(単位:千人)

年齢

0~64歳

65歳~

総人口

2023年
(11月1日時点確定値)

88,114

36,228

124,342

2045年

69,348

39,453

108,801

 

(注) 2023年は総務省統計局「人口推計月報」(2023年11月確定値 2024年4月概算値)より11月1日現在の確定値を抜粋、2045年は国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」(2023年改訂版)より抜粋。

 

 

(表3)仮定された平均寿命推移

 

男性

女性

2023年

81.75歳

87.82歳

2045年

84.03歳

90.08歳

2070年

85.89歳

91.94歳

 

(注) 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(令和5年推計)より抜粋。

 

(2) 冠婚部門・葬祭部門における施行受注件数の季節的変動について

結婚式は利用者にとっていわゆるシーズン意識のある儀式であります。一般的には、春・秋のシーズンといわれております。また、葬儀式では、月々の死亡者数の変化により、施行件数に影響があります。
 令和3年神奈川県衛生統計年報表データ 人口動態の婚姻(表4)によりますと、各月の神奈川県内市町村への婚姻届件数(この内、全てが結婚式を挙げるわけではありませんので、参考母数として)の中では11月が最も多く4,613件となっており、年間婚姻届件数の11.9%を占めており、次に3月が多く年間婚礼件数の11.6%となっております。また、同データの人口動態の死亡(表5)の各月の神奈川県内市町村死亡者数の中では、1月が8,684人となっており、これは年間死亡者数の9.7%を占めており、次に12月が多く年間死亡者数の9.0%となっております。
 したがって、上記のような人口動態婚姻・死亡の推移は、月々の冠婚事業、葬祭事業の施行受注件数の増減及び各部門の収益に影響いたします。

 

(表4)2021年 月別神奈川県内市町村の婚姻届件数

年間

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

件数

38,664

2,893

3,434

4,483

2,385

3,410

2,971

3,308

3,333

2,219

2,483

4,613

3,132

比率

100.0%

7.5%

8.9%

11.6%

6.2%

8.8%

7.7%

8.6%

8.6%

5.7%

6.4%

11.9%

8.1%

(注)令和3年神奈川県衛生統計年報統計表 婚姻より抜粋・加工

 

 

(表5)2021年 月別神奈川県内市町村の死亡者数

年間

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

人数

89,701

8,684

7,299

7,767

7,188

7,262

6,545

6,854

7,592

7,386

7,555

7,455

8,114

比率

100.0%

9.7%

8.1%

8.7%

8.0%

8.1%

7.3%

7.6%

8.5%

8.2%

8.4%

8.3%

9.0%

(注)令和3年神奈川県衛生統計年報統計表 死亡より抜粋・加工

 

 

(3) 高齢単身世帯数の変動による業績の影響

総務省統計局令和2年国勢調査 年齢(5階級)、男女別高齢単身世帯(表6)によれば、神奈川県の65歳以上の単身世帯数割合は1990年の2.6%でありましたが、30年後の2020年には10.9%と増加しております。これは核家族化の進行に伴い家族単位が変化し、高齢者との同居率が低下していることによるものであると推定されます。

また、他人との関係の希薄化、晩婚化・非婚化による独身者の増加、子供を持たないという選択などのライフスタイルの変化を考え合わせますと、今後も高齢単身世帯数割合が増加し続ける可能性があります。このような事態に至った場合、葬儀の会葬者数の激減あるいは火葬のみといった事態が予想され、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(表6)年別神奈川県65歳以上単身世帯数の推移

 

1990年

1995年

2000年

2005年

2010年

2015年

2020年

全世帯数

2,847,812

3,093,998

3,341,223

3,591,866

3,844,525

3,979,278

4,223,706

65歳以上単身世帯数

74,583

110,419

167,100

226,119

308,463

398,979

459,724

65歳以上単身世帯割合

2.6%

3.6%

5.0%

6.3%

8.0%

10.0%

10.9%

 

 

(4) 当社施設の立地・開発による業績の影響

当社の葬祭事業は、葬祭ホールを建築する土地等の資産の確保が必要となります。新規店舗投資の前提条件は、原則として、お客様の利便性を重視したアクセス好条件と効率的な資本の回収のため、主に定期借地形態としております。以上の前提や駐車場確保等の諸条件に合う候補物件の検索に多くの時間を要する他、土地オーナーとの交渉の際、双方の採算問題以外に葬儀イメージに抵抗感がある場合には、それを払拭する交渉にも時間を要します。このように、オーナー及びその後の周辺住民への交渉や説明会が難航する場合、施設建設進捗の遅れ等から当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 法的規制について

① 割賦販売法等による規制について

当社の連結子会社である株式会社へいあんは、冠婚葬祭互助会事業を主業務としております。

冠婚葬祭互助会による互助会加入者への役務提供は、割賦販売法に定められた前払式特定取引にあたります。
  同法は前払式特定取引の営業を経済産業大臣による許可制としている他、事業者は同法の定めにより営業保証金の供託、前払式特定取引前受金の保全義務、財産及び収支に関する報告書の提出、契約約款を変更した場合の届出等をしなければなりません。主な規制内容は次のとおりであります。

イ.営業所等に関する規制及び営業地域

事業者は新たに営業所又は代理店(以下、「営業所等」という)を設置し、営業を開始するにあたり、新たな営業所等ごとに一定の営業保証金を供託し、これを経済産業大臣に届出なければなりません。また、同社の営業地域は、神奈川県及び東京都内の17市13町(注1)としております。

ロ.前払式特定取引前受金の保全義務

事業者は、消費者から受け入れた前払式特定取引前受金(連結貸借対照表の前払式特定取引前受金に、掛金中断後一定年数を経過したため雑収入に計上した前受金の累計額等を加えたもの)の2分の1に相当する金額を金銭及び有価証券による供託又は金融機関、指定受託機関との保証金供託委託契約により保全しなければなりません。
 同社は前払式特定取引前受金の2分の1に相当する金額について、金銭・有価証券の供託及び指定受託機関と前受業務保証金供託委託契約を結ぶことにより、保全措置を講じております。

ハ.財産、収支の状況に関する規制

経済産業大臣は事業の健全な推進と消費者保護の観点から、事業者の純資産比率(注2)が90%未満となった場合に、事業者に対し前払式特定取引の契約締結の禁止命令を出さなければならないこととなっております。
 同様に経済産業大臣は事業者の財産及び収支の状況が著しく悪化した場合に、事業者に対し必要な改善命令を出すことができることとなっております。割賦販売法施行規則は改善命令の目安である経常収支率、流動比率、純資産比率(注2)が定められております。また、「この法律の運用にあたっては、割賦販売等を行う中小商業者の事業の安定及び振興に留意しなければならない(法第1条第2項)。」とされており、実際には割賦販売法上の法的規制の運用は所管官庁である経済産業省により行われております。しかし、所管官庁による法的規制の運用は、諸般の事情により随時変更・撤廃される可能性があります。
 現時点において、株式会社へいあんは割賦販売法上の改善命令を受けた事実はありませんが、仮に現在の法的規制及びその運用が変更され、それによって収支率等の改善を図る必要性が生じた場合、当社グループの経営成績及び財産の状態に影響を与える可能性があります。

(注1) 藤沢市、茅ヶ崎市、平塚市、南足柄市、小田原市、厚木市、海老名市、座間市、鎌倉市、綾瀬市、秦野市、伊勢原市、相模原市(南区、中央区、緑区の橋本・大沢地域)、逗子市、川崎市(麻生区・多摩区)、大和市、東京都町田市、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、開成町、真鶴町、湯河原町、松田町、山北町、愛川町、箱根町、葉山町

(注2) 経常収支率、流動比率、純資産比率は割賦販売法施行規則に定められた算出方法によるものです。

 

② 霊柩運送に関する規制について

当社の葬祭事業の一部である霊柩運送に関しては、「一般貨物自動車運送事業(霊柩)」として、貨物自動車運送事業法の規制を受けております。霊柩運送事業に関する規制の内容は、運送の客体、その方法等が他の貨物運送と異なるため、営業区域、霊柩車の保有台数等に制約があります。このため当社の霊柩運送の営業区域は、東京都及び神奈川県となっております。

 

③ 介護保険制度について

当社の連結子会社である株式会社へいあんは、介護保険法に基づく介護事業を業務としており、介護保険制度の改正等により、当グループの業績に影響を与える可能性があります。
 また、同法および関係政省令等において、介護保険事業所の設置は指定制、更新制とされており、詳細な運営基準が規定されています。したがって当社が指定介護サービス事業者として適正な運営体制を維持できなかった場合、事業所指定の取消、あるいは更新の不許可等の行政処分を受け、業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 顧客情報の管理について

当社グループの事業にとって、顧客情報流出や破壊による被害防止は極めて重要であります。
  現在までのところ、重要な顧客データの漏洩・改ざんあるいは破壊等の発生は認識しておりませんが、今後、顧客情報の流出により問題が発生した場合には、当社グループの事業運営、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済の概況は、先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇・中東地域をめぐる情勢・金融資本市場の変動、さらに令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分注意する必要があります。

経済産業省「特定サービス産業動態統計確報」(サンプル調査)によりますと、結婚式場業の2023年(1-12月)売上高は234,617百万円、組数は70,022組と前期に比べ売上高は増加、組数は減少しております。また、葬儀業の2023年(1-12月)売上高は594,487百万円、件数は501,533件と売上高・件数共に前期に比べ増加しております。

このような環境下におきまして、当社グループは周辺売上増強、新商品・新サービスによる収益源の確保に努めるとともに、コスト改善による利益率維持向上に努めてまいりました。

 

 売上高

売上高は10,081百万円(前年同期比4.3%増加)となりました。主な要因は、冠婚事業において婚礼施行組数の増加により286百万円(前年同期比4.4%増加)、葬祭事業において8,686百万円(前年同期比4.6%増加)、互助会事業において211百万円(前年同期比7.4%増加)、介護事業において1,097百万円(前年同期比1.4%増加)となったためであります。

 売上原価

売上原価は6,914百万円(前年同期比2.5%増加)となりました。材料費は1,615百万円(前年同期比3.9%増加)となりました。労務費は3,078百万円(前年同期比4.6%増加)となりました。経費は業務委託費や地代家賃等の増加等により2,221百万円(前年同期比1.1%減少)となりました。

販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は1,536百万円(前年同期比7.1%増加)となりました。

 営業利益

以上により、当連結会計年度における営業利益は1,631百万円(前年同期比9.3%増加)となりました。

 営業外損益

営業外収益は145百万円(前年同期比3.0%減少)となりました。

営業外費用は13百万円(前年同期比978.7%増加)となりました。

 経常利益

以上により、当連結会計年度における経常利益は1,762百万円(前年同期比8.3%増加)となりました。

 特別損益

特別利益は投資有価証券売却益等により18百万円となりました。

特別損失は減損損失の計上等により242百万となりました。

 当期純利益

以上により、税金等調整前当期純利益は1,538百万円(前年同期比4.0%減少)となり、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は888百万円(前年同期比15.7%減少)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

なお、各事業の売上高、営業損益はセグメント間の取引による金額を含んでおります。

 冠婚事業

当セグメントにおきましては、婚礼施行組数の増加により売上高は286百万円(前年同期比4.4%増加)、営業利益は43百万円(前年同期比22.0%増加)となりました。

 葬祭事業

当セグメントにおきましては、葬儀施行件数及び葬祭一件単価の増加により、売上高は8,686百万円(前年同期比4.6%増加)、営業利益は2,476百万円(前年同期比10.9%増加)となりました。

 互助会事業

当セグメントにおきましては、売上高は211百万円(前年同期比7.4%増加)、営業利益は122百万円(前年同期比13.8%増加)となりました。

 介護事業

当セグメントにおきましては、売上高は1,097百万円(前年同期比1.4%増加)、営業利益は21百万円(前年同期比40.2%減少)となりました。

 

財政状態の状況は以下のとおりであります。

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産は、主に現金及び預金の減少31百万円により前連結会計年度末比32百万円減少し9,193百万円となりました。 

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産は、主に土地の増加708百万円、投資有価証券の増加475百万円、供託金の減少910百万円により前連結会計年度末比117百万円増加し24,824百万円となりました。

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債は、主に未払消費税等の増加54百万円、未払法人税等の減少39百万円により前連結会計年度末比35百万円増加し1,444百万円となりました。 

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債は、主に前払式特定取引前受金の減少346百万円により前連結会計年度末比332百万円減少し11,904百万円となりました。 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が当期利益の計上により535百万円増加し、自己株式は新規取得により149百万円増加した結果、前連結会計年度末比383百万円増加し20,668百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は33百万円減少し8,506百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は1,522百万円(前期比4.4%増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,538百万円、減価償却費611百万円、減損損失234百万円が計上された一方、前払式特定取引前受金346百万円の減少及び法人税等641百万円の支払いによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は1,053百万円(前期比14.9%減少)となりました。これは主に、供託金の払戻による収入910百万円、有形固定資産の取得による支出1,486百万円、有価証券の取得による支出484百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は502百万円(前期比34.1%増加)となりました。これは自己株式の取得による支出149百万円、配当金の支払い352百万円によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

該当事項はありません。

b. 受注実績

該当事項はありません。

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

当連結会計年度

前年同期比(%)

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

冠婚事業

湘南事業部

180,652

5.2

西事業部

99,957

3.9

その他

5,785

△10.0

小計

286,396

4.4

葬祭事業

西東京事業部

527,295

2.1

東事業部

2,020,187

7.7

湘南事業部

1,515,344

9.6

中央事業部

1,959,838

5.4

西事業部

1,535,548

△6.5

県央事業部

396,629

16.2

さがみライフサービス㈱

232,166

11.4

その他

494,797

3.9

小計

8,681,807

4.6

互助会事業(注)

互助会事業

34

81.2

介護事業

介護事業

1,097,278

1.4

その他の事業

その他

16,389

52.7

合計

10,081,906

4.3

 

(注) 互助会事業については、外部顧客に対する売上高のみを記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ①財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

冠婚事業

当事業では、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置付け変更されたことにより、披露宴を伴う婚礼組

数は持ち直しております。その中で、コミュニティーウェディングの新スタイルとなるコーディネートを誕生さ

せ、SNSやWebでの露出及び施設周辺エリアへの告知を強化し新規顧客誘引に努めてまいりました。

その結果として各種対策の効果もあり、フォトウェディングを除く婚礼施行組数は前年同期に比べ増加となりました。

葬祭事業

当事業は、平安レイサービス及びさがみライフサービスの2社で構成されております。

当連結会計年度において建物貸切型の小規模葬祭施設として2023年7月に小田原セレモニーホール別館「奏送

館」、2023年11月に「湘和会館南町」を開業し順調に施行件数を伸ばしました。

さらに、ご家族の多様化するご安置ニーズに対応するべく、人の尊厳を大切にし故人とゆっくり寄り添える貸

切個室型安置室「貴殯室」をはじめとしたご安置設備の拡充を2023年12月「カルチャーBONDS藤沢」において実施

いたしました。それに併せ、時間を問わずご面会頂けるよう仕組みを見直し、ご利用者のニーズに合わせてご安

置設備を選択できるようにいたしました。

また、故人を生花で囲んで送る「花園」や想い出の品々で人柄を表現する「追悼壇」、オブジェや装飾と生花

を融合させた「追悼生花祭壇」、重低音から超高音まで原音を忠実に再現する「オリジナル大型スピーカー」に

より故人を偲ぶ音楽葬をはじめとした自由葬の提案、その他社内制作によるオリジナル商品を通じてご家族の

方々の想いを形にする提案を継続して行っております。

教育面では、当社独自となる生前相談の研修であるカウンセリングセールストーク研修、潜在的な想いを当社

オリジナル商品を通じて具現化するコンサルティングセールストーク研修を現場で常に行えるよう、管理職から

改めて実施いたしました。それに伴い、各拠点で分散対応していたメール生前相談を一元管理するコールセンタ

ー化を実施し対応力を強化、顧客満足度向上に努めてまいりました。

その結果、当連結会計年度において当社主要エリアにおける死亡人口増減率は前年同期に比べ下降しましたが、

当社グループの葬儀施行件数は増加となりました。また、各種対策の効果により葬祭一件単価も増加となりました。

互助会事業

当事業では、葬儀施行において互助会利用件数及び葬祭一件単価が増加しました。

介護事業

当事業では、高齢者向け賃貸住宅などで収益は改善したものの、グループホームなどで教育期間中の人件費や

      物価高による運営経費の負担増加を補いきれませんでした。

 

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況は、以下のとおりであります。

   当期は連結売上高、連結営業利益率ともに当初計画を上回りました。しかしながら、当社が目標とする連結営

   利益率17.0%については未達成となりました。引き続き葬祭新店舗の開発等による売上高の拡大と物流効率改

   善及び省力化によるマルチ業務、内製化によるコスト改善等を推進し、計画達成に向け取り組んでまいります。

  2024年3月期計画対実績

指標

2024年3月期

2024年3月期

計画比

(実績)

(計画)

連結売上高

10,081百万円

9,932百万円

149百万円増

1.5%増

連結営業利益

1,631百万円

1,588百万円

43百万円増

2.7%増

連結営業利益率

16.2%

16.0%

0.2ポイント増

 

 

 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、主に営業活動により獲得したキャッシュ・フロー(キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。)を原資とした投資活動を行っております。
 また、市場の変化に対応した投資計画に基づき、今後は大規模施設から小規模施設(邸宅型)へシフトすることにより、投資額を軽減し資金の流動性を高めてまいります。
 以上により、得られた資金の一部につきましては、株主に対する利益還元として業績に応じた安定的な配当に充当してまいります。(配当政策については、「第4 提出会社の状況 3配当政策」に記載のとおりであります。)

 

 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積が必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積を行っております。(連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重症なものは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。)

 

5 【経営上の重要な契約等】

<互助会保証株式会社に対する連帯保証>

当社の連結子会社である株式会社へいあんが、互助会業務において加入者から受入れた前受金の保全措置として、互助会保証株式会社に前受金の一部について保証委託しております。この契約に基づき、保証人として、当社が株式会社へいあんに連帯して保証債務を負っております。

 

(1) 割賦販売法第18条の3第1項により、前受金の合計額の2分の1に相当する額が営業保証金を超えるときは、前受金保全措置を講じなければならないと規定されております。これに基づき株式会社へいあんは、互助会保証株式会社と前受業務保証金供託委託契約を締結しております。

 

(2) 割賦販売法施行規則第15条の4第2項に前受業務保証金供託委託契約約款の基準として、受託者(互助会保証株式会社)は、供託義務の履行により生ずる債権の保全のため必要と認められたときは、委託者(株式会社へいあん)に担保を提供させることができる旨が定められております。これに基づき互助会保証株式会社は前受業務保証金供託委託契約の締結に際し、連帯保証書の差し入れを受けるものとしております。

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。