文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、創業以来、従業員はもとより、お客様、お取引先様、メーカー等の仕入先様と、共存・共栄を基本理念としてまいりました。上場以降は株主の皆様をはじめ多くのステークホルダー(利害関係者)に対する責任がより増し、株主の皆様に対しましては、利益還元を重要な経営課題として認識し、将来の事業展開と経営体質の強化のために、必要な内部留保を確保しつつ、収益状況に応じて、株主の皆様への配当を実施することを基本方針としております。当社グループは単に利潤追求を図るだけでなく、持続的な成長をする企業として社会的責任を果たし、今後とも成長を続けたいと考えております。
当社グループのステークホルダーの中心をなすのは、一般消費者です。当社グループは、セルフ方式で商品を販売するのではなく、お客様のメガネに関する要望や問題をカウンセリングによって解決し、安心と信頼を付与することで永く出店地域で支持を得てまいりました。お客様が当社グループに求める商品価値、高い視力補正技術力、経済性、利便性、接客サービス面の価値に対し常に改善・改良を加え、総合的に愛眼ブランドの価値を高めることでお客様の満足度アップに努め、ロイヤルカスタマー化を図ってまいりました。当社グループは、お客様との信頼関係の構築により、企業及び店舗の総合価値がさらに高まり、メガネを通じて長期にわたり地域社会に貢献してきたと考えております。
そのため、当社グループは、「お客さまの暮らしを、より快適に、より豊かにする企業となることを目指し、安心の技術、納得の商品、気持ちに寄り添うサービスを提供します。」を経営方針に掲げ、眼鏡専門店の本来の使命と責任である「快適な視力補正」の提供と、T.P.O.に応じた「オシャレの楽しさ」を提案してまいります。
①取り組み姿勢
○「安心の技術」
快適な視力補正を提供するため、眼や眼鏡に関する知識を深め、視力測定から加工・調整に至るまでの技術力、お客様が抱えている問題やニーズをつかみ的確な提案ができる接客に関する技術力の向上に取り組みます。
○「納得の商品」
機能・性能・ファッション性などお客様の様々なニーズに即した品揃えの充実に加え、「目の健康」をテーマとした快適で機能的なレンズやフレームなどの高付加価値商品の開発を推進することで、幅広い年齢層の多岐にわたるニーズに対応してまいります。また、卸売業と小売業を営んでいるメリットを生かし、流行を見極め、集中仕入れによるコスト削減とお買い得感を追求した商品開発に努めることで、お客様へのできる限りの還元に取り組みます。
○「気持ちに寄り添うサービス」
店頭の販売員のみならず、全社をあげてお客様満足度向上を目指しており、明るく清潔で快適な雰囲気の店内演出、カウンセリング販売の強化、ロールプレイング学習の充実などハード、ソフト両面から真心を込めた接客サービスの向上に取り組みます。
②「快適な視力補正」の提供
お客様は日常生活において仕事、趣味、スポーツ、ドライブなど様々なシーンに係わっており、メガネの使用条件は千差万別です。使用距離や使用状況を考慮して、最適なメガネを提供し、快適な視力補正と眼精疲労の改善に努めることが、眼鏡専門店としての使命と責任であり、企業として継続していくための必須条件と確信しております。
③「オシャレの楽しさ」の提案
将来的には、少子高齢化社会のもとでの需要の変動が懸念されます。当社グループは、眼鏡小売市場の維持・拡大と生活環境の変化によって両眼視による眼精疲労や視力低下の増加などの社会状況に配慮し、顧客の様々なライフスタイルや生活シーンに対応したメガネの必要性と複数所持を提唱しております。店舗レイアウトや商品陳列を性別、年代別、用途別に展開し、メガネを服装と同じようにT.P.O.にあわせて気軽に着替えていただき、オシャレを楽しんでいただきたいと考えております。また、蓄積したメガネに関するオシャレのノウハウを商品開発や店舗づくりにも活用し、お客様からの支持・信頼の拡大を図ってまいります。
(2)経営戦略及び経営環境等
眼鏡小売市場は、人口減少構造の中で、高齢化の進展による老視人口の増加、また、パソコン・スマートフォン・タブレットなどの電子デバイスの普及に伴う若年層の視力低下、眼精疲労、スマホ老眼の増加など、眼鏡需要増加の事象も見られます。しかしながら、個人のライフスタイルや価値観の変化に伴う趣味・スポーツ熱や健康意識の高まりなどお客様のニーズが多様化する一方で、消費者マインドの回復の遅れが影響して、お客様の節約志向への対応も大変重要になってきております。
そこで当社グループは、主要顧客であるミドル・シニア世代のみならず、進取の気性に富み新しいものへの感度が高いニューファミリー世代からも支持を得る「愛眼ブランド」の構築を目的に、2012年に「NEW愛眼プロジェクト」をスタートさせ、企業ロゴを変更し、新ビジュアルアイデンティティーによる統一性のあるブランド訴求とお客様の嗜好やライフスタイルに合った最適な商品の提供を目指す「アイ・スタイリング・サービス」を掲げた事業戦略を開始しました。また、フレーム・レンズ一体の明瞭でお買い得な価格表示による「スマートプライス」の販売戦略も並行して推進してまいりました。2016年からは、高齢化や健康意識の高まりなど、社会変化への対応をより鮮明にして、「NEW愛眼プロジェクト」で築き上げたインフラや有効な営業施策を継続しつつ、固定客の中心を占めるミドル・シニア層のお客様に照準を合わせた商品・技術・接客サービス面のアプローチを積極的に強化・推進しております。
当社グループは、地域になくてはならない眼鏡専門店として、変化と鮮度を求める顧客の要求を常に意識し、以下の項目に注意を払い、改善・改革に取り組んでまいります。そして顧客満足度の向上を実現し、ロイヤルカスタマーに結びつけることで、企業価値の向上に努め、成長を図る所存です。
①「アイ・スタイリング・サービス」の推進
メガネのプロ、専門店として、お客様に最適な商品とサービスを提供することを「アイ・スタイリング・サービス」の核心として推進しております。従来店頭で行っていたメガネフレームのブランド・素材・機能やレンズの屈折率・性能といったハード面の説明だけでなく、お客様のライフスタイル、趣味、ファッション感覚、生活シーン別に利用目的を想定し、カウンセリングを通して、よりお客様の要望を満たす合致点を、お客様ご自身が理解し納得することで、「自分のメガネ」を選ぶ楽しさを実感していただきたいと考えております。そのため、お客様がお買い求めやすく楽しんでメガネを選んでいただけるように、店舗のレイアウトや売場の演出の改善にも取り組んでおります。
②「スマートプライス」の推進
従来より基本的に別々だったメガネフレームとレンズの料金体系について、愛眼が取り扱うメガネフレームをレンズ込みの明瞭な価格表示で販売してまいります。レンズは様々なライフシーンに合わせた豊富なバリエーションで構成され、従来よりも格段に用途・目的にマッチさせたレンズをご提案することが可能になり、来店されたお客様誰もがより分かりやすく安心してメガネを購入していただけるよう注力してまいります。
③付加価値の高い商品の投入
商品は、当社グループの生命線であります。オリジナルブランド商品を中心に、価格志向、機能・性能・デザイン性などお客様の様々なニーズに即した品揃えの充実に加え、「目の健康」をテーマとした快適で機能的なレンズやフレームなどの高付加価値商品を増強し、お客様にとって安心でお買い得な商品の拡充に努めることで幅広い年齢層の多様なニーズに対応してまいります。お客様へ自信を持って提供できる商品の投入が、従業員の仕事へのモチベーションアップに結びついています。これからも安心、安全を兼ね備え、品質・お買い得感で競合他社と差別化できる商品の開発に注力してまいります。
④販売促進活動の多様化
販売促進活動は、折り込みチラシやDMに加えて、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、WEBなど各種のマスメディア媒体をミックスさせた情報発信を強化することで、集客に努めてまいります。また、お客様がお買い求めやすく楽しんでメガネを選んでいただけるように、店舗の演出の改善にも取り組んでまいります。
⑤人材育成
視力矯正技術の重要な要素になるカウンセリング力の向上を最重点育成項目として捉え、加えて技術面から売場づくりまでを含めた一貫した「アイ・スタイリング・サービス」を、接客サービスの基軸として徹底指導することで、お客様からの支持・信頼の獲得に努めてまいります。
⑥経営効率の追求
経営方針を念頭に、企業として常に高付加価値を追求し、販売戦略、商品戦略、出店戦略、人材戦略を適時見直し、経営効率の改善を推進し、売上高経常利益率の向上を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、新規店舗の開発、既存店の活性化、素材・機能・デザインなどコストパフォーマンスに優れた商品の開発、従業員教育の充実などの事業基盤を強化するとともに、営業体制の整備や経費コントロールの徹底による経営効率の改善によって、中長期的な経営指標数値として売上高経常利益率5.0%、ROE4.0%の確保を目標にしてまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
眼鏡小売市場は、消費者の価格志向が引き続き重要なファクターとなり、各企業間の販売競争・価格競争と相まって、販売単価は伸び悩みが続くものと予想されます。
一方で高齢化の進展による老視人口の増加や電子デバイスの普及など生活環境の変化に伴う眼鏡需要の増加の傾向も見られます。
このような状況のなかで、当社グループは、お客様からの支持・信頼の獲得に焦点を当てた諸施策の推進と経営資源の効率的活用を進め、事業収益の拡大を図ってまいります。組織面におきましても、業務の効率化と働き方改革に適切に対応し活性化を進めてまいります。
これらの経営方針を進めていく上において、以下の課題にも配慮してまいります。
①滞留商品の抑制
幅広い年齢層のお客様の多様なニーズに対応するには、品揃えの強化は欠かせないものですが、在庫商品が市場ニーズや流行にそぐわず、長期にわたり売れ残り陳腐化した場合、在庫商品の回転率を低下させ資産を眠らせることとなります。そのため、お客様のニーズを的確に把握して商品開発を進めるとともに、商品の在庫管理の徹底を図りつつ、長期の滞留品とならぬよう、販売促進イベントの開催や社内ネットワークによる情報提供・店舗間移動等による商品管理も併せて推進してまいります。
②女性活躍推進への取り組み
当社グループは、優秀な人材の確保と社員教育の充実は継続的な成長に必要不可欠であると考えており、その強化に努めております。それらの一環として、現在、「女性活躍推進」に取り組んでおり、全従業員のうち約4割を占める女性が職場で直面しているさまざまな課題をひとつずつ克服し、各従業員がもっと働き易く、能力を発揮できる職場環境作りを目指しております。また、店舗の従業員が生き生きとお客様に対応できる体制の構築を図ってまいります。
③デベロッパー、キーテナント撤退時の早期対応
全店の約6割をショッピングセンターのテナントとして出店しているため、デベロッパーやキーテナントの経営状況の変化によって、運営方針が変更になり、出店コンセプトが変わることで、出店店舗の予定外の改装や閉店を余儀なくされるケースがあります。特に閉店を余儀なくされるケースにおいては、企業業績にとって負担になりますが、極力、顧客、地域消費者の皆様にご不便・ご迷惑をかけないよう、可能な限りスクラップ&ビルドによって、お客様にとって利便性の高い他の商業施設やロードサイド立地に移転するなど、然るべき対策を早期に講じていく所存であります。
④内部管理体制の強化
今後の業容拡大を展望した場合、各種業務の標準化と効率化によって事業基盤を確立させることが重要な課題であると認識しております。そのため、適切かつ効率的な業務運営を遂行するために従業員に対し業務フローやコンプライアンスなどを周知徹底させ、内部管理体制の強化を図るとともに、業務の効率性と適正化の確保に努めてまいります。
当社グループは、事業戦略とサステナビリティ課題の推進を最重要課題と位置付け、経営方針である「お客様の暮らしを、より快適に、より豊かにする企業となること」を目指しております。
●現在取り組んでいる社会貢献活動
|
カテゴリ |
内容 |
|
盲導犬訓練所への寄付活動 |
・店舗に募金箱を設置し、盲導犬の育成に貢献 |
|
クリック募金 |
・大阪市が実施しているクリック募金に協賛 |
|
高齢者運転免許自主返納 |
・65歳以上のお客様への運転免許返納をしやすい社会環境づくりに貢献 |
|
保護猫支援活動 |
・売上の一部を、「公益社団法人アニマルドネーション」を経由し、保護猫支援活動へ寄付 |
(1)ガバナンス
当社グループは、ESG(環境・社会・企業統治)/サステナビリティが企業価値の向上に寄与する主要な要因であると認識した上で、SDGsに関する知識を深めるために、外部講師による研修やディスカッションを定期的に開催しております。その中で出た意見や提案を各部署で吟味した上で、上層部の会議へ議題として提案し、取り組むべき内容に応じたESG経営に関する意思決定をしております。また、サステナビリティ関連のリスク管理や目標に対する進捗状況については取締役会及び経営会議等で継続的にモニタリングしております。
(2)戦略
当社グループは、顧客との間に親密な信頼関係を作り、購入して頂いた顧客をリピーターに、リピーターからファンになるような活動を行い、顧客と企業の相互利益を向上させることを目指し、LTV(顧客生涯価値:ライフタイムバリュー)の向上に取り組んでおります。また、継続的に顧客満足度を上げていくために不可欠な、笑顔で対話のできる接客力を持った人材の育成を重要な課題としておりますが、労働力人口の減少による人材不足、業務内容のミスマッチによるモチベーションの低下、若年層の転職等による人材流出等の「リスク」があり、適正人員の配置には一定の時間を要することが想定されます。
対策と致しましては、LTVの向上には既存顧客の短期、中期及び長期の傾向分析等から問題点を明確化し、継続的に改善していくことが重要と考え、支援ツールを活用することで自社の顧客に効果的な施策を実施し、さらなる収益性の向上を目指し、これを実現するために、次世代研修による店長候補育成のスピードアップ、臨時従業員の正社員登用及び役割転換による配置換え等に取り組んでおります。
なお、人員の配置換えにより様々な業務を経験することによるモチベーションの維持・向上、多様な人材の育成を「機会」と捉え、経験を生かした様々な出来事をもとに前向きに学習し行動すること、また、短期・長期にわたる目標を明確にして主体的なキャリア形成ができるよう、各階層に応じた研修を実施しております。また、対策と致しましては、店頭でのOJTによる指導、外部講師による研修体系の整備や社内公募制度による適材適所への役割転換の推進による従業員のモチベーション維持、キャリア採用の拡大などによる人材確保に努めております。
当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりです。
・人材の育成に関する方針
当社グループは、2025年を目標として「人材を大切に育てる企業」を目指しております。多様性と自律性を備えた個の成長が、企業の成長の源泉であると考え、人材戦略を支える3つの柱として「多様性を活かす」、「目標を持ち挑戦を促す」、「成長を実感できる」を掲げております。また、「保有能力を発揮能力に」をテーマに、社員の多様なバックグラウンドを活かし、多角的な視点から接客のスキルアップ・技術の向上をはじめとする「挑戦」の機会を設け、所属部署以外での外部講師による研修など新たな経験を積み、「成長」を実感できるサイクルを繰り返すことで、社員の成長が企業の成長へとつながる仕組みづくりを推進しております。
・社内環境整備に関する方針
当社グループは、人材の育成に積極的に取り組むための社内環境整備として、下記のような制度を取り入れております。
●多様な人材の活躍を支える主な制度
|
カテゴリ |
内容 |
|
女性活躍 |
・女性活躍推進会議の設置 ・女性採用拡大に向けたインターンシッププログラムの実施 ・女性比率の高いパート社員を対象として、雇用形態転換希望の面談を実施し、契約社員・正社員登用の促進 |
|
健康支援 |
・定期健診の充実(検診項目の見直し) ・ストレスチェックの実施 ・メンタルヘルスケア(従業員相談窓口の設置) |
|
両立支援 |
・妊娠・出産(本人又は配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知意思確認 ・産後パパ育休の創設と育児休業分担取得の推進 ・育児休業・産後パパ育休に関する相談窓口の設置 |
|
働き方改革 |
・長時間労働の是正 ・有給休暇の取得促進 ・DXの推進による業務の効率化 |
|
評価・育成 |
・定期研修による眼鏡作製技能士及び認定補聴器技能者の育成や資格取得支援 ・ジョブローテーション ・部下のキャリア支援研修 ・階層別研修 |
当社グループにおける従業員の採用においては、営業職、事務職を問わず、ジェンダー平等に配慮した人材の採用を進めております。また、女性活躍推進会議による意見交換等を通じて、女性の積極採用、研修プログラムの改善、女性管理職割合の向上に努めていく予定であります。これらの活動の一環として、入社後2年目~5年目を中心に店長育成研修や階層ごとの研修を積極的に行っております。
仕事と育児等の両立支援については、出産の前後や育児における休暇・休業・職場復帰制度、時短勤務制度等の諸制度を設けるなど、働きやすい職場環境の整備に積極的に取り組んでおります。自己啓発プログラムについては、自らの価値観を活かし、「自らが学ぶ」をコンセプトに、自己向上を目指すものとして愛眼マイスター(社内資格制度)を導入し従業員のスキルアップを図るとともに、お客様の気持ちに寄り添うサービスが提供できるよう日々取り組んでおります。
また、男女を問わず安心して仕事と育児等の両立が図れるように、ダイバーシティ推進を総合的に所管する部門が中心となって、すべての従業員に対し、関連する情報の提供・周知、意識啓発等を行い、理解促進に努めております。これらの取り組みにより、最近の傾向として、就業時間管理の徹底、会議の時間短縮・効率化の推進等を通じた長時間労働の削減を実現させることによって、従業員の健康を守り、育児、介護等に配慮しつつ、生産性の向上及び企業価値の向上につながるものと考えております。
(3)リスク管理
当社グループは、顧客との間に親密な信頼関係を作り、継続的に顧客満足度を上げていくために、適正人員の配置を重要な課題としており、人的資本確保を中心としたリスクの要因の抽出・識別・評価・対策に取り組んでおります。
当社グループでは、リスク管理のため、「愛眼行動指針」及び「リスク管理規程」により、コーポレート・ガバナンスの基礎となるコンプライアンス(法令遵守)体制及びリスクマネジメント体制を周知徹底し、その把握と管理、個々のリスクの防止策についての体制を整えております。不測の事態が発生した場合は、対策本部を設置し、迅速な対策を行い、損害の拡大を防止し、これを最小限に止める体制をとっております。
なお、サステナビリティに関するリスクや機会については、各部門長をメンバーとするコンプライアンス委員会・リスク管理委員会で議論するとともに、取締役会及び経営会議へ必要に応じて報告し、リスク及び機会の識別・評価・管理等を行っております。
(4)指標及び目標
当社グループは、webアンケートによりお客様から頂戴した貴重なご意見を基に、定期的に階層ごとの研修を行うと同時に社内ロールプレイング大会を開催し、接客力をアップし総合満足度の向上を目指すなど、様々な取り組みを行っております。
また、2030年までに労働者に占める女性労働者の割合50%を目標とし、2024年3月期における正社員の女性比率が27.7%と低い現状の対策として、契約社員、パート社員の雇用形態転換希望の面談を積極的に実施し、正社員登用の促進を行うとともに、女性活躍推進会議及び営業支援SS推進部による店長(監督職)からエリアマネージャー(管理職)への昇格を目指した管理職育成プログラムを実施していく予定です。
以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を掲載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。本項における将来に関する記載は、当連結会計年度末において判断したものであります。
なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点にご留意下さい。
(1)顧客の消費動向について
眼鏡小売事業については、実質賃金の持続的な上昇や金融政策正常化の行方が当該市場における顧客の購買意欲に大きな影響を与え、所得見通しが改善し、勤労者世帯の平均消費性向がコロナ禍前の水準まで上昇すれば、営業時間短縮が継続しているものの、販売数の増加・客単価の上昇に伴い売上高の回復が見込まれます。
しかしながら、販売数は顧客の嗜好の変化や長期的なインフレに賃金の上昇が追い付かないケースなどの可処分所得の増減等に影響されやすく、また、販売地域における経済状況、世界情勢の影響による仕入先の海外拠点における製造及び出荷運搬状況の悪化等により適時に商品を市場に提供できない場合、円安の継続による仕入れ値の高騰による販売価格の上昇など、消費マインドに影響を与える諸要因があります。以上のような、事前に測定が困難な不確定な多数のリスクがあり、状況によっては事業計画が大きく変動する場合があります。なお、眼鏡卸売事業についても取引先が当社と似通った販売形態であることもあり、同様の影響を受ける可能性があります。
また、当社グループの事業計画通りに順調に推移しない場合においては、固定資産の減損処理が必要となる可能性や新規出店ペースが鈍化する可能性等を提出日時点において重要なリスクとして懸念しております。
(2)出店地域について
当社グループは、本社所在地である関西圏及び関東圏、東海圏を中心に店舗展開を図っておりますが、今後は当該地域を重点にしつつ地方中核都市にも出店していく方針であります。当社グループは、立地条件が個店の売上高を左右する大きな要因であると考えており、出店に当たっては社内基準に基づき、出店候補地の商圏人口、競合店状況、商業集積地、道路網、賃借料等の条件を検討した上で、投資回収状況を想定し、その可否を決定しております。
ただし、当社グループの出店条件に合致した物件がなく、計画どおりに出店ができない場合や、出店後に立地環境等に変化が生じた場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(3)業界の動向について
眼鏡業界も顧客獲得のため低価格帯での競争が続き、単価ダウンと市場規模の縮小が続いております。各社は廉価な価格訴求に加え、用途を絞り込み機能を付加した商品開発など新たな需要創出に取り組み始めております。
また、利便性が増した使い捨てコンタクトレンズの普及により、20歳代を中心にコンタクトレンズ装用人口が増加した場合、また、近年、近視、乱視、遠視の手術治療としてPRK(レーザー角膜切除屈折手術)などが広範に実施され、合併症などのトラブルが回避され、より安全な方法として一般に浸透した場合には、眼鏡需要は縮小し、当社グループの業績にも少なからず影響を及ぼす可能性があります。
(4)競合店の影響について
当社グループの店舗においては、周辺の同業他社との間に、品揃え、品質、価格及びサービス等で激しい競合が生じております。さらに、同業者との競合に加えて、サングラスを取り扱うファッション雑貨店やコンタクトレンズを取り扱うコンタクトレンズ販売店とも競合関係にあります。
当社グループといたしましては、「お客さまの暮らしを、より快適に、より豊かにする企業となることを目指し、安心の技術、納得の商品、気持ちに寄り添うサービスを提供します。」を経営方針に掲げ、徹底したコスト削減、季節に応じた品揃え、視力測定・加工・調整などの技術力、商品知識を伴ったカウンセリング等、競争力の確保に努めております。しかしながら、これらの業者との競合関係が激化し、相対的に当社グループの競争力が低下した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(5)人材の確保及び育成について
当社グループは経営方針を実践することで顧客満足度をより高め、ロイヤルカスタマー化を推進し、地域になくてはならない眼鏡専門店として成長を図っていく所存であります。
経営方針を実践するには、従業員が視力測定・加工・調整などの技術力と、生活シーンに適った光学、眼科学、商品、社会常識などの販売知識を十分に修得する必要があります。なぜなら機械設備の進化や平準化によって店舗間の差別化が難しい現状では、徹底した教育・育成による人材のレベルアップが、眼鏡専門店として存続するために不可欠な条件と捉えているからです。経営方針を実現できる人材の確保と育成を重要な経営課題として捉えておりますが、今後においても、当該方針を維持しつつ、積極的な出店を継続していくためには、従来以上に人材の確保及び育成が重要な経営課題となっております。
採用に当たっては、中途採用及び新規採用の両面から、積極的に優秀な人材を採用していく方針であります。また、従業員に対しては、目標管理制度や責任等級制度による成果主義等を導入することによりモチベーションの維持・管理の向上を促すとともに、研修プログラムの充実、スペシャリスト制度の導入によって、出店増への対応を図っております。
しかしながら、新規出店を賄える人材の確保及び育成ができない場合には、出店計画の見直しを行わざるを得ないこともあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)個人情報の取扱いについて
当社グループは多岐にわたる個人情報を、顧客の信頼のもと取り扱っております。個人情報保護法の施行により、コンピュータシステムのセキュリティ強化と、顧客データの本社一元管理体制を確立しました。その機密保持には現状考えられる高度なシステムセキュリティ対策をとり、諸管理規程による従業員への教育、指示や内部監査を継続的に実施しております。
しかしながら、万が一外部要因による不可抗力のシステムトラブルや、人為的操作等により情報流出が発生した場合は、社会的な評価を下げ業績に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が解除され、2023年5月に感染症法上の分類が5類感染症に変更されたことに伴い、社会経済活動の正常化が一段と進みました。一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化やイスラエル・パレスチナ地域をめぐる中東情勢の緊迫化に加えて、エネルギー・原材料価格の高騰や円安基調を背景とした物価上昇が続き、消費者マインドの冷え込みが懸念されていましたが、金利や為替動向を含む内外の金融経済情勢の影響を受け、2024年2月下旬に日経平均株価はバブル期以来となる史上最高値を更新したことで、株式・株式投資信託の保有層を中心に、株高による資産収入やマインド改善などを通じて個人消費を押し上げる資産効果も注視されるようになり、個人消費が緩やかな回復に向かう兆候が見えてまいりました。
このような状況のもと、当社グループは、「お客様の暮らしを、より快適に、より豊かにする企業となることを目指し、安心の技術、納得の商品、気持ちに寄り添うサービスを提供します。」を経営方針として掲げ、「目と耳の健康を守る」ことを社会的な使命と責任と捉え、顧客体験価値の最大化を追求するとともに、アフターコロナの環境下での事業展開を見据えた取り組みを進めてまいりました。また、組織及び人材面では、業務の効率化並びに働き方改革や女性活躍推進などに取り組み、プロアクティブな組織づくりを進めております。
当連結会計年度における経営成績は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の撤廃や感染症法上の5類感染症への変更に伴い、これまでコロナ禍で影響を受けてきた店舗での対面型販売はほぼ平時の状態に戻りつつあり、売上高は14,658百万円(前期比3.2%増)と前期比では増収となったものの、大型商業施設内の店舗を中心に客足の回復がまだ遅く、コロナ禍以前の売上水準に完全には戻っておりません。売上総利益率は、商品仕入コストの上昇、割引セール等の販売戦略や品目別売上構成比の変化などの影響により1.0ポイント減少しました。経費面では、主に人件費等の運営コストの上昇があったものの、店舗照明のLED化による節電、広告宣伝費や改装費用の圧縮など経費コントロールの徹底に努めた結果、販売費及び一般管理費は10,166百万円(前期比1.8%減)となり、売上高に対する販管費の割合は減少しました。
この結果、営業損失は123百万円(前期は営業損失475百万円)、経常損失は59百万円(前期は経常損失385百万円)、また、特別損失として、減損損失29百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失は181百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失803百万円)となりました。
当社グループにおける報告セグメントごとの状況は次のとおりです。
[眼鏡小売事業]
当社グループの中核事業である国内眼鏡小売事業につきましては、眼鏡専門店として長年培ってきた安心で快適な視力・聴力補正技術、高い専門性を要する商品提案力と接客・サービス力の全てが結集した「愛眼ブランド」の信頼性の向上と認知拡大に取り組んでまいりました。
売上高につきましては、社会経済活動の制限撤廃に伴い人流が戻り、感染状況に左右されないアフターコロナ期への移行が進み、全体では前期比で増収となりました。主力品目のメガネは、前期比で増収を維持し堅調に推移しつつも、コロナ禍以前の売上水準に完全には戻っておりません。準主力品目の補聴器及びサングラスは、行動制限が撤廃され客足の回復が進んだことから、前期比では大幅な増収となっております。
販売促進面につきましては、お客様のニーズに的確に対応し、お客様視点を第一とする商品開発に注力し、素材・機能面において高品質でお客様満足度の高い商品の品揃えの充実を図ってまいりました。同時に、顧客体験を軸としたお客様に選ばれる「愛眼ブランド」の競争優位性を確保するため、ラジオCM、新聞折り込みチラシやDM、雑誌や動画、WEB広告やSNSなど幅広いメディアを活用した複合的な情報発信の強化や店舗特性に合わせたマーケティング施策の強化を通じて、「愛眼ブランド」の認知度向上に努めてまいりました。
店舗につきましては、神奈川県の横浜市に1店舗を新規出店し、5店舗を閉店しました。また、既存店の活性化を目的とした改装を8店舗で実施しました。
この結果、売上高は14,250百万円(前期比4.0%増)、セグメント損失は63百万円(前期はセグメント損失381百万円)となりました。
[眼鏡卸売事業]
眼鏡卸売事業につきましては、得意先に対する新商品の投入や販売支援に努めるとともに、新規取引先の開拓に取り組んでおります。
この結果、売上高は397百万円(前期比0.4%減)となり、セグメント損失は12百万円(前期はセグメント損失9百万円)となりました。
[海外眼鏡販売事業]
当社連結子会社である北京愛眼眼鏡有限公司は、2022年11月28日開催の取締役会の決議に基づき、現在、現地の法令等に従い、解散及び清算へ向けた諸手続きを進めております。なお、最終の清算結了日は未定であります。
この結果、売上高は10百万円(前期比89.1%減)、セグメント損失は24百万円(前期はセグメント損失44百万円)となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載しております。
当連結会計年度末の資産合計は14,079百万円(前期比0.6%増)となりました。流動資産は売掛金の増加、商品及び製品の増加、現金及び預金の減少等により7,390百万円(前期比0.5%減)となり、固定資産は有形固定資産の増加、投資有価証券の増加、敷金及び保証金の減少により6,689百万円(前期比1.9%増)となりました。また、負債合計は、支払手形及び買掛金の増加、賞与引当金の増加、流動負債その他に含まれる預り金の増加、繰延税金負債の増加、固定負債その他に含まれる長期未払金の減少等により1,976百万円(前期比7.0%増)となり、純資産合計は12,103百万円(前期比0.3%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ249百万円減少し、当連結会計年度末には1,854百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動におけるキャッシュ・フローは△87百万円(前期は△97百万円)となりました。
この現況に至った主な要因は、税金等調整前当期純損失△93百万円、減価償却費186百万円、減損損失29百万円、賞与引当金の増加額54百万円、売上債権の増加額△80百万円、棚卸資産の増加額△153百万円、仕入債務の増加額39百万円、法人税等の支払額△92百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動におけるキャッシュ・フローは△166百万円(前期は△16百万円)となりました。
この現況に至った主な要因は、有形固定資産の取得による支出△245百万円、敷金及び保証金の回収による収入104百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動におけるキャッシュ・フローは△0百万円(前期は△0百万円)となりました。
この現況に至った主な要因は、自己株式の取得による支出△0百万円によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の購入費用のほか、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規出店や改装に係る設備投資によるものであります。これらの資金については自己資金にて充当しております。
今後の設備投資計画等につきましては、「第3 設備の状況 3.設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、所要資金については、自己資金にて充当する予定であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
該当事項はありません。
②受注実績
該当事項はありません。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
眼鏡小売 (百万円) |
14,250 |
104.0 |
|
眼鏡卸売 (百万円) |
397 |
99.6 |
|
海外眼鏡販売 (百万円) |
10 |
10.9 |
|
合 計 (百万円) |
14,658 |
103.2 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
④仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
眼鏡小売 (百万円) |
4,387 |
114.8 |
|
眼鏡卸売 (百万円) |
365 |
102.2 |
|
海外眼鏡販売 (百万円) |
9 |
55.3 |
|
合 計 (百万円) |
4,762 |
113.4 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
フランチャイズ契約
当社グループは、加盟店と 1.相互信頼 2.相互団結 3.相互発展 4.相互利益 5.相互理解の精神をもとに、相互の商業発展と商業的利益を増大することを目的とし、相互の共存共栄を基本方針としてフランチャイズ契約を締結しております。
その契約の主な要旨は次のとおりであります。
(1)契約の目的
愛眼株式会社加盟店に対して、自己の商標「メガネの愛眼」の基にその営業活動について技術指導、従業員教育、販売促進のための企画指導、計数管理等の加盟店の利益の増大に役立つ経営指導を行い、同一企業イメージの基に商品を供給し、定められた地域において営業を行う権利を与える。
これに対して加盟店は一定の対価を支払い、当社の指導の基に継続して営業を行い、相互の繁栄を図ることを目的とする。
(2)商品の仕入及び販売
加盟店の販売する商品は当社から仕入れ、当社の取り扱う商品については加盟店の希望する商品を供給し、当社の提供したノウハウを基に消費者に販売する。
(3)契約期間
原則、契約締結日から3カ年とする。ただし、期間満了の150日前迄に一方当事者の解約申出のない時は、3年毎の自動延長とする。
特記すべき事項はありません。