文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営方針は、適宜見直しを行い、時宜に合ったものを提唱しております。以下のとおりに経営方針を掲げております。
①クラッチ・ブレーキの総合メーカーとして盤石な企業体質を築き上げお客様から愛される企業を目指す。
自動車業界が100年に一度の変革期と言われる今、安定した利益を確保して人・設備・開発に投資することで、クラッチ・ブレーキの総合メーカーとして新たな高付加価値品を提供して行く。世界規模で物流が混乱する中において、当社の強みであるフレキシブルな対応力でお客様のビジネスを支え、必要とされる企業となる。
②総合的な品質力を高め顧客満足を向上する。
製品設計や製造はもちろん、営業活動や管理業務などあらゆる仕事の側面において品質を高めることでお客様の信頼を獲得することができる。品質力の向上に近道は無い。4M(Man:人、Machine:機械、Material:材料、Method:方法)管理を徹底して標準を遵守し、更にその標準をレベルアップさせることで一歩一歩着実に地力を上げる。
③技術力を結集し積極的に新分野へ進出する。
統合された技術部門の力をフルに発揮し、更には一般産業用と輸送機器用の垣根を越えたものづくりにより、それぞれで培ってきたものづくり技術を融合することで、新製品開発や新市場開拓にチャレンジし、小倉クラッチの次代を担う事業を創出する。
④次世代を担う人財を育成し適切な人員配置で組織を活性化する。
グローバル化など激変する環境の中で生き残れるのは変化する企業である。企業の変革には、それを構成する社員一人ひとりの変革が不可欠であり、当社の次代を支える人材=人財を計画的に育成する。その人財が力を発揮できるよう効果的に配置することで、組織を活性化する。
⑤スピーディーな報・連・相で情報共有を徹底し一元化された組織を運営する。
縦の情報伝達はもちろん、その情報を横へもスピーディーに展開し、各階層において同じ情報が共有されることで組織は同じ方向を向ける。情報共有は手段であり、情報共有によって自分たちの置かれた状況を正しく捉え、適切に組織を運営して行く。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、経済的価値に基づく次のマテリアリティ(重要課題)に注力し取り組みます。財務目標として、2027年3月期に、売上高営業利益率5.0%、ROE6.3%、総資産回転率1.0回転、売上高成長率110%の向上を目指しております。
(3) 中期的な会社の経営戦略
中国では2024年度の販売自動車の約25%がEVになることが見込まれて、米国においてはEV購入に対して優遇税制が実施されるなど、前年よりも減速する見通しですが、自動車業界では電動化が進んでおります。こうした状況に対応する為、輸送機器用事業においてはパワートレイン系ソレノイドやモーター用保持ブレーキ、燃料電池用ブロワというEV化に対応した製品群や、スライドドア用クラッチなど動力系の変化に囚われない製品の開発を強化して行きます。一方で、2035年以降のエンジン車の新車販売禁止という方針を掲げていたEUは、合成燃料を使用したエンジン車の使用を認めるという方針に転換するなど、完全EV化には現実的な課題も多いと考えられます。従って、既存事業であるカーエアコン用クラッチの性能向上とコスト改善も進め、全方位でビジネスを展開して参ります。また、一般産業用事業においては、技術の根幹である摩擦材開発に積極的に投資して行きます。同時に、高齢化社会による労働力不足で一層のロボット化が進むことが予想されることから、協働ロボットなどの拡大が見込まれる市場をターゲットとした製品開発をより強力に進めます。当社は、軽量・静音・小径・薄型など他社との差別化を図ることで、拡大されるロボット市場での拡販に努めて参ります。当社の開発したクラッチ・ブレーキは5,000種類以上ものラインナップがあり、世の中にはこれ以外に2,000種類も存在し、そこには新たなビジネスチャンスが存在します。お客様のニーズに柔軟に対応することで、ポテンシャル案件を1つ1つ着実に獲得いたします。
2024年度から2026年度の3カ年の中期経営計画は、規模重視から利益志向へと価値観を転換し、100年企業を実現するために企業体質を強化してまいります。借入金比率の低減、外部変化に強い利益体質への転換、企業価値の向上を重点課題とし財務体質を強化していきます。また、商品別・顧客別の採算管理を精緻化・迅速化、不採算商品からの撤退、不良発生の防止を重点課題とし、利益重視への体質転換を加速する仕組みやルールを整備していきます。
企業体質を強化するためには人的資本の強化が必要となります。従業員にとって魅力的で公平な組織であり続けるための諸制度改革を推進強化し、人事制度・処遇の改革とダイバーシティに対応した人材開発・教育を推進していきます。また、従業員のモチベーションを高め、会社に対する愛着や貢献意欲をより深めるためのコミュニケーション・仕組みを展開強化してまいります。
更には、生産管理システムを更新してものづくりの管理レベルを向上させ、業務を効率化します。工場の情報基盤を再構築し、事業単位毎に生産管理システムを共通化します。本社機能を含む間接部門では、積極的なIT活用により生産性向上・効率化・管理レベルの向上を図り、働き方改革を推進してまいります。
企業は利益を確保し永続して行かなければなりません。付加価値の高い製品を提供することで適正な利益を確保し、株主の皆様や従業員へと還元してまいります。また、お客様のニーズに合った製品をご提供することで、お客様から愛される企業、そして100年企業を目指してまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
100年に一度の変換期と言われている中、多くの国々の経済環境が変わってきており、自動車業界は内燃機関からEV化へ急速にシフトするなど我々が未だかつて経験したことがない出来事が積み重なっていくことが想像されます。そのような環境を迎える中で、当社はクラッチ・ブレーキの総合メーカーとして、日本でのものづくりに本腰を入れて強化してまいります。
10年前、中国の3カ所に生産拠点を置き、お客様に生産供給できる体制を整えましたが、中国で通用する価格設定に軸足を置き過ぎ、自分たちの利益に対する視点が弱まってしまいました。本来であれば、我々はメーカーとして適正価格をもってお客様に製品を提供しなければなりませんでした。今こそ改めて、生産方式、品質管理、技術力といった当社の価値を振り返ってものづくりに真摯に取り組み、日本のものづくりを世界にアピールしていきます。製造部門は効率的な生産、そして不良を出さないことを徹底し、品質管理についてはグループ全体に横串を入れ、管理してまいります。営業部門は売上志向から利益志向へと意識を切り替えていきます。お客様には高品質な良い製品を適正な価格で提供するのがメーカーの役割です。材料費や人件費が高騰するなど急激な環境変化にも対応し、利益を上げる体質に改善しなければなりません。数十年もの間、世界をリードしてきた日本の製造に対する考えや知恵を今こそ価値とし、お客様から愛される企業となる為にしっかりと取り組んでまいります。
株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
取締役会は経営の基本方針や重要課題並びに法令で定められた重要事項を決定するための最高意思決定機関と位置づけ、原則月1回開催するとともに、経営にスピーディーな意思決定と柔軟な組織対応を可能にするため、取締役及び執行役員等が出席する経営会議を原則月1回開催しております。加えて、業務執行に関する監視、コンプライアンスや社内規程の遵守状況、業務活動の適正性かつ有効性を監査するため、監査役が取締役会に出席することで議事内容や手続き等につき逐次確認いたしております。また、内部監査室が内部監査を実施し、監査結果を定期的に代表取締役社長に報告しております。
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
<人材育成の方針>
人材育成は、会社の経営理念及び経営方針に立脚し、強い責任感や勤労意欲及び協調の精神を高め、仕事への満足感の醸成及び人間性の成長を図り、業務能率を増進させて、働き甲斐の実現と会社の発展に貢献するものと考えております。当社グループでは以下の3点を、社員が能力開発に取り組む姿勢として掲げております。
・私たちはコミュニケーション能力を高め、グループの連携を強化します。
・私たちはものづくり能力を高め、社会のニーズに応えます。
・私たちは技と心を伝承し、次世代を担う人財を育成します。
<人材育成の戦略>
当社グループの人材育成は、OJT(職場内教育)を中心とし、そのPDCA(Plan- Do- Check- Action)のサイクルを回すことで着実に能力向上させて行きます。しかし、OJTだけでは習得しきれない専門的知識などは、Off-JT(職場外教育)を利用することで補います。Off-JTとしては、社員同士で切磋琢磨する社内研修や先進技術などの情報を収集できる社外セミナーを受講します。また、能力開発には自己啓発の意欲が不可欠です。従って、社員の能力開発意欲をさらに向上して貰えるよう自己啓発も支援しています。これらのOJT、Off-JT及び自己啓発で習得した技能や知識は、公的な検定・認定・資格の取得によってその実力を証明します。さらに当社グループでは、積極的な社員の能力開発を推奨する為に、研修受講や資格取得に対する費用面の支援も実施しています。
直近の社内外の環境を鑑み、以下の4点を人材育成の重点課題として取り組んでおります。
・出向者教育を整備する。
グローバル人材の育成、成長支援を行うべく、いつでも誰もが学習できる仕組みを整備する。また、海外関連会社からの出向受け入れに際しても必要とする支援を適宜実施する。
・様々な学習機会を提供する。
集合研修やオンライン研修など、受講ニーズに応じた多くの学習機会を提供する。
・技能教育を通じて技能者を養成する。
新入社員からものづくりの基礎をじっくりと学ぶことのできる機会を作り、ものづくり人材の育成を目指す。特に、品質に関する技能教育の充実を目指す。
・QMS(Quality Management System)・EMS(Environment Management System)の理解を深める。
社員一人ひとりがISOの要求事項の理解度を高め、担当する仕事・仕組みの継続的改善に努める。
当社グループにおいて、全社的なリスクは社長が委員長を務める「CSR委員会」を設置し、コンプライアンスをはじめリスク管理・情報セキュリティ管理・グループ管理等について監視をするCSR委員会を四半期に1回以上開催しております。また、各グループ会社がリスク管理シートにて想定リスクの洗い出し及びリスク管理状況を確認し、リスク管理体制の強化に努めております。
財務報告に係る内部統制制度においては、全社的な内部統制の状況及び重要な事業拠点における業務プロセスの適正性をモニタリングしており、会計監査人の監査などの結果は、会計監査人より直接担当取締役や監査役へ適宜報告されています。内部統制制度の運用状況及び評価については、毎年の取締役会で審議を行っています。
国内全工場においてISO14001の認証を取得し、「人と環境に優しい企業」を合言葉にグリーンサプライ並びにゼロエミッションを目指した活動を展開しています。また、CSR活動の一環として地球環境に配慮した調達活動推進のため、当社製品を構成する部品・材料及び製造時に使用される材料の調達において「小倉クラッチグリーン調達基準」に基づき、含有禁止物質の不使用及び管理物質の管理・削減を継続的に実施しています。
お取引先様には、説明会などを通じてグリーン調達やCSR活動への理解と協力をお願いしています。取引先意見箱を設け、お取引先様から内部通報も行えるような体制を取っています。
また、従業員の労務管理として、時間外労働時間が45時間/月を超えそうになった際は、労働組合に事前申請を行い、36協定で定めた範囲を超えないよう管理職がコントロールを行っています。メンタルヘルスに関しても、年1回従業員にアンケートを行い、従業員の健康維持に努めています。
当社は多様なバックグラウンドを持つ人々の多様性確保の重要性を認識しており、基本的に性別や国籍による採用基準の差を設けずに採用活動を行っています。
特に、女性の活躍促進を含み、多様性の確保を推進するため、「母性健康管理細則」や「育児休業規程」、「介護休業規程」を定め、柔軟な働き方ができる職場環境を整備しております。また、「群馬県働く女性の活躍推進計画」にも参画しております。
さらに、女性活躍推進法に基づき、採用者に占める女性割合を30%に増加させることと定めています。女性以外の多様なバックグランドを持つ人々の採用について具体的な目標はないものの、外国人の採用については、新卒採用では2021年1名、2022年5名、2023年8名、2024年1名の採用ができており、障がい者についても現時点では法定雇用率を満たす採用活動を行っております。
また、中途採用に関しても直近3年間の中途採用率は52%となっています。
このように当社では、多様な人材の採用を推進しており、その割合が次第に増加していくことが見込まれます。それとともに、多様な人材を管理職へ登用する割合も増加していくと思われますが、具体的に測定可能な目標の設定が可能かについては今後検討してまいります。
また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
<人材育成の指標及び実績>
人材育成の戦略を実行した結果としての指標は以下のとおりです。
・社内階層研修受講者 :189名
・社外セミナー受講者 :114名
・認定・検定・資格取得者: 64名
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、当該事項は当連結会計年度末現在において提出会社が判断した記載となっております。
当社グループの売上高は国内・海外の景気動向による影響を受けるため、経済情勢の変化による景気悪化に伴い主要製品の出荷額が減少した場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ロシア・ウクライナ情勢や、その影響等によりヨーロッパ及び各地域の取引先の事業に影響を及ぼす可能性があり、予測しえない事象の発生により当社の受注・売上に影響を及ぼす可能性があります。特に継続性が不安定な取引先に依存していることはありませんが、取引先の倒産や経営不安等により貸倒引当金が発生する場合があります。更に、大幅なデフレ傾向は主要製品の単価下落により収益を低下させたり、大幅なインフレ傾向は金利上昇による借入金返済額を増加させるなど、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの連結売上高に占める海外売上比率は、前連結会計年度が58.9%、当連結会計年度が57.2%となっており、今後とも海外事業のウェイトは高くなることと思われます。そのため、為替変動によるリスクをヘッジする目的で、常時為替予約等で対策を講じておりますが、為替相場変動の影響を緩和することは可能であっても、影響をすべて回避することは不可能であり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
多くの部品メーカーがコスト削減、事業の合理化及びグローバル化、並びに事業構造の再編により競争力を強化すべく大規模な企業改革を行っております。また、製品及びサービスの高付加価値化をもって、市場の価格引き下げ要請に対応しております。グローバル市場で勝ち残るため、当社グループは世界主要拠点での生産体制を構築して参りましたが、競合他社による画期的なコスト低減策や強力な価格政策等により当社グループの製品が価格競争力を失う場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの使用する主要な原材料には、その価格が市場の状況により変動するものがあります。それらの主要原材料が高騰することにより、売上原価が上昇し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかし、すべての製品について欠陥がなく、将来的にクレームが発生しないという保証はありません。万が一、多額のクレーム補償費用が発生する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの売上高は電磁クラッチへの依存度が高くなっております。予測不能な何らかの技術革新等で電磁クラッチが陳腐化する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障又はその他の理由による輸出制限、関税をはじめとする他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、特許、消費者、租税、為替管理、環境・リサイクル関連の法規制も受けております。これらの法規制が改正されることにより、当社グループの活動が制限され、コストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製造及び営業拠点等が、地震や気候変動に起因する自然災害によって多大な損害を受けたり、強毒性感染症のパンデミック等により通常の事業活動が困難になった場合、生産活動の停止や配送の遅延等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、当社グループが直接的に損害を受けなくても、お客様や取引先が損害を受けることにより生産・物流・販売等が計画とおりに実行できず、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における世界経済は、世界的な金融引き締めや不動産市場の低迷による中国経済の停滞、長期化するウクライナ情勢などの影響を受けました。日本経済も、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和され経済活動の正常化が進んだものの、不安定な国際情勢や海外景気の減速懸念、円安を背景とした原材料価格の高止まりなどが景気を減速させるリスクとなり、国内外ともに景気は先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のもとで、当社グループはグローバル市場で積極的な販売活動を行ってまいりました。その結果、当連結会計年度における売上高は43,491百万円と前年同期と比べ710百万円の減少(前年同期比1.6%減)となりました。営業損失は320百万円(前年同期は498百万円の営業利益)、経常損失は229百万円(前年同期は791百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は598百万円(前年同期は509百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
輸送機器用事業においては、UAWのストライキやカーメーカーの出荷停止等の影響を受けたものの、為替換算の影響、コロナ禍からの回復や半導体不足の解消、新規ビジネスの獲得などにより売上が増加しました。
その結果、売上高は30,891百万円と前年同期と比べ1,025百万円の増加(前年同期比3.4%増)となりましたが、原材料価格の高止まりなどにより、セグメント損失は330百万円(前年同期は39百万円のセグメント損失)となりました。
一般産業用事業においては、昇降・運搬業界等への売上が増加したものの、モータやロボット業界等への売上が減少したため、一般産業用事業合計でも売上が減少しました。
その結果、売上高は12,116百万円と前年同期と比べ1,661百万円の減少(前年同期比12.1%減)となり、セグメント利益は30百万円と前年同期と比べ499百万円の減少(前年同期比94.2%減)となりました。
その他では、売上高が483百万円と前年同期と比べ74百万円の減少(前年同期比13.4%減)となりました。セグメント損失は21百万円(前年同期は6百万円のセグメント利益)となりました。
キャッシュ・フロー計算書 要約
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ1,368百万円増加し、7,199百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,932百万円(前年同期比1,768百万円増)となりました。これは主に減価償却費1,840百万円と売上債権の減少額1,539百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,047百万円(前年同期比284百万円増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出2,209百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は295百万円(前年同期は593百万円の支出)となりました。これは主に社債の発行収入によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によります。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても構造等は一様でありません。また当社グループの販売高の多数を占める自動車業界向け部品については、納入先から指示される生産計画を基に、当社グループの生産能力等を勘案して生産を行っております。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対して10%以上に該当する販売先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において提出会社が判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きく影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出し、継続的に収支の把握がなされる最小の管理会計上の単位に基づきグルーピングを行っており、当社においては部門別に、連結子会社については規模等を鑑み会社単位をグルーピングの基礎としております。
減損の兆候が認められる資産グループについては、当該グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、(1)の固定資産残高のうち、当連結会計年度末において減損の兆候があると判断した固定資産残高は5,606百万円(当社分2,776百万円、連結子会社分2,829百万円)であります。
回収可能価額は、将来キャッシュ・フローの割引現在価値により算定される使用価値と正味売却可能価額とのいずれか高い方の金額としており、将来キャッシュ・フローの算出に用いた主要な仮定は、過去の実績データ、統計や将来の市場データ、業界の動向等を織り込んだ各資産グループの営業収支予測等であります。
また、正味売却可能価額については、不動産鑑定士による鑑定評価額から処分費用見込額を控除して算出しており、正味売却価額の見積りに用いた主要な仮定は、鑑定評価額のうち重要な割合を占める機械及び装置の再調達原価及び現価率であります。現価率については、物理的減価、機能的減価及び経済的減価等を考慮しておりますが、経済的減価を示すものとして市場性修正率が特に重要な仮定であります。再調達原価は、生産用機器市況等により変動を受け、また、市場性修正率は、市場の景気動態等から想定される将来における工場の生産稼働状況等により影響を受け変動いたします。
これらの見積りには不確実性があり、市況の変化等により、見積りの前提とした仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高及び営業損益)
当連結会計年度における売上高は前連結会計年度に比べ、710百万円減少し、43,491百万円となりました。当連結会計年度における売上原価は原材料価格の上昇等により559百万円増加し、37,556百万円(前年同期比1.5%増)となりました。当連結会計年度における販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ、451百万円減少し、6,255百万円(前年同期比6.7%減)となりました。その結果、当連結会計年度の営業損失は320百万円(前年同期は498百万円の営業利益)となりました。
(為替変動の影響)
当社グループの海外売上高は24,897百万円で、連結売上高に占める海外売上比率は57.2%となっており、そのほとんどを米ドル・ユーロ・中国元・タイバーツ建てで取引しております。また、在外子会社の財務諸表は外貨建てで作成されているため、外国通貨に対する円高は売上の減少、円安は売上の増加に影響する傾向があります。
(営業外損益及び経常損益)
当連結会計年度における営業外損益は、前連結会計年度に比べ202百万円利益(純額)が減少し、91百万円の利益(純額)となりました。これは主として為替差益の減少によるものであります。その結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ1,020百万円減少し、229百万円の経常損失(前年同期は791百万円の経常利益)となりました。
(特別損益)
当連結会計年度における特別損益は、前連結会計年度に比べ149百万円利益(純額)が減少し、178百万円の利益(純額)となりました。これは主として投資有価証券売却益の減少によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、598百万円(前年同期は509百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産につきましては、流動資産は主に、受取手形及び売掛金の減少等により32,742百万円(前期末比510百万円減)となりました。固定資産は主に、建物及び構築物(純額)の増加等により15,856百万円(前期末比776百万円増)となりました。その結果、総資産は48,599百万円(前期末比266百万円増)となりました。
(負債の部)
負債につきましては、流動負債は主に、電子記録債務の減少等により25,223百万円(前期末比919百万円減)となり、固定負債は主に、社債の発行等により8,018百万円(前期末比884百万円増)となりました。その結果、負債合計は33,241百万円(前期末比34百万円減)となりました。
(純資産の部)
純資産につきましては、為替換算調整勘定の増加等により15,357百万円(前期末比300百万円増)となりました。
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における社債残高は1,200百万円、借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は19,616万円となっており、現金及び現金同等物の残高は7,199百万円となっております。
経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、モーションコントロールとコンポーネントプロダクツの創出を通して顧客に奉仕し、社会に貢献することを基本理念として、既存の製品であるクラッチ及びブレーキの応用製品はもちろんのこと、各種新規分野を目指した積極的な研究開発活動を行っております。
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
提出会社の技術本部技術二部・自動車技術部において、車輛用クラッチ・アクチュエータ・ソレノイドについて、将来予想される自動車の変遷に伴う市場要求を想定し、軽量、静粛、長寿命、省エネ・省電力等の開発を行っております。主に空調用クラッチ、パワースライドドア用クラッチ、パワーバックドア用クラッチ、パワーラゲッジドア用クラッチ、パワースライドシート用クラッチ、ウォーターポンプ用クラッチ、デフロック用アクチュエータとソレノイド、2駆4駆切替用クラッチとソレノイド、電子制御トルクカップリング用ソレノイド、ディスコネクト用ソレノイド、外部制御ファンドライブ用ソレノイドの開発を行っております。
このほか、スーパーチャージャー用クラッチ、ウォーターポンプ用クラッチ、バルブ用アクチュエータ、モータースポーツ用クラッチ等の開発、そして、クラッチ・アクチュエータ以外の製品としては、エンジン過給用のスーパーチャージャー、燃料電池向けのエアーポンプと水素ポンプの開発を行っております。
また、車輛用以外では、芝刈り機及び除雪機用クラッチ・ブレーキ、ガスヒートポンプ用クラッチ、農耕用各種クラッチ・ブレーキ、定置用燃料電池向けエアーポンプと水素ポンプ、鉄道用製品、小型船舶用製品等の開発を行っております。
輸送機器用事業に係る研究開発費は
提出会社の技術本部技術一部において、一般産業用各種機械装置の様々な要求に応えたクラッチ・ブレーキの製品開発を行っております。特に市場の拡大が続くロボット関係においては、サーボモーター業界向けに薄型無励磁作動ブレーキに加え、サービスロボットへの搭載を視野にスリップ時のトルク安定性を向上した低摩耗無励磁作動ブレーキや、サーボモーターやアクチュエータの配線を軸内部に通すことを可能とする中空軸用無励磁作動ブレーキを開発する等、次世代の協働ロボットや多軸ロボットへの需要が見込まれる製品開発を進めております。また、20㎜角・φ20㎜以下を超小型無励磁作動ブレーキとして捉え、10㎜角の過励磁仕様や業界最小クラスとなるφ10㎜×全長9㎜の無励磁作動ブレーキ等へと拡充を進めてきましたが、医療機器用小型モーターへの採用に始まり、手術支援ロボットへの採用をご検討頂く等、医療・福祉機器関連業界向けにも需要が見込まれます。
昇降機関係では大臣認定に必須の二重化安全機構を備えた電磁ドラムブレーキ、電磁キャリパーブレーキ、電磁ダブルブレーキ、二枚アマチュアブレーキ等、豊富な機種展開を図り、そこで培った緊急制動に対する摩擦・摩耗の知見を基に小型モビリティや無人搬送車に代表されるバッテリー電動車用無励磁作動ブレーキの開発を進めており、新たに開発した防水形ブレーキは農業ロボットに採用され、スマート農業の拡がりと共に需要が見込まれる製品であります。
OA機器関係では高回転数・両方向回転を可能にした小型クラッチを開発し好評を博しておりますが、新たに高通電率の用途に向けた無励磁作動クラッチを開発しました。また、張力制御用アクチュエータにおいては、スリップトルク4.5mNm並びに7.5mNmのヒステリシスブレーキを開発し、現在は100mNmを視野に既存製品の改良開発及び多種多様なニーズに対して個々に応える形で開発を進めております。プリント基板の品質向上を支えるガラス基布の製造工程において、当社の張力制御システム製品はガラス糸の張力制御に欠かせない製品となっており、今後とも需要が見込まれる製品であります。
次世代事業を担う新製品や要素製品の開発活動としては、工作機械・プレス機用に汎用性の高い油圧及び空圧キャリパーブレーキと油圧発生装置、小型搬送機用製品や医療・介護施設向け製品、トルクセンサーなどの機械部品系新製品やトルク制御製品等、高精度、高寿命、高静粛性、環境対応化等の更なる市場要求を満たした開発活動を既存の製品や技術・生産方法にとらわれず、柔軟な発想と生産組織の枠組を越えた視野に基づき推進しております。また、要素製品としては、高摩擦係数・高仕事量対応に優れた摩擦材料の開発のみならず、その材料の成形過程でブレーキ部品としての形状を形成可能とする成形技術の開発も行っております。特に成長著しいロボット市場向けにはプラグアンドプレイ対応のロボットハンドとツールチェンジャーを開発し、将来製品としてロボットに搭載されている無励磁作動ブレーキの寿命予知システムの開発を進めております。
一般産業用事業に係る研究開発費は