文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
①経営理念
当社グループは、「創造・先取り・挑戦」を経営理念とし、それらを綱領として定めております。この理念は1958年の創業時から現在に至るまで、グループ全社員に共有され、企業経営の礎となっております。
「綱領
バローグループの全社員は実業人としての自覚を持ち、地域社会の繁栄と社会文化の向上に寄与せんことを期す。このために一人一人は「誠」をモットーとして業務に当たり、創造、先取り、挑戦の姿勢で目標を高く掲げ、強い団結の下に英知と努力をもって徹底的に力闘するものなり」
②経営戦略
当社グループは、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、スポーツクラブなど、多様な事業を展開しております。その背景には、当社グループが郊外より事業を拡大してきた経緯から、地域のニーズに幅広く対応して顧客との接点を持ち、複数の事業で収益を支えながら経営の安定性を求めてきたことがあります。また、調達・製造から流通・販売までを一貫して担う「製造小売業」としてのビジネスモデル構築を志向し、製造・加工拠点、物流センター等のインフラを整備し、自ら中間流通機能を担いながら、流通経路の効率化や商品力の向上に努めております。さらに、当社グループでは、複数の業態を組み合わせた商業施設を開発するほか、グループ全体で中間流通機能の活用を進めるなど、経営資源を組み合わせてシナジーを創出しながら、企業価値の向上に取り組んでおります。
次項に記載する中長期経営方針「バローグループ・ビジョン2030」、「サステナビリティ・ビジョン2030」の実現に向けて、今後は店舗のみならず、EC(電子商取引)や自社電子マネーLu Vit(ルビット)カード、Lu Vitクレジットカードも活用し、顧客との接点を更に強化してまいります。また、商品力で選ばれる「デスティネーション・カンパニー」への移行には、製造機能の強化に加え、調達・製造拠点や企業間連携の広がりに対応した効率的なサプライチェーンの構築が不可欠であることから、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を通じて情報連携を図り、ビジネスモデルを進化させてまいります。
③中期3ヵ年経営計画
当社グループは、企業価値の向上に向けて、2011年3月期より中期経営計画を策定・遂行してまいりました。最初の5ヵ年は「事業規模の拡大」を戦略目標に掲げ、スーパーマーケット及びドラッグストアの出店を加速し、規模拡大に対応すべく、物流、製造・加工機能等のインフラを整備・拡充しました。「経営効率の改善」を課題とした2016年3月期からの3ヵ年は、スーパーマーケットの既存店改装とインフラの効率改善を進めながら、ドラッグストアをグループの成長を牽引する事業と位置づけ、高水準の出店を継続しました。そして、2019年3月期からの3ヵ年は、スーパーマーケットを中心に来店動機となる商品・カテゴリーを有する「デスティネーション・ストア」への転換を進めるとともに、その構成要素である商品力の向上に注力し、基本方針「店舗数から商品力へのパラダイムシフト」にあるとおり、出店による成長からの転換を果たしました。
同時に、企業間連携を通じて包括的な協働取り組みも進め、商品調達を始めとする領域で成果が現れつつありますが、経営効率の一層の向上を達成するためには、多様な経営資源を活かしきる必要があると考えております。また、日常生活に欠かせない商品を安定供給するという変わることのない社会的使命と、新たな生活様式・消費行動に合わせて商品・サービスの提供方法を変える必要性の双方を認識し、当社グループが社会の中でどのような存在でありたいか、どのように価値創造を図るのかを改めて整理いたしました。
その結果、2030年を見据えた中長期経営方針「バローグループ・ビジョン2030」、「サステナビリティ・ビジョン2030」を定め、その実現に向けて「バローグループ中期3ヵ年経営計画」を策定いたしました。企業理念に掲げる「創造・先取・挑戦」の姿勢で、持続的な成長と持続可能な社会の実現を目指して取り組んでまいります。
(1) ビジョン
(2) 進化させるビジネスモデル
現在、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター等の1,200店舗以上の販売網があり、お客様に近いという利点を有しておりますが、今後は店舗のみならず、ECや自社電子マネーLu Vitを通じ、顧客との接点を強化してまいります。また、「デスティネーション・カンパニー」への移行には、製造機能の強化に加え、調達・製造拠点や企業間連携の広がりに対応した効率的なサプライチェーンの構築が不可欠であることから、DXを通じて情報連携を図り、ビジネスモデルを進化させてまいります。
(3) 基本方針
①商品で繋ぐ
・「デスティネーション・ストア」を構成し、「バローグループにしかない」魅力ある商品を提供します。
・店舗を中心とする物流網から調達・製造等の機能全体を包括した効率的なサプライチェーン・インフラへの転換を図ります。
②顧客と繋がる
・店舗での販売に加え、ECやLu Vitカード・アプリ、Lu Vitクレジットカードの活用に注力します。
・EC戦略として2つの重点領域を設定し、主要業態がドミナントを形成する地域で自社の経営資源を中心に展開する「ドミナント自社EC」、アマゾンジャパン合同会社と展開するネットスーパー事業のように、自社で足りない技術を協業によって補完する「広域協業EC」に取り組みます。特に、「ドミナント自社EC」では、事業所向け配送事業ainoma(アイノマ)、ドライブスルーによる商品受け取り、その他無店舗販売事業を通じ、複数の接点を持ちながら、地域が抱える課題に対応します。
③社会との繋がりを意識した経営
・取締役会の実効性を高め、経営の透明性を確保するとともに、グループ企業に対する監督を強化し、当社の特徴であるグループ経営についてガバナンスを更に強化します。
・ビジネスモデルに関わる3つの重点領域「地球環境」「地域社会」「人材の多様化」について、6つの分科会(食品廃棄物の削減・資源循環の推進、気候変動対策・水の管理、廃棄物の削減・リサイクルの推進、買物課題の解決・健康増進支援、地域貢献、多様な人材の活躍支援)を設置し、グループ全従業員で取り組みます。
(4) 中長期定量目標(2030年3月期)
(注) 1.2022年3月期の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用。
2.ROICは税引後営業利益(税効果会計適用後の法人税等の負担率を使用)÷(有利子負債+自己資本+非支配株主持分)で算出。
(5) サステナビリティKPI
(注) 食品廃棄物の削減についての基準は、株式会社バロー、株式会社タチヤ、株式会社食鮮館タイヨーで算出。今後はスーパーマーケット事業全体に対象を拡大。
2. 中期3ヵ年経営計画(2025年3月期~2027年3月期)
(1) 定量目標(2027年3月期)
(2) 戦略目標
「コネクト2030 ~商品・顧客・社会を繋ぐ」
(3) 基本方針
2030年3月期における営業収益1兆円到達に向けて、経営改革を進め、①ホールディングスによるグリップ力の強化、②主力であるスーパーマーケット事業を支えるグループ企業群の再編成、③関西エリアへの出店強化を含めたダイナミズムの創出を目指します。
(4) 重点施策
①成長戦略
当社グループの主要事業であるスーパーマーケット事業、ドラッグストア事業、ホームセンター事業において、来店目的を明確化させたデスティネーション・ストアモデルを確立し、本業の成長を促進しながら、ECや移動販売、行政機関との連携等の店舗販売以外の収益獲得モデルを目指します。また、将来における商圏の人口動態を含めた変化を先取りし、人口の多い関西エリアでのデスティネーション・ストアの横展開や、人口減少エリアにおける地域のライフラインとしての役割も備えた新業態の確立を目指します。
②収益性戦略
様々な経費が上昇する高コスト環境下に備えるために、グループ各社の基礎体力を高める目的に沿ってグループ再編を進めます。また、流通業界を取り巻く人手不足に対応するため、省人化に向けたインフラ投資、DX投資を進め生産性を向上させます。その上で、グループ営業収益1兆円を見据えた調達構造の変革(グループ共通PB商品、製造小売型商品等)を行います。
③持続性戦略
当社は「人をつくる会社」であることを掲げ、次世代幹部育成、時代に即した採用戦略を柱とする人材戦略とともに、複雑化・多様化するグループ企業集団の財務面でのコントロールをホールディングスが主導します。また、従業員が働きがいを感じられる社会貢献活動を含めたサステナビリティ活動にも注力いたします。
④差別化戦略
次世代の当社グループの他社との差別化を目指し、多業態経営ならではの流通技術を磨きこみます。決済・マーケティング領域では、Lu Vitカード・アプリ、Lu Vitクレジットカードを通じ、1人1人のお客様に沿ったマーケティングやキャッシュレス化に伴う決済コストの低減を目指します。また、自動発注をはじめとするDX領域については、店舗在庫にとどまらない中間流通在庫も含めた在庫の効率化を目指します。
(5)セグメント別の取り組み
①スーパーマーケット事業
・「デスティネーション・ストア(DS)」化の促進
・1店舗あたり売上高10億円未満の店舗を対象にしたインフラの活用+ローコストオペレーション(ネオDS化)
・プロセスセンターへの投資
②ドラッグストア事業
・1店舗あたり売上高の拡大(4億円へ)
・PB商品の強化、グループシナジーを活かした生鮮・デリカ食品の強化
・調剤取扱店舗併設率の拡大
③ホームセンター事業
・PB売上構成比の向上
・プロ向けショップ等の新業態店舗の出店強化
④スポーツクラブ事業
・スクール等の専門性強化による早期の収益適正化
(6) 新中期経営計画の主な設備投資とキャッシュ・フロー
①キャッシュ・フローの創出と成長投資
・2027年3月期までの3ヵ年累計1,200億円以上の営業キャッシュ・フローを創出します。
・M&Aを除き、2027年3月期までの3ヵ年累計1,000億円程度の設備投資を行います。
・設備投資の内訳は、新店投資35%程度、既存店投資30%程度、DX関連を含むその他投資35%程度とします。
③財務政策・株主還元
・デット・エクイティ・レシオ0.6倍を目処に、有利子負債を圧縮します。
・資本コストや資本収益性を意識した経営の実現に向けて、成長投資のための内部留保とのバランスに配慮しつつ、持続的な利益成長を通じて株主還元を行うことを基本方針としております。この方針に基づき、連結配当性向30%を目処に従来からの「累進配当」を継続します。また、単年度の業績の影響を受けにくい株主資本配当率(DOE)を採用し、2%を下限として安定的な株主還元を目指します。
2024年3月期までの中期3ヵ年経営計画を終えた当社グループは、スーパーマーケット事業のデスティネーション化による収益改善は進展したものの、グループシナジー創出のためのホールディングス機能の強化への対応が課題として残りました。2030年を見据えた中長期経営方針「バローグループ・ビジョン2030」、「サステナビリティ・ビジョン2030」のもと、その実現に向けて「バローグループ新中期3ヵ年経営計画」を策定しました。2030年3月期に営業収益1兆円到達に向けて、経営改革を進め、①ホールディングスによるグリップ力の強化、②主力であるスーパーマーケット事業を支えるグループ企業群の再編成、③関西エリアへの出店強化を含めた異質競争によるダイナミズムの創出を目指します。
上記ビジョンに基づく新中期3ヵ年経営計画は、最終年度にあたる2027年3月期における財務KPIとして、営業収益9,100億円、営業利益272億円、経常利益300億円を掲げるとともに、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を進め、グループ・ガバナンスの強化、脱炭素化社会の実現及び食品廃棄物の削減など、サステナビリティ・マネジメントを引き続き推進いたします。
2025年3月期の設備投資につきましては、「デスティネーション・ストア」への転換を推進するため、引き続き積極的な既存店投資を行うとともに、スーパーマーケット事業やドラッグストア事業においても関西地域への出店を予定しております。
新店投資につきましては、スーパーマーケット12店舗、惣菜専門店等11店舗、ドラッグストア26店舗、ホームセンター(専門業態を含む)4店舗、スポーツクラブ1店舗、ペットショップ9店舗の計63店舗の新設を計画しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、これからの社会において「どのような存在でありたいか」、「どのように価値創造を図るのか」をあらためて整理し、2030年3月期に向けた中長期経営方針「バローグループ・ビジョン2030」とともに、「サステナビリティ・ビジョン2030」を定めております。
社会から選ばれる会社として成長を続けるために、「バローグループは持続可能な社会の実現に向け、事業活動を通した全員活動によって地域社会の発展と社会文化の向上に貢献します」というビジョンを掲げ、事業活動の持続性をいかに担保するかとともに、事業活動が社会・環境へ及ぼす影響を適切にマネジメントしながら持続可能な社会をどう実現するかという2つの観点からサステナビリティ・マネジメントに取り組んでおります。
我々の取り組みが、SDGsの達成にどう貢献できるかを確認しながら、特に当社グループの組織体制とビジネスモデルに係る重要課題を特定し、事業活動を通じて持続可能な社会の発展に貢献し、全てのステークホルダーとともに発展する企業として社会に選ばれる企業としての存続を目指すものであります。
私たちバローグループは綱領に掲げる「地域社会の繁栄と社会文化の向上に寄与」することを通して持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
持続可能な社会の実現に向けて、適切に対応すべき「リスク」とビジネスチャンスを創出する「機会」をサステナビリティのマテリアリティ(重要課題)として「地球環境」「社会」の2つの側面から以下の通り、整理しております。
当社グループでは気候変動を経営課題としてとらえ、「地球環境」を持続可能なビジネス成長を支える 3つの重点領域のひとつに位置づけ CO2排出削減の取り組みを進めております。
気候変動については、2021 年度よりサステナビリティ課題への取り組みを進めるべくグループ事業会社の推進メンバーにて構成された、社会貢献・SDGs分科会の「エネルギー・水分科会」において、エネルギーに係る環境課題と事業活動に関連の深いグループ会社の推進責任者を中心に活動を進めております。2021年度は分科会活動の進捗を半期ごとにグループ経営執行会議に報告しております。2022 年3月より取締役会の下部組織に「社会貢献サステナビリティ委員会」を設置し、気候変動問題への組織体制と取り組みを強化いたしました。なお、同委員会は業務執行取締役で構成され、常勤監査等委員、社外取締役も出席し、意見を述べることができる体制としております。
気候変動に関連する課題は、「エネルギー・水分科会」及び「社会貢献サステナビリティ委員会」で精査、議論の上、定期的に経営および取締役会に報告し、レビュー・監督を受けております。取締役会では、中期経営計画及び年度事業計画を様々なリスク・機会を踏まえ、定期的に審議・決定しており、気候変動に係るリスクについて、より明示的な評価、対応を進めてまいります。
(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
①人材育成方針
当社は、企業理念「創造・先取り・挑戦」に基づき、成長志向かつ挑戦し続ける人材を求めております。人材開発プログラムの拡充を通じて、スーパーマーケット・ドラッグストア・ホームセンター等の業容拡大に備えるほか、製造小売業としてのビジネスモデル構築に向けて、食品製造・加工業や物流業等に係る専門知識・技術を有する人材の確保に努めております。
当社グループが中長期経営方針として掲げる「バローグループ・ビジョン2030」、「サステナビリティ・ビジョン2030」を達成するにあたり、「人材の基礎作り」、「現場力強化」、「人材の強化・発掘」を通じ、「商品・顧客・社会を繋ぐことができるリーダー」の育成を方針としております。
②社内環境整備方針
バローグループは「人を作る会社」を目指し、人材開発センターの開設、そして代表取締役会長兼CEOによる教育体系である「淵叢学舎」(「物事の寄り集まる所、活動の中心地」の意)での幹部教育をはじめ様々な取り組みを行っております。その目的は、働きやすい環境構築と次世代のリーダー育成の2点が挙げられます。
当社グループで求められる「売る人材・商売ができる人材」を基礎として、教育機会を充実させるとともに、人材の強化・発掘においては、各組織の上長(リーダー)が教育にどれだけ関われるかという「育てる姿勢」を追求いたします。従来の階層別研修に加えて前期に新たに設けられたのが、経営層を対象とした「経営幹部研修」と、中間層を対象とした「次世代経営幹部研修」となります。
また、上記方針を推進すべく当社においては2023年2月に人事部を設立し、従業員一人一人の成長とキャリア開発を図る研修体系を整えています。
研修体系図

(1) 経営幹部研修
今後の当社グループを牽引する立場であるという自覚を持ち、自社を取り巻く環境の変化を捉え、経営リーダーとしてぶれない判断とグループ力を発揮するためのスキルを習得するプログラム
(2) 次世代経営幹部研修
バローグループ合同での研修であり、経営を学ぶための研修やグループ企業間での交流を目的に半年間実施
また、多様な人材の活躍支援施策として、主に推進する制度等は次の通りであります。
(1) 女性の活躍支援
当社では、全従業員が「個性」と「能力」を発揮するとともに、女性が活躍できる雇用環境を整備することを目標としております。
(2) 多様な働き方
当社ではライフステージの変化に対応した職場環境の整備に取り組み、産休・育休制度、介護休業制度の周知徹底、復帰しやすい職場づくりに取り組んでおります。
(3) 障がい者雇用
当社では、一般企業に就労して自立したいと考えている障がい者の方々の採用を積極的に行っております。岐阜県では、特別支援学校と一体となって就労を支援する 「働きたい! 応援団ぎふ」登録制度が2011年11月に創設され、当社は翌年2月に認定を受けました。今後、他の地域でも障がい者採用及び定着支援に向けて、店舗従業員に対する受入教育を進めるとともに、地域の職業センターや市の福祉課との連携を進めてまいります。
(4) 定年再雇用制度
高齢化社会の到来が本格化する中、当社は定年後も働く意欲のある社員を原則として全員再雇用する「定年再雇用制度」を導入しております。同制度は、対象となる社員が希望をすれば、定年後65歳まで再雇用する制度であります。
(5) 社員登用制度
中核事業会社16社でパートタイマーの社員登用制度を運用しております。一定の基準を満たしたパートタイマー契約社員が同制度へ応募後、選考を経て正社員へ登用される定時登用のほか、所属長の推薦によって選考に至る随時登用を行っております。
当社グループは、「サステナビリティ・ビジョン 2030」の重点領域の一つに「地球環境」をテーマに掲げ、気候変動対策として長期的なサプライチェーン上での温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に取り組んでいます。
(6)人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社グループでは、上記「(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
(注)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識し、かつ、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を、重要性の観点から取り上げた主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社が判断したものであります。また、下記の各リスクの発生頻度や影響の程度について合理的に予見することが困難であるため、記載しておりませんが、当社は、全社的なリスク管理体制を、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり整備し、管理を行っております。
当社グループの業績に影響を与える要因について
当社グループの事業は小売事業を中心としており、同事業を取り巻く外部環境として、今後の景気動向、価格競争の激化、同業種や異業種との競合の進展状況、消費者に係る税制の変更、気候変動等の要因により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、スーパーマーケット、ドラッグストア及びホームセンターにおいて、生鮮食料品、一般食料品、日用雑貨品、住居関連商品及び医薬品の販売を主要業務とした流通業を営んでおり、この他にスポーツクラブなどを運営しております。
当社グループでは、今後とも出店地域を中心としてドミナントエリア化を意図し店舗密度を高めていく方針であり、M&Aによる店舗数拡大も検討していく方針ですが、新規出店の基準に合致した物件を確保できない場合や、法的規制等により計画どおりの出店ができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、調達から販売までを一貫して担う「製造小売業」としてのビジネスモデル構築を目指しており、食品の流通経路における品質管理を徹底するとともに、製造・加工拠点、店舗において、厳格な衛生管理と適正な食品表示に努めています。しかし万一、食中毒や異物混入等の品質事故や食品表示の誤りが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、感染症対策マニュアルの整備、店舗の耐震性、防災対応マニュアルの整備、避難訓練の実施等、自然災害や事故等に対しできる限りの対策を講じておりますが、地震・台風等の大規模自然災害や流行性感染症が発生した場合には、当社グループの店舗での営業継続や販売商品の調達について影響を受ける可能性があります。大規模自然災害については、当社グループの店舗の多くが東海地方に所在しているため、南海トラフ地震が発生した場合には、事業活動の一部中断等により当社グループの業績及び財政状態に著しい影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症のような流行性感染症について、主に飛沫感染や接触感染を感染経路として感染が拡大した場合に、営業活動の自粛等により当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当社グループの事業目的に沿って優良企業との提携及び資本参加を積極的に実施する方針であり、新規事業に参入することも検討いたしております。しかしながら、新規事業の参入にあたり、外部環境の変化等各種の要因によって、当社グループが期待するとおりの成果をあげられない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新規の出店等に伴う設備投資のために借入金等により資金を調達することもあり、当期末における連結ベースの借入金及び社債等の残高は1,230億49百万円であります。このため今後の金利動向によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、更なる成長を実現するため、優秀な人材の確保及び育成が重要な課題と認識し、社員の配置転換、新卒及び中途採用、外国人技能実習生の受け入れを行うなど人材の確保及び育成に注力しております。しかしながら、今後、人材確保及び育成が計画通り進まない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、通信ネットワークを介して基幹システム、物流管理システム、店舗業務支援システム等を使用しております。また、通信販売、クレジットカード決済、電子マネー決済やポイントカード等により多数のお客様の個人情報を保持しております。当社グループは、これらに対し適切なセキュリティ対策を実施しておりますが、災害、停電、ソフトウェア及び機器の欠陥、コンピュータウイルスの感染、サイバーテロ、不正アクセス等予測の範囲を超える出来事により、情報システムの停止または一時的な混乱、顧客情報を含めた内部情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクがあります。このような事態が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの店舗の出店及び増床に際しては「大規模小売店舗立地法」の規制対象となっており、店舗面積1,000㎡を超える新規出店及び増床については、都道府県又は政令指定都市に届出が義務付けられています。届出後、駐車台数、騒音対策、廃棄物処理について、地元住民の意見を踏まえ、都道府県・政令指定都市が主体となって審査が進められます。
同法の適用により、当初の計画どおりに店舗の新規開設や既存店舗の増床等ができない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、建築基準法が改正され、新規出店及び改装に際し、審査期間の長期化や出店コストの増加等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
個人情報の管理については、情報端末のセキュリティシステムの強化、社内規程の整備や従業員教育等により万全を期しておりますが、不測の事態により個人情報が外部に漏洩するような事態に陥った場合には、当社グループの社会的信用力が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、独占禁止法、薬機法の他、食品の安全管理、環境・リサイクル等に関する法令等に十分留意して事業活動を行っておりますが、万が一これらの法令に違反する事由が生じた場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。また、将来的に当社グループが規制を受けている法令の変更や新たな法令の施行等があった場合、各種規制事項を遵守するためのコストが増加することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、減損会計を適用しておりますが、翌連結会計年度以降も収益性の低い店舗等について減損処理がさらに必要となった場合や今後の地価の動向によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用を計上することによって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済の緩やかな成長や金融環境の緩和を背景に、緩やかに景気は 回復する一方、歴史的な物価上昇とともに為替相場の円安傾向や国際商品市況の上昇もあり、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの事業領域である流通業界におきましては、相次ぐ物価上昇に伴う実質賃金の低下や家計の生活防衛志向が一層強まる中、物流費や人件費の上昇などが続いており、経営環境は引き続き厳しさを増しております。
このような状況の下、当社グループは、「コネクト2030~商品・顧客・社会を繋ぐ」を戦略目標とする中期3ヵ年経営計画の最終年度を終え、スーパーマーケット事業では、製造機能を活かした商品力の向上や来店目的を明確にした「デスティネーション・ストア」への転換を進め、関西エリアへの新規出店や18店舗で生鮮部門の更なる強化を目的とした改装を行いました。
一方、顧客との接点強化に向けて、グループ店舗網だけでなく、自社電子マネー「Lu Vit(ルビット)カード」やアプリの活用に注力した結果、当期末現在の「Lu Vitカード」会員は458万会員、アプリ登録会員は105万会員となりました。また、2023年4月から「Lu Vit クレジットカード」の募集を開始し、入会及び利用促進に向けてキャッシュバックやポイントプレゼントなどのキャンペーンを開催するなど、決済多様化への対応をより一層推進した結果、当期末現在の申込受付数は18万口座となりました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
なお、当期末現在のグループ店舗数は1,348店舗となっております。
連結業績の分析
① 営業収益
営業収益は8,077億95百万円(前年同期比6.3%増)となりました。スーパーマーケット事業における中核の株式会社バローの売上が大きく伸長し、生鮮・惣菜部門の強化を支える食品加工業が貢献しました。ドラッグストア事業では、店舗の新設及び既存店舗への調剤薬局併設が寄与しました。また、流通関連事業においては、当期に子会社化した昭和フイルム株式会社及びユニードパック株式会社が寄与しました。
② 営業利益
営業総利益は2,344億43百万円(前年同期比6.6%増)となり、販売費及び一般管理費は、水道光熱費が減少したものの、人件費、店舗の新設に伴う賃借料、クレジットカード事業開始に係る販売費やその他管理費の増加により、2,115億99百万円(前年同期比5.8%増)となりました。
これらの結果、営業利益は228億44百万円(前年同期比13.9%増)となりました。営業収益営業利益率は前年同期比0.2ポイント改善し、2.8%となりました。
③ 経常利益
営業外収益は44億47百万円(前年同期比0.3%減)となり、営業外費用は16億87百万円(前年同期比14.5%増)となりました。
これらの結果、経常利益は256億4百万円(前年同期比11.1%増)となりました。営業収益経常利益率は前年同期比0.2ポイント改善し、3.2%となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益10億3百万円(前年同期比4.8%増)及び特別損失53億46百万円(前年同期比19.9%減)の計上により、税金等調整前当期純利益は212億62百万円(前年同期比22.7%増)となりました。また、法人税等の合計は82億37百万円(前年同期比2.3%増)、非支配株主に帰属する当期純利益は10億79百万円(前年同期比35.5%減)となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は119億45百万円(前年同期比57.1%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
セグメント別の経営成績
営業収益
営業利益又は営業損失
(注) 全社費用等は、主に関係会社からの配当収入及び報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
<スーパーマーケット(SM)事業>
SM事業の営業収益は4,542億17百万円(前年同期比7.7%増)、営業利益は186億14百万円(前年同期比39.2%増)となりました。
同事業におきましては、4店舗を新設、3店舗を閉鎖し、当期末現在のSM店舗数はグループ合計317店舗となりました。中核の株式会社バローでは、2023年10月に大阪府内4店舗目となる「SMバロー堺豊田店」(大阪府堺市南区)、愛知県内60店舗目となる「SMバロー中小田井店」(愛知県名古屋市西区)を新設し、グループの調達、製造、加工機能を活かした商品を多数取り揃え、商品力の向上や来店目的を明確にした「デスティネーション・ストア」として、店舗網を拡大しております。
また、福井水産プロセスセンター(福井県鯖江市)の移設、北陸畜産プロセスセンター(富山県南砺市)の増床を行い、黒毛和牛希少部位セットなどの高付加価値商品の製造も行っています。
同事業では、生鮮・惣菜部門の強化を支える食品加工業及び卸売業が貢献するとともに、株式会社バローにおいて、既存店売上高が前年同期比5.6%伸長し、売上総利益率が上昇し、事業全体で増収増益となりました。
なお、2023年10月23日及び2024年3月18日公表の「(開示事項の経過)食品スーパー事業の事業譲受に関するお知らせ」のとおり、株式会社トーホーの連結子会社である株式会社トーホーストアの食品スーパー事業の5店舗を譲り受け、2025年3月期にSM事業の店舗として新設する予定となっております。
<ドラッグストア事業>
ドラッグストア事業の営業収益は1,708億70百万円(前年同期比6.2%増)、営業利益は54億44百万円(前年同期比26.1%増)となりました。
同事業におきましては、17店舗を新設、5店舗を閉鎖し、当期末現在の店舗数は507店舗(うち調剤取扱178店舗)となりました。
同事業では、新型コロナウイルス感染症の分類が5類感染症へ移行したことにより、対策関連商品は大幅な反動減となったものの、外出機会の増加による化粧品部門の回復に加え、都心部の店舗ではインバウンド需要の回復もあって、既存店売上高が前年同期比5.1%伸長しました。また、相次ぐ値上げのなかプライベート・ブランド商品を中心とした価格競争力のある食品や日用品が節約志向を捉えた結果、売上総利益も増加し、人件費などの上昇を吸収して増収増益となりました。
なお、SM事業同様、株式会社トーホーストアの食品スーパー事業の11店舗を譲り受け、2024年3月期に2店舗(上記新設17店舗に含む)、2025年3月期に9店舗をドラッグストア事業の店舗として開設する予定となっております。
<ホームセンター(HC)事業>
HC事業の営業収益は1,239億95百万円(前年同期比0.8%減)、営業利益は38億44百万円(前年同期比16.8%減)となりました。なお、当連結会計年度に含まれるアレンザホールディングス株式会社の当該事業の業績は、2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)を対象としております。
同事業におきましては、東海エリアのドミナントの深耕に向けて、2023年11月に愛知県を地盤にHC5店舗を展開する株式会社ホームセンター・アントを子会社化しました。また、新型コロナウイルス感染症の沈静化後のライフスタイルの変化に対応するために、プライベート・ブランド商品の開発に重点的に取り組んだほか、工具資材のプロショップの新規出店を行いました。しかしながら、原材料の高騰による商品の値上げの影響により、既存店ベースの客単価は前年同期比で3.0%増加しましたが、来店客数が前年同期比で5.1%減少し、既存店売上高は株式会社ダイユーエイト、株式会社ホームセンターバロー及び株式会社タイムの3社で前年同期比2.2%減少し、減収減益となりました。
店舗につきましては、9店舗を新設、2店舗を閉鎖し、当期末現在の店舗数はグループ合計168店舗となっております。
<スポーツクラブ事業>
スポーツクラブ事業の営業収益は100億72百万円(前年同期比6.7%増)、営業損失は8億42百万円(前年同期11億59百万円)となりました。
同事業におきましては、会員獲得施策としてアクトス既存店3店舗でリニューアル工事を実施してマシンの入替えやジュニアスクールを新設したほか、会員獲得施策として新たに24歳以下の会員区分の導入及び拡大、スイミングスクールの新規開校などによって若年層を中心に会員数が増加した結果、売上高は前年同期比9.8%伸長し、人件費や施設費などの売上原価は増加したものの、売上総利益の改善によって営業損失は縮小しました。
店舗につきましては、2店舗を新設、10店舗を閉鎖し、当期末現在の店舗数はグループ合計176店舗(うちフランチャイズ運営42店舗)となっております。
<流通関連事業>
流通関連事業の営業収益は163億48百万円(前年同期比43.7%増)、営業利益は36億64百万円(前年同期比11.2%増)となりました。
同事業におきましては、SM事業やドラッグストア事業の増収に伴う物流通過高や包装資材、消耗品などの取扱高の増加により売上が伸長しました。また、不採算の物流配送の見直しや当期に子会社化した昭和フイルム株式会社及びユニードパック株式会社への軟包装資材の内製化を進めた結果、販売費や人件費などの上昇を吸収し、増収増益となりました。
<その他の事業>
その他の事業の営業収益は322億91百万円(前年同期比2.8%増)、営業損失は5億46百万円(前年同期営業利益は16億35百万円)となりました。なお、当連結会計年度に含まれるアレンザホールディングス株式会社の当該事業の業績は、2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)を対象としております。
同事業には、ペットショップ事業、不動産賃貸業、衣料品等の販売業、クレジットカード事業などが含まれております。ペットショップ事業では、ペットシーツやペットフードなど消耗品の売上は堅調に推移し、トリミングやドッグトレーニングといったサービス部門の取扱高も伸長し、増収となりました。一方、クレジットカード事業においては、「Lu Vit クレジットカード」への新規入会者を対象としたキャッシュバックキャンペーンなどを展開したことに伴う費用の増加がありました。これらの結果、その他の事業全体で営業損失となりました。
なお、ペットショップ事業におきましては、6店舗を新設、1店舗を閉鎖し、当期末現在の店舗数は124店舗となりました。
当連結会計年度末における総資産、負債及び純資産の残高、前期末対比の増減額及び増減要因は次のとおりであります。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ277億円増加し、4,448億7百万円となりました。これは主に、現金及び預金81億15百万円、受取手形、売掛金及び契約資産92億75百万円、商品及び製品33億64百万円、建物及び構築物(純額)38億11百万円及び投資有価証券36億34百万円がそれぞれ増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ158億91百万円増加し、2,654億79百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金51億58百万円、短期借入金27億52百万円、1年内返済予定の長期借入金23億95百万円、流動負債その他に含まれる未払金及び未払費用39億69百万円がそれぞれ増加したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ118億8百万円増加し、1,793億28百万円となりました。なお、非支配株主持分及び新株予約権を除く純資産は1,640億49百万円となり、自己資本比率は36.9%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ78億39百万円増加し、288億13百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ22億19百万円増加し384億49百万円となりました。
これは主に、減損損失が10億86百万円減少及び売上債権の増減額が48億60百万円増加かつ法人税等の支払額が9億53百万円増加したことにより資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益が39億30百万円、未払金及び未払費用の増減額が30億74百万円それぞれ増加かつ棚卸資産の増減額が13億42百万円減少したことにより資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ3億38百万円増加し、260億55百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の売却による収入が14億64百万円増加及び無形固定資産の取得による支出が5億4百万円減少したことにより資金が増加したものの、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が13億56百万円及び差入保証金の純増減額が6億31百万円それぞれ増加したことにより資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ77億70百万円減少し、45億58百万円となりました。
これは主に、短期借入金の純増減額が19億円及び長期借入金の純増減額が75億7百万円それぞれ増加したことにより資金が増加したものの、コマーシャル・ペーパーの純増減額が20億円減少したことにより資金が減少したことによるものであります。
③ 販売及び仕入の実績
a. 販売実績
セグメント別営業収益
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
b. 商品仕入実績
セグメント別商品仕入
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、営業収益8,077億95百万円(前年同期比6.3%増)、営業利益228億44百万円(前年同期比13.9%増)、経常利益256億4百万円(前年同期比11.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益119億45百万円(前年同期比57.1%増)となりました。営業収益は29期連続増収で過去最高となりました。営業利益以下の各段階利益も増益となり、過去2番目の高水準となりました。
経営成績に対するセグメント別の影響を測るために、前連結会計年度の営業収益と比較をした場合、増収分(478億18百万円)に対する主要セグメントの内訳は、スーパーマーケット事業323億79百万円及びドラッグストア事業99億22百万円の増収、ホームセンター事業9億67百万円の減収となりました。スーパーマーケット事業では、中核の株式会社バローにおいて既存店売上高(収益認識会計基準等の影響を除く)が前年同期比5.6%増となったほか、生鮮食品・惣菜の強化を下支えする食品製造業及び卸売業が前年に引き続き伸長いたしました。また、ドラッグストア事業では、プライベート・ブランド商品などの価格競争力のある商品が節約志向を捉え、既存店売上高(収益認識会計基準等の影響を除く)が前年同期比5.1%増加いたしました。一方、ホームセンター事業では、既存店売上高(収益認識会計基準等適用の影響を除く)は株式会社ダイユーエイト、株式会社ホームセンターバロー及び株式会社タイムの3社で減少し、減収となりました。
同様に、前連結会計年度の営業利益と比較をした場合、増益分(27億82百万円)に対する主要セグメントの内訳は、スーパーマーケット事業52億40百万円及びドラッグストア事業11億26百万円の増益、ホームセンター事業7億75百万円の減益となりました。スーパーマーケット事業では、売上総利益が増加したほか、水道光熱費も減少し、増益となりました。ドラッグストア事業では、売上総利益率の改善もあり、売上総利益が増加し、人件費などの上昇を吸収でき、増益となりました。一方、ホームセンター事業では、原材料の高騰により既存店ベースでの客単価は上昇したものの、来店客数の減少もあり、減益となりました。なお、新型コロナウイルス感染症の影響が続いたスポーツクラブ事業では、新規の会員区分の導入もあり若年層を中心に会員数が増加した結果、営業損失は縮小しました。経済社会活動の正常化が進む中で、同事業の収益の早期適正化が継続的かつ重要な課題と捉えております。
財政状態につきましては、総資産が前連結会計年度末に比べ277億円増加し、4,448億7百万円となりました。これは主に、流動資産等の営業活動に係る資産の増加によるものです。負債の部において、有利子負債は、前連結会計年度末に比べ42億68百万円増加し、1,230億49百万円となりました。また、純資産の部において、非支配株主持分及び新株予約権を除く純資産は1,640億49百万円となり、自己資本比率は36.9%に上昇しております。これらの結果、デット・エクイティ・レシオは0.7倍となりました。
経営効率につきましては、ROAが前期の5.6%から5.9%へ、ROEが前期の5.0%から7.5%へ上昇しております。ROAの上昇は、営業収益経常利益率が前期の3.0%から3.2%へ上昇したこと、ROEの上昇は、親会社株主に帰属する当期純利益の増加により、営業収益親会社株主に帰属する当期純利益率が前期の1.0%から1.5%へ上昇したことによるものです。なお当社グループは、資本コストをより意識した経営へ移行するため、経営効率指標として投下資本利益率(ROIC)を採用しておりますが、ROICも前期の3.7%から4.7%へ上昇しております。引き続き本業利益の拡大と店舗に係る固定資産の減損損失縮小の双方が課題と考えております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりで、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は288億13百万円となりました。
キャッシュ・フローの創出及び資金使途については、中期3ヵ年経営計画期間(3ヵ年累計)の実績は、営業活動によるキャッシュ・フローの創出は990億円、M&Aを除く設備投資額は840億円、資金使途は新店投資45%、既存店投資48%、DX関連を含むその他の投資7%の構成となりました。また、株主還元については、中期3ヵ年経営計画の最終年度にあたる当期の配当性向は29.1%となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは384億49百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは260億55百万円の支出となり、フリー・キャッシュ・フローは123億93百万円となりました。設備投資額は前期を上回る167億20百万円となり、資金使途は支払ベースの構成比において変化が見られ、既存店投資の構成比が約50%となり新店投資の構成比約36%を上回りました。
なお、当社グループの主な資金需要は、事業活動に必要な運転資金(商品仕入に伴う決済資金、販売費及び一般管理費等の営業費用)及び設備投資(新店投資、既存店の改装費用等)であり、営業活動によるキャッシュ・フローを財源とすることを基本とし、必要に応じて銀行借入や社債等による資金調達を行うこととしております。
当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、グループ内資金の活用を基本として、子会社の資金を含め一元管理を行い、当社グループ内の資金需要に備えるとともに、資金の短期流動性を確保するため、取引金融機関と総額730億円の当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(固定資産の譲渡)
当社の連結子会社である株式会社バローマックスは2023年3月20日に、賃貸用不動産であるSMバロー大垣南店の土地を譲渡することを決議し、2023年4月28日付で売買契約を締結し、同日付で譲渡しております。
1.譲渡する理由
財務体質の健全化を図るため
2.譲渡する相手先の名称
芙蓉総合リース株式会社
3.譲渡資産の種類
株式会社バローマックス所有のSMバロー大垣南店の土地の信託受益権
4.譲渡価額
1,650百万円(帳簿価額:1,027百万円)
5.取引の内容
(1)株式会社バローマックスが所有する土地を三菱UFJ信託銀行株式会社へ不動産信託し、信託受益権を取得しております。
(2)(1)で取得した信託受益権を芙蓉総合リース株式会社に譲渡しております。
(3)株式会社バローマックスと三菱UFJ信託銀行株式会社との間で土地賃貸借契約を締結し、当該土地を株式会社バローマックスが引き続き使用及び株式会社バローへ転貸しております。
6.当該事象の損益に与える影響額
当連結会計年度において、固定資産売却益622百万円を特別利益に計上しております。
該当事項はありません。