文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
当社グループは、「総合エネルギー事業をコアとして、ビジネス・生活サポートを通して新しい価値の創造を目指し、地域に生き、共に発展する一体感のある企業グループ」として、持続可能な社会の実現に貢献するため、様々な取り組みを推進している。経営の基本的方向性として、「エネルギーの安定供給に尽くす」「カーボンニュートラルに積極果敢に挑戦する」「お客さまの多様なニーズに対応し、満足度の向上に尽くす」「地域社会の良き企業市民として社会的責任を果たす」「人を育み、人を大切にする」「積極的な事業展開と不断の経営効率化を通じて持続的成長を図る」の6つを位置付けている。
2025年度財務目標の達成に向けた具体的な計画と、2050年カーボンニュートラル実現に向けた長期的な計画として2022年3月に『おきでんグループ中期経営計画2025』を策定している。本計画では、当社グループを取り巻く経営環境の変化や、県内のエネルギー市場における厳しい環境下においても、当社グループが強固な経営基盤を構築し、将来にわたり持続的な成長を成し遂げていくための経営の方向性をとりまとめ、業務効率化とビジネス連携によって新たな価値の創造・競争力の強化を図る「おきでん.COM」の考え方のもと、「トップラインの拡大」、「攻めの効率化」、「カーボンニュートラルへの挑戦」の3つの方向性を推進することで、お客さまにエネルギープラスαの新たな価値を提供していく。
今後も当社グループが持続的に成長発展していけるよう、様々な経営課題の解決や財務目標の達成、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、グループ一丸となって果敢に挑戦していく。
当社グループは、2022年度の大幅赤字に伴い財務基盤が大きく毀損したことから、2025年度までの3年間をリカバリー期間とし、収益性及び資本効率の向上に係る財務目標を、以下のとおり設定している。
※1 ROE = 親会社株主に帰属する当期純利益 ÷ 自己資本〔期首・期末平均〕
※2 将来的には30%を目指していく。
当社グループを取り巻く環境は、国際エネルギー市場の混乱による先行き不透明な燃料価格の動向等、引き続き厳しい状況に置かれている。加えて、成長志向型カーボンプライシング構想等のGX推進に向けた政策の検討が加速しており、エネルギー事業の転換期に差し掛かっている。
こうした中でも、当社は、中期経営計画に基づく様々な取り組みを加速させ、業績のV字回復を目指すとともに、大きく毀損した財務基盤の早期回復および資本収益性の向上を目指す。また、カーボンニュートラルへの挑戦、人財戦略の推進などの取り組みを着実に進めていく。
[財務基盤の回復と中期経営計画の取り組みの加速]
当社グループは、2022年に「おきでんグループ中期経営計画2025」を策定し、目指すべき姿の実現、財務目標の達成に向けて、「トップラインの拡大」、「攻めの効率化」、「カーボンニュートラルへの挑戦」を推進し、エネルギープラスαの新たな価値の提供に取り組んでいる。
このような中、ウクライナ情勢に伴う資源価格の高騰などにより、2022年度は直近10年分の利益に相当する損失を計上することとなり、2023年度には43年ぶりの規制料金値上げを行った。
今後は、財務基盤の回復に注力するリカバリー期間(~2025年度)において、毀損した財務基盤の回復および資本収益性の向上などに取り組み、自己資本比率25%を目指す。
[カーボンニュートラルへの挑戦]
2050年のカーボンニュートラル達成に向けては、『沖縄電力CO2排出ネットゼロロードマップ』に掲げたCO2排出削減率の目標値を深掘りし、「沖縄エリアのジャスト・トランジション(公正な移行)※」の目標として、2030年度△30%(2005年度比)を目指す。非常に厳しいチャレンジであるが、沖縄エリアの特殊性を踏まえつつ、電力の安定供給を大前提に「再エネ主力化」および「火力電源のCO2排出削減」の2つの方向性に基づく施策を推進し、電化促進と合わせて沖縄のカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを確りと進めていく。
※国一律の目標値ではなく、再生可能エネルギー等のゼロエミッション電源が限られる沖縄エリアの特殊性を踏まえた、地域経済へ大きな影響を与えることのない独自の道筋のこと。
[人財戦略の推進]
2023年11月に新たに策定した「人財戦略」では、社員が安心してイキイキと働ける環境のもと、多様な人財一人ひとりが「自身のありたい姿」に向かって自分らしくその能力を伸ばしながら挑戦し、組織としてその力を最大限発揮できる施策の展開を図る。
また、従業員の健康は経営の根幹であり、会社にとってかけがえのない貴重な財産と位置づけ、代表取締役社長を最高責任者とした健康経営推進体制を構築している。従業員が心身ともに健康で意欲と夢をもって働くことで、個々の生活や仕事の質を高め、企業生産性や価値向上に繋げることを目的に、各種施策を通じて健康経営の推進に取り組んでいる。
社員という個、会社という組織、そして環境のそれぞれを強化し、社員力・組織力を最大化するとともに、今後、様々な施策を展開しながら人的資本経営を実践していく。
※人財戦略の詳細は以下を参照。
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/news_release/2023/231114.pdf
[災害時における迅速な復旧に向けて]
2023年度は、2023年8月に襲来した台風6号や2024年1月に石川県能登地方で発生した能登半島地震などの自然災害の発生により、当社の基本的使命であるエネルギーの安定供給を改めて強く認識した。当社はいかなる状況においても、当社事業に従事する者の安全確保を最優先に、供給設備の管理・保全を徹底し、その実現に全力を注がなければならない。災害時における迅速な復旧に向けては、日頃からの備えや訓練を行うとともに、部門や会社の枠を超えた災害対策の強化に引き続き取り組んでいく。
当社グループは、これらの取組みを通し、基本的使命であるエネルギーの安定供給を実現するとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図っていく。
※当社グループの中期経営計画および統合報告書の詳細は以下を参照。
「おきでんグループ中期経営計画2025」
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/ir/management/plan_2025.pdf
「おきでんグループ統合報告書2023」
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/active/csr/new/2023/report2023_02.pdf
「2024年度経営方針」
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/ir/management/2024-manage_all.pdf
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)サステナビリティに関する考え方及び取組
当社は取り巻く経営環境のもと、経営理念に基づき経営上の様々な課題を認識し、その解決や目指すべき姿の実現に向けて策定した方針や戦略に基づき日々事業活動を行っている。
事業活動を通じたサステナビリティに関する様々な取り組みについては、取締役会や各種委員会などにおいて、審議・決定を行っている。また、様々なリスクに対しては、社内における「リスクマネジメント基本要領」に基づき、各部門においてリスク特定、分析、評価を行った上で、整備した対応マニュアル等の有効性を評価し、必要に応じて制改定を行っている。その取り組み状況と顕在化したリスクへの対応については、執行役員会にて報告している。
更に、ステークホルダーとの対話などにより得られた当社への期待や要望などについては、経営層も含めて適宜把握することで、日々取り組みにおける改善を行っている。
今後も「地域とともに、地域のために」のコーポレートスローガンのもと、社会的責任を果たしながら新たな価値を創造することで、持続可能な社会の実現に貢献していく。
(2)経営上の重要課題(マテリアリティ)
当社は、目指すべき姿の実現に向けて、経営理念やグループビジョン、取り巻く経営環境などを踏まえた「経営上の重要課題(マテリアリティ)」を特定した。
その解決に向けて、「おきでんグループ中期経営計画2025」に基づき、持続的な企業価値向上と社会課題の解決の両立に向けた取り組みを推進している。
※マテリアリティの詳細は「
「おきでんグループ統合報告書2023」
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/active/csr/new/2023/report2023_02.pdf
「2024経営方針」
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/ir/management/2024-manage_all.pdf


(3)気候変動等に対する取組
当社では、気候変動が事業にもたらすリスクと機会に適切に対応し、企業価値の向上に努めるとともに、ステークホルダーの皆さまとともに持続的発展が可能な社会の実現に貢献すべく、TCFD提言の枠組みに基づいた情報開示を推進している。
※気候変動等に対する取組事項は「おきでんグループ統合報告書2023」掲載ベースで記載しており、関係データは2022年度実績に基づくものである。
※なお、この中で記載する将来情報は、不確実な要素が多いなか、気候関連シナリオ等を参照し、当社として考え得る事象・影響度を整理したものであり、将来見通しを示したものではない。
①ガバナンス
気候変動への対応を重要な経営課題と位置づけ、社長を委員長とする「カーボンニュートラル推進委員会」を定期的に開催し、気候変動に係る諸施策および諸問題について審議し、取り組み等の改善・充実化を図っている。審議結果ならびに管理状況については取締役会に報告するほか、気候変動に関する重要課題が発生する際には適宜報告し、確認を受けることとしている。
「カーボンニュートラル推進委員会」で審議した重点取組み方針は経営計画、経営方針に反映され、取締役会にて審議、決定することとし、各事業部門は事業計画の執行状況を取締役会に報告している。

②リスク管理
リスク管理については、毎年、リスクの未然防止およびリスク発生時の迅速な対応を目的にリスクマネジメントの状況を確認している。また気候変動リスクを含めた業務上や財務上のリスクについては別途、関連部門と調整の上、確認を行っている。特に、設備保有部門で気候変動に伴い発生する物理的なリスクを重要なリスクと想定しており、設備保護、従業員の安全確保の観点から評価している。リスク対応マニュアルなどの規定文書を定めるとともに、台風や津波などに起因する災害を想定した訓練を行う等、リスク発生に備えるとともに、定期的に防災計画の有効性の評価・分析、リスク低減に向けた対応策等を検討し、適切に対応している。リスクマネジメントの状況については、取締役会へ適宜報告している。
③戦略
[シナリオの参照]
将来の気候変動に係るリスク・機会を把握するため、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)などが示す複数の気候関連シナリオなどを参照し、気温上昇を2℃以下に抑えるために必要な対策が講じられる場合の「2℃シナリオ」、2℃シナリオよりさらに厳しい対策が求められる「1.5℃シナリオ」、現状を上回る気候変動対策を取らず低炭素化が進まない「4℃シナリオ」を参照し、気候関連リスクと機会について考え得る事象を整理している。
※気候シナリオ参照の詳細は「
「おきでんグループ統合報告書2023」
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/active/csr/new/2023/report2023_01.pdf
[気候変動に係るリスクと機会の整理]
気候変動に係る主なリスクと機会について下表のとおり分類した。


※発現時期について、「短中期は2030年まで」、「長期は2050年まで」とした。
※影響度について、「大:事業が停止、もしくは大幅に縮小または拡大するほどの影響」、「中:事業の一部に影響」、「小:軽微な影響」とした。
※本表の記載は、不確実な要素が多いなか、当社として考え得る事象・影響度を整理したものであり、将来見通しを示したものではない。
④指標と目標
当社は、2020年12月に「沖縄電力ゼロエミッションへの取り組み~2050 CO2 排出ネットゼロを目指して~」を公表し、今後30年間を見据えたロードマップに基づき「再エネ主力化」、「火力電源のCO2 排出削減」の2つの柱に基づく施策を推進している。
2022年10月には、従来の目標(△26%)から深掘りした『2030年度△30%(2005年度比)』を野心的な目標として目指すこととし、ロードマップを更新した。
ロードマップに示した各種カーボンニュートラルに向けた施策の取り組みを含めた最大限の努力をもって「沖縄エリアのジャスト・トランジション」を加速していく。
・2030年度にCO2排出量を2005年度比30%削減
・2030年度に再エネ導入+10万kW
※「沖縄エリアのジャスト・トランジション」、「2030年度 野心的な目標の深掘り」、「2050 CO2 排出ネットゼロに向けた取り組み ロードマップ」については「
[GHG排出量]
サプライチェーンを通じた2022年度温室効果ガス排出量(スコープ1,2,3)については、「
「おきでんグループ統合報告書2023」
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/active/csr/new/2023/report2023_01.pdf
(4)人財戦略の策定
社員が、その能力の最大限に発揮できる環境を構築することで「社員力・組織力の最大化」を図り、それによって生み出される新たな価値を源泉として各経営目標を達成していくため、2023年11月に新たに人財戦略を策定している。
人財戦略では3つの方向性(環境、個、組織)を軸に社員力・組織力の最大化を図る。「環境をつくる」では、社員と組織がそのパフォーマンスを最大限発揮するための仕組みを構築し、「個をつくる」では、社員の成長意欲を喚起し「行動変容」が促され、価値「創造」が加速化する仕組みを構築、「組織をつくる」では、「個」の能力を最大化させるために価値「共創」の仕組みを構築していく。
これら3つの方向性を有機的に連携させながら人的資本経営を展開していく。
[人財戦略の全体図(概念図)]

(参考リンク)
「
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/news_release/2023/231114.pdf
「
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/ir/management/plan_2025.pdf
(5)多様性の確保についての考え方
当社グループの「目指すべき姿」の実現に向け、性別等の属性による制限を設けることなく中核人財を登用していく方針としている。
女性の中核人財への登用については、女性が管理職として活躍できる雇用環境の整備を行うための行動計画を策定し、当該計画のなかで管理職に占める女性比率を2026年3月末までに2020年3月末の1.5倍とする目標を設定しており、その実現に向け取り組んでいる。
(管理職に占める女性労働者の割合)
2020.3月末(実績) 3.8%
2024.3月末(実績) 4.6%
また、技術採用者に占める女性割合について、当社としては20%を目標に取り組んでいく。
(技術採用者に占める女性労働者の割合)
2023.3月末(実績) 16.7%
2024.3月末(実績) 5.9%
(参考リンク)
「
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/corporate/employer/210401.pdf
「
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/news_release/2023/231114.pdf
(6)安全・健康両面の保持増進
当社の事業運営に関わる全ての者の「安全」が最優先事項であることを強く認識し、安全確保の徹底に努めている。
「従業員の健康は、経営の根幹であり会社にとってかけがえのない貴重な財産」という方針の下、健康で活き活きと働くことができる職場環境を目指しており、「自分の健康は自分で守る」を基本目標に、従業員が心身ともに健康でその能力を十分に発揮できるよう健康支援策の推進を図り、従業員一人ひとりが自らの健康づくりに主体的に取り組めるよう「健康経営」を推進している。
当社では、経営トップである代表取締役社長を健康経営推進の最高責任者とし、健康経営推進責任者の担当執行役員と事務局である総務部安全健康グループが産業医と連携して、安全衛生委員会等によりPDCAサイクルを回し、健康保険組合と相互協力しながら、日々の健康経営推進施策に取り組んでいる。今後も、従業員とその家族の健康保持・増進とともに、働きやすい従業員の職場環境づくりに努めていく。
[健康経営の体制図]

(参考リンク)
「健康経営の取り組み」の詳細
当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、以下のようなものがある。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
電力システム改革については、電力広域的運営推進機関の設置、小売全面自由化に続き、2020年4月には送配電部門の一層の中立化を図るための法的分離が実施されているが、当社は小売電気事業、発電事業を営むことができる「認可一般送配電事業者」に位置付けられることにより、引き続き発送電一貫体制を維持している。
一方、国のエネルギー政策やそれに伴う電気事業に係る制度変更、環境規制の強化などの動向によって、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社グループは、総合エネルギー事業をコアに、建設・不動産業、情報通信業、生活・ビジネスサポート事業を展開している。
当社グループの業績は、他事業者との競合の進展など事業環境の変化により、影響を受ける可能性がある。
当社グループの中核事業である電気事業において、販売電力量は気象状況(気温や台風等)や景気動向、省エネルギーの進展、他事業者との競争状況などによって変動することから、当社グループの業績はそれらの状況により影響を受ける可能性がある。
電気事業における主要な火力燃料は、石炭・重油・LNGであるため、燃料価格及び外国為替相場等の変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
ただし、バランスのとれた電源構成を目指すこと等によって燃料価格変動のリスク分散に努めている。
燃料価格及び外国為替相場の変動を電気料金へ反映させる「燃料費調整制度」については、当社グループの業績への影響を一定程度緩和しているものの、燃料価格等の著しい変動を全て織り込むことができない場合がある。
2022年度は、ウクライナ情勢に起因する燃料価格の高騰や円安の進行による影響により、燃料費調整制度において平均燃料価格が上限を大きく超えることになり、上限を超える部分を料金に反映できていなかった。こうした状況を踏まえ、電力の安定供給を継続していくために、規制部門における電気料金について値上げを申請し、国の審査を経て、2023年6月から新料金を実施している。また、自由化部門においては2023年4月より電気料金の見直しを行っている。
当社グループの有利子負債残高は、2024年3月末時点で2,958億円であり、今後の市場金利動向や格付けの変更による調達金利の変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
ただし、有利子負債残高の大部分を固定金利で調達していることから、金利変動による業績への影響は限定的と考えられる。
また、当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されている。割引率や運用利回りの変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社は、沖縄振興特別措置法により、沖縄における電気の安定的かつ適正な供給を確保するため、資金の確保等に関する特別措置を受けており、沖縄振興開発金融公庫から低金利による融資を受けている。
また、当社は、税法上の特別措置(固定資産税の軽減、石炭およびLNGに係る石油石炭税の免除)を受けているが、これによる特別措置額は、お客さまに還元されている。
当該制度が撤廃された場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社グループは、大規模な地震・津波、台風等の自然災害による設備被害や設備事故等のトラブルが発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
このような自然災害・トラブル発生のリスクを軽減するため、設備の点検・修繕・改良を計画的に実施し、設備の信頼性維持・向上に取り組み、エネルギーの安定供給に努めている。
また、被災時の早期復旧に備え、大規模地震・津波等により電力設備等が甚大な被害を受けたとの想定のもと、全社規模での総合防災訓練の実施および行政機関が実施している防災訓練にも参加している。
当社グループは、事業を行うためにお客さまの個人情報(特定個人情報を含む)を取得・管理しており、漏えい事故が発生した場合には、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当該リスクに対しては、以下の対策を図っている。
・個人情報の保護に関する基本方針(プライバシーポリシー)を定め従業員へ周知するとともに、ホームページへの掲載を行っている。
・適切な情報管理を行うために、個人情報保護に関する規定を制定し、社内体制を整備している。
・eラーニングによる研修の実施や、個人情報保護上問題のある事例の社内報への掲載等を通して個人情報保護に対する理解度の向上や意識の高揚に努めている。
なお、リスクが顕在化する可能性の程度や時期については、リスクの性質上、合理的に予見することが困難であるため、記載していない。
企業倫理に反する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当該リスクに対しては、以下の対応を図っている。
・社長を委員長とする「企業倫理委員会」を設置し、企業倫理に関する規程の制定や、企業倫理に関する活動計画の策定などを行っている。
・企業倫理に関する活動として、社長メッセージの発信や、法令遵守・企業倫理に関する講話等の開催、問題事例の社内報への掲載、協力企業に対する啓発活動等を実施し、企業倫理の徹底に努めている。
・また、企業倫理に関する事項の通報・相談を受け付ける「企業倫理相談窓口」を社内・社外に設置し、役職員に対する継続した周知活動を行うとともに、通報者の保護の徹底を図っている。
なお、リスクが顕在化する可能性の程度や時期については、リスクの性質上、合理的に予見することが困難であるため、記載していない。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
2023年度の沖縄県経済は、人流回復に伴う需要の増加により、個人消費関連や観光関連の回復が顕著となり、緩やかに拡大する動きとなった。
このような状況の中で、当連結会計年度の収支については、売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ128億76百万円増(5.8%増)の2,363億94百万円となった。
営業費用は前連結会計年度に比べ390億11百万円減(14.3%減)の2,329億12百万円となった。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ518億88百万円増の34億81百万円となった。
また、経常利益は513億67百万円増の25億68百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は478億48百万円増の23億91百万円となった。
セグメントの業績は次のとおりである。
電気事業
売上高は、電気料金改定などにより、前連結会計年度に比べ122億26百万円増(5.7%増)の2,256億9百万円となった。
一方、営業費用は、具志川火力発電所の石炭揚炭設備損壊に伴う固定資産除却費の増加はあったものの、燃料費や他社購入電力料の減少などがあり、前連結会計年度に比べ393億84百万円減(14.9%減)の2,245億81百万円となった。
この結果、営業利益は516億10百万円増の10億27百万円となった。
建設業
売上高は、民間工事の減少があるものの、グループ内向け工事の増加などにより、前連結会計年度に比べ4億17百万円増(1.7%増)の246億17百万円、営業費用は前連結会計年度に比べ6億9百万円増(2.7%増)の236億9百万円となった。
この結果、営業利益は1億92百万円減(16.1%減)の10億8百万円となった。
その他
売上高は、グループ内向け工事の増加やエネルギーサービスプロバイダ事業(ESP事業)の増加などにより、前連結会計年度に比べ28億84百万円増(9.0%増)の348億77百万円、営業費用は前連結会計年度に比べ22億77百万円増(7.5%増)の326億66百万円となった。
この結果、営業利益は6億7百万円増(37.9%増)の22億11百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ636億91百万円増の256億28百万円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ64億84百万円減(16.8%減)の320億円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ655億円減(87.3%減)の95億43百万円の収入となった。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ31億70百万円増(16.8%増)の220億40百万円となった。
当社グループの主たる事業である電気事業セグメントのみを記載している。
需給実績
(注) 1.自社の発電電力量は、送電端の電力量を記載している。
2.販売電力量の中には、建設工事用電力及び事業用電力(6百万kWh)を含んでいる。
販売実績
(注) 「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」及び「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス価格激変緩和対策事業」、並びに沖縄県による「沖縄電気料金高騰緊急対策事業」により、国と沖縄県が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っている。この結果、「電灯料」が17,441百万円減少、「電力料」が11,873百万円減少しており、その原資として受領する補助金を「電気事業雑収益」に計上している。
資材の実績
石炭、燃料油及びLNGの受払実績
当連結会計年度の販売電力量は、電灯については、節電影響や他事業者への契約切り替えなどによる需要減により前連結会計年度を下回った。電力については、節電影響や産業用における需要減があったものの、業務用において他事業者から当社への契約切り替えや、新型コロナウイルスの影響からの回復による需要増により前連結会計年度並みとなった。
この結果、電灯と電力の販売電力量合計は、前連結会計年度に比べ1.5%減の69億65百万kWhとなった。
当連結会計年度の経営成績は、売上高については、電気事業において、電気料金改定などにより、前連結会計年度に比べ128億76百万円増(5.8%増)の2,363億94百万円となった。営業費用については、電気事業において、具志川火力発電所の石炭揚炭設備損壊に伴う固定資産除却費の増加はあったものの、燃料価格の下落などによる燃料費や他社購入電力料の減少などがあり、前連結会計年度に比べ390億11百万円減(14.3%減)の2,329億12百万円となった。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ518億88百万円増の34億81百万円、経常利益は前連結会計年度に比べ513億67百万円増の25億68百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ478億48百万円増の23億91百万円となった。
当連結会計年度の財政状態は、資産については、電気事業固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ181億24百万円増(3.8%増)の4,986億71百万円となった。負債については、有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ137億89百万円増(3.8%増)の3,798億40百万円となった。純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益の増加などにより、前連結会計年度末に比べ43億35百万円増(3.8%増)の1,188億30百万円となった。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末から増減なしの23.4%となった。
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動については、税金等調整前当期純利益の増加などにより、前連結会計年度に比べ636億91百万円増の256億28百万円の収入となった。投資活動については、固定資産の取得による支出の減少などにより、前連結会計年度に比べ64億84百万円減(16.8%減)の320億円の支出となった。
この結果、差し引きのフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ701億75百万円減の63億72百万円のマイナスとなった。
財務活動については、有利子負債の増加などにより、95億43百万円の収入となったことから、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ31億70百万円増(16.8%増)の220億40百万円となった。
当社グループの資本の財源については、電気事業等を行うための設備投資と債務償還などに必要な資金を、自己資金に加えて、金融機関からの長期借入や社債発行により調達している。また、短期的な運転資金を銀行借入やコマーシャル・ペーパー発行により調達している。資金の流動性については、各種計画に基づき、適時に資金繰計画を作成・更新するほか、当座借越枠の設定やコミットメントラインの取得により確保している。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、重要な項目は以下のとおりである。
(繰延税金資産の回収可能性)
将来の課税所得の見積りについては、現時点で利用可能な情報に基づいた最善の見積りを行っているが、予想し得ない要因や変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性の判断を見直す可能性がある。
(退職給付に係る負債及び資産)
数理計算上の仮定は、経営者の最善の見積りと判断によって決定しているが、将来の不確実な経済条件の変動の結果や関連法令の改正・公布によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性がある。
なお、当社グループは、収益性及び資本効率の向上に係る財務目標を設定している。
当社は、経営効率化を最大限織り込んだうえで、43年ぶりの規制料金値上げを含むすべての電気料金の見直しを行った。財務基盤の回復に注力するリカバリー期間(~2025年度)において、毀損した財務基盤の回復および資本収益性の向上などに取り組み、自己資本比率25%を目指していく。
また、グループの潜在能力を引き上げながらグループ一丸となって「トップラインの拡大」、「攻めの効率化」の取り組みを加速させ、当社の基本的使命である安定供給および業績のV字回復の実現を目指すと共に、カーボンニュートラルへの挑戦、人財戦略の推進などの取り組みを着実に進め、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図っていく。
該当事項はない。
当社グループの研究開発活動は、電気事業に関わる分野を中心に、主として当社が担当し実施している。
当社は、「夢と活力ある沖縄の未来づくりに貢献する」ために、持続的成長を図る研究開発および新しい価値の創造を目指した研究開発を推進する。
研究の実施にあたっては、限られた資源を有効に活用するとともに、公的研究機関をはじめ、電気事業者各社、(一財)電力中央研究所等、社外機関と積極的に情報交換・協調・連携を図り、国等の補助金の活用や他研究機関との共同研究を行うこと等により、より効率的かつ効果的な研究開発を目指している。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
主要研究開発は次のとおりである。
・系統安定化に関する調査研究(再エネ主力化への貢献)
・来間島マイクログリッド実証研究
・(NEDO事業)再エネ導入地域グリッドの実現に向けた課題解決に関する研究開発 等
・CO2削減技術調査研究
・CO2フリー燃料(水素・アンモニア等)の利用技術調査
・次世代太陽光発電導入可能性に関する調査研究 等
・総合エネルギーサービスに繋がる調査研究(農業電化)
・デジタル技術を活用した新たなエネルギービジネスに関する研究
・電力需給調整力に資する小規模型植物工場の運営に関する研究
・ブロックチェーン技術を活用した電力P2P可能性評価に関する研究 等
・新技術、新規事業等に資する研究開発