第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、人と環境の共生を目指し、建設基礎技術で豊かな社会創りに貢献するため、社員一人ひとりの可能性を引き出し、顧客そして社会から信頼される技術者集団を目指すこととしている。

 

(2)目標とする経営指標および中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、今後持続的に成長できる会社グループとして生き残っていくために、中長期的には、技術の伝承と生産性の向上、働き方改革の推進を図り、数値目標達成のため、全社を挙げて最大限の業績の進展に努めていく。

 ①目標と重点施策

  (a)技術の伝承と生産性の向上

   ・階層別技術教育の強化と高齢化に対する技術開発による技術の伝承を図る。

   ・需要を先取りした技術開発への取組み強化を図る。

  (b)社内業務・社内システムの見直しによる働き方改革の推進

   ・支店、現場における事務処理業務の簡素化を図る。

   ・本社経理事務の自動化による業務形態の変革を実現する。

 ②数値目標(令和7年3月期)

  受注高               23,100百万円

  売上高               27,800百万円

  営業利益               1,400百万円

  経常利益               1,578百万円

  親会社株主に帰属する当期純利益    1,015百万円

 

(3)対処すべき課題

 今後の見通しについては、公共投資は、引き続き底堅く推移することが見込まれ、民間設備投資においても、堅調な企業収益を背景に持ち直しの傾向が予測される。一方、建設技能労働者不足に加え、建設資材価格や労務費の高騰並びに時間外労働規制の適用による影響等、業界を取り巻く環境は、厳しさを増していくものと予測される。一方、米国現地法人においては、新年度も引き続き、大型案件工事が継続することから、売上高は大幅に増加する見通しである。

 以上、内外の状況を慎重に考慮した上で、当社グループの数値目標の達成に向け、重点施策に従って、全社を挙げて取り組んでいく所存である。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)基本的な考え方

 当社にとってのサステナビリティは、当社の掲げる経営理念に基づき「人と環境の共生をめざし、当社の有する建設基礎技術を最大限に発展・活用するという当社の企業価値」と「豊かな国土、環境創りに貢献するという社会的存在価値」を継続的に成長させることを目的としている。

 

(2)ガバナンス

 当社のサステナビリティを実現するため、各部署のサステナビリティ担当による進捗状況の定期的な報告を取締役会で行っていく。

 

(3)戦略

①人材(人的資源)への取組

a.人材の多様性

 当社グループは、今後の事業継続において、人材の確保が非常に重要であるという認識のもと、社員の年齢構成の変化や業態の変化に対応するために、様々な職歴を持つ中途採用者、勤勉で技術力を求めて来日する外国人または日本国内で建設、土木業に興味を持つ女性の採用、起用を積極的に行う。

 現在、米国現地法人や本社の技術系社員として外国人を採用している。これらの人材は、今後その能力を活かして所属部署の戦力として活躍する人材であり、近い将来に管理職への登用も期待できる。女性社員は、当社グループの業種から全社員に占める比率は低い水準であるが、今後は技術系の女性社員の採用・育成に取組む。

b.人材育成

 当社グループは、社員の成長をサポートするため、新入社をはじめ中堅社員・幹部社員にも定期的に社内教育を実施し、技術の向上や新知識の習得に努めている。また、社員のモチベーション向上を目指して、様々な表彰制度を設けている。

c.人権尊重

 当社グループは、法令、社内規則及び企業倫理に違反する行為を抑制・防止・是正するため、内部通報制度を設けている。また、定期的に内部通報に関する周知および研修を行っている。

d.健全な職場環境

 当社グループは、社員の多様性を尊重しながら受け入れ、健康で明るく、仕事も生活も充実した毎日を送ることができるよう、社員一人ひとりが元気に働ける職場環境の実現を目指している。業務の簡素化やワークライフバランスに配慮した各種制度の整備(育児・介護に関する制度、定額残業制の導入等)、長時間労働の削減対策、有給休暇取得の奨励等の取組を進めている。

②地球環境への取組

 気候変動等に伴う地球環境問題への取組として、当社グループの主要事業である土木事業、地盤改良技術を通じて、地域環境整備の一助となる取組を積み重ね、地球環境に貢献できる新しい工法の研究を進めている。

 

(4)リスク管理

 サステナビリティに関する基本方針や重要課題、さらには重要課題の監視、管理等のため、サステナビリティ関連のリスクを機会について分析し、対応策について検討を行う。リスクと機会については、今後各部署のサステナビリティ担当にて定期的に確認を行い、必要に応じて重要課題及び指標や目標を見直すなど適切に対応する。

 

(5)指標および目標

 次の指標の実績は、提出会社のものを記載しており、具体的な目標は策定次第公表する。

指  標

実績(当連結会計年度)

採用した労働者に占める女性労働者の割合

 8.4

女性労働者の育児休業後の復帰割合

取得中

管理職に占める女性労働者の割合

 0.9

男性労働者の育児休業取得率

50.0

労働者の男女の賃金の差異

全労働者

62.2%

正規雇用労働者

68.3%

パート・有期労働者

63.7%

 (注)人材育成・社内環境整備は連結子会社各社で行われているが、規模・制度の違いから一律に記載せず、人材の大多数が所属する提出会社単体について記載している。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1)法的規制に関するリスク

 当社グループの国内事業は、売上高の約6割(令和6年3月期63.7%)が公共工事である。公共工事への参加を希望する場合は、一般競争(指名競争)参加資格審査申請書の提出と厳格な入札執行が要求されており、これらの手続きにおいて虚偽の申請や不正な入札行為を行った場合は、建設業許可の取消し、営業の停止や指名停止の処分が科せられ、当社グループの経営計画に多大な影響を及ぼすことになる。

①一般競争(指名競争)参加資格審査申請

 公共工事の入札参加を希望する場合は、経営事項審査の総合評定値通知書を添付のうえ、一般競争(指名競争)参加資格審査申請書を関係省庁に提出し、認定を得なければならない。

 この際、経営事項審査申請内容に虚偽の記載があった場合は、行政処分(建設業許可の取消し、営業の停止)や指名停止処分が科せられる。また、一般競争(指名競争)参加資格審査申請においても、虚偽の記載等があった場合は、競争参加資格の認定は受けられず、認定後に発覚した場合には取消されることがある。

 

②入札行為

 独占禁止法違反や官製談合等の不正な入札行為を行った場合は、公正取引委員会から排除勧告が行われる。排除勧告を受けた場合は、営業禁止や営業停止の行政処分の他、国および地方自治体から指名停止の処分が科せられる。

 

(2)公共工事依存に関するリスク

 当社グループの国内事業は、売上高に占める公共工事の割合が非常に高いため、その業績は、国および地方自治体の財政事情に左右される公共投資の規模に大きな影響を受ける。公共投資が削減された場合、さらに同業他社との過当な価格競争が余儀なくされ、その結果、当社グループの受注高、売上高、利益が減少するリスクがある。

 

(3)技術水準維持に関するリスク

 当社グループは、常に仕事の量と質に見合った組織と人員体制を指向していく必要がある。このような中で、技術水準を維持するためには、職員一人一人に高い技能、技術力および管理能力が求められる。特に工事品質の保持とオリジナル工法の技術力の向上と維持は、当社グループにとって重要な課題であり、業績に大きな影響を及ぼすので、技術者の育成が重要であると考えている。

 

(4)工事施工に関わるリスク

 工事施工中における人的・物的事故あるいは災害の発生や工事引渡後における手直し工事の発生等、予期せぬ費用

の発生により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(5)不採算工事の発生に関わるリスク

 工事施工段階での想定外の追加原価等の発生により、不採算工事が発生した場合には、当社グループの業績は影響

を受ける可能性がある。

 

(6)貸倒リスク

 当社グループは、売上高の約9割(令和6年3月期96.5%)が下請工事であるため、公共工事が縮小された場合にともなう競争激化や、金融機関の不良債権処理圧力等の影響を受けた発注ゼネコン(地場ゼネコン含む)の倒産による貸倒リスクがある。

 

(7)海外事業リスク

 当社グループは今後の海外工事への参入を図るため、その拠点として米国に子会社を設立している。今後、海外市場において予想を超えた為替相場の変動や海外工事を行う国の政治、経済、法制度等に著しい変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(8)自然災害やパンデミックに関わるリスク

 大規模な自然災害、新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエンザ等のパンデミックにより、政治、経済環境

に甚大な制限が課される場合、消費市場の停滞等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(9)不安定な国際情勢や円安の影響について

 不安定な国際情勢や円安の影響等により、資源価格やエネルギー価格の高騰が続いている。この影響が長期化した場合は、資材価格やエネルギー価格等の高止まりにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後、各種政策の効果もあって、景気は緩やかに回復基調で推移した。一方、不安定な国際情勢や円安の影響等により、資源価格やエネルギー価格の高騰が続き、世界経済は依然として先行き不透明な状況が続いている。

 この間、国内建設業界においては、国土強靭化の基本方針に沿った施策が進められ、関連する公共投資は底堅く推移したものの、建設資材価格や労務費の高騰に加え、建設業従事者の高齢化と人材確保の問題などにより、業界を取り巻く環境は、厳しい状況が続いている。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなった。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の総資産の残高は、328億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億4百万円の増加となった。

 当連結会計年度末の負債の残高は、108億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億90百万円の増加となった。

 当連結会計年度末の純資産の残高は、219億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億13百万円の増加となった。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の業績については、受注高は、国内では、着工時期の先送りや受注競争の激化により、一部の支店では計画未達となったが、北海道内の高速道路の大型補修工事等の受注により、計画を上回る結果となった。また、米国現地法人においても、LNG精製プラント基地地盤改良工事およびダムの地盤改良工事の大型案件の受注により、計画を大幅に上回る結果となった。

 その結果、国内・海外の受注高合計は、前年同期比118億58百万円(56.3%)増の329億34百万円となった。その主な内容は、「法面保護工事」が33億8百万円(前年同期比19.8%増)、「アンカー工事」が17億69百万円(前年同期比30.1%減)、「重機工事」が188億76百万円(前年同期比153.8%増)、「注入工事」が38億16百万円(前年同期比3.4%減)である。

 売上高については、国内では、首都圏エリアでの大型電力関連工事が終息を迎えたものの、北海道内の高速道路の大型補修工事が順調に進捗したことにより、ほぼ計画通りとなった。また、米国現地法人においても、大型案件であるLNG精製プラント基地地盤改良工事が順調に進捗したこと、およびダムの地盤改良工事も着工したことから、国内同様にほぼ計画通りとなった。

 その結果、売上高は、全体で前年同期とほぼ同額の235億75百万円となった。その主な内容は、「法面保護工事」が29億15百万円(前年同期比13.1%減)、「アンカー工事」が31億68百万円(前年同期比5.5%減)、「重機工事」が89億49百万円(前年同期比27.8%増)、「注入工事」が36億81百万円(前年同期比29.1%減)となっている。

 利益面では、国内においては、北海道内の高速道路の補修工事が順調に進捗したため、計画を大幅に上回る結果となった。また、米国現地法人においても、工事が順調に進捗したことから、営業利益として37百万円を計上した。

 その結果、連結営業損益は10億12百万円の利益となり(前年同期は7億78百万円の営業利益)、経常損益については14億1百万円の利益となった(前年同期は10億8百万円の経常利益)。親会社株主に帰属する当期純

損益については、9億32百万円の純利益となった(前年同期は5億26百万円の純利益)。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1億19百万円の減少となり、56億32百万円となった。

 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、16億51百万円の収入(前連結会計年度は9億69百万円の収入)となった。

 これは、売上債権の増加額6億90百万円(前連結会計年度は3億93百万円の支出)、法人税等の支払額3億67百万円(前連結会計年度は4億87百万円の支出)、未成工事支出金の増加額2億36百万円(前連結会計年度は79百万円の支出)、受取利息及び受取配当金1億88百万円(前連結会計年度は1億73百万円)等により資金が減少する一方で、税金等調整前当期純利益13億80百万円(前連結会計年度は10億11百万円)をはじめ減価償却費10億16百万円(前連結会計年度は9億96百万円)、仕入債務の増加額4億58百万円(前連結会計年度は5億44百万円の収入)、賞与引当金の増加額2億16百万円(前連結会計年度は1億37百万円の支出)等により資金を獲得したことが主な要因である。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、14億26百万円の支出(前連結会計年度は9億45百万円の支出)となった。

 これは、主として有形固定資産の取得による11億28百万円の支出(前連結会計年度は9億48百万円の支出)、長期性預金の預入による5億円の支出と利息及び配当金の受取額1億88百万円(前連結会計年度は1億73百万円の収入)、保険積立金の解約による収入1億54百万円等によるものである。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、3億83百万円の支出(前連結会計年度は2億76百万円の支出)となった。

 主な支出は、配当金の支払額2億59百万円(前連結会計年度は2億76百万円の支出)及びリース債務の返済による支出1億14百万円(前連結会計年度は83百万円の支出)等があったためである。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

区 分

前連結会計年度

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 令和5年4月1日

至 令和6年3月31日)

(百万円)

建設工事

20,203

32,075

(58.8%増)

建設コンサル・地質調査等

872

859

(1.5%減)

合 計

21,076

32,934

(56.3%増)

 

b.売上実績

区 分

前連結会計年度

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 令和5年4月1日

至 令和6年3月31日)

(百万円)

建設工事

22,723

22,414

(1.4%減)

建設コンサル・地質調査等

1,185

1,161

(2.0%減)

合 計

23,908

23,575

(1.4%減)

(注)1.当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載していない。

2.受注実績、売上実績とも「建設コンサル・地質調査等」には、前連結会計年度に不動産の賃貸収入として104百万円、当連結会計年度に不動産の賃貸収入として104百万円がそれぞれ含まれている。

3.最近2連結会計年度の主な相手先の売上実績に対する割合は次のとおりである。

相手先

前連結会計年度

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

当連結会計年度

(自 令和5年4月1日

至 令和6年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Bechtel Energy,Inc.

76

0.3

2,491

10.6

 

  なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。

(1)受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

前事業年度(自 令和4年4月1日 至 令和5年3月31日)

工種別

前期繰越工事高

(百万円)

当期受注工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成工事高

(百万円)

次期繰越工事高

(百万円)

法面保護工事

2,712

2,761

5,473

3,356

2,117

ダム基礎工事

441

817

1,258

1,060

198

アンカー工事

2,979

2,532

5,511

3,354

2,157

重機工事

1,505

5,230

6,736

5,053

1,682

注入工事

4,165

3,949

8,114

5,190

2,923

維持修繕工事

31

121

152

151

0

環境保全工事

152

201

354

283

71

その他土木工事

770

2,382

3,152

2,323

828

建設コンサル・地質調査

931

872

1,803

1,185

617

13,689

18,869

32,558

21,960

10,597

 

当事業年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)

工種別

前期繰越工事高

(百万円)

当期受注工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成工事高

(百万円)

次期繰越工事高

(百万円)

法面保護工事

2,117

3,308

5,425

2,915

2,509

ダム基礎工事

198

1,039

1,237

1,132

105

アンカー工事

2,157

1,769

3,926

3,168

758

重機工事

1,682

7,216

8,898

5,086

3,812

注入工事

2,923

3,816

6,739

3,681

3,058

維持修繕工事

0

486

487

283

203

環境保全工事

71

592

663

422

241

その他土木工事

828

2,186

3,015

1,859

1,156

建設コンサル・地質調査

617

859

1,477

1,161

315

10,597

21,274

31,872

19,711

12,161

 (注)1.賃貸収入等工事以外の売上は、「建設コンサル・地質調査」に含めている。

2.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。

3.次期繰越工事高は、(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。

4.「その他土木工事」は、一般土木工事、土留工事、推進工事、建築および造成地の基礎杭工事、地すべり防止工事、災害復旧工事等である。

5.「注入工事」は、地盤補強・止水のための都市部における薬液注入工事、老朽ため池の止水注入工事、トンネル裏込注入工事、管路・水路の充填・閉塞のグラウト工事等である。

6.「建設コンサル・地質調査」の[当期受注工事高][計][当期完成工事高]のそれぞれの欄には前事業年度に不動産の賃貸収入として104百万円、当事業年度に不動産の賃貸収入として104百万円がそれぞれ含まれている。

 

(2)受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は、特命と競争に大別される。

期別

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

96.1

3.9

100

当事業年度

(自 令和5年4月1日

至 令和6年3月31日)

95.8

4.2

100

 (注) 百分比は請負金額比である。

(3)完成工事高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

前事業年度

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

法面保護工事

2,371

984

3,356

ダム基礎工事

1,060

1,060

アンカー工事

2,232

1,122

3,354

重機工事

2,160

2,893

5,053

注入工事

1,376

3,814

5,190

維持修繕工事

96

55

151

環境保全工事

114

168

283

その他土木工事

1,324

998

2,323

建設コンサル・地質調査

1,006

178

1,185

11,743

10,216

21,960

当事業年度

(自 令和5年4月1日

至 令和6年3月31日)

法面保護工事

1,682

1,233

2,915

ダム基礎工事

1,132

1,132

アンカー工事

2,223

944

3,168

重機工事

2,427

2,658

5,086

注入工事

1,352

2,329

3,681

維持修繕工事

109

173

283

環境保全工事

343

78

422

その他土木工事

1,363

495

1,859

建設コンサル・地質調査

973

187

1,161

11,609

8,102

19,711

 (注)1.官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものが含まれている。

2.区分の建設コンサル・地質調査欄の民間には、前事業年度に不動産の賃貸収入として104百万円、当事業年度に不動産の賃貸収入として104百万円がそれぞれ含まれている。

3.完成工事のうち主なものは、次のとおりである。

前事業年度の完成工事のうち請負金額2億円以上の主なもの

清水建設・株木建設共同企業体

 

:東海第二発電所 緊急時対策所液状化対策工事(超多点注入工法)

大成建設(株)

:(仮称)内神田一丁目計画

清水建設・株木建設共同企業体

:東海第二発電所 緊急時対策所建屋設置工事 地盤改良工事(流動化処理土工)

西松・安藤ハザマ・青木あすなろ特定建設工事共同企業体

:立野ダム建設(二期)工事 基礎処理工他工事

東興ジオテック(株)

:新東名高速道路 浜松管内切土のり面補強工事(2020年度)

大成建設(株)

:地下水排水設備耐震化に係る地盤改良および新設集水管接続工事 山留工(当初計画BG)

 

当事業年度の完成工事のうち請負金額2億円以上の主なもの

西松・安藤ハザマ・青木あすなろ特定建設工事共同企業体

:立野ダム建設(一・二・三期)工事のうち基礎処理工

 

(株)安藤・間

:高原トンネル上部斜面対策工事に伴う抑止アンカー工

大林・鴻池・中山・JFEエンジニアリングJV

:道央自動車 大谷地地区橋梁リニューアル工事

 

安藤ハザマ・五洋・若築特定建設工事共同企業体

:東海第二発電所 防潮堤(海水ポンプ室エリア区間)設置他工事

大林組・鉄建建設共同企業体

:品川駅北部駅改良・駅ビル整備他

大成建設(株)

:竹迫地区土木工事のうち深層混合処理工

4.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。

 

(4)次期繰越工事高(令和6年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

法面保護工事

2,234

275

2,509

ダム基礎工事

105

105

アンカー工事

457

300

758

重機工事

2,572

1,240

3,812

注入工事

785

2,272

3,058

維持修繕工事

39

164

203

環境保全工事

213

27

241

その他土木工事

857

298

1,156

建設コンサル・地質調査

251

63

315

7,518

4,642

12,161

 (注)1.官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものが含まれている。

2.次期繰越工事のうち請負金額3億円以上の主なものは、次のとおりである。

大林・鴻池・中山・JFEエンジニアリングJV

:道央自動車 大谷地地区橋梁リニューアル工事

令和7年12月完成予定

清水・岩田地崎特定建設工事共同企業体

:新東名高速道路川西工事 法面工

令和8年9月完成予定

エコサイクル(株)

:横浜市戸塚区戸塚町5016計画新築工事に伴う土壌汚染対策工事

令和8年9月完成予定

大林組・鉄建建設共同企業体

:品川駅北部駅改良・駅ビル整備他

令和6年12月完成予定

(株)大林組

:東京駅南部東西自由通路

令和10年3月完成予定

鉄建・徳倉・工藤 北海道新幹線、栄原高架橋特定建設工事共同企業体

:北海道新幹線、栄原高架橋

令和6年11月完成予定

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

①重要な会計方針及び見積もり

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施している。詳細につきましては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項及び(重要な会計上の見積り)に記載のとおりである。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

 1)財政状態

 当連結会計年度末の総資産の残高は、328億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億4百万円の増加となった。その主な要因として、流動資産では、完成工事未収入金が増加したこと等により、9億57百万円増加した。固定資産では、投資有価証券および長期預金が増加したこと等により16億46百万円増加したことによるものである。

 負債の残高は、108億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億90百万円の増加となった。その主な要因として、支払手形およびその他が増加したこと等によるものである。

 純資産の残高は、219億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億13百万円の増加となった。その主な要因として、利益剰余金およびその他有価証券評価差額金が増加したこと等によるものである。

 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、66.8%となり1.4ポイントの低下となった。

 

 2)経営成績

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、受注高は、国内では、着工時期の先送りや受注競争の激化により、一部の支店では計画未達となったが、北海道内の高速道路の大型補修工事等の受注により、計画を上回る結果となった。また、米国現地法人においても、LNG精製プラント基地地盤改良工事およびダムの地盤改良工事の大型案件の受注により、計画を大幅に上回り、国内・海外の受注高合計は、前年同期比118億58百万円(56.3%)増の329億34百万円となった。

 売上高は、国内においては、首都圏エリアでの大型電力関連工事が終息を迎えたものの、北海道内の高速道路の大型補修工事が順調に進捗したことにより、ほぼ計画通りとなった。また、米国現地法人においても、大型案件であるLNG精製プラント基地地盤改良工事が順調に進捗したこと、およびダムの地盤改良工事も着工したことから、国内同様にほぼ計画通りとなり、全体で前年同期とほぼ同額の235億75百万円となった。

 また、利益面においては、国内では、北海道内の高速道路の補修工事が順調に進捗したため、計画を大幅に上回る結果となった。また、米国現地法人においても、工事が順調に進捗したことから、営業利益として37百万円を計上した。

 その結果、連結営業損益は10億12百万円の利益となり(前年同期は7億78百万円の営業利益)、経常損益については14億1百万円の利益となった(前年同期は10億8百万円の経常利益)。親会社株主に帰属する当期純損益については、9億32百万円の純利益となった(前年同期は5億26百万円の純利益)。

 なお、受注高、売上高の内訳は、「第2 事業の状況  4.〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕  (1)経営成績等の状況の概要  ③生産・受注及び販売の実績」に記載のとおりである。

 

 3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況  4.〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕  (1)経営成績等の状況の概要  ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは売上高及び営業利益を重要な経営指標として位置付けている。

 当社が策定した中期経営計画(2023年度~2025年度)に従い、米国現地法人JAFEC USA,Inc.を含めたグループ全体としての数値目標の達成に向け、重点施策に従って、全社を挙げて取り組んでいく所存である。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 資本の政策については、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としている。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は56億円を保有していることから、十分な財源及び高い流動性を確保していると考えている。運転資金及び設備資金については、自己資金または借入により資金調達することとしている。

 令和6年3月現在、短期借入金の残高は31億円である。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計50億円のコミットメントライン契約を締結している。(借入実行残高31億円、借入金未実行残高19億円)なお、本報告書提出日現在において、重要な資本的支出または重要な買収等の予定はない。

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況  4.〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕  (1)経営成績等の状況の概要  ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。

 

5【経営上の重要な契約等】

 特記事項なし。

 

6【研究開発活動】

(建設工事)

 当社グループは、ものづくりの施工技術を提供する専門業者として、「建設基礎技術で豊かな社会づくりに貢献する」ことを経営理念としている。そして、生産性向上や品質確保に重点を置き、当社独自技術について研究開発を進めている。

 また、「削孔」と「注入」という当社グループの基本技術にさらなる磨きをかけるために、大学や公的機関、民間企業、あるいは海外企業等との技術交流、共同開発を積極的に推進し、かつ、ICT(情報通信技術)を活用した機械化施工技術の構築を目指す。

 当連結会計年度における研究開発費は142百万円であり、これらの研究開発の概要は以下のとおりである。

 

(1) 中層混合技術の開発

 バックホウベース施工機のアーム先端部に特殊な攪拌装置を取り付けた当社独自の中層混合処理工法を開発し、機能を充実させている。

 ICTを活用し、さらなる生産性向上に向けて試験を続けている。位置誘導システム及び出来形管理システムについては、概ね開発を完了している。また、技術審査証明を取得し、NETIS(新技術情報提供システム)の登録も完了した。今後は、ICT建設機械への登録や機能拡張試験を実施し、施工品質と生産性のさらなる向上を目指す。

 

(2) 自動化に関する開発(パーカッションドリルに関する事項)

 ロータリーパーカッションドリル(二重管方式)の自動削孔機を製作し、試験運用している。

 ボーリングにおける一連の作業(削孔・接続)について自動化され、適応口径については5インチ、4インチ、3インチが対応可能となった、施工速度を向上させる目的で長いケーシングにも対応可能なロングブームが装着され、複数台の施工で人員が削減できることを確認した。また、薬液注入の実現場においての適用性、効率化が図れることも確認した。

 

(3) 自動化に関する開発(小口径ボーリングマシンに関する事項)

 ダム現場において実施工と同様に削孔作業を実施し、熟練オペレーターと同等の削孔性能を確認した。小口径自動ボーリングマシンを都市土木におけるボーリング作業で展開させるための削孔テスト及びツールの拡充を行っている。今後、都市土木へも展開させるとともに、さらなる高機能化を目指す。

 

(4) 自動化に関する研究開発(吹付に関する事項)

 自動吹付システムの試験を群馬県で実施した。また、モルタル製造装置においても独自装置により自動化を進めている。プログラム改良、機械調整・改善を繰り返し行っている。

 

(5) 工事所有権関係

   当連結会計年度末における保有特許件数は59件、出願中の件数は23件、保有実用新案件数は0件であった。ま

た現業に係わる施工実施権は80件を保有している。

 

 なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。

 

(建設コンサル・地質調査等)

  研究開発活動等は特段行われていない。