第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社は、2024年5月23日に「中期経営計画(2024~2026年度)」を策定・開示しており、以下の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、当該「中期経営計画(2024~2026年度)」に基づき記載しております。したがって、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在ではなく、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが入手し得る情報に基づいて判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは、理念体系にある経営理念、ビジョン、行動指針に基づき、新しい価値創造へのこだわりと挑戦を続けるとともに、お客様の期待に応える商品やサービスの提供をはじめとして、ステークホルダーとの約束を実現することを事業運営における基本方針としています。当社グループは、経営理念、ビジョン、行動指針の実践を通じて、社会課題の解決に貢献する新たな価値を共創によって生み出しグローバルトップのソリューションパートナーを目指してまいります。

 


 

(2) 経営環境

当社グループの各報告セグメントの経営環境についての認識は、次のとおりであります。

 

(リテールソリューション事業)

当社の顧客である流通小売業においては、消費者の行動変化によるネットショッピングや決済手段の多様化への対応、生産性向上のためのデジタルトランスフォーメーション(DX)対応、人手不足に対する省人化対応、店舗内メディアを活用した販売促進利用等の様々なニーズに加え、廃棄ロス・販売機会ロスの削減、環境負荷の低減等の多様な社会課題を解決するソリューションが求められています。

当事業においては、国内外に幅広く顧客基盤及び販売網を有し事業を展開しておりますが、競合他社との競争激化が続く厳しい事業環境にあります。

 

(ワークプレイスソリューション事業)

オフィス向けプリンティング市場は、新型コロナウイルス感染拡大よる印刷量の急激な減少から回復傾向にあるものの、それ以前から続くペーパーレス化の進展は継続しており、世界市場全体では今後も緩やかな減少傾向が続くと見込まれます。

また、働き方改革に伴うリモートワークの拡大に加え、オフィスや現場におけるさまざまな業務のデジタル化ニーズが顕在化しており、当社の顧客各社は、DX需要を成長分野と位置付けて、情報技術(IT)を使ったソリューションの開発・提供に力を入れています。

当事業においては、国内外に幅広く販売網を有しておりますが、需要の鈍化や競合他社との競争激化が続くなど厳しい事業環境にあります。

 

(3) 中長期的な経営戦略と目標

上記の経営環境下において、当社グループは、2024年5月23日に策定した「中期経営計画(2024~2026年度)」の全社戦略のとおり、グローバルな顧客基盤、販売・保守網等のタッチポイントを活かすべく、①基盤事業の収益力強化、②新規事業の領域拡大、③経営変革・人財強化・サステナビリティ強化の取り組みに経営資源を重点的に配分します。それらの取り組みを通して、当社はグローバルトップのソリューションパートナーを目指してまいります。各報告セグメントにおける具体的施策は、以下のとおりであります。

 

(リテールソリューション事業)

流通業界における省人化ニーズへの高まり、DXの推進及び多様な社会課題等の事業環境の変化は、当社グループが社会に貢献できる大きな事業機会に繋がっています。これらの事業機会に対して、圧倒的なグローバル顧客基盤を活用した「マーケットイン発想」の事業構想と実行及び「業界トップのグローバルプレイヤーならではの充実した戦略的パートナーシップ」により、当社ならではの高収益新規事業拡大を加速し、収益性の向上を図ります。

・基盤事業の収益力強化

グローバル共通のハードウェア開発・製造共通化により収益力を強化します。また、国内・海外ともに機能を拡充してきたグローバルリテールプラットフォーム「ELERA」によるデータ活用ソリューションビジネスを本格的に拡大してまいります。加えて、グローバルに展開された保守網を活用し、当社の機器だけでなく他社のIT機器をカバーする保守サービス(BPO)を提供することで、小売業の抱える人材不足の解消に貢献し、収益拡大を図ります。

・新規事業の領域拡大

強みであるタッチポイントを起点にデータビジネス事業ドメインを従来の小売業から、決済業者、物流業、広告、メーカー・卸に拡大しデータのバーティカルインテグレーションを図ります。これを実現するため、AI/生成AI活用及び流通業界のコンソーシアム参画とエコシステム実現に注力してまいります。AI/生成AI活用については、AIとプラットフォームをセットで開発する新会社を2024年10月に設立(予定)し、体制強化をいたします。このような取り組みを通して、新規事業におけるサービス・ソフトウェアの割合を拡大し、更なる収益力の強化を図ります。

 

(ワークプレイスソリューション事業)

2020年に実施した構造改革により、強靭でスリムなグローバル・オペレーション体制を構築し、収益性の改善に邁進しています。「中期経営計画(2024~2026年度)」の期間においては、㈱リコーとの複合機等の開発・生産を担う合弁会社であるETRIA社(登記名称:エトリア㈱)(注)の組成により高付加価値商品ラインナップの拡充を図るとともに、協業により成長領域への集中と提供価値の変革を加速させます。

・㈱リコーとの合弁会社であるETRIA社の組成(基盤事業の収益力強化)

オフィス向けプリンティング機器の開発・生産に関する両社の技術的な強みを持ち寄り、企画・設計開発機能の拡充を図ります。また、部品や材料の共同購買や生産拠点の相互活用を進めるとともに、地政学リスクの高まりに柔軟に対応するレジリエントなサプライチェーンの構築を進め、より一層強いものづくりの実現を目指します。

ETRIA社の組成により両社の保有するリソースをイノベーションの領域や個々の差異化領域により注力できるようにシフトし、競争力を高めて事業基盤の強化を図ります。さらに、パートナー戦略による文書管理システムソリューションや、当社が持つバーコードプリンタやRFID等を活用した自動認識技術を活かしたソリューション等の成長領域事業を加速してまいります。

(注)合弁会社の現在の登記名称はリコーテクノロジーズ㈱ですが、2024年7月1日付にてエトリア㈱に変更する予定です。

 

当社グループは、「中期経営計画(2024~2026年度)」において、当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、営業利益、営業利益率(ROS)、親会社株主に帰属する当期純利益、営業活動によるキャッシュ・フロー、投下資本利益率(ROIC)を掲げており、最終年度である2026年度に、売上高は5,500億円、営業利益は330億円、営業利益率(ROS)は6.0%、親会社株主に帰属する当期純利益は170億円、営業活動によるキャッシュ・フローはプラス350億円、投下資本利益率(ROIC)は15%を達成することを目標として定めております。なお、当該目標値は、当社が有価証券報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

上記の経営方針及び経営戦略を実行するに当たっては、各事業におけるバランスある利益の実現と長期的収益体制の構築が必要であり、その実現のために当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、次の重要施策の実行を加速することであると認識しております。

・新規事業拡大の加速

リテールイノベーションへの積極投資として、購買体験・店舗の変革需要の高まりを支援するための投資拡大を実施します。

新規事業拡大の加速を支える4つの取り組みとして、デジタル人財強化、「ELERA」の進化、共創の場の充実、パートナー連携強化を実施します。

・高付加価値ビジネスへの移行

リテールソリューション事業において、より付加価値の高いソリューションサービスへのシフトを進めることにより、収益性の拡大を目指します。

・グローバルリテールソリューション事業の競争力強化

保守サービスの拡大、グローバルリテールプラットフォーム「ELERA」を軸としたソリューションビジネスの拡大を通して、既存顧客の維持及び新規顧客の獲得、さらに収益性の高いリカーリングモデルにシフトしてまいります。

・ワークプレイスソリューション事業の更なる収益性強化

ETRIA社の組成により強靭でスリムなオペレーション体制の構築を進めるとともに、ソリューションの競争力を高めることで更なる収益性強化を目指します。

 

また、上記の重要施策に加え、外部環境の変化による経営への影響を低減するため、これまで実施した構造改革の効果を継続的に維持することに加え、更なる業務の効率化や間接経費のコントロール、製造原価改善等のコスト削減施策とともに、市場動向を踏まえた売上拡大施策を実施いたします。

 

 

(5) 次期の見通し

今後の世界経済は、景気の緩やかな回復が続くことが見込まれますが、海外における金融引締め、中国経済の成長鈍化等の景気減速懸念に加えて、地政学的リスクの高まりや金融資本市場の変動等の影響により、景気は先行き不透明な状況が続くものと予想されます。

このような状況下におきまして、当社グループは、「社会課題の解決に貢献する新たな価値を共創によって生み出し、グローバルトップのソリューションパートナーへ」の基本方針の下で、持続的な成長の実現に向けて、各種施策の実行にグループ一丸となって取り組む所存でございます。

具体的には、当社のフィジカルアセットであるグローバルな顧客基盤と営業・保守網を活かし、パートナーとの共創によりエコシステムを構築し付加価値の高いソリューションの提案を進めることで、社会課題の解決に貢献するとともに、企業価値向上を目指してまいります。

 

2024年度(第100期)における各報告セグメントの主要施策は、次のとおりであります。

 

(リテールソリューション事業)

主力商品である国内及び海外市場向けPOSシステム、国内市場向けオートIDシステム、並びにそれらの関連商品の拡販と、顧客のDXを推進するトータルソリューションの提供を行ってまいります。具体的には、グローバルリテールプラットフォーム「ELERA」及び戦略的パートナーシップによるソリューションビジネスの拡大、地域に即した営業・マーケティングの展開、リカーリングビジネスの強化、販売サービス網の最適化、当社の機器だけでなく他社のIT機器をカバーする保守サービス(BPO)等の取り組みを通して国内事業の更なる収益力強化、海外事業の収益改善を図ります。

 

(ワークプレイスソリューション事業)

主力商品である海外及び国内市場向け複合機、海外市場向けオートIDシステム、国内及び海外市場向けインクジェットヘッド、並びにそれらの関連商品の拡販と、幅広い商品群・マーケットを活かしたトータルソリューションの提供を行ってまいります。同時に、地域に即した営業・マーケティングの展開、販売サービス網の最適化、新興国事業の強化等により、強靭でスリムなグローバル・オペレーション体制を構築し、収益体質の強化に努めてまいります。

なお、当社は、当社グループの複合機及びオートIDシステムの開発及び製造に関する事業を、当社と㈱リコーとの合弁会社であるETRIA社に対して、2024年7月1日付にて承継させる予定です。

また、当社は、当社グループのインクジェットヘッド事業の全てを、理想科学工業㈱の完全子会社である理想テクノロジーズ㈱に対して、2024年7月1日付にて承継させる予定です。
 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス及びリスク管理

当社グループでは、持続的成長と企業価値向上を実現し、社会課題の解決に貢献するため、サステナビリティ推進体制を強化しており、代表取締役社長がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を、サステナビリティ推進責任者が全社的なサステナビリティ経営推進の実行責任を有しております。

当社グループでは、全社的なリスク管理は、半期に1回の頻度で開催されるリスク・コンプライアンス委員会において行っておりますが、サステナビリティに関するリスク及び機会の識別、評価、優先順位付けについては、代表取締役社長が議長を務める経営会議の中でより詳細な検討を行い、共有しております。

サステナビリティに関する重要な課題、特に当社グループの経営に影響を及ぼすリスク及び機会に係る重要な課題については、経営会議において対応方針及び実行計画等が協議・決議されるとともに、取締役会にも報告されます。

なお、気候変動を含む環境関連の課題への対応方針や実行計画等については、代表取締役社長が責任者である「地球環境会議」においても議論されております。本会議は半期に1回の頻度で開催され、各事業部門の環境経営責任者、環境推進責任者、コーポレートスタッフ関係部門長及びサステナビリティ環境戦略室が参画しております。

取締役会は、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、経営会議で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループのサステナビリティに関するリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての討議・監督を行っております。また、取締役会において討議された対応方針及び実行計画等は、当社グループの経営戦略に反映されるとともに、経営会議においてその進捗管理が行われ、定期的に取締役会にも報告されております。

 

(2) 戦略並びに指標及び目標

当社グループは、理念体系に基づき、サステナビリティに関する基本方針を定めており、その内容は次のとおりであります。

 

東芝テックグループ サステナビリティ基本方針

東芝テックグループは、「ともにつくる、つぎをつくる。~いつでもどこでもお客様とともに~」という経営理念に基づき、社会の一員として持続可能な社会の実現を目指します。

この社会の実現のために、私たちは事業活動において環境への配慮を優先し、高い倫理観と遵法の精神をもち、各国及び地域社会に対する責任を果たすと共にその文化・歴史を尊重します。

また、お客様にとっての価値創造を原点に発想し、積極的な投資に努め、透明性の高い経営により持続的な企業価値の向上を目指します。

 

当社グループは、上記の基本方針の下でサステナビリティ経営の推進を図るべく、上記(1)のガバナンス及びリスク管理を通して、環境・社会・ガバナンスの3つの視点からなる10項目の重要課題(マテリアリティ)を特定するとともに、各マテリアリティに対するKPI(Key Performance Indicator)並びに各KPIの数値目標及び目標達成のための施策を設定しております。

<マテリアリティ>

環 境

社 会

ガバナンス

・気候変動への対応

・循環経済への対応

・生態系への配慮

・人材の確保・維持・育成

・従業員の安全健康

・人権の尊重

・持続可能な調達活動の推進

・イノベーション創出のための

研究開発の強化

・ガバナンスの強化

・サイバーレジリエンスの強化

 

上記に加え、気候変動への対応、人権の尊重、人的資本(人材の多様性を含む)に関しては、以下のとおり戦略並びに指標及び目標を定めております。

①気候変動への対応

当社グループは、当社グループの事業に関わる気候変動関連のリスク及び機会を把握するためのシナリオ分析をセグメント別に実施しており、シナリオ分析で特定・評価されたリスク及び機会への対応策については、今後の事業戦略に活かしてまいります。

また、当社グループは、カーボンニュートラルの実現に向けて、2030年度の目標(対2019年度比較)を以下のとおり定めております。

・当社グループの事業活動による温室効果ガス排出量を100%削減

(注)カーボン・クレジットの購入を含めた目標、カーボン・クレジットの購入を除いた場合の目標は97%削減に設定

・当社グループが販売する製品・サービスの電力使用による温室効果ガス排出量を28%削減

また、当社グループは、東芝グループ「環境未来ビジョン2050」に基づき、「気候変動への対応」「循環経済への対応」「生態系への配慮」と「環境基盤活動」の分野からなる環境アクションプランを策定し、年度ごとの目標値を設けて活動を推進しております。

 

②人権の尊重

当社グループは、人権に対する姿勢や取り組みをより明確化するため、理念体系及びサステナビリティ基本方針を補完する位置付けとして「東芝テックグループ人権方針」を定め、当社ウェブサイトで公表するとともに、国内及び海外の子会社を含む全ての従業員に周知しております。

また、当社グループは、事業展開する業界や国のバリューチェーンにおける人権リスクを特定し、事業領域ごとの人権リスクの把握も行っております。今後、特定されたリスクに対する改善・救済活動と、継続的な人権リスクの特定、評価及び改善・救済活動を推進してまいります。

 

③人的資本(人材の多様性を含む)

1) 人財育成

当社グループは、「社員一人ひとりを尊重し、それぞれの能力向上に努め、公正かつ適切な評価・処遇を実践する」ことを経営理念に掲げ、会社の成長・発展のために「挑戦し続ける強いプロ集団」を形成する競争力に優れた有能な人財を、計画的に確保・育成し続けることを目指しております。そのために、研修制度・教育体系、キャリア形成支援制度、社外留職(レンタル移籍)制度といった各種制度を設けるとともに、公正な人事諸制度を構築することで、多様な従業員がそれぞれの能力を発揮して活躍できる環境を整えております。

 

2) ダイバーシティマネジメントの推進

当社グループは、性別・年齢・国籍等に捉われることなく、キャリア採用者を含めた多様な人財を活かすことが、イノベーションの創出と市場変化や想定外課題へ応変する力の涵養、更にはグローバル競争力を高めることにつながると考え、多様な人財の確保・活用に努めております。

そのため、当社は、女性役職者比率、新卒女性採用比率、男性育児休業等取得率の将来目標を掲げ、その達成を目指すとともに、留学生採用、海外志向の高い学生を採用するグローバル総合職採用、キャリア採用を積極的に実施するなど、多様な人財の確保・活用に取り組んでおります。

<多様性確保の状況>(2024年3月末実績)

・女性役職者比率   :4.4%

・新卒女性採用比率  :25.5%

・男性育児休業等取得率:36.0%

・外国籍従業員    :26名(2024年4月)

・キャリア採用者   :71名(2023年度)

 

<2026年度目標>

・女性役職者比率   :8%

・新卒女性採用比率  :30%

・男性育児休業等取得率:前年度以上

(注)上記の指標に関するデータ管理及び具体的な取り組みは、当社では行われているものの、当社グループに属する全ての会社では行われていません。このため、上記の指標に関する実績及び目標は、当社グループにおいて主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

また、当社グループは、ダイバーシティ経営を経営戦略の根幹と捉え、経営幹部のコミットメントの下、人財戦略ビジョン『全ての事業領域で、顧客価値の創造に資する人財と組織力があり、一人ひとりがプロとして「互いを尊敬し」強い「信頼関係」で結ばれている』の実現に向けて、「働き方改革の実現で創造性・生産性向上」、「成長と変化を生み出す多様な自律人財の活躍」、「ともにつぎを目指せる働きがいある組織風土の醸成」を進めております。そのための具体的な取り組みとして、女性活躍推進、女性比率向上に向けた採用活動、外国籍従業員の採用・活躍推進、障がい者雇用推進、ワーク・スタイル・イノベーション、シニア活躍推進といった各種施策を実施しております。

 

なお、戦略並びに指標及び目標に関する詳細な情報については、下記の当社ウェブサイトに掲載している「統合報告書 2023」をご参照下さい。また、2024年8月には、最新の情報を記載した「統合報告書 2024」を下記ウェブサイトに掲載する予定ですので、併せてご参照下さい。

https://www.toshibatec.co.jp/company/csr/report/

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している特に重要なリスク及びその他の主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、万全なリスク管理体制により、このようなリスクの発生を回避するとともに、事業継続計画(BCP)の整備等により、リスク発生時における影響の極小化に最大限努めてまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、原則として、当連結会計年度末現在において当社グループが入手し得る情報に基づいて判断したものであります。

 

(特に重要なリスク)

(1) リテールソリューションの事業環境

当事業における市場の状況は、顧客である大手流通小売業において、店舗運営効率化や顧客の購入形態の多様化、コロナ禍以降の販売形態の変化等に伴い、セルフレジをはじめとする店舗従業員との接触を抑えた形のチェックアウト機器や、ソフトウェア及びサービス分野への投資比重が増えております。このような市場構造の変化により、従来型のハードウェアPOSへの投資優先度が低下傾向にあることや、独立系ソフトウェアメーカー及び大手ソリューションベンダーとの競合が厳しくなることから、当社製品の販売に影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは、当該リスクを最小限に抑えるべく、グローバルリテールプラットフォーム「ELERA」の拡販等により、収益の改善を目指してまいります。なお、具体的な施策等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。

 

(2) ワークプレイスソリューションの事業環境

当事業は、コロナ禍以降の働き方の変化によりコア事業であるオフィス領域での需要減少傾向が継続するリスクがあります。当該リスクが顕在化した場合には、複合機の販売台数の減少や保守サービスの売上減少等により、当事業の収益が悪化する可能性があります。なお、当該リスクに対する具体的な施策等については、「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。

 

(その他の主要なリスク)

(1) 新事業開拓・新商品開発

当社グループは、先端的なエレクトロニクス技術、システム・ソフト技術等を活用して顧客ニーズに応えてまいりました。引き続き、新たな事業の形成に至る新技術や、各国の環境保護規制に対応する新技術等、積極的に新事業開発や新商品開発への対応に努めてまいりますが、これらに関しては不確実要素も多々あり、想定外の事項の発生が、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 世界情勢

当社グループは、グローバルに事業を展開していますが、各地域の政治・経済情勢の変化や各種の規制、急激な為替レートの変動等が、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 大規模災害等

当社グループは、グローバルに販売・サービス、生産・調達拠点を有しておりますが、それぞれの地域において大規模災害、テロ、感染症等が発生した場合、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) グローバル生産体制

当社グループは、安定的な製品供給及びコスト競争力確保のために、日本、シンガポール、インドネシア及び米国等、地域的に分散したリスク対応を図っておりますが、為替影響、紛争等の地政学問題が当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、これらのリスクに備えるために、あらゆる視点からグローバル生産体制の検討を実施しております。

 

(5) 品質問題

当社グループは、製品の設計・部品調達・製造・試験・検査等全ての部門で品質及び安全性の検証体制を構築し、最新・最良の技術で優れた商品を提供することに注力しています。また、保守を伴う事業を展開しており、点検等により製品の品質と安全にかかわる大きな問題発生を未然に防ぐ努力をしております。しかしながら、システム・ソフト対応の増大及び製品機能の高度化に伴う不確実要因等、開発・製造・保守サービスの一連のプロセスにおいて、想定外の品質問題発生もあり得るため、これらが当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) コンプライアンス・内部統制関係

当社グループは、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に係る法令等の遵守並びに資産の保全という観点から内部統制システムの充実に努めております。コンプライアンスについては、グループ共通の行動規範として「グループ行動基準」を制定し、従業員一人ひとりがこの行動基準を遵守し、法令・社会規範・倫理に則した行動を行うよう、周知徹底に取り組んでおります。また、「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、この委員会の統括下でコンプライアンスの徹底にグループ一体となって取り組んでおります。

しかしながら、コンプライアンスを始めとした内部統制システムには一定の限界があるため、その目的の達成を完全に保証するものではありません。このため、将来において法令違反等が生じた場合は、当社グループ業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 情報セキュリティ

当社グループは、技術情報、営業情報、個人情報、会社の経営に関する情報等、事業遂行に関連する多数の情報を有しております。当社グループは、関連法令を遵守し、情報の漏洩防止に万全を期すために、情報の管理体制や適切な取り扱い方法等を定めた各種社内規程を制定するとともに、従業員教育、情報管理施策を継続して実行するなど、情報保護の徹底に努めております。また、サイバーセキュリティリスクへの対応強化策として、製品面、情報セキュリティ面各々につき、専門チームを設置しております。

しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出し、第三者がこれを不正に取得、使用する可能性があり、このような事態が生じた場合、この対応のために生じる多額の費用負担や企業の信頼低下が当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの事業活動において情報システムの役割は極めて重要であり、当社グループは、情報システムの安定的運用に努めておりますが、コンピュータウイルス、サイバー攻撃、ソフトウェアまたはハードウェアの障害、災害、テロ等により情報システムが機能しなくなる可能性が皆無ではありません。

 

補足事項(不正アクセスによる個人情報等の漏えいについて)

2024年3月、当社グループが利用しているクラウドサービスが外部から不正アクセスを受け、取引先及び当社グループの従業員等の一部の個人情報等が、外部者により不正に閲覧された、または閲覧されたおそれがあることが判明しました。

当社は、当該クラウドサービスで不審な動作を認知した後、個人情報保護委員会へ報告を行うとともに、専門の調査会社及び弁護士と連携して被害状況の調査を進めておりますが、既に侵入経路を特定し、同様の手口での不正アクセスが発生しないよう対応しております。なお、現時点では、個人情報の不正利用等の二次被害は確認されておりません。

当社グループの翌連結会計年度以降の財政状態または経営成績に与える影響については現在精査中ですが、本件により流出した情報の範囲等に関する調査は現在も継続中であり、今後、現在判明していない重大な事実が明らかとなった場合には、その対応のために生じる費用負担等が当社グループ業績に影響を及ぼす可能性が皆無ではありません。

当社グループは、これまでも情報セキュリティ対策に取り組んでおりますが、当社グループの機密情報、取引先及び従業員の情報をより一層保護するために、類似の不正アクセスへの防止策を講じるなど、更なるセキュリティ対策の強化に取り組んでまいります。

 

(8) 退職給付債務等

当社グループは、退職給付債務については優良社債の利回りを考慮して計算しておりますが、社債利回りが現在の水準より低下する場合、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、年金資産は、企業年金設計上、相応の運用収益を期待して運用しておりますが、諸因により運用実績が悪化する場合は、当社グループ業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、従業員の定年後のライフプラン支援及び退職給付の多様なニーズへの対応を目的として、当社を含む国内グループ会社を対象に2015年10月1日から順次東芝グループ企業型確定拠出年金制度に加入いたしました。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが入手し得る情報に基づいて判断したものであります。

 

(1)経営成績
① 事業全体の状況

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症が収束に向かい経済活動の正常化が進んだことにより、景気は総じて緩やかに持ち直しているものの、物価上昇や海外における金融引締めの継続、中国経済の減速、地政学的リスクの高まりなどの影響により、依然として先行き不透明な状況が続きました。

このような状況下で、当社グループは、中期経営計画(2023~2025年度)の基本方針「社会課題の解決に貢献する新たな価値を共創によって生み出し、グローバルトップのソリューションパートナーへ」の下で、持続的な成長の実現に向けて、各種施策の実行に鋭意注力するとともに、事業転換と企業変革を実行し、社会課題解決への貢献に努めてまいりました。

売上高については、国内市場向けPOSシステム及び複合機の売上が増加したことや為替の影響などから5,481億35百万円(前連結会計年度比7%増)となりました。損益については、複合機の損益が大幅に改善したことに加え、国内市場向けPOSシステムの損益も改善しましたが、海外市場向けPOSシステムの損益が大幅に悪化したことから、営業利益は158億54百万円(前連結会計年度比1%減)、経常利益は110億4百万円(前連結会計年度比16%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失については、リテールソリューション事業傘下の米国子会社における繰延税金資産を取り崩したことなどから、67億7百万円(前連結会計年度は137億45百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

② 各報告セグメントの状況

(リテールソリューション事業)

国内及び海外市場向けPOSシステム、国内市場向けオートIDシステム、並びにそれらの関連商品等を取り扱っているリテールソリューション事業は、競合他社との競争激化が続く厳しい事業環境の中で、グローバルリテールプラットフォーム「ELERA」及び戦略的パートナーシップによるソリューションビジネスの拡大、リカーリングビジネスの強化、新規事業の拡大のためのリテールイノベーション(デジタル人財強化・「ELERA」の進化・共創の場の充実・パートナー連携強化)への積極投資等に取り組んでまいりました。

国内市場向けPOSシステムは、原材料の高騰、物価上昇等の影響により厳しい状況が続きましたが、セルフレジ、決済端末、スマートレシート等の拡販に注力するとともに、販売価格の改定等の施策に取り組んだことにより、売上は増加いたしました。

海外市場向けPOSシステムは、海外市況の不透明感が増したことに伴う顧客の投資時期の遅れなどにより需要が減少している状況下で、米国において大手顧客向けを中心にハードウェア及びソフトウェアの販売が減少したことに加え、欧州においてもハードウェアの販売が減少したことなどから、売上は大幅に減少いたしました。

国内市場向けオートIDシステムは、ポータブルプリンタ等の販売が伸長したことにより、バーコードプリンタの販売台数が増加したことなどから、売上は増加いたしました。

この結果、リテールソリューション事業の売上高は、3,110億4百万円(前連結会計年度比5%増)となりました。また、同事業の営業利益は、国内市場向けPOSシステムの損益は改善しましたが、海外ではPOSシステムの売上減少と将来成長のための研究費等の増加により損益が悪化したことから、22億51百万円(前連結会計年度比76%減)となりました。

 

(ワークプレイスソリューション事業)

国内及び海外市場向け複合機、海外市場向けオートIDシステム、国内及び海外市場向けインクジェットヘッド、並びにそれらの関連商品等を取り扱っているワークプレイスソリューション事業は、ポストコロナの働き方改革・オフィスのDX推進による印刷量の減少、競合他社との競争激化が続く厳しい事業環境の中で、「コア事業の基礎収益力向上」に注力するとともに、成長領域での事業拡大に向けて、オートID事業、ドキュメントソリューション・データソリューション、顧客サポートビジネスの展開等に取り組んでまいりました。

複合機は、製品供給量の回復や販売価格の改定施策により、米州及び欧州等で販売が好調であったことに加え、為替の影響もあって、売上は増加いたしました。

海外市場向けオートIDシステムは、米州、欧州、アジア等の各地域で販売が減少したことから、売上は減少いたしました。

インクジェットヘッドは、主に海外顧客向けの販売が減少したことから、売上は減少いたしました。

この結果、ワークプレイスソリューション事業の売上高は、2,416億31百万円(前連結会計年度比11%増)となりました。また、同事業の営業利益は、製品供給量の回復や販売価格の改定等に伴う売上高の増加、これまでに実施した構造改革・構造転換の効果等により、136億2百万円(前連結会計年度比98%増)と大幅増益を達成いたしました。

(注)オートIDシステムとは、ハード・ソフトを含む機器により、自動的にバーコード、ICタグ等のデータを取り込み、内容を識別・管理するシステムをいいます。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

リテールソリューション

84,671

26.5

ワークプレイスソリューション

136,555

14.0

合計

221,227

18.5

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

 

② 受注実績
当連結会計年度におけるリテールソリューション事業の国内ストア・オートメーション向け「個別ユーザー対応物件」分野の受注状況は、次のとおりであります。
なお、他の分野においては、当社と販売会社との間で行う需給予測を考慮した見込生産を主体としているため、記載を省略しております。

区分

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

(リテールソリューション)
個別ユーザー対応物件

64,981

11.7

9,722

4.6

 

(注)金額は、販売価格によっております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

リテールソリューション

310,865

4.7

ワークプレイスソリューション

237,269

11.0

合計

548,135

7.3

 

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(3) 財政状態

当連結会計年度における資産は、前連結会計年度に比べ268億17百万円増加し、3,375億9百万円となりました。これは、投資その他の資産の「繰延税金資産」が90億79百万円減少しましたが、流動資産の「現金及び預金」が59億5百万円、「受取手形、売掛金及び契約資産」が122億27百万円、「商品及び製品」が55億90百万円、「その他」が30億54百万円、投資その他の資産の「退職給付に係る資産」が80億93百万円増加したことなどによります。

負債は、前連結会計年度に比べ327億86百万円増加し、2,412億72百万円となりました。これは、流動負債の「支払手形及び買掛金」が116億78百万円、「1年内返済予定の長期借入金」が36億96百万円、「その他」が57億40百万円、固定負債の「長期借入金」が89億52百万円増加したことなどによります。

純資産は、前連結会計年度に比べ59億69百万円減少し、962億36百万円となりました。これは主に、「為替換算調整勘定」が51億98百万円、「退職給付に係る調整累計額」が47億12百万円、「非支配株主持分」が21億89百万円増加しましたが、「利益剰余金」が親会社株主に帰属する当期純損失により67億7百万円、配当金の支払いにより21億65百万円、「自己株式」が追加取得等により86億87百万円減少したことなどによります。

 

(4) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度と比べ47億66百万円増加485億81百万円となりました。

なお、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは32億76百万円の収入となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動については、税金等調整前当期純利益が98億57百万円であり、法人税等の支払額81億45百万円となりましたが、減価償却費173億82百万円となったことなどから、194億11百万円の収入(前連結会計年度は151億6百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動については、有形固定資産並びに無形固定資産の取得による支出などにより、161億35百万円の支出(前連結会計年度は121億17百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動については、長期借入れによる収入が162億72百万円となりましたが、自己株式の取得による支出が87億45百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出が45億70百万円、長期借入金の返済による支出が40億27百万円、配当金の支払額が21億63百万円となったことから、36億24百万円の支出(前連結会計年度は81億3百万円の支出)となりました。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 

当社グループの運転資金は、主に製品製造に係る原材料や部材の調達のほか、製造費、販売費及び一般管理費等に計上される財・サービスに費消しております。設備投資資金は、有形固定資産や無形固定資産の取得、投資等に費消しております。

これらの必要資金は、当社グループ内の内部留保による確保、及び資産の圧縮や資産効率の向上により創出される自己資金を基本として流動性を確保しつつ、必要に応じて金融機関等からの資金調達を実施してまいります。

 

(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因や当該事項への対応については、上記「(1) 経営成績」から「(4) キャッシュ・フロー」まで、並びに「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しているとおりであります。

当社グループは、2024年5月23日に策定した「中期経営計画(2024~2026年度)」において、最終年度である2026年度に、売上高は5,500億円、営業利益は330億円、営業利益率(ROS)は6.0%、親会社株主に帰属する当期純利益は170億円、営業活動によるキャッシュ・フローはプラス350億円、投下資本利益率(ROIC)は15%を達成することを目標として定めております。

 

当連結会計年度においては、売上高は5,481億35百万円、営業利益は158億54百万円、営業利益率(ROS)は 2.9%、親会社株主に帰属する当期純損失は67億7百万円、営業活動によるキャッシュ・フローはプラス194億11百万円、投下資本利益率(ROIC)は8.3%となりました。

 

(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり、当社グループが採用している重要な会計処理基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりであります。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、より重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

① 債権の回収可能性

当社グループは、売掛金、販売金融債権及び貸付金その他これらに準ずる債権の貸倒に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。将来、債権の相手先の財務状況がさらに悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

② 棚卸資産の評価減

当社グループは、商品、製品及び半製品は先入先出法による原価法(連結貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定)、仕掛品及び原材料は移動平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定)、貯蔵品は最終仕入原価法を採用しております。回収可能価額の評価を行うに当たっては、商品、製品及び半製品について正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。将来における実際の需要または市況が見積りより悪化した場合には、追加の評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

③ 固定資産の減損判定

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候があるかどうかの判定を実施し、減損の兆候があった場合、資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定に用いられる割引前将来キャッシュ・フローでの見積り及び仮定について将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。

 

④ 投資有価証券の減損判定

当社グループは、販売又は仕入に係る取引先等の株式を保有しています。これらの株式には市場価格のない株式等以外のものである上場会社の株式と市場価格のない株式等である非上場会社の株式が含まれます。当社グループは、市場価格のない株式以外のものの株式の減損処理にあたっては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。また、市場価格のない株式等である非上場株式の減損処理にあたっては、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。なお、将来の市況悪化又は投資先の業績不振など、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収が不能となる状況が発生した場合、追加の減損損失が発生する可能性があります。

 

 

⑤ 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。

収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

⑥ 退職給付債務の算定

当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、長期期待運用収益率、昇給率等の様々な計算基礎があります。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)複合機等の開発・生産に関する事業の承継のための吸収分割契約

当社と㈱リコー(以下「リコー」という。)は、2023年5月19日、会社分割等により複合機等の開発・生産に関する事業を統合(以下「本事業統合」という。)するに当たっての諸条件を定めた契約(以下「本統合契約」という。)、及び本事業統合に係る株主間契約(以下「本株主間契約」という。)を締結することを両社の取締役会で決議し、同日に、これらの契約を締結いたしました。

本事業統合を実施するため、当社は、2024年2月6日、当社とリコーテクノロジーズ㈱(以下「本合弁会社」という。)との間の吸収分割契約(以下「東芝テック吸収分割契約」という。)を締結することを取締役会で決議し、同日付で当該吸収分割契約を締結いたしました。

なお、以下においては、本事業統合を実施するためのリコーの吸収分割を「リコー吸収分割」といい、リコーと本合弁会社との間の吸収分割契約を「リコー吸収分割契約」といいます。また、リコー吸収分割と東芝テック吸収分割をあわせて「本吸収分割」といい、リコー吸収分割契約と東芝テック吸収分割契約をあわせて「本吸収分割契約」といいます。

 

1.本事業統合の要旨

(1)本事業統合の方式

本事業統合の範囲は、両社の国内・海外の複合機等の開発・生産に関する事業(これらを総称して以下「対象事業」という。リコーの対象事業は「リコー対象事業」、当社の対象事業は「当社対象事業」という。)です。リコー対象事業及び当社対象事業をリコーの日本の子会社である本合弁会社に承継させるため、主として吸収分割の方法により、本事業統合を実施します。

また、本事業統合後の本合弁会社への出資比率は、リコーが85%、当社が15%とします。

 

(2)本吸収分割に係る割当の内容

本合弁会社は、リコー吸収分割の効力発生により承継する権利義務の対価として、リコーに対して本合弁会社が新たに発行するその普通株式55株を、東芝テック吸収分割の効力発生により承継する権利義務の対価として、当社に対して本合弁会社が新たに発行するその普通株式45株を、それぞれ割当て交付します。

 

(3)本事業統合の日程

両社の取締役会における本統合契約及び本

株主間契約の締結の承認

2023年5月19日

本統合契約及び本株主間契約の締結

2023年5月19日

両社の取締役会における本吸収分割契約の

締結の承認

2024年2月6日

本吸収分割契約の締結

2024年2月6日

本吸収分割の効力発生(本事業統合の効力発生)

2024年7月1日

 

(注1)リコー吸収分割及び東芝テック吸収分割のいずれも、会社法第784条第2項の規定に基づく簡易吸収分割として、両社の株主総会における承認を得ずに行う予定です。

(注2)本事業統合の実施は、日本その他の国又は地域における競争法上の手続(届出等の手続及びクリアランス等の取得を含む。)及び外資規制に基づく届出等の手続がすべて完了していること、並びに両社の対象事業の資産、事業、財務状態、経営成績又はキャッシュ・フローの状況その他の価値に重大な悪影響を及ぼす、又は及ぼす具体的なおそれのある事態が発生又は発覚していないこと等を条件としています。

(注3)上記の日程は、現時点での予定であり、今後本事業統合のための手続を進める中で、関係当局からの許認可等の取得やその他の理由により、両社で協議の上、上記日程を変更する場合があります。

 

(4)当事会社間の関係

資本関係

該当事項なし

人的関係

該当事項なし

取引関係

当社はリコーへ複合機のオプション製品の製造を委託しています。

関連当事者への該当状況

該当事項なし

 

 

 

(5)吸収分割承継会社(本合弁会社)の概要(2022年3月31日現在)

イ.名称

リコーテクノロジーズ株式会社

ロ.所在地

神奈川県海老名市泉二丁目7番1号

ハ.代表者役職・氏名

代表取締役 石橋幹生

二.事業内容

事務機器、光学機器、印刷機器等の周辺機器、消耗品等の開発・設計及び販売など

ホ.資本金

10百万円

ヘ.設立年月日

2012年12月19日

ト.発行済株式数

200株

チ.決算期

3月末日

リ.従業員数

494名

ヌ.主要取引先

株式会社リコー

ル.主要取引銀行

なし

ヲ.大株主及び持株比率

株式会社リコー 100%

ワ.両社との当該会社の関係

資本関係

株式会社リコー 100%出資

人的関係

株式会社リコーより取締役(3名の内3名)、監査役

(2名の内2名)

取引関係

株式会社リコー:設計受託・業務受託、当社:OEM供給

関連当事者の該当状況

株式会社リコーの関連当事者

 

 

2.分割する事業の概要

分割する部門の事業内容

リコー

当社

複合機・プリンターとその周辺機器及び関

連消耗品の開発・製造・OEM

複合機、オートIDシステム並びにそれらの関連商品の

開発、製造等

 

 

3.分離した事業が含まれていた報告セグメント

ワークプレイスソリューション事業

 

4.本吸収分割後の状況

本吸収分割後の吸収分割承継会社の状況

イ.名称

エトリア株式会社

ロ.所在地

神奈川県横浜市

ハ.代表者役職・氏名

代表取締役 社長執行役員 中田克典

二.事業内容

事務機器・産業機器・光学機器、及びその周辺機器・消耗品等の開発・生産・販売等

ホ.資本金

500 百万円

ヘ.決算期

3月末日

 

 

(2)インクジェットヘッド事業の承継のための吸収分割契約

当社は、2023年12月22日、当社及び当社の完全子会社である㈱テックプレシジョン(以下「TPI」という。)のインクジェットヘッド事業を、当社及びTPIからそれぞれ理想科学工業㈱(以下「理想科学工業」という。)が新たに設立する子会社(以下「本吸収分割承継会社」という。)に吸収分割の方法で承継させる(以下、総称して「本吸収分割」という。)ことを内容とする契約を理想科学工業と締結することを取締役会で決議し、同日付で当該契約を締結いたしました。

本吸収分割を実施するため、当社は、2024年4月23日に開催された当社の取締役会において、当社と本吸収分割承継会社との間で吸収分割契約を締結することを決議し、同日付で当該吸収分割契約を締結いたしました。また、TPIは、同日、TPIと本吸収分割承継会社との間で吸収分割契約を締結することを同社の株主総会で決議し、同日付で当該吸収分割契約を締結いたしました。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照下さい。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループは、お客様にとっての価値創造を原点に発想し、世界のベストパートナーとともに、優れた独自技術により、確かな品質・性能と高い利便性をもつ商品・サービスをタイムリーに提供することを基本理念として、グループ各社の研究部門及び開発設計部門とが密接に連携しながら先行技術開発、要素技術開発、製品開発に鋭意取り組んでおります。

当連結会計年度の研究開発費の総額は29,820百万円であり、各報告セグメントの研究開発活動は次のとおりであります。

 

(リテールソリューション事業)

当事業分野では、「流通業界でグローバルトップのソリューションパートナーを目指す」という経営方針のもと、戦略パートナーとの共創によるサブスクリプションモデルのグローバルリテールプラットフォーム「ELERA」を国内・海外共同で研究開発しております。また、これ以外にもPOSシステム、オーダーシステム、画像スキャナ等の研究開発を行っております。主な研究開発の成果は以下のとおりであり、研究開発費は19,117百万円となりました。

 

・次世代スマートストア「NEXMART 01 GO」をオープン

流通・小売業のお客様やパートナー企業と新たな価値を共創する場として、千葉県習志野市に次世代スマートストア「NEXMART 01 GO」を2023年12月にオープンしました。「未来の小売店」をコンセプトに、当社が実用化を目指す様々なデジタル技術を活用した最新ソリューションを設置し、店舗運営に活かします。また、流通・小売業のお客様やパートナー企業とともに新たなソリューションやオペレーションを構想し、試す共創の場としても活用します。

・セルフレジ「SS-N1G」及び会計機「SS-N1K」を発売

新型釣銭機を搭載した現金決済・キャッシュレス会計ともに対応可能なセルフレジ「SS-N1G」及び会計機「SS-N1K」を2024年2月に発売しました。紙幣・硬貨の入金口、出金口をそれぞれ集約し、お客様が迷わず操作ができる配置にしています。硬貨の収納容量を増やすことで、営業中の硬貨補充対応の頻度を減らし、店舗スタッフの負荷を軽減します。

・量販店・専門店・飲食店向けPOSターミナル「WILLPOS」新シリーズを発売

専門・飲食店向けPOSターミナル「WILLPOS-Mini QT-300」及び「WILLPOS-Touch QT-30T/H」を2023年9月に、量販店向けPOSターミナル「WILLPOS-Mini QT-330」を2023年10月に発売しました。リプレース要求にも対応できるように、外形、ファンレス構造等は変えずに、CPU・OSを刷新し、メインメモリーとSSDの容量を従来機種の2倍にすることで、快適な操作、より多様な顧客アプリケーションに対応できるようにしました。

・RFIDパッケージソフト「RF異物検知」と「RF簡単棚卸」を発売

RFID技術を用いたパッケージソフト「RF異物検知」及び「RF簡単棚卸」を2023年4月に発売しました。「RF異物検知」は、出荷物を開封することなく、外からRFタグが付いた備品の同梱状況を把握し、備品混入を予防します。「RF簡単棚卸」は、物品に取り付けられたRFタグを一括で読み取り、棚卸しにかかる手間を削減します。

・生成AIによるリテールプロモーション最適化、AIソリューションを開発

生成AIのキーエンジン「トランスフォーマー」によるリテールプロモーション最適化AIソリューションを開発し、「リテールテックJAPAN2024」で展示しました。POSデータから顧客の好みや反応をAIに類推させ、個々の顧客とPRの組み合わせによる売上や利益のシミュレーションを行います。また、利益最大化を目標として、数理最適化問題を解き、最適なクーポンやポイントの配信を実現します。

・ELERA Loss Prevention

北米や欧州向けにセルフチェックアウト不正検知ソリューションを2023年12月に発売しました。本製品はELERA IoTプラットフォーム上に構築され、AI技術を用いて顧客の行動をモニタリングし、AIカメラ「TCx EDGEcam+」をチェックアウト端末に設置してスキャン漏れ等の潜在的な不正行動を認識します。セルフチェックアウトにAI技術を組み込むことで、重量計測での不正検知システムでは対応しきれない顧客の行動に対して、より緻密なアプローチが可能となり、セルフチェックアウトのスループット率が向上します。

 

・ELERA Associate Mobile

ELERA Platformをユーザフレンドリーな携帯端末に拡張した、モバイルPOSシステムELERA Associate Mobileを北米向けに2024年2月に発売しました。従来のPOSシステムを店内全体で利用できるようにし、どこからでも支払いができます。高コストな従来の固定レーンPOSシステムへの依存を減らし、店員の手元でPOS機能を提供します。

 

(ワークプレイスソリューション事業)

当事業分野では、デジタル複合機、オートIDシステム、プリンタ等の電子写真技術、光学設計技術、原稿送り機構技術、プリントコントローラ技術、画像形成技術、クラウド関連技術、インクジェットヘッド技術等の研究開発を行っております。主な研究開発の成果は以下のとおりであり、研究開発費は10,702百万円となりました。

・セキュリティ対応とFAX機能を強化したA3サイズ複合機「e-STUDIO」シリーズを発売

「e-STUDIO」シリーズの発売以降、継続して対応するクラウドサービスやアプリケーションとの連携強化を進めて来ましたが、新たにセキュリティ強化に有効な“IPP-PIN印刷機能”や“送信FAXに記載する自局名称等の項目を設定する機能”を実装したA3カラー複合機「e-STUDIO2021AC」を2024年2月に発売しました。

これにより「e-STUDIO」シリーズの安全性・利便性を向上し、業務の効率化に寄与するとともに、お客様のワークスタイルをさらに進化させることができます。

業界初のRFIDライター対応A3カラー複合機を発売

オフィス分野で培った複合機の技術とRFID技術を融合したA3複合機としては業界初(注)の、RFIDライター対応A3カラー複合機「e-STUDIO4525AC RFID」を2023年10月に国内向けに発売しました。通常の複合機の機能に加え、ラベル作成ソフトで作成したラベルデザインとRFIDデータを複合機に印刷・書き込み指示することにより、カラー印刷とRFIDデータの書き込みを同時に実現しました。利用者の要望に合わせ、用紙サイズやRFIDタグの位置を変更して印刷することができます。

中小企業向けクラウド印刷ソリューションを機能強化

どこからでも簡単に印刷ジョブを送信し、準備ができたらクラウド接続された当社複合機「e-BRIDDGE」で安全に印刷できる、クラウド印刷ソリューションサービス「e-BRIDGE Global Print」では、お客様の多様な働き方に対応するため、2023年9月にモバイルデバイスからの印刷指示や、複合機での印刷設定の変更を可能とする機能強化を行いました。さらに、グローバル展開に向け当社の海外拠点を活用し、本サービスを運用する体制を構築しました。

・小型ラベルプリンタ「BV400T」シリーズを発売

製造、物流現場等での業務効率化に貢献するため、当社のバーコードプリンタ開発で蓄積した技術を活用し、従来機種と比較し最大印字速度を約1.4倍、使用可能なリボンの長さを2.5倍へ拡大した設置面積A4サイズ以下小型ラベルプリンタ「BV400T」シリーズを2023年11月に発売しました。本シリーズは、オプションにて、ラベル印刷と同時にRFIDタグへの書き込みが可能となりますが、従来機種よりタグの間隔を約6割狭めても書き込みが可能となり、タグの間隔が短いロール紙を利用できるようになりました。1つのロールでより多くのラベルを扱えるため、ロール紙の交換頻度を減らすことができます。

 

(注)複合機メーカーとして業界初となります。(2023年8月時点)(当社調べ)