第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は「住まい」と「暮らし」の2つを軸に、「暮らしのお役立ち企業」として事業を展開してまいりました。環境に対する意識や健康志向が一層の高まりを見せている中、顧客の幅広いニーズに応え生活やオフィスのより良い環境を実現するサービスを提供することが、当社の使命であり社会貢献であると考えております。

 幅広い分野で質の高いサービスを提供できる体制をさらに充実させ、収益の拡大を図りながら当社の強みが発揮できる新規事業にも果敢に挑戦し、株主価値の増大に取り組んでまいります。また、株主、投資家の皆様に対して会社情報の適時開示を徹底することにより透明性の高い経営を目指してまいります。

 

(2)経営指標

 当社では、更なる成長を目指し、「連結売上高」の拡大を図るとともに、株主利益重視の観点から、「株主資本利益率(ROE)」を高水準に維持していくことを重要な経営目標としております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

 当社グループは、創業の事業であるレンタル事業を中心に、クリクラ事業、建築コンサルティング事業、住宅事業、美容・健康事業の5つの事業体制からなる「複合企業体」として事業運営しております。

 日本経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)による行動制限が解除され経済活動の正常化が進む中で、景気回復の兆しが見えています。一方で、ウクライナ情勢の長期化などによる原材料費・エネルギー価格の高騰や物価の上昇に加え、為替相場の変動など依然として先行き不透明な状況が続いております。このような中、当社グループにおきましては、経済及び社会情勢の変化を的確に捉え、事業間シナジーを追求しながら様々な施策に取り組んでまいります。

 

①クリクラ事業では、顧客件数を拡大させるため、積極的なWEB広告出稿を行うほか、主にショッピングモール等で行うイベント営業を強化し新規顧客接点を増加させます。さらに、浄水型ウォーターサーバー「feel free(フィールフリー)」の販促活動を強化していきます。また、引き続きシステムインフラ「CrePF(クリクラプラットフォーム)」の加盟店への導入を進め、クリクラブランド全体でのDX推進に取り組んでまいります。

 

②レンタル事業では、ダスキン事業において、引き続き感染症で変化したライフスタイルに対応し、お客様に選ばれる新商品・新サービスを提供してまいります。また、株式会社ダスキンとの資本業務提携に基づき事業数を拡大してきたケアサービス部門及びヘルスレント部門での投資回収を進めていきます。2023年11月には、さらなる事業拡大・成長のための新たな共同プロジェクトを発足しました。害虫駆除器「with」を主力とするウィズ事業では、主要顧客である飲食店が市場回復したことを追い風に営業活動の強化と効率化を図り、売上拡大を目指してまいります。株式会社アーネストでは、外国資本企業との取引増大やインバウンド需要の対応を強化し、受注獲得に注力します。株式会社キャンズでは、グループシナジーを活用することで受注・活動エリアの拡大を図ります。

 

③建築コンサルティング事業では、コンサルティング部門において、引き続きDXや省エネ化を推進する新商品の販促活動及び補助金対象商品を活用した営業手法を強化することで、販売数拡大を目指してまいります。また無料会員制度「D-mot(ディーモット)」のサービス内容拡充による潜在顧客へのアプローチを図ります。ナックハウスパートナー株式会社では、住宅ネットワーク事業・スマートエネルギー事業の両事業間、またコンサルティング部門とのシナジーを発揮し、省エネ関連商材の受注比率向上や新商品・新サービスの開発を行います。

 

④住宅事業では、株式会社ケイディアイにおいて、土地価格の上昇等厳しい外部環境の中で、これまで情報の少なかったエリアの再開拓を行い、用地仕入を強化することで事業拡大していきます。株式会社ジェイウッドでは、需要の高まっている平屋や店舗・店舗併用住宅受注への積極展開を進めます。また、エースホームブランドの商品販売も加え、受注数増加を図ります。北海道で展開するKUNIMOKU HOUSE事業では、高性能住宅の拡充により商品ラインナップを充実させ、顧客獲得を目指してまいります。

 

⑤美容・健康事業では、株式会社JIMOSにおいて、各ブランドの主要製品の強化・リニューアル、また新規顧客獲得を目的とした新商品・新カテゴリの開発を行うことで事業拡大を目指します。株式会社ベルエアーでは、商品リニューアルによる新規獲得と販路拡大を図ります。株式会社アップセールでは、新たにグループに加わった巴ワイン・アンド・スピリッツ株式会社と連携し、ワインの直販を推進していきます。株式会社トレミーでは、医薬部外品を中心としたODM商品の開発や協力工場との連携を強化することで市場競争力を高め、新規受注の増加を図ります。また自社グループ製造によるコストメリットを活かし、各事業との連携強化によるグループシナジーの最大化を目指します。なお、2024年2月に株式取得した巴ワイン・アンド・スピリッツ株式会社を連結子会社化し、当事業セグメントに追加してしています。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループでは、企業理念とNAC WAYのもと、暮らしのお役立ち企業として、社会・環境の変化を事業成長の機会と捉え、ステークホルダーの皆様と共に、持続可能な社会の実現および更なる事業成長を目指してまいります。

また、脱炭素社会の実現を重要課題のひとつとして捉えており、2021年9月には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同も表明しております。さらに、TCFD提言に賛同する企業や金融機関が一体となって取り組みを推進するTCFDコンソーシアムにも加盟しており、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを行っております。

 

 

(1)ガバナンス

 当社では、気候変動が事業活動へ与える影響は重要なものであると捉え、年2回以上、取締役会が気候変動によるリスクと機会の実態を把握・監視できる体制を構築し、気候変動に関するガバナンスの強化を進めています。

サステナビリティ推進PJでリスク、機会の評価、戦略、計画、予算の見直しと指導、設定した目標に対する進捗状況をモニタリングし、その結果を取締役会にて報告・審議します。取締役会では、気候変動に関するリスク・機会を経営上の重要な事項とし、取締役会議長でもある代表取締役社長が気候関連問題の責任者となり、意思決定および業務執行の監督を行っております。

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ナックグループでは、サステナビリティ課題に対応する役割をサステナビリティ推進PJが担い、管理部門管掌役員のもと、各種サステナビリティ対応を推進しております。

 

 

 

(2)戦略

 当社グループでは社会課題・環境課題を経営上のサステナビリティ課題と認識した上で、気候変動シナリオの分析を行い、気候変動に関するリスクと機会による影響を把握し、サステナブルな社会の実現に向け取り組みを行っていきます。

 

リスク

 

世の中の変化

ナックグループの

リスク

影響事業部

影響内容

影響項目

移行リスク

GHG排出規制

化石燃料の高騰

全社

・ガソリン車から低公害車への移行に関する

 導入費用

※ガソリン車:約1,300台

費用増加

再エネ利用への移行

クリクラ

・クリクラプラントにおけるGHG低排出の

 設備への入替費用

費用増加

炭素税の引き上げ

全社

・CO2排出に伴う課税による税負担の増加

※炭素税:10,000円/t-CO2換算

費用増加

物理的リスク

台風・豪雨

などによる水害

営業・製造拠点の停止

クリクラ

・製造機能の停止

・営業拠点の機能停止による売上高減少

・被害拠点の復旧費用

※ハザードマップ参照(国土交通省)

※該当プラント:4プラント/10プラント

 該当拠点:12拠点/28拠点

売上高減少

費用増加

レンタル

・営業拠点の機能停止による売上高減少

・被害拠点の復旧費用

※ハザードマップ参照(国土交通省)

※該当拠点:27拠点/61拠点

売上高減少

費用増加

平均気温の上昇

設備投資

全社

・空調設備増設に伴う設備投資費用の増加

費用増加

配送業務の効率低下

クリクラ

レンタル

・配送員増員による人件費増加

費用増加

海面上昇

沿岸地域の

拠点移転

全社

・沿岸地域の営業拠点およびプラントの移転

 費用

費用増加

良質な水資源不足

原水確保のコスト増

クリクラ

・水道料金高騰による原水確保費用の増加

※2040年1.36倍(2015年比)

※参照:新日本有限責任監査法人

費用増加

 

機会

側面

事業部

世の中の変化

機会の内容

影響項目

資源の効率化

コンサル

研修・セミナーオンライン化の更なる進展

・潜在顧客へのアプローチの実現

・諸経費(印刷費/デザイン費)の削減

売上高増加

費用減少

エネルギー源

全社

低公害車(EV車など)普及

・車両維持に関するトータルコストの削減

費用減少

製品/サービス

クリクラ

省資源・低排出技術の開発

・環境負荷の少ないプラント設備を加盟店

 向けに販売

売上高増加

クリクラ

飲料水需要の高まり

・繁忙期の伸長による売上高増加

売上高増加

レンタル

害虫駆除機の需要の高まり

・出店エリア拡大による売上高増加

売上高増加

市場

クリクラ

防災意識の高まり

・ローリングストック啓蒙による消費促進

売上高増加

全社

環境を意識した消費行動

・リユース商品の需要増加による顧客増

・リターナブルボトルの優位性による顧客増

・プレミアムサービス会員へのサービス拡充

 による解約率の低減

売上高増加

 

気候変動による世界的な平均気温の上昇について、ナックグループでは2.0℃上昇した場合、4.0℃上昇した場合、それぞれのシナリオを採用し、検討を行っております。

 

 

シナリオ郡の定義

想定期間

2030年~2050年

シナリオ定義

2.0℃シナリオ (IPCC RCP2.6)

4.0℃シナリオ (IPCC RCP8.5)

 

 

2.0℃上昇の世界

4.0℃上昇の世界

政策・規制

炭素税の引き上げ

GHG排出制限

特段の政策や規制はなし

調達

グリーンエネルギー普及による電力価格上昇

原材料費の高騰

サプライチェーンにおける洪水被害の増加

配送

低公害車への移行

原油価格上昇により、電力等コストの上昇

商品・サービス

サステナブル商品の需要増加

飲料水、防災関連商品の需要の高まり

 

 

(3)リスク管理

 ナックグループでは、リスクおよび機会の特定やシナリオ分析を通して、サプライチェーン全体を含むグループの事業領域が気候変動によって受ける影響の把握・評価を進めております。

サステナビリティ推進PJを中心に、各事業部へのヒアリングをもとに気候変動によるリスクと機会の抽出から識別・評価まで行っており、年に1回以上、見直しのプロセスを設けております。

その中で、重要な影響を与えると評価されたリスクと機会に対し、サステナビリティ推進PJを中心に各事業部と具体的な対応策について検討、対応方針を策定の上、年2回以上は取締役会へ報告を行い、その内容を含む気候関連問題への対応全般に関して監督を受ける体制を構築しております。

気候関連リスクにおいては、サステナビリティ推進PJからの報告に基づき、取締役会にて決定を行うものとしております。

 

(4)指標及び目標

 ナックグループでは、気候変動に関連するリスクと機会を評価するための目標として、下記取り組みを検討しております。

・低公害車の導入

・再生可能エネルギー由来の電力への切り替え

・太陽光パネル設置拠点での売電から自家消費への切り替え

・クリクラ製造工程におけるガス使用量削減の検討

・他、技術革新の成果をいち早く取り入れるための情報収集、提携の検討等

ナックグループでは、GHG排出量に関して、日本政府目標に準じ、2050年までのカーボンニュートラルを目指します。

 

Scope1+Scope2

 

2023年度 実績

2030年度 目標

2050年度 目標

Scope1+Scope2

7,908 t-CO2

7,010 t-CO2

(2021年度比25%減)

0 t-CO2

(2021年度比100%減)

 

Scope3

Scope3におけるGHG排出量削減施策につきましては、現在、影響の大きいカテゴリ別に検討を進めております。

カテゴリ

カテゴリ名

GHG排出量(t-CO2)

カテゴリ1

購入した製品・サービス

64,039

カテゴリ2

資本財

101

カテゴリ3

Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動

529

カテゴリ4

輸送、配送(上流)

5,212

カテゴリ5

事業から出る廃棄物

1,168

カテゴリ6

出張

88

カテゴリ7

雇用者の通勤

495

カテゴリ8

リース資産(上流)

算定除外

カテゴリ9

輸送、配送(下流)

1,343

カテゴリ10

販売した製品の加工

算定除外

カテゴリ11

販売した製品の使用

算定除外

カテゴリ12

販売した製品の廃棄

36

カテゴリ13

リース資産(下流)

2,856

カテゴリ14

フランチャイズ

3,692

カテゴリ15

投資

算定除外

※Scope3排出量の算定方法

産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EID)(2015年)や産業技術総合研究所のIDEAv2.3、環境省のサプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer3.1等を参照しました。今後、参照先及び算定条件変更に伴い、GHG排出量が増減する可能性があります。

 

≪人的資本に関する方針及び目標について≫

① 基本的な考え方

ナックグループ企業理念実現のため、「暮らし」と「住まい」を軸とした事業を展開し、生活に寄り添った幅広い商品・サービスを提供しています。お客様からの信頼を得られるよう、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、成長意欲をもって挑戦し続けることが必要だと認識しています。この考えのもと、ナックグループでは以下の通り人材育成方針および社内環境整備を定め、推進していきます。

 

② 人材育成方針

ナックグループは、「暮らしのお役立ち企業」を実現するため、顧客に対して価値を提供し、信頼を直に得られるような人材の育成を追求し、実行していきます。

 

<具体的な取り組み>

・研修制度

研修制度等を通じ、ナックグループの将来を担う人材育成に努めていきます。従来の集合研修をはじめ、コロナ禍で新たに導入したオンライン研修やeラーニング研修により、役職やキャリアに応じた研修などを通じて、社員のスキル向上やコミュニケーションの醸成に努めていきます。

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・サテライト制度

ナックでは、新入社員2~4人と先輩社員1人で「サテライト」という班を組んで営業研修を行います。現場でのOJT研修を中心に行うことで若手社員の早期育成を図ります。

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・社内公募

社内公募制度を年間2回開催し、キャリアチェンジやスキルアップを望む従業員のキャリア開発支援を実施してます。

 

・DX人材の育成

DX人材の育成を目的に、2018年から若手社員を中心に「デジタルイノベーションプロジェクト」を開始しました。2022年からは階層に応じ「DX研修」を導入し、2023年には生成AIの理解・活用促進を目的に一部管理職を対象に「生成AI研修」を行い、デジタルコア人材の育成を図っております。

なお、2023年に「DX認定事業者」として認定も取得しております。

 

・ナックイノベーションコンテスト

当社が成長する「新規事業」及び「収益拡大策」を募集するコンテストを実施しております。

2022年から開始しており、昨年第2回優秀賞作品については事業化に向けた準備も進めております。

 

・女性社員研修

2023年度より、幅広い年齢層・職種を対象として女性社員研修を開始しました。

女性従業員のライフ(=人生)とキャリア(=仕事)に改めて向き合い、自身の強みを再確認し、今後のキャリア形成に生かすプログラムとなっております。

 

③ 社内環境整備

ナックグループは、意欲ある人材の可能性を最大化させるため、多様なサポート制度を整備していきます。

 

<具体的な取り組み>

・女性活躍推進

女性従業員が安心して長く働ける環境を作ると共に、自身の強みを活かして活躍できる組織作りを行っていきます。また、多様な価値観や新たな視点・発想を取り入れるべく2026年度までに正社員に占める女性正社員比率を30%まで引き上げ、女性が活躍できる環境づくりを進めていきます。

 

項目

2022年度実績

2023年度実績

2026年度目標

女性正社員比率

17.9

18.5

30.0

女性管理職率

4.9

3.7

10.0

育児短時間勤務利用率

100

100

100

20代正社員の平均継続勤続年数

男性:2年3ヶ月

男性:2年3ヶ月

男女共に勤務年数を

 

女性:2年4ヶ月

女性:2年4ヶ月

5年にする

 

・中途採用者の活躍

多様な考え方、価値観を事業に取り入れると共に、組織の活性化を目的に中途採用も積極的に活用していきます。

 

・障がい者雇用

障がい者雇用について社会的責任と捉え、計画的な採用活動に取り組んでおります。

 

・人権尊重

不正な行為(法令違反・パワハラ・セクハラ等)を防止するため、eラーニングによる研修やコンプライアンス委員会を開催しています。また、外部の法律相談事務所とも連携し相談窓口(ナックホットライン)を設置し、相談しやすい環境構築を目指しております。

 

・多様な働き方

従業員が働きがいのある職場を目指し、労務管理の改善強化を図ります。フレックスタイムやテレワークなどの柔軟な勤務制度導入をはじめ、男性の育児休業取得促進、仕事と育児・介護の両立支援など、働きやすい職場環境づくりに努めていきます。

 

・エンゲージメント向上

当社では2023年度よりエンゲージサーベイを開始し、従業員の「働きがい」や「人間関係」など、従業員の本音を聞き取り組織力アップや職場の改善につなげる活動を開始しました。

実施した調査結果より、従業員がより高いパフォーマンスを発揮できるようフリーコメントで上がった課題点から業務プロセスなどを見直し、各種改善に向け取り組んでまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業等において、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生時の影響の最小化に努め、事業を行っております。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特定の取引先への依存について

 当社は、株式会社ダスキンとフランチャイズ契約を締結し、同社が開発した商品の借受け・買取りを行い、レンタル・販売を行っております。2024年3月期におけるレンタル事業の売上原価8,540百万円に占める同社からの借受け・買取り商品等の割合は42.11%となっております。

 

(2) 新商品の販売について

 建築コンサルティング事業は、地場工務店の経営支援を目的とした様々なノウハウ商品の提供を行っておりますが、商品のライフサイクルが比較的短いため、新商品の投入時期が遅れた場合には、業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 貸倒引当金の積み増しについて

 建築コンサルティング事業では、地場工務店を主要な顧客としているため、経済状態全般の悪化や取引先等の信用不安などにより、貸倒引当金の積み増しを行う可能性があります。

 

(4) 法的規制について

 当社グループは、法務部門を中心に法令遵守を徹底しておりますが、住宅事業では建設業法、建築基準法、住宅品質確保促進法、宅地建物取引業法等、クリクラ事業では食品衛生法、景品表示法等、美容・健康事業では特定商取引法、薬事法、景品表示法。酒税法等により、それぞれ法規制を受けております。今後、これらの法規制等の新設や改廃が行われた場合、もしくはこれらに抵触することがあった場合には、業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 事業環境の変化について

 住宅事業は、個人消費動向、金利動向、地価動向、住宅関連政策ないしは消費税増税等の税制の動向、それらに起因する賃料相場の上下、さらには地方経済動向等に影響を受けやすい傾向があり、今後それらの事業環境の変化により、業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 原材料価格、資材価格の高騰について

 住宅事業では、住宅を構成する主要構造部材である合板、木材等の価格が急激に高騰した場合に、原材料および資材等の仕入費用が上昇し、業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 品質管理について

 クリクラ事業では、食品衛生法に基づきHACCP(ハサップ)に適応した厳格な品質管理体制を基に「ミネラルウォーター」を製造し、ウォーターサーバーの製造・レンタル・メンテナンスについても管理を徹底しておりますが、自社の製品水や給水サーバーに品質上の問題が生じた場合は、信用低下等により業績に影響を与える可能性があります。

 住宅事業では、資材・部材・設備および住宅の施工における品質管理について万全を期しておりますが、想定の範囲を超える契約不適合責任等が生じた場合は、多額の費用発生や信用低下等により業績に影響を与える可能性があります。

 美容・健康事業では化粧品・健康食品等の製造にあたり、製造委託先への定期的な立ち入り検査、製造立会い等により、その品質維持に努めておりますが、万一製品に品質上の問題が生じた場合は、信用低下等により業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 為替変動について

 クリクラ事業では、サーバーの輸入価格が主に韓国ウォン建てであり、想定の範囲を超えて円安が進んだ場合には、業績に影響を与える可能性があります。なお、当社では、必要に応じて為替予約等を利用したリスクヘッジを実施しております。

 

 

(9) 加盟店展開について

 クリクラ事業は、全国に400社以上の加盟店を有し、加盟店には自ら製造を行う加盟店と販売のみを行う加盟店があります。当社は、これらの加盟店に対して事業運営上必要なノウハウや商材等の提供を行っておりますが、加盟店において品質管理、販売面等で問題が生じた場合は、ブランドイメージの悪化等により、業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)個人情報の管理について

 当社グループは、多数の個人情報を有しております。個人情報に関する規定の整備や従業員教育により、その保護の徹底を図っておりますが、万一個人情報の流出が発生した場合には、信用低下等により業績に影響を与える可能性があります。

 

(11)資本業務提携について

 当社は、2018年8月30日に株式会社ダスキンとの間で資本業務提携契約を締結いたしました。本提携により、当社グループは、株式会社ダスキンとの関係を一層強固なものとし、フランチャイズによる事業を推進することで、これまで以上に両社のシナジーを得られるものと見込んでおりますが、本資本業務提携契約に基づく資本業務提携については、事業環境の悪化等により、期待される収益が得られない可能性があり、そのような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、感染症に係る行動制限の解除以降、経済活動の正常化が進む中で、景気回復の兆しが見えております。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化による原材料費・エネルギー価格の高騰及び物価の上昇など、依然として先行き不透明な状況が続いています。当社グループの事業領域である小売・サービスにおいては、個人消費には足踏みが見られるものの、所得には持ち直しの動きが見られ、先行きについては回復に向かうことが予想されます。雇用情勢は給与等の増加により改善の動きが見られ、消費動向も外食、旅行等の対面型サービスを中心に回復の動きが見られます。

 このような中、当社グループでは各事業分野において、人生100年時代に向けた需要増加を見据え、LTV・顧客サービスの向上、販促活動や商圏の拡大及び事業再編に積極的に取り組んでまいりました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績の概要は以下のとおりとなりました。

 

イ.財政状態                                                                          (単位:百万円)

区分

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

増減

増減率

(%)

資産合計

38,735

37,615

△1,120

△2.9

負債合計

15,531

14,899

△631

△4.1

純資産合計

23,204

22,715

△488

△2.1

 

ロ.経営状態                                                                          (単位:百万円)

区分

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

増減

増減率

(%)

売上高

57,068

54,433

△2,634

△4.6

営業利益

3,232

2,298

△934

△28.9

経常利益

3,243

2,390

△852

△26.3

親会社株主に帰属する当期純利益

2,002

1,436

△565

△28.2

 

ハ.セグメント経営成績

売上高                                                                               (単位:百万円)

セグメント名称

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

増減

増減率

(%)

クリクラ事業

14,733

15,239

506

3.4

レンタル事業

18,722

17,463

△1,258

△6.7

建築コンサルティング事業

6,754

5,661

△1,093

△16.2

住宅事業

10,067

9,448

△618

△6.1

美容・健康事業

6,826

6,684

△141

△2.1

セグメント間消去

△35

△64

△29

合  計

57,068

54,433

△2,634

△4.6

 

営業利益                                                                             (単位:百万円)

セグメント名称

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

増減

増減率

(%)

クリクラ事業

1,618

1,706

87

5.4

レンタル事業

2,050

1,597

△452

△22.1

建築コンサルティング事業

847

28

△818

△96.6

住宅事業

△181

27

208

美容・健康事業

238

298

59

24.9

その他調整

△1,341

△1,360

△19

合  計

3,232

2,298

△934

△28.9

 

② キャッシュ・フローの状況                                                              (単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

増減

増減率

(%)

営業活動による

キャッシュ・フロー

1,709

△10

△1,720

投資活動による

キャッシュ・フロー

△361

△1,097

△735

財務活動による

キャッシュ・フロー

△2,555

△1,914

640

現金及び現金同等物の

期末残高

11,029

8,056

△2,972

△27.0

 

③ 仕入、生産、受注及び販売の実績

イ.商品等仕入実績

当連結会計年度の商品等仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。   (単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比

(%)

クリクラ事業

3,487

111.9

レンタル事業

4,714

106.2

建築コンサルティング事業

1,151

98.4

住宅事業

15

75.8

美容・健康事業

2,509

105.6

合計

11,879

106.8

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.商品等仕入実績には、フランチャイザーより賃借しているレンタル商品の当期受入に相当する賃借額及び少額資産購入高を含んでおります。

 

ロ.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。      (単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比

(%)

クリクラ事業

2,833

133.2

美容・健康事業

632

112.9

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額は、製造原価によっております。

 

 

ハ.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

住宅事業

4,322

125.6

2,218

106.8

建築コンサルティング事業

120

64.2

88

58.9

合計

4,442

122.5

2,306

103.6

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

ニ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。      (単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比

(%)

クリクラ事業

15,237

103.4

レンタル事業

17,462

93.3

建築コンサルティング事業

5,653

83.7

住宅事業

9,448

93.9

美容・健康事業

6,632

97.6

合計

54,433

95.4

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、有価証券、棚卸資産、固定資産に関しては、重要な会計方針により継続的な評価を行っております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 5.会計方針に関する事項」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績等

・財政状態の分析

(資産合計)

 当連結会計年度末における資産総額は、37,615百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,120百万円減少しております。この要因は主に、販売用不動産が1,068百万円、受取手形及び売掛金が373百万円増加した一方で、現金及び預金が2,964百万円減少したことによるものであります。

 

(負債合計)

 当連結会計年度末における負債総額は、14,899百万円となり、前連結会計年度末と比べ631百万円減少しております。この要因は主に、未払法人税等が448百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産合計)

 当連結会計年度末における純資産額は、22,715百万円となり、前連結会計年度末と比べ488百万円減少しております。この要因は主に、配当金の支払により利益剰余金が894百万円、その他有価証券評価差額金が97百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益が1,436百万円増加したことによるものであります。

 

・経営成績等の分析

(売上高)

 売上高は、前期比で2,634百万円減少し、54,433百万円となりました。クリクラ事業では、猛暑による1顧客当たりのボトル消費量の増加や、前期に実施した値上げの影響で顧客単価が増加し前期比で3.4%増加しました。レンタル事業では、ダスキン事業ケアサービス部門での事業数追加及びウィズ事業にて飲食店への納品率向上があった一方、株式会社アーネストでの感染症関連事業(厚生労働省が実施する水際対策の支援事業等)の受注減少により、前期比で6.7%減少しました。建築コンサルティング事業では、コンサルティング部門において、建築部資材の高騰やコロナ対策融資の返済開始に伴うキャッシュフローの悪化により、顧客である地場工務店の経営改善への投資意欲が低下し、前期比で16.2%減少しました。住宅事業では、株式会社ケイディアイにて販売棟数が伸び悩み、前期比で6.1%減少しました。美容・健康事業においては、株式会社JIMOSのブランド「SINN PURETÉ(シンピュルテ)」の売上高増加や株式会社トレミーでの受注数増加の一方、株式会社アップセールにてEC販売の価格競争激化による販売量減少等により、前期比で2.1%減少しました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費及び営業利益)

 売上原価は、レンタル事業の株式会社アーネストでの売上高減少に伴う外注費の減少等により、全体では前期比で1,826百万円減少し、27,504百万円となり、売上原価率は前期比で0.9%減少し、50.5%となりました。

 

 販売費及び一般管理費は、前期比で125百万円増加し、24,631百万円となりました。これは、主にクリクラ事業において広告投資を積極的に実施したことで、広告宣伝費及び販売促進費が増加したことによります。

 

 営業利益は、前期比で934百万円減少し、2,298百万円となりました。クリクラ事業では、クリクラボトルの値上げ及び1顧客当たりの消費量増加により、前期比で87百万円増加しました。レンタル事業では、株式会社アーネストの売上高減少により、前期比で452百万円減少となりました。建築コンサルティング事業では、売上総利益率の高いコンサルティング部門において売上高が減少したため、前期比で818百万円減少しました。住宅事業では、株式会社ジェイウッドにおける販売価格の見直しによって売上総利益率が改善したことで、前期比で208百万円増加しました。美容・健康事業では、株式会社JIMOS及び株式会社トレミーの売上高増加やグループ会社間のオフィス統合によるコストコントロール等が寄与し、前期比で59百万円増加しました。

 

(営業外損益)

 営業外損益は、92百万円の利益(前期は10百万円の利益)となりました。

 

(特別利益)

 特別利益は、1百万円(前期は26百万円)となりました。固定資産売却益1百万円を計上しております。

 

(特別損失)

 特別損失は、13百万円(前期は65百万円)となりました。固定資産処分損13百万円を計上しております。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 税金等調整前当期純利益は、前期比で825百万円減少し、2,379百万円となりました。税金費用は前期比で260百万円減少し、942百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,436百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益2,002百万円)となりました。

 

・キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)残高は、前連結会計年度末に比べ2,972百万円減少し、8,056百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により支出した資金は、10百万円となりました。この要因は主に、税金等調整前当期純利益2,379百万円、減価償却費977百万円による増加、法人税の支払額1,535百万円、棚卸資産の増加1,236百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により支出した資金は、1,097百万円となりました。この要因は主に、有形固定資産の取得による支出287百万円、投資有価証券の取得による支出415百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により支出した資金は、1,914百万円となりました。この要因は主に、配当金の支払いによる支出894百万円、自己株式取得による支出967百万円等によるものであります。

 

なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりとなっております。

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

自己資本比率(%)

59.9

60.4

時価ベースの自己資本比率(%)

55.5

61.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

4.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

33.5

各指標の算定式は以下のとおりであります。

自己資本比率 : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。

3.営業キャッシュ・フロー及び利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロー及び利息の支払額を使用しております。

4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

5.2024年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

ロ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、創業の事業であるレンタル事業を中心に、クリクラ事業、建築コンサルティング事業、住宅事業、美容・健康事業の5つの事業体制からなる「複合企業体」として事業運営しております。この5つの事業について、経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討した内容は以下となります。

 

・クリクラ事業

 ウォーターサーバー業界の市場動向及び食品衛生法等の法規制・各種制度の改正が、クリクラ事業の経営成績に重要な影響を及ぼすと考えられます。また、「ミネラルウォーター」の品質管理も重要な影響を及ぼすと考えられるため、本庄工場ではFSSC22000認証の取得や当社内での研究所で品質検査を実施することで品質維持をしております。市場動向は、定額かつ安価で利用できる浄水型ウォーターサーバーの需要拡大に伴い顧客獲得競争が一層激しくなっております。また、物価高騰による既存顧客のボトルの買い控えも見られます。

 このような中、クリクラ事業では、顧客数の拡大のため、積極的なWEB広告の出稿を行うほか、主にショッピングモール等で行うイベント営業を強化し新規顧客接点を増加させます。さらには浄水型ウォーターサーバー「feel free(フィールフリー)」の販促活動を強化してまいります。また、引き続きシステムインフラ「CrePF(クリクラプラットフォーム)」の加盟店への導入を進め、クリクラブランド全体でのDX推進に取り組んでまいります。

 

・レンタル事業

 創業事業であるダスキン事業は、株式会社ダスキンとの資本業務提携契約に基づき事業数を拡大してきたケアサービス部門及びヘルスレント部門での投資回収を進めます。また2023年11月には、さらなる事業拡大・成長のための新たな共同プロジェクトを発足し、現在プロジェクトの詳細について両社間で協議を行っております。害虫駆除器「with」を主力とするウィズ事業では、主要顧客の飲食店が市場回復したことを追い風に、営業活動の強化及び効率化を図ることで顧客件数の拡大に取り組みます。株式会社アーネストでは、ホテルのベッドメイキング等インバウンド需要の対応を強化することで受注獲得に注力してまいります。株式会社キャンズでは、グループシナジーを活用することで受注・活動エリアの拡大を図ります。

 

・建築コンサルティング事業

 地場建築業界の慢性的な職人不足、物流コストの高騰、物価高及び中小企業支援の政策等が、建築コンサルティング事業の経営成績に重要な影響を及ぼすと考えられます。

 これらに対応するため、コンサルティング部門では引き続きDXや省エネ化を推進する商品の販促活動及び補助金対象商品を活用した営業手法を強化することで、販売数を拡大してまいります。さらには無料会員制度「D-mot(ディーモット)」のサービス内容拡充による潜在顧客へのアプローチを目指します。ナックハウスパートナー株式会社では、住宅ネットワーク事業・スマートエネルギー事業の両事業間、またコンサルティング部門とのシナジーにより、省エネ関連商材の受注比率向上や新商品・新サービスの開発を行います。

 

・住宅事業

 住宅業界の市場動向及び建設業法等の法規制・各種制度の改正等が、住宅事業の経営成績に重要な影響を及ぼすと考えられます。市場動向としては、土地価格や建築部資材等の高騰により厳しい状況が続いています。

 これらに対応するため、株式会社ケイディアイでは、これまで情報の少なかったエリアの再開拓を行い、用地仕入を強化することで事業拡大してまいります。株式会社ジェイウッドでは、需要の高まっている平屋や店舗併用型住宅受注への積極展開を進めます。北海道で展開するKUNIMOKU HOUSE事業では、高性能住宅の拡充により商品ラインナップを充実させることで顧客獲得に注力してまいります。

 

・美容・健康事業

 通販・化粧品業界の市場動向及び特定商取引法等の法規制・各種制度の改正や、物流コストの高騰をはじめとする事業環境の変化が、美容・健康事業の経営成績に重要な影響を及ぼすと考えられます。化粧品市場の動向としては、マスク着用方針の緩和等感染症の影響が落ち着いたことでメイクアップ商品が需要回復し、業界全体に持ち直しの兆しが見られます。

 これらに対応するため、株式会社JIMOSでは、各ブランドの主要製品の強化・リニューアル、また新規顧客獲得を目的とした新商品・新カテゴリの開発を行うことで事業拡大を目指します。株式会社ベルエアーでは、商品リニューアルによる新規顧客獲得と販路拡大を図ります。株式会社アップセールでは、新たにグループに加わった巴ワイン・アンド・スピリッツ株式会社と連携し、ワインの直販を推進してまいります。さらに、自社ECサイトを活用したグループ顧客の囲い込みや、医薬品の販売拡大に向けた広告投資を実施します。株式会社トレミーでは、医薬部外品を中心としたODM商品の開発や協力工場との連携を強化することで市場競争力を高め、新規受注の増加を図ります。また、自社グループ製造によるコストメリットを活かし、各事業との連携強化によるグループシナジーの最大化を目指します。

 

ハ.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っております。なお、運転資金及び設備資金につきましては、子会社のものを含め当社において一元管理しております。

 現在の資金調達力を維持するとともに、健全な財務バランスを追求していく方針であります。

 

ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社では、更なる成長を目指し、「連結売上高」の拡大を図るとともに、株主利益重視の観点から、「株主資本利益率(ROE)」を高水準に維持していくことを重要な経営目標としております。また、セグメントの業績管理では、セグメントごとの「売上高」「営業利益」を指標として管理しております。

(単位:百万円)

指標

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

翌連結会計年度(見込)

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

増減

増減率

(%)

売上高

54,433

65,500

11,066

20.3

営業利益

2,298

4,000

1,701

74.1

親会社株主に帰属する当期純利益

1,436

2,550

1,113

77.5

株主資本利益率(ROE)(%)

6.1

10.5

4.5

 

 なお、指標の分析は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 イ.経営成績等 ・経営成績等の分析」に記載のとおりであります。

また、セグメントの指標は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 ハ.セグメント経営成績」、セグメントの指標の分析は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ホ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

 

ホ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

・クリクラ事業

 ウォーターサーバー業界は、感染症による行動制限が解除されたことによる巣ごもり需要の解消や、昨今の物価上昇の影響によるボトルの買い控えが見られました。一方で、定額かつ安価で利用できる浄水型ウォーターサーバーが急速に需要拡大しております。

 クリクラ事業では、浄水型ウォーターサーバーの需要拡大に対して、単身者や高齢者に向けた小型の浄水型ウォーターサーバー「putio(プティオ)」を新たに販売開始しました。また、ショッピングモールなどで行う威年と営業も強化し、販促活動強化に取り組みました。また、データ活用及び効率化を目的としたシステムインフラ「CrePF(クリクラプラットフォーム)」の加盟店への導入拡大、サステナビリティ戦略に向けた投資等にも取り組みました。また2022年10月には、昨今の原材料費の高騰や人件費、物流費の上昇等を受け、クリクラボトルの値上げを実施しました。

 直営部門は、宅配水「クリクラ」において、前期比で顧客件数は増加し解約率は改善傾向にあります。また、猛暑による1顧客あたりのボトル消費量増加やクリクラボトルの値上げ、浄水型ウォーターサーバーの顧客獲得が順調に推移したことにより、売上高は前期比で増加しました。次亜塩素酸水溶液「ZiACO(ジアコ)」においては、感染症対策として利用していた顧客の解約が増加し、売上高は前期比で減少しました。結果、直営部門全体の売上高は前期比で増加となりました。

 加盟店部門では、前期比で顧客件数は減少しているものの、加盟店へのサーバー販売数が増加したことに加え、値上げの影響で売上高は前期比で増加しました。

 損益面では、1顧客あたりのボトル消費量の増加及び、クリクラボトルの値上げによる売上高増加により、営業利益は前期比で増加しました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高15,239百万円(前期比3.4%増)、営業利益1,706百万円(同5.4%増)となりました。資産は、前連結会計年度に比べ2,319百万円減少し、10,106百万円となりました。

 

・レンタル事業

 レンタル事業では、感染症で変化したクリンネス市場の需要やライフスタイルに対応した商品・サービスの提供を行いました。さらに人生100年時代に向け、家事代行や介護用品レンタル等のサービス需要の増加を見込み、販売網の拡大やサービス体制の強化に取り組みました。

 主力のダスキン事業では、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴い既存顧客の解約率は低下しているものの、コロナ禍に衛生管理の観点で利用者が増加していた空気清浄機の新規顧客が減少しました。一方、家事代行や害虫駆除、花と庭木の管理といった包括的な役務サービスを提供するケアサービス部門において引き続き事業数を増やしたこと(2018年8月に締結した株式会社ダスキンとの資本業務提携後から販促人員を増強して営業活動拡大中)に伴い、エアコン清掃や家事代行の受注が増加したことで、売上高は前期比で増加しました。

 害虫駆除器「with」を主力とするウィズ事業では、主要顧客である飲食店への納品率が向上したことに加え、新規顧客獲得を目的とした販促活動の強化により、売上高は前期比で同水準(微増)となりました。

 法人向け定期清掃サービスを提供する株式会社アーネストでは、前期に売上に貢献していた厚生労働省が実施する感染症関連事業の受注が減少し売上高は前期比で大幅に減少しました。

 損益面では、ダスキン事業、ウィズ事業での売上高増加があったものの、株式会社アーネストでの感染症関連の売上高が減少した影響で、営業利益は前期比で減少しました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高17,463百万円(前期比6.7%減)、営業利益1,597百万円(同22.1%減、株式会社キャンズののれん償却額9百万円を含む)となりました。資産は、前連結会計年度に比べ1,957百万円減少し、6,563百万円となりました。

 

・建築コンサルティング事業

 地場建築業界及び市場は、建築部資材価格の高止まりが改善しつつあるものの、人口減少による住宅着工棟数の減少や慢性的な職人不足により、依然として厳しい外部環境になりました。

 コンサルティング部門では、DXやSDGs関連の新商品を複数投入、また前期に販売を開始したIT導入支援を目的とした補助金対象商品の販売を強化しました。しかしながら、長期化する建築部資材の高騰や感染症関連融資の返済開始等により、顧客である地場工務店の経営改善への投資意欲が低下したことで商品の販売数が減少し、売上高は前期比で減少しました。

 ナックハウスパートナー株式会社では、省エネ関連部資材の施工及び販売を手掛けるスマートエネルギー事業において、半導体不足に起因する商品供給遅延が収束し供給量が安定したこと、及び材工売上高が伸長した一方で、材工請負へのシフトにより卸売上高が減少し、売上高は前期比で同水準(微減)となりました。住宅ネットワーク事業では、フランチャイズ加盟店の受注減少により、売上高は前期比で減少しました。

 損益面では、ナックハウスパートナー株式会社のスマートエネルギー事業において、前期に引き続き卸売り中心から工事請負を含めた販売構成にシフトチェンジしたことで売上総利益率が改善しましたが、売上総利益率の高いコンサルティング部門における売上高減少が影響し、建築コンサルティング事業全体の営業利益は前期比で大幅に減少しました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高5,661百万円(前期比16.2%減)、営業利益28百万円(同96.6%減、ナックハウスパートナー株式会社ののれん償却額41百万円を含む)となりました。資産は、前連結会計年度に比べ223百万円減少し、4,257百万円となりました。

 

 

・住宅事業

 住宅業界は、国土交通省発表の3月新設住宅着工戸数によると、貸家や分譲住宅を含む全体では10ヶ月連続で減少、当社の事業領域である持家では28ヶ月連続の減少となり、引き続き厳しい状況となりました。

 株式会社ケイディアイでは、土地の仕入れ価格や建築コスト高騰による住宅販売価格の上昇、また物価上昇による消費マインドの低下等が住宅需要を抑制する状況が続いている影響で販売棟数が伸び悩み、売上高は前期比で減少しました。

 株式会社ジェイウッドでは、1棟あたりの販売価格の見直しを行いましたが、建売住宅の販売が停滞したことで、売上高は前期比で同水準(微減)となりました。

 損益面では、株式会社ケイディアイにおいて、在庫の不良化を回避するため販売価格の調整を図り、完成在庫を中心に早期販売を行ったことで売上総利益率が下がり、営業利益が大幅に減少しました。一方で株式会社ジェイウッドでは、1棟あたりの販売価格の見直しにより売上総利益率が改善したことで営業損失が大幅に縮小し、住宅事業全体では、損失計上だった前期から利益計上となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高9,448百万円(前期比6.1%減)、営業利益27百万円(前期営業損失181百万円、株式会社ケイディアイののれん償却額7百万円を含む)となりました。資産は、前連結会計年度に比べ1,252百万円増加し、7,239百万円となりました。

 

・美容・健康事業

 化粧品業界は、新型コロナウイルスの5類感染症への移行に伴い外出機会の増加や脱マスクの動きが加速し、メイクアップ及びアンチエイジング等のスキンケア需要が増加しました。また、訪日外国人によるインバウンド消費も増加しており、業界全体が堅調に回復に向かいました。

 株式会社JIMOSでは、香りを訴求するタイプの化粧品のマーケットが拡大したことで、香りで始めるスキンケアを提唱する「SINN PURETÉ(シンピュルテ)」が伸長しました。また、美容液ファンデーションを主軸とする「MACCHIA LABEL(マキアレイベル)」での新規顧客獲得が好調だったことに加え、看板商品である「薬用クリアエステヴェール」の上位版である「薬用クリアエステヴェールEX」の販売が順調に推移しました。さらに、原料資材高騰及び物流費用の上昇を商品価格に反映し各ブランド値上げをしたことで、売上高は前期比で増加しました。

 株式会社ベルエアーでは、主力の栄養補助食品における会員数減少により、売上高は前期比で減少しました。

 株式会社アップセールでは、EC販売の価格競争が激化したことによる販売量の減少や、医薬品販売において競合商品が複数販売され、新規顧客獲得効率が悪化したことにより売上高は前期比で大幅に減少しました。

 株式会社トレミーでは、化粧品市場の回復に伴う既存顧客からの受注増加に加え、大手販売先からの新規受注やインバウンド需要による受注があり、売上高は前期比で増加しました。

 損益面では、株式会社アップセールにおいて大幅な売上高減少があったものの、株式会社JIMOS、株式会社トレミーの売上高が増加したことに加え、グループ会社間のオフィス統合やコストコントロールが寄与し、美容・健康事業全体の営業利益は前期比で増加しました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高6,684百万円(前期比2.1%減)、営業利益298百万円(同24.9%増、株式会社JIMOS、株式会社ベルエアー、株式会社アップセール及び株式会社トレミーののれん償却額等167百万円を含む)となりました。資産は、前連結会計年度に比べ1,148百万円増加し、5,978百万円となりました。

5【経営上の重要な契約等】

(1) 資本業務提携

当社は、2018年8月30日開催の取締役会において、株式会社ダスキンとの間で本資本業務提携契約を締結することを決議いたしました。

本提携により、当社グループは、ダスキンとの関係を一層強固なものとし、フランチャイズによる事業を推進することで、これまで以上に両社のシナジーを得られるものと見込んでおりますが、本資本業務提携契約に基づく資本業務提携については、事業環境の悪化等により、期待される収益が得られない可能性があり、そのような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) フランチャイズ契約

株式会社ダスキンとのフランチャイズ契約

当社グループは株式会社ダスキンとの間に下記のフランチャイズチェーン契約を締結しております。

① ダスキン 愛の店 ダストコントロールフランチャイズチェーン契約

(主な取扱商品:マット・モップ)

② ダスキン 愛の店 エアーコントロールフランチャイズチェーン契約

(主な取扱商品:空気清浄機)

③ ダスキン 愛の店 ウォーターコントロールフランチャイズチェーン契約

(主な取扱商品:浄水器)

④ ダスキン 愛の店 クリーンサービスフランチャイズチェーン契約

(主な取扱商品:ロールタオル・ペーパータオル)

⑤ ダスキン リネンサービスフランチャイズチェーン契約

(主な取扱商品:産業ウエス)

⑥ ダスキン サービスマスターフランチャイズチェーン契約

(店舗・オフィス等の掃除代行)

⑦ ダスキン メリーメイドフランチャイズチェーン契約

(家事代行)

⑧ ダスキン ターミニックスフランチャイズチェーン契約

(害虫駆除)

⑨ ダスキン トータルグリーンフランチャイズチェーン契約

(花と庭木の管理)

⑩ ダスキン ホームリペアフランチャイズチェーン契約

(住宅修繕)

⑪ ダスキン ヘルスレントフランチャイズチェーン契約

(介護用品・福祉用具のレンタル・販売)

このうち代表的な①ダスキン愛の店ダストコントロールフランチャイズチェーン契約の概要は、次のとおりであります。

契約の要旨:「ダスキン」の名称等を一定の条件に従って使用し、本部が開発した商品等の借受け、もしくは買取り、愛の店事業運営上必要な一切の事業システム及びノウハウの提供を受ける。

契約期間 :契約期間は3年間とし、双方のいずれかより期間満了の30日前までに書面にて更新しない旨の意思表示がない場合は、自動的に1ヶ年更新されるものとし、爾後もこの例によるものとする。

対価   :契約締結に際して加盟店は本部に対して一定額の加盟金を支払いまた加盟保証金を預託するものとする。

 

6【研究開発活動】

当社グループでは、美容・健康事業において、化粧品の新商品の開発及びリニューアル等のために研究開発を行っております。大手化粧品メーカーによる通販事業分野への参入により、競争は激化しており、他社と差別化した商品を供給していくことが課題と考えております。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、3百万円となっております。