第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「『人は変われる。』を証明する」をグループ理念として掲げ、全ての人が、より健康に、より輝く人生を送るための「自己実現産業」を事業領域として様々な商品、サービスを提供しております。当社グループではこのグループ理念をグループ全社で共有し、世界中から必要とされ続ける商品・サービスを提供し続けることを使命として事業を推進しています。

(2)目標とする経営指標

 当社は継続的な収益力の指標として「営業利益」を、成長性の観点から「売上収益」を経営指標としております。また、事業毎の収益性の観点から「売上収益営業利益率」を補助指標としております。

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、2022年9月に、2023年3月期を初年度とする2026年3月期までの4ヵ年の中期経営計画を策定し、2024年2月に、これを2027年3月期を最終年度とする中期経営計画に改訂いたしました。

 2020年3月期以降、新型コロナウイルス感染症拡大による不透明な経営状況が続く中、グループ機能統合プロジェクト「ONE RIZAP」の方針の下、新たな収益の柱としてのEC事業の成長、グループ横断的なコスト最適化などの施策を実行してまいりました。これらの経営改革の成果により、2021年3月期および2022年3月期の通期決算において2期連続の黒字、および大幅増益を達成したことから、今後の持続的な成長および企業価値の向上に向けて、RIZAP事業における知見・ノウハウを進化させた新規事業である「chocoZAP(チョコザップ)事業」を本格展開させ、新たな成長フェーズへと移行しております。

 「chocoZAP」は、誰もが簡単に、毎日の生活に運動習慣を定着させることができ、毎日最短5分の運動で健康効果を得ることができる、RIZAP発の運動初心者向け世界初の「コンビニジム」です。パーソナルトレーニングジム「RIZAP(ライザップ)」の知見やノウハウを最大限に活用し進化させた、独自の「5分でも結果を出せる」メソッドを低価格で実現しております。

 また、お客様のライフスタイルを変えるための必需品として、「スターターキット」(体組成計・ヘルスウォッチ)をchocoZAPの全ゲストに提供いたします。体組成計とヘルスウォッチで日々の健康数値を記録し、ライフログデータを蓄積することで、AI(人工知能)を搭載した専用アプリがパーソナルトレーナーの代わりに健康目標達成をサポートし、運動は辛くて苦しいと感じている方でも、運動習慣を毎日の生活に簡単に取り入れることができ、健康維持や体力向上、ダイエット効果を実感いただけます。さらに、従来のジムにはなかったセルフネイルや歯のホワイトケア等の多種のサービスを取り入れ、お客様の身体的・精神的・社会的健康をサポートしております。

 この中期経営計画においては、「chocoZAP事業」に成長投資を集中させるとともに、グループ各社とのシナジーを最大化させ、当社グループのコア事業としての育成を進めてまいります。既存事業においてはグループ各社の継続した経営合理化により安定した利益成長を図ることで、中期経営計画の4年目にあたる2026年3月期に連結営業利益300億円、最終年度である2027年3月期に連結営業利益400億円の達成を目標とし、持続的な企業価値向上を可能とする経営基盤の強化を進めるとともに、「人類の健康に最も貢献する企業グループ」を目指して挑戦を続けてまいります。

(4)経営環境

 当社グループを取り巻く経営環境につきましては、2020年より感染が急拡大した新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動への制限、雇用環境の悪化や消費者マインドの低下などからは回復しつつあるものの、世界的な原材料・エネルギー資源の高騰や、長期化する円安の影響、これらに伴う物価上昇等により、依然として先行き不透明の状況にあり、全体として厳しい経営環境が続いております。

 また、我が国においては、業界・業態を超えた企業間の競争が激化していることに加え、少子高齢化や人口減少といった構造的な問題の他、生活様式及び購買行動の変化など、当社グループを取り巻く今後の消費マーケットが大きく変化し、当社グループを取り巻く経営環境に大きな影響を与えることが想定されております。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 人材の確保及び管理体制の強化

 当社グループは、人材の確保が経営の重要課題の一つであると認識しております。今後の業績拡大のため、引き続き、エンジニアを含むDX(デジタルトランスフォーメーション)人材をはじめ、商品企画開発、マーケティング、営業等の事業成長に直結する能力を有する人材、業績管理やコンプライアンス等グループ全体を適切に管理できる能力を有する人材の確保が重要と考えております。グループ内での機能統合や人材の活用、外部からの採用等を行うことで、経営基盤の強化を着実に進めたいと考えております。

② 消費者ニーズの変化に対応する新商品・新サービスの開発

 今後当社グループが業績を伸ばしていくためには、変化が続いている消費者の購買行動やニーズに合致した新商品や新サービスの企画開発に努める必要があります。また、そのような消費者ニーズの変化に対応しながら、特にPB商品やその他商品・サービスのラインアップの充実とライフサイクルの段階に応じた新商品や新サービスの投入の強化を図ってまいります。

③ リピート顧客の育成

 当社グループが安定的な利益を生み出すためには、新規顧客だけでなく継続的に商品やサービスをご購入いただくリピート顧客の獲得が重要となります。当社グループは、新規にご購入いただいたお客様にリピートしていただくため、コールセンターによるフォローコールや、コミュニケーションツールとしてのショッピングサイトの構築等、顧客満足度の向上に努め、リピート顧客=ファン顧客の獲得・拡大に取り組んでまいります。

④ マーケティングの強化

 当社グループのヘルスケア・美容事業において、売上に対する広告宣伝費の割合は高く、新規顧客獲得のための広告宣伝活動は非常に重要であります。当社グループは、広告宣伝活動の強化を推進するとともに、費用対効果の高い広告宣伝媒体・手法を常に開拓し、顧客獲得コストの最適化を図ってまいります。

⑤ グループシナジーの活用

 当社グループは、グループ内の事業との親和性の高い事業を運営する企業を子会社化し、グループを拡大してまいりました。今後は個々の事業会社の強みを活かしながら、グループ会社間でのシナジーを最大限に発揮するための企業間連携を更に強め、グループ全体での売上・利益拡大の実現に向け取り組んでまいります。

⑥ コンプライアンス体制の強化

 当社グループは、各種事業を営むにあたり、大量に個人情報を収集・保有しております。個人情報保護を徹底するため、引き続き管理体制の強化に努めてまいります。

 また、当社グループは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「食品衛生法」、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「製造物責任法(PL法)」、「特定商取引に関する法律」等、多くの法的規制を受けており、関係部門で関係諸法令のチェック体制を常に整備しておく必要があります。

 当社は、当社およびグループ会社の財務報告の信頼性を確保するために内部統制システムの構築を行い、その仕組みが適正に機能することを継続的に評価し、不備があれば必要な是正を行うことにより、「金融商品取引法」およびその他関係法令等を遵守する体制を整備してまいります。

 今後も、コンプライアンス体制の充実に積極的に取り組んでまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は、中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティにおける各種対応について、経営の重要課題として認識しております。当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

 当社では、コーポレート・ガバナンスを経営統治機能と位置づけており、企業価値を継続的に高めていくための不可欠な機能であると考えております。当社は取締役会の過半数を社外取締役とし、社外からの客観的意見を重視し意思決定を行う体制としております。さらに、執行権限及び執行責任の明確化のため、執行役員制度も導入しており、監督と執行の分離による実効的なコーポレート・ガバナンスを推進し、持続的成長を実現、企業価値を継続的に高めていきたいと考えております。

 経営企画部門の責任者がサステナビリティに関連するリスクと機会の監視・管理を行っております。上記に加えて法務部長・リスクマネジメント部長・内部監査室長・広報部長によって組成される危機管理対策連絡会において、事業運営におけるサステナビリティに関連するリスクも含む各種リスクについて共有・討議を行っております。また、代表取締役社長・内部監査室長によって組成されるリスク・コンプライアンス委員会において、サステナビリティに関連するリスクも含む各種リスクおよびコンプライアンス案件について報告・協議を行っております。

(2)戦略

 当社は、持続的な成長や企業価値の向上を実現していくうえで、人材は重要な経営資源であると考えており、人材の育成に関する基本方針及び社内環境整備に関する方針は以下となります。

 社内の多様性を確保するために、女性の管理職への登用等の方針策定と目標設定を行いました。また、新卒採用を強化し、中長期的な配置転換、抜擢人事を通じて組織全体の活性化を図るとともに、経営者育成プログラムにより経営幹部への育成を推進しております。その他、DX専門子会社であるRIZAPテクノロジー株式会社を設立し、Web・UIUXデザイナー、デジタルマーケター、データアナリスト、エンジニア等DX人材の積極的な採用および社内リスキング教育など育成を行っております。DX人材に限らず、継続的に社内の多様性の確保を推進するとともに、社員育成のための投資を行い、持続的成長を目指してまいります。

 人事評価制度については、当社および主なグループ会社において共通かつ公平な人事評価制度の構築を推進してまいりました。今後も人事の基本方針及び人材育成方針の見直し、検討、策定を踏まえ、人材を計画的に採用し、育成を行う社内環境の整備を推進してまいります。

 また、人材の多様性の確保を含む社内環境整備に関する方針として、当社グループとしては、国籍・ジェンダー・障がい者等の人材の多様性の確保、育児環境下でも就業が継続できるような体制の構築、女性の働きやすい会社の実現、LGBT応援の社内環境整備(レインボープライド指標 GOLDの取得)等を設定しておりますが、これら取組については、現時点での個別の会社での取組であることや、取組開始から日が浅く具体的な指標の設定に至っておらず、連結ベースでの目標数値の開示が難しいため、今後の取組の進捗を踏まえて、数値目標の開示を検討してまいります。

 また、持続的成長に向けたグループ全体の施策として、カーボンニュートラルへの取組強化を掲げております。新規事業のコンビニジム「chocoZAP」店舗、パーソナルトレーニングジム「RIZAP」店舗、グループで運営する小売店舗、プライベートブランド等の商品開発や物流関連、本社機能における事業活動を通じて、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を強化し、持続可能な社会の実現にグループ全体で取り組んでまいります。店舗部門では再生可能エネルギーへの切り替えやカーボンフットプリントによる商品環境負荷の見える化、商品リサイクルの推進、物流部門では納品伝票の電子化・検品簡素化、全社共通として電子化による紙使用量削減、使用電力のクリーン化等について、グループ全社で取組を推進しております。

 これらの取組については、指標及び目標を具体的に設定していないため、当該資料及び目標の開示をしておりませんが、今後の実績を勘案しながら、数値目標の開示を検討してまいります。

(3)リスク管理

 当社は、リスク管理を経営上の重要な活動と認識しており、各種のリスクに対応すべく、リスク管理体制の基礎としてリスク・コンプライアンス管理規程を定め、同規程に基づき個々のリスクを認識し、その把握と管理責任者を決定し、管理体制を構築しております。

 また、当社グループ全体のリスク管理におきましては、リスク・コンプライアンス委員会が、「リスク管理に関する方針、体制及び対策に関する事項の指示・決定」「発生しうるリスクの対応に係る教育・研修に関する事項の指示・決定」「リスク管理に関する年度計画及び運用に関する事項の指示・決定」「グループ全体にとっての重要リスク選定及び同リスクへの対応状況のモニタリング」「その他、リスク管理に関し必要な事項の指示・決定」を行っております。これらの方針に沿って、リスクマネジメント部や内部監査室、危機管理対策連絡会、リスク・コンプライアンス委員会が、それぞれの観点で活動しております。

なお、リスク管理の進め方につきましては、グループ横断的なリスクについて当社が集約しガイドラインを提示する「トップダウン型」と、その他各社個別のリスクについて各社が管理する「ボトムアップ型」が並存する形となっております。

 リスクの識別においては必要に応じてシナリオ分析を使用し、想定されるリスクを書き出してマッピング等を行っており、サステナビリティ関連につきましても今後使用を想定しております。

また、リスク全般に関しましては管理帳票を活用しており、サステナビリティ関連につきましても今後使用を想定しております。例えば、大規模災害への対応におきましては、基本形を策定のうえ、各社より情報を収集しております。危機管理対策連絡会において、事業運営におけるサステナビリティに関連するリスクも含む各種リスクについて共有・討議を行っております。

 当社グループのサステナビリティ関連のリスクと機会を識別、評価、管理するプロセスは、全体的なリスク管理プロセスの1分野として、他の分野と同様に扱うことを想定しております。

(4)指標及び目標

 当社グループでは、上記において記載した人材の育成に関する基本方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標について、当社においては関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。そのため、次の指標における目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。今後の取組の進捗を踏まえて、数値目標の追加の開示を検討してまいります。

 

目標

実績(当事業年度)

女性の管理職比率

2025年3月末まで30

10.9%

※当社における女性管理職の定義・範囲は、ユニット長・部長・本部長・執行役員の各役位にある女性としております

 

 

3【事業等のリスク】

 以下においては、当社グループの事業展開その他に関する事項のうち、リスク要因となる可能性が考えられる主な事項及びその他投資家の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で、行われる必要があるものと考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)当社特有のリスクについて

① 特定人物への依存

 当社設立の中心人物であり事業の推進者である代表取締役社長瀬戸健は、経営方針や経営戦略等、当社グループの事業活動全般において重要な役割を果たしております。何らかの理由で同氏の業務の遂行が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難ですが、当社は、同氏に対して過度に依存しない経営体制の構築を目指し、経験豊富な社外取締役の起用、執行役員制度の導入による監督と執行の分離及び業務遂行に優れた社外の人材の起用、社内の人材の育成を実施しております。これらにより、従前と比べ相対的に同氏への依存度は低くなっております。

② 当社の持株会社としてのリスク

 当社は2016年7月1日付で持株会社制へ移行いたしました。これにより当社の果たす役割は、主にグループ全体戦略の立案と実行、グループシナジーの最大化、グループ全体の最適なリソース配分、M&Aを含む機動的な事業再編、コーポレート・ガバナンスの強化推進となっております。子会社の収益動向によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、当該リスクが顕在化する可能性は、一定程度あるものと認識しておりますが、安定的な収益を確保するため、子会社からの配当金及び適正な経営支援料を得ておりリスクの低減に努めております。

(2)法務に関するリスクについて

① 法規制について

 当社グループが営む事業においては、各関係法令によって規制を受けております。

 各種商品の製造・品質管理においては、品質・有効性・安全性確保のために必要な規定をした「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、食品・添加物・器具容器の規格等を定める「食品衛生法」の規制を受けております。

 各種商品・サービスの広告や表示においては、主に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」「食品衛生法」「健康増進法」「日本農林規格等に関する法律(JAS法)」「食品表示法」「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」「著作権法」「商標法」「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)」「職業安定法」等の規制を受けており、虚偽または誇大な表示・広告の禁止等、適正な広告・表示が求められております。

 消費者との取引においては、「消費者契約法」、販売形態によっては、禁止行為、解約事項等を規定した「特定商取引に関する法律」等の規制を受けることがあります。

 また、アパレル関連事業については、「製造物責任法(PL法)」「日本農林規格等に関する法律(JAS法)」等、リユース事業については、「古物営業法」「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)」等による規制を受けております。

 その他、特許権、商標権、意匠権等の知的財産権により、当社グループの各種商品・サービスの自社権益の保護に努める一方、他社の権利を侵害することがないよう、各種商品・サービス開発にあたっては十分な注意を払っております。

 これらの各関係法令において、予期せぬ法律規制強化があった場合や何らかの法規制に抵触する行為を行った場合等においては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について現時点では認識しておりませんが、当社グループにおいては、上記のとおり様々な事業を運営していることから、当社の経営企画本部が主導となり、グループ全体にて関係諸法令のチェック体制およびコンプライアンス体制の整備、社員教育の実施および社内管理体制の強化を推進し、グループ各社の法務担当との連携及び必要に応じて外部の専門機関を活用するなど、各種関連法規を遵守し業務を遂行するよう努めております。

② 商品・サービスの安全性について

 当社グループの主力事業であるパーソナルトレーニングサービス「RIZAP」及び子会社で運営するスポーツジム等の各種トレーニングに関連するサービスにおいては、顧客にパーソナルトレーニングやトレーニングの場の提供を行っており、運営する施設内で事故が発生した場合、当社グループは賠償請求を受ける可能性があります。

 また、要件を満たさない商品の製造過程、原材料の使用や異物混入等を防止できなかった場合には、「製造物責任法(PL法)」に基づき損害賠償請求の対象となる可能性があります。

 さらに、これら商品・サービスの事故が発生した場合には、安全性に関する悪い風評が発生する可能性もあります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について現時点では認識しておりませんが、サービスの提供を行うにあたり、顧客の安全性には十分に配慮しております。また、各種商品の製造・品質管理においては、製造工程、仕入先及び梱包作業委託先に対し、使用原材料及び製商品の安全性及びトレーサビリティを確保するため、定期的な監査の実施、必要に応じ製造現場及び関連施設への視察および状況報告の依頼、並びに発注品及び納期管理等の指導を実施しております。

③ 個人情報の保護について

 当社グループは様々な事業において、顧客の個人情報を取り扱っておりますが、万一、外部からの不正アクセス等により個人情報が社外に漏洩した場合、損害賠償請求や社会的な信用失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性は、一定程度あるものと認識しております。個人情報保護においては、「個人情報の保護に関する法律」の遵守は勿論のこと、個人情報の取扱いを定めた個人情報管理規程やルールの策定及び運用徹底、従業員教育の実施、個人情報へのアクセス権限は承認が必要など、情報システムのセキュリティ強化等を行っており、当社グループでは、個人情報を厳正かつ慎重に管理しております。

 また、当社設置の個人情報・情報セキュリティ分科会が主導となり、各グループ会社の情報セキュリティおよび個人情報管理の担当部署と連携し、各社の個人情報保護における管理体制の把握および体制構築の支援等を通じて、グループ全体における個人情報管理の適正性の把握に努めております。

(3)財務に関するリスクについて

① 財務全般に関するリスクについて

当社グループは、2022年9月に発表した中期経営計画においてchocoZAP事業の本格展開を通じた成長戦略を策定しております。当該計画を着実に実行するため、2023年3月期及び2024年3月期をchocoZAP事業への戦略的投資を集中する「先行投資期間」と位置付け、chocoZAP店舗の出店投資や広告・販促投資を計画的に行いました。また、既存事業においては構造改革による大幅な損失計上は一服したものの、原材料高・為替影響を主要因とした仕入価格の上昇の影響等、厳しい経営環境が継続いたしました。

その結果、2023年3月期に引き続き、前期2024年3月期においても損失を計上するとともに、主要な金融機関との間で締結した金銭消費貸借契約における財務制限条項の一部に抵触することとなり、2023年3月期から引き続き、2024年3月末日時点においても、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりました。

一方、当社グループは、chocoZAP事業が順調に会員数を獲得し、全国普及による出店投資効率向上や集客コストの改善により本格収益化したこと等で、前期2024年3月期の下期においては、営業利益で黒字化を達成しております。今期2025年3月期も、上期を中心に更なる成長の実現や品質向上を目的とする一定規模の投資を行っていく計画であるものの、通期においては、営業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益ともに黒字を見込んでおります。

上記に加え、「39.後発事象(資本業務提携及び第三者割当による新株式の発行)」に記載のとおり、SOMPOホールディングス株式会社との資本業務提携を2024年6月7日に発表し、同月27日に、当社及び当社の子会社であるRIZAP株式会社に対し、第三者割当の方法により、総額約300億円のうち、新株式の発行価額267.5億円(残額の32.5億円につきましては、独占禁止法に基づく20%超の取得に係る手続が完了次第、払込がなされる予定です。)が割当先より払い込まれており、当期以降の計画遂行の裏付けとなる資金手当てが概ね完了し、現金同等物の水準も当面の懸念が無い水準にまで回復しております。当該払込が2024年3月期末に行われたと仮定した場合、当期末の流動比率は33.5%上昇いたします。

また、2024年3月末日以降、主な取引金融機関とは財務制限条項について抵触状況を解消する方向で協議を進め、本日までに主な借入については財務制限条項の撤廃又は改訂により抵触状況は解消されております。

これらの状況から、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は現時点において解消したものと判断しております。

② 減損・評価減等のリスクについて

 当社グループは様々な商品を販売しております。また、店舗の運営を行う事業もあります。

 商品につきましては、流行や顧客の嗜好の変化、競合による画期的な新商品の発売等、様々な要因により需要動向を見誤った場合には、販売が難しい余分な在庫を抱える可能性があり、基準に照らし必要な場合は評価減を実施いたします。

 店舗につきましては、人口動態の変化や近隣への競合の出店等、様々な要因により、店舗の損益状況が計画を大きく下回った場合には、基準に照らし必要な場合は固定資産等の減損処理を実施いたします。

 また、当社は、連結財務諸表について国際財務報告基準(IFRS)を任意適用し決算を行っております。IFRSにおいては、日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準と異なりのれんの定額償却が不要となります。一方、のれんの対象会社における経営成績悪化等により減損の兆候が認められる等、回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合、減損処理を行う必要が生じます。

 このように評価減や減損処理を行い、その金額が大きい場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は、一定程度あるものと認識しております。当社グループでは、四半期毎に減損兆候について把握と改善計画を策定・実行しつつ判定を行うとともに、実質的価値が下落した保有資産については、保有継続可否の検討を行っております。また、店舗出店時における投資判断精度の向上に努め、過去の販売実績や需要予測に基づいて商品仕入れや商品開発を行うなど、在庫水準の適正化に努めております。

③ 契約管理システムについて

 当社グループの主力事業であるパーソナルトレーニングサービス「RIZAP」及び子会社で運営するスポーツジム等の各種トレーニングに関するサービスにおいては、顧客との契約において、契約管理システムを使用しております。

 RIZAP株式会社は、契約管理システムから、会計システムに情報を取り込む際に、RIZAPが提供している多種多様なサービス・物販に対応するため、売掛金残高や前受金残高を抽出する条件が広範に設定されております。また、抽出したデータから財務会計に基づくデータへ転換するため、前受金や売掛金に対して必要な調整を実施しており、調整項目は重要かつ多岐にわたっております。また、上記抽出データ及び調整データの多くは、外部業者を利用して抽出しており、売掛金および前受金の正確性に影響を及ぼす可能性があります。

 当連結会計年度よりシステム変更を行ったことで上記のようなリスクは解消されております。また、システム残高と会計残高が一致していることを確認するため、システム残高帳票をもとに相当数のサンプルを抽出し契約単位で契約内容の金額の妥当性を確認しております。

(4)事業に関するリスクについて

① 業界及び市場環境に関するリスク

 当社グループの商品・サービスは、一般消費者を顧客とするものが多く、様々な要因により、需要動向が変化いたします。景気の動向、流行や顧客の嗜好の変化、技術革新による画期的な新商品及び代替品の発売や、競合企業との激しい競争等により業界・市場環境に急激な変化があり、当社グループの商品・サービスが陳腐化する事態となった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性及び時期について予測することは困難ですが、当社グループはそのような業界・市場環境に左右されないよう、常に顧客の要求に応えることのできる商品・サービスの開発や改良に努めております。また、新たな事業の展開、商品・サービスの提供の推進やEC領域の強化など販路の拡大を図り、堅固な収益基盤の構築に努めております。

② 店舗出店に関するリスク

 当社グループは事業により、店舗を出店し商品の販売、サービスの提供を行っております。

 よって、店舗出店は当社グループの各事業の戦略上、非常に重要でありますが、希望するエリア、施設等に出店条件に適う物件がなく、出店が滞る場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの店舗の多くが賃貸物件となりますが、店舗賃貸のための保証金や敷金を貸主に差し入れております。貸主により異なりますが、基本的には保証金や敷金は契約期間が満了しなければ返還されず、倒産やその他貸主の事由により、返還されるべき保証金や敷金の一部もしくは全部が回収出来なくなることで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 海外での生産・事業展開に伴う為替や政情等に関するリスク

 当社グループの商品の中には、BRUNO株式会社における家電製品、REXT株式会社、ナラカミーチェジャパン株式会社における衣類・雑貨等、アジアを中心に海外で生産し輸入しているものがあります。また、BRUNO株式会社における家電製品、株式会社ジャパンギャルズにおける化粧品や美容機器、MRKホールディングス株式会社における婦人用下着等、アジアで展開している商品・サービスもあります。

 そのため、為替の動向による円換算での仕入価格の上昇又は販売価格の低下、また、現地で調達される原材料費や人件費等が当社グループの想定を超えて上昇した場合に仕入価格が上昇する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、各国における政治・経済状況の変化、法律・税制の改正、貿易問題の発生、自然災害や戦争等の発生等により、当社グループの商品仕入及びビジネス展開に悪影響が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす場合があります。

 当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難ですが、為替予約利用による為替相場の急激な変動によるリスクの低減や、生産拠点の複数化(中国、フィリピン、台湾を中心としたアジアや、アメリカ)による仕入の安定化を図っております。また、海外への事業展開については、国内販売とのバランスを考慮しながら、リスク分散に努めております。

④ 情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、多くのITシステムを使用しておりますが、予期できない情報システム障害や情報セキュリティ事故により、情報システム基盤や通信回線の重大な障害、或いは経営に係る機密情報の漏洩等が発生する可能性を完全に排除することはできず、そのような事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は、一定程度あるものと認識しております。自社管理の情報システムのシステムバックアップの取得、外部サービスのデータバックアップの実施、これらのバックアップ復旧手順の作成等のバックアップ体制の整備、内外からの不正アクセス防止、ネットワークやデータベースへのアクセス制御などのセキュリティ対策を実施しております。機密情報、個人情報等の管理については、情報セキュリティの強化等により社内管理体制の徹底強化に努めるとともに、従業員に対する情報管理、情報セキュリティに関する指導を定期的に実施しております。

 また、グループ全体の情報セキュリティ活動を統括する組織として個人情報・情報セキュリティ分科会を設置し、当分科会の主導のもと、グループ共通ルールである情報セキュリティ基本規程の周知、各グループ会社の情報セキュリティ担当部署と連携し、各社の情報セキュリティ体制の把握及び体制構築の支援等を通じて、グループ全体の情報セキュリティ体制の推進を図っております。

⑤ 災害の発生に関するリスク

 当社グループの各事業は、日本全国各地に店舗を展開しており、また、取引先も全国に点在しております。

 大地震や集中豪雨等の自然災害や、テロ、大規模な事故の発生等により、当社グループの各事業が運営する店舗の休業、仕入先の生産停止、配送網の寸断、データセンターの停止等が発生した場合は、当社グループの事業運営に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難ですが、事業継続計画(BCP)を整備し、緊急時の被災状況等の情報収集体制の確立、お客様や従業員等の安全確保と事業継続に向けた体制の構築に努めております。また、避難・防災についての教育訓練を定期的に実施するとともに、万一当該リスクが顕在化した場合であっても影響の少ない営業所において事業活動を継続するための物流の複数拠点化、仕入れ先の生産停止の影響を最小限に抑えるために同一商品において取引先工場を複数設けるなどリスク低減に努めております。

⑥ 感染症に関するリスク

 感染症の拡大または予防のための外出自粛、事業及び店舗の休業、営業時間の短縮、感染症の発生に起因した当社グループのサービスの提供遅延又は中止等により深刻な経済的影響が生じ、市場の縮小や個人消費の冷え込み等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。感染症の発生及び感染拡大が生じた場合には、当社グループは従業員の安全を確保するとともに、当社グループの事業に対する影響の把握及び事業継続のために必要な対処の検討・実施をいたします。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 当社は、前連結会計年度において、株式会社ビーアンドディーを、当連結会計年度において、創建ホームズ株式会社を、それぞれ非継続事業に分類しております。

 以上の結果、当期において、前述の非継続事業に分類した会社につきましては、「非継続事業からの当期損失(親会社所有者帰属)」として継続事業と区分して表示しています。

 当期及び前期の数値は、上記それぞれの内容を反映させた形で表示、比較・分析を行っております。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 a.経営成績

 当期の売上収益は166,298百万円(前期は154,550百万円、前期比7.6%増)、営業利益は△594百万円(前期は△4,948百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は△4,300百万円(前期は△12,673百万円)となりました。

 当期は、各種政策の効果や新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行を受けた経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復しましたが、長引く円安、資源高・材料高による物価上昇が続くなど、依然として先行き不透明な経営環境が続きました。

 このような状況の中、当社グループにおいては、前期より本格展開している「コンビニジム」chocoZAP事業の拡大に引き続き注力いたしました。店舗投資の低減を図りながら当期に計904店を出店し、2024年3月末の店舗数は1,383店となりました。また、広告宣伝を積極的に行ってきたことで認知度の向上とともに入会者もさらに増加し、2024年2月時点の会員数は110万名超に達しております。また、2023年10月より、セルフネイルやセルフホワイトニング、マッサージチェアといった新サービスをchocoZAPへ本格導入いたしました。結果として、ライフスタイルセグメントにおける前年同期からの不採算店舗の減少や前期末のBRUNO株式会社における事業売却による減収があったものの、chocoZAPの会費収入の増加によりグループ全体での売上収益は増収となりました。

 利益面につきましては、前期に引き続き当期をchocoZAP事業への戦略的投資を加速させる先行投資期間として位置付け、chocoZAP店舗の出店投資や広告・販促投資を計画的に行い、また、既存事業においては原材料高・仕入価格の上昇の影響等も続きましたが、chocoZAP事業が全国普及による出店投資効率向上や集客コストの改善により本格収益化し、グループ全体で営業損失は改善いたしました。

 セグメント別の事業概況は、次のとおりであります。当連結会計年度より、当社は株式会社ジャパンギャルズを「ヘルスケア・美容」セグメントから「ライフスタイル」セグメントに変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6.セグメント情報(2)報告セグメントの変更に関する事項」をご参照ください。

 

(ヘルスケア・美容)

 RIZAP株式会社は、2022年9月より、新規事業「chocoZAP」を本格展開しております。chocoZAPは、誰もが簡単に、毎日の生活に運動習慣を定着させることができ、毎日最短5分の運動で健康効果を得ることができる、RIZAP発の運動初心者向け「コンビニジム」です。2024年2月末時点の会員数は110万名超と急成長を遂げている中、入会希望のお客様の強い需要に即応するため、引き続き積極的な出店投資を行い、2024年3月末の店舗数は1,383店に達しております。結果として、昨年11月度より今年3月度にかけて、月次決算ベースでの黒字化を達成しております。

 MRKホールディングス株式会社は、婦人下着及びその関連事業においては、補整下着の基幹商品「カーヴィシャス カレス」の限定カラー「ローズウッドブラウン」と「パルフィネホワイト」に加え、補整下着の主力商品シリーズ「ベルアージュ アヴァンセ サクラ」の11年ぶりの後継となる新商品「リベルディーニュ」を2024年1月に発売し、好評を博しました。また、2023年5月にお客様参加型の自社コンテスト「MCSA2023(マルコシンデレラストーリーアワード2023)」を開催し、コンテストで受賞されたお客様を起用したCMを同年11月に放映したことに加え、顧客基盤の拡大を推進するため、新テレビCMの制作・放映やウェブプロモーションを通年にて強化するなど、広告宣伝費等の投資をした結果、新規顧客の獲得及び顧客基盤の拡大が順調に推移いたしました。さらに、新規のお客様に対応すべく5店舗の新規出店に加え、9店舗の移転・改装を行うなか、首都圏の店舗網を充実させるなど、お客様にご満足いただける店舗づくりを推進したほか、未来に向けた取組としてスタートした、学生向けの補整下着サブスクリプション会員数が順調に増加するなど、将来の顧客獲得に向けた基盤づくりを推進いたしました。以上のように新商品の販売に向けた顧客基盤の拡大を推進することで、当第4四半期に集中して売上の巻き返しを図っておりましたが、2024年1月1日に令和6年能登半島地震が発生し、新商品の縫製工場の一つが罹災したことで、納期が遅れ欠品状態となったため、当第3四半期までの減益をリカバーするまでには至らず、減収減益となりました。マタニティ及びベビー関連事業においては、国内出生数の減少が続くなど、厳しい市場環境の影響を受け減収となりましたが、従来商品の販売価格の見直しや高単価の新商品の投入、物流のコスト削減や不採算事業からの撤退を実施した結果、営業損失は改善いたしました。婚礼・宴会関連事業においては、法人営業体制の強化やイベント売上の伸長により宴会事業は好調に推移し、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う行動制限の緩和によって施行組数が順調に増加したことから婚礼事業も好調であったため、増収となり、営業損失は改善いたしました。美容関連事業においては、安定的な顧客基盤の構築やスタイリストの採用および育成といった施策を推進したことで売上が増加した一方、体制強化に伴う先行投資を優先的に実施したことから、増収減益となりました。以上の結果、全社において増収減益となりました。

 この結果、ヘルスケア・美容セグメントの売上収益は63,237百万円(前期は42,797百万円、前期比47.8%増)、営業損失は3,051百万円(前期は5,782百万円の損失)となりました。

 

(ライフスタイル)

 REXT Holdings株式会社においては、かねてより取り組んでおります「高収益業態への転換」を当期においても更に推し進めて参りました。エンターテイメント事業においては、従前の主力商材である書籍や映像音楽メディアの市場が縮小するなか、商品MDの変革を進めました。引き続き市場が好況なトレーディングカード(トレカ)を中核商材と位置付け拡大を進めており、当第4四半期では新星堂港北モザイクモール店へトレカ専門店「DuelStadeGanryu」を導入し、2024年3月期におけるGanryu導入店舗およびトレカ改装店舗は合計で15店舗となりました。既存店への注力と専門店導入の結果、トレカの24年3月期売上高は前年同期比131%と大きく伸長いたしました。また、2023年9月末にリニューアルオープンした「WonderGOOPLUS+つくば店」は宝さがし感を演出する大幅なレイアウト変更、強みであるトレカやホビー商材の更なる強化、リユース商材の新規導入、イベントスペースやボードゲームカフェ、アミューズメント機の新設など実店舗の価値を最大化する店づくりを行い、改装後の売上高前年比は117%と堅調に推移しております。これらの取り組みの結果、エンターテイメント事業は前年同期比で減収増益となりました。

 リユース事業においては、「総合型リユースショップの地域一番店」をテーマに、高単価低粗利の高額ブランド商品への依存からの脱却と高粗利商品への注力を推し進める事業ポートフォリオの変革を行いました。主に高粗利商材であるアパレル服飾品の買取販売に注力したこと等により、前年同期比で粗利高は102%と伸長いたしました。不採算店舗4店舗の撤退を実行し、既存店の買取・品揃えの強化と収益力向上に取り組んだ結果、地金相場の高騰の追い風も受け、リユース事業は前年同期比で減収増益となりました。

 アパレル事業においては、収益構造の改善のため不採算店舗24店舗の大量退店を実行いたしました。また、前期より引き続きの取り組みとして、従来の知名度を活かしつつリブランディングを推進し、「大人カジュアル」をコンセプトとしたPB商品の開発及びVMDの見直しを進めております。加えて、リユース事業と協力した古着や高額ブランド商品の取り扱いの開始や、利益率の改善策として販売価格の見直しを推進しております。これらの施策の結果、アパレル事業は前年同期比で減収増益となりました。

 雑貨事業においては、収益構造の改善のため不採算店舗58店舗の大量退店を実行いたしました。また、引き続きオリジナルIPコンテンツ「FukuFukuNyanko(ふくふくにゃんこ)」を軸にPB商品強化及び新規IPの拡充を行うとともに、「大人かわいい」をコンセプトに据えたリブランディングを推進しており、新規顧客獲得に向けたSNSマーケティングを強化しております。これらの施策の結果、雑貨事業は前年同期比で減収増益となりました。これらの結果、全社において減収増益となりました。

 BRUNO株式会社は、旅行需要およびインバウンド需要が拡大したことからトラベル商品の売上が好調に推移しました。海外販売については中国に子会社を設立、直接販売体制の準備が完了し、本格的な運用を開始しました。また、2023年2月より販売開始した「BRUNOカタログギフト」も好調に推移し、2024年3月は過去最高の単月販売額となりました。カタログギフト販売においては、販売好調の要因として、1万円、1万5千円、2万円の3つのコースに加え、ギフトニーズに合わせた5千円コースを追加し4つのコースを展開したこと、また、「BRUNOカタログギフト」は、贈り手が相手の好みに合わせた商品を選択出来る点や、おしゃれなデザインのキッチン家電や雑貨が豊富である点から、新生活のギフト等にて好評を得たことが売上の伸びにつながりました。今後一層カタログギフトの販売を拡大するために、様々なシーンで「BRUNOカタログギフト」を利用していただけるようサービスを拡充し、ギフト需要を取込んでまいります。また、海外販売においては売上拡大を図るため、販売戦略として代理店販売から直接販売へ切り替えを進めており、2023年11月に中国ECサイトを立ち上げ、現在は4つのECサイトを展開しております。商品戦略としては既存オリジナル商品に加え、中国市場の「お一人様経済」に合わせた、エアフライヤー、ミニ炊飯器、豆乳メーカー等の小型キッチン家電販売を開始いたしました。これらの海外戦略により、中国市場での売上は堅調に推移しております。今後も中国市場にマッチした商品開発や、サイズやカラーバリエーションの追加等商品展開を進め、さらなる販売拡大を目指してまいります。トラベル商品ブランド「MILESTO」も、インバウンド需要や、トラベル需要を取込むことで「キャリーバッグ」や「トラベルバッグ」など各種トラベル関連商品の売上が増加し、「MILESTO」の売上高は前年同期比142%と拡大しました。一方で、「BRUNO」ブランド商品は、水筒・ボトル等のアウトドア関連商品や季節家電の売上が好調に推移しましたが、コロナ特需の反動もあり、コンパクトホットプレート等のキッチン家電の売上が前年を下回ったことから、「BRUNO」の売上高は前年同期比で85%にとどまりました。また前期に引き続き円安や原油・原材料高に起因する原価率上昇の影響を受けていることから全社において減収減益となりました。

 夢展望株式会社はアパレル事業においては新型コロナウイルスに伴う行動制限の緩和やインバウンド需要の回復に伴い実店舗の来客数に回復傾向が見られましたまた販売価格の見直しやキャリー品の消化仕入の適正化など収益構造の改善を徹底いたしました特に下半期においては、人気ゲームとのコラボ商品や量産地雷とロリータを融合した新ブランドの売上が堅調に推移いたしましたしかしながら秋以降に例年より気温変化が鈍い時期が続き各種主力ブランドの売上が不調だったことや仕入単価の上昇や物流費高騰円安の影響を受けたことが原因となり減収減益となりましたジュエリー事業においては競合環境が悪化する中下半期においてプロモーションの刷新や効率化を実施したことや販売価格の見直しの結果減収増益となりましたトイ事業においては国内メーカーからの受注が堅調に推移いたしましたが急激に円安が進行したことに伴う卸売事業の不調と為替差損の計上により減収減益となりました以上の結果全社において減収減益となりました

 この結果、ライフスタイルセグメントの売上収益は82,589百万円(前期は89,919百万円、前期比8.2%減)、営業利益は2,525百万円(前期は1,591百万円、前期比58.6%増)となりました。

 

(インベストメント)

 SDエンターテイメント株式会社は、前期に引き続き構造改革の第2フェーズとして、主力事業であるウェルネス事業の成長戦略に取り組んでおり、フィットネスにおいては、お客様のライフスタイルに合わせて通うことができる新制度の導入やピラティススタジオの展開といった、既存店舗における新サービスの提供に注力いたしましたが、2023年7月に記録的な大雨による浸水被害のため秋田広面店を閉店した影響を受け、売上高は前年同期比97.5%となりました。保育においては、サーキットプログラムの提供やベビーヨガ教室の開催といった施策により園内サービスを充実させた結果、園児充足率は高水準で推移いたしました。介護においては、グループホーム2棟が満床となり、訪問介護における契約者の利用率も堅調に推移したほか、2023年12月より開始した就労継続支援B型事業所「リバイブ」も、堅調な立ち上がりを見せております。以上の結果全社において減収増益となりました。

 堀田丸正株式会社は、ファッション事業においては、ミセス部門でのオリジナル品の受注・販売やジュニア部門における売上総利益率の改善が見られましたが、新規のD2C部門においてWEB広告の投下、リブランディング等のマーケティング施策へ先行投資を実施したことやホームファッション部門における大手量販店からの受注減の影響を受け、減収減益となりました。マテリアル事業においては、前年のロックダウンの影響が収束したことで上海事業が大幅な増収増益となりましたが、国内事業において中国内需向けの受注が低調であったことや、欧州向けの輸出拡大を目的とした企画開発及び人財投資を先行的に実施したことから、増収減益となりました。きもの事業においては、顧客分析に基づく品揃えの強化や非呉服品含む新規商材の投下、2024年2月に実施した帝国ホテルでの東西エリア合同での大型催事実施、大型催事の集約等による経費削減といった施策により、百貨店部門の東日本エリアや専門店部門の東日本・西日本両エリアにおいて売上が好調に推移いたしました。その結果、百貨店部門の西日本エリアでは前年5月に開催した大型催事を2月に集約した影響を受けたものの、増収し、営業損失は改善いたしました。ライフスタイル事業においては、ギフト部門を2023年6月30日付で売却したことや、ヘルスケア部門において、原料価格の高騰を受け収益力強化のためにOEM受注への注力を進め、商品切り替えに伴い受注数が減少したことや、新商品開発への投資を先行的に実施したことの影響を受け、減収減益となりました。以上の結果、全社において減収減益となりました。なお、会社分割による関係会社株式売却益ならびに本社移転に係る特別利益等を計上したことにより、国際財務報告基準(IFRS)上では増益となっております。

 この結果、インベストメントセグメントの売上収益は24,953百万円(前期は24,573百万円、前期比1.5%増)、営業利益は1,311百万円(前期は1,308百万円、前期比0.2%増)となりました。

 

 なお、セグメント間の内部売上収益△4,481百万円、親会社である当社の管理部門費用など、各セグメントに配賦不能なセグメント利益の調整△1,379百万円があるため、グループ全体としての売上収益は166,298百万円、営業損失は594百万円となりました。

 

 b.財政状態

(資産)

 流動資産は、前期末に比べて3,149百万円、4.6%減少し、64,047百万円となりました。これは主として、棚卸資産が4,190百万円、現金及び現金同等物が2,732百万円減少した一方で、営業債権及びその他の債権が2,784百万円増加したことによるものです。

 非流動資産は、前期末に比べて17,651百万円、23.3%増加し、93,103百万円となりました。これは主として、使用権資産が7,731百万円増加したこと、有形固定資産が10,527百万円増加したことによるものです。

 この結果、資産合計は、前期末に比べて14,502百万円、10.1%増加し、157,151百万円となりました。

 

(負債)

 流動負債は、前期末に比べて4,031百万円、5.3%増加し、79,952百万円となりました。これは主として、営業債務及びその他の債務が2,254百万円、有利子負債が1,547百万円増加したことによるものです。

 非流動負債は、前期末に比べて5,275百万円、12.3%増加し、47,890百万円となりました。これは主として、長期借入金および長期リース負債の増加により有利子負債が5,326百万円、長期資産除去債務の増加により引当金が535百万円増加した一方で、繰延税金負債が483百万円減少したことによるものです。

 この結果、負債合計は、前期末に比べて9,306百万円、7.8%増加し、127,843百万円となりました。

 

(資本)

 資本合計は、前期末に比べて5,195百万円、21.5%増加し、29,308百万円となりました。これは主として、親会社の所有者に帰属する持分の増加によるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当期における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は前期末に比べ2,748百万円減少し、売却目的で保有する資産に含まれる現金及び現金同等物の振戻額および振替額を加味すると、13,099百万円となりました。

 各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの主要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当期における営業活動による資金の増加は9,802百万円(前期は247百万円の増加)となりました。主な要因は、減価償却費及び償却費が17,328百万円、営業債務及びその他の債務の増加に伴う収入が1,547百万円となった一方で、税引前当期損益が4,524百万円の損失、営業債権及びその他の債権の増加に伴う支出が2,446百万円、利息の支払額が2,075百万円となったことです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当期における投資活動による資金の減少は13,688百万円(前期は7,106百万円の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が14,145百万円、敷金及び保証金の差入れによる支出が1,966百万円となった一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が2,789百万円となったことです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当期における財務活動による資金の増加は1,036百万円(前期は1,490百万円の減少)となりました。主な要因は、リース負債の返済による支出が13,982百万円、長期借入金の返済による支出が5,649百万円、短期借入金の純増減額が3,951百万円の減少となった一方で、長期借入れによる収入が14,701百万円、その他の資本性金融商品の発行による収入が10,000百万円となったことです。

 

③資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの事業活動における運転資金需要は、商品等の仕入費用、人件費、主に集客のための広告宣伝費、及び店舗運営のための地代家賃等であります。また、設備投資資金需要の主なものは、新規店舗開設のための有形固定資産等の取得にかかる費用であります。

 運転資金および設備投資資金につきましては、内部資金の活用、金融機関からの借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース負債を含む有利子負債の残高は89,659百万円、現金及び現金同等物の残高は13,099百万円となり、ネット有利子負債は、主に長期借入金及びリース負債の影響により、76,559百万円(前年同期比14.4%増)となりました。

 

④生産、仕入、販売及び受注の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

前年同期比(%)

ヘルスケア・美容

(百万円)

0

ライフスタイル

(百万円)

4,147

82.1%

インベストメント

(百万円)

2,678

94.4%

合計

(百万円)

6,827

86.5%

(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 金額は、製造原価によっております。

3 上記の金額には、非継続事業に係る金額は含まれておりません。

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

前年同期比(%)

ヘルスケア・美容

(百万円)

22,743

137.8%

ライフスタイル

(百万円)

41,250

87.7%

インベストメント

(百万円)

14,256

106.7%

合計

(百万円)

78,250

94.1%

(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 金額は、仕入価格によっております。

3 上記の金額には、非継続事業に係る金額は含まれておりません。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

前年同期比(%)

ヘルスケア・美容

(百万円)

61,485

148.1 %

ライフスタイル

(百万円)

80,320

90.1 %

インベストメント

(百万円)

24,492

102.4 %

合計

(百万円)

166,298

107.6 %

(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、非継続事業に係る金額は含まれておりません。

d.受注実績

 当社グループは、主として販売計画に基づいた生産を行っています。一部の連結子会社で受注生産を行っていますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しています。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。

 当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針、見積りの詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」「4.重要な判断及び見積り」をご参照ください。

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。