当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、グループ理念に掲げる使命・役割のもと、「食と健康」の企業グループとしてお客さまの生活充実に貢献することで持続的な成長・発展をすべく全力を尽くし、あらゆるステークホルダーとの信頼に基づき企業価値の向上を図ってまいります。
[グループ理念]
私たちの使命は、「おいしさ・楽しさ」の世界を拡げ、「健康・安心」への期待に応えてゆくこと。
私たちの願いは、「お客さまの気持ち」に寄り添い、日々の「生活充実」に貢献すること。
私たち明治グループは、「食と健康」のプロフェッショナルとして、常に一歩先を行く価値を創り続けます。
[経営姿勢]
グループ理念を実現させていくにあたり、経営の基本姿勢を表明したものです。
1.「お客さま起点」の発想と行動に徹する。
2.「高品質で、安全・安心な商品」を提供する。
3.「新たな価値創造」に挑戦し続ける。
4.「組織・個人の活力と能力」を高め、伸ばす。
5.「透明・健全で、社会から信頼される企業」になる。
(2) 中長期的な経営戦略と経営環境及び優先的に対処すべき課題
当社グループは、移り変わる環境下にあってもグループ理念を体現し、成長し続ける企業グループであるために、2026年度(2027年3月期)までの長期ビジョンを策定し、その実現を目指しています。
実現に向けては3年ごとの中期経営計画を策定してより具体的な実行計画に落とし込み、取り組んでいます。
また、2021年6月1日にはグループスローガンを「健康にアイデアを」に刷新しました。当社グループは100年以上にわたり「おいしさ・楽しさ・健康・安心」の世界を拡げることに努めてまいりました。これからはグループ内外の食と医薬の知見を融合させ、新しい価値を創造します。特に「健康」というフィールドで「meijiらしい健康価値」を提供し、これまで以上に大きな役割を果たしていくことを目指します。「meijiらしい健康価値」とは、CURE(なおす)、CARE(まもる)、SHARE(わかちあう)のサイクルでひとりの健康をみんなの笑顔につなげていき、健康であることの幸せを周囲に拡げ、社会、地球が健康である「より良い未来」に貢献していくことです。
① 長期ビジョン「明治グループ2026ビジョン」(2018年5月発表)
目指す企業グループ像
明治グループ100年で培った強みに、新たな技術や知見を取り入れて、「食と健康」で一歩先を行く価値を創造し、日本、世界で成長し続ける。
目標水準
・営業利益成長率 1桁台半ば以上(年平均)
・海外売上高比率 20%を目指す
・ROE 10%以上を維持
重点方針
1.コア事業での圧倒的優位性の獲得
2.海外市場での成長基盤の確立
3.健康価値領域での新たな挑戦
4.社会課題への貢献
同ビジョンの実現に向けては、重点方針に沿って策定した「事業ビジョン」「サステナビリティビジョン」「経営基盤ビジョン」をもとに、活動を推進しています。
事業ビジョン
(食品セグメント)
国内ではコア事業であるヨーグルト、チョコレート、栄養食品に注力すると同時に、さらなる事業ポートフォリオの強化を目指します。海外では、各地域で明治らしい、差別化された商品を展開し、独自のポジションを確立します。そしてブランド認知を獲得し、成長を加速させます。
(医薬品セグメント)
感染症治療薬やジェネリック医薬品、バイオ医薬品などを国内のみならず、海外展開も含めてトータルで拡大します。特に感染症領域ではアジアのリーディングカンパニーとなるべく、生産能力、研究開発、普及活動をそれぞれ強化します。
(グループ全体)
食品、医薬品の各事業で培ったノウハウ・強みを生かすとともに、オープンイノベーションにより社外の知見を積極的に取り入れることで、健康・予防領域における独自価値の創出を目指します。
サステナビリティビジョン
人びとが健康で安心して暮らせる持続可能な社会の実現を目指して、事業を通じた社会課題の解決に貢献すべく「こころとからだの健康に貢献」「環境との調和」「豊かな社会づくり」を主要活動テーマに掲げ、推進します。
経営基盤ビジョン
機能的・戦略的なマネジメント体制の確立や、一人一人の力が発揮できる環境・仕組み・風土づくり、さらにはmeijiブランドの進化に向けた取り組みを推進します。
② 経営環境及び優先的に対処すべき課題
当社グループを取り巻く市場環境は、競争の激化、原材料市況や為替の変動などに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市場構造や消費マインドの変化など、不透明な状況が続いています。また、気候変動や環境問題への対応、人権や多様性の尊重、持続可能な調達活動など、企業が果たすべき役割や責任も増大しています。企業価値評価の考え方も大きく変わっており、企業の持続可能性、リスクへの強靭性、社会への貢献度が重視されています。
このような環境下、当社グループはグローバルで健康・栄養の社会課題の解決に貢献できる企業として持続的な成長を目指すべく、次の課題に適切に取り組んでまいります。
・経済価値と社会価値を同時に実現(トレード・オン)するビジネスモデルの確立を目指します。
・社会課題解決への取り組みは事業成長やイノベーションのためのシーズと捉え、新たな価値創造に果敢に挑戦
します。
・ROICを活用した経営管理体制を強化し、最適な事業ポートフォリオを構築することで、資本生産性のさら
なる向上を目指します。
・赤ちゃんからお年寄りまであらゆる世代の「こころとからだの健康」に貢献するユニークな企業グループとし
ての強みに磨きをかけ、グループシナジーの創出を実現します。
③ 2026中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)
「2026中期経営計画」では、市場・事業・行動の変革を通じた成長軌道への回帰を目指し、「2023中期経営計画」で掲げた明治ROESG®経営をさらに進化させていきます。社会課題の解決を事業戦略に取り込み、サステナビリティ・イノベーションにより社会価値を創出します。そして、経済価値と社会価値を同時に実現(トレード・オン)することで持続的な成長を目指します。
※ ROESGは一橋大学教授・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です。
重点戦略および目標指標は、次のとおりであります。
重点戦略
1.成長事業への経営資源の投入
2.安定したキャッシュ創出力の維持・強化
3.経営戦略に即した人財戦略の推進
目標指標
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指標 |
2026年度 目標 (2027年3月期) |
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統合目標 |
明治ROESG® |
9.8ポイント |
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成長性・収益性 |
連結営業利益 |
1,165億円 |
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・食品セグメント |
830億円 |
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・医薬品セグメント |
400億円 |
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連結当期純利益 |
765億円 |
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海外売上高 |
2,525億円 |
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効率性・安全性 |
ROIC |
8.5%以上 |
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株主還元 |
ROE |
9.5%以上 |
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総還元性向 |
50%以上 |
2026中期経営計画において、明治ROESG®計算式の見直しを行いました。
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2024年3月期における2023中期経営計画の達成状況は、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況に記載のとおりであります。
重点戦略における具体的な戦略のポイントは、次のとおりであります。
重点戦略1.成長事業への経営資源の投入
食品セグメントでは、海外での飛躍的な成長に向け、キューブタイプ粉ミルクなどの技術・知財面で競争優位性のある商品や、チョコスナックなどの味や食感の設計、製造技術などで差別性のある商品で、積極的な事業拡大を目指します。現地ニーズに合致した商品開発やグローバル生産・供給体制の確立、マーケティングの強化に注力するほか、M&Aやアライアンスにも取り組みます。国内では、BtoB事業において、新規開発素材や自社ブランドを活用した売上拡大を図ります。
医薬品セグメントでは、新規発売医薬品の価値最大化に取り組むとともに、画期的な新薬パイプライン開発を確実に進めます。
重点戦略2.安定したキャッシュ創出力の維持・強化
食品セグメントでは、既存事業領域においてサステナビリティを付加価値や経済価値につなげる「市場創造型」の商品開発を推進します。「明治サステナブルプロダクツ認定制度」を設け、バリューチェーン上のあらゆるプロセスでサステナビリティ活動を推進し、商品コンセプトへのサステナビリティの組み込みを促進します。また、「Meiji NPS(明治栄養プロファイリングシステム)」を活用し、栄養価値の高い商品の開発・改良を促進します。デジタル技術を活かした新規ソリューション事業の立ち上げや、マーケティングへの活用による既存商品の価値の最大化にも取り組みます。
医薬品セグメントでは、国家戦略と連動した医薬品の安定供給に取り組むほか、企業連携によるジェネリック医薬品バリューチェーンの強靭化を目指します。
また、食品、医薬品セグメントともに、ROICの活用により経営管理体制を強化し、資本生産性の向上に取り組みます。食品と医薬品でハードルレートを別に設定し、事業別のROIC管理体制を強化します。継続的に営業利益率の向上を図るとともに、投下資本をコントロールしていきます。
重点戦略1・2をふまえた各事業およびサステナビリティの主な取り組みは、次のとおりであります。
(食品セグメント)
・デイリー事業
国内での安定的な利益体質とグローバルでの成長基盤の確立に向け、高付加価値商品の提案、生産体制の見直
しを起点とした収益性の向上、中国事業の立て直しを中心に取り組みます。
・カカオ事業
グローバル展開を前提とした付加価値の高い事業への転換を図ります。サステナブルカカオ豆調達と連動した
新たな価値提供、国内外において独自性の高い商品投入やマーケティング施策の実行、グローバルでの競争力
向上のための開発・生産・販売体制の強化に取り組みます。
・ニュートリション事業
国内での新市場育成や独自価値を持った新商品の展開に取り組むとともに、海外展開の加速やさらなる成長に
も取り組みます。
・フードソリューション事業
業務用領域を成長ドライバーとして売上規模拡大と収益性向上を目指します。アプリケ―ションセンターを活
用して新規提案力を強化し、新たな高収益事業を立ち上げます。付加価値乳原料などのグローバル展開にも取
り組みます。市販領域では、低収益事業の改革に取り組むほか、アイスクリームやチーズなど主力ブランド強
化に取り組みます。
(医薬品セグメント)
・国内事業
感染症治療薬やワクチンの安定供給に取り組み、新興・再興感染症の脅威への対応など社会課題解決型企業と
しての持続可能な収益基盤の確立を目指します。画期的新薬の開発や供給により、アンメット・メディカルニ
ーズにも対応していきます。
・海外事業
CMO/CDMO事業における生産能力増強により、人口が増加しているアジアやアフリカなどにおける医薬
品アクセスの向上にも貢献します。グローバル製品の開発を推進するとともに、ヒト用ワクチンの海外展開も
検討いたします。
・ワクチン・動物薬事業
ワクチンにおいては、次世代mRNAワクチン(レプリコン)「コスタイベ筋注用」の普及促進のほか、イン
フルエンザワクチンの収益最大化、5種混合ワクチン「クイントバック®水性懸濁注射用」のシェア拡大、新
領域への参入を進めます。動物薬においては、国内市場での収益性強化に努めるとともに、海外市場での事業
拡大にも取り組みます。
(サステナビリティ)
<こころとからだの健康>
・健康と栄養
「Meiji NPS(明治栄養プロファイリングシステム)」による当社商品の栄養価値の評価を実施し、
栄養不良の二重負荷(低栄養・過栄養)に対応した商品開発を強化します。
・新興・再興感染症の脅威への対応
新型コロナウイルスワクチンの開発・供給に取り組むとともに、デング熱などのワクチン開発や薬剤耐性菌に
対応する医薬品開発を進めます。
・医薬品の安定供給
堅牢なサプライチェーン構築により、基礎的医薬品、安定確保医薬品、ワクチン、血漿分画製剤の安定供給体
制の確立に取り組みます。
・製品品質の安全性・信頼性
食品では、製品の安全体制強化に取り組みます。医薬品では、新分野やグローバル展開に対応した信頼性保証
体制を構築します。
<環境との調和>
・気候変動への対応(脱炭素社会)
省エネ・創エネ活動の強化、再生可能エネルギーへの移行により、Scope1、2排出量の削減に取り組み
ます。また、酪農分野でのGHG排出量削減などによるScope3排出量の削減も推進します。
・資源循環の推進(循環型社会)
プラスチック容器包装の「リデュース」の取り組みを進めるとともに、バイオマスプラスチックや再生プラス
チックの使用比率を拡大します。また、食品ロス削減にも取り組みます。
・水資源の確保
水使用量を削減するとともに、工場の水源地での森林保全などによる水源涵養活動を拡大し、水リスクへの対
応を進めます。
・生物多様性
TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応を強化します。
<豊かな社会づくり>
・多様な人財の成長と活躍
グローバルビジネス人財の育成強化や、女性社員のキャリア支援と意識醸成に注力するとともに、多様な人財
の活躍を推進する管理者マネジメントスキルの強化に取り組みます。
・バリューチェーンにおける人権の尊重
人権デュー・ディリジェンスの強化に取り組みます。
・高い倫理観に基づいたマーケティング
責任あるマーケティングの強化やポリシーの策定に取り組みます。
<持続可能な調達活動>
・人権や環境に配慮した責任あるサプライチェーンを構築します。またカカオ豆では、明治サステナブルカカオ豆の調達拡大、トレーサビリティの100%確立、森林減少ゼロ・児童労働ゼロに向けた調達活動の取り組みを進めます。
重点戦略3.経営戦略に即した人財戦略の推進
「多様な人財が自律・挑戦・成長・共創し、イノベーションを生み出す」との考え方のもと、経営戦略に基づいた人財・組織風土のあるべき姿を定め、それを実現する人財戦略を推進します。
(人財・組織風土のあるべき姿)
・挑戦と成長を続け、世界の食と健康をリードするプロフェッショナル人財
・多様な人財一人一人のウェルビーイングの実現を支え、個人・チームの可能性を最大限引き出す組織風土
財務戦略
・営業キャッシュ・フローは、重点戦略に沿って適切に戦略投資および経常投資に配分します。
・M&A・アライアンス実行時は、現在の信用格付維持を前提としたD/Eレシオ0.5倍程度以内での負債調達
を必要に応じて実施します。
・株主還元については、総還元性向50%以上とし、継続的な増配を目指します。また、最適資本構成の観点から
自己株式の取得も検討します。
・政策保有株式は2027年3月期末において、連結純資産比5%未満とします。
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サステナビリティ戦略
(方針)
当社グループは、2026中期経営計画において「サステナビリティと事業の融合」を重要なコンセプトの一つとして掲げています。時代とともに変化する社会課題の解決を事業戦略に取り込み、サステナビリティ・イノベーションにより社会価値を創出し、経済価値とトレード・オンにすることで持続的な成長を目指します。
(戦略領域)
2026中期経営計画で特定した12のマテリアリティは4つの活動テーマに分類されます。4つの活動テーマは、明治グループらしい独自性が発揮できる取り組みと企業活動の基盤となる取り組みの2つの要素で特徴付けができ、マテリアリティを体系的に位置付けています。マテリアリティに対して、事業を通じた取り組みを積極的に推進することで「サステナビリティと事業の融合」を図ります。
<サステナビリティ活動の構造>
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(ESG投資)
環境分野を中心に取り組み施策を推進する為に、ESG投資枠500億円を設定しています。
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主な項目 |
2026中期経営計画における投資計画 |
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CO₂排出量の削減 |
・省エネ機器の導入 ・太陽光発電設備の導入 など |
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脱フロン対策 |
・ノンフロン冷蔵/冷凍設備の導入 |
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プラスチック使用量の削減 |
・容器包装軽量化のための設備投資 など |
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水使用量の削減 |
・水の効率的な使用に資する設備の導入 |
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医薬品の安定供給 |
・ペニシリン原薬の国産化に資する設備投資 など |
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労働環境整備 |
・労働安全対策、ダイバーシティ推進の為の環境整備 など |
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
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当社グループは、サステナビリティ戦略を推進するために、責任者であるCSO(Chief Sustainability Officer)が議長を務める、グループサステナビリティ事務局会議を毎月開催し、社会課題解決に向けた取り組みを強化しています。グループサステナビリティ事務局会議では、主に7つの下部会議体等で協議した内容がCSOに報告され、取り組みの進捗に関する活発な意見交換を実施しています。 当社代表取締役社長CEOが委員長を務めるグループサステナビリティ委員会では、半期毎にサステナビリティ活動全般の進捗状況などを報告しています。重要なサステナビリティ課題は、経営会議で審議し、取締役会が監督し、経営に反映しています。 これらのガバナンスに実効性を持たせる為、役員報酬における株式報酬に関しては、ROEの実績およびESG指標(外部評価機関の指標等)の取り組み結果に基づき、支給しております。※ |
<ガバナンス体制図>
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リスク管理に関しては、グループサステナビリティ委員会に、リスクマネジメント部管掌役員も参画し、サステナビリティに関するリスク管理を、グループ全体のリスク管理に統合しています。
また、社外有識者を交えたESGアドバイザリーボードを年2回、開催しています。2023年度は、2026中期経営計画におけるマテリアリティ特定のプロセスやマテリアリティ・KPIの設定に関して、3名の社外有識者より、幅広い見地からご意見をいただきました。
※ 役員報酬に関しては「4 コーポレートガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等 c. 非金銭報酬等に関する事項」に記載をしております。
(2)リスク管理
2026中期経営計画を策定するにあたり、サステナビリティ関連のリスク及び機会を抽出し、重要度評価を実施しました。具体的なプロセスは、次のとおりであります。
<STEP① 課題のリストアップ>
産業別基準を設定するSASB Standards、GRI Standardsなどの国際的なガイドラインや国連グローバル・コンパクトなどの国際的なフレームワークを参照しながら、環境・社会・経済的な側面における課題を広範囲にリストアップしました。
<STEP② リスクと機会の抽出ならびに重要度評価>
リストアップしたトピックごとに、食品セクター、及び医薬品セクターにおけるリスクと機会を抽出しました。マテリアリティ分析は「ステークホルダーにとっての重要度」と「明治グループの事業における重要度」の2軸で、定量的に評価しました。「ステークホルダーにとっての重要度」では、2026中期経営計画で新たに定義した6つのステークホルダー(お客さま、株主・投資家、社員、ビジネスパートナー、地域社会、政府機関・業界団体)ごとに、4段階で重要度評価を行いました。
「明治グループの事業における重要度」では、IIRC(国際統合報告協議会)のフレームワークを参照し、企業価値を形成する6つの資本(財務/製造/知的/人的/社会関係/自然資本)ごとに、5段階で重要度評価を行いました。
<STEP③ 有識者による妥当性の確認と優先順位づけの意思決定>
重要度評価の結果については、ESGアドバイザリーボードにて、社外有識者から分析プロセスの妥当性や分析結果に関する意見を頂いた上で、優先順位付けを行いました。
優先順位付けに関しては、グループサステナビリティ委員会にて意見交換を行い、取締役会に報告し、12のマテリアリティを特定しました。2026中期経営計画におけるマテリアリティ・マトリックスは次のとおりであります。
<マテリアリティ・マトリックス>
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(3)戦略
前述のマテリアリティ分析プロセスを経て、2023中期経営計画におけるマテリアリティに「製品品質の安全性・信頼性」「生物多様性」「堅牢なサプライチェーン構築による医薬品の安定供給」「高い倫理観に基づいたマーケティング」を新たなマテリアリティとして加えました。12のマテリアリティ毎に下表の取り組みを推進し、明治グループサステナビリティ2026ビジョンの実現を目指します。
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活動 テーマ |
マテリアリティ |
中長期の目指す姿 |
サブトピック |
主な取り組み |
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こころとからだの健康に貢献 |
健康と栄養 |
食のリーディングカンパニーとして、地域やライフステージごとに異なる健康と栄養の課題に向き合い、科学的なアプローチで栄養価値を評価し、人々の健康な食生活に貢献している。 |
健康な食生活 への貢献 |
・明治栄養プロファイリングシステム(Meiji Nutritional Profiling System: Meiji NPS)による自社商品の栄養価値の評価実施および今後の栄養価値向上に向けた基礎データの整備 |
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・健康な食生活・食文化の普及・啓発に向けた食育活動の拡充 |
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・“咀嚼~嚥下”のプロセスにおける、嚥下運動の可視化、新たな模擬装置の開発、実験方法の確立 |
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新興・再興感染症の脅威 |
感染症領域におけるアジアのリーディングカンパニーとして、予防から治療にわたる医薬品を中心としたソリューションを提供し、感染症の高まる脅威から人々を守っている。 |
新興感染症 |
・レプリコンワクチン「コスタイベ筋注用」を上市および国内供給体制の整備 |
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・小児を対象とした不活化ワクチン「KD-414」の上市および国内供給体制の整備 |
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再興感染症 |
・先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の公募事業への参画による、デングワクチン「KD-382」の開発 |
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AMR (薬剤耐性菌) |
・カルバペネム耐性腸内細菌に対するβ-ラクタマーゼ阻害剤「OP0595」の開発 |
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堅牢な サプライチェーン 構築による 医薬品の安定供給 |
国内とグローバルに堅牢なサプライチェーン体制を確立し、高品質で経済的な医薬品を安定的に提供する。 |
― |
・安定確保医薬品 カテゴリA製品(「バンコマイシン」「メロペネム」「スルバシリン」「タゾピペ」)の在庫月数のコントロールによる安定供給体制の確立 |
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・海外依存度の高いペニシリン原薬の国内生産体制の構築(岐阜工場における製造設備導入) |
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製品品質の 安全性・信頼性 |
食薬の領域でグローバルに事業拡大をする中で、品質保証と安全管理の業務を適切に実施し、製品回収ゼロを継続的に実現している。 |
食品の安全性と 品質保証 |
・明治グローバル品質方針(Meiji’s Quality Policy)に基づく「明治 品質コミュニケーション(Meiji Quality Comm)」活動の推進による品質への取り組み強化 |
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医薬品の 信頼性保証 |
・新分野およびグローバル展開に対応した信頼性保証体制の強化
・製品ライフサイクル全般にわたる信頼性保証システムの変革
・品質マネジメントレビューの着実な実施と信頼性保証活動(製造所監査、安全管理業務など)の徹底による未然防止 |
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活動 テーマ |
マテリアリティ |
中長期の目指す姿 |
サブトピック |
主な取り組み |
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環境との調和 |
気候変動 |
省エネ・創エネ活動の強化、再生可能エネルギーの利活用、酪農分野でのGHG排出量削減などによりサプライチェーン全体のCO₂排出量の削減を図り、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す。 |
CO₂排出量の 削減 |
・省エネ・創エネ活動の強化、カーボンクレジットの活用などによるScope1、2におけるCO₂排出量の削減 |
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・酪農分野でのGHG排出量削減、容器包装材料の使用量削減、サプライヤーとの連携強化などによるScope3におけるCO₂排出量の削減 |
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再生可能 エネルギー の利活用 |
・太陽光発電設備の導入拡大、再エネ由来電力の活用強化による再生可能エネルギーへの移行推進 |
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資源循環 |
3R (Reduce, Reuse, Recycle)+Renewableの取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えながら付加価値を生み出す活動を推進することで、製品価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑制などを図り、サーキュラーエコノミーへの移行を目指す。 |
容器包装の ライフサイクル 管理 |
・環境配慮型素材の研究開発を進めながら、プラスチック容器包装のリデュース推進 |
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・再生プラスチック、バイオマスプラスチックの活用強化によるバージンプラスチックの使用量削減 |
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・PETボトルに使用する再生プラスチック使用比率の拡大 |
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食品ロス削減 |
・需給精度の向上による不良在庫削減、賞味期間の延長、賞味期限の年月表示化などによる食品ロスの削減 |
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廃棄物の削減・ 再生 |
・工場での排出物の発生抑制などによる最終処分量の削減 |
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・動植物性残渣の再資源化(飼料化、肥料化、メタン発酵など)などによる食品廃棄物の削減 |
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水資源 |
水使用量の継続的な削減に加え、水源涵養など水源保全活動への積極的な取り組みによりウォーターニュートラルを実現している。 |
― |
・水の効率的な使用、節水型設備の積極的導入などによる水使用量の削減 |
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・工場の水源地での森林保全などによる水源涵養活動の拡大 |
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生物多様性 |
事業活動に伴う生物多様性・自然への依存と影響を把握し、生物多様性の損失に歯止めをかけ、自然環境に対してポジティブな影響を与える取り組みを積極的に行うことで自然との共生を目指す。 |
地域生態系 の保護 |
・自然共生サイトへの認定登録の推進 ※OECM国際データベースへの登録 |
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・森林保全活動を行うための保守管理契約の締結 |
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森林減少と劣化 の回避 |
・生乳、カカオを対象とした、TNFDフレームワークに沿った分析、対応策の策定 ・カカオ、パーム油など主要原材料の森林減少への取り組み推進 |
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活動 テーマ |
マテリアリティ |
中長期の目指す姿 |
サブトピック |
主な取り組み |
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豊かな社会づくり |
バリューチェーンにおける 人権の尊重 |
自社のバリューチェーン上における人権課題を認識し、社員一人一人が自分ゴトとして捉え、その対応に取り組んでいる。 |
差別とハラスメント/ 児童労働/強制労働 などの人権侵害 |
・人権尊重に関する人権教育の実施 |
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・海外における人権デュー・ディリジェンスの強化 |
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高い倫理観に 基づいた マーケティング |
サプライチェーン下流のマーケティングによる影響を理解し、人権や環境に配慮した適切なコミュニケーションを実施している。 |
― |
・責任あるマーケティングコミュニケーションポリシーの制定および社員教育の実施 |
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多様な人財の 成長と活躍 |
社員と会社が 共に成長している。
~ イキイキと働く多様な人財が新たな価値を創出 ~ |
「●明治グループにおける人的資本への取組 (2)戦略」に記載をしております。 |
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活動 テーマ |
マテリアリティ |
中長期の目指す姿 |
サブトピック |
主な取り組み |
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持続可能な調達活動 |
人権・環境に 配慮した サプライチェーンの構築 |
サプライヤーと連携・協力してサプライチェーン全体で人権・環境などの社会的責任に配慮した調達活動に取り組み、責任あるサプライチェーンを確立している。 |
サプライチェーン 管理 |
・サステナブル調達アンケートの結果分析によるリスク評価、監査を含むエンゲージメントの実施 |
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・メイジ・デイリー・アドバイザリー(Meiji Dairy Advisory:MDA)を通じた、酪農現場の人材マネジメントによる人の成長および人権、アニマルウェルフェア、GHG排出量削減などの社会課題の解決支援 |
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個々の原材料についてトレーサビリティの確立に努め、原材料生産地での人権・環境などに関わる社会課題を把握し、その課題解決により持続可能な原材料調達を実現している。 |
持続可能な 原材料調達 |
・〈生乳〉酪農家におけるGHG排出量削減に向けた取り組みの推進 |
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・〈カカオ〉メイジ・カカオ・サポート(Meiji Cocoa Support:MCS)を通じ、農家支援を実施した地域で生産された明治サステナブルカカオ豆の調達拡大 |
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・〈カカオ〉全ての調達先における農園までのトレーサビリティの確立 |
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・〈カカオ〉児童労働監視改善システム(CLMRS)もしくは同等のシステムの導入による、児童労働ゼロに向けた取り組みの推進 |
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・〈カカオ〉GPSマッピングなどによる農園の実態把握と森林の保護・回復を目的とした取り組みの推進 |
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・〈パーム油〉森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスクの特定・検証による、森林減少に関与していないパーム油の調達推進 |
||||
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・〈紙〉製品の容器包装の環境配慮紙100%維持および事務用品や定型発行物の環境配慮紙への切り替え |
(4) 2023中期経営計画における指標と実績
マテリアリティ毎の取り組み指標に対する2023年度実績は次のとおりであります。
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マテリアリティ |
指標(KPI) |
基準年度 |
2023年度 実績 |
2023年度 目標 |
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健康な食生活への貢献 |
健康志向商品、付加価値型栄養商品、超高齢社会に貢献する商品の売上伸長 |
2020年度 |
-0.9% (海外子会社除く) |
10%以上 増加 |
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2021年度から2023年度までの3カ年で食育を延べ70万人に実施 |
- |
延べ72.5万人 (2023年度:28.2万人) |
延べ70万人 |
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新興・再興感染症対策 |
新型コロナウイルス・ワクチンの上市を目指す |
- |
開発中 ※1 |
上市 |
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CO₂排出量の削減 |
自社拠点でのCO₂総排出量(Scope1、2) 削減 |
2019年度 |
19.6% ※2 |
19%以上 |
|
CO₂総排出量(Scope3 調達・物流・廃棄_カテゴリ1,4,9,12)削減 |
2019年度 |
4.8% ※2 |
11%以上 |
|
|
自社拠点における総使用電力量に占める再生可能エネルギー比率拡大 |
- |
17.4% ※2 |
15%以上 |
|
|
環境負荷の低減 |
国内連結での再資源化率の拡大 |
- |
87.6% ※2 (海外子会社除く) |
85%以上 |
|
国内の食品事業における製品廃棄量の削減 |
2016年度 |
26.8% ※2 (海外子会社除く) |
42%以上 |
|
|
国内の容器包装などのプラスチック使用量の削減 |
2017年度 |
18.3% ※3 (海外子会社除く) |
15%以上 |
|
|
物流部門で使用するパレット、クレート、ストレッチフィルムなどをリユース・リサイクルによる有効利用 |
- |
100% (海外子会社除く) |
- |
|
|
バイオマスプラスチックや再生プラスチックの使用拡大 |
- |
新たにプロバイオ ティクスヨーグルト の包材に使用 |
- |
|
|
水資源の確保 |
自社拠点での売上高原単位あたりの水使用量の削減を目指す |
2020年度 |
15.7% ※2 |
- |
|
製品原料として使用する水の涵養率拡大 |
- |
111.1% ※2 |
27%以上 |
|
マテリアリティ |
指標(KPI) |
基準年度 |
2023年度 実績 |
2023年度 目標 |
|
多様性の尊重と |
女性管理職比率の拡大 |
2017年度 |
6.5% ※4 |
- |
|
女性リーダー(管理職および係長職相当)の人数拡大を目指す |
2017年度 |
281人 ※4 |
- |
|
|
障がい者法定雇用率(2023年6月現在2.3%)以上の雇用 |
- |
2.5% ※4 |
2.3%以上 |
|
|
人権の尊重 |
国内グループ全従業員に対する人権教育 (e-learningを含む)の実施 |
- |
1回実施 (対象人数:約13,000人/受講率:92.9%) |
1回/年以上 |
|
海外グループ全従業員に対する人権教育 (e-learningを含む)の実施 |
- |
対象人数: 約1,200人/ 受講率:99% |
1回以上 |
|
|
人権・環境に配慮 した原材料調達 |
2021年度までに国内グループ会社のサプライヤーを対象にしたサステナブル調達アンケートの開始 |
- |
31社を対象 に実施 |
2021年度までに開始 |
|
2022年度までに主要海外グループ会社のサプライヤーを対象にしたサステナブル調達アンケートの開始 |
- |
7社を対象 に実施 |
2022年度までに開始 |
|
|
明治サステナブルカカオ豆の調達比率拡大 |
- |
62.5% |
65%以上 |
|
|
RSPO認証パーム油への代替 |
- |
100% |
100% |
|
|
環境配慮紙への代替 |
- |
100% |
100% |
|
|
酪農家の経営に関する支援活動 Meiji Dairy Advisory(MDA)の実施 |
- |
522回/年 |
400回/年以上 |
※1.「コスタイベ筋注用」は起源株に対応するワクチンとして承認取得済み。現在、起源株/オミクロン株対応の
2価ワクチンとして開発中。
※2.算出値については第三者保証取得前の数値であるため、暫定値であります。
※3.プラスチック使用量削減値については、2022年度実績を記載しています。
※4.対象範囲は、明治ホールディングス㈱、㈱明治、Meiji Seika ファルマ㈱、KMバイオロジクス㈱であります。
(5) 2026中期経営計画における指標と目標
戦略パートで記載したマテリアリティ毎の中長期の目指す姿を実現する為の「主な取り組み」とその成果や進捗を測る「指標」と「目標」は次のとおりであります。
|
マテリアリティ |
主な取り組み |
指標(KPI) |
2026年度 目標 |
|
健康と栄養 |
・明治栄養プロファイリングシステム(Meiji NPS)による自社商品の栄養価値の評価実施および今後の栄養価値向上に向けた基礎データの整備 |
・Meiji NPSによる自社商品評価比率 |
対象商品90%以上 ※対象商品の定義は 2024年度中に策定 |
|
・健康な食生活・食文化の普及・啓発に向けた食育活動の拡充 |
・3年間の食育活動の延べ参加人数 |
3年間で延べ80万人 |
|
|
・健康志向食品などサステナブルな取り組みを重視するブランド群の拡大 |
・KPIに関しては、食品セグメントの「明治ROESG®対象のブランド群」の指標 (売上高年度計画の達成)と同一 |
||
|
・“咀嚼~嚥下”のプロセスにおける、嚥下運動の可視化、新たな模擬装置の開発、実験方法の確立 |
・スワロービジョン®により可視化・分析した医用画像の事例数 |
嚥下運動事 例数:10例 |
|
|
新興・再興感染症の脅威 |
・レプリコンワクチン「コスタイベ筋注用」を上市および国内供給体制の整備 |
・国内製造供給比率 |
30%以上 |
|
・小児を対象とした不活化ワクチン「KD-414」の 上市および国内供給体制の整備 |
・ワクチン供給量 (生産能力ベース) ※実際の供給量は感染状況で変わるため、生産能力ベースの指標とする |
150万回分 |
|
|
・先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の公募事業への参画による、デングワクチン「KD-382」の開発 |
・開発Phaseの進捗 |
臨床試験Phase2 (人での用量確認試験) の開始 ※2032年度の上市を目指す |
|
|
・カルバペネム耐性腸内細菌に対するβーラクタマーゼ阻害剤「OP0595」の開発 |
・承認を取得する国数 |
承認取得1カ国以上 |
|
|
堅牢な サプライチェーン 構築による 医薬品の安定供給 |
・安定確保医薬品 カテゴリA製品(「バンコマイシン」「メロペネム」「スルバシリン」「タゾピペ」)の在庫月数のコントロールによる安定供給体制の確立 |
・安定供給を確保できる在庫月数 |
各製品6カ月 |
|
・海外依存度の高いペニシリン原薬の国内生産体制の構築(岐阜工場における製造設備導入) |
・岐阜工場の生産稼働開始ターゲット年度 |
2025年度中 |
|
|
製品品質の 安全性・信頼性 |
・明治グローバル品質方針(Meiji’s Quality Policy)に基づく「明治品質コミュニケーション(Meiji Quality Comm)」活動の推進による品質への取り組み強化 |
・協力会社(製品の委託/仕入れ先)全拠点でのGFSI承認規格取得率 |
100% |
|
・重点管理原料サプライヤーの工場監査率 |
100% |
||
|
・新分野およびグローバル展開に対応した信頼性保証体制の強化 ・製品ライフサイクル全般にわたる信頼性保証システムの変革 ・品質マネジメントレビューの着実な実施と信頼性保証活動(製造所監査、安全管理業務など)の徹底による未然防止 |
・製販品目における回収などの重大不適合の発生件数 |
0件 |
|
|
・規制当局対応における重大な指摘件数 |
0件 |
||
|
マテリアリティ |
主な取り組み |
指標(KPI) |
2026年度 目標 |
|
気候変動 |
・省エネ・創エネ活動の強化、カーボンクレジット の活用などによるScope1、2におけるCO₂排出量 の削減 |
・Scope1、2 排出量削減率 (基準年2019年度比) |
32%以上 |
|
・酪農分野でのGHG排出量削減、容器包装材料の使用量削減、サプライヤーとの連携強化などによるScope3におけるCO₂排出量の削減 |
・Scope3 排出量削減率 (基準年2019年度比) ※範囲(調達・物流・廃棄カテゴリ1,4,9,12) |
15%以上 |
|
|
・太陽光発電設備の導入拡大、再エネ由来電力の活用強化による再生可能エネルギーへの移行推進 |
・再生可能エネルギー比率 ※比率:総使用電力量に占める割合 |
30%以上 |
|
|
資源循環 |
・環境配慮型素材の研究開発を進めながら、プラスチック容器包装のリデュース推進 |
・プラスチック使用量(総量)の削減率 (基準年2017年度比) |
25%以上 (海外子会社除く) |
|
・再生プラスチック、バイオマスプラスチックの活用強化によるバージンプラスチックの使用量削減 |
・バージンプラスチック使用量の削減率 (基準年2017年度比) |
40%以上 (海外子会社除く) |
|
|
・PETボトルに使用する再生プラスチック使用比率の拡大 |
・再生PETの使用比率 |
(2025年度目標) 70%以上 (海外子会社除く) |
|
|
・需給精度の向上による不良在庫削減、賞味期間の延長、賞味期限の年月表示化などによる食品ロスの削減 |
・食品事業における製品廃棄量の削減率 (基準年2016年度比) |
(2025年度目標) 50%以上 (海外子会社除く) |
|
|
・工場での排出物の発生抑制などによる最終処分量の削減 |
・再資源化率 |
90%以上 (海外子会社除く) |
|
|
・動植物性残渣の再資源化(飼料化、肥料化、メタン発酵など)などによる食品廃棄物の削減 |
・食品事業における食品リサイクル率 |
95%以上 (海外子会社除く) |
|
|
水資源 |
・水の効率的な使用、節水型設備の積極的導入などによる水使用量の削減 |
・水使用量の削減率 (基準年2020年度比) ※売上高原単位あたり |
20%以上 |
|
・工場の水源地での森林保全などによる水源涵養活動の拡大 |
・水源涵養率 |
80%以上 |
|
|
生物多様性 |
・自然共生サイトへの認定登録の推進 ※OECM国際データベースへの登録 |
・新規認定区域数 |
新規登録1件 (累計2件) (海外子会社除く) |
|
・森林保全活動を行うための保守管理契約の締結 |
・保守管理契約をする森林面積 |
40ha以上 (海外子会社除く) |
|
|
・生乳、カカオを対象とした、TNFDフレームワークに沿った分析、対応策の策定 ・カカオ、パーム油など主要原材料の森林減少への取り組み推進 |
KPIに関しては、次ページ「人権・環境に配慮したサプライチェーンの構築」の「(カカオ)GPSマッピング等の実態把握率」及び「(パーム油)森林減少に関与していないパーム油の調達比率」と同一。 |
||
|
マテリアリティ |
主な取り組み |
指標(KPI) |
2026年度 目標 |
|
バリューチェーンにおける 人権の尊重 |
・人権尊重に関する人権教育の実施 |
・国内グループ会社社員に対する人権教育の 実施率 |
受講率90%以上 ※年1回の受講 |
|
・海外グループ会社社員に対する人権教育の 実施回数 |
1回以上 ※3年間での受講 |
||
|
・海外における人権デュー・ディリジェンスの強化 |
・海外リスク国の人権影響評価実施国数 |
3カ国 |
|
|
高い倫理観に 基づいた マーケティング |
・責任あるマーケティングコミュニケーションポリシーの制定および社員教育の実施 |
・ポリシー制定のターゲット年度 |
2024年度中 |
|
・ポリシー内容周知のための勉強会実施回数 |
年1回以上 |
||
|
多様な人財の 成長と活躍 |
「●明治グループにおける人的資本への取組 (3) 指標と目標」に記載をしております。 |
||
|
マテリアリティ |
主な取り組み |
指標(KPI) |
2026年度 目標 |
|
人権・環境に 配慮した サプライチェーンの構築 |
・サステナブル調達アンケートの結果分析によるリスク評価、監査を含むエンゲージメントの実施 |
・重要サプライヤーへの監査実施数 |
累計30社以上 |
|
・メイジ・デイリー・アドバイザリー(Meiji Dairy Advisory:MDA)を通じた、酪農現場の人材マネジメントによる人の成長および人権、アニマルウェルフェア、GHG排出量削減などの社会課題の解決支援 |
・Meiji Dairy Advisory(MDA)取り組み戸数 |
累計100戸以上 |
|
|
・酪農家におけるGHG排出量削減に向けた取り組みの推進 |
・〈生乳〉GHG排出量削減に取り組む酪農家戸数 |
累計30戸以上 |
|
|
・メイジ・カカオ・サポート(Meiji Cocoa Support:MCS)を通じ、農家支援を実施した地域で生産された明治サステナブルカカオ豆の調達拡大 |
・〈カカオ〉明治サステナブルカカオ豆の調達比率 |
100% |
|
|
・全ての調達先における農園までのトレーサビリティの確立 |
・〈カカオ〉カカオ農園までのトレーサビリティ比率 |
100% ※対象範囲はガーナを含む 全ての国における調達先 |
|
|
・児童労働監視改善システム(CLMRS)もしくは同等のシステムの導入による、児童労働ゼロに向けた取り組みの推進 |
・〈カカオ〉児童労働監視改善システム導入率 |
100%
※対象範囲は |
|
|
・GPSマッピングなどによる農園の実態把握と森林の保護・回復を目的とした取り組みの推進 |
・〈カカオ〉GPSマッピング等の実態把握率 |
||
|
・森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスクの特定・検証による、森林減少に関与していないパーム油の調達推進 |
・〈パーム油〉森林減少に関与していないパーム油の調達比率 |
2024年度中に目標設定 |
|
|
・製品の容器包装の環境配慮紙100%維持および事務用品や定型発行物の環境配慮紙への切り替え |
・〈紙〉拡張した対象範囲における環境配慮紙の比率 ※対象範囲:事務用品、定型発行物 |
100% |
●気候変動に関する考え方及び取組(TCFD提言に基づく開示)
当社グループの事業は、豊かな自然の恵みの上に成り立っており、地球環境と共に生き「自然と共生」することが責務であると考えております。しかし、近年、地球環境の持続可能性が危ぶまれており、気候変動が中長期的に事業活動に与える影響も大きく、重要な経営課題であると認識しております。また、「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」でも気候変動への対応強化が求められており、当社グループはこうした国際的な枠組みに貢献すべく、脱炭素社会の実現に向けて気候変動への対応を推進しております。
なお、気候変動に関しては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに基づいて記載しています。
(1)ガバナンス及びリスク管理
当社グループは、サステナビリティ戦略を推進するために、責任者であるCSO(Chief Sustainability Officer)が議長を務めるグループサステナビリティ事務局会議を毎月開催し、気候変動をはじめとする社会課題解決に向けた取り組みを強化しています。また、当社CEO(Chief Executive Officer)が委員長を務めるグループサステナビリティ委員会では、半期ごとにサステナビリティ活動全般の進捗状況を報告し、新たな取り組みについて審議しています。特に、気候変動は重要な課題と位置づけています。
ガバナンスに関して、当社グループは、気候変動によるリスク・機会の分析と対応策について、グループTCFD会議(2023年度5回実施)において議論した後、その結果を経営会議で審議し、取締役会が監督し、経営に反映しております。
※ 取締役のスキルに関しては、当社のウェブサイト「取締役・監査役」をご参照ください。
(https://www.meiji.com/investor/governance/officer/)
リスク管理に関して、当社グループは、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクに適切に対処するため、グループ全体でリスクマネジメントを推進しております。この中で、「気候変動」は主要な経営リスクと位置づけております。気候変動によるリスクや機会が時代とともに変化する事を認識し、グループTCFD会議では、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を活用し、定量的な分析と評価を行い、優先度の高い主要インパクトを特定しています。これに基づいて、リスク管理フローに沿って対応策を検討しております。グループTCFD会議は、当社リスクマネジメント部も参画し、気候変動の影響をグループ全体の重大なリスクとして認識し、それに対応できる体制を構築しております。
|
|
(2) 戦略
当社グループは、気候変動によるリスクと機会を重要な経営課題の一つであると認識しており、短・中期的には「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」、長期的には、明治グループ長期環境ビジョン「Meiji Green Engagement for 2050」に基づき「CO₂排出量の削減」や「水資源の確保」などのマテリアリティとKPIを設定し、将来にわたって自然と共生していくための取り組みを推進しております。
<2023年度の取り組み及び開示内容のポイント>
・当社グループにおけるサプライチェーン全体での分析と、最新のパラメータを活用した財務インパクトの再算出
・1.5℃シナリオおよび4℃シナリオに基づき、現状、2030年(中期)、2050年(長期)を基準年として中長期の
気候変動によるリスク・機会の分析と対応策の検討
・「Meiji Green Engagement for 2050」の達成に向けて、太陽光発電設備の導入など移行計画(トランジション
プラン)に基づく対応策の強化
・2021年時点で策定した対応策への具体的な取り組みの推進
・前回特定した気候変動における事業機会に対する具体的取り組み事項の例示
1)リスクの財務インパクト評価
当社グループを取り巻く気候関連リスク・機会の財務的影響を評価するため、シナリオ分析を実施しました。2つのシナリオ(1.5℃・4℃シナリオ)での分析結果のうち、影響の大きい主要インパクトの分析結果は次のとおりであります。
〈分析対象範囲〉
|
事業セグメント |
食品 |
医薬品 |
|
財務インパクト算出範囲 |
当社グループ全体 |
|
|
対象原材料 |
主要原材料[乳原料、カカオ豆、パーム油、砂糖、木材(紙)] |
|
|
分析基準年 |
現状、2030年(中期)、2050年(長期) |
|
〈分析結果の概要〉
<1.5℃シナリオ(移行リスク)における当社グループへの影響>
|
気候変動に関わる変化 |
主要インパクトと具体的な影響 |
当社グループへの影響 |
||
|
関係するサプライチェーン |
影響額(億円) |
|||
|
2030年 |
2050年 |
|||
|
政府の環境規制の強化 |
カーボンプライシング導入による影響額 |
製造 |
44 |
100 |
|
調達 物流 |
465※ |
475※ |
||
|
再生可能エネルギー普及に向けた設備投資の拡大 |
電力購入金額による影響額 |
製造 |
105 |
△48 |
(注)当影響額については、当社グループだけでなくサプライチェーン全体で負担するものと考えております。
<4℃シナリオ(物理的リスク)における当社グループへの影響>
|
気候変動に関わる変化 |
主要インパクトと具体的な影響 |
当社グループへの影響 |
||
|
関係するサプライチェーン |
影響額 |
|||
|
2050年 |
||||
|
台風・豪雨などの激甚化や発生頻度増加 |
洪水被害による機会損失 |
製造 物流 |
国内外15拠点浸水リスクあり 年間リスク増分8.3億円※ |
|
|
気温上昇や水リスクなどによる原材料の生育環境変化 |
原材料調達コストの増加 |
調達 |
- |
- |
(注)当連結会計年度より、国土交通省の「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」に基づき、洪水被害における財務インパクトを算出しています。年間リスク増分とは、2050年までの時間軸で想定される将来リスクの増分を一年間に換算した金額です。詳細は、後続の「<4℃シナリオ>・洪水被害による操業停止などの機会損失」の項目をご覧ください。
〈分析方法および結果の詳細〉
□ 主要インパクトと具体的影響
<1.5℃シナリオ>
・カーボンプライシング導入による影響額(自社)
2030年は、省エネ活動、創エネ活動、再エネ由来電力の購入などにより16億円の削減を見込めるものの、44億円のコスト増加を想定しています。2050年は、新たな技術や次世代エネルギーの積極的導入など移行計画(トランジションプラン)に基づき、24億円の削減を見込んでいます。しかし、現在の技術では2050年にCO₂排出量をゼロにすることが困難なため、50億円のカーボンクレジットの購入が必要となり、100億円のコスト増加を想定しています。
単位:億円
|
取り組み内容 |
2030年 |
2050年 |
|
対応策未実施のカーボンプライシング負担額 |
60 |
74 |
|
対応策によるカーボンプライシング削減額 |
△16 |
△24 |
|
カーボンクレジット購入金額 |
- |
50 |
|
合 計 |
44 |
100 |
・カーボンプライシング導入による影響額(主要原材料)
主要原材料を調達する各国のカーボンプライスを基にした影響額は、原材料ごとに上昇するも、各種対応策の実施により、最終的には2030年は465億円の増加、2050年は同様に475億円の増加を想定しています。
※ 1.5度シナリオにおけるカーボンプライシング導入による影響額については、国際エネルギー機関
(IEA)のWorld Energy Outlook (WEO) 2023で公表されているNZEシナリオのカーボンプライス(2030年、2050年)を基に算出しています。
・電力購入金額による影響額(自社)
2030年は、省エネ活動や創エネ活動などにより44億円の削減を見込んでいますが、電力価格の上昇や再エネ由来電力のプレミアム価格によるコスト増加があり、105億円のコスト増加を想定しています。一方、2050年は、技術の革新により電力価格は現状並みに下がり、省エネ活動などによる電力使用量削減が影響し、48億円の減少を想定しています。
単位:億円
|
取り組み内容 |
2030年 |
2050年 |
|
電力単価上昇に伴う増加額 |
140 |
1 |
|
省エネ活動、創エネ活動等による電力使用削減額 |
△44 |
△64 |
|
再エネ由来電力購入に伴う増加額 |
10 |
14 |
|
合 計 |
105 |
△48 |
※ 1.5度シナリオにおける電力購入金額による影響額は、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク
(NGFS)のNet Zero2050シナリオの情報を基に算出しています。
<4℃シナリオ>
・洪水被害による操業停止などの機会損失
洪水による被害額は、国土交通省の「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」に基づき、財務インパクトを算出しました。国内外の生産拠点51拠点を対象としてリスク評価を実施した結果、国内13拠点、海外2拠点で浸水リスクが想定されました。財務インパクトは、各拠点で想定される浸水深などを元に、資産の被害額や操業停止による機会損失額を、年間のリスク増分として算出しています。2050年において、100年に1度の洪水規模での15拠点合計の年間リスク増分は、8.3億円/年を想定しています。
|
国内/海外 |
年間リスク増分(億円) |
||||
|
物件被害額 |
営業停止 |
償却資産 |
在庫資産 |
合計 |
|
|
国内 |
0.8 |
2.6 |
3.7 |
1.1 |
8.2 |
|
海外 |
0.1> |
0.1> |
0.1 |
0.1> |
0.1 |
|
合計 |
0.8 |
2.6 |
3.8 |
1.1 |
8.3 |
・主要原材料調達への影響
原材料の生産地においても、気候変動による気温上昇や水リスクによって農作物の収量減少に伴う原材料単価の上昇が想定されます。主要原材料の生産地における収量変化や水リスクの分析を実施し、その結果の概要は以下のとおりです。
~想定される収量変化~
・カカオ豆や砂糖の調達国では、将来的に収量が減少すると予測されています。
・乳原料への影響は、2030年、2050年においても数%の減少に留まると予測されています。
~想定される水リスク~
・洪水リスクは、将来的にほとんどの地域でリスクが高くなると想定されるため、各生産地の洪水リスクを確認した上で、改善策の検討が必要であると考えています。
※ 4℃シナリオにおける主要原材料調達への影響については、FAOが公表しているGAEZv4データベ
ース(RCP8.5)や文献調査に基づいた将来の収量予測情報を基に算出しています。
なお、原材料として調達する農作物は気候変動のみならず、自然資本・生物多様性の保全と密接に関係しています。自然関連財務情報の開示フレームワーク(TNFD)のLEAPアプローチを活用し、当社グループの重要原材料であるカカオ豆と乳原料の自然への依存と影響を分析しました。
~カカオ豆や乳原料の生産地での自然関連リスク分析~
・カカオ豆や乳原料の生産活動は、自然への依存度が高いため、主要な生産拠点における依存・影響状況を把握するための調査を行いました。
<カカオ豆>
「土地利用転換、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、土壌浸食の抑制、自然災害の影響緩和」という6項目について、特に重要度が高いということが分かり、そのうち、「土地利用転換・大気汚染」の2項目については、リスクが特に高い拠点数が多い結果となりました。
・土地利用転換のリスクが非常に高い拠点数 :12ヵ所
・大気汚染(焼き畑など)のリスクが非常に高い拠点数:11ヵ所
<乳原料>
「水ストレスの脅威、水質汚濁、土壌肥沃度の維持、地下水・地表の利用」という5項目について、特に重要度が高いということが分かり、そのうち、「水質汚濁」については、リスクが特に高い拠点数が多い結果となりました。
・水質汚濁のリスクが非常に高い拠点数 :26カ所
カカオ豆および乳原料ともに、今後は生産地でのGAP分析等を行う中で収量減少の回避に向けた取り組みを推進してまいります。
2)リスク低減に向けた取り組み
当社グループはIEMAのGHG管理ヒエラルキーに基づきGHG排出量削減への取り組みを推進しています。
ⅰ Eliminate(回避) :ビジネスモデルや事業ポートフォリオの変更等を通じライフサイクルを通じてGHGを排出しない事業構造へ転換
ⅱ Reduce(削減) :製造工程や輸送の効率化等を通じ、エネルギー使用量やGHG排出量を削減
ⅲ Substitute(代替) :再生可能エネルギーの活用、低炭素素材の調達等を通じ、よりGHG排出量の少ないエネルギー・調達物品への変更
ⅳ Compensate(補償・相殺) :削減しきれなかったGHG排出量に対し、カーボンクレジット購入等のオフセットによって相殺
・自社拠点のGHG排出量削減に向けた取り組み
自社におけるGHG排出量を削減するため、現在実施している省エネ活動、創エネ活動、再エネ由来電力の購入などに加え、新たな技術や次世代エネルギーの積極的な導入などを織り込んだ移行計画(トランジションプラン)を策定しました。概要は以下のとおりです。
|
|
※Scope1 事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴うGHGの間接排出
対応策については、当社工場等に太陽光発電設備や省エネ設備の導入をはじめ、RE100対応の再生可能エネルギー由来電力の購入等、様々な取り組みを行っています。移行計画を基に各取り組みを推進し、その結果、2023年度において、総使用電力に占める再生可能エネルギー比率が17.4%となりました。引き続き、2050年の100%達成を目指して取り組みを推進していきます。
|
|
対応策の例〈十勝工場におけるメタンバイオガスの利用〉
十勝工場において、ホエイ残渣をメタン発酵させ、排水処理を行う設備を導入しました。2024年4月より稼働し、この設備により、年間の産業廃棄物量の54%、CO₂排出量の5.9%を削減する見込みです。
|
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・サプライチェーンのGHG排出量削減に向けた取り組み
主要原材料におけるCO₂排出量については、CO₂だけでなく酪農業由来のメタンなどGHG全般での排出量削減が重要な課題と捉えています。GHG排出量削減に向けて、酪農を中心としたScope3における移行計画を策定しました。GHG排出量削減を効果的に行うために、ライフサイクルにおけるGHG排出量の多いプロセスを特定すべく、まずは牛乳のカーボンフットプリント(CFP)を算定し、次にそのプロセスでの排出量削減策を策定し取り組みを開始しました。さらに、その他の原材料における対応策も検討すると同時に、GHG排出量削減に向けたサプライヤーとのエンゲージメント(対話)を実施することで、サプライヤーの排出量削減、ひいてはサプライチェーン全体の排出量削減を促進していきます。
Scope3削減の移行計画(トランジションプラン)の概要は次のとおりです。
図中の1~6については、以下に対応策詳細を記載しております。
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※Scope3 Scope1、2以外のCO₂間接排出(購入した原料・包材等の生産・製造・輸送から、それらを加工した製品の販売・輸送・使用・廃棄に至るまでの企業活動におけるサプライチェーン上で発生するCO₂排出)のこと。
対応策1 牛乳のカーボンフットプリント(CFP)の算定の拡大
数軒の酪農家から収集した実データなどに基づき、2022年に「明治オーガニック牛乳」、2023年に「明治おいしい牛乳(九州工場生産品)」のライフサイクル全体(原料調達~製造~消費・廃棄)におけるGHG排出量を算定しました。その結果、上流部分が90%以上を占めることが分かりましたので、生産者との排出量削減の取り組みを強化していきます。
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商品名 |
上流 |
中流 |
下流 |
合計 |
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明治オーガニック牛乳 |
90.7% |
5.9% |
3.4% |
100% |
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明治おいしい牛乳 |
91.0% |
5.6% |
3.4% |
100% |
対応策2 糞尿由来のN₂O削減のビジネスモデル構築と拡大
酪農家、味の素株式会社、当社グループの3者が中心となり、ビジネスモデルを構築しました。
味の素株式会社製品の「AjiPro®-L」を使用し、飼料中のアミノ酸バランスを改善することで乳量を維持しつつ、飼料中の余剰な窒素を抑え、糞尿由来のN₂O排出量を削減することができます。削減されたN₂Oは、酪農家と味の素株式会社がJ-クレジット制度を活用してクレジット化し、そのクレジットを当社が購入することで酪農家を経済的に支援するモデルとなります。開始後1年が経ち、5事例、約3,000頭もの乳牛を対象に給与しており、今後さらに拡大していきます。
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対応策3 カーボンファーミング(CF)に関する取り組み
カーボンファーミングは、大気中のCO₂を土壌に取り込むことで、農地土壌の質を向上させると同時に、GHG排出量削減を目指す農法です。2023年8月、酪農家や別海町と共に道東カーボンファーミング研究会を立ち上げ、別海町の土壌のCO₂貯留量を測定しました。次年度は、その結果を基に不耕起栽培やカバークロップ、堆肥の有効利用など、CO₂貯留量を増加させる農法の確立を目指し検証していきます。
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対応策4 カカオに関する取り組み
気候変動への対応として、ガーナにおいて気候変動に適応する栽培法を指導したり、アグロフォレストリーを通じて森林伐採地に多品種の作物を植え、森を再生したりしています。また、気候変動に伴い生産量の減少が想定されるため、その対策として、カカオ細胞培養スタートアップ(California Cultured Inc.)に出資し、持続可能なカカオの調達を推進します。
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間もなくチョコレートになるカカオ細胞 |
対応策5 プラスチック資源循環の取り組み
容器包装材料の主たる原料である石油由来のプラスチックを削減することはGHG排出量の削減にも繋がります。石油由来原料のプラスチックの削減策として、「明治おいしい牛乳」のキャップや注ぎ口にバイオマスプラスチックを使用しています。また、リデュースを推進する取り組みとして、「明治エッセルスーパーカップミニ」
カップの紙容器化、「明治北海道十勝ミルクきわだつヨーグルト」カップの軽量化などを行っております。
プラスチック使用量推移、目標
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年度 |
2017年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2030年度 |
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実績 (t) |
30,807 |
27,265 |
25,878 |
25,155 |
21,567 |
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削減量(t) |
- |
3,542 |
4,929 |
5,652 |
9,240 |
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削減率(%) |
- |
11.5 |
16.0 |
18.3 |
30.0 |
対応策6 サプライヤーエンゲージメントの実施
サプライヤーにおけるCO₂排出量削減は、当社のScope3の削減に繋がります。原材料サプライヤーとのエンゲージメント(対話)を通じて、環境負荷に関する目標と実績を相互に共有し、環境課題の取り組み状況を確認することで、GHG排出量の削減などの社会課題の解決を推進します。
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・主要原材料の調達リスクの低減に向けた取り組み
原材料の調達リスク低減のために、調達国/地域/サプライヤーの最適化や認証原材料の調達強化を行うとともに、商品面でも健康価値・栄養価値の強化、サステナビリティによる社会価値創出などによる商品の高付加価値化を推進しています。
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・洪水リスクの低減に向けた取り組み
洪水リスクへの対応策として次の取り組みを実施しています。
・リスクの高い拠点において、現地と連携しリスク評価結果のGAP分析を行い、実態を把握しています。
・特に優先度の高い事業所に対しては、詳細な調査を行い、浸水エリアや浸水深を想定したハード面での対策
を検討し、実施しています。例えば、ボックスウォール(仮設止水版)や防水壁の設置などがあります。
3)事業機会の創出
気候変動は社会や生活に変化をもたらし、新たなニーズや機会創出に繋がると考えております。当社グループでは現在の事業基盤を活かし、新たな資源を取り入れることで以下のような機会獲得の可能性を想定しております。
機会を抽出するまでのプロセスは次のとおりです。
・グループTCFD会議の事務局メンバーが、機会検討に関係する組織に個別にヒアリングを実施しました。
・グループTCFD会議にて、「機会の方向性」を審議しました。
・既存事業との関係、現状の自社アセットでの対応可否、実現可能性等の観点から、定性的に整理しました。
・機会獲得のポイントを実現可能性の高いものに絞り込み、事業機会を特定しました。
今後、当社グループ全体でそれぞれ実現可能性を探り、実現に向けて具体的な取り組みを推進してまいります。
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気候変動の直接的影響 |
気候変動による社会や生活への影響 |
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・平均気温の上昇 ・災害の激甚化 ・降水パターンの変化 ・生物多様性毀損 ・農産物の収量減少 ・海面の上昇 ・永久凍土の溶解 など |
・気温上昇での生活様式変化(外出・移動自粛、巣ごもり、止渇・熱中症など) ・食品・エネルギー価格の上昇、生産者の支出の変化 ・GHG排出規制の強化や水リスク(渇水、水質悪化)顕在化 ・環境負荷を低減させる生活の推進(ロスや廃棄削減、省エネ、エシカル消費など) ・医療ひっ迫の恒久化や感染症予防意識の高まり ・災害対策の意識の高まり ・開発途上国の栄養不足深刻化 |
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機会獲得のポイント |
高まることが想定されるニーズ |
明治グループにおける機会 |
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生活様式の変化による 巣ごもりなどへの対応 |
・気温上昇による止渇、熱中症対策 ・家庭内で生活を完結できる商品や仕組み ・栄養バランスの改善による健康維持 |
・暑さ対策商品の拡大 ・カスタマイズ型栄養支援ビジネス |
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環境意識の高まりへの対応 |
・環境負荷の小さい商品 (植物由来、細胞培養、循環型農業など) ・廃棄ロスやエネルギー使用を低減した商 品や生活様式 ・原材料の持続可能な調達 |
・環境負荷低減型商品の拡大 ・環境配慮、支援型ビジネス ・持続可能な原料活用商品の拡大 |
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新興・再興感染症への対応 |
・感染症予防のための行動の習慣化 (うがい、手洗いの励行、マスク着用、免 疫力強化など) ・感染症に対するセルフメディケーション ・開発途上国における感染症対策 |
・グローバルでの抗感染症薬、免疫 力強化商品の拡大 ・自然免疫、獲得免疫、治療薬など 感染症トータルケアビジネス ・開発途上国、原料生産国への感染 症対策商品の提供や支援 |
さらに、これら8つの事業機会を、現在既に手掛けているものから、中長期的に仕掛けていくものへと時間軸で優先順位付けを行いました。
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事業機会①⑤ 「環境負荷低減商品の拡大」や「持続可能な原料活用商品の提供」の事例
社内認定制度「meiji サステナブルプロダクツ」の取り組み強化による事業機会の創出
バリューチェーンの各プロセス(開発、調達、生産、物流、消費)において、サステナビリティ活動に積極的に取り組み、社会課題解決型商品としてお客様に訴求することで、新たな価値の創造を目指します。
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事業機会 |
サスプロ認定基準 |
主な要件事項 |
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機会① 環境負荷低減商品の拡大 |
環境に配慮した容器包装 |
プラスチック使用量削減、 |
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機会⑤ 持続可能な原料活用商品の提供 |
人権と環境に配慮した調達 |
認証原料の使用、 |
事業機会③ 「感染症トータルケアビジネス」の事例
<新規モダリティの獲得>
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン「コスタイベ筋注用」の国内製造販売承認を取得しました。今回の承認は、次世代 mRNAワクチン(レプリコン)として世界初となります。「コスタイベ筋注用」は、新規の sa‐mRNA技術を使用しており、少量の mRNAで高い免疫応答が期待できます。当社グループは、先進的なモダリティ技術を獲得し、将来に向けた新たなワクチン開発の技術基盤を築いてまいります。
ⅰ デングウイルス感染症に対する新規ワクチンの開発
気候変動による温暖化や降水量の変化に伴い、病原微生物の生息地や生活環境が変化しつつあります。この結果、
デングウイルス感染症の発生地域が拡大しています。
原因となるデングウイルスは、ヒトにデング熱、デング出血熱及びデングショック症をおこす蚊媒介ウイルスの一種で、1型から4型までの4種の血清型がヒトでの流行に関与しています。WHO報告によると熱帯・亜熱帯地域の100カ国以上で流行が見られ、世界人口の約50%に相当する39億人が感染リスクにさらされ、毎年1~4億人が感染するとされています。年間3.9億人が感染し、9,600万人が発症したとする推計も報告されています。
また、デング出血熱により5歳未満の子供を中心として毎年50万人が重症化による入院治療を必要としており、うち約2.5%が死亡しています。
KD-382は、非臨床試験において1回の接種でデングウイルスの4つの血清型すべてに対して良好な免疫原生と防御効果を示すことが確認されています。また、健康成人を対象として実施した第Ⅰ相臨床試験において、KD-382は忍容性と良好な免疫原性を示し、1回の接種で4つの血清型すべてに対する中和抗体誘導能を確認しました。デングウイルス感染症は小児の重症化リスクが高いことから、現在、小児における安全性と免疫原性を検討するため、先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の支援のもと、第Ⅱ相臨床試験の準備が進められており、デングウイルス感染症の予防に向けた新たな選択肢として期待されています。
ⅱ 薬剤耐性(AMR)対策に向けた新規β-ラクタマーゼ阻害剤の開発
薬剤耐性菌の出現と蔓延は世界的な脅威であり、日本国内においても「AMR対策アクションプラン」のもと、対策が進められています。とりわけ、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)は、重症感染症治療における「最終兵器」とされるカルバペネム系抗菌薬が無効な耐性菌として世界中で脅威となっております。
このような中、当社グループが創出した新規β-ラクタマーゼ阻害剤「Nacubactam(開発コードOP0595)」は、既存の抗菌薬との併用により、薬剤耐性菌に対する有効性が期待されています。「サイレントパンデミック」と呼ばれる薬剤耐性(AMR)は世界的な課題であり、当社グループは新薬を通じてAMR対策に貢献してまいります。
(3) 指標と目標(進捗状況含む)
当社グループでは、「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」、明治グループの長期環境ビジョンである「Meiji Green Engagement for 2050」を策定し、それぞれのビジョンに基づいてマテリアリティとKPIを設定しています。長期環境ビジョンにおいて、気候変動に関するKPIは、パリ協定の努力目標である世界全体の平均気温を1.5℃ に抑えることを目標としています。
気候変動に関わるリスクや機会への対応は、環境負荷低減活動に加えて、原材料調達など多岐にわたります。そのため、以下のKPIを設定し、定期的に進捗状況を確認し、達成に向けて計画的に取り組んでおります。また、これらの取り組みは、明治ROESG®指標の一部として評価され、役員報酬に反映されます。
<ESG投資枠の拡大>
Scope1、2、3における移行計画の推進のため、2026中期経営計画において「ESG投資」を500億円と設定し、サステナビリティ施策を着実に推進します。主な施策は、以下のとおりです。
・酪農業のGHG排出量削減に向けた取り組み
・ペニシリン原薬の国産化
・太陽光発電設備の導入
・脱フロン対策(例:ノンフロンターボ冷凍機の導入)
・脱プラスチック対策(例:小型ペットボトル軽量化に向けた設備導入)
・水使用量の削減(例:小型ペットボトルライン リンス水循環化による節水対策)
<インターナルカーボンプライシング制度の見直し>
2024年度から、インターナルカーボンプライシング制度の炭素価格を1t-CO₂当たり5,000円から15,000円に変更し、カーボンプライシング本格導入後の円滑な対応に向けた準備も進めております。
<サステナビリティボンドの発行>
当社のサステナビリティビジョンを達成するための必要資金として、2021年にサステナビリティボンドを発行し、資金調達を実施しています。
ください。(https://www.meiji.com/sustainability/stance/finance/)
<2023中期経営計画における気候変動によるリスクと機会に関係するKPI>
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主要 インパクト |
項目 |
KPI |
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短・中期目標 |
長期目標 |
2023年度進捗 |
||
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カーボンプライシングの導入 |
CO₂排出量 |
2030年度までに自社拠点での CO₂総排出量(Scope1、2)を50%以上削減、Scope3を30%以上削減(2019年度比) |
2050年までにサプライチェーン全体でCO₂などの温室効果ガス排出量を実質ゼロに |
Scope1、2: 19.6% Scope3:4.8% ※2、3 |
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再生可能エネルギー使用量 |
2030年度までに自社拠点における総使用電力量に占める再生可能エネルギー比率を50%以上へ拡大 |
2050年までに自社拠点における総使用電力量に占める再生可能エネルギー比率100%を達成 |
17.4% |
|
|
プラスチック 使用量 |
2030年度までに国内の容器包装などのプラスチック使用量を25%以上削減(2017年度比) |
再生資材などを活用し容器包装に使用する新たな自然資本を最小化 |
18.3% ※2、4 |
|
|
水調達リスク |
水使用量 |
2030年度までに自社拠点での水使用量の売上高原単位を15%以上削減(2020年度比) |
2050年までに自社拠点での水使用量の売上高原単位を2020年度比で半減 |
15.7% ※2 |
|
主要原材料の持続可能な調達 |
カカオ豆 |
2026年度までにサステナブルカカオ豆の調達比率を100%へ |
- |
62.5% |
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パーム油 |
2023年度までにRSPO認証パーム油への100%代替 |
- |
100.0% |
|
|
木材(紙) |
2023年度までに環境配慮紙への100%代替(製品の容器・包装に使用する紙) |
- |
100.0% |
|
|
生乳 |
酪農家の経営に関する支援活動Meiji Dairy Advisory(MDA)を年間400回以上実施、及び2023年度までに累計2,150回以上実施 |
- |
522回/年 累計2,422回 |
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※1 明治ROESG®のうち気候関連の評価項目に係る部分を区分して割合を示すことは困難であると認識しています。
※2 進捗については、基準年度からの削減率(%)を記載しています。なお、算出値については第三者保証取得
前の数値であるため、変更の可能性があります。
※3 Scope3はScope1、2以外の間接排出で、バリューチェーンからのCO₂排出量です。
Scope3カテゴリ1は2022年度から原材料の購入重量を使用し、IDEA(Ver.3.2.0)の係数を利用して算出しています(2021年度までは原材料の購入金額を使用)。KPI進捗は、基準年度である2019年度のScope3カテゴリ1の排出量を2022年度に採用した算出方法で計算し、その数値をもとに算出しています。また、2023年度から㈱明治フードマテリアと明治飼糧㈱を対象範囲に追加したことに伴い、KPI進捗は、2019年度における㈱明治フードマテリアと明治飼糧㈱のScope3カテゴリ1,4,9の実績を加えて算出しています。
※4 プラスチック使用量削減値については、2022年度実績をもとにしています。
<2026中期経営計画における気候変動によるリスクと機会に関係するKPI>
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中長期の目指す姿 |
主な取り組み |
指標(KPI) |
2026年度 目標 |
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サプライヤーと連携・協力してサプライチェーン全体で人権・環境などの社会的責任に配慮した調達活動に取り組み、責任あるサプライチェーンを確立している。 |
・メイジ・デイリー・アドバイザリー(Meiji Dairy Advisory:MDA)を通じた、酪農現場の人材マネジメントによる人の成長および人権、アニマルウェルフェア、GHG排出量削減などの社会課題の解決支援 |
・Meiji Dairy Advisory (MDA)取り組み戸数 |
累計100戸以上 |
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個々の原材料についてトレーサビリティの確立に努め、原材料生産地での人権・環境などに関わる社会課題を把握し、その課題解決により持続可能な原材料調達を実現している。 |
・〈生乳〉酪農家におけるGHG排出量削減に向けた取り組みの推進 |
・〈生乳〉GHG排出量削減に取り組む酪農家戸数 |
累計30戸以上 |
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・〈カカオ〉メイジ・カカオ・サポート(Meiji Cocoa Support:MCS)を通じ、農家支援を実施した地域で生産された明治サステナブルカカオ豆の調達拡大 |
・〈カカオ〉明治サステナブルカカオ豆の調達比率 |
100% |
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・〈パーム油〉森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスクの特定・検証による、森林減少に関与していないパーム油の調達推進 |
・〈パーム油〉森林減少に関与していないパーム油の調達比率 |
2024年度中に 目標設定 |
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・〈紙〉製品の容器包装の環境配慮紙100%維持および事務用品や定型発行物の環境配慮紙への切り替え |
・〈紙〉拡張した対象範囲における環境配慮紙の比率 ※対象範囲:事務用品、定型発行物 |
100% |
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中長期の目指す姿 |
主な取り組み |
指標(KPI) |
2026年度 目標 |
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省エネ・創エネ活動の強化、再生可能エネルギーの利活用、酪農分野でのGHG排出量削減などによりサプライチェーン全体のCO₂排出量の削減を図り、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す。 |
・省エネ・創エネ活動の強化、カーボンクレジットの活用などによるScope1、2におけるCO₂排出量の削減 |
・Scope1、2 排出量削減率 (基準年2019年度比) |
32%以上 |
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・酪農分野でのGHG排出量削減、容器包装材料の使用量削減、サプライヤーとの連携強化などによるScope3におけるCO₂排出量の削減 |
・Scope3排出量削減率 (基準年2019年度比) ※範囲(調達・物流・廃棄カテゴリ1,4,9,12) |
15%以上 |
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・太陽光発電設備の導入拡大、再エネ由来電力の活用強化による再生可能エネルギーへの移行推進 |
・再生可能エネルギー比率 ※比率:総使用電力量に占める割合 |
30%以上 |
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3R (Reduce, Reuse, Recycle)+Renewableの取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えながら付加価値を生み出す活動を推進することで、製品価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑制などを図り、サーキュラーエコノミーへの移行を目指す。 |
・環境配慮型素材の研究開発を進めながら、プラスチック容器包装のリデュース推進 |
・プラスチック使用量(総量)の削減率 (基準年2017年度比) |
25%以上 (海外子会社除く) |
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水使用量の継続的な削減に加え、水源涵養など水源保全活動への積極的な取り組みによりウォーターニュートラルを実現している。 |
・水の効率的な使用、節水型設備の積極的導入などによる水使用量の削減 |
・水使用量の削減率 (基準年2020年度比) 売上高原単位あたり |
20%以上 |
●明治グループにおける人的資本への取組
(1) ガバナンス及びリスク管理
1) ガバナンス
グループ全体の人財戦略の推進にあたっては、経営会議の諮問機関として、当社代表取締役社長CEOが委員長を務める「グループ人財委員会」を年に2回開催し、その内容については取締役会に報告しています。本体制は2022年度から始まり、2023年はグループ全体の人財戦略の推進責任者としてCHRO(Chief Human Resource Officer)を設置、現在は「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」「人財開発」「健康経営」「労働安全」「スマートワーク」の5つをテーマに掲げ、それぞれ分科会を設置し、グループ横断での取り組みを推進しています。
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2) リスク管理
経営戦略に則した人財戦略の推進にあたって、人財・組織風土の課題は企業活動に重大な影響を及ぼす経営リスクの一つであると認識しています。外部環境の変化を見据えた人財・組織風土の課題について、グループ人財委員会にて議論を重ね、グループ全体の経営リスクを所管するリスクマネジメント部とも連携し、以下の3点をリスクとして特定・管理しております。
ⅰ 企業成長に必要な人財獲得および能力開発
・経営人財・事業マネジメント人財・高度人財等の獲得・育成ができないリスク
・DE&Iが推進されないことによる採用力低下、お客さま目線での事業推進力低下のリスク
ⅱ 業務環境による生産性への影響
・労働環境・安全衛生の対応不足による生産性低下、離職者増加のリスク
・社員の適切な健康課題の把握・改善に向けたアプローチ不足による休職者増加のリスク
・時代に合わせた働く環境(職場・IT等)整備の遅延によるクリエイティビティ停滞のリスク
ⅲ 社員エンゲージメント
・経営計画や組織目標の理解・浸透不足や階層・部署を跨いだコミュニケーション不足による組織力低下のリスク
・会社への共感度低下による離職者増加のリスク
上記リスクについては、顕在化している事例を検証するとともに対応策を検討し、人事部門を中心に関連部署と連携して、リスク低減に努めています。
(2)戦略
人財は、明治グループの価値創造を支えるきわめて重要な資本です。社員の多様性を尊重し、一人一人の能力を最大限に発揮させることが明治グループの持続的な成長につながるという考えのもと、経営戦略に則し、戦略的な投資を行ってまいります。
2026中期経営計画における、経営戦略に基づく人財戦略コンセプト
「2026中期経営計画」では、「明治ROESG®経営の進化」に取り組み、市場、事業、行動を変えて成長力を取り戻します。グローバルに事業を拡大し、社会課題解決を通じサステナビリティと事業を融合することで競争優位性を強化し、明治グループの価値を最大化することで、持続的な成長を実現してまいります。この経営戦略に基づく人財戦略において、自律・挑戦・成長・共創し、イノベーションを生み出すことのできる多様な人財の獲得・育成と多様な人財が可能性を最大限引き出すことのできる組織風土および更なるDE&Iの推進と社員の健康が不可欠であると考えます。この人財戦略を実現するために、グローバルで戦うための人財・環境づくり、人的資本のサステナビリティ推進、グループ人事機能の実効性向上を掲げ実行してまいります。
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1) 人財育成方針
明治グループの持続的な成長に向け、戦略を立案・遂行する高い能力を有する人財への投資を強化しています。一人一人の持つ知識・スキル・能力を強化し、その力を職務で最大限発揮できるよう取り組んでいます。
<明治グループ能力開発方針>
明治グループ2026ビジョンの「目指す企業グループ像」を実現するために、明治グループが求める資質や能力を持つ人財を育成するべく、「明治グループ能力開発方針」を定めています。
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<能力開発体系>
「明治グループ能力開発方針」に基づき、社員一人一人の成長とキャリア開発を図る能力開発体系を整えています。
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2023年度研修受講者数 対象(管理職・一般職、平均受講時間、平均受講費用)
※ ㈱明治・Meiji Seika ファルマ㈱・KMバイオロジクス㈱
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プログラムの目的 |
受講人数 (延べ人数) |
平均受講時間 (時間) |
平均受講費用 |
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階層別研修 |
それぞれのステージごとに必要なスキルの習得 |
1,327 |
22.1 |
50.6 |
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グローバル研修 |
・世界をフィールドに成果を出せるグローバル |
1,291 |
5.4 |
20.9 |
|
次世代リーダー育成 |
・広い視野と高い視座をもった人財の育成 |
73 |
52.7 |
588.7 |
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部門別・グループ会社研修 |
・業務上必要となるビジネススキルの習得 |
195,237 |
1.9 |
1.1 |
<グループ経営人財の育成>
明治グループ2026ビジョンの実現とその先の成長を見据えて、特にグループ横断的な経営人財の育成に注力しています。各事業における戦略遂行のための知識・スキル・能力だけでなく、グループ経営戦略の策定・推進に欠かせない視座・視野・視点を備える「変革・戦略人財」を中心とした人財を計画的に発掘・育成するべく、2021年度よりグループ経営人財育成プログラムを始動しました。執行役員および上級部長の選抜メンバーを対象に、CEOを座長に据えた開発プログラムを通して、ビジョン実現を強力にリードする明治グループ経営陣に求める人財像(リーダーシップバリュー)に沿ったコンピテンシー・能力の開発を行っています。
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<グローバルビジネス人財の育成>
明治グループがグローバル市場でさらなる飛躍を遂げるためには、グローバルへの事業拡大に貢献できるためのスキル・能力を持った人財が必要不可欠です。グローバルでリーダーシップやコミュニケーション力を発揮しながら、目標達成に向けてやり抜ける人財の育成・開発に向けて、必要なスキル・能力の再定義、育成体系・研修プログラムの強化・再構築、海外事業部門への異動公募等を行っています。
2) 社内環境整備方針
ⅰ DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)
明治グループ2026ビジョンの実現に向けてDE&I推進を加速する考え方として、「明治グループ ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンポリシー」を制定しています。多様な社員が、イキイキとやりがいをもって働ける環境を整備し、イノベーションや新たな価値を創出することで、持続的な企業成長を実現します。
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明治グループ ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンポリシー
私たち明治グループは、赤ちゃんからお年寄りまで、それぞれのライフステージで多様な価値観を持つお客さまの気持ちや日々の生活に寄り添うことで、成長を重ねてきました。これからも、そうしたアプローチをグループの強みとし、日本、世界のお客さまに「食と健康」で一歩先を行く価値をお届けするために、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進します。
<明治グループにとっての多様性> 性別、性的指向、ジェンダーアイデンティティ、性表現、年齢、国籍、宗教、健康、障がいの有無、雇用形態、キャリア、育児・介護中などの多様な背景や、一人ひとりの価値観・知見・能力などのあらゆる違い
1. ダイバーシティ 多様な人財の採用・育成・登用を推進し、多様な人財が様々な職域で活躍できる環境をつくります。
2. エクイティ 多様な人財が能力を最大限に発揮するために、障壁となるものを取り除き、一人ひとりの多様な背景や 志向に合わせて成長・挑戦する機会を一律ではなく公平に提供します。
3. インクルージョン 多様な人財が自分らしさを発揮し、互いを尊重して認め合い、多様性を活かし合える組織風土を実現 します。
私たち明治グループは、多様な人財がイキイキとやりがいを持って働ける環境を実現し、イノベーションや新たな価値を創出することで、持続的な企業成長につなげていきます。 |
グループ人財委員会では、明治グループが目指すべき「DE&Iが実現した姿」を掲げ、重点属性(女性・キャリア採用者・海外人財)への取り組みを強化しています。
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<女性>
DE&Iの第一歩としての女性活躍推進については、トップのコミットメントのもと、以下の3本柱で取り組みを行っています。リーダーシップパイプラインの構築においては、国際女性デーに合わせて3月にグループ合同女性管理職ネットワーク交流会を開催し、女性役員や部長による講演や座談会等を行い、上級管理職への視座醸成とパイプラインの構築につなげています。また、育児期者社員の活躍支援と上司マネジメントにおいては、育児期社員とその上司に対して研修を実施し、育児期社員については「周囲を巻き込む伝え方」、上司については「個別マネジメントと活躍支援の重要性」を学んだ上で、育児期社員と上司合同の他者理解ワークを実施しました。今後も性別や制約の有無に関わらず、社員一人一人があらゆる職務・階層で能力を発揮し、活躍できる環境づくりを行います。
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<キャリア採用者>
幅広い知見や新たな視点を取り入れ、一歩先を行く価値を創造するために、新卒採用に加え、他社でキャリアを積んだ人財のキャリア採用にも積極的に取り組んでいます。また、一度退職した社員の再就職を可能とする「カムバック制度」を導入しています。明治グループで得たノウハウや知見を有し、退職後に多様な経験や知識を培った退職者の再雇用を通じて、社内のさらなる活性化や、新たな価値創出を図ります。
<海外人財>
グローバルな視点を意思決定に反映させ、世界で成長し続ける明治グループとなるために、海外人財(外国籍人財を含む海外留学・在住経験等のグローバルな経験を半年以上有する人財)の採用を強化しています。また、海外トレーニー制度を新たに導入するなど、海外人財の育成にも力を入れています。
※ スマートワーク推進
多様な背景を持つ社員が、ワークライフバランスを実現して能力を最大限発揮できるよう、在宅勤務制度やフレックスタイム制度等を導入し、柔軟な働き方を促進しています。また、乳幼児向けミルク・ワクチンを扱う会社としての自覚の下、企業価値向上を見据え、男性社員の育児休業取得を支援しています。
ⅱ 健康経営
グループスローガン「健康にアイデアを」を体現する企業グループとして、成長し続ける原動力は、社員の“こころとからだの健康”であるとの考えのもと、社員の健康の維持・増進に戦略的に投資をし、生産性の最大化・組織活性化を図っています。「明治グループ健康経営宣言」のもと、健康経営投資から施策の効果までのつながりを明らかにした「健康経営戦略マップ」を策定し、運用しています。
これからの取り組みが評価され、当社は2023年、2024年の2年連続で経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」に選ばれました。なお、「健康経営優良法人」には8年連続で認定されています。
<健康経営戦略マップ>
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2023年度に実施した具体的な取り組み
・個人やチームで健康目標を宣言し、継続的に活動に取り組む「Kenko My Boom宣言」
・食生活意識改善を目的に、「内臓脂肪を落とす食事術セミナー」を全国事業所での実施
・㈱明治の契約するスポーツ選手とトレーニングをする「トレーニングチャレンジ」
・ウォーキングキャンペーン
・社長名にて卒煙を呼び掛ける手紙を喫煙者へ送付、役員喫煙率0宣言、禁煙サポートプログラム
・eラーニング(セルフケア・ラインケア、明治グループの健康課題、等)
・ストレスチェック
ⅲ 労働安全
「明治グループ労働安全衛生ポリシー」に基づき、「安全は全てに優先する」の認識のもと、協力会社と連携しながら、職場の安全確保に継続的に取り組んでいます。明治グループでは労働災害ゼロの実現に向け、2026中期経営計画では、「重大災害ゼロ」、「挟まれ・巻き込まれ災害ゼロ」、「重大交通事故ゼロ」といった労働安全に関するKPIを掲げています。具体的には、社員の安全意識醸成に向けた施策や、新設設備の稼働前リスクアセスメントならびに既存設備の安全監査・点検をグループ横断で実施し、安全対策とルールの周知・遵守により労働災害や法令違反の未然防止に向けた取り組みを強化しています。
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明治グループ労働安全衛生ポリシー
明治グループは、「安全は全てに優先する」という認識のもと職場の安全確保に継続的に取り組むとともに、従業員の健康維持・増進に努めます。
1. 法令・社内規程の遵守 私たちは、職場の労働安全衛生に関する法令、社内規程を遵守します。
2. 労働災害の防止 私たちは、職場における危険源の特定・評価、対策によるリスクの除去・低減を通じて、 労働災害の発生防止に努めます。
3. 心身の健康管理 私たちは、心身ともに安心して働くことのできる職場環境づくり、健康管理に努めます。
4. 従業員教育の推進 私たちは、労働災害・交通災害を防ぐための社内教育を積極的に実施し、従業員の意識向上に努めます。
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ⅳ 社員エンゲージメント
明治グループの持続的成長には、社員が会社の目指す姿を理解・共感し、やりがいを感じながら、意欲的に仕事に打ち込める環境を整備することが欠かせません。そこで、2021年度より社員のエンゲージメント状態を把握し、早期に改善活動につなげていくために、毎年1回エンゲージメントサーベイを実施しています。
「2023中期経営計画」では、「社員エンゲージメント=社員の会社への共感度」と定義し、社員エンゲージメントを重要な経営課題の一つに据え、役員報酬とも連動する目標値としてエンゲージメントスコアを掲げて、職場での対話機会の創出などの取り組みを推進してきました。目標に対しては未達となりましたが、若手社員のエンゲージメントの低さなどの課題が見えてきたことから、役員によるタウンホールミーティングの実施や、ボトムアップの風土・カルチャー変革ワーキングチームの発足などの新たな取り組みを始めています。
2026中期経営計画においては、経営戦略と人財戦略の連動による人的資本経営をより強力に推進するべく、グループ理念・経営戦略の実現に向けて、「社員エンゲージメント=社員ひとりひとりのありたい姿と明治グループのありたい姿が重なり、社員が明治グループとともに成長することを志向している状態」と定義した上で、サーベイ実施後の改善活動がよりスムーズに行えるよう設問を見直します。サーベイ結果の詳細分析・課題抽出を行い、課題解決に向けた効果的なPDCAサイクルの実現を目指します。
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<meijiブランドプロジェクト>
当プロジェクトでは、グループスローガン「健康にアイデアを」の実現に向けた社員の意識・行動変容を促す様々な取り組みを行っています。経営トップ層と若手社員が、meijiらしい健康価値や明治グループのビジョン等について議論を交わす「経営トップと語ろう!」企画や、職場での対話を通じて「健康にアイデアを」の体現を考え、実行する「職場ミーティング」は、定期的に開催を行っています。これらの取り組みは、会社の目指す姿への社員の理解・共感を図るとともに、階層や組織を跨いだコミュニケーションの活性化につながっており、社員エンゲージメントに寄与しています。
また、国内外の社員から、meijiらしい健康価値を体現する個人や職場のアイデアを募集・表彰する「meiji Brand Award」を2021年度より実施しており、2023年度は3,600件を超える応募がありました。
(3) 指標と目標
グループ全体の人財戦略の推進にあたっては、テーマごとに定量的に計測できる目標を設定し、モニタリングを行いながら、施策の効果測定や改善を行っています。
1)2023中期経営計画
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実績 |
達成目標 |
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2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
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4.7% |
5.6% |
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- |
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237名 |
256名 |
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- |
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2.57% |
2.53% |
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- |
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健康経営優良法人(ホワイト500) |
認定 |
認定 |
認定 |
認定 |
- |
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社員エンゲージメントスコア |
B |
B |
B |
A |
- |
(注)1.対象範囲:明治ホールディングス㈱、㈱明治、Meiji Seika ファルマ㈱、KMバイオロジクス㈱
2.リーダー:管理職および係長職相当。
3.明治ホールディングス㈱は2022年度・2023年度において健康経営銘柄に2年連続選定されました。
なお、2023年度についてKMバイオロジクス㈱は健康経営優良法人のホワイト500には認定されませんでした。
4.社員エンゲージメントスコアとは「社員エンゲージメント=社員の会社への共感」と定義し、会社・仕事・上司・職場 に関する質問について期待度と満足度から算出。第三者調査会社による調査結果から偏差値化したものを、AAAからDDの11段階でスコア化しています。
2)2026中期経営計画
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(注) 対象範囲:明治ホールディングス㈱、㈱明治、Meiji Seika ファルマ㈱、KMバイオロジクス㈱
ただし、重大労働災害件数は明治グループ連結(国内のみ)。
当社グループは、企業活動に重大な影響を及ぼす緊急事態の発生時における対応だけでなく、さまざまな経営リスクの発生を未然に防ぐこと、および経営リスクの回避・軽減措置を講じることが肝要であるとの考えに基づいてリスクマネジメントを推進しています。
(1) リスクマネジメント体制
当社グループでは、「明治グループ2026ビジョン」の実現に向けて新たな成長を促進するために、グループ全体の経営リスクを把握しリスクの低減化に適切に取り組むとともに、果断なリスクテイクに資するリスクマネジメント体制を構築しています。
当社は、グループ全体の経営リスクのマネジメント機能を強化するため、リスクマネジメント全般を担う部門として、独立したリスクマネジメント部を設置し、リスクマネジメント部を管掌する執行役員を任命しています。経営リスクをグループビジョンと一体化させ、これらグループ全体の経営リスクおよびその管理状況について、当社の経営会議において評価・確認の上、取締役会に報告し、取締役会が評価・監督することにより、経営環境の変化に即応したリスクマネジメントを実践できる体制としています。
また、食品セグメント、医薬品セグメントそれぞれの業態に適したリスクマネジメント体制の構築を推進するべく、定期的に情報を共有化し、課題を抽出して適切に対処します。加えて、各セグメントに共通し、または当社グループ全体に影響を及ぼすリスクに関しては、グループで速やかに共有化する体制を整備し、早期の認知・対応に努めるとともに、随時、リスクマネジメント部を管掌する執行役員が代表取締役 社長 CEOに報告しています。
<リスクマネジメント体制>
(2) 当社グループにおける経営リスク
全社横断的な経営視点で適切にリスクを把握し、影響度を考慮した対応策を策定することは、リスクの軽減はもちろん、当社グループの持続的成長および新たな成長機会の獲得にもつながります。そこで「明治グループ2026ビジョン」で掲げる「事業ビジョン」「サステナビリティビジョン」「経営基盤ビジョン」の3つのビジョンに則して、「明治グループにおける経営リスク」を特定しました。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
下表の将来に関するリスクは、当社グループの中長期的な経営戦略に基づき、分類したものです。グループにおける重要度は、リスクが顕在化する可能性や顕在化した場合のグループへの影響度などを考慮し、当社グループが判断したものです(より重要度が高いと判断したものを◎の記載としています)。
また、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであり、全ての事業等のリスクを網羅したものではありません。
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リスク |
対応策 |
リスク認識の前年からの 変化 |
グループにおける 重要度 |
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1 事業に関するリスク |
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1.1 製品・サービスの販売・提供 |
・計画した製品の上市断念 ・お客さまのライフスタイル・価値観の変化 ・当社グループの強みとする素材(乳・カカオ等)へのネガティブな風評 |
・POC(Proof of Concept)の確実な取得 ・市場トレンドの積極的情報収集 ・環境や社会に配慮した商品開発 ・明治らしい社会課題解決型製品・サービスの創出 ・製品・素材に関する適切な情報発信 |
↗ |
◎ |
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1.2 特定製品への 利益偏重 |
・売上・利益構成比の高い製品の販売不振 |
・独自価値を最大化するマーケティング施策の実行 ・製品ポートフォリオマネジメントの充実 ・新市場や新規領域の探索 |
↗ |
◎ |
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1.3 サプライチェーン |
・原材料の調達不足・余剰、価格高騰 ・生産トラブル等による生産活動の停止 ・生乳調達の困難化 ・物流起因による製品供給の不安定化 |
・原材料市場の積極的情報収集および調達戦略推進 ・生産販売部門の連携強化 ・調達先の分散や代替原料の検討 ・省人/無人化による物流効率化 |
↗ |
◎ |
|
1.4 技術進歩 |
・デジタル技術の急速な進歩への適応不足 ・画期的な治療法・製法・製剤の台頭 |
・新技術導入検討の早期着手 ・新たな製法・製剤の研究、アライアンス探索 |
↑ |
◎ |
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1.5 法・制度 |
・企業活動に大きく影響する諸制度の改正 ・薬価改定 |
・諸制度改正の早期情報入手と対応策の実施 ・行政への適切な働きかけ ・薬価改定を受けない製品ポートフォリオの充実 |
→ |
○ |
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1.6 海外展開、 海外グループ会社 |
・社会情勢の急激な変化や戦争・テロの発生 ・諸外国における想定を大きく超える諸制度の改正 |
・情報収集および対応策の早期検討・実施 ・複数拠点からの製品供給体制の構築 |
↗ |
○ |
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1.7 事業計画等 |
・環境変化等によるビジョン、中期経営計画の未達成 ・コア事業の成長鈍化、海外市場や新規領域における計画未達 ・固定資産・のれんの減損 ・為替・金利変動 |
・独自価値のさらなる強化、新たな価値の継続的な探索 ・収益性、成長性、生産性の観点での事業ポートフォリオ管理 ・投資、M&A、研究開発計画における適切な意思決定、モニタリングの実施 ・為替予約および固定金利での借入 |
↗ |
○ |
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リスク |
対応策 |
リスク認識の前年からの 変化 |
グループにおける 重要度 |
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2 サステナビリティに関するリスク |
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2.1 環境との調和 |
・企業活動における環境への配慮 |
・CO₂排出量・フロン漏えい量の削減、省エネ活動の推進、太陽光発電設備の設置拡大、再エネ由来電力の活用、排水・廃棄物処理の適正実施、ISO14001に準じた環境マネジメントの推進 ・プラスチック資源循環の推進 ・環境に関する各種ポリシー、方針等の徹底 |
↗ |
○ |
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2.2 気候変動 |
・気候変動への対応 |
・TCFDの枠組みに沿った気候変動シナリオ分析と戦略策定および情報開示 |
→ |
○ |
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2.3 豊かな社会 づくり |
・持続可能な原材料調達 ・多様性への理解、多様な人財の活用 ・人権への配慮、人権課題
|
・サステナブル調達原料(カカオ豆・パーム油)の比率向上 ・酪農家をはじめとするサプライヤーとの協業・連携強化 ・多様な価値観・能力を活かし合う組織・風土づくり ・人権デュー・ディリジェンスを踏まえた課題解決の取り組み ・調達、人権、社会等に関する各種ポリシー等の徹底 |
→ |
○ |
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3 経営基盤に関するリスク |
||||
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3.1 ガバナンス |
・適時適切な意思決定 ・社内外のコンプライアンス違反 |
・取締役会の実効性の向上 ・グループガバナンス体制の強化 ・明治グループ行動規範に基づくコンプライアンス・ソーシャルメディア利用の教育、各種方針・ポリシーの社内外への徹底 |
→ |
○ |
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3.2 明治ブランド の毀損 |
・品質不備、薬品の予期せぬ副作用などによる製品回収 ・当社グループまたは製品への予期せぬ風評被害 |
・安全安心の徹底追求 ・各ステークホルダーとの適切なコミュニケーション |
↗ |
◎ |
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3.3 人財・風土 |
・企業成長に必要な人財獲得および能力開発 ・社員エンゲージメント ・業務環境による生産性への影響 |
・サクセションプランの適切な運用 ・社員研修の充実 ・社員エンゲージメントサーベイ結果を受けた各種施策 ・健康経営の推進体制強化、グループ共通での労働安全体制の構築 |
↗ |
○ |
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3.4 情報資産の 漏えい |
・不正アクセス等による情報漏えいやシステム機能の停止 ・不適切な管理体制による情報の流出 |
・情報管理体制および情報セキュリティの強化 ・情報管理の教育強化と各種規程・ポリシーの徹底 |
→ |
◎ |
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3.5 災害や不測の 事態 |
・災害やパンデミックなど予期せぬ非常事態による企業活動の停滞・中止 ・非常事態下の環境変化による製品需要の増減 |
・早期的回復に向けたBCP、リスクマネジメント計画の整備 ・グループとして幅広い製品ポートフォリオ保持 |
↗ |
◎ |
当社は、取締役会において、当社グループ経営リスクに対する2023年度における重点取り組みテーマを選定し、各事業会社における取り組みについて確認しました。
<2023年度重点取り組みテーマ>
① 不正アクセス等による情報漏えいやシステム機能の停止
ランサムウェアや標的型攻撃メールによる企業における被害が顕在化したことを受け、特に海外子会社における不正アクセス等に対する平時の対策や顕在化した際の対応について確認しました。
当社グループでは、セキュリティ脅威検知時のインシデント未然防止やインシデント発生時の被害拡大防止を図ることを目的に、インシデント対応手順を定めています。具体的には、各事業会社がCSIRT体制を構築し、対応フローの策定、訓練の実施、さらに事業会社間の連携を強化するなどの対策を実施することで、事業継続を支え、社会からの信頼性向上に努めています。また、ホームページサーバーやネットワーク等のIT環境に対して、第三者による模擬ハッカー攻撃を含む脆弱性診断を実施し、継続的にサイバーセキュリティを強化しています。
② 物流起因による製品供給の不安定化
2019年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」の一環で、2024年4月よりトラックドライバーの時間外労働を年間960時間までとする上限規制などが適用されることに伴い、トラックドライバーの労働時間が短くなることで輸送能力が不足し「モノが運べなくなる」可能性が懸念(いわゆる「物流2024年問題」)されており、当社グループの製品物流にかかわる現状と課題・対応について確認しました。
当社グループでは、物流機能を担う子会社を有しており、運送事業者と密にコミュニケーションをとりながら、政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」やこれに基づくガイドラインが掲げる物流の適正化・生産性向上を図るための施策に取り組んでいます。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
① 事業全体の状況
(単位:百万円)
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売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
1株当たり 当期純利益 (円 銭) |
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当連結会計年度 |
1,105,494 |
84,322 |
76,020 |
50,675 |
181.64 |
|
前連結会計年度 |
1,062,157 |
75,433 |
74,160 |
69,424 |
247.39 |
|
前年同期比(%) |
104.1% |
111.8% |
102.5% |
73.0% |
- |
(注)2023年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり当期純利益を算定しております。
「2023中期経営計画」の最終年度である2024年3月期は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和などにより、経済活動の正常化が見られた一方、国内の生乳取引価格や円安進行にともなう海外輸入原材料価格の上昇が、当社グループ業績にも影響を及ぼしました。
食品セグメントでは、原材料価格の上昇に対して、多くの商品カテゴリーで価格改定を実施し、コスト上昇分の吸収に努めました。また、価格改定による数量減の影響を最小限にとどめるべく、主力商品の価値訴求強化や積極的なマーケティング活動に取り組み、徐々に数量回復の兆しも出てきました。海外では、中国における生産販売能力を強化し、販売エリア拡大と高付加価値商品の売上拡大を進めました。菓子や業務用の牛乳・クリーム事業は好調に推移したものの、経済情勢の変化や競争激化の影響により市販用の牛乳・ヨーグルト事業が苦戦しました。米国においては、チョコレートスナックを中心に取り組み、販路を着実に広げました。アジアにおいても、シンガポールに新たなチョコレートのラインを導入し、アジア各国や中東への輸出を積極的に進めました。
医薬品セグメントでは、感染症領域に経営資源を集中し、ワクチンと感染症治療薬のトップ企業としての競争優位性確立に取り組みました。新型コロナウイルス感染症に対する次世代mRNAワクチン(レプリコン)「コスタイベ筋注用」については、2023年11月に国内の製造販売承認を取得し、現在、変異株への対応を進めています。同感染症に対する小児用の不活化ワクチンについても、最終段階となる変異株対応の臨床試験を実施しています。加えて、新薬パイプラインの開発加速にも取り組み、5種混合ワクチン「クイントバック®水性懸濁注射用」や、造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)の治療薬である選択的ROCK2阻害剤「レズロック®錠」の製造販売承認を取得しました。海外では、受託製造/受託製造開発(CMO/CDMO)事業の強化・拡大に注力し、インドに完成した新製造棟における商業出荷に向けた準備を確実に進めるなど、生産能力の向上にも努めました。
サステナビリティに関しては、「2023中期経営計画」の基本コンセプトである「明治ROESG®経営の実践」に基づき事業との融合に取り組みました。酪農分野での温室効果ガス(GHG)排出量削減に向け、J-クレジット制度を活用したビジネスモデルの構築に取り組んだほか、カカオ生産を持続可能なものにするため、フルーツや機能素材としてのカカオの可能性を追求し、新しい価値創造にも挑戦してきました。
なお、2024年4月9日付「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」で公表のとおり、食品セグメントにおいて、中国で牧場を運営する持分法適用会社のAustAsia Group Ltd.が、中国国内における飼料代高騰や生乳価格下落の影響により収益性が悪化したことなどを受け、AustAsia Group Ltd.に係る減損損失62億円を、持分法による投資損失として営業外費用に計上しました。また、中国の市販向け牛乳・ヨーグルト事業において、競合他社との価格競争が激化したことなどによる収益性の悪化を受け、牛乳・ヨーグルト事業に係る有形固定資産の減損損失143億円を特別損失に計上しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は 1兆1,054億94百万円(前期比 4.1%増)、営業利益は 843億22百万円(同 11.8%増)、経常利益は 760億20百万円(同 2.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 506億75百万円(同 27.0%減)となりました。また、ROEは 6.9%、1株当たり当期純利益は 181.64円となりました。
② セグメントの状況
(単位:百万円)
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報告セグメント |
合計 |
|||||||
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食品 |
医薬品 |
||||||||
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前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減 |
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減 |
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減 |
|
|
売上高 |
865,609 |
900,127 |
34,518 |
197,280 |
206,109 |
8,829 |
1,062,889 |
1,106,237 |
43,347 |
|
セグメント 利益 |
55,874 |
64,315 |
8,440 |
21,721 |
22,717 |
995 |
77,596 |
87,032 |
9,436 |
(注) 売上高、セグメント利益は、セグメント間の取引を消去する前の金額によっております。
セグメントの業績の詳細は、次のとおりであります。
Ⅰ.食品
当セグメントにはヨーグルト・チーズ事業 (プロバイオティクス、ヨーグルト、チーズ)、ニュートリション事業 (乳幼児ミルク、スポーツ栄養、流動食、美容)、チョコレート・グミ事業、牛乳事業、業務用食品事業、フローズン・調理食品事業 (アイスクリーム、調理食品、バター・マーガリン類)、海外事業 (海外子会社、輸出)、その他・国内子会社 (国内独立系子会社、キャンデー、OTC)による製造・販売、運送等が含まれております。
売上高は、価格改定効果もあり前連結会計年度を上回りました。幅広い事業で前連結会計年度を上回り、特に業務用食品事業や海外事業は大幅に上回りました。
セグメント利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。価格改定効果が原材料コストの上昇や数量減の影響をカバーしました。
事業別の概況は、次のとおりです。
■ヨーグルト・チーズ事業 (プロバイオティクス、ヨーグルト、チーズ)
売上高は前連結会計年度並みとなりました。プロバイオティクスは前連結会計年度並みとなりましたが、ヨーグルトはドリンクタイプの大容量品の終売の影響で減収となりました。チーズは需要拡大や販促強化により、スライスチーズを中心に伸長しました。
営業利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。原材料コストが増加しましたが、価格改定効果がコスト増や数量減の影響を上回りました。価格改定による数量への影響を最小化すべくマーケティング投資を強化しました。
■ニュートリション事業 (乳幼児ミルク、スポーツ栄養、流動食、美容)
売上高は前連結会計年度を上回りました。乳幼児ミルクは、価格改定効果に加え、外出機会の増加などにより液体ミルクが大幅に伸長したことで増収となりました。スポーツプロテイン「ザバス」は、粉末タイプが増収となったことに加え、たんぱく質配合量を20gに増量した商品の発売により、ドリンクタイプも大幅に伸長しました。
営業利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。原材料コストが増加しましたが、価格改定効果がコスト増や数量減の影響を上回りました。
■チョコレート・グミ事業
売上高は前連結会計年度並みとなりました。チョコレートは、主力の「チョコレート効果」が好調に推移したほか、人流回復やインバウンド需要によりナッツチョコレートが大幅に伸長しました。グミは、子会社譲渡による減収の影響を受けましたが、主力品が好調に推移し、前連結会計年度並みとなりました。
営業利益は、価格改定効果に加えて、構造改革による製造間接費の減少により前連結会計年度を上回りました。
■牛乳事業
売上高は、価格改定効果に加え、「明治おいしい牛乳」シリーズの中小容量品が好調に推移したことにより前連結会計年度を上回りました。
営業利益は、国内生乳価格上昇の影響を受けたものの、価格改定効果や中小容量品の数量増などにより前連結会計年度から損失額が縮小しました。
■業務用食品事業
売上高は前連結会計年度を大幅に上回りました。人流回復により市場が拡大した影響もあり、クリームやバター、カカオなどが伸長しました。
営業利益は、原材料コストと減価償却費などの製造間接費が増加しましたが、価格改定効果や数量増により前連結会計年度を大幅に上回りました。
■フローズン・調理食品事業 (アイスクリーム、調理食品、バター・マーガリン類)
売上高は前連結会計年度を上回りました。アイスクリームは、主力の「明治エッセルスーパーカップ」や付加価値型新商品が好調に推移しました。バター・マーガリン類も好調に推移しました。調理食品は、2023年2月に冷凍ピザを終売した影響により減収となりました。
営業利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。価格改定効果が原材料コストや拡売費の増加を上回りました。
■海外事業 (海外子会社、輸出)
売上高は、前連結会計年度を大幅に上回りました。中国の業務用市乳事業や菓子事業、米国や東南アジアの子会社が好調に推移しました。
営業利益は、前連結会計年度から損失額が拡大しました。中国の子会社が、市販用の牛乳・ヨーグルト事業において拡売費が増加したことに加え、2023年1月の天津工場稼働に伴う新規開拓費用や減価償却費も増加したことにより、大幅減益となりました。米国や東南アジアの子会社は増益となりました。
■その他・国内子会社 (国内独立系子会社、キャンデー、OTC)
売上高は前連結会計年度並みとなりました。糖類を扱う商社などが好調に推移しましたが、ガムなどの終売や子会社譲渡が影響しました。
営業利益は、原材料コストの増加に加え、ガムなどの終売影響により前連結会計年度を大幅に下回りました。
Ⅱ.医薬品
当セグメントには、国内医薬品事業、海外医薬品事業、ヒト用ワクチン事業、動物薬事業(動物薬、動物用ワクチン)が含まれております。
売上高は前連結会計年度を上回りました。国内医薬品事業と海外医薬品事業は前連結会計年度を上回り、ヒト用ワクチン事業と動物薬事業は前連結会計年度を下回りました。
セグメント利益は、海外医薬品事業やヒト用ワクチン事業の増益により、前連結会計年度を上回りました。
事業別の概況は、次のとおりです。
■国内医薬品事業
売上高は前連結会計年度を上回りました。抗菌薬「スルバシリン」や「メイアクト」に加え、血漿分画製剤が増収となりました。
営業利益は、薬価改定の影響に加え、アストラゼネカ社の新型コロナウイルスワクチンに関する受託収入の減少や研究開発費の増加により前連結会計年度を大幅に下回りました。
■海外医薬品事業
売上高は前連結会計年度を上回りました。ロイヤリティ収入が減少しましたが、為替影響に加え、スペインやタイの子会社が好調に推移しました。
営業利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。海外子会社の増収やインドの子会社の原価低減が寄与しました。
■ヒト用ワクチン事業
売上高は前連結会計年度並みとなりました。4種混合ワクチン「クアトロバック」は好調に推移しましたが、インフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチン「ビームゲン」が減収となりました。
営業利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。生産効率化に加え、ロイヤリティ収入も寄与しました。
■動物薬事業(動物薬、動物用ワクチン)
売上高は、低収益品の品目数削減の影響を受けましたが、海外向け販売の寄与により前連結会計年度並みとなりました。
営業利益は、原材料コストの増加などにより前連結会計年度を大幅に下回りました。
③ 2023中期経営計画の振り返り(2022年3月期~2024年3月期)
「2023中期経営計画」で掲げた2024年3月期の各指標の達成状況については次表のとおりであります。食品セグメントにおける価格改定などもあり連結売上高目標は達成したものの、コスト高騰などの影響により連結営業利益は目標に届かず、ROEやROICの目標も未達となりました。「明治ROESG®」については、5つのESG外部指標は全て目標水準を達成したものの、ROEが低下したことにより目標未達となりました。
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指標 |
2022年3月期 実績 |
2023年3月期 実績 |
2024年3月期 実績 |
2023中期経営計画 (2024年3月期) 当初目標 |
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統合目標 |
明治ROESG® |
12.3ポイント |
13.8ポイント |
12.2ポイント |
13ポイント |
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成長性・収益性 |
連結売上高 |
1兆130億円 |
1兆621億円 |
1兆1,054億円 |
1兆800億円 |
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・食品セグメント |
8,260億円 |
8,656億円 |
9,001億円 |
8,745億円 |
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・医薬品セグメント |
1,879億円 |
1,972億円 |
2,061億円 |
2,090億円 |
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連結営業利益(率) |
929億円 (9.2%) |
754億円 (7.1%) |
843億円 (7.6%) |
1,200億円 (11.1%) |
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・食品セグメント |
759億円 |
558億円 |
643億円 |
1,020億円 |
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・医薬品セグメント |
186億円 |
217億円 |
227億円 |
185億円 |
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海外売上高 |
929億円 |
1,200億円 |
1,323億円 |
1,345億円 |
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効率性・ 安全性 |
ROIC |
8.4% |
6.3% |
6.2% |
10%以上 |
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株主還元 |
ROE |
13.5% |
10.0% |
6.9% |
11%以上 |
2023中期経営計画における明治ROESG®の計算式および2024年3月期の実績は、次のとおりであります。
2023中期経営計画の総括は次のとおりであります。
●明治ROESG®を掲げ、利益成長とサステナビリティ活動の同時実現を目指した3年間
・食品
国内コア事業の成長力回復は道半ば。海外事業は、米国が順調に拡大。
先行投資してきた中国の一部事業で減損発生
・医薬品
構造改革を断行し、安定して収益が得られるビジネスモデルに転換。
mRNA技術の獲得など次の成長をけん引するパイプラインも充実
・新領域への挑戦
新たな製品やビジネスモデルの創出に向けて、ベンチャー企業やアカデミアとの連携が進む
・サステナビリティ
着実に取り組み、ESG評価は上昇。事業との融合に必要な評価基準などの整備にも取り組む
●ROICを活用した経営管理体制の確立を進める中で、運用方法改善の必要性が生じる。
事業単位や組織などを見直し、ROICによるマネジメントの定着を急ぐ
●ROICの観点から設備投資の一部を選別。戦略的な投資やESG投資は計画通りに進む
●政策保有株式の縮減や固定資産の圧縮に取り組み、強固な財務体質を維持。10期連続で増配
④ 来期の見通しについて
2025年3月期は、世界経済や国内の消費動向に加え、為替の変動、人件費や物流費の上昇などが懸念されますが、当社グループは当期より始まる「2026中期経営計画」の基本方針に則り、目標達成に向けて各戦略を着実に実行してまいります。
食品セグメントでは、国内は、既存ブランドにおける価値訴求強化と高付加価値商品の投入に取り組みます。プロバイオティクスやヨーグルト、チョコレートなどの健康機能を訴求するほか、スポーツプロテインや流動食における提供価値の進化を目指します。また、サステナビリティと事業の融合にも取り組み、栄養による社会課題解決に向け、2023年6月に策定した「Meiji NPS(明治栄養プロファイリングシステム)」を活用し、栄養価値の高い商品の開発・改良を目指します。好調な業務用事業でも、当社の強みを活かした独自商品の展開により、売上規模拡大や収益性向上に取り組みます。海外は、中国において構造改革に注力します。苦戦している市販の牛乳・ヨーグルトは、独自価値商品を投入し、付加価値商品の構成比の拡大に取り組みます。好調な業務用の牛乳・クリームは新規販売先を開拓し、新工場が稼働するチョコレートやフローズンデザートは販売エリアの拡大を目指します。米国では、チョコレートスナックを中心に販路を拡大します。アジアでは、チョコレートや乳幼児ミルクの展開を加速させます。欧州では、ダノン社との協業による粉ミルクの展開を強化します。
医薬品セグメントでは、国内は、社会課題となっている感染症領域に経営資源を集中し、ワクチンと感染症薬のトップ企業としての競争優位性確立と収益性の強化に引き続き取り組みます。人流回復により感染症が流行し、高いレベルで需要が続いている抗菌薬の安定供給に取り組むほか、新たに上市する製品の拡売に注力します。また、当社グループが持つ感染症に関する高い技術・設備や豊富な経験を活かし、2024年秋冬シーズンにおいて、新型コロナウイルス感染症に対する次世代mRNAワクチン(レプリコン)「コスタイベ筋注用」を上市していきます。海外は、CMO/CDMO事業の成長による収益最大化に取り組みます。メドライクグループの生産能力を増強し、既存の生産能力も効率的に活用します。
⑤ 主要な経営指標の推移
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(注)2021年度の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、上記の2021年度以降の指標については当該会計基準等を適用した後の金額となっております。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
食品 |
930,277 |
111.6 |
|
医薬品 |
156,894 |
114.2 |
|
報告セグメント計 |
1,087,172 |
112.0 |
|
合計 |
1,087,172 |
112.0 |
(注)セグメント間の取引は含まれておりません。
② 受注実績
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画を立てて生産しております。
一部受注生産を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
食品 |
899,406 |
104.0 |
|
医薬品 |
206,088 |
104.5 |
|
報告セグメント計 |
1,105,494 |
104.1 |
|
合計 |
1,105,494 |
104.1 |
(注)1.総販売実績に対する売上の割合が10%以上の相手先はありません。
2.セグメント間の取引は含まれておりません。
(3)財政状態の分析
資産の部では、現金及び預金が前連結会計年度末に比べて 433億38百万円増加し、1,068億58百万円となりました。コミットメントラインの設定額200億円と合わせた手元流動性の残高は1,268億58百万円で、2023中期経営計画で目安としておりました手元流動性の水準(連結売上高の1か月程度)を確保いたしました。受取手形及び売掛金は、前連結会計年度末に比べて 292億38百万円増加し、2,022億39百万円となりました。これは食品セグメント及び医薬品セグメントでの増売や、期末日が金融機関休業日であった影響などによるものであります。有形固定資産は前連結会計年度末に比べて 72億47百万円減少し、4,805億7百万円となりました。これは中国のアイスクリーム工場における設備投資による増加の一方、明治産業㈱及び㈱スリーエスアンドエルの連結除外に伴う減少、中国の牛乳・ヨーグルト事業における固定資産の減損損失の計上などがあったためであります。投資有価証券は、前連結会計年度末に比べて 247億14百万円減少し、879億35百万円となりました。これは主に政策保有株式の売却による減少や、AustAsia Group Ltd.における持分法投資損失の計上などによるものであります。その結果、当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて 690億70百万円増の 1兆2,052億88百万円となりました。
負債の部では、支払手形及び買掛金が前連結会計年度末に比べて 150億36百万円増加し、1,273億48百万円となりました。これは主に期末日が金融機関休業日であった影響によるものであります。未払法人税等が税金費用の増加などにより前連結会計年度末に比べて 58億23百万円増加し、171億22百万円となりました。また、流動負債のその他が未払設備代の増加などにより前連結会計年度末に比べて 259億97百万円増加し、884億75百万円となりました。有利子負債(社債、借入金)は、社債の償還などにより前連結会計年度末に比べて 144億44百万円減少し、499億26百万円となりました。その結果、当連結会計年度における負債合計は、前連結会計年度末に比べて 325億88百万円増の 4,174億94百万円となりました。
純資産の部では、純資産合計が前連結会計年度末に比べて 364億81百万円増の 7,877億93百万円となりました。これは政策保有株式の売却に伴いその他有価証券評価差額金が 98億75百万円減少した一方、利益剰余金が 241億15百万円、為替換算調整勘定が 126億46百万円増加したことなどによるものであります。
この結果、流動比率は前連結会計年度末に比べて 2.2ポイント減の174.7%、デット・エクイティ・レシオは0.02ポイント減の0.07倍、自己資本比率は 0.8ポイント減の61.9%となりましたが、資金の流動性及び財務の安定性を維持しております。なお、1株当たり純資産は前連結会計年度末に比べて 121円3銭増加し、2,674円72銭となりました。
自己資本及び自己資本比率の推移は、次のとおりであります。
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(4)資本の財源及び資金の流動性
① 資本政策の方針
事業活動により得た資金は、持続的な成長に向けて、将来への成長投資や研究開発へ積極的に充当してまいります。また、グループ全体の資本効率の観点から、成長投資については財務規律との調和を図るとともに、政策保有株式などの非事業用資産については縮減します。
株主還元についても経営における重要課題と認識しており、各年度で総還元性向50%以上を目安とし、1株当たり配当額の継続的な増配を目指します。
② 資金調達の方針
資金調達については、資金需要や金利環境等を踏まえつつ、多様化した調達手段の中から資本コストの低減を第一義として、負債により調達することを基本方針とします。一方で、負債の増加に伴う信用リスクの観点から、原則としてデット・エクイティ・レシオは0.5倍までを上限とし、金融情勢に左右されないような高い信用格付の維持にも努めます。なお、本報告書提出時点において、当社は日本格付研究所より「ダブルAマイナス(安定的)」の信用格付を取得しております。
主要な金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業拡大、運営に必要な投資資金及び運転資金の金融機関からの調達に関しては問題なく実施できると認識しております。なお、国内の金融機関との間で合計200億円のコミットメントラインを設定しており、期中の現預金残高とコミットメントライン設定額を合わせた手元流動性の水準を、連結売上高の1か月程度に設定することで、緊急時の流動性を確保いたします。
また、グループ会社を対象に、資金調達の安定化と調達コストの低減を図るため、グループファイナンス制度を導入しております。
当社は、「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」の実現に向けた活動に必要な資金調達の手段として、ICMA(国際資本市場協会:International Capital Market Association)の定めるグリーンボンド原則及びソーシャルボンド原則に基づいた、「サステナビリティファイナンス・フレームワーク」を策定しており、2021年4月に第10回無担保社債(サステナビリティボンド、5年100億円)を発行して資金を調達しました。今後も、本フレームワークに基づき、サステナビリティファイナンスを積極的に活用し、社会課題解決への貢献を一層進めてまいります。
③ キャッシュ・フローの状況
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区分 |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減額 (百万円) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
85,013 |
107,983 |
22,969 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△36,788 |
△24,604 |
12,184 |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
48,224 |
83,378 |
35,154 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△54,734 |
△43,772 |
10,962 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
2,576 |
2,286 |
△289 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△減少) |
△3,933 |
41,893 |
45,827 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
64,872 |
60,939 |
△3,933 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
60,939 |
102,832 |
41,893 |
キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりであります。
|
区分 |
第11期 |
第12期 |
第13期 |
第14期 |
第15期 |
|
自己資本比率(%) |
56.3 |
58.2 |
60.3 |
62.7 |
61.9 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
111.5 |
96.8 |
83.3 |
77.4 |
78.4 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.9 |
0.8 |
0.6 |
0.8 |
0.5 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
157.0 |
197.2 |
246.3 |
193.6 |
266.3 |
(注)各指標の算出方法
自己資本比率:(純資産の部-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(期末株価終値×発行済株式総数)/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い(利息の支払額)
※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 229億69百万円収入増の 1,079億83百万円の収入となりました。これは売上債権が増加した一方で、棚卸資産の減少や仕入債務の増加、法人税等の支払額の減少などがあったためであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 121億84百万円支出減の 246億4百万円の支出となりました。これは前連結会計年度において横浜研究所の売却などがあり、有形及び無形固定資産の売却による収入が減少した一方で、有形固定資産の取得による支出の減少、政策保有株式の売却による収入や明治産業㈱及び㈱スリーエスアンドエルの子会社株式の売却による収入があったためであります。
これにより、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は、前連結会計年度より 351億54百万円収入増の 833億78百万円の収入となりました。
創出したフリー・キャッシュ・フローについては、配当金の支払いにより株主還元を行うとともに、有利子負債の返済に充当しております。配当については増配を実施し、株主還元の充実に努めました。今後も安定的継続的な利益還元を実施します。なお、配当金の支払額は前連結会計年度より 18億37百万円支出増の 264億44百万円、配当性向は 52.3%であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 109億62百万円支出減の 437億72百万円の支出となりました。これは前連結会計年度において自己株式の取得による支出があったことなどによるものです。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は 1,028億32百万円となりました。
当連結会計年度においては、事業活動に伴う運転資金は金融機関からの借入れ及びコマーシャル・ペーパーにより調達いたしました。
当連結会計年度におけるキャッシュアロケーションは、次のとおりであります。

配当金及びEPS(1株当たり当期純利益)の推移は、次のとおりであります。
(注)2015年10月1日付および2023年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施しており、2013年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり配当金及び1株当たり当期純利益を算定しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(1)技術援助契約
技術導入
|
契約会社名 |
相手先 |
契約の発効年月 |
有効期限 |
目的 |
実施料 |
|
㈱明治 |
ブルガリア国 LBブルガリクム |
2000年5月 |
2020年4月まで。以後2040年4月まで5年間毎に自動延長 |
ヨーグルトの製造技術導入 |
生産高の一定率を支払う |
|
Meiji Seika ファルマ㈱
|
オルガノン㈱ |
2013年3月 |
販売開始から10年間又は特許の存続期間の何れか長い期間 |
アセナピンの製造及び販売に関する実施許諾契約 |
一定額の一時金を支払う |
(2)業務提携契約
|
契約会社名 |
相手先 |
契約の発効年月 |
有効期限 |
目的 |
実施料 |
|
Meiji Seika ファルマ㈱ |
大鵬薬品工業㈱ |
2015年12月 |
2015年12月17日よりビラスチン後発医薬品の発売日まで |
ビラスチン製剤の共同販売契約 |
一定額の一時金を支払う |
|
Meiji Seika ファルマ㈱ |
米国 Seqirus Inc. |
2024年1月 ※ |
Initial Termは2033年4月11日までとし、その後5年間の自動延長。その後の延長については契約満了日の12か月前までに合意のうえ決定 |
ライセンス対象物をARCT-154に限定せず、将来の変異株対応品・二価ワクチン等複数株品に対応。日本国内での開発権を取得 |
一定額の一時金を支払う |
※ 2023年4月に締結した契約の内容を一部変更し、2024年1月に再締結しております。
(3)合弁契約
|
契約会社名 |
相手先 |
契約の発効年月 |
有効期間 |
合弁会社の内容 |
契約会社出資額 |
|
Meiji Seika ファルマ㈱ |
インドネシア国 チプト・プスポスハルト氏外 |
1974年3月 |
合弁会社の 存続期間 |
社名 :P.T.Meiji Indonesian Pharmaceutical Industries 目的 :抗生物質ほか各種薬品の製造、販売。 資本金:380億73百万ルピア 設立 :1974年5月 |
355億38万ルピア (資本金の93.34%) |
|
Meiji Seika ファルマ㈱ |
タイ国 ナナ・チャート社外 |
1979年9月 |
合弁会社の 存続期間 |
社名 :Thai Meiji Pharmaceutical Co.,Ltd. 目的 :抗生物質ほか各種薬品の製造、販売。 資本金:2億9,700万バーツ 設立 :1979年11月 |
2億8,100万バーツ (間接所有含む) (資本金の94.61%) |
|
㈱明治 |
タイ国 バンコックインエックス社 CPグループオブカンパニー社 |
1989年1月 |
規定なし |
社名 :CP-MEIJI Co.,Ltd. 目的 :タイ国における飲用牛乳・ヨーグルト等の製造・販売。 資本金:5億バーツ 設立 :1989年2月 |
2億バーツ (資本金40%) |
(4)その他
|
相手先 |
期間 |
内容 |
|
㈱明治 Meiji Seika ファルマ㈱ |
2009年4月1日から |
経営を管理・監督・指導するための経営管理契約。 |
|
KMバイオロジクス㈱ |
2019年4月1日から |
経営を管理・監督・指導するための経営管理契約。 |
当連結会計年度の研究開発費の総額は
当連結会計年度における研究開発活動に関し、新たに取り組んだ事項及び変更事項は次のとおりであります。
(1) 食品
当連結会計年度における研究開発活動の金額は、
① ヨーグルト・チーズ
(プロバイオティクス)
『明治プロビオヨーグルトR-1』ブランドでは、2023年6月に宅配用「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプ The GOLD」を発売し、2023年10月に市販用「同ドリンクタイプ The GOLD」を発売しました。“R-1乳酸菌”が産生する“EPS(菌体外多糖体)”を従来商品の2倍配合した高価格帯の商品です。また本商品の好評を受け、2024年3月には「同ドリンクタイプ The GOLD低糖・低カロリー」を発売しました。また「同ドリンクタイプ低糖・低カロリー」では2023年12月よりリサイクルPET樹脂を使用したペットボトル容器に切り替えました。プラスチック資源循環の強化に取り組み、持続可能な社会の実現に向けて社会的問題の解決に貢献してまいります。『明治脂肪対策ヨーグルト』ではドリンクタイプ2品目として2023年7月に“食物繊維”をゴールデンキウイ2個分含む、「明治脂肪対策ヨーグルト ドリンクタイプすっきりリセット」を発売しました。本商品は肥満気味の方のお腹の脂肪を減らす機能を有する“MI-2乳酸菌”を使用した機能性表示食品です。
(ヨーグルト)
『明治ブルガリア』ブランドでは2024年4月に発売50周年を記念して本場ブルガリアに伝統として受け継がれる自家製ヨーグルトをテーマにした「明治ブルガリアヨーグルト LB81プレーン HOME MADE STORY(ホームメイドストーリー)」を発売しました。フルーツヨーグルトシリーズでは2023年10月から2024年4月にかけて、70g×4個シリーズ各種のリニューアル、新商品「明治ブルガリアヨーグルト りんご」、フルーツの奥深いあじわいが楽しめる大人向けの「同Deep Blend 赤葡萄ミックス」を発売しました。パーソナルタイプでは果肉を従来品の2倍配合した「明治ブルガリアヨーグルト たっぷりリッチ 白桃&黄桃」、「同たっぷりリッチ 青林檎ミックス」、「同たっぷりリッチ 白桃&アロエ」を発売しました。また、世帯人数や生活様式の変化などの幅広いライフスタイルに最適なコンパクトシリーズとして、食べるタイプでは「明治ブルガリアヨーグルトLB81 プレーン」、「同 脂肪0」、飲むタイプでは「明治ブルガリアのむヨーグルト プレーンLB81」(特定保健用食品)や「同 LB81 贅沢なコク」をはじめとした6品を発売しました。『明治北海道十勝ミルク』ブランドでは、十勝産生乳から見出した当社独自の乳酸菌“十勝ミルク乳酸菌TM96”を使用すると共に、全ての原料を十勝産にこだわった「明治北海道十勝ミルク きわだつヨーグルト」を発売しました。プラスチック使用量を50%削減した新容器を採用しています。『ザバスMILK PROTEINヨーグルト』ブランドでは、食べるタイプで2023年8月に新フレーバー「ザバスMILK PROTEINヨーグルト マンゴー」、2024年1月に「同 バニラ風味」を発売しました。また、2024年4月には糖質を80%カットした「同 脂肪0低糖質」、プロテインユーザーに人気の高い「同 ココア風味」、新たに果肉を配合した「同 ベリーミックス」の3品を発売しました。飲むタイプではミルクプロテインを1本あたり20g配合した「ザバス MILK PROTEINのむヨーグルト 脂肪0甘さひかえめ」、「同 グレープフルーツ風味」を発売しました。『メイバランス』ブランドでは2023年10月に宅配小型ビン100ml「明治メイバランスMICHITASのむヨーグルト」を発売しました。また、野菜の栄養(α-カロテン、β-カロテン、リコピン、ルテイン)の吸収をサポートする“V1乳酸菌”を使用した商品として2023年8月に「明治吸収サポート 赤/黄/緑の野菜ヨーグルト」3品、2024年4月に「明治1食分の緑黄色野菜とフルーツヨーグルト マンゴーミックス/リンゴミックス」2品を発売しました。本商品の発売を通じて、ヨーグルトの新たな価値を提案するとともに、お客さまの健康な食生活に貢献してまいります。
(チーズ)
『明治北海道十勝』ブランドでは、十勝カマンベールチーズらしいまろやかさの中にブルーチーズの風味が合わさった、白カビと青カビの絶妙なバランスによる贅沢な味わいが特長の「明治北海道十勝カマンブルー」(90g)を2023年9月に期間限定生産で“Makuake(マクアケ)”にて発売し、2023年10月からは産直ECサイト“ポケットマルシェ”での販売を開始しました。本商品は、2022年4月にナチュラルチーズの研究開発拠点として開設した十勝チーズ研究センターによる第1号の商品です。また、“うまみ乳酸菌熟成”技術によるまろやかでコクのあるナチュラルチーズを配合した「明治北海道十勝6Pチーズ 6個入り」(96g)を2023年9月より全国発売しました。さらに、チェダーチーズの濃厚な味わいとブラックペッパーの組み合わせによるほろっとスパイシーなおいしさを楽しめる「明治北海道十勝スマートチーズ 熟成チェダーブレンドブラックペッパー入り8個入り」(90g)を2024年3月より全国発売しました。
こどものカラダとアタマのゆたかな成長を栄養で応援する『明治ミラフル』ブランドより、幼児期の成長に重要なDHA、不足しがちな4つの栄養素(鉄、亜鉛、カルシウム、ビタミンD)を配合した「明治ミラフル ベビーチーズ 8個入り」(90g)、元気なカラダづくりをサポートする“ビフィズス菌OLB6378”を配合した「同 クリームチーズ&ヨーグルト8個入り」(85g)の2品を2023年9月1日より全国発売しました。
② ニュートリション
(乳幼児ミルク)
乳児用液体ミルク『明治ほほえみ らくらくミルク』は、災害備蓄としての活用のみでなく、日常での利用シーンが広がってきております。そこで、2023年5月には、日常でのさらなる利便性向上を目的に、飲む量や月齢に合わせた2種の容量タイプ(120ml、200ml)で持ちやすく、持ち運びしやすいリキャップ式スリムボトルにリニューアルしました。
計量の手間なく、簡単にミルクが作れる『明治ほほえみ らくらくキューブ』『明治ステップ らくらくキューブ』もさらなる利便性向上を目的に、キューブと袋の形状の改良を行い、袋からの取り出しやすさを向上させると共に、大容量タイプが欲しいといった日常使いのニーズにも応え内容量を増やした新容量タイプも発売しました。新形状キューブの開発に合わせて製造設備も独自に開発し、生産工程の効率化も達成しました。ベトナム、台湾で展開しているキューブタイプも同じく新形状にリニューアルしました。
牛乳に溶かして飲む『ミラフル粉末飲料』シリーズとして「ミラフル粉末飲料 バニラミルク」を「同 ストロベリー風味」、「同 チョコレート風味」に続き3品目として2023年9月に発売しました。幼児の成長に重要な鉄、亜鉛、カルシウム、ビタミンDを配合し、脳の成長に大切なDHAを配合した商品です。
国立大学法人東北大学との共同研究により、母乳に含まれる成分“ニコンチンアミドモノヌクレオチド(NMN)”は、その母乳で育った子どもの精神発達と関連する重要な栄養成分であることを明らかにし、国際学術誌Nutrientsで発表しました。子どもの鉄不足に気づく機会を提供する全国1万人“鉄チェック活動”(2022年11月から実施中)のデータを用いる研究の中間解析では、日本で貧血と推定される子どもたちの割合は5.3%で諸外国の約2~3倍高いことを明らかにしました。
(スポーツ栄養)
『ザバス』粉末プロテインからは、2024年3月にカラダづくりに重要な成分であるロイシンの含有率に着目したたんぱく原料“アシッドホエイプロテイン”を配合した『ザバス アドバンスト ホエイプロテイン100』シリーズの追加商品として、「ザバス アドバンスト ホエイプロテイン100 バニラ風味」を発売しました。アドバンストシリーズを強化することで、競合他社との差別化に貢献するものと考えます。
理想的なカラダづくりをサポートする『ザバス アドバンスト ホエイプロテイン100』の新品として人気のフレーバーである「ザバス アドバンスト ホエイプロテイン100 バナナ風味」を2023年7月、「同 ストロベリー味」を2024年3月に発売しました。また、『ザバス アクア ホエイプロテイン100』のアマゾン専売品として「ザバス アクア ホエイプロテイン100 栄養ドリンク風味」を2024年3月に発売し、お客様の選択肢を増やすことで、店販およびECサイトでのザバスプロテイン粉末の売上拡大を図りました。
『ザバス』飲料タイプでは、運動強度の高い方などプロテイン配合量を求める方向けに、1本でミルクプロテイン20gを摂取できる「(ザバス)MILK PROTEIN 脂肪0 キャラメル風味」(200ml)を2023年10月より販売を開始しました。常温保存可能品のミルクプロテイン20gタイプとしては「同 チョコレート風味」に続き2品目となり、お客様の選択肢を増やすことで買い回りや買い置きニーズに応え、『ザバス』飲料タイプの売上拡大につながりました。
また、ミルクプロテイン15gと同時に不足しがちな食物繊維と野菜を摂れる「(ザバスStyle-Vege) GREEN Vegetable」、「同 YELLOW Vegetable」(各250ml)を2023年7月に発売しました。より多くの方にプロテインを手に取っていただくきっかけを創出し、お客様の健康的な食生活に貢献する商品を提案し続けることで、今後も『ザバス』ブランドの間口拡大を図ります。そして、引き締まったカラダづくりを目指すお客様のお声を受け、1本に大豆プロテイン15gを配合した大豆プロテイン100%商品の「(ザバス)SOY PROTEIN(ソイプロテイン) ソイラテ風味」「同 バナナ風味」(各200ml)を2024年4月に発売しました。風味のよいソイプロテイン原料を開発・選定し、おいしく飲み続けられる味わいを実現しました。
パワーと元気をチャージする『即攻元気』シリーズ商品は、2021年以降疲労回復系のニーズの高まりを受けて、売上が拡大しています。プレミアム品ラインアップ強化として、一時的な精神的ストレス緩和作用のあるGABA100mgと4種類のビタミンB群を配合した「即攻元気ゼリー GABA+」を2024年3月より発売を開始しました。
(高栄養食)
2023年9月に発売した、人生100年時代を“いつも健康で輝いていたい”という思いに応える新ブランド『明治メイバランスMICHITAS(ミチタス)』シリーズより、手軽においしくバランスの取れた6大栄養素を取ることができる、すっきりとした味わいの「明治メイバランスMICHITAS(ミチタス)カップ レモン風味」を2023年9月に発売しました。
近年の在宅高齢者市場のトレンドとして、大人向け粉ミルク市場が急激に拡大をしており、2024年3月に「明治MICHITAS(ミチタス) 栄養サポートミルク」を発売しました。『明治メイバランスMini』カップの約1/2本分の相当の総合栄養設計に加え、加齢により衰える筋肉を維持・向上機能のあるHMBカルシウムを配合した“フレイル予防”の設計としています。
(流動食)
医療現場No.1の栄養食ブランド『明治メイバランス』の「明治メイバランス Mini カップ」3シリーズと「明治メイバランスソフト Jelly」8品のロゴデザインを統一し、お客さまに栄養素、カロリー・容量をわかりやすくお伝えするパッケージへ変更しました。さらに、「明治メイバランス ソフトJelly」は食物繊維を増量し、「明治メイバランスMini」と同様に6大栄養素を訴求したリニューアルを2023年9月に実施しました。
病院施設向けの栄養補助食品「明治メイバランス ぎゅっとMini」シリーズは、業界最少量で栄養とエネルギーを簡単・手軽に補給でき(100mlで200kcal)、様々な理由で普通の食事が十分に摂れない方や食欲のない方の補助栄養として受け入れられ堅調に売り上げを伸ばしており、2023年11月に「同 ピーチ味」をラインアップに追加しました。
病院・介護施設向け商品では、2023年10月に、当社が長年研究に取り組んできた発酵乳を配合した新商品「明治YH Fast」(希釈及び高濃度タイプの2種類5品)を発売しました。
経管栄養は下痢や胃食道逆流のなどの併症が発生しやすく、それに伴う医療・介護従事者の業務負担増加が課題となっています。「明治YH Fast」は、たんぱく質源として発酵乳を配合しており、発酵乳配合による下痢・便秘・便臭改善等の整腸効果、消化吸収率の向上、胃食道逆流の改善、誤嚥性肺炎の抑制といった知見を日本臨床栄養代謝学会にて発表しました。また、ユーザビリティに配慮した良好な流動性を実現したことにより、細径チューブでの使用が可能となったことから、より多くの患者様の栄養状態改善とQOLの向上、さらには医療・介護従事者の業務負担軽減が期待されます。今後も発酵乳を栄養食品に取り入れることで、新たな価値を提供してまいります。
③ チョコレート・グミ
(チョコレート)
高カカオチョコレート市場売上No.1ブランドである『チョコレート効果』はフラバノール研究と当社独自フラバノールエキス素材を活用した「チョコレート効果 カカオ72%Wプラス」を10月に発売。“善玉コレステロールを増やす”“血圧が高めの方の血圧を下げる”ダブルヘルスクレーム商品として生まれ変わりました。また当社独自製法である常温で日持ちのする“ガナッシュ”の技術を活用し、やわらかな食感で華やぐ香りの「チョコレート効果 カカオガナッシュ」を2024年3月に発売し、より幅広いお客様へ新たな食シーンを提案いたします。
カカオの香りを愉しむ『ザ・チョコレート』は、明治サステナブルカカオ豆を100%使用し、こだわり抜いた発酵・ローストにより11月にリニューアルを実施し、「同 フルーティカカオ・ラテ」を含む4品を発売しました。
『明治メルティーキッス』は、定番のラインアップに加えて、世界的パティシエ青木定治氏とコラボした「同 優雅に香るピスタチオ」を1月に発売し、ワンランク上のチョコレートイメージを強化しました。また、「同 プレミアムショコラ」を11月から米国コストコ(COSTCO)で発売し、米国への本格展開を開始しました。
夏場の話題喚起として、「チョコぬいじゃった!きのこの山」を7月に発売し、きのこの山、たけのこの里の楽しい世界観を伝えながら、夏場の売り上げにも貢献しました。
訪日客増加に伴うインバウンド需要の増加に対応し、人気のある抹茶を使用した板チョコレート、ナッツチョコ商品群4品及び「明治 富士山アポロ」を発売しました。
2022年対外発表した明治Newアクション“ひらけ、カカオ。”を受け、2024年1月に世界で初めて素材化に成功した“カカオセラミド”を発表しました。カカオセラミドを配合したチョコレート「meiji×ALBION CACAO DRIP(カカオドリップ)」を株式会社アルビオンと協業して開発し、催事限定商品として2024年1月に発売しました。また未利用資源であったカカオハスクに化粧品用途への使用が可能な遊離型ヒト型セラミドが豊富に含まれていることを発見し、カカオの美容新素材としての新たな可能性を見出しました。
(グミ)
噛み応えの強いハード食感がグミ市場の拡大をけん引していることを受け、『ブーストバイツ』では、11月「同 フルーツエモーション」を発売し、エナジードリンク味のラインアップ強化を行いました。また、同ブランドではリラクゼーションドリンクの普及を受けて、弾力が弱く歯切れの良い食感を持つ『チルバイツ』を8月に発売し、お客様の気分に合わせて選択いただけるラインアップとしました。
『果汁グミ』では、定番商品に加えて、4月「果汁グミ ダークチェリー」、6月「同 すいか」、7月「同 和梨」、12月「同 黄金桃」を発売し、季節のおいしさが楽しめる品質でラインアップ強化に繋げました。また、『果汁グミ』においても食感バリエーションの選択肢を広げるために、同ブランドのハード食感タイプ『果汁グミ弾力プラス』において、8月に「果汁グミ弾力プラス マスカット」を発売しました。2024年3月に「同 ぶどう」、「同 ゴールデンパイン」を容量1.5倍でリニューアル発売し、お客様の嗜好に合わせて選択いただけるようにラインアップ拡充を行いました。さらに、『果汁グミ』をよりさまざまなシーンで食べていただくために、小袋包装をコンパクトにパッキングした包装形態として、「果汁グミスマートパック ぶどう」を2024年3月に発売しました。デスクの置き菓子や、ちいさなお子様用の食べきり菓子として、シーンを選ばないラインアップとなっています。
グミの食シーンに新たに口腔内をスッキリさせる“リフレッシュメント利用”を取り入れるため、ガム事業で培った『キシリッシュ』ブランドを活用し、4月「キシリッシュグミ クリスタルミント」を発売しました。
④ 牛乳
宅配専用商品では、“人生100年時代のための基盤づくりミルク”をコンセプトに、1日分のカルシウムと鉄分、食事で不足しがちな6種のビタミンを配合した乳飲料「明治ミルクで元気PREMIUM(プレミアム)」(壜100ml)を2024年3月に販売を開始しました。また、リサイクルPET樹脂を100%使用したペットボトル容器商品として「明治 目と睡眠Wサポート」(100ml)を2024年3月に発売しました。日々の生活において、多くのお客様が悩まれている目や睡眠の健康課題に対し、継続摂取しやすい宅配専用商品を通じてサポートしてまいります。
市販商品では、低糖質(100ml当たり2.5g以下)・低脂肪で、ラクトース(乳糖)を普通牛乳比で97%カットした乳飲料「明治低糖質GOOD LIFE MiLK」を、2024年4月より発売しました。牛乳でおなかがゴロゴロしがちな方にも、牛乳のようなおいしさと栄養をお楽しみいただけます。
一方、全粒オーツ麦をまるごと使用し、全粒オーツ麦由来の食物繊維である“全粒穀物繊維”中に含まれる、水溶性食物繊維の“βグルカン”を当社独自製法により製品中に残した市販向け飲料「明治まるごとオーツ オーツミルク」(1,000ml/200ml)を2024年4月より発売しました。“βグルカン”は、さまざまな健康課題への有用性が期待されており、全粒オーツ麦由来のクリーミーでまろやかな味わいとともに、拡大するプラントベース市場において新たな価値提供を行い、市場定着と市場活性化を図ってまいります。
⑤ 業務用食品
ホイップクリームでは、フレッシュクリームにナチュラルテイスト製法を活用し「明治十勝フレッシュクリーム38」「明治十勝フレッシュクリーム35」として2023年6月にリニューアル発売しました。また二重乳化製法により超低脂肪でもホイップしやすい「明治ルミエージュ」を2024年4月に発売しました。
ソースでは、カフェで通年販売されるホワイトモカドリンク使用される「ホワイトモカフレーバーソース」を2023年10月に発売しました。またバレンタイン期間の企画ドリンクに使用される「ホワイトチョコグラッサージュソース」を2023年12月に発売しました。さらにさくら企画として白あんフレーバーソースである「花見あんソース」を2024年2月に発売しました。
⑥ フローズン・調理食品
(アイスクリーム)
2024年3月に「明治エッセルスーパーカップ 超バニラ/抹茶/チョコクッキー」をリニューアル発売しました。1994年の発売より一貫して培ってきた商品特徴である、コクとキレを改良することで、さらなるお客様の満足度アップに貢献してまいります。
2024年3月より「明治ブルガリア フローズンヨーグルトデザート ストロベリー」を発売しました。ヨーグルトを混ぜ込んだなめらかでコクのあるアイスと、爽やかなストロベリーの味を楽しむことができる商品となっています。また、2023年9月に「明治チョコレート効果 カカオアイス」をマルチカップ(75ml×4個)で発売しました。健康アイス市場の拡大に向け、これからも積極的に商品開発を行ってまいります。
2023年3月に関東地区限定で発売した「明治Dear Milk」をお客様の要望に応え2024年3月より全国展開しました。当社独自技術を用いた乳製品のみを使用し、濃厚なコクと澄みわたる後味を特徴とした商品となっており、新たなプレミアムアイスとして育成を図ってまいります。
(調理食品)
冷凍食品の新商品として、2023年8月に「明治ラザニア3個入」を全国発売しました。また、手軽に栄養素を摂取して頂ける副菜というコンセプトで「明治食卓に洋食もう1品 北海道産生乳のクリーミーチキングラタン」「同 十勝産チーズのほくほくポテトグラタン」を地域限定で発売し、さらに冬季限定でトースター調理専用の「明治ゴールデンえびグラタン2個入」を発売しました。リニューアル品としては風味改良した「明治ゴールデンえびグラタン3個入」「明治えびドリア3個入」、入り数を変更した「明治贅沢洋食チキングラタン2個入」を発売しました。2024年2月には『銀座』シリーズ発売30周年に合わせ、新商品「銀座ハヤシドリア2個入」とともに、シリーズ初の“食後の血糖値の上昇をゆるやかにする”ことを表示した機能性表示食品「銀座カリーライス1個入り」を発売、リニューアル品として「銀座カリードリア2個入」を発売しました。また、「明治ラザニア3個入」も風味改良してリニューアルを実施しました。
ドライ食品では、2023年8月に「まるごと野菜 完熟トマトのミネストローネ」「同 じっくり煮込んだポトフ」を風味改良してリニューアルを行い、また、「めざめる活力 にんにく黒カレー」「同 しょうが入りスパイスカレー」をパッケージリニューアルしました。2024年2月には『銀座』シリーズ発売30周年のスタートを飾る「銀座カリー 大辛」を発売しました。
(バター・マーガリン類)
パンに塗ったり調理に使ったり手軽にチーズ風味を楽しめる「明治チューブでチーズブレンド」を2023年9月に発売しました。またコクのあるバターの風味が楽しめるリッチタイプのスプレッドである「明治コクと香りのバター風味ソフト」を2024年3月に発売しました。
⑦ 海外
台湾政府による“特殊栄養食品”の認可を取得し、台湾のお客様に最も選ばれているショ糖無添加のプレーン味(原味)である「明治メイバランス明倍適 穀香原味」の輸出・販売を2023年10月に開始しました。また、ベトナム向けにも「Meiji MeiBalance シリアルフレーバー」を2024年3月から輸出・販売を開始しました。今後の海外本格展開に向けて、海外法規に対応したグローバルスペックの検討を行ってまいります。
中国・台湾に展開した『ザバス ホエイプロテイン100』シリーズを強化する商品として、「ザバス アクア ホエイプロテイン オレンジ味」を2023年5月に販売を開始しました。
(2) 医薬品
当連結会計年度における研究開発活動の金額は、
薬品事業におきましては、医療用医薬品における感染症領域でのリーディングカンパニーを目指すとともに、血液がん等新領域、ジェネリック医薬品等にも注力し、積極的な研究開発活動を行っております。当事業に係る研究開発費として147億94百万円を投入いたしました。
医療用医薬品における具体的な開発品目の進捗状況は、以下のとおりです。
Arcturus Therapeutics社から導入した新型コロナウイルス感染症に対するワクチン「ARCT-154」は海外試験成績と国内臨床第三相試験成績をもとに承認申請し、承認を取得しました。さらに起源株並びに変異株に対応する2価ワクチン「ARCT-2301」の追加免疫国内第三相試験においても、主要評価項目を達成し、ウイルス株が変更されてもARCT-154で示された高い免疫原性及び安全性が再現できることが確認されました。これにより、ARCTのプラットフォームを確立できたと考え、関係各署と協議しながら、2024年度接種に向けて薬事手続きを準備中です。また、慢性
GVHD治療薬「ME3208(KD025)」は、国内の臨床第三相試験成績をもとに承認申請し、承認を取得しました。
ウステキヌマブ製剤(遺伝子組換え)のバイオ後続品である「DMB-3115」は、国際共同臨床第三相試験において先行バイオ医薬品との同等性を検証し、FDA及びEMAに承認申請を行いました。β-ラクタマーゼ阻害薬「Nacubactam
(OP0595)」は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」として、国際共同臨床第三相試験を実施中です。Meiji Seika ファルマ株式会社がKMバイオロジクス株式会社と共同で開発を進めている新型コロナウイルス感染症に対するワクチン「KD-414」は、小児の国内臨床第三相試験を実施中です。経口PDE4阻害剤「ME3183」は、米国及びカナダにおける臨床第二相試験で良好な成績を得て、臨床第三相試験を準備中です。抗悪性腫瘍剤「ハイヤスタ®錠」は、再発または難治性のB細胞性非ホジキンリンパ腫患者を対象とした国内臨床第Ib/II相試験及びメラノーマ患者を対象とした国際共同臨床第三相試験を実施中です。
KMバイオロジクス株式会社は、ヒト用ワクチン、血漿分画製剤の研究開発から製造販売まで行う体制を持ち、また、新生児のマススクリーニングなどを行う新生児スクリーニングセンターを保有しております。
同社において、特に注力しておりますヒト用ワクチン領域における具体的な開発品目の進捗状況は、以下のとおりです。
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する不活化ワクチン(KD-414)」は、Meiji Seika ファルマ株式会社との共同開発、国立感染症研究所、東京大学医科学研究所及び医薬基盤・健康・栄養研究所との協業で、2020年5月より開発を開始しており、厚生労働省や日本医療研究開発機構(AMED)等からの助成金を活用しつつ研究開発および生産体制整備を推進しております。現在の開発状況は、成人を対象とした第Ⅲ相臨床試験(日本およびフィリピン)、小児を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(日本)、小児を対象とした第Ⅲ相臨床試験(日本)、小児を対象としたVE※第Ⅲ相臨床試験(日本、2023年12月~)を実施中です。これまでの開発は起源株を用いておりましたが、直近に開始した小児を対象としたVE第Ⅲ相臨床試験では変異株対応のワクチンを用いており、今後は国内で求められる変異株対応のワクチンを供給すべく開発を進めてまいります。他に、「小児用6種混合ワクチン(KD2-396)」は、2023年10月より第Ⅱ相臨床試験を実施中です。「デング熱ワクチン(KD-382)」は、オーストラリアで第Ⅰ相臨床試験を完了しており、健康な成人に対して良好な安全性および免疫原性が確認できています。現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 先進的研究開発戦略センター(SCARDA)による「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」の採択を受けて、第Ⅱ相臨床試験の準備を進めています。5種混合ワクチン(KD-370)「クイントバック®水性懸濁注射用」は、2023年9月に製造販売承認を取得し、2024年3月に販売開始しました。なお、2024年4月より5種混合ワクチン(沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルスb型混合ワクチン)は定期接種の対象となっております。
※ VE: Vaccine E¬fficacy(ワクチン有効性)
明治アニマルヘルス株式会社での具体的な開発品目の進捗状況は、以下のとおりです。
牛豚用抗菌剤「ME4137」は、2024年1月15日に牛用抗菌剤として製造販売承認を取得し、豚用抗菌剤としてもパブリックコメント中のため、2024年度第1四半期連結会計期間中に承認見込みです。牛用ワクチン「KD-412」は、製造販売承認申請を行っており現在審査中です。また、2023年9月には、牛豚馬用の解熱鎮痛、抗炎症薬「MD-22-3002」の製造販売承認申請と牛馬豚用繁殖薬「MD-22-3001-1」の承認事項変更申請をしました。牛用抗菌剤「ME4305」及び豚用ワクチン「MD-22-2001」は、製造販売承認申請に必要な試験を開始しました。
また、畜産用飼料添加物である「ME4406」は、鶏と豚で医薬品開発の臨床試験に該当する野外応用試験の再試験実施に向けて準備中です。
(3) その他
当連結会計年度における研究開発活動の金額は、1,269百万円であります。
2024年4月、組織改訂を経てウェルネスサイエンスラボは約120名体制へと拡大しました。これに伴い、これまでに取り組んでいた抗老化/免疫・サステナビリティ・デジタルトランスフォーメーション(Dx)等の領域に加え、グループ食品事業における基幹領域である乳酸菌、およびマイクロバイオーム研究の深化を目指した研究活動を展開し、将来の明治グループを支える事業基盤づくりをより一層推進します。2023年度から新たに取り組みを開始した「バイオものづくり」では、米California Cultured社との連携による細胞培養カカオの生産が大きく進捗しました。この取り組みは「サステナビリティと事業との融合」を研究開発の側面から強力にけん引することを具現化したものです。従来取り組んでいる抗老化・免疫領域の研究からも特許や学会発表等多くの成果が得られました。新たな体制の下、異なる研究・事業バックグラウンドを有するメンバーたちが連携して、さらに大きな付加価値の実現を目指します。