文中における将来に関する事項は、当事業年度末時点において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、自らを生かしながら他のあらゆるものを生かす生き方、すなわち、自分の生き方が、他の人の幸せにつながる「共生(ともいき)」を企業理念とし、お客様や株主の方々をはじめ、地域社会を含めた全てのステークホルダーとの「共生(ともいき)」を目指しております。
この企業理念を実現するための基本指針として、①事業環境の悪化や急変に対して迅速かつ的確に対応できる態勢構築 ②企業の安定性を確保すべく、常に先を見通した経営戦略の推進と事業ポートフォリオの構築を掲げ、将来の収益確保に向けた事業活動を展開しております。
さらに、組織体制の充実と組織力の結集を図り、行動指針(Wada-Way)を策定しております。①主体的に物事を捉え、自らが責任感を持って行動する「自主自律」②一人ひとりの個性を活かし、価値ある独創で地域を彩る「唯一無二」③スピード感を持った事業への取組みを促す「迅速果断」④チームワークとコミュニケーションを促す「相互信頼」 これら四つの指針のもと業務運営を進めていくことで、神戸市・明石市・阪神間を中心とした地域密着型の不動産業として事業活動を展開し、住まう方にとってのオンリーワン(かけがえのない)となる住まいづくりを目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は経営の健全性・安全性を高めることや株主価値の持続的な向上を図るといった観点からKPIとしてROEとD/Eレシオを定めております。
また、上記指標に加えて、事業分野におきましては、竣工前の分譲マンションの販売契約を積み上げることが、将来の売上及び利益確保に繋がるとの認識から、期末時点での契約済未引渡戸数の一定レベルへの引き上げを経営上の目標としております。
(3)経営の問題認識と今後の方針について
当社を取り巻く事業環境につきまして、主力の分譲マンション販売事業は、住宅ローン金利の低位安定等を背景に、購入者ニーズに即した商品の提供により、概ね順調な販売を継続しております。さらに賃貸事業においても、住居系の賃貸物件を中心に高稼働率の維持によって安定的な収益を確保してまいりました。
しかしながら、足元では用地価格や建築費を中心としたコストの高止まりや、金利上昇の兆候、中長期的には少子・高齢化の進展に伴う住宅市場の縮小、財政赤字に伴う税負担の増加や将来の社会保障への不安等、克服すべき課題を有しており、将来を見据えた的確な経営戦略の立案、実行が求められております。
このような状況のもと、当社は中期経営計画(2024年2月期~2026年2月期)において、VISIONを「将来を展望し、『地域に根差した総合不動産業』への道筋を創る」と定めました。優良な住宅地である神戸市・明石市・阪神間を主たる事業エリアとして、良質な”住まい”の提供を通じた『街づくり』を進めることを企業の使命とし、持続的な成長に向けた戦略を着実に実行してまいります。
そのための取り組みといたしまして、主力の分譲マンション販売事業においては、神戸・明石・阪神間を中心とした地域密着の有利性を活かしつつ、利便性に富んだ好立地による展開を基本としながら、周辺地域への事業エリア拡大に努めてまいります。また、安心・安全にお住まい頂けるよう「品質の強化」「サービスの向上」に努めるとともに、多様化する顧客のライフスタイルに沿った多彩なプランの提供を進め、事業環境が大きく変化するなかにあっても、近畿圏において確固たる地位を築いてまいります。
次に、幅広い顧客の住まいへのニーズへの対応や、これまで培った用地仕入れのネットワーク等の活用の観点から、木造戸建て住宅についても、年間販売戸数の安定的な確保に向け積極的に推進するほか、出口戦略の多様化といたしまして、小型収益物件の開発や販売にも努めてまいります。
賃貸事業につきましては、収益の安定性確保の観点から、ワンルームマンション等を中心に入居率の向上に加えて、機動的な物件の入れ替えも進めることにより、賃貸資産全般のパフォーマンス向上に努めてまいります。
また、マンション管理会社との連携強化など、ノンアセットビジネス等の事業領域の拡大も進めるなど、さらなる収益機会の創造に向けた取り組みを進めてまいります。
財務面におきましては金融機関との良好な関係構築を基本とし、資金調達の安定化を図る観点から調達パイプの拡大に努めるとともに、調達手段の多様化にも取組んでおります。また、財務体質の健全化と併せて調達コストの低減も目指してまいります。
以上のような戦略を推進していくことにより、付加価値の高い商品の供給を進め、持続的な成長と利益の増大を図りつつ、地域に根ざした不動産業として当地のリーディング・カンパニーを目指して鋭意努力を重ね、すべてのステークホルダーの期待に応えるべく、邁進していく所存であります。
(4)対処すべき課題
足下の事業環境につきましては、国内景気は新型コロナウイルス感染症の収束、雇用・所得環境の改善などで、緩やかな回復基調が継続しておりますが、急激な物価上昇や金利政策など国内外の経済動向は引き続き注視すべき状況であります。
さらに、中長期的には、少子・高齢化の進展に伴う需要の減退、巨額の財政赤字に伴う税負担や社会保障への不安など、克服すべき課題が数多くあり、将来に向けた着実な施策の実行が求められている状況となっております。
当社が属する不動産業界におきましては、住宅ローン金利の低位安定や税制面の政策支援効果、さらにはコロナ禍における住宅への関心の高まり等により、販売価格が上昇するなかでも分譲マンション等に関しては概ね順調に推移してまいりましたが、今後、資材価格の高騰や金利の上昇等の兆候が見られるなかにあっては、販売面における変化も予想されるなど早急に対処すべき課題も有しております。
このような環境のなか、当社としましては、長年に亘って築き上げてきた不動産業界のネットワークを有効活用し、適正価格での用地仕入れを進めることで、一次取得者をはじめ、多くのユーザーの方々に受け入れていただける価格帯での物件提供を徹底していくとともに、長年に亘りお住まいいただける品質面の向上は当然のこと、環境面や利便性、安全性にも配慮した付加価値の高い住宅開発も進めていきたいと考えております。
さらに、多様化する住宅ニーズを踏まえ、コンパクト型の分譲マンションや木造戸建て住宅の開発に加え、賃貸事業にも注力し、当社の得意とする地元地域を中心に、住まいを軸とした不動産業の地位を確立していきたいと考えております。
主力の分譲マンション事業が堅調に推移するなか、事業年度末時点において、翌事業年度以降に竣工・引渡しを予定しておりますマンションの販売契約を積み上げていくことが将来に向けた事業、収益の安定性確保に繋がるとの認識のもと、長年の間、地元地域を中心に一定の供給戸数を維持することで築いてまいりましたブランド力を背景に、戦略的に用地仕入れを進め、スピード感を持った供給体制を通じて、契約の早期獲得といった事業サイクルをさらに推し進めるとともに、兵庫県姫路市や大阪市を主要ターゲットとした周辺地域への事業エリア拡大にも注力してまいります。
加えて、地元を中心とした設計事務所・建築会社と緊密な関係を保ちつつ、コストの適正化と品質の向上の両立にも努めてまいります。
戸建て事業におきましては、マンション事業に比べ、用地取得から引渡しまでの事業期間が短縮されることから、より一層用地仕入れに注力することで、年間販売戸数の安定的な確保を目指してまいります。
賃貸事業におきましては、当社全体の収益の安定性に寄与するため、営業力の強化や物件管理を適切に進めることで、稼働率の維持に努めつつ、最適な賃貸資産のポートフォリオ構築のため、機動的な物件の入れ替えも進めてまいります。
その他事業の取り組みとしまして、木造や鉄骨造の小型収益物件の一棟販売にも注力するとともに、マンション管理業務等、ノンアセットビジネスを含む、事業領域の拡大に着手してまいります。
また、コーポレートガバナンスの強化が求められるなかにあって、コーポレートガバナンス・コードに則して、引き続き、株主の権利・平等性の確保、株主以外のステークホルダーとの適切な協働、適切な情報開示と透明性の確保等、取締役会等を中心としたガバナンスの発揮を通じて、適切な体制の構築を図ってまいります。
一方、財務面におきましては、プロジェクトにかかる機動的な用地仕入れが可能となるよう、引き続き、資金調達の円滑化、多様化を図ることにより、資金繰りの安定化も含め、効率的な運営を進めてまいります。
以上のような課題に対処することにより、企業価値向上を目指すとともに、安定成長のできる企業へ発展することで株主の皆様のご期待に応える所存であります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
<サステナビリティ基本方針>
和田興産は、「共生(ともいき)」を企業理念とし、神戸を中心とした街に暮らす一人ひとりの豊かな人生に寄り添い、支え続けるために、地域に根差した住まいづくりや快適な街づくりを展開し、地域と社会の発展に寄与してまいりました。
この考え方に基づき、自らの中長期的な企業価値向上と持続可能な社会の実現を目指すべく、マテリアリティを特定し、積極的にサステナビリティ活動を推進してまいります。
(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
<サステナビリティ重要テーマおよび重要課題特定のプロセス>
当社におけるサステナビリティ重要テーマおよび重要課題特定のプロセスは、以下の通りであります。
1.マテリアリティ候補の抽出
SDGs、ISO26000、GRIスタンダード、SASBといった国際的な指標・ガイダンス、グローバルリスクや事業機会等のサステナビリティ課題およびESG格付け基準等を参照し、同業他社のマテリアリティや当社の事業特性等を踏まえマテリアリティ候補を抽出しました。
2.マテリアリティの絞り込みと優先順位づけ
抽出したマテリアリティ候補をもとに、当社の社外を含めた全ての取締役に対してインタビュー・アンケートを実施しました。その結果をもとに、“和田興産にとって重要な課題”および“ステークホルダーにとって関心度が高い課題”の観点により総合的に判断し、マテリアリティを絞り込むとともに優先順位づけを行いました。
3.マテリアリティの選定
当社の企業理念や経営戦略との関連性を評価し、社内協議を重ねてマテリアリティをまとめました。
4.承認
2024年4月12日開催の取締役会における決議を経て、優先的に取り組むべきマテリアリティを特定しました。
(2) 重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社における重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
<人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針>
当社は、社員が持てる能力を発揮し、仕事と生活の調和を図りやすい雇用環境の整備を行うため、女性活躍推進法、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を下記の通り定めております。
1.計画期間 2024年3月1日~2027年2月28日までの3年間
2.目標・取組内容
女性活躍推進のため、公平な評価のもと管理職の女性比率向上の推進を図る。また、性別関係なく仕事と子育てが両立できる風土を醸成する事を目的に、男性社員が今以上に子育てに関わっていける新たな制度を導入する。
<女性活躍推進法>
目標1:女性管理職(課長)の登用を10%以上に比率を上げる
取組内容
●2025年07月~ 女性労働者のキャリア形成(管理職登用)に向けマネジメントや研修の実施
●2026年01月~ 評価制度に沿った評価の推進
●2026年04月~ 女性管理職の着任を実現
<次世代育成支援対策推進法>
目標2:子が出生時~1歳6か月を迎えるまでの期間の父親を対象とした、新たな育児制度を導入し、男性社員の子
育てに対する支援をより柔軟なものとする
取組内容
●2024年07月~ 社員のニーズの把握、検討開始
●2024年08月~ 管理職及び役員にてブラッシュアップ
●2025年04月~ 制度内容について、社内Web掲示板にて社員へ周知
なお、当社では、外国人や中途採用者の管理職比率については特に定めておりません。これは、当社が持続的に成長するためには、外国人、中途採用者などの従来の発想にとらわれない視点や知見を重視しており、国籍、職歴に関係なく、個人の能力や実績を重視した人物本位の登用を実施しているためであります。
3.指標および目標
管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末時点において当社が判断したものであり、すべてのリスクを網羅するものではありませんので、ご留意下さい。
当社の主要事業である不動産販売事業における分譲マンション販売は、マンションの竣工後、購入者へ引渡しが行われる際に売上高が計上されますが、景気動向、金利動向、新規供給物件動向、不動産販売価格動向、住宅税制等の影響を受けやすく、景気見通しの悪化や大幅な金利の上昇、供給過剰による販売価格の下落、あるいは住宅税制等の変更・改廃等の諸情勢の変化によって、新築マンション購買者の購入意欲が減退した場合には、売上高の計上時期が遅延し当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、マンションの竣工は、主に用地の取得時期・開発開始時期・開発期間などによって決定されるため、期によっては引渡し時期が特定の時期に集中し、結果として四半期ごとの業績に偏向が生じる場合があります。
(最近2事業年度における四半期ごとの売上高の推移)
当社は、分譲マンションの開発用地の取得資金、賃貸不動産の購入及び建設資金を主に金融機関からの借入金により調達しておりますが、特定の金融機関に依存することなく個別物件ごとに金融機関に融資を打診し、融資の了解を得たあとに物件開発を進行させております。ただし、資金調達に障害が生じた場合には、事業展開の妨げになるなど当社の業績に影響を及ぼす可能性があり、2018年2月13日払込の公募増資による1,023百万円の事業用資金を調達するほか、大型プロジェクトに対応したコミット型シンジケートローンの取り組みなど、直接金融も含めた調達方法の多様化に取り組んでおります。
なお、総資産額に対する有利子負債への依存度は、2023年2月期は51.7%、2024年2月期は52.0%の水準にあり、現行の金利水準が変動した場合には、当社の事業利益が圧迫され業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、金融機関からの借入金の一部には財務制限条項が付されており、当事業年度末時点の当該借入残高は14,114百万円となっております。財務制限条項に抵触することとなった場合には、期限の利益を喪失することとなり、当社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
当社の属する不動産業界は、わが国政府の継続的な住宅支援策等で底堅く推移しているなか「国土利用計画法」「宅地建物取引業法」「建築基準法」「都市計画法」「住宅品質確保促進法」等により法的規制を受けております。これらの金融面を含む住宅政策の変更、規制の改廃がある場合や新たな法的規制が設けられる場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は不動産業者として「宅地建物取引業法第3条第1項及び第6条」に基づき宅地建物取引業者の免許証(免許証番号 国土交通大臣(4)第7158号、有効期間 2020年11月17日から2025年11月16日まで)の交付を受け、主に不動産販売の事業を行っておりますが、「宅地建物取引業法第3条及び第5条」にて免許条件及び「宅地建物取引業法第66条及び第67条」にて取消事由が定められており、これに該当した場合は免許の取消が命じられます。現在免許の取消に該当する事由は発生しておりませんが、今後、何らかの事由により免許の取消事由が発生した場合、または有効期間の更新ができなかった場合等には、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、分譲マンション購入者、賃貸マンション入居者等多くの顧客に関する個人情報を保有しており、今後においてもその情報量の増加が予想されます。これらの個人情報を適切に保護するため「個人情報の保護に関する法律」を遵守するとともに、個人情報取扱基本方針、個人情報取扱規程を制定するなど社内の情報管理体制の整備と管理の徹底を図っております。しかしながら不測の事態により当社が保有する個人情報が大量に外部へ流出した場合には、当社への信用の低下や損害賠償請求による費用の発生等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
固定資産の減損に係る会計基準は、2007年2月から適用しており、企業が保有する固定資産に減損の兆候(営業から生じる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとなる場合、資産が遊休状態となった場合、市場価格が著しく下落した場合等)が見られる場合、固定資産から生じる将来キャッシュ・フローの合計額が帳簿価額を下回った場合には、その帳簿価額を回収可能価額まで減損処理をするものであります。
棚卸資産の評価に関する会計基準は、2009年2月から適用しており、期末に保有している棚卸資産について、時価(正味売却価額)が取得原価よりも下落している場合には、その差額について売上原価に費用処理するものであります。
今後において減損の兆候に該当する固定資産が発生した場合や、景気変動及び不動産市況の悪化等により、時価(正味売却価額)が取得原価よりも下落する棚卸資産が発生した場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社保有の一部の建物について、アスベストを含む吹き付け材が使用されており、当社が実施した第三者機関による調査の結果、大気汚染防止法他関係法令等の法定基準内で安定した状態にあることを確認しておりますが、今後経年劣化等により法定基準を満たさなくなった場合には、除去又は封じ込め等の費用が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また当社の主力である分譲事業では、事業用用地を取得する際、土壌汚染や地中埋設物等について可能な限り調査を行い、売買契約書で売主の契約不適合責任を明確にしておりますが、取得後土壌汚染による契約不適合等が発覚することがあり、建物建設の際には、関係する法律や自治体の条例等を検討のうえ、環境や景観に十分に配慮し周辺住民への事前説明会等で理解を得るように努めておりますが、騒音や振動問題、日照問題等、周辺環境に与える諸問題等が発生し、事業計画が変更となることがあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、神戸・明石地区(兵庫県神戸市、明石市周辺)、阪神地区(兵庫県芦屋市、西宮市、尼崎市)、兵庫県伊丹市、宝塚市、姫路市周辺及び大阪府(大阪市、北摂エリア)を主要エリアとして分譲マンションの販売を行っておりますが、当該エリアは住宅購入者の人気が高い地域であるため、競合他社も多くその参入状況によっては競争が激しくなる可能性があり、それによる用地の仕入力及びマンションの販売力の低下並びに価格の変動等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、分譲マンション及び賃貸マンションの開発における設計事務等を建築設計事務所へ外注しているほか、建物建築については建築会社へ外注しております。また、分譲物件の販売については専門の住宅販売会社に委託しております。
現在、各社とは、継続的かつ安定的な取引関係にあり、今後もその関係に急激な変化はないと考えておりますが、設計についてはその専門性からくる寡占性、建物建築にあたっては異材の使用等、販売に際しては資料改竄等による顧客のオーバーローン等、業務水準や品質等が低下した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
地震・風水害等の自然災害及び事故・火災等の人的災害等が発生した場合や感染症等によるパンデミックにより人の往来が著しく制限された場合には、当社事業計画の進捗が未達となることがあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や感染症収束などで個人消費の持ち直し及びインバウンド需要の回復が見られ、サービス消費を中心に経済活動正常化の流れが活発化しました。一方、不透明な海外情勢や円安長期化による物価上昇に伴う個人消費停滞懸念、金融資本市場の変動等、国内外の経済動向は先行き不透明な状況が続いております。
不動産業界におきましては、政府の住宅取得支援策の継続や住宅ローン金利の低位安定等で、住宅需要は底堅く推移しておりますが、建築コストの高止まりによる販売価格への影響や日銀の金融政策による金利動向等が懸念される状況であります。
こうした事業環境のなか、当社は新たな用地取得や販売契約の獲得を目指し営業活動に取り組んでまいりました。
その結果、当事業年度における売上高は38,825百万円(前期比90.9%)、営業利益は4,528百万円(同103.2%)、経常利益は3,820百万円(同105.9%)、当期純利益は2,638百万円(同110.8%)となりました。
当事業年度末における財政状態は、次期以降の事業用地取得や建築進捗等による棚卸資産の増加9,668百万円等を主因として総資産は前期比15,084百万円増加した101,228百万円となり、純資産は、当期純利益2,638百万円の計上、利益配当金599百万円の利益処分による減少等で前期比2,079百万円増加した30,658百万円となりました。これにより自己資本比率は前事業年度に比べ2.9ポイント減少し30.3%となっております。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(分譲マンション販売)
主力の分譲マンション販売におきましては、開発基盤となる用地価格や建築コストが上昇しているものの、住宅ローン金利の低水準や住まいに利便性を求める傾向が強まっていることから、分譲マンション市場は比較的堅調に推移しており、当社としましては、新規発売物件を中心に契約獲得に向けた販売活動及び引渡計画の推進に注力してまいりました。
その結果、当事業年度における発売戸数は、神戸・明石・阪神間を中心に、11棟473戸(前期比70.4%)を発売するとともに、契約については、584戸(同90.7%)、29,045百万円(同96.1%)を契約し、それにより期末時点の契約済未引渡戸数は690戸(同87.1%)となり、当該残高を33,579百万円(同97.4%)としております。また、ワコーレシティ立花等14棟が当事業年度に竣工したことにより、引渡戸数については686戸(同100.7%)となり、売上高は29,927百万円(同80.0%)、セグメント利益は4,170百万円(同92.6%)となりました。
(戸建て住宅販売)
戸建て住宅販売におきましては、新規発売物件を中心に契約獲得に向けた販売活動に注力してまいりました。その結果、当事業年度における戸建て住宅は48戸の引渡しにより、売上高は2,017百万円(前期比182.9%)、セグメント利益は152百万円(前期は2百万円の営業利益)となりました。
(その他不動産販売)
その他不動産販売におきましては、賃貸マンション・宅地等20物件を販売し、売上高は3,657百万円(前期比332.6%)、セグメント利益は130百万円(同228.0%)となりました。
(不動産賃貸収入)
不動産賃貸収入におきましては、当社が主力としております住居系は比較的安定した賃料水準を維持しており、入居率向上と滞納率の改善に努めると同時に、最適な賃貸不動産のポートフォリオ構築のため、新規物件の取得など賃貸収入の安定的な確保を目指してまいりました。
その結果、当事業年度の不動産賃貸収入は3,185百万円(前期比105.4%)、セグメント利益は1,117百万円(同156.1%)となりました。
(その他)
当事業年度におけるその他の売上高は、解約手付金収入、保険代理店手数料収入及び仲介手数料等で38百万円(前期比41.8%)、セグメント利益は35百万円(同42.4%)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ5,830百万円増加し、14,970百万円となりました。
イ. 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果減少した資金は、1,176百万円(前期は2,153百万円の増加)となりました。
主な要因は、税引前当期純利益の計上3,822百万円、前受金の増加2,797百万円、建築代金支払等による仕入債務の増加1,621百万円等による資金の増加に対し、翌期以降の事業用地取得等による棚卸資産の増加9,907百万円等による資金の減少によるものであります。
ロ. 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果減少した資金は、458百万円(前期は1,066百万円の減少)となりました。
主な要因は、賃貸物件取得などの設備投資742百万円等による資金の減少によるものであります。
ハ. 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果増加した資金は、7,466百万円(前期は6,636百万円の減少)となりました。
主な要因は、分譲マンション等の引渡完了に伴う長期借入金の返済による減少11,946百万円等の資金の減少に対し、分譲マンション用地購入等の資金調達による長期借入金の増加21,517百万円等による資金の増加によるものであります。
③ 販売及び契約の状況
(注) 1.分譲マンション販売の金額には、住戸売上のほかに分譲駐車場の金額が含まれております。
2.その他不動産販売の戸数は、一棟売却の賃貸マンションの戸数を記載しており、土地売りについては含めておりません。
3.不動産賃貸収入及びその他には、販売住戸が含まれていないため、戸数表示はしておりません。
4.共同事業の戸数及び金額は、出資割合によりそれぞれ計算(小数点以下切捨て)しております。
(注)1.分譲マンション販売の金額には、住戸売上のほかに分譲駐車場の金額が含まれております。
2.その他不動産販売の戸数は、一棟売却の賃貸マンションの戸数を記載しており、土地売りについては
含めておりません。
3.共同事業の戸数及び金額については、出資割合によりそれぞれ計算(小数点以下切捨て)しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、見込み、見通し、方針、所存等の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社が判断したものであり、将来に関する事項には不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来的に生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
① 財政状態の分析
貸借対照表の前事業年度末残高と当事業年度末残高との比較数値は以下のとおりであります。
<要約貸借対照表>
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は、72,380百万円となり、前事業年度末と比較して14,636百万円増加しました。
主な要因は、翌期以降事業用地取得等による棚卸資産の増加9,668百万円、現金及び預金の増加5,589百万円等によるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は、28,847百万円となり、前事業年度末と比較して448百万円増加しました。
主な要因は、賃貸用不動産取得による土地の増加246百万円等によるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は、34,723百万円となり、前事業年度末と比較して5,661百万円増加しました。
主な要因は、前受金の増加2,797百万円、1年内長期借入金の増加2,209百万円、買掛金等仕入債務の増加1,621百万円等によるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は、35,846百万円となり、前事業年度末と比較して7,343百万円増加しました。
主な要因は、翌期以降の事業資金調達による長期借入金の増加7,361百万円等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、30,658百万円となり、前事業年度末と比較して2,079百万円増加しました。
主な要因は、当期純利益2,638百万円の計上、利益配当金599百万円等によるものであります。
② 経営成績の分析
損益計算書の前事業年度と当事業年度との比較数値は、以下のとおりであります。
<要約損益計算書>
当事業年度の経営成績は、前事業年度に比べ減収増益となっており、項目別の主な要因については、次のとおりであります。
売上高の主な減収要因については、分譲マンション販売セグメントで戸当たり販売価格が低下したことなどで3,886百万円売上高が減収したことによります。
営業利益については、分譲マンション販売セグメントの契約進捗が好調で採算性が向上したことなどにより4,528百万円と前期比141百万円の増益となりました。
経常利益については、上記記載の要因等により3,820百万円と前期比212百万円の増益となりました。
当期純利益については、特別損益を計上したことなどで2,638百万円と前期比256百万円の増益となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フロー計算書の前事業年度と当事業年度との比較数値は、以下のとおりであります。
<要約キャッシュ・フロー計算書> (単位:百万円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は、1,176百万円(前期は2,153百万円の増加)となりました。
主な要因は、税引前当期純利益の計上3,822百万円、前受金の増加2,797百万円、建築代金支払等による仕入債務の増加1,621百万円等による資金の増加に対し、翌期以降の事業用地取得等による棚卸資産の増加9,907百万円等による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、458百万円(前期は1,066百万円の減少)となりました。
主な要因は、賃貸物件取得などの設備投資742百万円等による資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は、7,466百万円(前期は6,636百万円の減少)となりました。
主な要因は、分譲マンション等の引渡完了に伴う長期借入金の返済による減少11,946百万円等の資金の減少に対し、分譲マンション用地購入等の資金調達による長期借入金の増加21,517百万円等による資金の増加によるものであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性について
当社の事業活動における主な資金需要は、分譲マンションの開発用地の取得資金、賃貸不動産の購入及び建設資金であります。資金需要に対しては、主に金融機関からの借入金により調達しており、特定の金融機関に依存することなく個別の案件毎に調達を行うことにより、安定的な資金の確保に努めております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「(2)目標とする経営指標」に記載の通りであります。なお、ROEについては、最低限維持すべき水準を8%としておりますが、当事業年度では前期の8.6%から8.9%へ微増しており、引き続きROE8%維持を目標として事業を展開してまいります。また、D/Eレシオについては2倍以内を堅持することを目標としており2024年2月期では1.72倍となっております。さらに分譲マンションの契約済未引渡戸数は「第2 事業の状況」「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「販売及び契約の状況 b. 契約実績」に記載の通りであります。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。作成にあたり経営者は、資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合、作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出するため見積り及び仮定を用いており、主な見積り項目は、「第5[経理の状況]の財務諸表注記 重要な会計上の見積り」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。