代表取締役CEO城口洋平、執行役員CFO丸岡智也は、当社の財務報告に係る内部統制の整備および運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備および運用しております。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであります。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止または発見することができない可能性があります。
財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2023年12月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しております。
当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備および運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行いました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社ならびに連結子会社および持分法適用会社について、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定いたしました。
財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的および質的影響の重要性を考慮して決定しており、当社および連結子会社2社・持分法適用関連会社2社を対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定いたしました。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、各事業拠点の前連結会計年度の売上高(連結会社間取引消去後)の金額が高い拠点から合算していき、前連結会計年度の連結売上高の概ね2/3に達した1事業拠点を「重要な事業拠点」といたしました。
選定した重要な事業拠点においては、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として売上高及び売掛金に至る業務プロセスを評価の対象といたしました。
さらに、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスやリスクが大きい取引を行っている事業または業務に係る業務プロセスを財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして評価対象に追加しております。
下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすことになり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
記
当社は、当社の会計監査人である有限責任 あずさ監査法人(以下「あずさ監査法人」といいます。)との間で、2023年12月期より本格的に立ち上げた新規事業であるEV充電事業において、当社グループが採用するSPCスキーム(以下「本スキーム」といいます。)におけるSPC(以下「本SPC」といいます。)を当社の連結範囲に含めるべきか否か、及び本SPCへの出資者が有する当社に対するプット・オプション(当社又は当社が指定する第三者に対する出資持分の買取請求権)の将来的な行使に備えて引当金の計上をすべきか否かについて協議をして参りました。
かかる協議を継続していく中で、あずさ監査法人より、当社からあずさ監査法人に対して本SPCの連結要否の検討に必要な情報が当初は十分に開示されておらず、追加的に開示された情報を踏まえると、本SPCを当社の連結範囲に含めるべきであるという結論に至った旨の連絡を受けました。これを受けて検討した結果、当社としては、あずさ監査法人の指摘を受け入れ、本SPCを連結範囲に含める修正をしました。
また、あずさ監査法人から、上記協議において、本スキームの遂行及び会計処理を行うに当たって、本SPCの連結要否の検討に必要な情報が当社取締役会等に適時かつ十分に報告又は共有がされていなかった等の内部統制上の問題点があるのではないかという指摘を受けたことを踏まえ、当社は、公平性を確保した調査により前提となる事実関係を明らかにするとともに、本SPCを非連結とした従来の会計処理(以下「本件会計処理」という。)の検討過程の検証、本件会計処理と類似する事案の存否、事実関係の調査及び評価、並びに内部統制上の課題を評価していただく必要性を認識し、2024年3月27日外部調査委員会を設置して調査を依頼し、2024年6月21日に同委員会から調査報告書を受領いたしました。
この他、新規事業であるEV充電事業の新規取引の発生や取引量の増加に伴い、会計論点を検討するための十分なリソースを確保できなかったことにより、当社と当社の連結子会社であるEVラボ株式会社(以下「EVラボ」といいます。)との間において一部各社の役割と照らし合わせて適切でない費用負担があったことなど、複数の会計処理の誤謬が発生しました。
当社グループにおいて、以下の通り、信頼性のある財務報告を実現するための内部統制が有効に機能しておりませんでした。
本SPCを連結範囲に含めるかどうかの判断に関する事項
(1)コンプライアンスを軽視した代表取締役及び一部の執行役員の姿勢
当社においては、役員(常勤・非常勤取締役並びに執行役員を含む)における株価との連動性が高い報酬体系を背景に、将来的なプライム市場への上場を目標として、売上確保のために本スキームを非連結で実施するインセンティブが強く生じている状況にありました。当社の代表取締役及び一部の執行役員においては、株価の上昇を強く志向する一方でコンプライアンスを軽視する姿勢が見られ、これらが、本スキームの実施という結論優先で検討が進む方向に拍車をかけておりました。
(2)実効性のある内部統制及びガバナンスが構築されず、代表取締役に対する十分な牽制・監督機能を果たすことができていなかったこと
当社においては、代表取締役に牽制を及ぼすことができる執行側の社内人材の不足により、代表取締役を牽制できる役割をもった執行側の人材や部署が十分に機能しておりませんでした。
また、金銭消費貸借契約やオプション行使条件等の重要なリスク要素について、未報告ないし説明の不足または欠如となり、取締役会及び監査役会が代表取締役に対する十分な監督機能を果たす機会を得られておりませんでした。
本スキームを推進したい代表取締役及び一部の執行役員を牽制する立場から検討を行う社内の法務コンプライアンス部門の関与が望まれたものの、社内の法務コンプライアンス態勢が脆弱であったため、そのような関与は行われておりませんでした。
(3)EV充電事業の事業リスクに対応し得る態勢の不足
EV充電事業に内在する課題として、EV充電事業が、電気自動車(EV)の販売動向に影響される一方で、EVの販売動向が、そのインフラである充電機器等の整備の程度に相互に影響されるため、事業の見通しに不確実性があり、その分、資金調達にも困難が伴い、本スキームのような新規性の高いスキームの組成を試みる、また、その際に出資者に対し何らかのリスク軽減措置をとるといった通例とは異なる対応が必要な事業であったことが挙げられます。このような非通例の取り組みにおいて、それが各種の法令・会計基準等との関係で問題にならないよう、当社として会計・法務コンプライアンス等の観点から十分な事前検討を行いつつ進めていく必要がありました。しかしながら、当社においては、それらの検討を十分に行えるだけの社内体制の整備が不十分であり、また、そのことにも起因して代表取締役及び一部の執行役員における本スキームの会計上のリスク認識は不十分でありました。
(4)代表取締役及び会計処理に関わる執行役員の会計上のリスク認識不足及び内部での情報共有不足
新規性の高い本スキームを採用するに当たっては、当然、会計上の判断の不確実性も高いものとなることが予想されるものの、代表取締役及び会計処理に関わる執行役員においては、本スキームの会計上のリスク認識が不十分であったことから、会計処理に関する諸論点につき、内部での慎重な事前相談、情報共有、相互の事後フォローが不十分となり、相互間で認識ギャップが生じることにつながりました。
その他の事項
上述の複数の会計処理の誤謬に関しては、それぞれ直接的な原因は異なるものの、これらの原因をより詳細に分析したところ、以下の通り共通の根本原因を特定しております。
(1)新規事業や非通例取引に関する会計処理の検討に際しては、会計処理に関わる執行役員が事業部と連携し、会計上の論点に関して共通認識を有したうえで慎重に議論を行い、必要に応じて専門家に相談を行った上で、当社としての判断とその論拠についてまとめたポジションペーパーの作成を徹底すべきところ、これがなされていなかったこと
(2)新規事業や既存事業の拡大に伴い、複雑な会計論点や作業量が増加する一方、CFO室では会計処理を十分に検討するための人的リソース及びダブルチェック・モニタリングのリソースが不足していたこと
(3)上述のとおり当社の代表取締役及び一部の執行役員におけるコンプライアンス意識を軽視する姿勢から、当時のCFOをはじめとした会計処理内容のレビューが不足していたこと
これらの事実は、当社グループの統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング体制等に不備があり、全社的な内部統制が機能しなかったことによるものと認識しております。また、全社的な観点で評価する決算・財務報告プロセスに関する内部統制にも不備があったと認識しております。当該内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。
上記の開示すべき重要な不備については、当事業年度末日以降に判明したため、当該開示すべき重要な不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、財務諸表及び連結財務諸表に適正に反映しております。
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、外部調査委員会の再発防止策の提言等に沿って、下記を含む再発防止策を策定・実行し、適正な内部統制の整備・運用を図ってまいります。
(1)経営トップをはじめとするコンプライアンス意識の向上
経営トップにおいては、コンプライアンスに係る認識を改めます。そして、役職員全員に対して、上場企業として求められるコンプライアンス意識を浸透させ、正しい行動を促す企業風土を醸成するため、経営理念や行動規範等を見直し、すべての役職員が守るべきコンプライアンスの基本的な考え方や指針を明文化するとともに、浸透の徹底を図るべく取り組みを継続的に行う態勢づくりを進めます。
具体的には、リスク・コンプライアンス委員会が主導して実効性あるコンプライアンスプログラムの立案・計画、推進を図るとともに、モニタリングを通して継続的に取り組んでまいります。また、役職員の意識変革を着実に推進するために、体系的な研修プログラムの計画と実施、社内のコンプライアンス意識の定着度や醸成を図るための定期的な意識調査を実施いたします。併せて、役職員の人事評価制度の見直しや内部通報制度の実効性を高めるための取組みを行ってまいります。
(2)取締役会及び監査役会の経営トップに対する監督機能の強化
取締役会でのリスクマネジメントに関する議論の高度化のため、オペレーションリスクのほか、事業戦略に起因するリスク等について、経営トップを含む執行サイド(社内取締役、執行役員)と監督サイド(社外取締役、監査役)間での徹底した議論を行うことで、執行サイドと監督サイドを含めた会社全体でリスク認識を共有し、経営課題と一体的に取り組めるようにすることで取締役会及び監査役会の経営トップに対する監督機能をより一層強化します。
そのために、執行サイドから監督サイドに対して、重要なリスク要因(法務上及び会計・経理上のリスクを含む)への対応についてその具体的内容や検討過程、対応状況を積極的に共有して参ります。
(3)権限分散による経営トップに対する牽制機能の強化
経営トップに対して、適切な牽制や抑制を図ることができる態勢上の見直しを図ることで経営トップの権限行使を適切に牽制あるいは抑制できる態勢を構築いたします。
具体的には、業務執行取締役を複数名選任し牽制態勢の実効性を担保するとともに、現在、経営トップに集中している権限を適切に分有させることや、執行サイドと社外役員との連携を強化いたします。
(4)法務コンプライアンス並びに会計・経理に関する社内情報連携の強化
法務コンプライアンス機能を強化するために、法務室を社内の重要なプロジェクトに前広に関与させ、かつその業務執行の独立性が尊重される態勢を併せて整備いたします。具体的には、法務室に法務コンプライアンスを担う専門的知見と相応の経験を有する人材の採用等を検討します。
会計・経理機能を強化するために、会計処理の検討やモニタリングを行うために必要な経理リソースの増強を図るとともに、既存の経理リソースを含め継続的な教育研修を行ってまいります。
加えて、金額的重要性が高まっている取引や契約内容が変更となっている取引の有無をCFO室・法務室及び事業部門双方が定期的に確認するとともに、グループ会社の設立やグループ会社との取引条件の決定に際しては、CFO室・法務室及び事業部門で会計処理や契約関係を整理し、その共通認識に基づいたポジションペーパーを作成した上で、重要性に応じて外部の専門家のチェックを経たうえでCFO・法務責任者を含む執行サイド並びに監督サイドがこのポジションペーパーをレビューして会計処理の妥当性を確認する態勢を整備します。
これらの態勢整備及びその他の再発防止措置を講じた上で会計監査人との十分な信頼関係を構築し、コミュニケーションの充実を図ります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。