第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

 当社グループは、第71期(2019年2月期)から第76期(2024年2月期)連結会計年度において、営業損失を計上しておりました。当第1四半期連結累計期間においても営業損失が続く中、取引金融機関からは借入金元本の返済猶予を受けており、継続して借入金弁済条件の変更交渉を行っております。

 これらの状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループは、当該状況を解消すべく、以下の対応策を継続して実行に移しております。

①卸売・小売事業については、

・製品の品質は維持向上を図りながら、パターン・縫製仕様の合理化を進め、よりお買い求めやすい販売価格で、売れ筋のトレンドを押さえた新作デザインを展開し、幅広いお客様層へ訴求できる魅力ある新商品の提供に努めていきます。

・百貨店、直営店売場など店頭VP(ビジュアルプレゼンテーション)は、顧客向けだけでなく、ラピーヌ商品の未購買消費者に向けてのアピールを強化し、新顧客の獲得、増大を図っております。また、上顧客への来促アプローチを積極的に実行しております。

・製造、仕入額のコントロールとジャストインタイムの納期コントロールによる在庫リスクの低減に努めております。

・製造原価の低減による適正粗利確保の取り組みを推し進めるとともに、引き続き固定経費の徹底的削減を継続して、売上高の維持拡大と安定的な営業利益を確保できる体制を整えてまいります。

②ラピーヌ夢ファーム株式会社の福祉事業については、

葉もの野菜の水耕栽培、土耕栽培野菜の選定と生産性向上を進めるとともに、施設利用者の作業効率アップに資する教育訓練に努め、営業利益の創出を実現できる体制を整えてまいります。

③資金の確保については、

製造原価の低減、販売費及び一般管理費削減の継続的取り組み、取引金融機関への借入元本返済猶予の依頼、政府による緊急経済対策に基づく各種税金及び社会保険料の納付猶予制度などの利用により、当第1四半期連結会計期間末における現金及び預金は13億26百万円と、当面の事業継続に必要な資金を確保しております。今後も同様の取り組みを継続するとともに、取引金融機関との良好な関係を維持しつつ、継続的に支援いただくための協議を行ってまいります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナ感染症の収束を受けて社会経済活動の正常化が徐々に進み、企業収益の改善や個人消費の持ち直しの動きもあり緩やかな回復基調を辿りました。

 その一方、長く続く円安傾向から輸入価格高騰による物価上昇、原材料・エネルギー価格の高止まりが続く中、日銀のマイナス金利政策解除や欧米各国の金融引き締め策の影響から経済環境は厳しさが残ると思われます。

 当アパレル業界では、アフターコロナの人流回復やインバウンド需要により市場環境は堅調に推移すると思われる反面、物価高騰の影響から、ミセス層を中心とした消費者の衣料品消費マインドは慎重さが続くものと思われ、依然として厳しい状況が続いております。

 このような状況のもと当社グループは、生活者の価値観の変化、多様化に対応し、市場に適した価格での供給に取り組むことにより、販売数量のアップを図るとともに、適正利益の確保に努め、厳しい消費環境に対処してまいりました。また、固定費や変動費の抑制、合理化策を継続してまいりました。

 これらの結果、当第1四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて34百万円増加し、34億70百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末に比べ25百万円の減少となり、17億84百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加47百万円などがあった反面、商品及び製品の減少49百万円などがあったことによります。

 固定資産は前連結会計年度末に比べ60百万円の増加となり、16億86百万円となりました。これは主に、投資有価証券の増加48百万円などがあったことによります。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べて93百万円減少し、24億23百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ93百万円減少し、13億72百万円となりました。これは主に短期借入金の減少47百万円、支払手形及び買掛金の減少45百万円などがあったことによります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べて0百万円減少し、10億51百万円となりました。これは主に繰延税金負債の増加6百万円があった反面、長期借入金の減少7百万円などがあったことによります。

 また、純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1億28百万円増加し、10億46百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加91百万円、有価証券評価差額金の増加40百万円などがあったことによります。

 

b.経営成績

 当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は5億45百万円(前年同期比25.4%減)となりました。損益面におきましては、販売費及び一般管理費の抑制に努めましたものの、営業損益は1億9百万円の損失(前年同期は8百万円の利益)、経常損益は雇用調整助成金ほか助成金収入2億8百万円などを計上し93百万円の利益(前年同期比889.3%増)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損益は91百万円の利益(前年同期比1211.9%増)となりました。

 

 セグメント別の経営成績の概要は次のとおりであります。

<卸売事業>

 百貨店販売事業においては、既存顧客層の高齢化、若年層の消費多様化など、衣料品需要が減退する市場環境に対応して、消費者がお買い求めやすい商品価格に設定して集客力を高め、売上を回復することに取り組んでまいりました。顧客向けだけでなく、ラピーヌ商品の未購買消費者に向けてのアピールを強化し、新顧客の獲得、増大を図っております。上顧客へは来促アプローチを積極的に実行しております。

 また、従来の品質を保ちつつ、仕入原価率を抑制するために、少量多品種生産であっても市場に適した価格での供給を維持して粗利益率の改善を図ることを継続しております。

 専門店販売事業においては、取引条件や不採算取引の見直しを継続するとともに、取引先単位の売上高確保に取り組み、収益面の改善に努めてまいりました。また受注リードタイムを短くし、リアルシーズン化を図ることで受注精度向上、店頭消化促進に努めるとともに、コロナ後の新たなアパレル卸として新規・新販路開拓に取り組んでまいりました。

 その結果、当事業の当第1四半期連結累計期間の売上高は2億40百万円(前年同期比33.5%減)となり、営業損益は99百万円の損失(前年同期は46百万円の損失)となりました。

<小売事業>

 卸売事業と同様、店頭の売上拡大が見込みにくい中、立地別、既存店舗単位の損益改善を第一優先として、お客様ニーズに合致する魅力ある品ぞろえ、販売促進策の実行により店頭活性化を図り、新規お客様の獲得に努めて、損益改善に注力してまいりました。

 その結果、当事業の当第1四半期連結累計期間の売上高は3億2百万円(前年同期比17.8%減)となり、営業損益は0百万円の損失(前年同期は64百万円の利益)となりました。

 直営店数につきましては、当第1四半期連結累計期間中に、新規出店、退店はなく、当第1四半期連結会計期間末の運営店舗数は当社グループ合計で32店です。

<福祉事業>

 当社グループの社会福祉への取組みとして、障害者総合支援法に基づく「障害者福祉サービス事業」と農地法に基づく農業委員会の認可を受けた「野菜の生産及び販売事業」を両立させる事業を行う会社として2012年にラピーヌ夢ファーム株式会社を設立し事業を行っております。事業規模としては、連結売上高に占める割合は小さいものの、水耕栽培に加えて土耕栽培にも注力し、引き続き採算性改善に努めております。

 当事業の当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高3百万円(前年同期比26.8%増)となり、営業損益は9百万円の損失(前年同期は9百万円の損失)となりました。

 なお、福祉事業に関しましては、就労支援事業運営費収入6百万円の営業外収益などがあり当第1四半期連結累計期間の四半期純損失は2百万円となりました。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3) 研究開発活動

 該当事項はありません。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因

  当社グループは、消費動向の変化、気象状況や自然災害、感染症の拡大等のリスク項目をはじめとする、様々なリスクが当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。当社グループでは、消費動向に留意しつつ、魅力的な製品の提供に努め、外部や事業環境の変化にすばやく対応するための情報収集、人材育成や組織体制の整備、内部統制強化等により、経営成績に影響を与える可能性のあるリスクの回避及び発生を抑え、適切な対応に努めてまいります。

 

(5) 資金の財源及び資金の流動性についての分析

  当社グループの事業活動における必要資金は、当社グループ製品の製造に係る原材料費等の費用や販売費及び一般管理費等の運転資金、直営店舗及び百貨店売場等の開設及びリニューアルに係る投資資金が主なものであります。

  運転資金及び投資資金の調達につきましては、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。これらにより、資金の流動性は十分に確保されているものと判断しております。

  また、当第1四半期連結会計期間末における有利子負債の残高は15億88百万円となっております。

 

3【経営上の重要な契約等】

  当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。