当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載
した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
(継続企業の前提に関する重要事象等)
当社グループでは、前連結会計年度まで継続して営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、前連結会計年度末において、連結貸借対照表上1,479,226千円の債務超過となりました。2024年2月の第三者割当増資により当第1四半期連結会計期間末においては債務超過を解消しておりますが、当第1四半期連結累計期間においても、継続して営業損失748,588千円、経常損失134,026千円及び親会社株主に帰属する四半期純損失371,022千円を計上しております。
また、一部の取引金融機関からの借入については、期限の利益喪失に関わる条項を適用する旨の通知を受けていないものの、財務制限条項に抵触しております。
さらに、2024年6月27日付「外部調査委員会の調査報告書の公表に関するお知らせ」のとおり、本調査の結果認められた問題点として、「EV充電事業」の事業リスクに対応し得る態勢の不足、会計監査人との適切なコミュニケーションの不足、コンプライアンスを軽視した経営トップらの姿勢、実効性のある内部統制及びガバナンスが構築されず十分な牽制・監督機能を果たすことができていなかったことの指摘を受けております。かかる調査報告書の公表の結果として、利害関係者との関係性の悪化や会社のブランド力の毀損が生じる可能性があります。
これらの事象又は状況は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に該当しております。
当該事象又は状況を解消すべく、事業面では、「EV充電事業」において競争環境が厳しくなっている中、過去2年間のノウハウ蓄積等により広告宣伝活動の効率的な運用を進め、収益力の強化を目指します。加えて、「エネルギープラットフォーム事業」や「エネルギーデータ事業」における安定的なセグメント営業利益を継続的に増加させていくための取り組みを進めております。
また、一部の借入金は財務制限条項に抵触しておりますが、取引金融機関と資金計画等の協議を行い、引き続き取引金融機関と緊密な関係を維持し、継続的な支援をいただけるよう努めております。なお、当社は、2024年2月26日にJICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合を割当先とする新株式を発行して総額3,999,899千円の資金を調達しており、「EV充電事業」における投資に当面必要な資金を確保しております。
さらに、当社は、外部調査委員会の調査報告書の再発防止策の提言に沿って再発防止策を策定し、コンプライアンス意識の向上を図ることにより、信頼回復を図ってまいります。
以上の施策をもって、必要な資金の確保及び維持を図っておりますが、「EV充電事業」において競争環境が厳しくなっている中で収益力を強化することや取引金融機関からの継続的な支援を得る可能性は未だ不透明であること、「第4経理の状況 1四半期連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、取引金融機関の理解を得たうえで一部の取引金融機関からの早期返済の要求に応じたこと、調査報告書の公表の結果を受けて各種利害関係者との関係性や当社グループのブランド力が毀損する可能性があること、及び当社の代表取締役城口洋平の当社グループにおける関与が困難となる場合は事業運営に支障が生じる可能性があることを踏まえ、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、ウィズコロナ社会における新しい生活様式が浸透する中、徐々に個人消費や企業収益の持ち直しの動きがみられました。景気の先行きについては、世界的な金融引き締め等が続く中で、高水準で推移する資源価格や原材料価格、円安による物価の上昇により、依然として不透明な状況となっております。
当社グループが属するエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、ロシア・ウクライナ情勢の悪化以降、資源価格高騰の影響を受けた電力会社の財務状況の悪化が見られますが、電気料金の値上げや卸電力市場価格の落ち着きに伴い、一部電力会社においてユーザー獲得に前向きな動きが見られる状況です。
長期的な観点でのエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、引き続きグリーントランスフォーメーション(GX)が進展しました。日本政府による2022年12月22日の第5回GX実行会議において「GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~」が掲示され、150兆円のGX投資を官民で実現していくため、日本政府としても20兆円規模の先行投資支援を実行する旨の意見表明がなされる中、こうしたGXの動きの中心となる電力業界においては、2016年4月の電力の小売全面自由化以降、当社のベース市場である電力販売額は約18兆円(注1)と拡大しております。また、乗用車の新車販売における電気自動車(EV)を始めとした電動車比率を2035年までに100%とする目標が掲げられる(注2)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要が高まることが見込まれております。
このような環境のもと、当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」においては、「エネチェンジ」(家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム)及び「エネチェンジBiz」(法人向け電力・ガス切替プラットフォーム)の2サービスについて、電力会社との連携を強化しつつ、継続的な新規顧客獲得及び既存顧客のサポートに注力してまいりました。
「エネルギーデータ事業」においては、主に電力ガス事業者向けにクラウド型で提供する、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」及び家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等のサービスにつき、継続的な新規機能開発と営業強化に努めてまいりました。とりわけ、電力需給ひっ迫に伴う節電の社会的要請の高まりにより、電力需要家に節電量に応じたインセンティブを提供する、デマンドレスポンスサービスの営業促進に注力しました。
「EV充電事業」においては、「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」の充電インフラ整備事業に対応したチャージ2及びマンション向けのモデルであるチャージ3の積極的な営業展開や、タクシー・エレベーター広告等の積極的な広告宣伝を開始するなど、EV充電分野における当社のシェア向上に向けた積極的な投資を継続しました。また株式会社e-Mobility Powerとの提携を中心としてEVユーザーの更なる利便性の向上に取り組んでまいりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の当社グループの経営成績は、売上高1,356,630千円(前年同期比27.4%増)、営業損失748,588千円(前年同期は営業損失418,305千円)、経常損失134,026千円(前年同期は経常損失424,523千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は371,022千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失425,636千円)となっております。
なお、EV充電事業における充電インフラ整備に係る補助金受贈益698,681千円を営業外収益に計上しております。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
①エネルギープラットフォーム事業
「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭向け・法人向け共に切替件数が堅調に推移した結果、継続報酬対象ユーザー数は前年同四半期比29.9%増の608,108件となりました。また電力価格の高騰や電力各社の業績回復により、当四半期のARPU(注3)(ストック収益)は632円となり、ARPU(フロー収益)は19,161円となりました。以上の結果、セグメント売上高は1,054,074千円(前年同期比29.8%増)、セグメント利益は36,991千円(前年同期比76.9%減)となりました。
②エネルギーデータ事業
「エネルギーデータ事業」においては、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」、家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等の既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入及びプロダクト開発を進めた結果、顧客数は前年同四半期比3.3%減の59社となりました。また、既存顧客へのクロスセルにより、当四半期のARPU(ストック収益)は前年同四半期比13.3%増の3,695千円、ARPU(フロー収益)は前年同四半期比40.3%増の966千円となりました。以上の結果、セグメント売上高は275,599千円(前年同期比14.0%増)、セグメント利益は62,033千円(前年同期比4.3%減)となりました。
③EV充電事業
「EV充電事業」においては、事業の立ち上げと推進のためにエンジニア・セールス人員を中心とした採用の拡大による組織体制の構築や、テレビCM等の積極的なマーケティングの実施等先行投資を進めた結果、当社が注力する目的地充電(6kw以上)の設置口数は2024年3月末時点で累計2,368口(注4)となりました。また、パートナー連携を拡大するなど、更なる事業拡大を見据えた施策に取り組んでまいりました。以上の結果、セグメント売上高は26,955千円(前年同期比149.5%増)、セグメント損失は618,616千円(前年同期はセグメント損失474,022千円)となりました。
(注)1.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」の電力販売額より算出。
2.経済産業省「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月22日)、電動車は電気自動車(EV)、プラグイ ンハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)を含む。
3.Average Revenue Per Userの略称であり、1ユーザー当たりの平均収益を意味する。
4.EVsmartの「EV充電器の統計情報」より6kW充電スポットのみを抽出して作成(基礎充電は含まず)
(2)財政状態の分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は7,742,460千円となり、前連結会計年度末に比べ4,104,839千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が4,135,705千円増加したことによるものです。
また、当第1四半期連結会計期間末における固定資産は2,075,357千円となり、前連結会計年度末に比べ148,171千円増加いたしました。これは主にその他(長期貸付金)が129,990千円増加したことによるものです。
この結果、総資産は、9,817,818千円となり、前連結会計年度末に比べ4,253,010千円増加いたしました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は4,162,634千円となり、前連結会計年度末に比べ596,723千円増加いたしました。これは主に短期借入金が452,844千円増加したことによるものです。
また、当第1四半期連結会計期間末における固定負債は3,473,464千円となり、前連結会計年度末に比べ4,658千円減少いたしました。これは主に長期リース債務が27,952千円、長期前受収益が33,413千円増加した一方、長期借入金が49,499千円、長期未払金が19,186千円減少したことによるものです。
この結果、負債合計は、7,636,099千円となり、前連結会計年度末に比べ592,064千円増加いたしました。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は2,181,719千円となり、前連結会計年度末に比べ3,660,946千円増加いたしました。これは主に資本剰余金が4,039,886千円増加した一方、親会社株主に帰属する四半期純損失が371,022千円計上されたことにより減少したことによるものです
この結果、自己資本比率は21.9%(前連結会計年度末は△26.7%)となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(第三者割当による新株式の発行)
当社は、2024年2月9日開催の取締役会において、JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合を割当予定先とする第三者割当による新株式を発行することを決議し、株式引受契約書および総数引受契約書を締結しました。その概要は次のとおりであります。
(1)発行する株式の種類及び数 :3,784,200株
(2)発行価格 :1株につき1,057円
(3)発行価格の総額 :3,999,899千円
(4)資本組入額 :1株につき528.5円
(5)資本組入額の総額 :1,999,949千円
(6)募集又は割当方法 :第三者割当増資
(7)割当先 :JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合
(8)資金の使途 :今後の成長に向けた投資資金として
① 「EV充電事業」のプロモーション強化及び事業運営体制強化のための投資に
係る資金
② EV充電インフラのネットワーク構築のための充電機器購入に係る運転資金
③ 「EV充電事業」の将来成長に資する投資資金
なお、当社は、2024年3月27日付開示の「外部調査委員会の設置及び2023年12月期有価証券報告書の提出期限延長申請の検討に関するお知らせ」のとおり、EV充電インフラ1号合同会社を当社グループの連結範囲に含めるための対応を行うことといたしました。具体的には、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」で定められている支配力基準に基づく実質的な支配があるものと評価して、当社の連結範囲に含めることといたしました。
上記株式引受契約書においては、当社の連結財務諸表の正確性等に関する表明保証条項が規定されており、上記のとおりEV充電インフラ1号合同会社を当社グループの連結範囲に含めることに関してJICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合から表明保証条項に抵触するとして損害賠償請求を受けるリスクが理論上ありますが、当社は、JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合との間で、現時点では表明保証条項を理由とする損害賠償請求の予定はない旨を確認しております。