当社は、「環境との共生」、「品質優先」、「人間性尊重」を経営の基本理念とし、企業の発展を通じて社会に貢献するとともに、顧客の信頼に応え、職場の活性化を通じて株主の皆様の投資期待に応えるべく常に企業経営の強化をめざしております。
当社の経営理念は下記の3項目であります。
① 環境との共生のもと企業の発展を通じて社会に貢献する
② 品質優先に徹し、顧客の信頼に応える
③ 人間性を尊重し、夢と活力のある職場を創造する
当社は、「基盤強化」、「永続的発展」、「企業風土改革」を経営戦略の柱とし、その実現のため、2020年度を初年度とする5ヵ年のグローバル中期経営方針を策定いたしました。経営方針の具体的内容は次のとおりであります。
<2020-2024年度 グローバル中期経営方針>
「基盤強化」・・・一歩ずつ着実に「安全」「安心」「安定」が実現できる企業づくりをする
① 総力をあげて職場環境の改善と改革を進めて、真の「安全第一」企業を実現する
② より品質改革に集中して、お客様の「安心と信頼」を誇りにする企業を目指す
③ 仕事の効率化と原価改善に努めて、「安定した成果と自信」のみなぎる企業にする
「永続的発展」・・・NITTAN Challenge 10の達成に向かう
① 総ての事業の付加価値アップを追求し、事業の競争力と将来性を伸ばす
② 新たな発想、新たな研究、新たなチームワークで、「新たな開発」を進める
③ NPMを改善と革新の武器にして「一歩先」の、「一段上」の仕事に進化させる
「企業風土改革」・・・NITTAN Challenge 80に相応しい企業文化を築いて行く
① たゆまぬ改良と開発、そして、豊かな緑化活動で、地域環境の保護に寄与する
② 法令と法規を守り、モラルとマナーを律して、秩序と健康みなぎる企業体質にする
③ 教育を強化して、個性と能力を伸ばし、認め合う研鑽土壌に変えて行く
※NITTAN Challenge 80:設立80周年に向け、「どのような変化にも、どのようなニーズにも対応出来る工場
への変革」を目指す当社ビジョン
当社グループを取り巻く事業環境においては、カーボンニュートラルに向け、電動化やEV化への世界的な期待感の高まりや各国における環境規制の強化などの激変する市場環境への対応に加え、バイオ・合成燃料等の新燃料対応の製品開発など既存事業における新しい展開も予想される中、多方面の開発を続けながら自社の利益を確保していく必要があり、引き続き、難しい舵取りが続くことが確実となっております。
このような「自動車産業におけるパラダイムシフト」ともいえるような大変革の時代に突入した中においても、当社グループの強みを生かしながら、既存製品の品質向上やコスト低減などで競争力を高めて市場浸透を図るとともに、当社グループの中長期経営VISIONである「NITTAN Challenge 10(以下、「NC10」といいます。)」に基づき、高付加価値な新製品の開発や次世代へ対応できる新事業等を実現させ、「NITTANブランド」を維持・発展させてまいります。
次年度につきましては、「基盤強化」、「永続的発展」、「企業風土改革」を柱とする下記のグローバル経営方針を掲げ、その実現に向けた施策や取り組みを展開してまいります。
<2023年度 グローバル経営方針>
「基盤強化」・・・ 「安全」「安心」「安定」を実現する
① 職場の危険要素を徹底的に排除し、災害ゼロを実現する
② 一人ひとりの品質意識を高め、お客様に選んでもらえるNITTANグループになる
③ NPM(※1)による原価改善と情報セキュリティー強化をもって、企業の安定感を高める
「永続的発展」 ・・・ 「モノづくり」から「価値づくり」への発想の転換
① NC10 VISIONⅠ(※2)アイテムの付加価値向上策を徹底的に追求し、成長事業とする
② NC10 VISIONⅡ(※3)の開発スピードを上げ、新規事業の位置づけにする
③ NCN(※4)とSDGsなどのCSRを愚直に実践し、持続的な企業成長に繋ぐ
「企業風土改革」 ・・・ 苦境で企業は変わる、強くなる
① 事業環境の変化をシンプルに捉え、スピーディーに対応する
② 「人づくり」はモノづくりの土台、技術力と倫理意識を兼備した人材を育てる
③ 従業員の健康増進活動を展開し、心も体も健やかにする
※1 ・・・ NPMは、「NITTAN Total Productive Management」の略称で、当社グループで展開している生
産システム効率化を極限まで追求する企業体質づくりを目標とするNITTAN流の改善活動です。
※2 ・・・ NC10 VISIONⅠは、ICE領域において既存事業の付加価値追求を目指す取り組みです。
※3 ・・・ NC10 VISIONⅡは、EV領域において新規事業化や商品化によるSDGsへの貢献を目指す取り組み
です。
※4 ・・・ NCNは、NITTANカーボンニュートラルの略称で、当社グループの事業活動で発生する温室効果
ガス排出量の削減を目指す取り組みです。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社は、企業理念の実践を通じて、コーポレートスローガン「CHALLENGE・CREATION・SPEED(挑戦・創造・スピード)」のもと、時代のニーズを先取りした高品質な製品・技術やアイディアを提供し続けることが社会課題の解決につながり、ひいては社会の豊かさの追求につながると考えております。
当社グループは全社的なリスクとして、「外部環境リスク」、「経営プロセスリスク」、「支援プロセスリスク」、「基幹プロセスリスク」のカテゴリーに分けて管理しております。気候変動を含むサステナビリティに関するリスクにつきましては、後述するガバナンス委員会にて社内関係部署が行った評価結果を定期的に検討及び審議し、リスクの把握と適切な対応を決定のうえ取締役会へ報告することで管理する体制としております。具体的なリスク及び対応策につきましては、
(2)重要なサステナビリティ項目
ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
① 環境への取り組み
② 社会への取り組み
③ ガバナンスへの取り組み
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
① 環境への取り組み ~NITTAN Carbon Neutralを通じ、CO2削減を積極的に推進~
当社は、企業理念の冒頭に、「環境との共生のもと企業の発展を通じて社会に貢献する」を掲げており、持続的な事業活動を行うためには、環境保全への取り組みが重要課題であると捉えております。この社会的な課題を解決するため、これまで省資源化、廃棄物やエネルギーの削減に取り組んでまいりました。
また、地球温暖化対策への社会的要請の高まりを受け、自社の事業活動で発生する温室効果ガス排出量の削減を宣言し、環境方針を策定・実行するだけでなく、新たな取り組みとして「NITTANカーボンニュートラル」(以下、NCNという。)を始動いたしました。NCNは、当社が新たな企業価値創造を実現するためにも必要な取り組みであると考えております。
<環境方針>
グローバルな事業活動を通じて地球環境保護及び地域社会との共生を果たしていきます。そして、自律した企業人として積極的に地域社会への貢献、環境保護への支援協力活動に取り組みます。更に、NITTAN Carbon Neutralの推進により、脱炭素社会を目指すことで、地球環境保護に貢献します。
1. 環境保護に関する活動は、技術的、経済的に広く、真摯に取り組み、健全な環境の維持、向上に努める。
2. CO2を主とする温室効果ガス削減に寄与する技術開発や商品化を推進する。
3. ものづくり改善と革新を進め、省エネ、省資源、省廃棄を加速する。
4. 環境関連法令や規制、国際社会における合意等を遵守し、環境保護の意義を浸透させる。
5. 環境汚染の防止に徹し、地域環境保全と企業のESGを遂行する。
6. 地球環境保護を目的に、目標・施策を定め継続的改善を推進する。
7. 環境教育・広報活動を通じ、地球環境問題・地域社会との共存の意識向上を図る。
8. この「環境方針」を、一般に開示し、地域社会との共生を図る。
当社は、上記記載の環境方針に基づき、「環境保護」、「環境負荷低減」、「環境啓蒙」の3つを主軸に、取り組みを実施しております。
「環境保護活動」
1. 環境保護活動及び法規制の遵守
地域環境汚染の予防
健全な環境維持活動の実践
2. 環境に配慮した製品づくり及び技術開発
環境負荷物質の低減
省資源型の製品開発
省エネ・省資源に寄与する製品開発を積極的に取り組み、環境保護につなげる。
3. 環境保全を意識した業務の遂行
クリーン&グリーン活動を展開し、環境負荷物質の使用を制限する。
環境美化活動を積極的に参加し、地域環境保全に努める。
「環境負荷低減活動」
当社の環境方針に掲げているネットシェイプ活動を積極的に展開し、材料・エネルギー使用量を削減する。また、3R活動(リデュース、リユース、リサイクル)を徹底し、廃棄物の再資源化を図る。
「環境啓蒙活動」
環境保全意識の高揚を目的に全従業員に対し、環境保護に関する教育を実施し、業務に関連した環境活動を認識させ、環境マネジメントシステムの定着と運用を実施する。
<環境マネジメントシステム>
当社は、環境国際規格である「ISO14001」を認証取得し、国内製造拠点において、生産活動を進める上での「環境負荷」を、製品開発から生産・出荷に至るまで徹底的に洗い出し、継続的改善を進め、環境負荷低減に取り組んでおります。
また、当社は、社長を最高責任者とする推進組織と環境委員会等により、環境マネジメントシステムに基づく環境改善活動も推進しております。
<NCN>
2022年4月より全社をあげてNCN活動を本格始動しております。日本政府が掲げた「2030年でCO2排出量を46%以上削減」の達成を指針とし、排出枠取引等を含め、CO2排出量50%削減を目標としております。現在、当該活動の軸となる各スコープ、カテゴリーごとのデータ収集を進め基準値の検証やCO2削減のロードマップ策定を進めており、今後の進捗、具体的な施策やロードマップ等については、活動の進捗に合わせホームページ等に適宜公表する予定であります。
② 社会への取り組み ~“NITTANグループ”らしい文化と社会の構築実現へ~
ものづくり企業である当社にとって、「品質」は、サステナビリティを実践する上での「生命線」であると考え、品質保証の基本方針として、「品質優先」を掲げております。顧客の品質(製品、納期、コスト、サービス)への期待やニーズを理解し、法令・規制を遵守し顧客の満足度を満たし、社会的責任を果たすことを目指しております。この基本方針を実現させるため、品質方針を定め、当社グループ一丸となって取り組みを推進しております。
また、企業を永続的に発展させるため、従業員、顧客のみならず地域社会との共生が必要不可欠であると考えております。そこで、環境にやさしい製品・技術の提供を実践するだけでなく、地域社会と連携し環境保護活動の一翼を担えるよう努め、地域環境との調和及び地域社会との共生を大切にしております。
<品質方針>
1. 全従業員は、一貫して品質優先に徹し、適用される要求事項及び法令・規制への適合を維持すると共に、
顧客の要望を満足させる。
2. 品質保証体制を整備し、維持するとともに、継続的改善により向上させる。
3. 挑戦と創造のできる人づくりに努める。
4. 安全で快適な職場づくりを目指す。
<品質マネジメントシステム>
当社は、上記記載の独自の品質方針に加え、品質マネジメントシステムの国際規格である「ISO9001」及び自動車産業に特化した品質マネジメントシステムの国際規格である「IATF16949」を認証取得し、当該規格に基づいた品質マネジメントシステムを構築、運用しております。
また、当社はグローバルに製造拠点を展開しておりますが、各拠点に最適な作業内容・手順を十分に検証し、採用・運用しております。
<地域環境・地域社会との共生>
近隣住民や従業員家族を招き、毎年夏に納涼祭を本社工場及び山陽工場でそれぞれ開催しております。また、その他にも寄付を通じた地域社会活動の支援等、地域に根差した取り組みを行っております。
特に、当社は、アジア・北米・欧州の海外9か国で、地域社会の人々に支えられ、長年事業活動を行ってまいりました。海外においても子会社を通じ、各地で社会貢献活動を推進しております。
③ ガバナンスへの取り組み ~経営の健全性、透明性、効率性の確保に向けて~
当社は、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図るために、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方とその枠組み、運営に係る方針を示すものとして、「コーポレート・ガバナンスに関する基本方針」を制定しております。
また、当社は、企業理念の実践を通じ、社会の要請に応えられる企業を目指すには、各国・地域の法令遵守に加え、従業員一人ひとりが、人間として求められる道徳心、倫理観を養うように努力し、常に良識と責任を持った行動をすることが必要であると考えております。この基本的な考え方とその枠組みを示す方針として、「NITTANグループ・グローバル行動規範」を制定しております。
<コーポレート・ガバナンス体制の概要>
当社は、監査役会設置会社であり、会社の機関として株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人を設置しております。取締役会の経営監督機能の客観性及び中立性を一層高めるために、一般株主と利益相反のおそれのない独立社外取締役を2名選任しております。
また、独立社外取締役が半数を占める指名・報酬諮問委員会を設置し、役員指名や報酬決定等について取締役会へ助言及び提言を行っております。取締役の監督機能と業務執行を分離し、迅速かつ的確な意思決定を行うために執行役員制度も導入しております。監査役は、内部監査部門と必要に応じ随時、情報・意見交換を行うことにより相互連携を図っており、また会計監査人及び取締役と定期的な意見交換を実施し、適切、適正な監査を行うことでコーポレート・ガバナンスの充実を推進しております。
<コンプライアンス体制の概要>
当社は、グローバル・コンプライアンス・プログラムを策定し、経営トップがコンプライアンスに関するコミットメントを行い、当社グループ全体にわたる管理体制を構築しております。コンプライアンス意識の向上と法令遵守を保証する仕組みとして、ガバナンス委員会を設置しております。当該委員会は、当社の取締役(社内)及び監査役(社内)で構成されております。関係会社及び各部門にコンプライアンス責任者を設置することで、責任の明確化、きめ細かな管理体制構築を推進しております。内部監査部門であるコーポレート・ガバナンス部を社長直轄の独立部門として設置し、定期的に関係会社及び各部門に対し監査を行うことで効率的な内部監査を実現しております。当社グループの全ての役員及び従業員が利用可能な内部通報制度を導入し、コンプライアンス違反等に迅速かつ適切な対応を図ることができる体制を構築し、推進しております。
<ガバナンス委員会>
当社は、社長が任命するグローバル・コンプライアンス責任者を委員長とするガバナンス委員会を設置し、グローバルベースで、関係会社及び各部門にコンプライアンスの責任者を設けるなどし、推進体制を構築しております。なお、関係会社及び各部門は自ら定めた推進計画につき定期的に進捗報告を行うことに加え、当社の内部監査部門が監査を行い、当該委員会で審議を行った上で、委員長が取締役会及び監査役会へ報告を行っております。また、当該委員会にグローバル事務局を設け、円滑な運営を図るとともに啓蒙活動にも注力しております。
<グループ内部通報制度>
法令違反・不正行為・ハラスメント行為に対して、当社グループに従事する役員及び従業員が通報できるグループ内部通報窓口を設置しており、通報窓口は社内「コーポレート・ガバナンス部」及び社外「外部の法律事務所の弁護士」としております。通報手段は、「電話」「電子メール」「郵便」「FAX」の複数を設けることで利便性を確保し、また通報者保護も周知しております。国外からの通報手段は電子メールに限るものとしておりますが、使用言語は、日本語、英語、中国語とすることで、グローバルでの運用を可能としております。なお、内部通報については、定期的に取締役会に報告し、取り組みのモニタリングを行っております。
(3)人的資本
① 人材育成方針
当社は「基盤強化」「永続的発展」そして「企業風土改革」を方針の三本柱と定め、企業及びグループ統治に努めてきました。その核にあるのは、“ひと”であり、“ひと=従業員”の成長が企業の発展と成長に繋がるという考えに基づき、コーポレートスローガンである「挑戦 × 創造 ×スピード」を体現し、“常に努力をし続け、感謝の気持ち・謙虚な姿勢・情熱”をあわせ持つ「誠実」な「NITTAN人材」の育成を進めております。
<戦略>
1. 多様な人材の活躍推進
当社では、多様な人材の活躍が中長期的な企業価値向上に繋がるものと捉えております。女性や外国籍社員の管理職登用に向けた育成や、女性の製造現場への積極的な配属の展開、正社員登用制度の拡充、キャリア人材やハンディキャップ人材の積極的な採用等、多様性を視野に入れた人材の確保と育成を推進していきます。
2. マルチスキル人材・専門人材の育成
職場異動を通じた育成やリスキリングによる新たなスキルの獲得を支援し、マルチスキルを備えた人材を育成していきます。また、従業員の適性を見極めながら、特定の専門領域に特化した経験を積んだ専門人材の育成も進めていきます。
3. 中核人材・後継者の育成
持続的な成長を実現するために、抜擢制度による若手人材へのチャレンジングな機会の提供やリーダーシップ研修等の選抜型教育による育成を強化し、計画的に中核人材や次世代を担う後継者の育成を進めていきます。
4. 従業員の自律的なキャリア形成の支援
従業員の自律的な意識を醸成するために、従業員が自律的に自身のキャリアを考え、自らの意思で希望する仕事や職場や伸ばしていきたい能力等について申請できる制度や、社内における人材の募集に対し自ら手を挙げて希望する職場や業務へ挑戦できる制度を整備していきます。
② 社内環境整備に関する方針
当社は経営理念で「人間性を尊重し、夢と活力ある職場を創造する」としており、人権を尊重し、差別のない多様な人材が活躍できる職場環境の確保に取り組んでおります。また、「安全」「安心」「安定」が実現できる企業づくりを進めており、職場の安全と従業員の心身の健康を守ることで、組織活力と創造力を最大化し、企業価値向上に繋げていきます。
<戦略>
1. 健康経営の推進
社外専門家による健康づくりセミナーの開催、産官学連携に基づく健康志向の高い社食提供・健康意識向上施策を実施していきます。また、産業医面談による健康管理や社外の臨床心理士・外部カウンセラーによるメンタルヘルスケアも推進しております。
2. 安全な職場環境の整備
社外の専門家を交えた定期的な安全教育や安全パトロールを実施し、職場における危険個所の見える化、労働災害や火災の未然防止活動、作業者の身体的負荷軽減活動等、安全で働きやすい職場環境作りに努めております。
3. 過重労働の防止
毎月、労働組合との時間外労働に関する協議の実施や、会社による定期的な労働時間のモニタリングにより、時間外労働の抑制を進めております。また、労使で一体となった有給休暇取得の推進等を通じて、ワークライフバランスの確保に努めております。
4. ハラスメント防止
ハラスメント防止に向けて継続的に従業員への教育を実施しております。また、管理職への多面評価による意識の醸成により、上司から部下へのハラスメントの未然防止に努めています。社内相談窓口の他、社外の内部通報窓口の設置により、ハラスメント防止に向けた体制を整えております。
③ 指標及び目標
当社では、上記「人材育成方針及び社内環境整備に関する方針、戦略」において、次の指標を用いております。
定量的な目標設定につきましては重要な経営課題であると認識し、引き続きその他の目標設定についても進めていきます。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があり、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるリスク及びそれに対する主な対応策は以下のとおりです。ただし、以下のリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない、又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営ないし事業リスクを最小化するために様々な対応を行ってまいります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外部環境リスク
新型コロナウイルス感染症による経済混乱の余波、緩和傾向にはあるものの世界的な半導体等の部品不足による供給制約等の影響によるサプライチェーンの混乱や生産調整といった市場環境が当社製品の受注に与える影響につき注視し、対応する必要があります。また、為替や経済の先行き見通しは不確実性が極めて高い状況が続くと見込まれ、その大幅な変動は、グローバルに展開する当社業績にとってはリスクとなり得ます。
加えて、グローバルな価格競争や電動化やEV化への世界的な期待感の高まりや各国における環境規制の強化などに伴う、当社既存事業領域の市場規模縮小等の長期的なリスクを抱えております。
ロシア・ウクライナ情勢等に起因する原材料価格や資源価格等の高騰につきましては、関係する子会社等において想定されるリスクにつき必要な対策を行います。
(2)経営プロセスリスク
製造業である当社グループにおいて、製造現場における効率化の遅延は価格をはじめとする製品競争力の低下につながります。間接部門においてもIT化の遅延は効率的な経営の妨げとなり、適時的確な経営判断の障害となる危険性があります。この対応として、ITシステムの適時の更新及び構築を進めております。
また、当社グループは多くの海外関係会社を有し、様々な法制の下企業運営を行っておりますが、言語の問題や十分な人員配置が困難なことも要因となり、グループ全体に対するガバナンスが不十分となるリスクを有しております。本リスクに対応するため、現地法人トップとの情報交換による状況把握、当社本社による定期的な監査等によりリスクの低減を図ってまいります。
(3) 支援プロセスリスク
当社グループが必要とする各種の優秀な人材の採用は容易ではない状況になっておりますが、採用体制の強化、採用ツール・施策の充実により対応しております。
また、当社グループは事業活動における法令遵守に努めており、『NITTANグループ・グローバル行動規範』の当社グループ内への浸透、ガバナンス委員会を中心とする当社グループ内のコンプライアンス強化活動の推進をしております。しかしながら、『NITTAN Challenge 10』による新規商品の開発においては知的財産権に関するリスクを十分に考慮して進める必要がある他、製造物責任、独占禁止法等の法的手続に関する当事者になり、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
その他、当社グループでは情報セキュリティ基本方針、情報セキュリティ管理規程等を制定しITセキュリティ対策の推進に努めておりますが、システムに予想し得ないトラブルが起きた場合、業務に支障をきたすおそれがあります。また、情報へのアクセス制御、パスワード管理の徹底等を図り不正アクセス等による情報漏洩対策をしておりますが、予期し得ない事象により個人情報や秘密情報の漏洩が起こるおそれがあり、対応費用が発生するリスクがあります。当社グループは2022年9月にサイバー攻撃を受けてシステム障害が発生し、情報漏洩は確認されなかったものの業務に多大な支障が発生しました。当社グループは、再発防止の為に外部専門家の助言を得ながらセキュリティの見直し、強化を図ってまいります。
そして、当社グループでは環境汚染の防止に努める他、カーボンニュートラルに向けたCO2削減の為、電力使用量の削減、グリーンエネルギーの活用を主とする「NITTAN Carbon Neutral」活動を、2022年4月より本格始動し、環境汚染、CO2削減の未達成によるリスクの低減を図ってまいります。
(4) 基幹プロセスリスク
革新技術の出現による当社グループの既存製品の競合先に対する製品競争力の低下、リコール・品質不良による顧客への損害の発生及び費用求償、工場火災、機械設備の故障等による生産停止、納入遅延・不能による顧客への損害の発生及び費用求償、これらによる社会的評価の低下等を通じて、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性がございます。当社グループでは、継続的なコスト削減活動や顧客ニーズに沿った製品開発を進めることに加え、「品質優先に徹し、顧客の信頼に応える」という品質に関する基本方針の実現の為、ISO9001及びIATF16949 規格に基づく品質マネジメントシステムの徹底による取り組みを推進しております。
また、取引先が限られる材料・部品調達等が困難になることによる生産への影響等が考えられますので、該当取引先との綿密な情報交換及び動向把握に基づく早期対応により、本リスクが顕在化した場合の影響を可能な限り軽減してまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、段階的に経済社会活動の正常化が進むなかで景気の持ち直しの動きが続きました。しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢等に起因する資源価格の高騰に加え、世界的な金融引き締め等による経済への影響が懸念されるなど不透明な状況での推移となりました。また、当社グループが最も影響を受ける自動車業界では、半導体等の部品不足の供給制約は緩和傾向にあるものの、生産が未だ本格的な回復トレンドに回帰しない等、予断を許さない状況が続いています。
このような状況下、当社グループは、「基盤強化」、「永続的発展」、「企業風土改革」を柱とするグローバル経営方針を掲げ、国内外で競争力を高める施策や取り組みを積極的に展開してまいりました。また、当社グループの中長期経営VISIONである「NITTAN Challenge 10」につきましても、その目的である「多様な技術を駆使し、自動車業界の脱炭素化の実現に貢献すること」を目指し、VISIONⅠ(ICE領域)およびVISIONⅡ(EV領域)における各アイテムの拡大と事業化に向けた開発を着実に進めております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、国内事業は、半導体等の部品不足による生産調整等の影響により減収となりました。海外事業は、中国でのロックダウンによる生産調整等の影響はあったものの、各地域における受注回復および為替換算の円安効果等により増収となりました。この結果、売上高は前期に比べ増収となる、418億76百万円(前期比8.3%増)となりました。
損益面につきましては、売上原価は、原価低減活動の取り組みなどによりコスト低減を進めたものの、為替換算の影響を含めたエネルギーおよび原材料価格の高騰により、売上原価率が前連結会計年度の84.9%から87.0%と2.1%増加しております。
販売費及び一般管理費は、費用低減を進めたことや、受注増加に伴う固定費負担の割合が減少したことなどにより、対売上高率は前連結会計年度の10.0%から9.6%と0.4%減少しております。
この結果、営業利益は14億40百万円(前期比26.6%減)となりました。この減少のうち、為替変動が占める割合は25.8%であります。
営業外収益は前連結会計年度と比べて1億65百万円増加し、5億24百万円となりました。営業外収益の増加の主なものは、持分法投資利益が増加したことなどによるものであります。また、営業外費用は、前連結会計年度と比べて11百万円減少し、2億5百万円となりました。営業外費用の減少の主なものは、雑損失の減少などによるものであります。
この結果、経常利益は、17億59百万円(前期比16.4%減)となりました。
特別利益は、5百万円となりました。また、固定資産除却損の発生額が減少したことや、前期は発生していた減損損失が当期は発生しなかったことなどから、特別損失は、前連結会計年度と比べて67百万円減少し、17百万円となりました。
法人税等については、前連結会計年度と比べて25百万円増加し、7億45百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べて53百万円減少し、6億10百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、3億91百万円(前期比39.2%減)と前連結会計年度に比べ減益となりました。
なお、当社グループでは経営成績を判断する上で、事業の拡大及び収益性の指標として売上高及び営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益を重視しています。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(小型エンジンバルブ)
国内事業は、半導体等の部品不足による生産調整の影響等により四輪車用エンジンバルブは前期に比べ減収となりました。二輪車用エンジンバルブは、レジャー・中大型向け製品の好調等により、前期に比べ増収となりました。
海外事業は、中国でのロックダウンによる生産調整の影響等により中国子会社において販売数量が減少したものの、その他の地域では概ね前期を上回る販売数量となったことや為替換算の円安効果等により、前期に比べ増収となりました。
汎用エンジンバルブは、北米向け船外機・汎用機用製品の好調等により、前期に比べ増収となりました。
損益面につきましては、エネルギーおよび原材料価格の上昇に伴う生産コストの増加に加え、国内および中国における受注減少に伴う固定費の圧迫や北米における受注急回復に伴う生産性の悪化および円安に伴う一部子会社の損失幅拡大等の影響により減益となりました。
この結果、売上高は、339億71百万円(前期比11.1%増)、セグメント利益(営業利益)は、12億95百万円(前期比30.7%減)となりました。
(舶用部品)
舶用部品につきましては、経済活動の回復等により海外顧客向けの船舶用補用部品を中心に販売数量が増加したことや、国内においては高単価な船舶用補用部品の販売が好調であったことなどから、前期に比べ増収となりました。
損益面につきましては、受注増加に伴う増産効果はあったものの、エネルギーや原材料価格の上昇に伴う生産コストの増加等により、前期と同水準となりました。
この結果、売上高は、37億61百万円(前期比18.2%増)、セグメント利益(営業利益)は、90百万円(前期比1.5%増)となりました。
(歯車)
歯車につきましては、半導体等の部品不足による生産調整等の影響により自動車用製品の販売数量が減少し、前期に比べ減収となりました。産業機械用製品については、回復基調にあるものの本格的な回復トレンドに回帰せず、前期と同水準となりました。
損益面につきましては、製品価格改定や生産数量に応じた人員配置の適正化等を行ったものの、受注減少に伴う固定費の圧迫やエネルギーおよび原材料価格の上昇に伴う生産コストの増加影響等を吸収しきれず損失幅が拡大しました。
この結果、売上高は、24億46百万円(前期比12.0%減)、セグメント損失(営業損失)は、3億8百万円(前期はセグメント損失(営業損失)63百万円)となりました。
(PBW)
PBWにつきましては、半導体等の部品不足による生産調整および製品価格改定等の影響により、前期に比べ減収となりました。
損益面につきましては、生産性の改善や省人化等により増益となりました。
この結果、売上高は、10億58百万円(前期比16.1%減)、セグメント利益(営業利益)は、1億13百万円(前期比67.3%増)となりました。
(その他)
バルブリフターにつきましては、一部製品の転注等により減収となりました。
可変動弁につきましては、補用品の減少により減収となりました。
工作機械につきましては、グループ内部での取引が減少し減収となりました。
ロイヤルティーにつきましては、為替換算の円安効果等により増収となりました。
農作物につきましては、販路拡大等により増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は、18億36百万円(前期比36.7%減)、セグメント利益(営業利益)は、49百万円(前期はセグメント損失(営業損失)10百万円)となりました。
なお、当セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高11億99百万円を含んでおります。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
当社グループは、各納入先より提示された生産計画をもとに、当社グループの生産能力を勘案して生産計画を立てる方法が主体となっている事から、受注実績は生産実績に近似するため、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
当連結会計年度末における総資産は、569億7百万円となり、前連結会計年度末と比較して21億56百万円の増加となりました。
資産の部の流動資産は、246億95百万円となり、前連結会計年度末と比較して24億21百万円の増加となりました。この主な要因は、原材料及び貯蔵品が6億92百万円、受取手形及び売掛金が6億20百万円、現金及び預金が5億15百万円増加したことなどによるものであります。
固定資産は、322億11百万円となり、前連結会計年度末と比較して2億65百万円の減少となりました。この主な要因は、投資有価証券が2億46百万円増加した一方、有形固定資産が6億6百万円減少したことなどによるものであります。
負債の部の流動負債は、125億40百万円となり、前連結会計年度末と比較して6億26百万円の増加となりました。この主な要因は、短期借入金が5億92百万円減少した一方、その他に含まれるもののうち未払金が6億55百万円、支払手形及び買掛金が3億47百万円増加したことなどによるものであります。
固定負債は、113億89百万円となり、前連結会計年度末と比較して25百万円の減少となりました。
純資産の部は、329億77百万円となり、前連結会計年度末と比較して15億55百万円の増加となりました。この主な要因は、為替換算調整勘定が9億36百万円、非支配株主持分が5億32百万円増加したことなどによるものであります。
なお、通貨別の為替の変動につきましては、当社の連結子会社のある国では、前連結会計年度末と比べ、全ての通貨が円安に進みました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は68億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ、5億15百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により、47億98百万円の資金増加(前連結会計年度は、68億84百万円の資金増加)となりました。この資金増加は主に、非資金取引である減価償却費43億67百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により、25億32百万円の資金減少(前連結会計年度は、35億35百万円の資金減少)となりました。この資金減少は主に、有形及び無形固定資産の取得による支出25億45百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により、21億96百万円の資金減少(前連結会計年度は、33億4百万円の資金減少)となりました。この資金減少は主に、長期借入金の返済による支出29億78百万円によるものであります。
資金調達の基本方針、及び資金調達手段に関して、当社は円滑な事業活動に必要な流動性及び財務健全性の確保を、資金調達の基本方針としております。これに則し、金融機関との間で長期にわたり培った良好な関係に基づき、主として本邦銀行、生保等からの7年程度の長期資金を中心とした資金調達を行っております。同時に長期資金の年度別償還額の集中等を避けることで借り換えリスクの低減を図っております。今期末において予定している次期の設備投資に関しては、自己資金、及び長期借入金による資金調達を行う予定です。
流動性の確保に関しましては、当連結会計年度における流動比率は196.9%、当座比率は118.8%となっており、十分な流動性を確保していると認識しております。
財務健全性に関しましては、当連結会計年度における自己資本比率は43.8%となり、円滑な業務遂行を維持するという点に関して、健全な範囲にあると認識しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要と考えている主なものは以下のとおりです。
(a) 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来減算一時差異の解消見込額について、収益力やタックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得が十分に確保できることを前提に、繰延税金資産を慎重に計上しております。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに左右されるため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の修正を行うため、将来の税金費用に影響を与える可能性があります。
(b) 退職給付債務及び退職給付費用の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(c) 減損会計における将来キャッシュ・フロー
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、管理会計上の区分を基準として資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額は、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損損失を計上し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(提出会社)
外国との技術ライセンス契約
当社中長期ビジョンとして掲げた「NITTAN Challenge 10」により、「VISIONⅠ:既存事業の飽くなき進化と競争力の強化」および「VISIONⅡ:脱炭素化社会に向けた新規事業化」の二つの柱を、市場ニーズ及び顧客戦略に合わせて展開する研究開発活動を実施しています。
当連結会計年度の研究開発活動は、既存事業としては、自動車、船舶用等の内燃機関の性能向上に寄与する動弁系部品を主要製品と位置づけ、地球環境保護に対するエンジンの低燃費化、排気ガス規制、及び、燃料多様化に対応した製品や、グローバル展開に繋がるコスト低減のための開発を継続しています。
新規事業としては、パワートレインユニットの内燃機関から電動化へのシフトに備えて着手した開発を部門横断型チームの活性化により推進し、開発進捗をより確かなものとすることを目標に掲げています。また、自動車業界以外の電動アシスト自転車や小型モビリティに向けた開発に照準を当てて事業性を高める活動や、従来の発想に捉われない多様な商品開発により技術力を向上させる活動を行っています。当連結会計年度における、既存のセグメントに直接関連しないこれらの新規事業等のための研究開発費の金額は228百万円であります。
なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) 小型エンジンバルブ
高効率エンジン用バルブとして次世代型冷媒封入中空バルブの開発、カーボンニュートラルに対応した水素燃料、代替燃料エンジン用バルブの顧客への提案・評価に取り組んでいます。
また、市場のEV化ニーズが高まる中、各顧客の動向は必ずしもEV化一辺倒ではなく、内燃機関の活用も見直されており、開発期間短縮を想定し、DXを意識した開発効率の改善活動を進めております。
さらに、顧客エンジン生産拠点の合理化対応に合わせ、当社グローバル複数拠点での最適化に取り組んでいます。
四輪向け・二輪向け・汎用エンジン向けを問わず、多種多様な顧客ニーズに応える体制を構築し、顧客開発期間の合理化に対応した製品開発、試作・評価への取組みを継続し、拡販活動を強化していきます。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
(2) 舶用部品
舶用業界各社は、電動化ではなく、GHGフリー燃料を利用した内燃機関の開発を推進しています。そのニーズに応えるべく、長寿命化技術として耐摩耗盛金材、耐腐食表面処理などを組合わせた高付加価値製品を開発しています。また顧客の次世代エンジン開発に向けた舶用中空バルブの開発を推進しており、顧客との評価試験を推進中です。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
(3) 歯車
歯車は、素材投入量の削減、使用電力削減やスクラップ削減等の観点から、更なるニアネット鍛造や金型長寿命化を見据えたものづくり開発を継続しています。また、EV市場への参入を見据えe-Axle対応部品を軸に、新規顧客受注に向けたヘリカルギアやデフアッシー開発も始動しています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
(4)PBW
PBWは、歯車と同様に更なるニアネット素材鍛造や金型の長寿命化に向けたものづくり開発や生産性向上に引き続き取り組んでおります。
なお、当連結会計年度におきましては、研究開発費を計上しておりません。
(5) その他
リフター事業では、国内外顧客向けHLA(油圧ラッシュアジャスタ)及びRRA(ローラーロッカーアーム)拡販の取組みを継続しています。また、弊社既存技術を活用し、陸・舶用大型機関のメンテナンスサイクル延長のためのHLA適用を進めています。
工作機械関連では、既存事業のエンジンバルブ外観検査装置の1号機を完成させ導入済みです。今後、海外を含めた展開を進めてまいります。また、歯車事業においてもAI外観検査装置の実用化を進めております。さらに、新たにプレスシステムを導入し、新事業を含めた高精度鍛造を追求するとともに、鍛造後のばら積みされた仕掛品を製造設備へ自動投入することを目指したビジョントラッキング+6軸ロボットの実用化にも着手いたしました。加えて、「NITTAN Challenge 10」の新事業に向けた複合加工機や高機能マシニングセンター+搬送機によるスマートファクトリーを目指した全自動化にも取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発費の金額は