文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループの経営方針は、「顧客第一主義」「共存共栄」「人間尊重」「堅実経営」「創意工夫」であります。中でも「顧客第一主義」を方針の中心に据え、顧客満足度の向上を図ることにより、今後もお客様に支持されるグループを目指し、永続的な拡大、発展に努めてまいります。当社グループはこうした事業活動を通じて、顧客、株主をはじめ広く関係者にとって魅力ある企業グループであり続けることにより、社会に貢献してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、「中期経営計画『サステナブルな成長に向けて』(2022~2024年度)」におきまして、最終年度(2024年度)の連結営業利益の目標を1,600百万円と定めております。
(3)経営環境及び対処すべき課題
今後の当社グループを取り巻く経済環境につきましては、感染症法上の分類が「5類」に緩和される新型コロナウイルス感染症に対し、平時の社会・経済活動への回復を目指す大規模な対策や各種政策の効果もあり、景気の緩やかな回復への期待感があるものの、海外における地政学リスクに起因する供給不足や価格上昇等で消費マインドが懸念される等、世界的な景気変動局面が当分続くものと見られることから、予断を許さない環境で推移するものと思われます。
こうした状況の中、当社グループでは、「中期経営計画『サステナブルな成長に向けて』(2022~2024年度)」がスタートしております。
本計画において当社は、将来に向けたありたい姿を掲げ、その実現に向けた新たな成長基盤づくりと成長軌道への回復を推進いたします。
事業戦略としては、百貨店事業の収益力強化と事業ポートフォリオの見直しに取り組んでまいります。百貨店事業では、当社の強みを発揮できる商品政策に加えて、顧客基盤の拡大と深耕を図る顧客政策、中でも外商事業を強化すること等により、営業力の強化を図ってまいります。その一方で、業務の見直しや店舗運営の効率化を行うこと等により、ローコストオペレーションの実現を目指してまいります。事業ポートフォリオにつきましては、中長期的に不動産関連事業を拡大することを企図し、本計画においては、保有資産の有効活用に取り組んでまいります。
上記に加えまして、ESG経営を推進することにより、企業価値の向上と社会への貢献を図ってまいります。
飲食業の㈱アターブル松屋におきましては、コアビジネスである婚礼宴会部門の「東京大神宮マツヤサロン」を中心に、オペレーション・マーケティング等の婚礼改革や宴会・ケータリング・レストラン改革、また、さらなる効率化を推し進めることで、グループの総力を結集して売上・利益の回復に尽力し、利益の最大化を図ってまいります。
ビル総合サービス及び広告業の㈱シービーケーにおきましては、常にクライアントの先にいる顧客や利用者の満足度の向上を見据え、デザイン力・クリエイティブ力の強化、および、松屋グループのシナジーを活かした営業力を強化して、外部売上の拡大に努めてまいります。
(4)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「中期経営計画『サステナブルな成長に向けて』(2022~2024年度)」(以下「本計画」といいます。)を策定しております(なお、本計画の詳細につきましては2022年4月14日付の本計画に関するプレスリリースをご覧ください(https://www.matsuya.com/corp/ir/)。)。
本計画において当社は、将来のありたい姿を掲げ、その実現に向けた新たな成長基盤づくりと成長軌道への回復を推進いたします。
事業戦略としては、百貨店事業の収益力強化と事業ポートフォリオの見直しに取り組みます。百貨店事業では、当社の強みを発揮できる商品政策に加え、顧客基盤の拡大と深耕を図る顧客政策、中でも外商事業を強化すること等により、営業力の強化を図ります。その一方で、業務の見直しや店舗運営の効率化を行うこと等により、ローコストオペレーションの実現を目指します。
事業ポートフォリオにつきましては、中長期的に不動産関連事業を拡大することを企図し、本計画においては、保有資産の有効活用に取り組みます。
上記に加えまして、ESG経営を推進することにより、企業価値の向上と社会への貢献を図ります。
有価証券報告書に記載した事業の概況、経営の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク事項には、以下のようなものがあります。ただし、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。
なお、文中における将来に関するリスク事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
(1)経営戦略・環境リスク
①経済情勢・需要動向・社会構造等
(リスクの概要)
当社グループの主要なセグメントである百貨店業や飲食業の需要は、国内外の景気動向・消費動向・株式相場等の経済情勢や冷夏暖冬等の天候不順、同業態及びその他小売業他社との競合により影響を受けます。これらにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループは、ミッションに「未来に希望の火を灯す、全てのステークホルダーが幸せになれる場の創造」を掲げています。絶え間なく変化し続ける経営環境の中、長期的な視座に立ちミッションの実現に向けて環境の変化を活かす戦略を実行することにより、業績の向上に取り組んでおります。
②事業戦略
A:ビジネスモデル・収益構造改革への対応
(リスクの概要)
人口減少・少子高齢化社会の進展、消費者の志向・行動様式の変化や新たなビジネスの誕生等による市場の変化が、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
主力事業の百貨店業においては、市場の先々の変化を見据えて、従来の考え方にとらわれることのない売場づくりやCRM(顧客関係管理)戦略等を実施する一方で、店舗の運営体制の適正化とローコスト化を図るなど、常に百貨店業のビジネスモデルを進化させています。また、グループ事業のポートフォリオの見直しも進めており、長期的に不動産関連事業を百貨店業に続く収益の柱に育成することを企図し、保有する土地・建物等の固定資産の有効活用を進めています。
B:デジタル社会への対応
(リスクの概要)
デジタル技術を活用した新たな販売チャネルや情報発信ツールの利用が広まったことにより、消費者の購買行動が多様化しています。店舗での商品販売が主力の百貨店業は、eコマース市場が拡大すること等により、店舗の入店客数と売上に影響を及ぼす可能性があります。また、急速に発展するデジタル化への対応の遅延により、売上に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
店舗における商品販売に加えて、テレビ・ラジオ・eコマース等の販売チャネルを活用することにより、新たな顧客の獲得と顧客LTV(生涯価値)の拡大に取り組んでいます。また、店舗への誘客を促進する情報発信や顧客とのコミュニケーション手段については、WEB・SNS等のデジタル媒体を有効に活用し、さらにデジタルツールを活用した決済手段の拡充に取り組んでおります。それらにより、デジタル化社会の消費者行動への対応を推進しています。
C:サステナビリティ対応
(リスクの概要)
企業には、事業の発展のみならず、事業活動を通じて持続的な社会の実現に貢献していくことが求められております。これに関する取り組みが十分でないことにより、ステークホルダーからの信用を失った場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループは、サステナビリティを重視した事業活動を通じて、長期的な企業価値の向上を図るとともに、持続的な社会の実現に貢献することを目指しています。
中期経営計画「サステナブルな成長に向けて(2022~2024年度)」においては「持続的成長を支えるESG」を一つの重点に定め、事業活動を通じた社会・環境への貢献とガバナンスの強化に取り組んでいます。
例えば、地球温暖化に影響をもたらすとされている温室効果ガスの排出量を削減するために、照明機器のLED化を継続的に進めてきた中で、事業所の一部で再生可能エネルギーを利用し始めるなど、さらなる温室効果ガス排出量の削減を進めています。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同表明し、TCFD提言に沿った情報開示を行っています。
百貨店業の営業活動におきましても、ステークホルダーの方々とともに、サステナビリティや3R(リデュース・リユース・リサイクル)に関するイベントを開催したり、チャリティ活動を行ったりするなど、持続的な社会の実現に貢献する取り組みを推進しています。
③人材の獲得・育成等
(リスクの概要)
当社グループにおいては、高いスキルや専門的な知識、ホスピタリティマインドを有する従業員一人ひとりが企業価値の源泉となっております。労働人口の減少により人材確保・育成が困難になった場合や、人材の流出が深刻化した場合、お客様にご満足いただく商品・サービスの提供ができなくなり、当社グループへの信頼の低下や、ブランド価値の毀損を引き起こすおそれがあるとともに、採用・育成コストの増加が当社グループの収益の圧迫につながる可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、こうしたリスクへの対応として雇用市場の動向を踏まえた計画的な採用活動と効率的な人員配置に注力しております。また、人事制度・社内設備の整備や組織風土の改善による働きやすい環境の実現と、能力開発やキャリア支援を通じた働きがいの創出によって、多様な人材の活躍を推進し、人材定着率の向上を図っております。
(2)財務リスク
①保有資産
(リスクの概要)
当社グループが保有する店舗や不動産等の固定資産は、店舗の営業損益が悪化、または市場価格が著しく下落したこと等に伴い、減損損失を計上する必要が生じた場合、あるいは大規模な自然災害により店舗が著しい損害を受け事業継続に深刻な影響を及ぼすこと等となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、事業活動・財務活動の円滑化のために株式を保有しております。株式相場の大幅な下落または株式保有先の経営状況の悪化により株式の評価額が著しく下落した場合には、株式の評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(主なリスク対応策)
固定資産のリスクに関しては、店舗や不動産の収益性を高め、安定的なキャッシュ・フローの創出に努めるとともに、自然災害等による損害については様々なケースを想定した事業継続計画を整備することにより、リスクの低減を図っております。
株式の保有リスクに関しては、上場株式については四半期毎に時価を把握し、取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。
②資金調達
(リスクの概要)
当社グループは、銀行等金融機関から運転資金や投資資金に必要となる資金を調達しております。このため、金融市場の不安定化・金利上昇、また当社グループの業績悪化等により、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加する可能性や適時に資金調達ができない可能性があります。
(主なリスク対応策)
このようなリスクを踏まえ、当社グループは財務体質の強化に努めるとともに、金融環境の変化等に応じて最適な資金調達の見直しを適時行っております。また、アセットファイナンスなど多様な資金調達方法についても研究することで、資金調達コストの低減や、安定的な資金調達を図っております。
(3)オペレーショナルリスク
①自然災害・事故・感染症等
(リスクの概要)
当社グループの主要なセグメントである百貨店業や飲食業においては、大規模な地震・風水害等の自然災害、大規模な感染症またはテロ行為、その他事故及びそれに伴う火災が発生した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
特に首都直下型の地震等の大規模な災害が発生した場合においては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、店舗における火災においては、人身への被害が想定され、これに伴い被害者に対する損害賠償責任等により費用が発生する可能性があります。
新型コロナウイルス等の大規模な感染症の拡大時においては、主に百貨店事業・飲食業において、店舗の営業自粛や国内・インバウンド双方の需要の減少等により財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、こうした自然災害・事故・感染症等のリスクへの対応として「危機管理委員会」を設置することにより危機管理体制を構築しております。また、事業継続の観点から、マニュアルの整備、災害を想定した訓練の実施、感染症拡大防止のための店舗・事務所の対策、営業の継続、再開の適切かつ合理的な対応等を行っております。特に百貨店事業での感染症リスクへの対応としては、EC等を活用した実店舗に留まらない営業施策にも注力しております。また、当社グループとして、各種損害保険等に加入しております。
②商品取引
(リスクの概要)
当社グループの主要なセグメントである百貨店業や飲食業において、一般消費者向け取引を行っております。これらの事業において、瑕疵のある商品の販売及びサービスの提供を行った場合、製造物責任や債務不履行責任に基づく損害賠償責任等により費用が発生する可能性があります。特に、食料品販売から飲食のサービス提供まで多岐にわたる食品衛生に関わる事業においては、アレルギー表記の不備等が原因となる食物アレルギー事故や、管理不良等に起因した食中毒、異物混入が発生した場合、お客さまへの重篤な健康被害を与える可能性があります。さらに、この結果、当社グループの社会的信用の失墜が生じたり、行政処分による営業制限等により、売上高の減少等が発生し、これにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
また、百貨店業の外商部門をはじめとして、法人向け取引を行っております。取引先の倒産により、売掛金の回収不能に伴う費用の発生等が生じる場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、こうしたリスクへの対応として社内マニュアルを整備し、社員教育を実施しております。リスク事象が発生した場合は、レポートラインに則った関連部署間での連携による解決を図り、経営や行政への報告を行います。その後事例を社内共有して、再発防止に努めております。また、商品取引の事故は、商品の製造または調理の過程に原因がある事例が多いため、商品やサービスの提供元である取引先と協働して原因を分析した上で再発防止策を実行し、取引先の選定・見直しを慎重に行っております。
③情報セキュリティ
(リスクの概要)
当社グループにおける百貨店業を中心とした各種コンピュータシステムは、店舗とは別の建物内で管理しております。耐震建築、通信回線の二重化、不正侵入防止等の安全対策を講じておりますが、想定を大きく超える自然災害や事故、または機密情報を狙ったサイバー攻撃や不正侵入によって、設備の損壊やシステム停止、機密情報の流出・漏洩等が起きた場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、これにより当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(主なリスク対応策)
情報セキュリティ対策として、技術的対策、物理的対策、人的対策を組み合わせることで網羅的かつ効果的な対策を講じております。各対策として、技術的対策は、サイバー攻撃や不正侵入を防止・検出・駆逐するツールの導入、物理的対策は、システム部門を別館に設置した上での館及び個別の部屋への認証カードキーによる二重の入退出の管理、人的対策は、従業員への定期的な教育及び訓練等を行っております。
(4)コンプライアンスリスク
① 法令遵守
(リスクの概要)
当社グループは、顧客や取引先との商品販売や仕入を行う上で、消費者契約法、製造物責任法、景品表示法、独占禁止法及びその関連諸法令等より法規制を受けております。また、事業を展開・継続する上で、大規模小売店舗立地法、消防法、環境・リサイクル関連諸法令、労働関連諸法令、会社法及び金融商品取引法等の法規制を受けております。従って、これらの法規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性があるとともに費用の発生が想定され、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、こうしたリスクへの対応として法改正動向の的確な把握に努めるとともに内部統制システムを構築・運用を図る中で社内マニュアルを整備し、社員教育を実施すること等により各種法規制への適切な対応を推進しております。特に百貨店事業の営業に関わる各種の法令(古物営業法、酒税法、家電リサイクル法、食品衛生法等)について、定期的に遵守状況の確認を行っております。
②個人情報の流出・漏洩等
(リスクの概要)
当社グループでは、個人情報を含む顧客の情報を保有しており、個人情報保護法その他の関連法令を遵守することにより、その保護・管理を徹底しております。しかしながら、不測の事故や不正行為等により個人情報を含む顧客の情報が流出・漏洩等した場合、当社グループにおいて信用毀損が生じ、売上高の減少等が発生する可能性があります。また、情報主体に支払う損害賠償その他の費用発生が想定され、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、個人情報を含む顧客の情報の管理にあたっては、個人情報保護方針及び管理マニュアルに基づくルールの厳格な運用と従業員教育の徹底等により、個人情報保護体制の確立を図っております。特に百貨店事業においては、ルールの遵守状況に関するモニタリングを定期的に実施するとともに、時代に合わせたルールの見直しを常に行い、管理マニュアルの改訂等を適宜に行っております。また、情報システムのセキュリティ面においても十分な管理体制を整え、個人情報の流出・漏洩等を防止しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、対前期増減額及び対前期増減率は記載しておりません。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、現政権下での新型コロナウイルス感染症の拡大防止と、社会・経済活動の維持・両立を目指した各種政策の効果に加え、一部の海外経済の改善もあり、緩やかな持ち直し基調で推移いたしました。しかしながら、地政学リスクの高まりによる供給不足・価格上昇や、円相場の大幅な下落を皮切りとした金融資本市場の変動等の影響による不確実性の高まりもあり、先行きの不透明感が払拭できない状況が続きました。
百貨店業界におきましては、富裕層を中心とした堅調な消費動向に加え、2022年10月より訪日外国人観光客の入国が緩和されたことでインバウンド売上が急速に復調したこと等もあり、東京地区百貨店売上高は前年実績を大幅に上回りました。
このような状況の中、当社グループでは、「中期経営計画『サステナブルな成長に向けて』(2022~2024年度)」において、将来のありたい姿を実現するために「未来に希望の火を灯す、全てのステークホルダーが幸せになれる場を創造する」ことを「MISSION」として位置づけ、その実現に向けた新たな成長基盤づくりと成長軌道への回復を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
1) 財政状態
当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末に比べ総資産は9,626百万円増加し、63,888百万円となりました。資産の増加要因としては、主に現金及び預金3,867百万円の増加、土地2,589百万円の増加、受取手形及び売掛金2,296百万円の増加等によるものであります。負債は4,784百万円増加し、41,039百万円となりました。負債の増加要因としては、主に支払手形及び買掛金3,954百万円の増加、契約負債3,230百万円の増加、その他流動負債2,124百万円の減少等によるものであります。純資産は4,841百万円増加し、22,849百万円となりました。純資産の増加要因としては、主に利益剰余金4,176百万円の増加、その他有価証券評価差額金605百万円の増加等によるものであります。なお、「収益認識会計基準」等の適用により、利益剰余金の当期首残高は207百万円減少しております。
2) 経営成績
当連結会計年度の売上高は34,400百万円(前連結会計年度は売上高65,039百万円)、営業利益は347百万円(前連結会計年度は営業損失2,280百万円)、経常利益は261百万円(前連結会計年度は経常損失2,107百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,383百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益1,000百万円)となりました。なお、「収益認識会計基準」等の適用により、当連結会計年度の売上高は53,228百万円減少しております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<百貨店業>
主力となる百貨店業の銀座店におきましては、「ウイズコロナ」「アフターコロナ」に向けた社会・経済活動が加速する中、2022年8月に1階化粧品売場を拡大、9月には7階家具・インテリア「THE HOME」やギフトラウンジ「おりふし」、さらに、地下2階には自社運営の冷凍食品売場「GINZA FROZEN GOURMET」をオープンさせる等、コロナ禍を経て変化したライフスタイルや価値観に対応した各種リニューアルを実施いたしました。また、入国緩和により訪日外国人観光客が回復、円安も要因となりインバウンド売上は急速に復調いたしました。
一方、日本各地の伝統工芸・産業・文化をクローズアップし、「デザイン」や「銀座の価値観」をコンテンツにリブランディングすることで、インスタレーション(店舗装飾)や商品化、展覧会等の出展へと発展させるプロジェクト「デザインで繋ぐ、松屋の地域共創」がスタートしております。青森県黒石市との連携を始め、津軽圏域14市町村で構成するDMO(観光地域づくり法人)と連携協定を締結する等、当社独自の地域ブランディング事業は、社会貢献と事業の両立化により各方面で大きな話題となりました。
このように、銀座の街に相応しく当社の強みを発揮できる商品政策や、顧客基盤の拡大と深耕を図る様々な顧客政策、中でも外商事業を強化する等、コロナ禍において創出した様々な「攻め」の営業を強力に推し進めました。
コンテンツ事業におきましては、「アニメージュとジブリ展」を開催する等、独自性と話題性のある企画によって集客力を高め、売上の向上に努めてまいりました。
浅草店におきましては、入居する商業施設「EKIMISE」との相乗効果の発揮に取り組み、施設内を買い廻るお客様の需要を取り込むプロモーションの強化や、地元浅草の老舗等と連携し、お客様への積極的な商品提案やおもてなしを強化する等、業績の向上に尽力してまいりました。
以上の結果、百貨店業の売上高は27,770百万円(前連結会計年度は59,461百万円)、営業利益は321百万円(前連結会計年度は営業損失1,738百万円)となりました。なお、「収益認識会計基準」等の適用により、売上高は53,226百万円減少しております。
<飲食業>
飲食業の㈱アターブル松屋におきましては、婚礼宴会部門において婚礼組数の獲得に取り組んだ結果、主力の「東京大神宮マツヤサロン」を中心に売上が拡大したことに加え、新型コロナウイルス感染症による自宅療養者への食糧支援事業を東京都から受託したこともあり、売上高は増収となりました。また、営業費用の圧縮にも取り組んだ結果、営業損失は改善いたしました。
以上の結果、飲食業の売上高は3,329百万円(前連結会計年度は2,258百万円)、営業損失は93百万円(前連結会計年度は営業損失490百万円)となりました。
<ビル総合サービス及び広告業>
ビル総合サービス及び広告業の㈱シービーケーにおきましては、主として宣伝装飾部門および建装部門の売上が拡大したことにより、増収・増益となりました。
以上の結果、ビル総合サービス及び広告業の売上高は4,827百万円(前連結会計年度は4,671百万円)、営業利益は70百万円(前連結会計年度は営業利益66百万円)となりました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、税金等調整前当期純利益5,172百万円、仕入債務の増加3,954百万円、有形固定資産売却損益△4,184百万円、売上債権の増加△2,296百万円等により2,352百万円の収入となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、有形固定資産の売却による収入4,192百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入2,085百万円、有形固定資産の取得による支出△3,922百万円等により2,470百万円の収入となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、借入金の返済△903百万円等により955百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は3,867百万円増加し、6,259百万円となりました。
当社及び当社の関係会社において、該当事項はありません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 「収益認識に関する会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、対前期増減率は記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は34,400百万円(前連結会計年度は売上高65,039百万円)、営業利益は347百万円(前連結会計年度は営業損失2,280百万円)、経常利益は261百万円(前連結会計年度は経常損失2,107百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,383百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益1,000百万円)となりました。
(売上高の状況)
連結売上高は、34,400百万円となりました。富裕層を中心とした堅調な消費動向に加え、2022年10月より訪日外国人観光客の入国が緩和されたことでインバウンド売上が急速に復調したこと等もあり、総額売上高(従来の計上方法による売上高)は、前連結会計年度に比べ、22,590百万円(+34.7%)増収の87,629百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益の状況)
販売費及び一般管理費は、主に百貨店業において支払手数料が増加したこと等により16,837百万円(前連結会計年度は15,534百万円)となりました。営業利益は、売上高が増加したこと等により、347百万円(前連結会計年度は営業損失2,280百万円)となりました。
(営業外損益、経常利益の状況)
営業外収益は464百万円(前連結会計年度は580百万円)、営業外費用は551百万円(前連結会計年度は406百万円)となりました。この結果、経常利益は261百万円(前連結会計年度は経常損失2,107百万円)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益の状況)
特別利益は、㈱松屋における固定資産売却益等により5,294百万円(前連結会計年度は4,935百万円)となりました。特別損失は、㈱松屋における固定資産解体費用引当金繰入額等により383百万円(前連結会計年度は1,375百万円)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は4,383百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益1,000百万円)となりました。
1)キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
2)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また投資資金需要の主なものは、収益不動産の取得、店舗に関わる設備投資等によるものであります。
運転資金や投資資金に必要となる資金は、営業活動によるキャッシュ・フローと、固定資産の売却等により調達しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末における資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用の報告数値並びに開示に影響を与える見積りを行っております。当該見積りに際しましては、過去の実績や状況に応じて、合理的と考えられる要因等に基づき行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社の連結財務諸表作成のための会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、店舗資産等を有しており、営業活動から生ずる損益が継続してマイナスである資産グループについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として計上しております。回収可能価額の算定にあたっては、連結会計年度末時点で入手可能な情報や資料に基づき判断しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、将来の利益計画に基づいた課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ課税所得の見積りが変動した場合、繰延税金資産が計上又は取崩される可能性があります。
主な賃貸借契約は次のとおりであります。
(提出会社)
該当事項はありません。