第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの最大の課題は、ものづくり力強化です。国内をベースに生産方式を再構築し、海外にも水平展開することで、お客様に満足いただける高品質な商品の製造・納入・サービスを実現致します。

 またお客様のニーズに基づいた新商品開発力を強化し、脱炭素を意識した魅力ある新商品開発のスピードアップを図り、タイムリーに提供していくことも欠かせません。これらの推進には、堅固な経営基盤が必要であり、利益を伴う持続的成長に向けて人財や設備等の必要なリソースに適切な投資を行って参ります。

 その他にも英国事業の再建は重要課題であり、日本のマザー工場から集中的な支援により、製品品質の一層の向上、現場の生産効率向上を推進すると共に現地マネジメントが中心となり、大幅な固定費削減に取り組んでおります。

 

 上記を踏まえた中期取組みは、以下のとおりです。

1.筋肉質な収益体質構築

  ・ものづくり再構築

  ・最高品質の追求

2.新商品新技術

  ・新商品/新技術の強化 (脱炭素を意識した開発)

  ・電装新規ビジネス拡大

3.経営基盤の充実

  ・人的資本への投資

  ・財務健全化

  ・カーボンニュートラル

 

・経営上の目標の達成状況を判断するための指標

 収益性判断の指標として営業利益率、財務安定性判断の指標として自己資本比率、効率性判断の指標としてROEを掲げております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループにおけるサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は次のとおりであります。

(1)サステナビリティ

① ガバナンス

 当社は、役員(執行役員を含む)で構成されたカーボンニュートラル・ステアリングコミッティーを設置し重要事項(方針、指標・目標等)の決定やプロジェクト活動のモニタリングを行っております。

 

② リスク管理

 当社は取締役社長を委員長とし、役員(執行役員を含む)及び部署長を委員としたリスク管理委員会を設置し、年間2回以上開催しております。

 当該委員会において、CO排出状況や廃棄物の削減に向けた活動状況の報告及び環境に係わる各種法規制遵守状況の確認が行われております。

 

③ 戦略

 当社は「時代をリードする価値ある商品・サービスを提供し、美しく豊かなクルマ社会の実現に貢献する」という経営理念のもと、「自動車部品の開発・設計・製造においてカーボンニュートラルを推進し、廃棄物の削減に努め地球環境の保全の取組を進め、もって持続可能な社会の実現に寄与します。」という環境方針を定め以下の取組を進めてまいります。

1)CO₂排出量削減に向けて廃棄物の減量や再資源化等様々な取組

2)環境マネジメントシステムを構築し、継続的に改善し、環境の保全・汚染の予防

3)環境負荷物質(有害化学物質を含む)の使用削減や制限に取組

4)環境に関わる法規制の遵守

 

④ 指標及び目標

2030年  :CO₂排出量△30%(2018年度比)

中長期目標:2050年カーボンニュートラルへチャレンジ

 

(2)人的資本(人材の多様性を含む)

① 戦略

 以下のような人的資本投資を行い従業員エンゲージメントの向上を図ってまいります。

a.人材育成

 「企業」と「個」の価値向上を目的に自律的に活動する人材を育てるための人材育成プログラムを実施し、社員一人ひとりの主体性と創造力を高めてまいります。

1)スキルアップのための教育

2)人材情報基盤の整備による人材の育成と活用

b.健康経営

 従業員の健康保持・増進に努め、職場の安全と差別のない健全な職場環境の確保に向けて以下の取組を進めてまいります。

1)働き方の多様性を確保するための環境の整備

2)時間外労働削減の推進

3)年次有給休暇取得の促進

 

② 指標及び目標

a.人材育成投資(研修費用、資格取得や自己啓発の費用補助等を含め)を2026年までに2019年度(コロナ前)

比で200%

b.健康経営優良法人(2025年度認定)の取得

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。併せて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。

 当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)事業環境に由来するリスクについて

① 国内自動車業界

 当社グループは、自動車外装部品・純正用品及び関連機器の製造販売を行っており、主な取引先が国内自動車メーカーであるため、国内自動車業界の動向に強く影響を受けております。

 国内自動車業界は成熟市場であり、自動車メーカーは、国内工場の再編や大きな経済成長が期待される海外市場への事業展開を強化することで生産規模を縮小する可能性があります。

 国内自動車業界の動向によっては、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

② 海外自動車業界

 当社グループは、自動車メーカーのグローバル化に対応した体制を構築するため、イギリス・アメリカ・中国・タイに進出しており、海外需要の取り込みを図っております。

 海外自動車業界の動向は、景気動向、金利動向、為替動向等の影響を受けるとともに、政治動向、法規制の改正、税制改正、テロ・戦争・その他要因による材料調達、生産・販売及び輸送の遅延や中止といった社会的混乱等が生じる可能性があり、当社グループの進出国の自動車生産・販売状況は、想定どおりに伸びない可能性があります。

 当社グループと致しましては、迅速な情報収集に努め、柔軟な生産・販売体制を築くことでリスク軽減を図りますが、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

③ 重要な競合の状況(製品・サービス・技術・品質・価格等)

 当社グループ製品・商品の価格競争はグローバル調達の流れにより、年々厳しくなっております。

 当社グループでは当社独自の同期生産活動であうFPS活動を導入し、製品・サービス・技術・品質・価格等の競争にグローバルで対応していきます。ただし、価格競争がより一層激化した場合、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

④ 原材料・部品の調達

 当社グループ製品・商品は、外部から調達する原材料・部品の価格及び調達市場の需給バランスの影響を受けております。材料価格の高騰、調達市場の需要増に伴う調達難により、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 業界特有の商慣行

 自動車業界では自動車のモデル期間が長いため、長期取引を前提とした原価低減活動(価格低減活動)を自動車メーカーとサプライヤー共同で進める商慣行があります。

 具体的には部品量産に入ってからも製造過程に工夫を凝らし原価を下げるという活動を恒久的に実施し、効果が出る製品については、納入価格の引き下げを実施致します。

 当社グループでは継続的原価低減を実施しており顧客と相互に持続的な成長関係を築いていると考えております。ただし、自動車メーカーの要請によっては、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(2)事業内容に由来するリスクについて

① 特定の取引先への依存

 日産自動車㈱及び同社と資本関係・密接な取引関係を有する会社(以下、「日産自動車㈱等」という。)は当社グループの有力な取引先であります。当社グループは、日産自動車㈱等に限らず、各取引先との良好な取引関係を維持・継続していく方針でありますが、米国、欧州及び中国を含むアジアの各主要市場において、製造もしくは販売の拠点を設置し、主要な自動車メーカー各社に対して営業を行うことにより、特定の取引先への依存度合いを低減させるよう努めております。

 しかしながら、日産自動車㈱等の経営方針の変更あるいは何らかの事情により、当社グループ製品の購入量が増減した場合や取引条件の変更等が生じた場合、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

② 借入金の金利変動に伴うリスク

 当社グループでは、一部の借入金については、金利スワップ取引によりリスクヘッジを行っておりますが、市場金利の動向により、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

③ 為替レートの変動

 現在の当社グループ売上に占める輸出入の割合は少なく、売買による為替リスクは軽微であると認識しておりますが、子会社貸付金についてはデリバティブを利用し、リスクヘッジを行っております。

 ただし、今後、為替差損・差益の影響等により、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 ④ 資本提携について

 自動車メーカーのグローバル化に対応するため、米国及び中国メーカーと資本提携し市場拡大、顧客拡充、技術力強化を推し進めておりますが、提携先との関係によっては、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 製造物責任

 当社グループは、品質管理基準に従って各種の製品を製造納入しておりますが、欠陥や品質不良等により、リコール、苦情又はクレーム等が発生する場合には、当社グループに対する顧客の信頼が低下し、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループは、製品製造物責任による損害賠償に備えるPL保険に加入しておりますが、同保険が賠償額を十分にカバーできるという保証はなく、製造物責任による多額の損害賠償が発生した場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)その他

① 親会社グループとの関係について

当社の親会社はTPR㈱であり、本書提出日現在で当社発行済株式総数における議決権の55.54%(5,207,100株)を所有しております。

 同社は、ワールドワイドな生産・販売体制によりグローバルな事業展開をしているエンジン機能部品メーカ
ーであり、想定しているグローバルな自動車業界の変革と市場拡大に対応し、中長期での経営体質強化を課題としております。

 同社は、同じ自動車業界に属するものの同社グループの主力事業としてはカバーしていなかった事業領域を担う当社が、相互に経営の独立性を維持しながら同社グループに加わることにより、グローバルな自動車業界で同社グループの存在感を高め、企業価値が向上すると判断し、2012年4月5日付で、従前の筆頭株主であったMH Capital PartnersⅡ,L.P.より当社株式を取得致しました。

 現状において、当社グループは同社グループ内において競合となりうる状況は発生しておらず、その見込みもありません。

しかしながら、将来的に親会社の経営方針に変更が生じた場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

ⅰ)親会社グループにおける当社の位置付け

当社グループを除く親会社グループは、主としてピストンリング、シリンダライナ並びにバルブシート等の焼結合金の製造販売を行っているエンジン機能部品を中心としたメーカーであり、当社グループは、自動車メーカー向けに樹脂外装部品、モールディング部品、純正用品等を設計開発、生産、販売している自動車部品・用品のメーカーであります。当社グループの事業領域は、同じ自動車業界に属するものの同社グループの主力事業としてはカバーしていなかった事業領域であり、明確な棲み分けがなされております。

ⅱ)親会社グループとの資本関係

TPR㈱は、本書提出日現在で当社発行済株式総数における議決権の55.54%(5,207,100株)を所有しており、今後においても、連結関係を維持するために必要となる当社株式数は継続的に所有する方針であります。

 

ⅲ)親会社グループとの人的関係

上場会社として必要となる円滑な情報連携体制を維持すること及びグループシナジーの最大化を図ることを目的とし、主に以下の人的関係があります。

 

当社における役職

氏 名

TPR㈱における主な役職

取締役会長(非常勤)

岸 雅伸

代表取締役

取締役(非常勤)

末廣 博

代表取締役会長

取締役(非常勤)

矢野 和美

代表取締役社長

取締役(非常勤)

羽石 和弘

執行役員

 ※ 岸 雅伸は、2023年6月下旬にTPR㈱相談役に就任予定です。

ⅳ)親会社グループとのその他特別な関係

当社グループを除く親会社グループとの間において上記の他に特別な関係はありません。

 

② 法的規制等に伴うリスク

 当社グループでは日本国内のみならず、事業展開する各国において、様々な法的規制を受けております。

 当社グループは、これらの法的規制等の遵守に努めておりますが、当該法的規制等が改正された場合や何らかの理由により当社グループがこれらの法的規制等を遵守できない場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

③ 退職給付費用の前提条件変更に伴うリスク

 当社グループは、従業員の退職給付費用及び退職給付債務につき、数理計算に使用される一定の前提条件に基づき計算を行っております。これらの前提条件には割引率・死亡率等重要な見積りが含まれており、実際の結果が、前提条件と異なるあるいは前提条件に変更がなされた場合、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

④ 知的財産の保護または侵害に伴うリスク

 当社グループは、自社が保有する技術等については特許権等の取得による保護を図るほか、他社の知的財産権に対する侵害のないよう弁理士の協力を得ながらリスク管理に取り組んで参りました。

 しかしながら、当社グループが現在販売している製品、或いは今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確・適切に判断できない可能性があり、また、当社グループが認識していない特許権等が成立することにより、当該第三者より損害賠償等の訴えを起こされる可能性があります。そのような場合、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 地震等の災害に伴うリスク

 当社グループは、国内外に生産拠点があり、大地震、台風等の自然災害や事故、火災等により、生産の停止、設備の損壊や電力供給不足等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 感染症によるリスク

 当社グループの従業員に新型コロナウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス等の感染が拡大した場合、一時的に操業を停止するなど、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。また、同様に取引先に感染が拡大した場合、取引先の操業停止により、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループを取り巻く経営環境は、原材料やエネルギー市況高騰、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、為替の急激な変動等、厳しい状況が続いております。

 当社グループの属する自動車業界の概況は、半導体供給不足により生産調整がありますが、総生産台数は徐々に回復基調にあります。然しながら原材料やエネルギー市況高騰影響等により、依然として厳しい環境が続いております。
 このような情勢の中、当連結会計年度の売上高は、円安による為替影響もあり、74,102百万円(前連結会計年度比7.2%増)となりました。

 営業損失は、お客様の生産変動に伴うロス、原材料やエネルギー市況高騰、派遣労務費高騰、日本セグメントでの為替影響に伴う輸入品の原価高等に深刻な影響を受け、また新車立上げに伴うロス、生産が特定ラインに偏ることにより非効率が発生し、251百万円(前連結会計年度は1,427百万円の営業利益)となりました。なお、当第4四半期連結会計期間は、国内工場の生産性向上、原価低減活動の効果等により746百万円の営業利益となり、当第3四半期連結会計期間の営業損失304百万円から改善致しました。

 経常損失は、営業損失に加えて為替差損が拡大した影響等により、498百万円(前連結会計年度は1,761百万円の経常利益)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純損失は、減損損失689百万円を特別損失に計上したこと等により2,310百万円(前連結会計年度は623百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。英国子会社が所有する事業用資産について今後の収益性の低下が想定されるため減損損失を計上したことが主要因です。

 

セグメントの業績は、以下のとおりであります。

(日本)

 売上高(セグメント間売上高を含まない)は、56,325百万円(前連結会計年度比5.4%増)となりました。セグメント利益は、原材料やエネルギー市況高騰、派遣労務費高騰に加えて新車立上げに伴うロス、売上構成に偏りが出ており特定ラインが高負荷となることで非効率が発生していること等により、651百万円(前連結会計年度比69.4%減)となりました。なお、当第4四半期連結会計期間のセグメント利益は、国内工場において工順の最適化や工程不良改善等を実施した効果があったため1,055百万円となり、当第3四半期連結会計期間のセグメント損失131百万円から改善致しました。
(アジア)

 売上高(セグメント間売上高を含まない)は、お客様の生産台数・販売台数減により、10,600百万円(前連結会計年度比0.9%減)となりました。セグメント利益は、売上高減、原材料やエネルギー市況高騰の影響により、745百万円(前連結会計年度比35.1%減)となりました。
(北米他)

 売上高(セグメント間売上高を含まない)は、生産台数の回復及び円安による為替影響もあり、7,176百万円(前連結会計年度比43.7%増)となりました。セグメント損失は、原材料市況高騰の影響、また英国子会社の構造改革に伴う一時的な費用等により、1,663百万円(前連結会計年度は1,865百万円のセグメント損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は11,838百万円となり、前連結会計年度末比で1,559百万円の増加となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は、3,041百万円(前連結会計年度比854百万円増)となりました。主な資金の増加は、減価償却費4,370百万円、仕入債務の増加831百万円であります。主な資金の減少は、税金等調整前当期純損失1,119百万円、法人税等の支払1,124百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、3,634百万円(前連結会計年度比748百万円減)となりました。主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出3,442百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により調達した資金は、1,877百万円(前連結会計年度は684百万円の運用)となりました。主な内訳は、長期借入金の返済による支出5,163百万円、長期借入れによる収入6,000百万円、短期借入金の純増加額1,000百万円であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

49,616

108.6

アジア

8,961

109.5

北米他

7,054

119.5

合計

65,632

109.8

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.金額は、製造原価によっております。

 

b.受注実績

 確定受注は主に納期直前であり、販売実績と重要な相違は無いため記載は省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

56,325

105.4

アジア

10,600

99.1

北米他

7,176

143.7

合計

74,102

107.2

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額

(百万円)

割合

(%)

金額

(百万円)

割合

(%)

日産自動車㈱

14,812

21.4

14,796

20.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績

 当社グループを取り巻く経営環境は、原材料やエネルギー市況高騰、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、為替の急激な変動等、厳しい状況が続いております。

 当社グループの属する自動車業界の概況は、半導体供給不足により生産調整がありますが、総生産台数は徐々に回復基調にあります。然しながら原材料やエネルギー市況高騰影響等により、依然として厳しい環境が続いております。

 このような情勢の中、当連結会計年度の売上高は、円安による為替影響もあり、74,102百万円(前連結会計年度比7.2%増)となりました。

 営業損失は、お客様の生産変動に伴うロス、原材料やエネルギー市況高騰、派遣労務費高騰、日本セグメントでの為替影響に伴う輸入品の原価高等に深刻な影響を受け、また新車立上げに伴うロス、生産が特定ラインに偏ることにより非効率が発生し、251百万円(前連結会計年度は1,427百万円の営業利益)となりました。なお、当第4四半期連結会計期間は、国内工場の生産性向上、原価低減活動の効果等により746百万円の営業利益となり、当第3四半期連結会計期間の営業損失304百万円から改善致しました。

 経常損失は、営業損失に加えて為替差損が拡大した影響等により、498百万円(前連結会計年度は1,761百万円の経常利益)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純損失は、減損損失689百万円を特別損失に計上したこと等により2,310百万円(前連結会計年度は623百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。英国子会社が所有する事業用資産について今後の収益性の低下が想定されるため減損損失を計上したことが主要因です。

 当社グループにおいて、英国事業の再建は喫緊の課題であり、日本のマザー工場からの集中的な支援により、製品品質の一層の向上、現場の生産効率向上を推進すると共に現地マネジメントが中心となり、大幅な固定費削減に取り組んでおります。

 また、中長期的には「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の取組みを推進し、連結営業利益4%、自己資本比率30%、ROE8%を目指します。
 

b.財政状態

 当連結会計年度末における総資産は69,384百万円となり、前連結会計年度末比で2,595百万円の増加となりました。このうち、流動資産は40,156百万円となり前連結会計年度末比で3,153百万円の増加となりました。流動資産の主な増加は、手許資金を多めに確保したことによる現金及び預金の増加1,666百万円、売上増に伴う売掛金の増加608百万円、商品及び製品の増加546百万円であります。また、固定資産は29,227百万円となり前連結会計年度末比で558百万円の減少となりました。固定資産の主な減少は、資産購入の抑制による機械装置及び運搬具(純額)の減少1,003百万円であります。

 負債は50,127百万円となり、前連結会計年度末比で4,946百万円の増加となりました。このうち、流動負債は34,837百万円となり前連結会計年度末比で4,260百万円の増加となりました。流動負債の主な増加は、短期借入金の増加1,000百万円、仕入高増加による電子記録債務の増加730百万円、一年内返済予定の長期借入金の増加480百万円であります。固定負債は15,289百万円となり前連結会計年度末比で685百万円の増加となりました。固定負債の主な増加は、長期借入金の増加356百万円、退職給付に係る負債の増加221百万円であります。

 純資産は19,257百万円となり、前連結会計年度末比で2,350百万円の減少となりました。純資産の主な増減は、利益剰余金の減少2,310百万円であります。利益剰余金の減少は、親会社株主に帰属する当期純損失2,310百万円によるものであります。

 当社グループが重要視している当連結会計年度末における自己資本比率は24.2%となり、前連結会計年度末対比で4.8ポイントの低下となりました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金及び投融資資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金に加え、必要に応じた金融機関からの借入実施を基本方針としております。かかる方針に従い、当連結会計年度における運転資金や新規及び更新の設備投資資金は、自己資金及び金融機関からの借入により充当しました。

 今後の投融資に係る支出は長期借入金等で賄うこととし、短期運転資金や一過性の要因による資金ニーズがある場合は、臨機応変に短期借入金による調達で対応して参ります。中期的に借入金返済を進め、自己資本比率を向上させることを経営目標の一つとして、財務体質の強化を図って参ります。

 

③重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成のための重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼす項目は、以下のとおりであります。

a.繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するにあたって、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しておりますので、今後その見積額が減少した場合は、繰延税金資産を減額し税金費用を計上する可能性があります。

b.固定資産の減損

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、将来キャッシュ・フローを見積り、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。今後この回収可能価額が減少した場合は、減損損失が発生する可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 経営上の重要な契約はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは経営理念として「時代をリードする価値ある商品・サービスを提供し、美しく豊かなクルマ社会の実現に貢献する」を掲げ、新商品開発のスピードアップとOnly-one商品の創出をテーマに研究開発活動に取り組んでおります。新商品の開発に当たっては、6つのコア技術(成形・加飾・組立・金属加工・電装・通信)を3つの開発方針(カーボンニュートラル・加飾・CASE※)に沿って強化・発展させています。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は2,448百万円となっております。

 セグメント別の研究開発費は、その92.4%が「日本」で発生したものであります。「日本」の研究開発活動の状況については、以下のとおりであります。

 ※CASEは、Connected(コネクティッド)、Autonomous(自動運転)、Shared&Services(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとった用語です。

 

(1)自動車外装部品事業、純正用品事業

 自動車外装部品と用品において、お客様のニーズや市場調査から、『魅力のある商品』/『新機能商品』を継続的に創出し提案することを目指し、次のような具体的な開発に取り組んでおります。

① 高付加表面加飾技術開発、薄膜技術による新光輝意匠開発

② 車両機能向上のための、電子電装制御の外装部品開発

③ 軽量化技術開発として、CF(カーボンファイバー)材料開発と発泡技術開発の部品への適用

④ 従来の金属加工技術をさらに拡大し、曲げ絞りに関する新技術開発

⑤ アルミや樹脂材を活用したルーフレールやクロスバー開発及びそれらに関わる光輝高耐食表面処理技術

  の開発

⑥ コネクティッドカーに利用する無線通信ユニット、CANを利用したリモコンエンジンスターター及びカーセキュリティー、LEDを利用したイルミキッキングプレート及びフォグランプ、カメラを応用した部品の開発

⑦ 低コスト、環境(カーボンニュートラル)を考慮したピアノブラック原着材料(塗装レス)の開発

⑧ 企画・デザイン機能を持ち、優れた意匠性を提案する製品開発

 

 上記研究開発を促進する体制として、社内の開発プロセスやシステムの革新、異業種との共同開発、大学への委託研究を実施しております。活動成果として、スパッタリング工法による電波透過エンブレム(RADOME)、多仕様表面処理ルーフレール、LEDフォグランプ、イルミインフォメーション、エアロ各種用品等の商品化実績に貢献しております。また、より機能性を向上した商品を提供するために、加飾性と耐食性に優れるラジエターグリル等のめっき外装商品開発、無線を利用した利便性向上製品の開発、コネクティッドカー用のTCU(Telematics Communication Unit)及びそれに関わるサービスの開発等を推進しております。

 また、CO₂排出削減に向けた部品製造技術及び商品開発を行い、次のような地球環境への寄与にも取り組んでおり、活動成果を出しております。

① 塗装レスによるCO₂排出削減

② 樹脂廃材を利用したリサイクル部品の拡大

 

(2)自動車関連機器事業

 市場競争力強化及び顧客からの要望に応じ、高効率化・省力化・原価低減を念頭に置き、主に次のような開発アイテムに取り組んでおります。

① 機械工具分野での多様化した顧客ニーズに対応したリフトや作業効率化機器、先進運転支援システムの
  検査機器の開発

② 自動車メーカー向け生産ライン機器分野にて、顧客要望に応えるべく車の進化に対応できるテスターの

  開発やタイヤ組立装置の省力化装置の開発

③ 産業用エンジン分野におけるガスコージェネレーションシステムの開発