第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループでは「わたしたちは、すべての人の、クオリティ オブ ライフに向きあいます。いつでも、どこでも、あなたに。」を企業理念とし、「あなたの、いちばん近くにある安心」をスローガンとして掲げ、患者さまのQOL向上に役立つ医療サービスを提供することを基本方針としております。
 また、当社グループの全役職員は、コンプライアンスの精神に則り、各種法令、規則等の遵守、自律的に何が倫理的に正しい行為かを考え、その価値判断に基づき行動いたします。

 

(2)目標とする経営指標

資本効率を重視する連結業績管理制度を採用し、自己資本利益率(ROE)や総資産利益率(ROA)を基準とした経営管理を行っております。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

当社グループは、総合ヘルスケアカンパニーへ躍進するために、さらなる成長に向けて連結売上高3,000億円、営

業利益250億円を中期目標として掲げております。実現のためのキーワードとして、当社グループは「規模の拡大

」「利益最大化」「デジタル化」を掲げ、全事業一体となって協調して取り組んでまいります。

当社グループは、サステナビリティの実現に向けて、環境負荷の低減に努めるとともに、SDGsへの理解を全社的に促進し未来につながる取り組みを実施します。そして、事業活動を通してステークホルダーの皆さまにとっての社会的価値、経済的価値の向上のための議論を進めており、具体的な価値や進捗の見える化に取り組んでまいります。

 

事業戦略については次のとおりであります。

 

① 保険薬局事業

保険薬局事業においては、患者さまの求める薬局のあり方を追求し続け、さらなる利便性や安心の提供を目指します。そして、医療の継続や質の平準化を進め、地域医療の安定化に寄与できる体制を引き続き構築してまいります。

その一環として、地域医療への連携強化とともに、グループ内の教育制度を最大限に活用して、高度な医療へ対応できる薬剤師を配置していくことにより、専門医療機関連携薬局や地域連携薬局の認定取得に取り組み、薬局の機能を高めてまいります。

そして、デジタルトランスフォーメーションを加速するために、『クオールおくすり便(LINEミニアプリ)』の機能拡充や、行政との連携による新たなお薬の配送方法の実現など、次世代薬局の構築を推進してまいります。

また、患者さまに寄り添う医療の実現に注力するために、在宅基幹店を中心に施設と各店舗間の調整・サポートを行う等、在宅・施設調剤に戦略的に取り組んでまいります。

なお、規模の拡大にも引き続き取り組んでまいります。新規出店やM&Aを積極的に行うとともに、異業種との協業による認知度向上を図ってまいります。その一環として、2023年4月より、サントリーウエルネス株式会社との健康支援に関する協業を開始いたしました。薬局を通じて患者さま、お客さまに未病領域から健康を支援できるよう努めてまいります。

そして、大きく変化する事業環境へ常に対応するために、筋肉質な企業体質を目指します。生産性を向上させるために業務をシステム化し業務フローを継続的に見直すとともに、ゼロベースでのコストの見直しを行ってまいります。

 

 

② 医療関連事業

CSO事業においては、MRの派遣数を増加させ、さらなる事業拡大に注力してまいります。また、MR育成ノウハウを活かして、製薬企業に向けたMR研修の受注を開始し、製薬企業向けサービスの幅を広げてまいります。

紹介派遣事業においては、営業の業務分業化やデータベース自動化等の仕組みを強化することで生産性を向上させ、2023年3月期を上回る成約率を達成できるようなワンランク上の体制へと整えてまいります。また、医師・看護師の短期求人案件のマッチングプラットフォームを有する株式会社オンコールを、2023年4月にグループ化いたしました。グループ化によるシナジーを活かして、さらなる事業拡大につなげてまいります。

出版関連事業においては、従来より取り組んできた、クライアントニーズの変化やデジタルシフトへの対応力強化と組織力強化によって、既存事業の拡大を目指してまいります。また、コンベンション事業やコンプライアンスサービス事業等の新規事業の体制も整い、更なる事業拡大に取り組んでまいります。

医薬品製造販売事業においては、医薬品の安定供給のため、工場への設備投資を継続して実施するとともに、コンプライアンス遵守を徹底してまいります。また、新型コロナウイルス抗原検査キット『テガルナ®スティックSARS-CoV-2 Ag』に続く新製品の開発に注力し、パイプラインの拡充を図ってまいります。

 

※CSO:Contract Sales Organizationの略

※MR:Medical Representativeの略

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献するため、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会はサステナビリティに関する事項の議論を行い、その内容は取締役会に年4回以上報告しております。取締役会は、サステナビリティ委員会から答申された重要事項の決定を行い、同委員会の監督を行います。

また、当社グループの関連部門長をメンバーとするサステナビリティ委員会事務局をサステナビリティ委員会の下部組織として設置し、当社グループ全体が取り組むべき施策とKPIについて審議検討後サステナビリティ委員会に上程しております。また、サステナビリティ委員会で決定された施策の進捗管理を行っております。

 

(2)戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

当社グループは、総合ヘルスケアカンパニーへ躍進するために、「規模の拡大」「利益最大化」「デジタル化」をキーワードとして掲げ、全事業一体となって協調して取り組んでおります。この取り組みに求められる、優秀な人材を採用・育成するために、以下の人事戦略を策定しております。

 

人材育成方針

当社グループでは、持続的な成長の実現に向けて、組織力と収益力の二つの強化を人材育成の軸としております。組織力を強化するために、各階層別に人間力・判断力・実行力の養成を行うとともに、収益力を強化するために、専門的な知識や職能の向上につながる実践的な教育を行ってまいります。

 

社内環境整備方針

当社グループでは、持続的な成長の実現に向けて、生産性の向上と働きやすい環境の整備が重要であると考えております。そしてこれらを実現するために、成長を後押しする人事制度、多様な人材が活躍できる環境、及び優秀な人材を安定的に確保できる採用の仕組みを整備してまいります。

具体的には、挑戦意欲の高い社員が早期に昇給や昇格を目指すことのできる人事制度を設計し、子育てと業務の両立を可能とする体制を充実させるとともに、保険薬局事業と紹介派遣事業のシナジーを活かした採用を行ってまいります。

 

(3)リスク管理

当社グループは、全社より抽出した事業全般に関わるリスクを、経営影響度、発生可能性などをふまえて重要度を識別し、サステナビリティ委員会で当社グループとして対応すべき事項を管理しております。また、その内容は取締役会に適宜報告を行っております。

 

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、以下の指標及び目標を用いております。

なお当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社で行われているわけではないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、以下の指標に関する目標は、当社及び連結グループにおける主要な事業を営むクオール株式会社のものを記載しております。

 

 

管理職に占める
女性労働者の割合(%)

(注2、4)

男性労働者の
育児休業等取得率(%)

(注5)

労働者の男女の賃金差異(%)(注2、6)

全労働者

うち正規雇用
労働者

うちパート・
有期労働者

提出会社

(注3)

クオール
株式会社

30

50

80

75

110

 

 

(注)1.上記指標についての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況」に記載しております。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)(以下、「女活法」といいます。)の規定に基づき算出したものです。

3.提出会社は、「女活法」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)(以下、「育休法」といいます。)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

4. 管理職に占める女性労働者の割合については、出向者を出向元の労働者として集計しております。

5. 男性労働者の育児休業取得率については、「育休法」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育休法施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。なお、「配偶者が出産した男性労働者の数」のうち、「育児休業等をした男性労働者の数」の割合を示しております。また、出向者を出向元の労働者として集計しております。

6. 労働者の男女の賃金差異については、男性労働者の賃金に対する女性労働者の賃金の割合を示しております。なお、同一労働の賃金に男女差はなく、職種や等級別人数構成の差によるものであります。出向者は出向先の労働者として集計しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)法的規制等について

a. 当社グループの行う事業について

当社グループにおける保険薬局事業及び医療関連事業では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法といいます。)」「健康保険法」「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」等の法令による規制を受けております。各都道府県等の許可・登録・指定・免許を受けることができない場合、関連する法令に違反した場合、または法令が改正された場合等において、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

b. 薬剤師の確保について

保険薬局業務においては、「薬剤師法」第19条に基づき薬剤師以外の調剤が禁じられております。また、薬局、店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令に基づき、1日平均取扱処方箋40枚に対して1人の薬剤師を配置する必要がある旨定められております。

このため、新規採用者数の減少・退職者数の増加などにより薬剤師の必要人数が確保できない場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)保険薬局の事業環境について

a. 医薬分業の動向について

医薬分業は、医療機関と保険薬局がそれぞれ専門分野で業務を分担し、国民医療の質の向上を図ろうとするものであり、国の政策として推進されてきました。今後、動向が変化する場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

b. 調剤報酬・薬価改定について

調剤売上は、薬剤料収入と技術料収入から成り立っており、調剤報酬及び薬価は厚生労働省により定められております。また、調剤報酬及び薬価は、国民医療費を抑制するため、段階的に改定されております。今後、調剤報酬・薬価改定が行われ、調剤報酬及び薬価の点数、金額等が変更になった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)新規出店政策について

当社グループは、当連結会計年度末現在、892店舗を運営しております。最近の当社グループの業容拡大には、店舗数の拡大が大きく寄与しております。

今後ともM&Aを含めて店舗数の拡大を図っていく方針でありますが、当社グループの出店条件に合致する新規案件を確保できないことにより計画どおりに出店できない場合には当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)資金調達について

当社グループの事業資金の一部は、金融機関からの借入により調達しております。このため、景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、当社グループの信用力の低下、業績の見通しの悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達を行えない可能性があります。万一当社グループが今後資金調達を望ましい条件で実行できない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)調剤過誤について

当社グループでは、調剤過誤を防止するために、社内教育を徹底し、加えて、調剤過誤防止システムの導入や社内イントラネットにおいて実績を収集し、様々な対策を講じております。しかし、調剤過誤が発生し、訴訟を受けて多額の損害賠償の支払いや、それに伴う社会的信用を損なうことがあった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)個人情報の利用・管理について

当社グループは、業務上多くの個人情報を保有しておりますが、その管理は適切に行っております。当社では2005年4月の「個人情報保護法」の施行にあわせて、個人情報保護に関する当社の基本方針を明確化した「個人情報保護方針」及び個人情報取扱いに関する基本事項を定めた「個人情報保護基本規程」を制定して、個人情報の保護について十分注意し漏洩防止に努めております。万一個人情報が漏洩した場合、当社グループの社会的信用は低下し、損害賠償責任が生じ、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 

(7)消費税等の影響について

保険薬局事業においては、社会保険診療に係わる調剤売上は消費税法上非課税となる一方、医薬品等の仕入は同法において課税されております。このため、当社グループ内の保険薬局事業会社は、消費税等の最終負担者となっており、仕入先に支払った消費税等は、売上原価に計上されております。

過去の消費税等の導入時及び消費税率改定時には、消費税率の上昇分が薬価の改定において考慮されておりましたが、今後、消費税率が改定され、その影響が薬価に反映されなかった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)のれんの減損について

当社グループは、M&A等により事業拡大を図ることを経営戦略として推進しております。M&A等においては、将来にわたり安定的な収益力を確保できることを十分に検討しておりますが、将来、計画どおりに収益を確保出来ない場合にはのれんに係る減損損失が発生し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)知的財産権について

当社グループが各種サービスを展開するにあたっては、他者の持つ特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っておりますが、万一、他者の知的財産権を侵害した場合には、多額の損害賠償責任を負う可能性があります。

また、当社グループの持つ知的財産権を侵害されないよう細心の注意を払っておりますが、他者からの侵害を把握しきれない、もしくは適切な対応ができない場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)その他の規制について

当社グループが各種サービスを展開する上で、「薬機法」による広告の制限等の規制、または公正取引委員会による「医療用医薬品製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」等の医薬品業界特有の各種規制には特段の注意を払っております。

今後においても、各種規制については十分に留意して事業運営を行う方針ですが、業界の様々な動きに対して、法令や業界団体による規制等の改廃、新設が行われる可能性があります。これら新たな動きに当社グループが何らかの対応を余儀なくされた場合や、当社グループがこれらに対応できない場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)災害等について

事業展開している地域において、予期せぬ火災、テロ、戦争、疫病、地震、異常気象等により、店舗の損壊、店舗への商品供給の停止及びその他店舗の営業継続に支障をきたす事態が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)新型コロナウイルス感染症の影響について

保険薬局事業においては、新型コロナウイルス感染者数の減少に伴い、患者さまの医療機関への受診控え及び医療機関の外来診療の抑制による影響が緩和されたものの、その経済環境への影響が変化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症対策として、アクリル板の設置や従業員へのマスク配布を行う他、当社グループの全社員を対象とした「新型コロナウイルス(COVID―19)関連行動指針」を定め、感染拡大防止に尽力しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要になる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績等の状況

当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続いたものの、行動制限の緩和等により、経済活動の正常化に向けた動きが見受けられました。しかしながら、エネルギー価格や原材料価格の高騰に伴う物価上昇等、景気の先行きにつきましては依然として不透明な状況が続いております。

調剤薬局業界においては、新型コロナウイルス感染者数の減少に伴い、患者さまの医療機関への受診控え及び医療機関の外来診療の抑制による影響が緩和され、受付回数も徐々に回復しております。

当社グループではこのような激変した社会においても患者さまにいちばん近い会社であり続けるため、新型コロナウイルスから患者さま・社員を守る経営を最優先してまいりました。全社戦略についてはウィズコロナの時代の中で中期目標を実現するために、「規模の拡大」「利益の最大化」「デジタル化」に全事業一体となって取り組みました。また、環境、社会、ガバナンスの各分野においても、企業価値を向上させる取り組みを行ってまいりました。

なお、当社は2022年10月に創業30周年を迎えました。今後も『わたしたちは、すべての人の、クオリティ オブ ライフに向きあいます。いつでも、どこでも、あなたに。』という当社グループの企業理念のもと、総合ヘルスケアカンパニーへと前進してまいります。

業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和したことにより売上高は順調に推移したものの、物価上昇等による経費の増加や、M&Aによる先行投資があったことにより営業利益は前年同期比で減少、また当初見込んでいた計画につきましても下回る結果となりました。

当連結会計年度における当社グループの連結業績は、売上高170,036百万円(前年同期比2.3%増加)、営業利益9,495百万円(前年同期比3.7%減少)、経常利益10,098百万円(前年同期比0.0%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,656百万円(前年同期比3.0%増加)となりました。また、EBITDAについては、14,379百万円(前年同期比1.4%減少)となりました。

 

 

セグメント別の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。
 

a. 保険薬局事業

保険薬局事業においては、M&A、新規出店及び在宅・施設調剤の推進による規模の拡大、次世代薬局等のデジタル化による患者さまの利便性向上に取り組みました。

当連結会計年度における出店状況は、新規出店22店舗、事業譲受2店舗、子会社化による取得46店舗の計70店舗増加した一方、閉店により12店舗減少した結果、当事業全体で店舗数は892店舗となりました。今後も付加価値の高い薬局を展開していくためにM&A基準の厳格化等、戦略的出店による規模の拡大を図ってまいります。

薬局運営につきましては、前期より新たな事業の柱としている在宅・施設調剤において、在宅調剤の全店実施に向けて取り組むとともに、在宅専門店舗を積極的に展開し、社会的ニーズに対応すべく推進しております。

また、2022年4月よりサービスを開始している『クオールおくすり便(LINEミニアプリ)』の機能を拡充するとともに、店舗における自動精算機の導入を開始するなど、さらなる利便性や安心の提供を目指して取り組んでおります。

業績につきましては、前期に実施したM&Aや新規出店の寄与と、在宅・施設調剤の推進等により、受付回数が増加いたしました。一方で、新型コロナウイルス感染症の一時的な急拡大への対応により人件費が増加するとともに、物価上昇等の影響により経費が増加いたしました。

その結果、売上高は155,370百万円(前年同期比1.5%増加)、営業利益は11,499百万円(前年同期比3.1%減少)となりました。

また、当連結会計年度末の資産合計は、92,147百万円となり、前連結会計年度末から4,279百万円増加しております。

当社グループの属する保険薬局業界においては、調剤報酬・薬価改定が行われ、調剤報酬及び薬価の点数、金額等が変更になった場合や関連する法令が改正された場合等において、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
 詳細については、「第2  事業の状況  3  事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

b. 医療関連事業

医療関連事業においては、引き続き主力事業であるCSO事業、紹介派遣事業、出版関連事業、医薬品製造販売事業の拡大に尽力し、総合ヘルスケアカンパニーへと前進するための安定した基盤構築を図ってまいります。

CSO事業においては、増加するMR派遣需要や多様化する医療現場からのニーズに今後も応えられるよう、幅広い経験を持つ人財の採用強化や、専門領域MRの育成プログラム拡大等の質の高い教育による優秀な人財の育成に引き続き注力してまいります。

紹介派遣事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響を依然として受けているものの、薬局等への薬剤師紹介派遣需要は回復に向けた動きが見受けられました。また、健康経営推進への関心の高まりから、産業医・産業保健師の派遣については成約件数及び売上高が引き続き増加しているため、健康経営推進に関するサービスラインナップの拡大に引き続き取り組んでまいります。

出版関連事業においては、リアルな講演会とWeb配信のハイブリッド運営にも対応できるコンベンション事業を拡大するとともに、製薬メーカーの制作物等が各種規制を遵守していることを検証するコンプライアンスサービス事業を新たに立ち上げて拡大に注力しております。

医薬品製造販売事業においては、薬価改定による売上高の減少や原材料価格の高騰による影響があったものの、2022年12月に発売を開始した新型コロナウイルス抗原検査キット『テガルナ®スティックSARS-CoV-2 Ag』が業績に寄与いたしました。

その結果、売上高は14,665百万円(前年同期比12.0%増加)、営業利益は1,534百万円(前年同期比29.0%増加)となりました。

また、当連結会計年度末の資産合計は、10,985百万円となり、前連結会計年度末から353百万円増加しております。

当社グループが行う医療関連事業の運営においては、法令による規制を受けており、各都道府県等の許可・登録・指定・免許を受けることができない場合や、関連する法令に違反した場合、または法令が改正された場合等において、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
 詳細については、「第2  事業の状況  3  事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額

 

(2) 販売、処方箋応需の実績

a. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

構成比(%)

前年同期比(%)

保険薬局事業

薬剤に係る収入

107,585

63.3%

△0.1%

調剤技術に係る収入

36,451

21.4%

5.3%

一般薬等売上

11,333

6.7%

5.0%

小計

155,370

91.4%

1.5%

医療関連事業

14,665

8.6%

12.0%

合計

170,036

100.0%

2.3%

 

 

b. 処方箋応需実績

当連結会計年度における保険薬局事業の処方箋応需実績は、次のとおりであります。

 

処方箋応需枚数(千枚)

前年同期比(%)

14,957

5.5

 

 

(3)キャッシュ・フロー

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが11,662百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが7,013百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが2,569百万円の支出となりました。この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ2,079百万円増加し18,596百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益9,584百万円及びのれん償却額3,204百万円等により、11,662百万円の収入(前年同期10,112百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得による支出4,168百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,760百万円等により、7,013百万円の支出(前年同期3,087百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入金の返済による支出9,826百万円及び長期借入れによる収入9,000百万円、配当金の支払額1,092百万円等により、2,569百万円の支出(前年同期10,006百万円の支出)となりました。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、新規出店及びM&A等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、多額な資金需要が発生した場合にはエクイティファイナンス等による調達手段を検討し対応することを基本としております。

 

 

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

(のれんの減損の兆候に関する判断について)

保険薬局事業においてのれんを含む、より大きな単位について減損の兆候に該当する事象がある場合には、のれんを含む、より大きな単位で減損を認識するかどうかの判定を行いますが、当社グループにおいては営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっているかどうかだけでなく、経営環境の著しい悪化に該当するかどうかの検討も重要となります。

経営環境の著しい悪化に該当するかどうかの検討は、主として、のれんを含む、より大きな単位ごとに重要な指標である売上高及びその見積りにおける主要な仮定の処方箋枚数について、当連結会計年度における傾向分析及び当連結会計年度の実績と将来の見積りの整合性を検討することにより実施されます。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2023年5月16日開催の取締役会において、第一三共エスファ株式会社の全株式を段階的に取得することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。