第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展や経済活動の改善により、足元の景況感については改善がみられましたが、急速な金融引き締め等による景気後退懸念が高まっていることから、依然として国内外における経済先行きは不透明な状態が続いております。

一方、当社グループが事業を展開している国内のインターネット広告市場については、社会のデジタル化を背景に2022年のインターネット広告費は前年比114.1%の3兆912億円(株式会社電通「2022年日本の広告費」)と継続的に高い成長率を維持しており、総広告費に占める割合も43.5%まで拡大しております。

また、当社グループのもう一つの対面市場であるEC市場については、2021年国内BtoC-EC市場規模は前年比107.4%の20.7兆円となりました。分野別では、物販系分野に関して前年比108.6%と伸長しており、物販系分野におけるEC化率についてもBtoC-ECで8.8%(前年比0.7ポイント増)と伸長しております。BtoB-EC市場におけるEC化も35.6%(前年比2.1ポイント増)と増加傾向にあり(いずれも経済産業省「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書」)、国内のEC市場規模拡大は継続しております。

このような事業環境の下、当社グループは、データとテクノロジーによって世界中の企業によるマーケティング活動を支援し、売り手と買い手の幸せをつくる企業を目指して事業展開を行っております。当第3四半期連結累計期間においては、前期中の新連結子会社による業績貢献が期首から発生することから増収となりましたが、利益率の高い主力サービス「アドエビス」の減収や、商流プラットフォーム事業の利益率が低下し前年同期比で減益となったこと等により、売上高2,710,479千円(前年同期比11.5%増)、営業利益261,211千円(前年同期比6.2%減)、経常利益269,986千円(前年同期比4.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益158,392千円(前年同期比3.3%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は以下のとおりとなりました。

(マーケティングプラットフォーム事業)

当事業は、インターネットにおける消費者行動を横断的に測定し、マーケティングに活用するためのクラウドサービスを提供する事業であります。当事業では、中期戦略としてマーケティング・トランスフォーメーション・プラットフォーム戦略(MXP戦略)を掲げ、「アドエビス」を中心とする既存サービスを安定基盤としつつ、新サービスの複数展開により総合マーケティングDX支援企業集団へ進化し、LTV(ライフタイムバリュー)を最大化することを目指しております。提供しているサービスは広告効果測定プラットフォーム「アドエビス」を主力サービスとし、分析レポート自動作成サービス「アドレポ」を提供する広告代理店向けプラットフォームビジネスやインキュベーション領域として新サービス開発にも取り組んでおります。

当第3四半期連結累計期間においては、主力の「アドエビス」が減収となったもののインキュベーション領域の成長により売上高は前年同期に対して増加いたしました。「アドエビス」につきましては、契約アカウント数の拡大を図るため新たに低単価プランのリリース準備や、Cookieに依存しないコンバージョンAPIによる計測ソリューション「CAPiCO」の開発を行いました。これらについては第4四半期においてリリースを行い、ターゲット拡大によるアカウント数の増加を目指していきます。

この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は2,216,638千円(前年同期比1.8%増)、セグメント利益は206,407千円(前年同期比0.7%増)となりました。なお、当第3四半期連結累計期間の売上高には、2022年1月31日に連結子会社化したファーエンドテクノロジー株式会社の売上高が含まれております。

 

(商流プラットフォーム事業)

当事業は、EC構築のためのオープンプラットフォーム「EC-CUBE」及びEC構築からマーケティング支援までのECソリューションを提供する事業であります。「EC-CUBE」はフリーミアムモデルのオープンソース・パッケージとして提供しており、EC事業者のインフラ整備や売上向上に貢献する一方、「EC-CUBE」と連携する各種サービス(決済代行等)の提供事業者から決済手数料収入を得るというエコシステムを構築しております。また、このオープンソース版「EC-CUBE」を用いたEC構築・運用支援領域にも参入し、従来のプラットフォーム開発からEC構築・運用支援までの垂直統合モデルのビジネスを展開しております。

 

当第3四半期連結累計期間においては、垂直統合モデルを推進する中で大規模EC構築案件の受託開発にも取り組み、進捗に応じて売上計上を行っておりますが、従来の決済手数料収入と比べて受託開発事業の利益率は相対的に低く、また経営及び開発体制の強化によりコスト増になったこと等により、セグメント営業利益は前年同期に対して減少することとなりました。

この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は499,733千円(前年同期比96.3%増)、セグメント利益は57,379千円(前年同期比16.0%減)と増収・減益となりました。なお、当第3四半期連結累計期間の売上高には、2022年5月31日に連結子会社化した株式会社EC-CUBE Innovations(旧会社名 ボクブロック株式会社)の売上高が含まれております。

 また、財政状態については次のとおりとなりました。

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における流動資産は1,997,992千円となり、前連結会計年度末に比べ163,944千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が84,384千円増加したことや、EC構築領域の受託開発案件に係る契約資産が98,681千円増加したことによるものであります。

また、固定資産は1,106,631千円となり、前連結会計年度末に比べ162,984千円減少いたしました。これは主に償却によりのれんが91,668千円減少したことや繰延税金資産が38,073千円減少したことによるものであります。

この結果、総資産は3,104,624千円となり、前連結会計年度末に比べ960千円増加いたしました。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における流動負債は930,211千円となり、前連結会計年度末に比べ46,841千円増加いたしました。これは主に未払金が59,048千円増加したことによるものであります。

また、固定負債は226,965千円となり、前連結会計年度末に比べ188,885千円減少いたしました。これは主に約定返済により長期借入金が188,885千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は1,157,176千円となり、前連結会計年度末に比べ142,043千円減少いたしました。

 

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末における純資産は1,947,448千円となり、前連結会計年度末に比べ143,003千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上158,392千円による利益剰余金の増加及び剰余金の配当43,825千円による利益剰余金の減少等によるものであります。

この結果、自己資本比率は61.4%(前連結会計年度末は57.1%)となりました。

 

(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

 該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。